JP2005176802A - エステルの製造方法 - Google Patents

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JP2005176802A JP2003426355A JP2003426355A JP2005176802A JP 2005176802 A JP2005176802 A JP 2005176802A JP 2003426355 A JP2003426355 A JP 2003426355A JP 2003426355 A JP2003426355 A JP 2003426355A JP 2005176802 A JP2005176802 A JP 2005176802A
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Abstract

【課題】 酵素触媒の失活が少なく、再利用可能であり、モノ(メタ)アクリル酸エステルの収率が高いエステルの製造法を提供することである。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルとを、酵素(B)の存在下で反応させる際に、特定の有機溶剤下、系中の水分含量を0.01〜0.5重量%に保持しながら行う。
J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)

Description

本発明は、酵素触媒を用いた(メタ)アクリル酸エステルの製造法に関する。さらに詳しくは、酵素の失活が少なく、モノ(メタ)アクリル酸エステルの収率が高いエステルの製造法に関する。
(メタ)アクリル酸と水酸基をもつ活性水素含有有機化合物とのエステルは分散剤、塗料原料、接着剤、凝集剤、反応性希釈剤、硬化剤などに使用されており、活性水素含有化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとのエステル化またはエステル交換により得られることは公知である。{[「新高分子文庫21 UV硬化技術入門」 加藤清視、中原正二著、(株)高分子刊行会発行(1984)等}。しかし、これらの方法では、反応温度は通常100℃近くであり、得られるエステルが着色する場合があった。また、p−トルエンスルホン酸やフッ化ホウ素などの酸触媒を用いるため、特殊な加工をした反応釜を必要とし、また、これら触媒が痕跡でも残存していると後の反応に影響するなどの問題がある。また、このような酸触媒を用いず、酵素触媒を用いて100℃以下の反応温度で(メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法が提案されている。(例えば、特許文献1)
特開2000−143795
しかしながら、酵素を用いただけではジエステルやトリエステルなどの好ましくない副生成物まで得られる。これらの副反応物は得られた(メタ)アクリル酸エステルを原料とする反応にそのまま使用すれば物性に悪影響を与える。また、(メタ)アクリル酸エステルを95%以上の収率で得ようとすると、反応時間が長くなり酵素が失活するため、高価な酵素を再利用することができないという問題があった。
すなわち、本発明の目的は、酵素の失活が少なく、モノ(メタ)アクリル酸エステルの収率が高いエステルの製造法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の有機溶媒下、系中の水分含量を0.01〜0.5重量%に保持し、シリカ、活性白土、活性炭、セライト、イオン交換樹脂から選ばれた吸着剤を少なくとも一つ、酵素に対し重量比で0.5〜5倍量添加することにより短時間でモノ(メタ)アクリル酸エステルを選択的に生成し、且つ、酵素の失活を抑えられることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルとを、酵素の存在下で反応させる際に、特定の有機溶剤下、系中の水分含量を0.01〜0.5重量%にコントロールしながら行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法である。
J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)
[式中、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表し;R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基、;Lは−OH、−SH、−NH2で表される1価の有機基を表し;a=1〜10、b=0〜10、c=0〜300、d=0〜30、e=0〜100、但しc+eは1以上である。bが2以上の場合、R1は同じでも異なっていてもよい。]
本発明のエステル製造法は下記の効果を奏する。
(1)100℃以下の反応温度でエステルを製造できるため、着色、重合などの課題がない。
(2)モノ(メタ)アクリルエステルを選択的に生成する。
(3)反応時間が短く、酵素の失活が少ない。
(4)生成物のろ過のみで目的物を純度よく得ることができる。
本発明における活性水素化合物(A)は一般式(1)で表される。
一般式(1)において、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表す。
2で表される1価の炭化水素基は、炭素数1〜30の炭化水素基が使用でき、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換される個数は任意でよいが、好ましくは1〜3個である。
脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、オクタデシル、オクチル、オクタデシル、2−モノフルオロノニル、トリフルオロデシル、ペンタフルオロテトラデシル、クロロオクチル、1,1,1−トリフルオロメチル及び1−モノクロロエチル等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、飽和脂環式炭化水素及び不飽和脂環式炭化水素が使用できる。
飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)の飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−メチルシクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、ドデシルシクロへキシル、2,3,4−トリプロピルシクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、2,4,6−トリメチルシクロヘキシル、4,5−ジクロロシクロデシル及びパーフルオロシクロヘキシル等が挙げられる。
不飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)の不飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロドデセニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、5−メチルシクロトリコセニル、2−メチルシクロヘキセニル、3−メチルシクロヘプテニル、シクロオクテニル、2,4,6−トリクロロシクロヘキセニル及び2,3,4−トリメチルシクロヘキセニル等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15)の芳香族炭化水素等が用いられる。具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、クミル、メシル、1−エチルフェニル、2−プロピルフェニル、1−t−ブチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、3−ヘキシルフェニル、3−オクチルフェニル、3−ノニルフェニル、3−デシルフェニル、5−ドデシルフェニル、3−フェニルフェニル、3−ベンジルフェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメチルナフチル、3−メチルテトラフルオロフェニル、p−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル、3,5−ジメチルトリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジ[t−ブチル]フェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、ビフェニレニル及びパーフルオロ−3,4,5−トリプロピルフェニル等が挙げられる。
上記R2の内好ましいのは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素であり、特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。
2O−で表される1価の有機基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基及びアリールオキシ基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15)のアルコキシ基等が用いられ、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、n−オクタデシルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、ジクロロエチルオキシ及びパークロロプロピルオキシ基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、炭素数2〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10)のアルケニルオキシ基等が用いられ、1,2−エテンオキシ、1,2−プロペニルオキシ、1,2−ブテンオキシ、1,2−ペンテンオキシ、2−ヘキセン−1−オキシ、パークロロオクテンオキシ及び2−臭化デカニルオキシ基等が挙げられる。
シクロアルコキシ基としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)のシクロアルコキシ基等が用いられ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ、1,3−フルオロシクロオクチルオキシ、パークロロシクロヘプチルオキシ、メチルシクロプロピルオキシ及びトリフルオロエチルシクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
シクロアルケニルオキシ基としては、炭素数3〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15)のシクロアルケニルオキシ基等が用いられ、シクロプロピレンオキシ、シクロブテンオキシ、シクロペンテンオキシ、シクロヘキセンオキシ及びパーフルオロシクロオクテンオキシ等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15)のアリールオキシ基等が用いられ、フェノキシ、クレジルオキシ、2,3,4−トリメチルフェノキシ、2,3,4−トリニトロフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ペンタクロロフェノキシ、p−シアノフェノキシ、2,3−キシリルオキシ、ニトロフェノキシ、p−トリフルオロメチルフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ及びヘプタフルオロナフチルオキシ及び3,4,5,6−テトラプロピルナフチルオキシ等が挙げられる。
上記R2O−の内好ましいのはアルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましいのはアルコキシ基である。
2S−で表される1価の有機基としては上記R2O−のOをSに置換したものが挙げられ、好ましいもの等もR2O−と同じである。
2NHCO−で表される1価の有機基としては、上記R2にアルキルアミノカルボニル基(NHCO)が付加した基のものが挙げられる。例えば、炭素数2〜30のアルキルアミノカルボニル基、アルケニルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、シクロアルケニルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの具体的な基としては、上記R2にアルキルアミノカルボニル基(NHCO)が付加した基のものが挙げられる。好ましいものも同じである。
2CONH−で表される1価の有機基としては上記R2にカルボニルアミノ基(CONH)が付加した基のものが挙げられる。アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。これらの具体的な基としては、上記R2にカルボニルアミノ基(CONH)が付加した基のものが挙げられる。好ましいものも同じである。
上記Jの内、好ましいのはR2−、R2O−、R2COO−、であり、特に好ましいのはR2−、R2O−である。これらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基である。ここで、炭素数1〜10の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換される個数は任意でよいが、好ましくは1〜3個である。
炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換される個数は任意でよいが、好ましくは1〜3個である。
脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、オクタデカニル、オクチル、オクタデシル、2−モノフルオロノニル、トリフルオロデシル、ペンタフルオロテトラデシル、クロロオクチル、1,1,1−トリフルオロメチル及び1−モノクロロエチル等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、飽和脂環式炭化水素及び不飽和脂環式炭化水素が使用できる。
飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜10(好ましくは3〜6)の飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−メチルシクロプロピル、シクロヘキシル及び1,2−フルオロシクロヘキシル等が挙げられる。
不飽和脂環式炭化水素としては、炭素数3〜10(好ましくは3〜6)の不飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロヘキセニル及び2,3,4−トリメチルシクロブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素等が用いられる。具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、クミル、1−エチルフェニル、2−プロピルフェニル、1−t−ブチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、等が挙げられる。
上記R1の内好ましいのは脂肪族炭化水素、−OH、−SH、−NH2であり、特に好ましいのは脂肪族炭化水素、−OHである。
一般式(1)で表される(A)としては、例えば下記のものが挙げられる。
Lが−OHである(A)としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルアルコールのエチレンオキサイド(EO)2モル付加物、グリセリンのEO3モル付加物、ソルビトールのプロピレンオキサイド(PO)4モル付加物、エチレングリコールのEO10モル−PO10モルランダム共重合物、フェノール、ビスフェノールAのEO2モル付加物等が挙げられる。
Lが−SHである(A)としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、エチレンジチオール、プロピレンジチオール、ブチルアルコールのプロピレングリコールとエチレンジチオールの脱水縮合物等が挙げられる。
Lが−NH2である(A)としては、メチルアミン、エチルアミン、メチルアミン等のEO、PO付加物等が挙げられる。
これらのうち、Lが−OHである(A)が好ましい。より好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール、グリセリン、ソルビトール及びそれらのEO、PO付加物であり、特に好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらのEO、PO付加物である。
これら(A)は、市販されるものを使用するか、必要により製造して使用することができる。
本発明で得られる(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルを原料とすることができる。 (メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニルエステルから選ばれるすくなくとも一つ以上のエステルが使用できる。
上記(A)は、単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルの使用量は、活性水素化合物(A)の活性水素1モルに対し、(メタ)アクリル酸基が0.1〜5モル、好ましくは0.1〜2モルの範囲で混合、反応させることができる。
本発明における酵素(B)として使用することのできる酵素としては、例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ等の加水分解酵素が挙げられる。
リパーゼとしては、ブタ肝臓,ブタ膵臓由来リパーゼの他、リゾプス(Rhizopus)属,アスペルギルス(Aspergillus)属,ムコール(Mucor)属,ゲオトリウム(Geotorichum)属,キャンデイダ(Candida)属,クロモバクテリウム(Chromobacterium)属,シュードモナス(Pseudomonas)属,ペニシリウム(Penicillium)等の細菌,糸状菌,酵母由来のものが挙げられる。
また、プロテアーゼとしては、例えば、キモトリプシン,パパイン,ペプシン等を挙げることができる。セルラーゼとしては、例えば、Trichoderma、Fusarium、Psedomonas 由来のものを挙げることができる。
これらのうち、好ましいものはリパーゼである。
前記リパーゼは市販されるものを使用するか、必要によっては製造して使用できる。市販されるリパーゼとしては、例えば、シュードモナス・エスピー由来のリパーゼ「アマノ」PS(天野製薬(株)製、商品名)、シュードモナス属由来のリパーゼ「アマノ」AK(天野製薬(株)製、商品名)、キャンディダ・シリンドラセア由来のリパーゼ タイプVII(シグマ社製、商品名)、アスペルギルス・ニガー由来のリパーゼ「アマノ」A(天野製薬(株)製、商品名)、クロモバクテリウム・ビスコサム由来のリパーゼ(東洋醸造(株)製、商品名)、リゾープス・エスピー由来のリパーゼ「アマノ」D(天野製薬(株)製、商品名)、シュードモナス・エスピー由来のリパーゼ「アマノ」CES(天野製薬(株)製、商品名)、Candida Antarctica由来のノボ(Novo)社のリパーゼ又はノボザイム435などがあげられるが、なかでもリパーゼPSおよびノボ社のノボザイム435が好ましい。特にノボザイム435はアクリル樹脂を担体として使用しているため、本発明においてそのまま使用することができる。
以上の加水分解酵素は少なくとも1種使用することが必要であるが、場合によって2種以上のものを組み合わせて使用することもできる。
本発明において(B)は担体に固定化して使用する。リパーゼを固定化する担体としては、セライト、ケイソウ土、パーライト、シリカ、活性炭、セルロースパウダー、キトサン担体、ポリスチレンおよびジビニルベンゼンを母体とするイオン交換樹脂、またはアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などのキレート樹脂等が挙げられるがシリカ、セライト、活性炭、イオン交換樹脂、キレート樹脂が好ましく、特にシリカ、セライト、キレート樹脂が好ましい。
酵素固定化には通常の手法が用いられる。酵素は吸着またはイオン結合または共有結合により担体上に固定化される。(W.Hartmeier:Immobilisierte Biokatalysatoren,Springer Verlag Berlin Heidelberg,New York,Tokyo 1986 page 14〜16)。
反応に使用した、固定化酵素はデカンテーションなどにより取り除き、そのまま、もしくは水やアセトンなどの極性溶媒で再生し、再度利用してもよい。
(B)の添加量については、特に制限はないが、活性水素化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルに対し、0.01〜10重量%(好ましくは0.05〜5重量%)添加することが望ましい。
反応系中に、シリカ、活性白土、活性炭、セライト、イオン交換樹脂から選ばれる吸着剤を少なくとも一つ、酵素の重量に対し0.5〜5倍量、好ましくは0.5〜2倍量、さらに好ましくは0.5〜1.5倍量添加することにより酵素の失活を防ぐことができる。
本発明においてエステル化およびエステル交換反応は、溶解度パラメータ(SP値)が6.5〜9.5である有機溶媒から選ばれる少なくとも1つ以上を用いて行われる。SP値が6.5〜9.5である有機溶媒は、例えば炭化水素化合物{ヘキサン(7.28)、トルエン(8.45)}、エーテル化合物の場合{ジオキサン(9.37)、THF(9.37)、ジエチルエーテル(7.25)}、ケトン化合物の場合{アセトン(9.07)、メチルエチルケトン(6.95)}等が挙げられる。上記SP値であっても、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル等)は(A)と反応するため、本発明では使用できない。これらのうち、好ましくはトルエン、ヘキサン、THF、メチルエチルケトンであり、エステル化反応により生成した水の除去のし易さから、ヘキサンおよびトルエンが特に好ましい。
SP値は、Fedors法によって計算される。なお、SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但しただし、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱(ei)の合計(ΔH)とモル体積(vi)の合計(V)を用いることができる。
本発明において、系中の水分含量(重量%)は、反応系内の全重量に対し0.01〜0.5、好ましくは0.01〜0.2、特に好ましくは、0.02〜0.1、最も好ましくは0.02〜0.05である。水分含量が0.01未満の場合は、酵素が劣化し再利用できなくなり、0.5を超えると加水分解反応も平行しておこるため、反応の進行が著しく遅くなる。水分の調整は減圧度を緩め、反応によって副生する水を利用してもよいし、反応途中で一定量の水を添加していってもよい。
反応温度は特に限定されないが、酵素が失活せず、反応時間が遅くなりすぎない10〜80℃(特に20〜70℃)の範囲が好ましい。反応時間は5〜30時間が好ましい。エステル化により発生する水の除去は減圧除去、共沸溶媒下での除去、水吸収剤による吸収、透析膜による透析蒸発などいずれでもよいが、特に減圧除去、水吸収剤による吸収が好ましい。
減圧除去する場合は、例えば、冷却管と水分定量受器を減圧ポンプとの間に設置し、冷却管で回収した溶媒は水分定量受器で水と分離し、再度反応系中に戻し使用できるようにすることが望ましい。減圧度は、5mPa以上50mPa以下が好ましい。
また反応の際、必要に応じて、重合禁止剤(HQ,MQ等)、安定剤(リン酸エステル等)、調整剤としての充填剤(シリカ、酸化チタン等)、着色剤(カーボンブラック、染料等)等を使用してもよい。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
冷却管付き水分定量受器を接続した1リットルのコルベンにトルエン100ml、エチレングリコール(EG)62.1(1モル)部、酵素(「ノボザイム435」:ノボ社製)、0.04部、ハイドロキノン0.01部、シリカ(「アドマファインSO−C2」:アドマテック社製)0.02部を秤量し、40℃に加熱した。このとき、系中の水分量は0.03%であった。そこにモレキュラーシーブス4Aを用いて水分を0.01%に調節したアクリル酸72.1部(1モル)を攪拌下、少量ずつ10分かけて分割投入し、全量投入後、減圧度を5〜50mPaに保ち40℃で9時間反応した。反応2時間ごとに反応系中の水分量(JIS K0068−2001、6.4電量滴定法)を測定し、反応中の水分は0.02〜0.04%であった。また反応終了時の系内の水分量は0.02%であった。反応後、触媒および吸水剤を濾別し、目的とするアクリル酸エステルを得た。
得られた(メタ)アクリル酸エステルは、ガスクロマトグラフィー(以下GCと略記する。)によって収率と副成物を求めた。また着色は、ハーゼン単位色数(JIS K0071−1993,5.ハーゼン単位色数)を用いて表した。
<<GC条件>>
装 置 島津社製ガスクロマトグラフGC−17
カ ラ ム SHIN CARBONA(信和化工(株)製)
気化室温度 200℃
ディテクタ温度 210℃
カラム初期温度 90℃
カラム昇温速度 6℃/分
カラム最終温度 280℃
試料濃度 50%アセトン溶液
各生成物はあらかじめGCMSを用いてピーク位置(リテンションタイム)を確認した。
<<GCMS条件>>
装 置 島津社製四重極型質量分析計(GCMS QP−5000)
<GC条件> 上記GC条件と同じ
<MS条件>
測定開始質量範囲 EI 33〜600
走査間隔(I) 1.0sec
しきい値(T) 1000
溶媒溶出時間 0.05min
測定開始時間 0.1min
測定終了時間 40min
スキャンゲイン 1.4KV
GC分析の結果、生成物中、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の純度は98.9%であり、不純物としてエチレングリコールジアクリレート(EGDA)1.10%を検出した。
実施例1において、アクリル酸72.1部(1モル)をメタクリル酸86.1部(1モル:水分量0.01%)に変えた以外は実施例1と同様にして目的物を得た。反応に要した時間は約10時間であった。反応前の系内の水分量は0.035%、反応中の系内の水分量は0.01〜0.035%であった。ガスクロマトグラフィーによりヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の収率は99.0%、不純物としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)1.0%を検出した。
実施例1において、エチレングリコール62.1部(1モル)をグリセリンのPO付加物(平均付加モル数4モル、GPO4)324部(1モル)に変えた以外は実施例1と同様にして目的物を得た。反応に要した時間は約9時間であった。反応前の系内の水分量は0.045%であり、反応中の系内の水分量は0.02〜0.04%であった。ガスクロマトグラフィーによりグリセリンPOアクリレート(GPA)の収率は99.1%、不純物としてグリセリンPOジアクリレート(GPDA)0.7%、グリセリンPOトリアクリレート(GPTA)0.2%を検出した。
実施例1において、、エチレングリコール62.1部(1モル)をビスフェノールA(BPA)228部(1モル)、アクリル酸72.1部(1モル)を144.2部(2モル)に変えた以外は実施例1と同様にして目的物を得た。反応に要した時間は約10時間であった。反応前の系内の水分量は0.04%であり、反応中の系内の水分量は0.02〜0.05%であった。ガスクロマトグラフィーによりビスフェノールAジアクリレート(BADA)97.5%、不純物としてビスフェノールAモノアクリレート(BAA)2.5%を検出した。
実施例1において、使用後取り出した酵素触媒をアセトン中40℃で24時間放置後、再度実施例1と同様に使用した。反応時間は9時間であった。反応前の系内の水分量は0.05%であり、反応中の系内の水分量は0.02〜0.05%であった。ガスクロマトグラフィーにより、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の純度は98・8%であり、不純物としてエチレングリコールジアクリレート(EGDA)1.2%を検出した。
<比較例1>
酵素(「ノボザイム435」)を硫酸1部に変え、反応温度を90℃とし、シリカを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてエステル化合物を得た。反応に要した時間は約10時間であった。反応前の系内の水分量は0.05%であり、反応中の系内の水分量は0.005〜0.008%であった。ガスクロマトグラフィーによりヒドロキシエチルアクリレート(HEA)は76%、不純物として未反応エチレングリコールは9%、ヒドロキシエチルジアクリレート(HEDA)は10%、多量体(Olg)は5%であった。
<比較例2>
触媒をテトライソプロポキシドチタン(TPT)に変え、反応温度を80℃とし、シリカを添加しなかった以外は実施例2と同様にしてエステル化合物を得た。反応に要した時間は約9時間であった。反応前の系内の水分量は0.06%であり、反応中の系内の水分量は0.003〜0.01%であった。ガスクロマトグラフィーによりヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)は77%、不純物として未反応エチレングリコールは10%、ヒドロキシエチルジメタクリレート(HEDMA)11%、多量体(Olg)は2%であった。
<比較例3>
溶媒を使用せず、減圧度を5mPaにし、シリカを添加しなかった以外は実施例3と同様にしてエステル化合物を得た。反応に要した時間は約21時間であった。反応前の系内の水分量は0.04%であり、反応中の系内の水分量は0.005〜0.007%であった。ガスクロマトグラフィーによりグリセリンPOアクリレート(GPA)は79%、不純物として未反応グリセリンPO付加物(GPO4)は8%、グリセリンPOジアクリレート(GPDA)10%、グリセリンPOトリアクリレート(GPTA)3%を検出した。
<比較例4>
比較例3において使用した酵素触媒をアセトン中40℃で24時間放置後、シリカを添加しない以外実施例1と同じ条件で10時間反応した。反応前の系内水分は0.03%、反応中の系内水分は0.03〜0.035%であった。反応はまったく進まなかった。
実施例1〜5及び比較例1〜4で使用したエステル化触媒(B)、カルボン酸成分、活性水素化合物(A)、反応時間(hr)、生成物、ハーゼン単位色数を表1に記載した。
表1から明らかなように、本発明の条件ではいずれも、酸と活性水素化合物の仕込み比により、モノエステル、ジエステルの生成比率をより精密にコントロールすることができる。また、得られたエステル化合物の着色が少ない。
本発明の製造法では、モノエステル、ジエステルの生成比率のコントロールが可能なため、UV硬化樹脂原料、クリヤー塗料原料、硬化剤等用途に合わせて、(メタ)アクリル酸エステルを容易に提供できる。また、(メタ)アクリル酸を酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、フタル酸等の有機酸に代えることにより、種々のエステル化合物を得ることが出来るので、エステル製造法として広範囲の用途に有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される活性水素含有化合物(A)と(メタ)アクリル酸および/またはその低級アルキルエステルとを、有機溶媒中、酵素(B)の存在下で反応させる際に、系中の水分含量を0.01〜0.5重量%に保持して反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
    J−(Ca2a-1-b1 bO)c−(Cd2d-1e−L (1)
    [式中、Jは水素原子、R2−、R2O−、R2S−、R2NHCO−で表される1価の基(但し、R2はその水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基)を表し;R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−OH、−SH、−NH2から選ばれる一価の基、;Lは−OH、−SH、−NH2で表される1価の有機基を表し;a=1〜10、b=0〜10、c=0〜300、d=0〜30、e=0〜100、但しc+eは1以上である。bが2以上の場合、R1は同じでも異なっていてもよい。]
  2. 反応系中にシリカ、活性白土、活性炭、セライト、イオン交換樹脂から選ばれた吸着剤を少なくとも一つを、酵素に対し重量比で0.5〜5倍添加することを特徴とする請求項1記載のエステル製造方法。
  3. 前記(B)が加水分解酵素である請求項1または2記載のエステル製造方法。
  4. 前記(B)が固定化加水分解酵素である請求項1〜3のいずれか記載のエステル製造方法。
  5. 前記(B)がリパーゼであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のエステル製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の製造法により得られてなるエステル化合物。
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