JP2005190652A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract


【課題】磁気記録層上に膜厚の厚い非磁性層等の隠蔽層を形成しても、高い出力と分解能を維持する磁気記録媒体を提供して、磁気カード、通帳等の磁気ストライプ上への着色層や模様層の多重層構成の設置を可能にすることにより、意匠性が高くしかも電磁変換特性の良い磁気カード、磁気ストライプ付き通帳等の磁気記録媒体を可能にする。
【解決手段】転写用基体上に形成された剥離層を兼ねた保護層の上に、着色層と磁気記録層がこの順に積層された転写用磁気記録媒体において、六方晶フェライト磁性体を用い、磁気記録層の角形比が0.88以上かつ0.99以下、かつSFDが0.01以上、0.20以下であることを特徴とする転写用磁気記録媒体、及び該転写用磁気記録媒体を用いて、転写工程によって製造された磁気カード、通帳等の磁気記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体に関し、特にクレジット・カード、銀行用キャッシュカード等、カード状の磁気記録媒体、及び銀行通帳、郵便預金通帳等の通帳状の磁気記録媒体(磁気ストライプ付き通帳)に関するものである。さらにそのような磁気記録媒体を転写工程を経て製造する際使用する転写用積層体に関するものである。
クレジット・カード、銀行用キャッシュカード等に使用されているプラスチック製磁気カードは、一般に塩化ビニールシート等の熱可塑性プラスチックからなるカード基体上の片面もしくは両面の一部もしくは全体に磁気記録層(磁性層)が形成されている。
一方、銀行通帳、郵便貯金用通帳に使用される使用明細記録用通帳は、一般に紙製の小冊子状の形態を成し、冊子の前表紙または後表紙の片面もしくは両面の一部または全面に磁気記録層が形成されている。
これらの磁気記録層は磁気記録層のみ、あるいは磁気記録層を含む他の層とともに転写用磁気記録媒体を用いた転写工程によって形成することができる。
しかしながら、これらの磁気記録層は、もともと磁性粉の色から由来する黒又は茶系色を呈しており、カード面における文字、図案等の印刷領域を制限し、かつデザインの自由度を制約するため、カード、通帳等の審美性の低下をもたらし、または高意匠性の妨げとなってきた。
このような問題に鑑み、現在までに以下の2つの方法によりカードの審美性の向上、意匠性の向上が計られている。
一つは転写法により磁気記録層を形成する場合、その転写用積層体の転写用基体である仮支持体と磁気記録層との間に、あらかじめ積層体の一部として着色層を積層しておき、転写工程で磁性層と着色層とを同時に転写して、転写後に磁性体の色が着色層に被覆されて表面に出ないようにする転写型カラー磁気テープ方式であり、もう一つは磁気記録層を形成したカード用非磁性基体上全面に着色層、文字、図案等の模様層及び保護層を形成することで、完全に磁気ストライプを隠してしまう隠蔽カード方式である。
一方銀行通帳、郵便貯金用通帳等においては、現在までに通帳の磁気層上に着色層を設ける方法により通帳の審美性の向上、意匠性の向上が計られている。
特にカードに関する後者の隠蔽カード方式の方法は、前者に比べて磁気カードのデザインの自由度がより大きいため、磁気記録層をカードのおもて面側に有するJIS X 6302付属書に規定される「おもて面磁気ストライプ付き識別カード{保磁力:52kA/m(650エルステッド)}」に準拠したカードに多く用いられ、これに関わるカード作成方法等が数多く提案されている。
しかしながらこの隠蔽カード方式による方法では、審美性、意匠性の向上のため、磁気記録層上に着色層、模様層、保護層等の多数の非磁性層が形成されるため、磁気ヘッドと磁気記録層との間隔は従来の保護層1層または転写型カラー磁気テープの場合の着色層一層分の厚さ、0.5〜5μmに比べて大きくなる事が避けられず、磁気記録層上の非磁性層の総膜厚みは通常5〜20μmの範囲となる。
通帳用の磁気記録媒体であっても事情は同様であって、審美性、意匠性の向上のため、磁気記録層上に着色層、模様層、保護層等の多数の非磁性層が形成されるため、磁気ヘッドと磁気記録層との間隔は従来の保護層1層または転写型カラー磁気テープの場合の着色層一層分の厚さ、0.5〜5μmに比べて大きくなる事が避けられず、磁気記録層上の非磁性層の総膜厚みは通常5〜20μmの範囲となる。
磁気記録では、磁気ヘッドと磁気記録層との間隙が広くなると、スペーシングロスのため記録再生出力が低下し、磁気記録媒体としての記録再生特性を保持できなくなる。
そのため、従来は着色層、模様層、保護層等の非磁性層の総厚みが増すのに合わせ磁気記録層の膜厚を厚くして、磁気記録媒体表面に存在する有効磁束密度を大きくし、これにより非磁性層の厚みが増したことによる再生出力の損失分を補って、磁気カード、磁気ストライプ付き通帳等の再生出力を規格に適応させる方法が一般的に行われている。
実際、再生出力は、ヘッドを横切る磁気記録媒体表面の有効磁束数に依存し、さらにこの有効磁束数は、磁気記録層中の磁気記録方向に垂直な面を横切る残留磁束数の大きさに依存する。このため、膜厚が厚くなると残留磁束数も増え、それらの媒体表面への寄与分が増えるため、磁気記録媒体表面の有効磁束数も増加する。従って、磁気記録層中の残留磁束密度の幅方向分布が均一なら、磁気記録媒体単位幅あたりの残留磁束の数(φr、単位:Wb/m)を測定、算出することによって、ヘッドに電圧を誘起する磁気記録媒体表面の有効磁束数の大きさを規定できる。事実、磁性材料の変更や磁気記録層の膜厚の増加などで、このφrを増加させることによって、非磁性層の厚みによって低下した再生出力を補うことを行っている。
しかしながら、磁気カードのもう一つの重要な特性である分解能については、磁気記録層上の非磁性層の膜厚ばかりでなく、磁気記録層自体の膜厚の増加によっても低下する。これは、非磁性層による「スペーシング損失」及び磁気記録層の膜厚増加による「媒体厚み損失」等各種の損失の増加により、特に周波数の高い領域の出力損失が大きくなるため、異なる周波数における出力電圧比で表されるところの分解能が低下するからである。このため非磁性層の厚みに合わせ磁気記録層の膜厚を増加させ磁気記録媒体表面の有効磁束数を増加させる上記の方法では、前述の「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」に規定される特性のうちの分解能が悪化し、70%以上の規格を満たせなくなるという問題を有していた。
通帳用の磁気ストライプには、プラスチック製磁気カードのような公な規格が存在しないものの、磁気カードと同じ記録密度、記録方式、さらには同様な信頼性、耐久性が要求されること等から、実質的にはJIS X 6302「磁気ストライプ付き識別カード」と同じく70%以上の分解能が要求される。このため、通帳用磁気記録ストライプ部分の審美性、意匠性追求した結果、着色層、模様層等の非磁性層の層厚が厚くなるとこの規格を満足できないという問題を有していた。
ここで、分解能とは、20磁束反転/mm{500磁束反転/インチ(500bpiと略記)}の記録密度における再生出力信号の平均せん頭出力電圧と、8磁束反転/mm{200磁束反転/インチ(200bpiと略記)}の記録密度における再生出力信号の平均せん頭出力電圧との比によって定義されるものである。
このように非磁性層の膜厚増加に伴う分解能低下という状況が、磁気カードもしくは通帳類の意匠上の自由度を阻害するため、磁気記録層上の非磁性層が厚くなっても分解能の低下が少ない磁気記録層、又は同一の非磁性層の厚みであっても従来品より高い分解能を有し、意匠上の設計自由度を妨げない磁気記録層が求められていた。
この点、ビデオ用、オーディオ用等、通常の磁気記録媒体の磁気記録層に用いられる磁性材料としては、従来、高性能化を目指して種々の改良がなされており、試みられた磁性粉の種類も多い。しかしながら、このような知見を、隠蔽層等の膜厚の厚い非磁性層を磁気記録層上に有する磁気カード、磁気ストライプ付き通帳のような磁気記録媒体、もしくはそれらの製造に使用する転写用磁気記録媒体について適用し、その特性改良の点から有効性を検証したり、最適設計範囲を確定したりした例はまれである。
例えば、このような問題を解決するために、強磁性金属粉末を磁気記録層に用いることが提案されている(特許文献1参照)。
上記公報に記された方法は、再生出力の向上の点で非常に有力である。しかし、磁気カード製造時には、磁気記録層が150℃程度の高温にさらされるため、上記強磁性金属粉末を用いた媒体では、媒体の酸化変化のため磁気特性が維持しにくいという問題があり、また磁気カード、もしくは磁気ストライプ付き通帳に要求される耐酸性、耐候性が不十分である等の理由からも、上記の強磁性金属粉末を用いる方法よりもさらに安定な方法が求められていた。
特開平3−248325号公報
すなわち本発明の目的とするところは、磁気記録層を完全に隠蔽するような厚い隠蔽層等の非磁性層を採用して、ヘッドと磁気記録層のスペーシングロスを大きくしたとしても、依然として高い再生出力と分解能を保持する磁気記録媒体を提供し、これにより磁気記録層上の非磁性層の膜厚を厚くすることを可能にし、これら磁気記録媒体の設計自由度を高めることで、従来より意匠性が高く、かつ審美性に優れた磁気カードの製造を可能にすることである。
上記の目的は下記の本発明によって達成される。すなわち本発明は非磁性基体上に形成された保持力が47.7〜55.7kA/mの磁気記録層上に、磁気記録層の色相を完全に隠蔽する非磁性層が積層された磁気カードまたは通帳用の磁気記録媒体であって、前記磁気記録層は六方晶フェライト磁性体を含有し、角形比が0.88〜0.99、かつSFDが0.01〜0.20であることを特徴とする磁気カード用の磁気記録媒体を提供する。
さらに本発明は前記磁気記録媒体の製造に用いられる転写用磁気記録媒体として、転写用基体上に形成された非磁性層上に、保持力が47.7〜55.7kA/mの磁気記録層が積層された磁気カードまたは通帳製造用の転写用磁気記録媒体であって、前記非磁性層は転写用基体に近い側から剥離層を兼ねた保護層と着色層とをこの順に有し、さらに前記磁気記録層は六方晶フェライト磁性体を含有し、角形比が0.88〜0.99、かつSFDが0.01〜0.20であることを特徴とする磁気カード製造用の転写用磁気記録媒体を提供する。
上記磁気記録媒体や転写用積層体である磁気記録媒体の角形比は0.88以上であれば1に近ければ近いほど好ましく、上限は1未満とも表記できようが、現実的な実現可能性を考慮すればその上限は0.99以下とするのが妥当であり、またSFDについても0.20以下であれば小さければ小さいほど好ましく、その下限を『0より大きいこと』とも表記できるが、上記同様現実的な数値を考慮すれば0.01以上とするのが妥当である。
本発明の磁気記録媒体においては、六方晶フェライト磁性体を用いることによって、より容易に磁気記録層の角形比とSFDを高性能化でき、しかもそのような磁性粉を用いた結果形成される隠蔽層付きのカード用磁気記録媒体、通帳用磁気記録媒体が、再生出力、分解能の点で特にすぐれており、環境安定性、耐候性もすぐれたものである。
角形比やSFDに関する高特性の出やすい、六方晶フェライト磁性体を磁気記録媒体に用いた例は多いが、それらをさらに本発明のように高特性化し、しかも隠蔽層付きの磁気カード用磁気記録媒体や隠蔽層付きの通帳用磁気記録媒体、及びそれらを製造するのに用いる転写用磁気記録媒体に適用した例はこれまでになかったものである。
また本発明の上記のような磁気カード用磁気記録媒体、通帳用磁気記録媒体は、特に保持力Hcが47.4kA/m以上55.7kA/m以下であることによって、従来の磁気カードや通帳との互換性を保持し、従来のエンコーダ及び端末によって十分機能しうる。
ここでSFDとは、図10に示す通り、B−Hカーブの立ち上がりの傾きを表している。この傾きが急峻であることは、Hcの分布が狭いことを示しており、より急激に磁化反転が起こりやすいと考えられる。
磁気カード用や通帳用の磁気記録媒体への磁気記録は、記録情報を”1”、”0”の2値情報に変換後、FM方式、RZ方式、NRZ方式、NRZ−I方式、PE方式等により符号化された方形波信号を磁気ヘッドに印加することで、カード上に8.27ビット/mm(210bpi)、5.91ビット/mm(150bpi)、4.13ビット/mm(105bpi)、3.94ビット/mm(100bpi)、2.95ビット/mm(75bpi)、または1.97ビット/mm(50bpi)の平均記録密度の記録を行っている。
また再生時には、再生ヘッドによって磁気記録層からの漏れ磁束の変化に応じたパルス電圧をヘッドに巻かれたコイルに発生させる。先に分解能の定義において言及されたせん頭出力電圧とはこのときの最大出力電圧である。
従って、良好な磁気記録のための好ましい記録再生特性としては、再生出力のせん頭出力電圧が高いことが重要であるが、それのみならず、その再生出力の時間分解能が高くパルス間の分離の良い事もまた重要であって、これは前述のJISX6302付属書にも規定されている通りである。せん頭出力電圧については前述の通り、磁気記録媒体表面の有効磁束数の大きさに依存するが、一方再生パルスの立ち上がり、パルス幅にも依存しており、結局は、時間分解能が高いほど再生出力の立ち上がりが早くなり、せん頭出力電圧もより大きくなる。この点からも時間分解能が磁気カード用もしくは通帳用の磁気記録媒体に関して特に重要な特性であることがわかる。
発明者等は、上記の隠蔽層付きの磁気カード用もしくは通帳用の磁気記録媒体の分解能の向上と、隠蔽層の膜厚増加に伴う分解能低下の改良について検討の結果、磁気カード用もしくは通帳用磁気記録媒体の電磁変換特性について以下のことを見いだした。
すなわち、本発明に示したような、SFDが小さく、保持力Hcの分布が狭い磁気記録媒体にあっては、信号記録時における急激な磁化反転が起こりやすいので、再生出力波形の立ち上がりも急峻となり、再生パルス波形同士の分離が良く、高い分解能を示す。磁気カードもしくは通帳上の磁気ストライプへの信号記録は前述のようにパルス記録であり、高分解能特性はこれら磁気記録媒体に非常に重要な特性である。
さらにこのような高分解能の磁気記録媒体に特徴的な再生出力の特性は、磁気記録層上に隠蔽層等の非磁性層が介在するときにあっても、分解能の低い磁気記録媒体に比較して十分にその改良効果が維持され得るものである。
さらに、再生波形出力の大きさに関しても、磁気記録媒体の磁気記録層の角形比が高いほど、SFDの値が小さいほど、その波形が急峻となるため、その尖頭出力電圧が高くなる。このような低SFD、高角形比の特性の磁気記録媒体を用いることで、たとえ磁気記録層上の隠蔽層などの非磁性層の膜厚が厚くなったときでも、同程度の残留磁束密度を持った従来のSFD、角形比の値の磁性媒体に比べると、より大きな再生出力が得られる。このため、分解能低下という欠点のある、磁気記録層の膜厚増加という対処法への依存度が低く、結果的に高い分解能を維持したままで厚い非磁性層に対応することが出来る。
このように角形比及びSFDについて、特許請求の範囲に示した数値範囲を満たす磁気記録媒体は、再生出力と分解能という磁気カードもしくは磁気ストライプ付き通帳に必要とされる特性の両面からその向上をもたらすものである。
すなわち、本発明による磁気記録媒体の磁気記録層は、従来の磁気記録媒体の磁気記録層に比べて、磁気記録媒体そのものが高い分解能を示すものであり、磁気記録層上に形成される非磁性層の膜厚増加に起因する分解能の低下があったとしても、従来の磁気記録層よりも優れた分解能を示す。このため装飾性向上等を目的として、磁気記録層上に施される印刷等の非磁性層の付加、またはそれに類似するその他非磁性層の付加などを行うための設計上の自由度を高める事ができる。このため、従来より意匠性が高く審美性に優れた磁気カードの製造が可能となる。
またさらに、同程度の残留磁束密度を持つ他の媒体に比べ、再生出力自体も向上するため、非磁性層の膜厚増加に起因する出力低下をも同時に補うことができる。
このように本願発明では、磁気記録層上にこれを完全に被覆する着色層、模様層等の非磁性層が形成された磁気カード用磁気記録媒体、もしくは該磁気記録媒体を製造するときに用いる転写用積層体において、磁気記録層の角形比を0.88以上、0.99以下、SFDを0.01以上0.20以下と規定することによって、非磁性層の厚みが10μmとなった時でも、再生出力と分解能をともに高い特性値で実現する磁気記録媒体を提供することができる。このような磁気記録媒体は、厚い隠蔽層で磁気記録層性層を完全に被覆できるため磁気カードとして使用した時に意匠上の自由度が高く利用価値が極めて高い。
本発明において、磁性層と磁気記録層は同等の意味を持つものとして用いる。なお本発明の磁気カード用磁気記録媒体とは、広くはカード状の形状をなした磁気記録媒体、及び該媒体を転写工程を経て作製するのに使用される転写用磁気記録媒体等の媒体を含むものであるが、特に狭義には磁気カードとして使用され、カード状の基体にストライプ状等の磁気記録層を含む積層体を形成した媒体であり、磁気データの入出力を可能とした媒体のことである。
また、本発明の通帳用磁気記録媒体とは、広くは磁気ストライプ付きの通帳として用いられる媒体及び、該媒体を転写工程を経て作製するのに使用される、転写用磁気記録媒体等の媒体を含むものであるが、特に狭義には通帳として使用され、冊子状の非磁性支持体に、ストライプ状等の磁気記録層を含む積層体を形成した磁気ストライプ付きの媒体であり、文字データの入力の他、磁気データの入出力をも可能とした媒体のことである。
また転写用磁気記録媒体とは、転写用の仮支持体上に磁気記録層を含む積層体を形成した媒体であり、転写工程を経て他の基体に積層体を転写させ、磁気カードや磁気ストライプ付き通帳等の磁気記録媒体の製造に用いられる媒体の総称であり、原反、シート、テープ等種々の形状のものが存在する。
以下、本発明の実施例の一つである隠蔽方式の磁気カードもしくは通帳について図1、図2の断面図を参照し、詳細に説明する。さらに次に本発明の、磁気カード、磁気ストライプ付き通帳等の磁気記録媒体、もしくはこれら磁気記録媒体の転写工程を経た製造に用いられる転写用磁気記録媒体の各構成材料について詳細に説明する。
磁気カードの基体1a、1b,2a,2bは、例えばポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、あるいはポリエステル樹脂を主体とし、図の如く4枚(1枚または数枚の場合もある)のシートが熱融着され形成されている。基体の厚みに関しては日本工業規格(JIS X6301)”識別カード”によって定められており最大0.80mm最小0.68mmの範囲である。
また磁気カードの基体のおもて面の全面または一部に情報記録用の磁気記録層3(磁気記録領域)が形成され、更にその外側に着色層4、文字、図案等の模様層5、保護層6が形成されている。また、うら面には、各種印刷手段により、文字、図案等の模様層7が施され、基体2bの透明シートにより、これらの模様層部分が保護されている。更に、必要に応じて、この透明シート上に国際規格(ISO/IEC 7811/2、7811/6)に定められて磁気ストライプ8が形成されている。
模様層7を有するカード基体は、あらかじめ2b上に模様層を塗布、転写等で形成した基体を、他の基体1a,1b,2a等と融着することにより得ることができる。
磁気カードの基体1a,1b,2a,2bには公知のものがいずれも使用できる。例えば、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、木材、紙等が使用できるが、強度があり、繰り返し使用に耐えられるものがより好ましい。
磁気カードの基体は、通常、厚み250μmの白色不透明のコアシート1a,1bの2枚を厚み100μmの透明なオーバーシート2a,2bの各1枚でコアシートの両面をサンドイッチし熱プレスする事により加熱圧着し熱融着され形成されるが、コアシート、オーバーシートの厚みは完成したカードの総厚みが前記の日本工業規格(JIS X6301)”識別カード”の規格内であれば特に限定するものではない。
またオーバーシート2a上に形成される磁気記録層3の形成方法には、一般に2種類の方式がある。
ひとつは基体上に直接に磁気記録層用の磁気塗料を塗布することにより形成する「ダイレクト塗布方式(図3)」であり、もう一つは、転写用基体である仮支持体フィルム9上に剥離層あるいは、剥離層を兼ねた保護層を介してたとえばストライプ状に磁気記録用塗料を塗布し、しかる後に前記の基体上にこのストライプ部分の磁気記録層3を含む層を転写接着させてカード基体上に磁気ストライプを形成する、いわゆる「転写方式(図4)」である。
一方磁気ストライプ付きの通帳については、通帳の基体9は、例えば布クロスを基布とし、表面平滑性の良好な樹脂塗装で、塗布加工した磁気通帳用クロス紙等が使用される。この基体9を冊子の表紙として、前表紙と後表紙の片方もしくは両方の一部または全面に磁気記録層、磁気ストライプ3が形成される。更に、審美性、意匠性の向上の観点から、磁気記録層3を覆い通帳の全面、一部に磁気記録層の色相を隠蔽する着色層4、模様層5、保護層6が形成されている。
次に本発明の通帳用磁気ストライプの各構成材料について詳細に説明する。
通帳の基体9は一般的に前述の磁気通帳用クロス紙の使用が指定されているが、表面は磁気ストライプの貼り付けに適合し、かつ、表面平滑性の良好な樹脂塗装で、塗布加工した磁気通帳用クロス紙等が使用され、特に磁気ストライプ貼り付け面(クロス紙)の表面粗さは、中心線平均表面粗さで20μm以下が望ましい(但し、磁気ストライプの貼り付け強度の面からは15μm以下がより望ましい)通帳の基体9は、例えば布クロスを基布とし、表面平滑性の良好な樹脂塗装で、塗布加工した磁気通帳用クロス紙等が使用される。
磁気記録層の形成方法には、磁気カードの構成に関する説明で前述と同様に「ダイレクト塗布方式(図3)」、「転写方式(図4)」の2種類の方式を用いることが出来る。以下磁気記録層の形成方法について述べる。
カード用磁気記録媒体、通帳用磁気記録媒体の「ダイレクト塗布方式(図3)」、「転写方式(図4)」に用いられる磁気塗料は共通に使用でき、バインダー樹脂としては、一般塗料用樹脂ならこれらを広く使用することが可能である。例えば、ブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体樹脂等が挙げられ、特にスルホン酸金属塩基を含有する塩化ビニル系樹脂は磁性体の分散性が優れる点で特に望ましい。更にこれらの樹脂に、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマー等を添加することもできる。また、イソシアネート化合物を用いて熱硬化することもできる。
また、磁性粉末が上記樹脂中に分散されてなる分散物中に、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル等の助剤類、更にはカーボンブラックその他のフィラー類を添加することもできる。
ここで、本発明に使用される磁性粉は、一般式MO・6Fe23 (MはBa,Sr,Pb,Caから選ばれた少なくとも1つの金属元素)で表わされ、更にはその三価のFeの一部を平均価数が3である金属元素で置換したような、いわゆる六方晶フェライト磁性体である。
更に使用する六方晶フェライトは、BET値が3m2/g以上であり、望ましくは、BET値が4.0m2/g以上10.0m2/g以下であることが望ましい。BETが上記より小さい場合、平板状磁性体の配列に粗密むらが生じやすく、その結果、消去ノイズが大きくなる為、好ましくない。また、BET値が10.0m2/g以上であると磁性粉の分散・配向が難しくなり本発明における要件を満たしにくくなる。また、磁気カードに記録される信号の記録密度は比較的低いことからもこの範囲が適当である。
ここで、比表面積(BET)とは、モノソーブ直読式比表面積測定装置を使用し、試料に対する窒素ガス等の吸・脱着特性を利用したBET一点法の原理で表面積を求めたものである。
上記六方晶フェライトとしては、共沈−焼成法、水熱合成法、ガラス結晶化法等いずれの方法で製造されたものでも利用できる。
本発明に使用される磁気塗料に使用する溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤等を挙げることができ、これらの溶剤は、2種類以上を混合して使用することもできる。
磁気記録層用塗布液は、例えば上記磁性粉末、バインダー樹脂、有機溶剤、及び必要に応じてその他の成分を混練分散機により混練分散することにより得ることができる。塗布液その他添加剤、及び各成分比率、配合方法に関しては、公知の知見を用いることができる。
磁気記録層用塗布液を作製するための混練分散にあたっては、各種の混練分散機を使用することができる。この混練分散機としては、例えば二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、ヘンシェルミキサー、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダー等が挙げられる。
カード用もしくは通帳用の磁気記録媒体は、オーディオテープやビデオテープのような磁気記録媒体と比較して長波長で記録が行われる。従って、その出力は使用する磁性粉の磁化量あるいは磁気記録層の厚さにほぼ比例する。データの安定性の確保、高出力化への対応のため、磁気記録層の膜厚は厚くする必要がある。このため磁気記録層の膜厚は5μmを越えて100μm以下の範囲が好ましく、更に好ましい範囲は5μmを越えて20μm以下である。磁気記録層の厚さが5μm以下になるとカード状磁気記録媒体としては出力不足となるので好ましくなく、一方20μm以上では、再生出力の分解能が低下し好ましくない。
磁気記録層の塗布に於いては、特に制限は無く公知の塗布方式を使用して良く、磁気塗料を所定量塗布後、磁性粉の磁化容易方向が磁気記録層の塗布長手方向になるよう配向処理を行って乾燥を行う。
この磁気記録層の塗布方式としては、特に制限はなく、公知の塗布方式を使用して良く、単層または複数層構成の磁気記録媒体の製造に使用される方法に準じて製造することができ、例えばグラビア方式、リバース方式、エアドクターコーター方式、ブレードコーター方式、エアナイフコーター方式、スクイズコーター方式、含浸コーター方式、トランスファロールコーター方式、キスコーター方式、キャストコーター方式、スプレイコーター方式、ダイ方式等を使用できる。
配向方法は、公知の方式、例えば反発対向永久磁石、ソレノイド型電磁石等を用いることが出来る。磁場強度としては1000〜6000Gの範囲が好ましい。
以上「ダイレクト塗布方式」による磁気記録層の形成方法について記載したが、磁気記録層の形成方法は以上に限定されるわけではなく、形成された磁気記録層の角形比を0.88以上、かつSFDを0.20以下とする方法であれば、上記方法に限らず用いることが可能である。
次に「転写方式(図4)」により磁気記録層を形成する場合に使用する図4に示される転写用積層体の構成材料について説明をする。
転写方式の磁気記録媒体(いわゆる転写用積層体)に用いる事ができる転写用基体としての仮支持体10としては公知のものがいずれも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラスチック等を挙げることができる。中でも抗張力や耐熱性を兼ね備えたポリエチレンテレフタレート等が好ましい。
転写用基体である仮支持体10の厚みには特に制限はないが、通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmである。
また、カード基体上もしくは通帳基体上に転写方式にて磁気記録層を形成する場合、転写用積層体には必要に応じて図5に示すように、磁気記録層3を塗布した後に、カード基体との接着性を向上させる目的で感熱接着剤層12を形成してもよく、また転写用基体10と磁気記録層3の間に剥離層11を設けても良い。同転写用積層体はこれを一定の幅に裁断し、転写用テープとして使用する事もできる。
上記の接着剤層12に使用する感熱接着性を示す樹脂としては、60℃以下では粘着性をもたず、90℃以上で溶融するもので、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体、あるいは、更にビニルアルコール、無水マレイン酸あるいはアクリル酸などを加えた共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂;アクリル樹脂;ポリイミド樹脂;ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
また、接着剤層12に用いることの出来る感熱接着剤層用塗料は、感熱接着性を示す樹脂を、溶剤に対する樹脂の質量%で3〜20%で溶剤に溶解させ、混合撹拌して調整する。
更に転写用積層体の剥離層11は、転写によって他の層と共に転写用基体である仮支持体フィルム10より剥離し、転写された各層の最表層として表面保護の機能をも有する層である。剥離層11を構成する物質としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート及びその共重合体、メラミン樹脂等及びこれらの樹脂の混合物を挙げることができる。
更に、剥離層中には、必要に応じて、皮膜改質剤として大豆レシチン、フタル酸系可塑剤、マイクロシリカ、あるいはワックス等を添加することもできる。
剥離層11は、例えば上記構成物質を溶剤に溶解・分散してなる塗料を公知の方法で、転写用基体である仮支持体10上に塗布することにより形成される。
このように形成された転写用積層体(転写用磁気記録媒体)を用いて、転写工程を経て、磁気カード、もしくは磁気ストライプ付き通帳を作成するには、転写用磁気記録媒体の原反を、所定の幅に裁断し作成した転写用磁気テープを用いることができる。転写用磁気テープの感熱接着層12表面を磁気カード形成に用いる基体2aもしくは通帳用の基体の表面に接触させ、転写用磁気テープの仮支持体フィルム10側から、接着層が90℃以上となるように加圧、加熱せしめ両者を接着させる。その後、転写用磁気テープの仮支持体フィルム10を剥離層11との界面より剥離して、磁気カード用基体の上に、剥離層11を最上層とした磁気記録層を転写させる。
特に磁気カードの場合には、上記のダイレクト塗布方式、または、転写方式により磁気記録層をカード基体2a基体上の一部または全面に形成した後に、平圧プレス機等を使ってそれ以外のカード構成材料であるカード用基体1a、及びうら面模様層7を施した基体1b、更にうら面磁気ストライプ8を形成した基体2bと共に熱融着を行い、着色層、模様層、保護層形成前のカード基体を得る。
以上の熱融着工程でカード表面は平坦になるが、このように、磁気記録層3がカード基体2aの一部に形成されている場合において、カード基体表面と磁気ストライプ表面とを面一にすることは、その後の着色層4、文字、図案等の模様層5、保護層6等を形成し、完成したカードにおける磁気ストライプの隠蔽性(外観上磁気ストライプを見えなくする)を向上させる点でより好ましい。
次に本発明の磁気記録層を設けたカード基体上もしくは通帳基体上に設ける着色層4及び模様層5は、磁気記録層3の色を隠蔽するために、また、カードもしくは通帳自体の装飾性を向上させる為に塗布される。このため、隠蔽性の重要な着色層3に関しては単層とは限らず、多層となる場合もある。着色層に用いる顔料は、無機顔料としては、アルミナ、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜鉛、硫酸バリウムなど、有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、インダンスレン系顔料など多々あるが特に限定されるものではない。
これら着色層4、模様層5を形成するには、顔料をバインダー樹脂中に単独もしくは2種以上混合し、公知の方法で分散させて、着色用塗布液を作成し、公知の方法で塗布する。
着色層4、模様層5は、例えば顔料、樹脂バインダー及び樹脂バインダーを溶解する溶剤を含有する印刷インキを、前述のカード基体上もしくは通帳基体上に塗布、印刷することにより形成できる。
樹脂バインダー、溶剤としては磁気記録層の箇所で述べた前述のものを用いることができる。
着色層4、模様層5の形成にはグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を用いることが出来る。模様層、着色層の膜厚は、薄すぎると磁気記録層の磁気色を隠蔽することができず、厚すぎるとスペーシングロスのため再生出力が低下する。このため、通常0.5〜20μmの範囲で用いられる。
更に磁気記録層の磁気色をより効果的に隠蔽する方法として、磁気記録層3と着色層4、模様層5の間に金属蒸着膜を設けることができ、アルミニウム、錫、金、銀、白金、等の金属蒸着膜を使用することが出来る。この方法を用いれば、着色用塗料の塗布による塗膜形成に比べて、より薄い膜厚で磁気色の隠蔽が可能となり、出力、分解能などの特性の劣化を防ぐことが可能である。金属蒸着膜として用いられる膜厚の範囲は、通常、0.05〜0.1μmである。
更に以上の磁気カード基体2aもしくは通帳用基体上に磁気記録層3、着色層4及び模様層5を順に設けた上に、形成された各層の最表層として表面保護の機能をも有する層である保護層6を設けることができる。
保護層6を構成する物質としては、耐久性に富みかつプレス適性を有する材料が好ましく、前記の剥離層で使用した物質が使用でき、例えば、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート及びその共重合体、メラミン樹脂等及びこれらの樹脂の混合物を挙げることができる。
更に、保護層6中には、必要に応じて、皮膜改質剤として大豆レシチン、フタル酸系可塑剤、マイクロシリカ、あるいはワックス等を添加することもできる。
保護層6は、例えば上記構成物質を溶剤に溶解・分散してなる塗料を公知の方法で前述の磁気記録層3、着色層4及び/もしくは模様層5を施したカード基体上2aもしくは通帳基体上に塗布することにより形成される。
また、特に磁気カードの場合には上記の保護層6を形成した後に平圧プレス機等を使って熱プレスを行い印刷時に生じた磁気カード表面の凹凸を平坦化することは、磁気カード基体上に形成された磁気記録層3、着色層4、模様層5の保護層6による保護効果を向上させる点でより好ましい。
以上の着色層4、模様層5、保護層6は、上記の塗布方法により順次形成する他に、一旦、転写用基体10上に剥離層11、模様層13、着色層14の順に塗布形成し更に感熱接着層12を塗布する事で図6に示される転写用隠蔽層積層体を作成し、磁気記録層までを形成したカード基体もしくは通帳用基体にこの転写用積層体の接着剤12をカード基体もしくは通帳用基体に接するように重ね、平圧プレス機等を使って加圧、加熱せしめ両者を接着させ、その後、転写用隠蔽層積層体の仮支持体フィルム10を剥離層11との界面より剥離して、磁気カード用基体もしくは通帳用基体の上に、剥離層11を最上層とした隠蔽層を転写させる方法も可能である。
以上述べてきた隠蔽層付き磁気カードもしくは磁気ストライプ付き通帳の作成方法は、塗布もしくは転写によってカード基体上に形成した磁気記録層上に、着色層と保護層、もしくは模様層と着色層と保護層を、塗布または転写によってカード全面もしくは通帳全面に形成して、磁気カードもしくは磁気ストライプ付き通帳を作成するものである。
しかしながら下記に示すように、磁気記録層と磁気記録層以外の模様層、着色層、保護層等の層とを全て転写用基体である仮支持体フィルム上に作成した後、必要に応じて接着層を付与して、それらをストライプ状に裁断し、カード用基体もしくは通帳用基体上に一度に転写することによって着色層、模様層付き磁性層ストライプを持つ磁気カード用記録媒体を形成することも出来る。
すなわちこの方法では、前記図6に示すような隠蔽層用転写積層体の接着剤12の形成前までを同様の方法で仮支持体フィルム10上に形成し、その後さらに磁気記録層3、接着剤12を順に形成し作成した図7に示すような転写用積層体を、前述、隠蔽カード方式のようにそのままカード全面に転写させるのではなく、テープ状に裁断し、カード基体もしくは通帳用基体に接着剤層12をカード基体に接するように重ねて、プレス機で加圧、加熱接着して後、仮支持体フィルム10を剥離層11との界面より剥離して、磁気カードもしくは通帳、の上に剥離層11を最上層とした層構成をテープ状に転写させる。
この場合転写後に磁気記録層を隠蔽する必要がない。さらにこの模様層付き磁性層を持つ転写テープを使い、以下のような工程を経て図8の磁気カード、または図9磁気ストライプ付き通帳を形成することができる。
すなわち、磁気カードの場合は図8に示すように、まずオーバーシート2a上にこの転写用積層体の転写層によるストライプを一部に形成した後に、2aを1a、1b、2bとともに平圧プレス機等を使って熱融着する。1aはそれ以外のカード構成材料である模様層5を施したカード用基体1aであってよいし、1bはうら面模様層7を施した基体1bであってよい、さらに2bはうら面磁気ストライプ8を形成した基体2bであってよい。これら手法を用いることによって複雑な模様を持つ、意匠性に優れた磁気カードを成形することができる。
通帳の場合は図9に示すように、基体9にこの転写用積層体の転写層によるストライプを形成する。この転写層の磁性層はすでに隠蔽されているので、着色層を基体9の上に積層することなく、直接に基体9上の磁気ストライプ以外の部分に模様層5を形成することができる。
それゆえ、図8または図9に示される着色または絵柄を有する転写用積層体においては、磁気記録層3をカード基体上2a、または通帳用基体9に形成後、隠蔽層を形成する必要がなく、前述の隠蔽カード、通帳方式に比べて意匠性、審美性の点で劣るものの、簡便な方法で磁気ストライプの磁気層色を任意の色、模様により隠蔽することが可能である。
本発明の主旨は、「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」{保磁力:52.0kA/m(650エルステッド)}の磁気記録層に六方晶フェライト系磁性粉をもちいて、その角形比が0.88以上、0.99以下、かつSFDが0.01以上、0.20以下、より望ましくは角形比が0.90以上、0.99以下、かつSFDが0.01以上、0.15以下を達成する事で、磁気カードにおける表面と磁気記録層との間の着色層、模様層層、保護層等の総厚みが厚い場合に、従来の磁気記録層を使用したときよりも高い分解能をもたらすものであり、これにより磁気カード、通帳における意匠の自由度を広げるものである。
それゆえ、実施形態は上記の「隠蔽型磁気カードもしくは通帳」、「着色層または模様層を有する磁気カード、通帳製造用転写用積層体」に限ったものではなく、磁気カード、通帳の磁気記録層上に介在するいかなる機能層を有する磁気記録媒体に対しても、本発明が有効であることは言うまでもない。
以下に実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない、尚、以下「部」は質量部を表すものとする。以下、磁気特性の異なる磁性粉を用いて、磁性層膜厚、非磁性層膜厚を変化させながら各種の転写用磁気記録媒体サンプルを作製し、転写工程を経て測定用の磁気記録媒体を作製し、磁気特性、電磁変換特性を測定した。
(I)非磁性層の総膜厚が10μm、磁気記録層の残留磁束密度が1.45〜1.55(μWb/m)のとき
(実施例1)転写用基体である仮支持体フィルムとして、厚み24μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、このフィルムの片面上に下記a、b、cの各組成物を用い、剥離層を乾燥後膜厚1μm、磁気記録層を乾燥後の膜厚が残留磁束φrが1.45〜1.55(μWb/m)となるように、また接着剤層を乾燥後膜厚1.5μmとなるように順次形成した後、所定幅に裁断して転写用磁気テープを作製した。
(a:剥離層用組成物)
ポリビニルブチラール樹脂 10部
(積水化学社製、『エスレックBM−1』)
MEK 35部
トルエン 35部
エチルアルコール 20部
(b:磁気記録層用組成物)
磁性粉A 40部
{バリウムフェライト系、保磁力 53.5(kA/m)}
塩化ビニル系樹脂 4部
(日本ゼオン社製、『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 4部
(大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
MEK 20部
トルエン 20部
シクロヘキサノン 8部
(c:接着剤層用組成物)
ポリウレタン樹脂 1.5部
(大日本インキ化学工業社製、『TS−03』)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 3.5部
(電気化学社製、『1000LT3』)
MEK 45部
トルエン 50部
上記の転写用磁気テープをカード基体の一部となる厚み100μmのオーバーシートの所定の位置にヒートシール機を用い熱融着させその後に仮支持体フィルムを剥離させて磁気ストライプ付きのオーバーシートを得た。
この磁気記録層を形成したオーバーシートをこれに接して厚み280μmコアシートを2枚重ね更に反対面に100μmのオーバーシートを1枚を重ねて、平圧プレスを用いて温度150℃、圧力25kg/cm2 、時間15分、熱プレスを行い、その後、圧力を保持したまま30分程度の時間をかけて常温まで冷却する事により、磁気ストライプの表面とカード用基体面が同一面となったカード基体を得た。
このカード基体上に磁気ストライプを隠蔽する目的で、下記dの着色層1用組成物をグラビア印刷機により、乾燥後の厚みが4μmになるように塗布を行い、着色層1を形成した。
(d:着色層1用組成物)
アルミニウム粉末 20部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 10部
(ユニオンカーバイド社製、『VAGH』)
MEK 35部
トルエン 25部
酢酸エチル 10部
その上にカードデザインの白色の下地を作るため、下記eの着色層2用組成物をグラビア印刷機により、乾燥後の厚みが4μmになるように塗布を行い、着色層2を形成した。
(e:着色層2用組成物)
酸化チタン 20部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 10部
(ユニオンカーバイド社製、『VAGH』)
MEK 35部
トルエン 25部
酢酸エチル 10部
上記の磁気記録層、着色層を保護する目的で、下記fの保護層用組成物をグラビア印刷機により、乾燥後の厚みが2μmになるように塗布を行った。
(f:保護層用組成物)
アクリル樹脂 16部
(大日本インキ化学工業社製『KU−273』)
タルク顔料 8部
(松村産業社製『#5000 PJ』)
イソシアネート系硬化剤
(大日本インキ化学工業社製『D−750』)
MEK 37部
トルエン 37部
以上のカード基体を平圧プレスを用いて温度110℃、圧力25kg/cm2、時間15分、熱プレスを行い、その後、圧力を保持したまま30分程度の時間をかけて常温まで冷却する事により、磁気カード表面の平滑性を高めた。その後、所望のサイズに打ち抜き加工することで磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの本発明の磁気カードを作成した。
(実施例2)実施例1において、転写用磁気テープの磁気記録層用を下記gの組成物を用い、磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.45〜1.55(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(g:磁気記録層用組成物)
磁性粉B 40部
{バリウムフェライト系、保磁力 52.5(kA/m)}
塩化ビニル系樹脂 4部
(日本ゼオン社製、『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 4部
(大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
MEK 20部
トルエン 20部
シクロヘキサノン 8部
(実施例3)実施例1において、転写用磁気テープの磁気記録層用を下記hの組成物を用い、磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.45〜1.55(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(h:磁気記録層用組成物)
磁性粉C 40部
{バリウムフェライト系、保磁力 53.0(kA/m)}
塩化ビニル系樹脂 4部
(日本ゼオン社製、『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 4部
(大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
MEK 20部
トルエン 20部
シクロヘキサノン 8部
(比較例1)実施例1において、転写用磁気テープの磁気記録層用を下記iの組成物を用い、磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.45〜1.55(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(i:磁気記録層用組成物)
磁性粉D 40部
{バリウムフェライト系、保磁力 53.0(kA/m)}
塩化ビニル系樹脂 4部
(日本ゼオン社製、『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 4部
(大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
MEK 20部
トルエン 20部
シクロヘキサノン 8部
(比較例2)実施例1において、転写用磁気テープの磁気記録層用を下記jの組成物を用い、磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.45〜1.55(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(j:磁気記録層用組成物)
磁性粉E 40部
{戸田工業製、『CTX−970』、コバルト被着γ酸化鉄、保磁力 53.0(kA/m)}
塩化ビニル系樹脂 4部
(日本ゼオン社製、『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 4部
(大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
MEK 20部
トルエン 20部
シクロヘキサノン 8部
(II)非磁性層の総膜厚が10μm、磁気記録層の残留磁束密度が1.55〜1.65(μWb/m)のとき
(実施例4)実施例1において、転写用磁気テープの磁気記録層の残留磁束密度がφr1.55〜1.65(μWb/m)となるような膜厚に塗布を行い、それ以外は実施例1と同様にして転写用磁気テープを作成し、その後に実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの本発明の磁気カードを作成した。
(実施例5)実施例2において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.55〜1.65(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例2と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(参考例1)実施例3において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.55〜1.65(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例3と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(比較例3)比較例1において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.55〜1.65(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は比較例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(比較例4)比較例2において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.55〜1.65(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は比較例2と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(III)非磁性層の総膜厚が10μm、磁気記録層の残留磁束密度が1.70〜1.80(μWb/m)のとき
(実施例6)実施例1において、転写用磁気テープの磁気記録層の残留磁束密度φrが1.70〜1.80(μWb/m)となるような膜厚に塗布を行い、それ以外は実施例1と同様にして転写用磁気テープを作成し、その後に実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの本発明の磁気カードを作成した。
(参考例2)実施例2において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.70〜1.80(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例2と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(参考例3)実施例3において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.70〜1.80(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は実施例3と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(比較例5)比較例1において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.70〜1.80(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は比較例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(比較例6)比較例2において、転写用磁気テープの磁気記録層乾燥後の残留磁束密度φrが1.70〜1.80(μWb/m)となるような膜厚に磁気記録層を形成し、それ以外は比較例2と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが10μmの磁気カードを作成した。
(IV)非磁性層の総膜厚が6μm、磁気記録層の残留磁束密度が1.45〜1.55(μWb/m)のとき
(実施例7)実施例1において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの本発明の磁気カードを作成した。
(実施例8)実施例2において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例2と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(実施例9)実施例3において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例3と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(比較例7)比較例1において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は比較例1と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(比較例8)比較例2において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は比較例2と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(V)非磁性層の総膜厚が6μm、磁気記録層の残留磁束密度が1.55〜1.65(μWb/m)のとき
(実施例10)実施例4において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例4と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの本発明の磁気カードを作成した。
(実施例11)実施例5において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例5と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(実施例12)参考例1において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例6と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(比較例9)比較例3において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は比較例3と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(比較例10)比較例4において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は比較例4と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(VI)非磁性層の総膜厚が6μm、磁気記録層の残留磁束密度が1.70〜1.80(μWb/m)のとき
(実施例13)実施例6において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例7同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの本発明の磁気カードを作成した。
(実施例14)参考例2において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例8と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(実施例15)参考例3において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は実施例9と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(比較例11)比較例5において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は比較例3と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(比較例12)比較例6において、着色層2の形成は行わずに、保護層を形成し、それ以外は比較例9と同様にして磁気記録層上の非磁性層の厚みが6μmの磁気カードを作成した。
(試験項目及び結果)実施例1〜15、比較例1〜12、参考例1〜3により得られた隠蔽型磁気カードについて、記録再生特性の「再生出力」、「分解能」及び磁気静特性の「保磁力Hc」、「角形比」、「SFD」を以下の方法により求めた。
磁気カードの記録再生特性は、ミナトエレクトロニクス社製model6900磁気カード・アナライザーを使用し、測定を行った。
平均再生出力(8磁束反転/mm(200bpi))については以下の条件にて、記録再生を行い、基準再生テープの再生出力との比でその大きさを表した。
記録条件 Function : Write
Card type : JIS-2
Format : no format
Write data : 0000,0000
Function : normal
Write current : 100.0 mA
Write density : 200 bpi
再生条件 Function : Analysis
Card type : JIS-2
Format : no format
Standard mode(H): 477 us
Standard mode(L): 150 us
Edge cut mode : Pulse count 5
分解能は、以下の条件にて、平均再生出力{20磁束反転/mm(500bpi)}を求め、上記測定の平均再生出力{8磁束反転/mm(200bpi)}で除し、(%)で結果を算出した。
記録条件 Function : Write
Card type : JIS-2
Format : no format
Write data : 1111,1111
Function : normal
Write current : 100.0 mA
Write density : 250 bpi
再生条件 Function : Analysis
Card type : JIS-2
Format : no format
Standard mode(H): 477 us
Standard mode(L): 150 us
Edge cut mode : Pulse count 15
磁気カードの磁気静特性は、理研電子製VSMを使用し、最大印加磁場200kA/m(2513エルステッド)の条件にて磁気カード磁気記録媒体の配向長手方向の測定を行い「保磁力Hc」、「角形比(Br/Bm)」、「SFD」を求めた。
また、SFDは、第10図図に示すように、測定したヒステレシスループ上において、第2象限上1/2MrにあたるH1と第3象限上の1/2(−Mr)にあたるH2、及びHcから以下の式により求められる。
SFD={|H2|−|H1|}/Hc
以下に非磁性層の総膜厚と磁気記録層の残留磁束密度ごとに整理した測定結果を示す。
(表1)非磁性層の総膜厚が10μmで、磁気記録層の残留磁束密度が1.40〜1.55(μWb/m)のとき
Figure 2005190652
(表2)非磁性層の総膜厚が10μmで、磁気記録層の残留磁束密度が1.55〜1.65(μWb/m)のとき
Figure 2005190652
(表3)非磁性層の総膜厚が10μmで、磁気記録層の残留磁束密度が1.70〜1.80(μWb/m)のとき
Figure 2005190652
(表4)非磁性層の総膜厚が6μmで、磁気記録層の残留磁束密度が1.40〜1.55(μWb/m)のとき
Figure 2005190652
(表5)非磁性層の総膜厚が6μmで、磁気記録層の残留磁束密度が1.55〜1.65(μWb/m)のとき
Figure 2005190652
(表6)非磁性層の総膜厚が6μmで、磁気記録層の残留磁束密度が1.70〜1.80
(μWb/m)のとき
Figure 2005190652
「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」の規定では、平均再生出力(200bpi)が80%以上130%以下、かつ分解能が70%以上である事が要求されている。
磁気記録層の各残留磁束密度毎にまとめた表1〜表6から明らかなように、磁気記録層の膜厚を増加させて残留磁束密度を増加させると、平均再生出力と分解能がトレードオフの関係となる。このため、非磁性層の総厚が厚くなると参考例1〜3のように「おもて面磁気ストライプ付き識別カード」の規定を満たさない場合がある。しかしこの場合も、磁気記録層が本願発明の規定を満たしてさえいれば、磁気記録層の膜厚を調整して残留磁束密度を変化させることにより上記識別カードの規定を満たすことができる。
着色層、模様層、保護層等の非磁性層を合計した厚みが従来より厚い10μmの場合、表1、表2、表3の実施例、比較例、参考例の結果及び図11に示されるように、比較例においては膜厚の変更によってφrを調整しても、上記規定の要求品質を満たすことが出来ない。これに対して実施例においてはφrを調整することによって、要求品質を満たす領域を設定することが可能であることが示されている。
さらに非磁性層を合計した総厚みが6μmの場合も、磁気記録層が各残留磁束密度を有する場合、平均再生出力と分解能の双方において、角形比、SFDが本発明の規定を満たす実施例が比較例を上回っているのがわかる。
以上のことから、本発明により、磁気記録層上に形成される着色層、模様層、保護層等の非磁性層の膜厚を厚くすることが可能となり、これら非磁性層の設計の自由度が大きくなることで、意匠性が高く、かつ審美性に優れたプラスチック製磁気カードの製造が可能になる。
隠蔽方式により作成した磁気カードの断面構造図。 隠蔽方式により作成した通帳の断面構造図。 オーバーシート上にダイレクト塗布方式により磁気記録層を形成した磁気カードの中間積層体の断面構造図。 オーバーシート上に転写方式により磁気記録層を形成した磁気カードの中間積層体の断面構造図。 仮支持体フィルム上に剥離層、磁気記録層、接着剤を塗布し、作成した転写型磁気テープの断面構造図。 仮支持体フィルム上に剥離層、文字・図案の模様層、着色層、接着剤を塗布し、作成した隠蔽層用の転写用積層体の断面構造図。 仮支持体フィルム上に剥離層、文字・図案の模様層、着色層、磁気記録層、接着剤を塗布し、作成した転写型磁気テープの断面構造図。 着色または絵柄を有する転写用磁気積層体を用いて作製された磁気カードの断面構造図。 磁気記録層を有する転写積層体を使用し転写方式にて、通帳用基体上に磁気ストライプを形成した場合の通帳磁気ストライプ部分の断面構造図。 ヒステリシスループからのSFD算出方法。 非磁性層厚み10μmにおける実施例、比較例の平均出力/分解能の関係。
符号の説明
1a カード基体用コアシート
1b カード基体用コアシート
2a カード基体用オーバーシート
2b カード基体用オーバーシート
3 磁気記録層
4 着色層
5 模様層
6 保護層
7 模様層
8 磁気記録層
9 通帳用基体
10 仮支持体フィルム
11 剥離層
12 接着剤
13 模様層
14 着色層

Claims (6)

  1. 非磁性基体上に形成された保持力が47.7〜55.7kA/mの磁気記録層上に、磁気記録層の色相を完全に隠蔽する非磁性層が積層された磁気カードまたは通帳用の磁気記録媒体であって、前記磁気記録層は六方晶フェライト磁性体を含有し、角形比が0.88〜0.99、かつSFDが0.01〜0.20であることを特徴とする磁気カード用磁気記録媒体。
  2. 非磁性基体と磁気記録層との間に接着剤層を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気カード用磁気記録媒体。
  3. 非磁性基体上に積層された磁気記録層を含む層が転写工程によって形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気カード用磁気記録媒体。
  4. 転写用基体上に形成された非磁性層上に、保持力が47.7〜55.7kA/mの磁気記録層が積層された磁気カードまたは通帳製造用の転写用磁気記録媒体であって、前記非磁性層は転写用基体に近い側から剥離層を兼ねた保護層と着色層とをこの順に有し、さらに前記磁気記録層は六方晶フェライト磁性体を含有し、角形比が0.88〜0.99、かつSFDが0.01〜0.20であることを特徴とする磁気カード製造用の転写用磁気記録媒体。
  5. 磁気記録層の上に接着剤層を有する請求項4に記載の磁気カード製造用の転写用磁気記録媒体。
  6. 前記非磁性層は前記剥離層を兼ねた保護層と前記着色層との間に模様層をさらに有することを特徴とする請求項4または5に記載の磁気カード製造用の転写用磁気記録媒体。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014213469A (ja) * 2013-04-23 2014-11-17 凸版印刷株式会社 転写媒体及び転写体
JP2017021883A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 ダイニック株式会社 磁気記録用積層体及びそれを用いた磁気記録媒体
JP2021529526A (ja) * 2018-06-29 2021-11-04 深▲ゼン▼御煙実業有限公司Shenzhen Yuyan Industrial Limited エアロゾル発生製品、装置およびシステム

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