JP2005190873A - 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の温度が異常に上昇した際に、電池内に残存する非プロトン性有機溶媒及び気化する等して電池外に漏洩する非プロトン性有機溶媒の発火・引火の危険性を低減した電池用非水電解液を提供する。
【解決手段】少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒と支持塩とを含む電池用非水電解液において、更に、それぞれの前記非プロトン性有機溶媒に対して、該非プロトン性有機溶媒との沸点の差が25℃以下で且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物をそれぞれ含有することを特徴とする電池用非水電解液である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池に関し、特に非常時の発火の危険性が大幅に低減された電池用非水電解液に関するものである。
近年、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源として、又は小型電子機器の電源として、軽量且つ長寿命で、高エネルギー密度の電池が求められている。これに対し、リチウムを負極活物質とする非水電解液電池は、リチウムの電極電位が金属中で最も低く、単位体積当りの電気容量が大きいために、エネルギー密度の高い電池の一つとして知られており、1次電池・2次電池を問わず多くの種類のものが活発に研究され、一部が実用化し市場に供給されている。例えば、非水電解液1次電池は、カメラ、電子ウォッチ及び各種メモリーバックアップ用電源として用いられている。また、非水電解液2次電池は、ノート型パソコン及び携帯電話等の駆動電源として用いられており、更には、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源として用いることが検討されている。
これらの非水電解液電池においては、負極活物質のリチウムが水及びアルコール等の活性プロトンを有する化合物と激しく反応するため、該電池に使用される電解液は、エステル化合物及びエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒に限られている。
しかしながら、上記非プロトン性有機溶媒は、負極活物質のリチウムとの反応性が低いものの、例えば、電池の短絡時等に大電流が急激に流れ、電池が異常に発熱した際に、気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱により電池の破裂・発火を引き起こしたり、短絡時に生じる火花が引火する等の危険性が高い。
これに対して、電池用非水電解液にホスファゼン化合物を添加して、非水電解液に不燃性、難燃性又は自己消火性を付与して、短絡等の非常時に電池が発火・引火する危険性を大幅に低減した非水電解液電池が開発されている(特許文献1参照)。
特開平6−13108号公報
上記ホスファゼン化合物が添加された電池用非水電解液は、発火・引火の危険性が大幅に低減されているものの、短絡等の非常時に電池の温度が上昇する際に、ホスファゼン化合物が非プロトン性有機溶媒よりも先に気化した場合、残存する非プロトン性有機溶媒が単独で気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱により電池の破裂・発火が起こったり、短絡時に生じた火花が非プロトン性有機溶媒に引火する等の危険性を排除することができなくなる。また、非プロトン性有機溶媒がホスファゼン化合物よりも先に気化した場合、気化した非プロトン性有機溶媒が電池外に漏洩して、引火する危険性がある。
そこで、本発明の目的は、電池の温度が異常に上昇した際に、電池内に残存する非プロトン性有機溶媒及び気化する等して電池外に漏洩する非プロトン性有機溶媒の発火・引火の危険性を低減した電池用非水電解液を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる非水電解液を備え、温度が異常に上昇しても、電池内及び電池外における発火等の危険性が低減された非水電解液電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒を含む電池用非水電解液において、更に、それぞれの非プロトン性有機溶媒に対応して、沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物をそれぞれ添加することで、電池内に残存する非プロトン性有機溶媒及び気化する等して電池外に漏洩する非プロトン性有機溶媒の発火・引火の危険性を大幅に低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電池用非水電解液は、少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒と支持塩とを含む電池用非水電解液において、更に、それぞれの前記非プロトン性有機溶媒に対して、該非プロトン性有機溶媒との沸点の差が25℃以下で且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物をそれぞれ含有することを特徴とする。
本発明の電池用非水電解液の好適例においては、前記分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物がリン−窒素間二重結合を有する。ここで、分子中にリン及び/又は窒素を有し、リン−窒素間二重結合を有する化合物としては、ホスファゼン化合物が特に好ましい。
本発明の電池用非水電解液の他の好適例においては、前記非プロトン性有機溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルフォルメートからなる群から選択される少なくとも一種である。該非水電解液は、非水電解液2次電池の電解液として特に好適である。
本発明の電池用非水電解液の他の好適例においては、前記非プロトン性有機溶媒が、プロピレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン及びγ-ブチロラクトンからなる群から選択される少なくとも一種である。該非水電解液は、非水電解液1次電池の電解液として特に好適である。
また、本発明の非水電解液電池は、上述の非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒を含む電池用非水電解液に、更に、それぞれの非プロトン性有機溶媒に対応して、沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物をそれぞれ添加することで、電池内に残存する又は電池外に漏洩する非プロトン性有機溶媒の発火・引火の危険性を大幅に低減した電池用非水電解液を提供することができる。また、かかる非水電解液を備え、温度が異常に上昇しても、電池内及び電池外における発火等の危険性が大幅に低減された非水電解液電池を提供することができる。
<電池用非水電解液>
以下に、本発明の電池用非水電解液を詳細に説明する。本発明の電池用非水電解液は、少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒と支持塩とを含み、更に、非プロトン性有機溶媒のそれぞれと沸点の差が25℃以下で且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物をそれぞれ含有することを特徴とする。
本発明の電池用非水電解液において、分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物は、窒素ガス及び/又はリン酸エステル等を発生し、非水電解液を不燃性、難燃性又は自己消火性にして、電池の発火等の危険性を低減する作用を有する。しかしながら、非プロトン性有機溶媒を含む非水電解液が、該非プロトン性有機溶媒と沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まない場合、気相及び液相のいずれかにおいて非プロトン性有機溶媒とリン及び/又は窒素含有化合物とが共存しない温度範囲が広いため、電池の温度が異常に上昇した際に、気化した非プロトン性有機溶媒又は電池内に残存した非プロトン性有機溶媒の発火・引火の危険性を低減することができない。これに対し、本発明の電池用非水電解液は、非プロトン性有機溶媒と共に、該非プロトン性有機溶媒と沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含み、電池の温度が異常に上昇した際に、非プロトン性有機溶媒とリン及び/又は窒素含有化合物が近い温度で気化するため、非プロトン性有機溶媒が液体として存在する場合及び気体として存在する場合のいずれにおいても、非プロトン性有機溶媒とリン及び/又は窒素含有化合物が共存し、その結果、非水電解液の発火・引火の危険性が大幅に低減されている。
また、例えば、本発明の電池用非水電解液が、低沸点の非プロトン性有機溶媒と高沸点の非プロトン性有機溶媒とを含む場合、低沸点の非プロトン性有機溶媒が気化する温度の近傍で、それに対応するリン及び/又は窒素含有化合物が気化するため、気化した非プロトン性有機溶媒の発火・引火の危険性を低減することができる。また、低沸点の非プロトン性有機溶媒と該低沸点の非プロトン性有機溶媒と沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物が気化した後も、高沸点の非プロトン性有機溶媒と共に該高沸点の非プロトン性有機溶媒と沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物が電解液中に存在するため、残存する非水電解液の発火・引火の危険性を低減することもできる。
本発明の電池用非水電解液は、少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒を含有する。該非プロトン性有機溶媒は、負極と反応することなく、更には非水電解液の粘度を低く抑えことができる。該非プロトン性有機溶媒として、具体的には、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフェニルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、メチルフォルメート(MF)等のエステル類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が好適に挙げられる。これらの中でも、1次電池の非水電解液用の非プロトン性有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン及びγ-ブチロラクトンが好ましく、一方、2次電池の非水電解液用の非プロトン性有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルフォルメートが好ましい。なお、環状のエステル類は、比誘電率が高く支持塩の溶解性に優れる点で好適であり、一方、鎖状のエステル類及び鎖状のエーテル類は、低粘度であるため、電解液の低粘度化の点で好適である。これら非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の電池用非水電解液は、支持塩を含有する。該支持塩としては、リチウムイオンのイオン源となる支持塩が好ましい。該支持塩としては、特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC49SO3、Li(CF3SO2)2N及びLi(C25SO2)2N等のリチウム塩が好適に挙げられる。これら支持塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の電池用非水電解液中の支持塩の濃度としては、0.2〜1.5mol/L(M)が好ましく、0.5〜1mol/L(M)が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L(M)未満では、電解液の導電性を充分に確保することができず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがあり、1.5mol/L(M)を超えると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオンの移動度を充分に確保できないため、前述と同様に電解液の導電性を充分に確保できず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがある。
本発明の電池用非水電解液は、電解液に含まれる非プロトン性有機溶媒と沸点の差が25℃以下で且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物を含む。非水電解液に含まれる非プロトン性有機溶媒とリン及び/又は窒素含有化合物の沸点の差が25℃を超えると、非プロトン性有機溶媒が先に気化して、気体の非プロトン性有機溶媒が発火したり、リン及び/又は窒素含有化合物が先に気化して、残存する液体の非プロトン性有機溶媒が発火したりする危険性が高い。ここで、非プロトン性有機溶媒の発火の危険性を更に低減する観点から、非プロトン性有機溶媒と分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物との沸点の差が20℃以下であるのが好ましい。なお、本発明の電池用非水電解液は、少なくとも非プロトン性有機溶媒の夫々と沸点の差が25℃以下のリン及び/又は窒素含有化合物を夫々含めばよく、その他、沸点の差が25℃を超えるリン及び/又は窒素含有化合物を更に含んでもよい。
上記分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物としては、リン酸エステル化合物、ポリリン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等の分子中にリンを有する化合物;トリアジン化合物、グアニジン化合物、ピロリジン化合物等の分子中に窒素を有する化合物;並びに、ホスファゼン化合物、ホスファゼン化合物の異性体、ホスファザン化合物、及び上記分子中にリンを有する化合物として例示した化合物と分子中に窒素を有する化合物として例示した化合物との複合化合物等の分子中にリン及び窒素を有する化合物が挙げられる。なお、分子中にリン及び窒素を有する化合物は、当然に分子中にリンを有する化合物及び分子中に窒素を有する化合物の一例でもある。上記リン及び/又は窒素含有化合物は、電解液に使用する非プロトン性有機溶媒に応じて適宜選択される。
上記分子中にリン及び/又は窒素を含む化合物の中でも、2次電池のサイクル特性の観点から、分子中にリン及び窒素を有する化合物が好ましい。また、上記分子中にリン及び窒素を有する化合物の中でも、電池の熱安定性の向上及び高温保存特性の向上の観点から、ホスファゼン化合物等のリン−窒素間二重結合を有する化合物が特に好ましい。
上記ホスファゼン化合物として、具体的には、下記式(I)で表される鎖状ホスファゼン化合物及び下記式(II)で表される環状ホスファゼン化合物が挙げられる。
Figure 2005190873

(式中、R1、R2及びR3は、夫々独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;X1は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表し;Y1、Y2及びY3は、夫々独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表す。)

(NPR4 2)n ・・・ (II)
(式中、R4は夫々独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜15を表す。)
式(I)又は式(II)で表されるホスファゼン化合物の中でも、25℃(室温)において液体であるものが好ましい。該液状ホスファゼン化合物の25℃における粘度は、300mPa・s(300cP)以下が好ましく、20mPa・s(20cP)以下が更に好ましく、5mPa・s(5cP)以下が特に好ましい。なお、本発明において粘度は、粘度測定計[R型粘度計Model RE500-SL、東機産業(株)製]を用い、1rpm、2rpm、3rpm、5rpm、7rpm、10rpm、20rpm及び50rpmの各回転速度で120秒間づつ測定し、指示値が50〜60%となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を測定することによって求めた。ホスファゼン化合物の25℃における粘度が300mPa・s(300cP)を超えると、支持塩が溶解し難くなり、正極材料、負極材料、セパレーター等への濡れ性が低下し、電解液の粘性抵抗の増大によりイオン導電性が著しく低下し、特に氷点以下等の低温条件下での使用において性能不足となる。また、これらのホスファゼン化合物は、液状であるため、通常の液状電解質と同等の導電性を有し、二次電池の電解液に使用した場合、優れたサイクル特性を示す。
式(I)において、R1、R2及びR3としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はない。一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、電解液を低粘度化し得る点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。R1〜R3は、総て同一の種類の置換基でもよく、それらの内の幾つかが異なる種類の置換基でもよい。ここで、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基及びメトキシエトキシエトキシ基が好ましく、低粘度・高誘電率の観点から、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、該ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素が好適であり、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。一価の置換基中の水素元素がフッ素で置換されているものは、塩素で置換されているものに比べて2次電池のサイクル特性を向上させる効果が大きい傾向がある。
式(I)において、Y1、Y2及びY3で表される2価の連結基としては、例えば、CH2基の他、酸素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が挙げられ、これらの中でも、CH2基、及び、酸素、硫黄、セレン、窒素からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が好ましく、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基が特に好ましい。また、Y1、Y2及びY3は、酸素、硫黄、セレン等の2価の元素、又は単結合であってもよい。Y1〜Y3は総て同一種類でもよく、幾つかが互いに異なる種類でもよい。
式(I)において、X1としては、有害性、環境等への配慮の観点から、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基が好ましい。これらの置換基の内、下記式(III)、式(IV)又は式(V)で表される構造を有する置換基が更に好ましい。
Figure 2005190873

Figure 2005190873

Figure 2005190873

[式(III)、式(IV)及び式(V)において、R5〜R9は、それぞれ独立に一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y5〜Y9は、それぞれ独立に2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Zは2価の基又は2価の元素を表す。]
式(III)、式(IV)及び式(V)において、R5〜R9としては、式(I)におけるR1〜R3で述べたのと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。また、これらは、同一置換基内において、それぞれ同一の種類でもよく、幾つかが互いに異なる種類でもよい。式(III)のR5とR6とは、及び式(V)のR8とR9とは、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(III)、式(IV)及び式(V)において、Y5〜Y9で表される基としては、式(I)におけるY1〜Y3で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素等が挙げられ、同様に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む基である場合には、電解液の発火・引火の危険性が低減するため特に好ましい。これらは、同一置換基内において、それぞれ同一の種類でもよく、幾つかが互いに異なる種類でもよい。
式(III)において、Zとしては、例えば、CH2基、CHR(Rは、アルキル基、アルコキシル基、フェニル基等を表す。以下同様。)基、NR基のほか、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基等が挙げられ、これらの中でも、CH2基、CHR基、NR基の他、酸素、硫黄、セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の基の場合には、電解液の発火・引火の危険性が低減するため好ましい。また、Zは、酸素、硫黄、セレン等の2価の元素であってもよい。
これら置換基としては、特に効果的に発火・引火の危険性を低減し得る点で、式(III)で表されるようなリンを含む置換基が特に好ましい。また、置換基が式(IV)で表されるような硫黄を含む置換基である場合には、電解液の小界面抵抗化の点で特に好ましい。
式(II)において、R4としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はない。一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、電解液を低粘度化し得る点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。ここで、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、これらの中でも、非水電解液1次電池に使用する場合は、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、フェノキシ基が特に好ましく、非水電解液2次電池に使用する場合は、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基が特に好ましい。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素原子で置換された置換基としては、例えば、トリフルオロエトキシ基が挙げられる。
式(I)〜(V)におけるR1〜R9、Y1〜Y3、Y5〜Y9、Zを適宜選択することにより、より好適な粘度、添加・混合に適する溶解性等を有する電解液の調製が可能となる。これらホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(II)のホスファゼン化合物の中でも、電解液を低粘度化して電池の低温特性を向上させ、更に電解液の耐劣化性及び安全性を向上させる観点からは、下記式(VI)で表されるホスファゼン化合物が好ましい。

(NPF2)n ・・・ (VI)
(式中、nは3〜13を表す。)
式(VI)で表されるホスファゼン化合物は、室温(25℃)で低粘度の液体であり、且つ凝固点降下作用を有する。このため、式(VI)のホスファゼン化合物を電解液に添加することにより、電解液に優れた低温特性を付与することが可能となり、また、電解液の低粘度化が達成され、低内部抵抗及び高い導電率を有する非水電解液電池を提供することが可能となる。このため、特に気温の低い地方や時期において、低温条件下で使用しても、長時間に渡って優れた放電特性を示す非水電解液電池を提供することが可能となる。
式(VI)において、nとしては、電解液に優れた低温特性を付与し得、電解液の低粘度化が可能な点で、3〜5が好ましく、3〜4が更に好ましく、3が特に好ましい。nの値が小さい場合には沸点が低く、接炎時の着火防止特性を向上させることができる。一方、nの値が大きくなるにつれて、沸点が高くなるため、高温でも安定に使用することができる。上記性質を利用して目的とする性能を得るために、複数のホスファゼンを適時選択し、使用することも可能である。
式(VI)におけるn値を適宜選択することにより、より好適な粘度、混合に適する溶解性、低温特性等を有する電解液の調製が可能となる。これらのホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
式(VI)で表されるホスファゼン化合物の粘度としては、20mPa・s以下であれば特に制限はないが、導電性の向上及び低温特性の向上の観点からは、10mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以下がより好ましい。
上記式(II)のホスファゼン化合物の中でも、電解液の耐劣化性及び安全性を向上させる観点からは、下記式(VII)で表されるホスファゼン化合物が好ましい。

(NPR10 2)n ・・・ (VII)
(式中、R10は夫々独立して一価の置換基又はフッ素を表し、全R10のうち少なくとも1つはフッ素を含む一価の置換基又はフッ素であり、nは3〜8を表す。但し、総てのR10がフッ素であることはない。)
上記式(II)のホスファゼン化合物を含有すれば、電解液に優れた自己消火性又は難燃性を付与して電解液の安全性を向上させることができるが、式(VII)で表され、全R10のうち少なくとも1つがフッ素を含む一価の置換基であるホスファゼン化合物を含有すれば、電解液により優れた安全性を付与することが可能となる。更に、式(VII)で表され、全R10のうち少なくとも1つがフッ素であるホスファゼン化合物を含有すれば、更に優れた安全性を付与することが可能となる。即ち、フッ素を含まないホスファゼン化合物に比べ、式(VII)で表され、全R10のうち少なくとも1つがフッ素を含む一価の置換基又はフッ素であるホスファゼン化合物は、電解液をより燃え難くする効果があり、電解液に対し更に優れた安全性を付与することができる。
式(VII)における一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、アシル基、アリール基及びカルボキシル基等が挙げられ、電解液の安全性の向上に特に優れる点で、アルコキシ基が好適である。ここで、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ基等の他、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基置換アルコキシ基等が挙げられ、電解液の安全性の向上に優れる点で、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基が特に好ましい。また、電解液の低粘度化の点ではメトキシ基が好ましい。
式(VII)において、nとしては、電解液に優れた安全性を付与し得る点で、3〜5が好ましく、3〜4が更に好ましい。
上記一価の置換基は、フッ素で置換されているのが好ましく、式(VII)のR10が一つもフッ素でない場合は、少なくとも一つの一価の置換基はフッ素含む。
式(VII)のホスファゼン化合物におけるフッ素の含有量としては、3〜70質量%が好ましく、7〜45質量%がより好ましい。フッ素の含有量が3〜70質量%であれば、電解液に「優れた安全性」を特に好適に付与することができる。
式(VII)のホスファゼン化合物は、前述のフッ素以外にも塩素、臭素等のハロゲン元素を含んでいてもよい。但し、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。フッ素を含むものは、塩素を含むものに比べて2次電池のサイクル特性を向上させる効果が大きい傾向がある。
式(VII)におけるR10及びn値を適宜選択することにより、より好適な安全性、粘度、混合に適する溶解性等を有する電解液の調製が可能となる。これらのホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
式(VII)のホスファゼン化合物の粘度としては、20mPa・s以下であれば特に制限はないが、導電性の向上及び低温特性の向上の観点からは、10mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以下がより好ましい。
上記式(II)のホスファゼン化合物の中でも、電解液の粘度上昇を抑制しつつ、電解液の耐劣化性及び安全性を向上させる観点からは、25℃(室温)において固体であって、下記式(VIII)で表されるホスファゼン化合物も好ましい。

(NPR11 2)n ・・・ (VIII)
(式中、R11は夫々独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜6を表す。)
式(VIII)で表されるホスファゼン化合物は、室温で固体であるため、電解液に添加すると電解液中で溶解して電解液の粘度が上昇する。しかしながら、所定の添加量であれば電解液の粘度上昇率が低く、低内部抵抗及び高い導電率を有する非水電解液電池となる。また、式(VIII)のホスファゼン化合物は電解液中で溶解するため、電解液の長期安定性に優れる。
式(VIII)において、R11としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はない。ここで、一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が好適に挙げられ、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が好適に挙げられる。これらの中でも、特に電解液の粘度上昇を抑制し得る点で、アルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基(i-プロポキシ基、n-プロポキシ基)、フェノキシ基、トリフルオロエトキシ基等が好ましく、電解液の粘度上昇を抑制し得る点で、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(i-プロポキシ基、n-プロポキシ基)、フェノキシ基、トリフルオロエトキシ基等が更に好ましい。上記一価の置換基は、前述のハロゲン元素を含むのが好ましい。
式(VIII)において、nとしては、電解液の粘度上昇を抑制し得る点で、3又は4が特に好ましい。
式(VIII)のホスファゼン化合物としては、式(VIII)においてR11がメトキシ基であってnが3である構造、式(VIII)においてR11がメトキシ基及びフェノキシ基の少なくとも何れかであってnが4である構造、式(VIII)においてR11がエトキシ基であってnが4である構造、式(VIII)においてR11がi-プロポキシ基であってnが3又は4である構造、式(VIII)においてR11がn-プロポキシ基であってnが4である構造、式(VIII)においてR11がトリフルオロエトキシ基であってnが3又は4である構造、式(VIII)においてR11がフェノキシ基であってnが3又は4である構造が、電解液の粘度上昇を抑制し得る点で、特に好ましい。
式(VIII)における各置換基及びn値を適宜選択することにより、より好適な粘度、混合に適する溶解性等を有する電解液の調製が可能となる。これらのホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ホスファゼン化合物の異性体として、具体的には、下記式(IX)で表される化合物が挙げられる。なお、式(IX)の化合物は、下記式(X)で表されるホスファゼン化合物の異性体である。
Figure 2005190873

Figure 2005190873

[式(IX)及び(X)において、R12、R13及びR14は、夫々独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;X2は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群より選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表し;Y12及びY13は、夫々独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表す。]
式(IX)におけるR12、R13及びR14としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はなく、上述した式(I)におけるR1〜R3で述べたのと同様の一価の置換基及びハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。また、式(IX)において、Y12及びY13で表される2価の連結基又は2価の元素としては、式(I)におけるY1〜Y3で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素等がいずれも好適に挙げられる。更に、式(IX)において、X2で表される置換基としては、式(I)におけるX1で述べたのと同様の置換基がいずれも好適に挙げられる。
式(IX)で表され、式(X)で表されるホスファゼン化合物の異性体は、電解液に添加されると、電解液に極めて優れた低温特性を発現させることができ、更に電解液の耐劣化性及び安全性を向上させることができる。
式(IX)で表される異性体は、式(X)で表されるホスファゼン化合物の異性体であり、例えば、式(X)で表されるホスファゼン化合物を生成させる際の真空度及び/又は温度を調節することで製造できる。また、該ホスファゼン化合物の異性体の含有量(体積%)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定できる。
上記リン酸エステルとして、具体的には、トリフェニルホスフェート等のアルキルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(フルオロエチル)ホスフェート、トリス(トリフルオロネオペンチル)ホスフェート、アルコキシホスフェート及びこれらの誘導体等が挙げられる。
本発明の電池用非水電解液において、上記分子中にリン及び/又は窒素を含む化合物の含有量は、電解液の安全性を向上させる観点から、3体積%以上が好ましく、5体積%以上が更に好ましい。
<非水電解液電池>
次に、本発明の非水電解液電池を詳細に説明する。本発明の非水電解液電池は、上述の電池用非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
本発明の非水電解液電池の正極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の正極活物質としては、フッ化黒鉛[(CFx)n]、MnO2(電気化学合成であっても化学合成であってもよい)、V25、MoO3、Ag2CrO4、CuO、CuS、FeS2、SO2、SOCl2、TiS2等が好適に挙げられ、これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には放電電位が高く電解液の濡れ性に優れる点で、MnO2、フッ化黒鉛が好ましい。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、非水電解液2次電池の正極活物質としては、V25、V613、MnO2、MnO3等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられる。上記リチウム含有複合酸化物は、Fe、Mn、Co及びNiからなる群から選択される2種又は3種の遷移金属を含む複合酸化物であってもよく、この場合、該複合酸化物は、LiFexCoyNi(1-x-y)2(式中、0≦x<1、0≦y<1、0<x+y≦1)、あるいはLiMnxFey2-x-y等で表される。これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24が特に好適である。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水電解液電池の負極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体の他、リチウム合金等が挙げられる。リチウムと合金をつくる金属としては、Sn、Pb、Al、Au、Pt、In、Zn、Cd、Ag、Mg等が挙げられる。これらの中でも、埋蔵量の多さ、毒性の観点からAl、Zn、Mgが好ましい。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、非水電解液2次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体、リチウムとAl、In、Pb又はZn等との合金、リチウムをドープした黒鉛等の炭素材料等が好適に挙げられ、これらの中でも安全性がより高く、電解液の濡れ性に優れる点で、黒鉛等の炭素材料が好ましく、黒鉛が特に好ましい。ここで、黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等、広くは易黒鉛化カーボンや難黒鉛化カーボンが挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記正極及び負極には、必要に応じて導電剤、結着剤を混合することができ、導電剤としてはアセチレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができ、具体的には、1次電池の正極の場合、正極活物質:結着剤:導電剤の質量比が8:1:0.2〜8:1:1であるのが好ましく、2次電池の正極及び負極の場合、活物質:結着剤:導電剤の質量比が94:3:3であるのが好ましい。
また、上記正極及び負極の形状としては、特に制限はなく、電極として公知の形状の中から適宜選択することができる。例えば、シート状、円柱形状、板状形状、スパイラル形状等が挙げられる。
本発明の非水電解液電池に使用する他の部材としては、非水電解液電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、且つ電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルム、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが特に好適である。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電池に使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
以上に説明した本発明の非水電解液電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。ボタンタイプの場合は、シート状の正極及び負極を作製し、該正極及び負極でセパレーターを挟む等して、非水電解液電池を作製することができる。また、スパイラル構造の場合は、例えば、シート状の正極を作製して集電体を挟み、これに、シート状の負極を重ね合わせて巻き上げる等して、非水電解液電池を作製することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
エチレンカーボネート(EC、沸点238℃)50体積%、ジエチルカーボネート(DEC、沸点127℃)40体積%、添加剤A[式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち3つがメトキシ基(CH3O−)、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:3.9mPa・s、沸点230℃]5体積%及び添加剤B[式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち1つがエトキシ基(CH3CH2O−)、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.2mPa・s、沸点125℃]5体積%からなる混合溶液を作製し、該混合溶液にLiPF6(支持塩)を1mol/L(M)の濃度で溶解させて非水電解液を調製した。また、得られた非水電解液の安全性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)電解液の安全性
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼挙動から非水電解液の安全性を評価した。その際、着火性、燃焼性、炭化物の生成、二次着火時の現象についても観察した。具体的には、UL試験基準に基づき、不燃性石英ファイバーに上記電解液1.0mLを染み込ませて、127mm×12.7mmの試験片を作製して行った。ここで、試験炎が試験片に着火しない場合(燃焼長:0mm)を「不燃性」、着火した炎が25mmラインまで到達せず且つ落下物にも着火が認められない場合を「難燃性」、着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ落下物にも着火が認められない場合を「自己消火性」、着火した炎が100mmラインを超えた場合を「燃焼性」と評価した。
次に、LiMn24(正極活物質)94質量部に対して、アセチレンブラック(導電剤)3質量部と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部とを添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの正極シートを作製した。
上記正極シートに、厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン製)を介して、厚さ150μmのリチウム金属箔を重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。該円筒型電極に、前記電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池(非水電解液2次電池)を作製した。得られた電池に対して、下記の方法で釘刺し試験及び過充電試験を行った。結果を表1に示す。
(2)釘刺し試験
供試電池を完全に充電した後、直径5mmの釘を電池のほぼ中央部で且つ電極面に対して垂直方向に貫通させ24時間放置し、放置中に電池が発火するか否かを観察した。
(3)過充電試験
1Cの電流値(1時間で満充電に至る電流値)で、定格容量の250%まで供試電池を過充電し、電池が発火するか否かを観察した。但し、供試電池に安全回路は付属していない。
(実施例2〜9及び比較例1〜6)
表1又は表2に示す配合の混合溶液を作製し、該混合溶液にLiPF6(支持塩)を1mol/L(M)の濃度で溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の安全性を実施例1と同様にして評価した。また、該非水電解液を用いて実施例1と同様に非水電解液2次電池を作製し、該電池に対して釘刺し試験及び過充電試験を実施した。結果を表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2中、PCはプロピレンカーボネート(沸点242℃)を、DMCはジメチルカーボネート(沸点90℃)を、EMCはエチルメチルカーボネート(沸点108℃)を、MFはメチルフォルメート(沸点32℃)を示す。
また、添加剤Cは、式(II)において、nが4であって、8つのR4の総てがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:0.8mPa・s、沸点86℃)であり;添加剤Dは、式(II)において、nが3であって、6つのR4の総てがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:0.8mPa・s、沸点51℃)であり;添加剤Eは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち1つがメトキシ基(CH3O−)、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:1.8mPa・s、沸点110℃)であり;添加剤Fは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち3つがエトキシ基(CH3CH2O−)、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:4.0mPa・s、沸点300℃超)であり;添加剤Gは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち1つがイソプロポキシ基[(CH3)2CHO−]、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:1.1mPa・s、沸点137℃)である。
Figure 2005190873
Figure 2005190873
非プロトン性有機溶媒のそれぞれに対して、沸点が近いホスファゼン化合物をそれぞれ添加した実施例の非水電解液は安全性が高く、また、該非水電解液を用いた実施例の非水電解液2次電池は、釘刺し試験及び過充電試験のいずれにおいても発火せず、非常時においても安全性が高いことが確認された。
一方、リン及び/又は窒素含有化合物を含まない非水電解液を用いた比較例1及び2の電池は、釘刺し試験及び過充電試験で発火した。また、DECと沸点が近いホスファゼン化合物を含むものの、ECと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まない非水電解液を用いた比較例3の電池、ECと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まず、DECと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まず、EC及びDECのいずれとも沸点が近くないホスファゼン化合物を含む非水電解液を用いた比較例4の電池、並びにMFと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まず、ECと沸点が近いホスファゼン化合物を含み、更にEC及びMFのいずれとも沸点が近くないホスファゼン化合物を含む非水電解液を用いた比較例6の電池は、釘刺し試験及び過充電試験で発火した。更に、DECと沸点が近いホスファゼン化合物を含むものの、ECと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まない非水電解液を用いた比較例5の電池は、釘刺し試験で発火しなかったものの、過充電試験で発火した。
以上の結果から、非水電解液を構成する非プロトン性有機溶媒のそれぞれに対して、沸点が近く且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物をそれぞれ添加することで、非水電解液の安全性を向上させることができ、また、該非水電解液を非水電解液2次電池に用いることで、該非水電解液2次電池の非常時における安全性を著しく改善できることが分かる。
(実施例10)
プロピレンカーボネート(PC、沸点242℃)60体積%、1,2-ジメトキシエタン(DME、沸点84℃)30体積%、添加剤A[式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち3つがメトキシ基(CH3O−)、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:3.9mPa・s、沸点230℃]5体積%及び添加剤C[式(II)において、nが4であって、8つのR4の総てがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:0.8mPa・s、沸点86℃]5体積%からなる混合溶液を作製し、該混合溶液にLiBF4(支持塩)を0.75mol/L(M)の濃度で溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の安全性を実施例1と同様にして評価した。結果を表3に示す。
次に、MnO2(正極活物質)と、アセチレンブラック(導電剤)と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)とを8:1:1の割合(質量比)で混合・混錬した後、該混練物を厚さ25μmのニッケル箔(集電体)に圧着・ペレット化し、更に加熱乾燥(100〜120℃)して、厚さ500μmの正極ペレットを作製した。
上記正極ペレットをφ16mmに打ち抜いたものを正極とし、リチウム箔(厚み0.5mm)をφ16mmに打ち抜いたものを負極とし、セルロースセパレーター[日本高度紙工業社製TF4030]を介して上記正負極を対座させ、上記電解液を注入して封口し、CR2016型の非水電解液1次電池(リチウム1次電池)を作製した。得られた電池に対して、下記の方法で加熱試験を行った。結果を表3に示す。
(4)加熱試験
オーブン中に電池を置き、5±2℃/分の速度で160℃まで加熱し、160℃で60分間保持し、電池が発火するか否かを観察した。
(実施例11〜15及び比較例7〜12)
表3に示す配合の混合溶液を作製し、該混合溶液にLiBF4(支持塩)を0.75mol/L(M)の濃度で溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の安全性を実施例1と同様にして評価した。また、該非水電解液を用いて実施例10と同様に非水電解液1次電池を作製し、該電池に対して加熱試験を実施した。結果を表3に示す。
なお、表3中、GBLはγ-ブチロラクトン(沸点204℃)を示す。また、添加剤Bは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち1つがエトキシ基(CH3CH2O−)、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:1.2mPa・s、沸点125℃)であり;添加剤Fは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち3つがエトキシ基(CH3CH2O−)、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:4.0mPa・s、沸点300℃超)であり;添加剤Hは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち2つがエトキシ基(CH3CH2O−)、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:1.2mPa・s、沸点195℃)であり;添加剤Iは、式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち1つがフェノキシ基(PhO−)、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:1.7mPa・s、沸点195℃)である。
Figure 2005190873
非プロトン性有機溶媒のそれぞれに対して、沸点が近いホスファゼン化合物をそれぞれ添加した実施例の非水電解液は安全性が高く、また、該非水電解液を用いた実施例の非水電解液1次電池は、加熱試験において発火せず、非常時においても安全性が高いことが確認された。
一方、リン及び/又は窒素含有化合物を含まない非水電解液を用いた比較例7及び8の電池は、加熱試験で発火した。また、PCと沸点が近いホスファゼン化合物を含むものの、DMEと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まない非水電解液を用いた比較例9の電池、PCと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まず、DMEと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まず、PC及びDMEのいずれとも沸点が近くないホスファゼン化合物を含む非水電解液を用いた比較例10の電池、並びにGBLと沸点が近いリン及び/又は窒素含有化合物を含まず、GBLと沸点が近くないホスファゼン化合物を含む非水電解液を用いた比較例11及び12の電池は、加熱試験で発火した。
以上の結果から、非水電解液を構成する非プロトン性有機溶媒のそれぞれに対して、沸点が近く且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物をそれぞれ添加することで、非水電解液の安全性を向上させることができ、また、該非水電解液を非水電解液1次電池に用いることで、該非水電解液1次電池の非常時における安全性を著しく改善できることが分かる。

Claims (6)

  1. 少なくとも一種の非プロトン性有機溶媒と支持塩とを含む電池用非水電解液において、
    更に、それぞれの前記非プロトン性有機溶媒に対して、該非プロトン性有機溶媒との沸点の差が25℃以下で且つ分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物をそれぞれ含有することを特徴とする電池用非水電解液。
  2. 前記分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物がリン−窒素間二重結合を有することを特徴とする請求項1に記載の電池用非水電解液。
  3. 前記分子中にリン及び/又は窒素を有する化合物がホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項2に記載の電池用非水電解液。
  4. 前記非プロトン性有機溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルフォルメートからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の電池用非水電解液。
  5. 前記非プロトン性有機溶媒が、プロピレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン及びγ-ブチロラクトンからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の電池用非水電解液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電池。
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