JP2005192517A - 植物育成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】LEDの光によって植物の偏りのない健全な育成が促進できる植物育成方法を提供する。
【解決手段】鉢植えの植物において、植物12の略上方から青緑色LED9の光と白色LED10の光を混合した光を照射し、略横方向から赤色LED8の光を照射するようにした。夫々の光は植物12の生長を促進する特定の波長を含んでおり、これらの光のエネルギーを様々な方向から植物12に供給することによって植物12をバランスよく育成することがでる。また、ランニングコストを低減できる植物育成方法でもある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、人工光によって植物の育成を促進する植物育成方法に関するものであり、詳しくは、人工光の光源にLED(発光ダイオード)を使用した組織培養や花卉育成等の植物育成方法に関する。
従来、植物育成の促進のための光環境は太陽光(自然光)によって行われてきた。しかしながら、太陽光の照射は季節(夏は日照時間が長く、冬は短い)、気象(エルニーニョ現象の時は日照時間が短い)、天候、地域(太平洋側は年間の日照時間が長く、日本海側は短い)、場所(日向と日陰、地上と地下)、時間(昼と夜)等の条件によって大きく異なるものである。したがって、このような自然条件や人為的条件に影響されない安定した環境下で植物の生育を促進させるためには、太陽光に代わる光あるいは太陽光を補完する光が求められ、例えば、白熱電球、蛍光灯、水銀灯、ナトリウムランプ等が人工光の光源として用いられてきた。
一方、これらの光源に対して、近年注目されてきたのがLEDを光源とする植物育成方法である。LEDを植物育成の光源として使用する利点は、
1) LEDの発光スペクトルが急峻な特性を有しており、植物の育成にとって重要な波長の光のみを発するLEDを使用することによって成長に寄与しない無駄な光がなく、よって、光の利用効率が高いために照明に係わる電力が節約でき、ランニングコストを低減することができる。
2) LEDは点灯時の発熱が比較的少ないために植物を取巻く周囲温度の上昇分が少なく、よって、冷房などの温度管理に係わる電力が節約できるためにランニングコストを低減することができる。
3) LEDは指向性が強いために必要な部分のみを照明することができために空間的に植物の照明に寄与しない光が少なく、よって、光の利用効率が高いために照明に係わる電力が節約でき、ランニングコストを低減することができる。
などが挙げられる。
LEDを光源とする植物育成の例としては、複数種の発光波長の異なるLEDを多数並
設してLED集合体を形成し、1個あるいは複数のLED集合体を植物の真上あるいは真上と斜め上方とに配置し、照射時間、照射光量、照射光の波長、および照射方法(常時点灯あるいはパルス点灯)等を制御することによって人工的に擬似的な自然環境を作り出し、太陽光が直接届かない場所でも植物が偏りなく育成するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−000044号公報
しかしながら、LEDの光を植物の真上あるいは斜め上方から照射する場合、LEDから発せられる光が指向性が強いために植物の下方にある葉はその上方の葉の陰になってLEDの光りが届き難くなる。特に、葉が複雑に幾重にも重なっているような植物においては、葉の総面積に対して光を受ける面積の割合が大きく減少し、植物の成長が阻害される要因となる。また植物の部位によって受光する光量が異なるため、植物全体がバランスのとれた成長をおこなうことができないことになる。
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、LEDを光源とする人工光を効率的に照射することによって植物の育成が健全に促進されるような植物育成方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、LEDを光源として該LEDの発する光を植物に照射することによって植物の育成を促進する植物育成方法であって、植物の略上方から青緑色LEDと白色LEDとから個別に発せられる光を混合して照射し、且つ、植物の略下方と略横方向のうちの何れか一方または両方の方向から赤色LEDから発せられる光を照射することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記植物が受光する光量子束密度は15〜200μmol・m−2・s−1であることを特徴とするものである。
本発明の植物育成方法は、植物の生長を促進する波長の光を個別に発する複数種のLEDを組合わせて植物を取巻くように複数の方向に配置し、LEDから発せられた光が植物の部位に略均等に照射されるようにしたので、植物を偏らないで健全に成長させることができる。
自然環境下で育成した植物と同様な形態の植物を人工光で育成する目的を、人工光の光源をLEDとし、LEDの光の波長の組合わせと植物に対する光の照射方向を設定することによって実現した。
以下、この発明の好適な実施例を図1〜図3を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施例に限られるものではない。
まず、本実施例を説明するまえに、植物の成長と光との関係について一般的に知られていることについて述べる。植物は基本的には光合成によって成長が促進されるものであり、光合成は植物が吸収した二酸化炭素と水が葉肉細胞に含まれる葉緑体に送られ、クロロフィルが捕捉した光を利用して糖やデンプン等の炭水化物へと同化し、同時に酸素を放出する反応であることは既に周知のことである。その場合、植物には選択的に光の波長を吸収する色素タンパク質があって、この色素たんぱく質をフィトクローム(phytochrome)といい、種々の制御反応を行って、例えば、発芽、花芽分花、開花、葉の形成や成長、有茎植物の節間伸張などの様々な役割を果している。
このように、フィトクロームは植物の成長や形態形成に働く重要な因子で、この多少の変動が植物の形や成長のプロセスを大きく変えてしまう可能性がある。また、フィトクロームは特に赤色光(波長:660nm付近)と近赤外光(波長:730nm付近)とを極めて敏感に吸収する特性を有しており、前者は発芽に有効であるが、後者は逆に発芽を阻害するものである。また、青色光では植物が光の方向に向う屈光性が顕著に表れる。その他、クロロフィル等の色素も波長領域は異なるが光を吸収する特性を有している。
そこで、本発明者らは、赤、緑、青緑、白の各色を発するLEDおよび蛍光灯の下でトレニアの組織培養による開花育成実験を行って、以下のような知見を得た。
1) 赤色LEDの光で培養した苗は、茎が太く、節間が短く、葉長が長くなった。また、開花本数は一番少なかった。
2) 緑色LEDの光で培養した苗は、急速な節間伸張を示し、茎が細長くなった。
3) 青緑色LEDの光で培養した苗は、開花本数が一番多かった。
4) 白色LEDの光で培養した苗は、節間、葉幅および葉長がバランスよく成長した。
5) 蛍光灯の光で培養した苗は、赤色LEDほどではないが似通った成長状態を示し、開花本数も赤色LEDに次いで少なかった。
以上の知見より、植物の開花には青緑色LEDの光が有効であり、バランスのとれた成長には白色LEDの光が有効であることが明らかになった。
そこで、上述した知見を踏まえ、以下の実施例1〜3で示すような植物育成方法を確立した。まず、図1は本発明の植物育成方法の実施例1を模式的に示した斜視図である。本実施例は、組織培養栽培をLED光源で行う方法である。ホルモンフリーのMS(ムラシゲ・スクーグ)培地1を試験管等の透明な培養用容器2内の底部に配設し、トレニアの母体の一部から切取った成長点を含む茎葉3を培地1に植え付ける。そして、培養用容器2を透明または半透明のプラスチック栓4で蓋をする。
組織培養の成長を促進する光は、培養用容器2の周辺に配置されたLED5,6,7から発せられる光を利用する。その場合、培養用容器2内の茎葉3の成長点を健全な状態で成長させるために、茎葉3の各部位に極力均等に光のエネルギーを与えるようなLED5,6,7の配置が施されている。具体的には、培養用容器2の略上方と略下方と周囲とにLEDを配置し、培養用容器2の略上方に配置されたLED5で茎葉3に略上方から光のエネルギーを与え、略下方のLED7で略下方から光のエネルギーを与え、周囲に配置されたLED6で略横方向(周囲)から光のエネルギーを与える構成になっている。
また、茎葉3に光のエネルギーを与えるLED5,6,7の種類は、上述した開花育成実験によって得られた知見に基づいて目的に適った波長の光を発するLEDを選択して組合わせた。具体的には、略下方と周囲には赤色の光を発する赤色LED8を配置し、略上方には青緑色の光を発する青緑色LED9と白色の光を光する白色LED10とを混在して配置し、2種類のLEDから発せられた夫々の光を混合して照射するようにした。その結果、バランスよく健全な成長をして開花本数の多い植物になる苗に育成することができるようになった。
図2は本発明の植物育成方法の実施例2を模式的に示した斜視図である。本実施例は、一般に行われている露地物栽培をLED光源で行う方法である。鉢11の略上方と周囲にLED5,6を配置し、鉢植えの植物が発芽した時点からLED5,6の光を照射して成長を促進させるものである。露地物栽培は植物12の地面から露出した部分は略下方からは光のエネルギーを得ることはないので、植物12に略上方からと略横方向(周囲)から光を照射することによって、植物12の各部位に極力均等に光のエネルギーを与えるような構成にしている。
また、光源として使用されるLED5,6の種類および配置は、照射効果が殆んど見込めない略下方からの照射を除いては実施例1と同様な配置および組合わせである。つまり、鉢植えの周囲には赤色の光を発する赤色LED8を配置し、略上方には青緑色の光を発する青緑色LED9と白色の光を発する白色LED10を混在して配置し、2種類のLEDから発せられた夫々の光を混合して照射するようにした。このような構成によってバランスよく健全な成長をした植物が相応の数の花を開花させることができるようになった。
図3は本発明の植物育成方法の実施例3を模式的に示した斜視図である。本実施例は、水耕栽培をLED光源で行う方法である。この場合は生産効率を上げるために多数の植物が間隔を密にして植えられて植物群を形成している場合が多い。したがって、略横方向(周囲)から光を照射しても内側の植物までは光が届かず、照明効果が殆んどないので略上方と略下方の2方向から光のエネルギーを与えるものである。
光源として使用されるLEDの種類および配置は、植物群21の略上方には青緑色の光を発する青緑色LED9と白色の光を発する白色LED10を混在して配置し、2種類のLEDから発せられた夫々の光を混合して照射するようにした。略下方には赤色の光を発する赤色LED8を配置して照射するようにした。この場合、植物群21は水耕栽培溶液22に浸されており、略下方から植物群21に光のエネルギーを与えるために、防水処理が施されたLEDが水耕栽培溶液22中に配置されている。LEDに防水処理を施すことによって、電気的な安全性および長期間の使用に対する耐久性を確保するようにしている。
また、LED光源を水耕栽培溶液22中に配置することによって様々な効果が得られる。まず、植物の育成に関していえば、LEDは点灯時の発熱が比較的少ないということを上述したが、多数のLEDを密に配置した場合は相当の発熱量になり、この熱が水耕栽培溶液22の温度を上昇させることになる。植物にとって冬季の冷たい水耕栽培溶液22は成長反応を鈍らせて成長促進を阻害する要因となるため、水耕栽培溶液22を所定の温度まで加熱することが行われるが、LED点灯時の熱によって暖められた水耕栽培溶液22によって加熱に必要な熱量を少なくでき、省エネが図られてランニングコストを低減することができる。また、LEDは、LEDの温度が高くなるにつれて発光効率が悪くなって発光する光量が少なくなると同時に、寿命が短くなるという不利な特性を有している。このような特性のLED23を水耕栽培溶液22中に配置することによって、LED23が水耕栽培溶液22で冷却されることになるために発光効率の低下および寿命の短縮が回避され、長期間に亘って発光効率の良い長寿命の光源として維持することができる。
上述した実施例1〜3に共通する点として、植物育成の光環境は、LED光源全体の光量子束密度は15〜200μmol・m−2・s−1であることが望ましい。それ以外の範囲では光を照射したことによる顕著な効果が認められないからである。また、夫々の実施例に添付された図は、実施例を説明するための模式図であるから、図に描かれたLEDがそのまま実施例で使用されるLEDの数を示すものではなく、実際は光環境が最適な光量子束密度になるようにLEDの数を調整して配置されるものである。
ここで、本発明による効果を説明する。まず、生育全般に関わり、葉長を長く生育させる赤色LEDの光と、花を多く開花させる青緑色LEDの光と、節間、葉幅および葉長をバランスよく成長させる白色LEDの光とを組合わせた光のエネルギーを植物に照射することによって健全な育成に有用な波長の光のみで光環境を形成することができるため、太陽光の光環境下での生育と近似したバランスのとれた成長が実現でき、また、LEDの光の特性として、発光スペクトルが急峻なために成長に寄与しない無駄な波長成分がなく、光の利用効率が高いので電力の節減によるランニングコストの低減が図られる。
また。LEDの光を植物の上方の一方向だけから照射するのではなく、略全方向から照射するようにしたことによって、植物の殆んどの部位を均等に照射することができる。特に葉が複雑に幾重にも重なっている場合は、従来は上部の葉の陰になって光を受けられなかった下部の部位も略横方向からの光が受けられるようになり、植物全体に光のエネルギーが行渡るためにバランスよく成長することができる。同時に、LEDの光は指向性が強くて植物の狙った場所を集中的に照射することができるため、空間的に植物の照射に寄与しない光が殆んどなく、光の利用効率が高いので照明に係わる電力コストを低減できる。
また、このような植物育成方法を採用することによって、室内の日当たりの悪い場所や、地下などの日光が全く届かない場所でも、太陽光の下で育てたと同様の形態の植物を観賞することができ、日々の生活に潤いをもたせることができる。
本発明の実施例1に係わる植物育成方法を模式的に示した斜視図である。 本発明の実施例2に係わる植物育成方法を模式的に示した斜視図である。 本発明の実施例3に係わる植物育成方法を模式的に示した斜視図である。
符号の説明
1 培地
2 培養用容器
3 茎葉
4 プラスチック栓
5 LED
6 LED
7 LED
8 赤色LED
9 青緑色LED
10 白色LED
11 鉢
12 植物
21 植物群
22 水耕栽培溶液
23 LED

Claims (2)

  1. LEDを光源として該LEDの発する光を植物に照射することによって植物の育成を促進する植物育成方法であって、植物の略上方から青緑色LEDと白色LEDとから個別に発せられる光を混合して照射し、且つ、植物の略下方と略横方向のうちの何れか一方または両方の方向から赤色LEDから発せられる光を照射することを特徴とする植物育成方法。
  2. 前記植物が受光する光量子束密度は15〜200μmol・m−2・s−1であることを特徴とする請求項1に記載の植物育成方法。
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