JP2005201166A - 内燃機関の始動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなく、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる。
【解決手段】 内燃機関の始動装置100は、エンジン102の停止時に膨張行程にある気筒内へ燃料を噴射し、再始動時に気筒内に点火処理を行なう内燃機関の始動装置である。エンジン102は、点火処理に基づいて回転力を出力するクランクシャフト122を有する。始動装置100は、電力の供給を受けて、出力軸を回転させるモータジェネレータ112と、モータジェネレータ112の動作を制御するための制御部118とを含む。制御部118は、点火処理後であって、かつクランクシャフト122の回転数が予め定められた回転数以上になると、モータジェネレータ112への電力の供給を開始するように制御するための手段を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の始動装置に関し、特に、エンジンの再始動時の電動機の制御に関する。
地球温暖化の防止や省資源化の観点から、交差点等において赤信号で車両が停車するとエンジンを自動的に停止させて、再び走行を始めようと運転者が操作すると(たとえばアクセルペダルを踏んだり、あるいはブレーキペダルの踏み込みを止めたり、シフトレバーを前進走行ポジションに切り替えるなどの操作を行なうと)、エンジンが再始動するアイドリングストップシステム(エコノミーランニングシステム、エンジンオートマチックストップアンドスタートシステムとも呼ばれる。以下、エコランとも記載する。)が実用化されている。
また、駆動源としてエンジンおよび車両走行用モータを用いるハイブリッド車両においては、車両の停止中だけでなく、走行状態やバッテリの充電状態に応じてエンジンの停止、始動を行なう。
このような車両においては、エンジンの停止中における補機類(エアコンディショナ、ヘッドランプ、オーディオなど)への電力供給のために、充放電可能な蓄電手段(たとえば、鉛蓄電池、リチウム電池などの二次電池)を搭載する。エンジンの停止中は、このような蓄電手段からこれらの補機類に電力が供給される。
そして、エンジンの停止時には、たとえば、膨張行程にある気筒に燃料噴射をさせておいて機関を停止させる場合がある。これは、エンジンの再始動時には、膨張行程にある気筒に点火処理を行ない、点火処理とともに蓄電手段の電力を用いて電動機(スタータあるいは走行用モータなど)によりクランクシャフトを回転させるいわゆるクランキングを行なってエンジンを再始動させるためである。このようなエンジンの再始動時には、確実にエンジンを始動させる必要がある。
そこで、このような問題に鑑みて、特許文献1(特開2002−4985号公報)は、通常のクランキングなしで筒内噴射型内燃機関の始動を確実なものとする筒内噴射型内燃機関の始動装置を開示する。この筒内噴射型内燃機関の始動装置は、燃焼室内に直接燃料を噴射可能な筒内噴射型内燃機関において、内燃機関をクランキングさせるための電動機と、内燃機関の運転が停止した状態で膨張行程にある気筒を検出する気筒検出手段と、検出した膨張行程にある気筒内に燃料を噴射する噴射制御手段と、膨張行程にある気筒内に燃焼を生起させて内燃機関を始動させる始動手段と、前記始動手段による内燃機関の始動状態に応じて電動機の作動を制御する電動機制御手段と具備する。
特許文献1によると、内燃機関の停止状態で膨張行程にある気筒内に燃焼を生起させた場合、その燃焼圧だけで完爆させることができる場合もあれば、燃焼圧の不足により始動が不完全となる場合も起こり得る。このため、電動機の制御においては始動状態が成功(完爆)であれば特に電動機を作動させる必要はなく、一方、始動状態が不完全である場合は電動機を作動させ、クランキングを付け足すことで始動を確実にするものである。
特開2002−4985号公報
しかしながら、特許文献1に開示された筒内噴射型内燃機関の始動装置においては、始動状態が不完全であることを検知してから電動機を作動させて、クランキングを行なう。そのため、エンジンの再始動が大きく遅れる場合がある。
できるだけ応答性よくエンジンを再始動させるためには点火処理と同時にクランキングさせることが一般的には好ましい。しかしながら、点火処理とともにクランキングを行なうことは、エンジンの出力軸の回転の停止状態、すなわち回転数0からの起動となる。すなわち、エンジンの再始動時に点火処理とともにクランキングを行なうと、燃焼トルクを十分に引き出せないうちに電動機を駆動することになるため、電動機に要求されるトルクが大きくなってしまう問題があった。
燃焼とは、電気火花により混合気が着火して火炎核が発生し、その後火炎に成長してシリンダ内の未燃焼の混合気へ次々と伝播していく化学反応である。そのため、燃焼トルクが最大になるには点火後ある程度の時間が必要である。これは点火直後においては、燃焼トルクが発生しない、あるいは燃焼トルクが小さいからである。このため点火後に燃焼トルク最大となる前に、電動機でクランクシャフトの駆動(膨張行程におけるピストン下降を意味する。)を行なうと、シリンダ内圧力がより負圧側に推移する。そのため、十分に燃焼トルクが利用できないため、熱効率が低下する。その結果、電動機に要求されるトルクが大きくなる。
また、回転数が0の状態からクランキングを行なうと、バッテリから電動機に、ロック電流(突入電流ともいう。)といわれる大電流が流れる。そのため、バッテリの電圧低下が大きくなる。電動機の駆動時にバッテリ電圧の低下が大きいため、車両内の各ECU等の電源遮断が発生する恐れがあるという問題があった。電源が遮断されると、電動パワーステアリングの引っかかり、ナビゲーションの初期化などが発生する可能性がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなく、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる内燃機関の始動装置を提供することである。
第1の発明に係る内燃機関の始動装置は、内燃機関の停止時に膨張行程にある燃焼室へ燃料を噴射し、再始動時に燃焼室に点火処理を行なう内燃機関の始動装置である。内燃機関は、点火処理に基づいて回転力を出力する出力軸を有する。始動装置は、電力の供給を受けて、出力軸を回転させる電動機と、電動機の動作を制御するための制御手段とを含む。制御手段は、点火処理後であって、かつ出力軸の回転数が予め定められた回転数以上になると、電動機への電力の供給を開始するように制御するための手段を含む。
第1の発明によると、始動装置は、電力の供給を受けて、内燃機関における出力軸(たとえば、レシプロエンジンにおけるクランクシャフト)を回転させる電動機(たとえば、補機モータ、車両走行用モータあるいはスタータ)と、電動機の動作を制御するための制御手段(たとえば、制御コントローラ)とを含む。制御コントローラは、点火処理後であって、かつクランクシャフトの回転数が予め定められた回転数以上(たとえば、回転数が0以上であることを検知、すなわち少しでも回転し始めると)になると、電動機への電力の供給を開始するように制御する。内燃機関において点火処理後、着火が進行し燃焼トルクがある程度大きくなる。燃焼トルクの増大に伴うクランクシャフトの回転数が0以上になると、電動機への電力の供給を開始するように制御して、クランキングを行なう。これにより、燃焼時の燃焼室内の圧力が負圧側に推移しなくなる。そのため、熱効率の低下を抑制できる。したがって、燃焼トルクを有効にクランクシャフトに付与することが可能となり、電動機に要求されるトルクの低減が図れる。すなわち、電動機において消費電力の低減が図れる。また、クランクシャフトが回転を始めてからクランキングを行なうため、バッテリ等の蓄電機構から電動機へのロック電流(突入電流)が流れる時間が短縮される。これにより電動機および電動機の駆動素子の発熱を抑制できる。さらに、バッテリの電圧低下が抑制されるため車両内の各ECUの電源遮断を防止することができる。したがって、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなく、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる内燃機関の始動装置を提供することができる。
第2の発明に係る内燃機関の始動装置においては、第1の発明の構成に加えて、始動装置は、出力軸が内燃機関による回転力により回転したか否かを検知するための検知手段をさらに含む。
第2の発明によると、始動装置は、出力軸(たとえば、レシプロエンジンにおけるクランクシャフト)が内燃機関(たとえば、レシプロエンジン)による回転力により回転したか否かを検知するための検知手段(たとえば、補機モータ、車両走行用モータに設けられる回転センサまたはクランクポジションセンサ)を含む。これにより、クランクシャフトが回転したか否かを正確に検知することが可能となる。
第3の発明に係る内燃機関の始動装置は、内燃機関の停止時に膨張行程にある燃焼室へ燃料を噴射し、再始動時に燃焼室に点火処理を行なう内燃機関の始動装置である。内燃機関は、点火処理に基づいて回転力を出力する出力軸を有する。始動装置は、電力の供給を受けて、出力軸を回転させる電動機と、電動機の動作を制御するための制御手段とを含む。制御手段は、点火処理後であって、かつ予め定められた時間が経過すると、電動機への電力の供給を開始するように制御するための手段を含む。
第3の発明によると、始動装置は、電力の供給を受けて、内燃機関における出力軸(たとえば、レシプロエンジンにおけるクランクシャフト)を回転させる電動機(たとえば、スタータ、補機モータまたは車両走行用モータ)と、電動機の動作を制御するための制御手段(たとえば、制御コントローラ)とを含む。制御コントローラは、点火処理後であって、かつ予め定められた時間が経過すると、電動機への電力の供給を開始するように制御する。内燃機関において点火処理後、着火が進行し燃焼トルクがある程度大きくなる。点火処理後予め定められた時間が経過すると燃焼トルクは増大する。このとき、電動機への電力の供給を開始するように制御して、クランキングを行なう。これにより燃焼時の燃焼室内の圧力が負圧側に推移しなくなる。そのため、熱効率の低下を抑制できる。したがって、燃焼トルクを有効にクランクシャフトに付与することが可能となり、電動機に要求されるトルクの低減が図れる。すなわち、電動機において消費電力の低減が図れる。また、燃焼トルクによりクランクシャフトが回転を始めてからクランキングを行なうと、バッテリから電動機へのロック電流(突入電流)が流れる時間が短縮される。これにより電動機および電動機の駆動素子の発熱を抑制できる。さらに、バッテリの電圧低下が抑制されるため車両内の各ECUの電源遮断を防止することができる。したがって、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなく、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる内燃機関の始動装置を提供することができる。
第4の発明に係る内燃機関の始動装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、始動装置は、始動時において出力軸が回転可能になる燃料噴射量になるように調整するための調整手段をさらに含む。
第4の発明によると、始動装置は、出力軸(たとえば、レシプロエンジンにおけるクランクシャフト)が回転可能になる燃料噴射量になるように調整する。停止時の膨張行程にある燃焼室(たとえば、レシプロエンジンにおける気筒内)に噴射する燃料を、クランクシャフトを回転させられるだけの燃料噴射量に調整することにより、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなくエンジンの再始動を確実に行なう。さらに、噴射量をクランクシャフトの回転に必要最小限の燃料噴射量とすることができる。そのため、燃料の消費量を抑制することができる。
第5の発明に係る内燃機関の始動装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、予め定められた回転数は、出力軸が回転し始める0より大きい回転数である。
第5の発明によると、予め定められた回転数を出力軸(たとえば、レシプロエンジンにおけるクランクシャフト)が回転し始めることを示す0より大きい回転数とすることにより、クランクシャフトが回転し始めると、電動機への電力の供給を開始するように制御することができる。
第6の発明に係る内燃機関の始動装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、内燃機関は、レシプロエンジンを含む。出力軸は、クランクシャフトである。
第6の発明によると、内燃機関の始動装置をレシプロエンジンに適用することで、レシプロエンジンが搭載された車両において、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなくエンジンを確実に再始動させることができ、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる
第7の発明に係る内燃機関の始動装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、電動機は、スタータ、補機モータおよび車両走行用モータのいずれかである。
第7の発明によると、再始動時に内燃機関の出力軸(たとえば、レシプロエンジンのクランクシャフト)に回転力を付与できる電動機として、クランクシャフトにギアまたはベルト等の伝達機構を介して接続されたスタータ、補機モータまたは車両走行用モータを用いることができる。たとえば、ハイブリッド車両においては、補機モータあるいは車両走行用モータを用いることができる。また、エンジン駆動源とし、アイドリングストップシステムを有する車両においてはスタータを用いることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る内燃機関の始動装置について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、第1の実施の形態に係る内燃機関の始動装置100について説明する。本実施の形態に係る内燃機関の始動装置は、内燃機関と電動機との駆動力を組み合わせて走行するハイブリッド車両に適用される。内燃機関は、本実施の形態において、レシプロエンジンを一例として説明するが特に限定されない。点火処理後に回転力を出力する出力軸を有する内燃機関であればよい。
本実施の形態に係る内燃機関の始動装置100は、エンジン102と、クランクシャフト122と、変速機104と、クランクシャフトプーリ106と、ベルト108と、モータプーリ110と、モータジェネレータ112と、インバータ114と、バッテリ116と、制御部118と、燃料噴射装置120とから構成される。
エンジン100において、燃料噴射装置120から気筒内に噴射された燃料と空気との混合気をスパークプラグ(図示せず)により着火させて点火処理が行なわれる。混合気が着火すると、燃焼して気筒内に設けられるピストン(図示せず)を押し下げる力、いわゆる燃焼トルクが発生する。ピストンは、クランク機構を介して出力軸であるクランクシャフト122に接続されている。そのため、気筒内の燃焼トルクにより生じたピストンの上下運動に応じて、クランクシャフト122は回転運動をする。クランクシャフト122は、点火処理により生じた回転力を出力する。
クランクシャフト122の一方端は、変速機104に接続される。変速機104は、特に限定されるものではないが、たとえば、手動変速機であってもよいし、有段式あるいは無段式の自動変速機であってもよい。クランクシャフト122の他方端には、クランクシャフトプーリ106が固定される。
モータジェネレータ112は、ロータとステータとから構成される回転電機である。112は、インバータ114を介して蓄電機構であるバッテリ116と接続されている。モータジェネレータ112は、バッテリ116からの電力の供給を受けるとモータとして機能する。すなわち、モータジェネレータ112は、回転力を発生させる。なお、モータジェネレータ112は、車両の補機類を駆動させる補機モータであってもよいし、車両走行用モータであってもよい。
モータジェネレータ112の回転軸には、モータプーリ110が固定されている。そして、前述のクランクシャフトプーリ106とモータプーリ110とがベルト108を介して接続されている。そのため、モータジェネレータ112の回転軸の回転力は、ベルト108を介してクランクシャフト122に伝達される。また、クランクシャフト122の回転力は、ベルト108を介してモータジェネレータ112に伝達される。
モータジェネレータ112は、エンジンの始動または車両の発進に用いられる。そして、エンジンの動作中において、モータジェネレータ112は、ジェネレータとして機能する。エンジン102により動作するクランクシャフト122の回転に応じてモータジェネレータ112の回転軸は回転する。回転軸の回転に応じて発電が行なわれ、発電された電力はインバータ114を介してバッテリ116を充電する。
また、モータジェネレータ112の内部には、たとえば、ホール素子から構成される回転センサが設けられている。回転センサは、極低回転でも逆転、正転を判別できるセンサであって、ロータの回転角度、回転速度および回転数等を検出する。なお、回転センサは、ロータの角度、回転速度および回転数が検出できるものであれば、特に限定されない。回転センサにおいて検知された回転検知信号は、制御部118に送信される。この回転センサに基づいて、ロータの回転角度、回転速度および回転数だけでなく、ベルト108を介して接続されたクランクシャフト122の回転角度、回転速度および回転数も検出することができる。
インバータ114は、制御部118からモータ制御信号を受信する。インバータ114は、モータ制御信号に基づいて、モータジェネレータ112に対して電力の供給を行なう。
燃料噴射装置120は、制御部118から燃料噴射量制御信号を受信する。そして、燃料噴射装置120は、受信した燃料噴射量制御信号に基づいて、エンジン102に設けられるそれぞれの気筒に予め定められた時期に予め定められた量の燃料を噴射する。燃料噴射装置120は、たとえば、インジェクタ等で構成される。本実施の形態において、たとえば、エンジン102は4気筒である。そのため、インジェクタは、4つの気筒のそれぞれに設けられる。
制御部118は、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)とメモリ(図示せず)とから構成される。制御部118は、メモリに格納されたプログラムをCPUに実行させることによりモータジェネレータ112あるいは燃料噴射装置120の動作を制御する。
以上のような構成における内燃機関の始動装置100において、予め定められたエンジン停止条件の成立に応じて停止したエンジン102を、予め定められた始動条件が成立すると始動させる制御を行なう。
具体的には、エンジン102の停止条件の成立に応じたエンジン102の停止時において、制御部118は、膨張行程にある気筒に対して、予め定められた量の燃料を噴射しておく。エンジン102が停止されたとき、制御部118は、膨張行程にある気筒を判定する。膨張行程にある気筒の判定は、たとえば、回転センサから受信する回転検知信号に基づいて、制御部118により行なわれる。すなわち、制御部118は、ロータの回転角度あるいは回転速度に対応したクランクシャフト122の回転角度あるいは回転速度等に基づいて、膨張行程にある気筒を判定する。制御部118は、判定された気筒をメモリ等に記憶しておく。
そして、制御部118は、膨張行程にある気筒に対して予め定められた量の燃料を噴射するように制御する。すなわち、制御部118は、燃料噴射装置120に対して、燃料噴射量制御信号を送信する。そして、燃料噴射装置120は、燃料噴射量制御信号を受信すると、膨張行程にある気筒に対して燃料噴射する。
そして、エンジン102の停止中に始動条件が成立すると、制御部118は、メモリに記憶された膨張行程にある気筒に対して点火処理を行なう。すなわち、制御部118は、気筒に設けられるスパークプラグに対して電力を供給する制御を行なう。本発明は、エンジン102の再始動時のモータジェネレータ112の駆動の制御に特徴を有する。制御部118は、点火処理後であって、かつクランクシャフト122の回転数が予め定められた回転数以上になると、モータジェネレータ112への電力の供給を開始するように制御する。なお、エンジンの停止条件および始動条件は、特に限定されるものではないが、たとえば、シフトポジション、ブレーキのオン、オフ、バッテリ116の電圧、バッテリ116の温度等により決定される条件である。また、予め定められた回転数は、出力軸が回転し始めたことを示す0より大きい回転数であれば、特に限定されない。
図2を参照して、制御部118で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略して記載する。)1000にて、制御部118は、予め定められたエンジン102の始動条件が成立するか否かを判断する。エンジン102の始動条件が成立すると(S1000にてYES)、処理はS1100に移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、制御部118は、エンジン102の始動条件が成立するまで処理を繰返す。
S1100にて、制御部118は、エンジン102の停止時に燃料を充填した膨張行程にある気筒に対して点火処理を行なう。上述したとおり、膨張行程の気筒の判定は、停止時に回転センサから検知される回転検知信号に基づいて、制御部118により行なわれる。制御部118は、膨張行程にある気筒を判定したとき、メモリに判定した気筒を記憶させる。したがって、制御部118は、メモリに記憶された気筒対して点火処理を行なう。
S1200にて、制御部118は、クランクシャフト122が回転したか否かを判断する。制御部118は、回転センサから送信される回転検知信号に基づいて、クランクシャフト122が回転したか否かを判断する。クランクシャフト122が回転を始めると(S1200にてYES)、処理はS1300に移される。もしそうでないと(S1200にてNO)、制御部118は、クランクシャフト122が回転するまで処理を繰返す。ここで、制御部118は、回転センサから送信される回転検知信号に基づいて、クランクシャフト122の回転数が予め定められた回転数以上であるか否かを判断して、クランクシャフト122が回転したか否かを判断する。
S1300にて、制御部118は、インバータ114に対して、モータ制御信号を送信する。そして、インバータ114は、モータ制御信号に応じて、バッテリ116の電力をモータジェネレータ112に供給する。
S1400にて、制御部118は、回転センサから送信される回転検知信号に基づいて、クランクシャフト122の回転数が予め定められたエンジン回転数またはクランク角度が予め定められた角度であるか否かを判断する。クランクシャフト122の回転数が予め定められたエンジン回転数になると、または、クランクシャフト122の回転角度が予め定められたクランク角度になると(S1400にてYES)、処理はS1500に移される。もしそうでないと(S1400にてNO)、クランクシャフト122の回転数が予め定められたエンジン回転数となるか、または、クランクシャフト122の回転角度が予め定められたクランク角度になるまで制御部118は、処理を繰返す。
S1500にて、制御部118は、モータジェネレータ112の駆動を終了させる。すなわち、制御部118は、インバータ114に対して、モータ制御信号を送信する。インバータ114は、受信したモータ制御信号に基づいて、モータジェネレータ112への電力の供給を停止する。
以上のような構成およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る内燃機関の始動装置の動作について図3を用いて説明する。
ハイブリッド車両の走行中、あるいは停止中において、予め定められたエンジン停止条件が成立すると、制御部118は、エンジン102を停止させる制御を行なう。エンジン102を停止させた時、制御部118は、膨張行程にある気筒を判定して、予め定められた量の燃料を噴射しておく。このとき、予め定められた量とは、点火したときにクランクシャフト122の回転が可能になるような燃料噴射量である。そして、エンジン102の始動条件が成立すると(S1000にてYES)、図3(A)に示すように、制御部118において、エンジンの始動指令を受信する。制御部118は、エンジンの始動指令を受信すると、図3(B)に示すように点火信号をスパークプラグに送信して点火処理を行なう(S1100)。このとき、エンジン102の停止時に燃料が充填された膨張行程にある気筒のスパークプラグにおいて電力が供給されて、気筒内の燃料が点火される。気筒内で燃料が着火し燃焼すると、図3(C)に示すように燃焼トルクが発生する。そして、燃焼トルクによりピストンが押し下げられて、図3(D)に示すように、回転センサからパルス信号が出力されて、クランクシャフトの回転が検出されると(S1200にてYES)、インバータ114からバッテリ116の電力がモータジェネレータ112に供給される。電力の供給を受けてモータジェネレータ112の駆動が開始される(S1300)。そして、クランクシャフトの回転数が予め定められた回転数または、クランクシャフトの回転角度が予め定められた角度になると(S1400にてYES)、モータジェネレータ112の駆動を終了される(S1500)。
以上のようにして、本実施の形態に係る内燃機関の始動装置によると、始動装置は、電力の供給を受けて、レシプロエンジンにおけるクランクシャフトを回転させる電動機(たとえば、ベルト等の伝達機構を介して接続された補機モータあるいは車両走行用モータ)と、電動機の動作を制御するための制御部とを含む。制御部は、点火処理後であって、かつクランクシャフトの回転数が0以上になると、電動機への電力の供給を開始するように制御する。内燃機関において点火処理後、着火が進行し燃焼トルクがある程度大きくなる。燃焼トルクの増大に伴うクランクシャフトの回転数が0以上になると、電動機への電力の供給を開始するように制御して、クランキングを行なう。これにより燃焼時の燃焼室内の圧力が負圧側に推移しなくなる。そのため、熱効率の低下を抑制できる。
したがって、燃焼トルクを有効にクランクシャフトに付与することが可能となり、電動機に要求されるトルクの低減が図れる。すなわち、電動機において消費電力の低減が図れる。また、クランクシャフトが回転を始めてからクランキングを行なうため、バッテリ等の蓄電機構から電動機へのロック電流(突入電流)が流れる時間が短縮される。これにより電動機および電動機の駆動素子の発熱を抑制できる。さらに、バッテリの電圧低下が抑制されるため車両内の各ECUの電源遮断を防止することができる。
したがって、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなく、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる内燃機関の始動装置を提供することができる。
また、始動装置は、レシプロエンジンにおけるクランクシャフトが回転可能になる燃料噴射量になるように調整する。停止時の膨張行程にある気筒内に噴射する燃料を、クランクシャフトを回転させられるだけの燃料噴射量に調整する。これにより、噴射量をクランクシャフトの回転に必要最小限の燃料噴射量とすることができる。そのため、燃料の消費量を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
以下、図4を参照して、第2の実施の形態に係る内燃機関の始動装置について説明する。本実施の形態に係る内燃機関の始動装置は、エンジンを駆動源とする車両の停止時において、できるだけエンジンを停止する制御を行なうアイドルストップシステムが搭載された車両に適用される。内燃機関は、本実施の形態において、レシプロエンジンを一例として説明するが特に限定されない。点火処理後に回転力を出力する出力軸を有する内燃機関であればよい。
本実施の形態に係る内燃機関の始動装置は、エンジン102と、クランクシャフト122と、変速機104と、タイミングロータ126と、制御部128と、燃料噴射装置120と、クランクポジションセンサ124とから構成される。
上述した第1の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付してある。その機能も同じである。したがって、その詳細な説明は繰返さない。
クランクポジションセンサ124は、特に限定されるものではないが、極低回転でも逆転、正転を判別できるセンサである。クランクポジションセンサ124は、タイミングロータ126に対向して設けられている。そして、クランクシャフト122の回転角度、回転速度あるいは回転数に対応した回転検知信号を制御部128に送信する。
制御部128は、アイドリングストップシステムを実行する。アイドリングストップシステムは、制御部128に入力されたエコラン条件に基づいて、エンジン102の停止条件が成立すると、エンジン102を停止させる制御を行なう。このとき、制御部128は、エンジン102の停止時に、膨張行程にある気筒を判定する。具体的には、クランクポジションセンサ124からの回転検知信号に基づいて、制御部128はクランクシャフト122の回転角度、回転速度あるいは回転数を検知する。そして、クランクシャフト122の回転角度、回転速度あるいは回転数に基づいて、制御部128は膨張行程にある気筒を判定する。
そして、制御部128に入力されたエコラン条件に基づいて、エンジン102の始動条件が成立すると、制御部128は、スタータ130に電力を供給して回転させて、エンジン100を再始動(クランキング)させる。具体的には、制御部128は、膨張行程にある気筒に点火処理を行なう。すなわち、制御部128は、膨張行程にある気筒のスパークプラグに対して電力を供給する制御を行なう。本発明は、エンジン102の再始動時のスタータ130の駆動の制御に特徴を有する。制御部128は、点火処理後であって、かつ予め定められた時間が経過すると、スタータ130への電力の供給を開始するように制御する。なお、予め定められた時間は、点火処理後にクランクシャフト122が回転し始めるまでの時間であれば特に限定されない。
図5を参照して、制御部128で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、上述した第1の実施の形態において説明した図2のフローチャートの同じ処理については、同じステップ番号を付してある。したがって、その詳細な説明は繰返さない。
S2000にて、制御部128は、エンジン102の膨張行程の気筒に点火処理を行なった後、予め定められた時間が経過したか否かを判断する。予め定められた時間が経過したか否かの判断は、たとえば、制御部128の内部のタイマーにより、点火処理を行なった後、カウントする。そして、制御部128は、カウントされた時間に基づいて、予め定められた時間が経過したか否かを判断する。
以上のような構成およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る内燃機関の始動装置200の動作について説明する。
アイドリングストップシステムを有する車両の停止時かつエンジン102のアイドリング状態において、予め定められたエンジン停止条件が成立すると、制御部128は、エンジン102が停止するように制御する。エンジン102を停止させた時、制御部118は、膨張行程にある気筒を判定して、予め定められた量の燃料を噴射しておく。このとき、予め定められた量とは、点火したときにクランクシャフト122の回転が可能になるような燃料噴射量である。そして、エンジン102の始動条件が成立すると(S1000にてYES)、制御部128は、エンジン102の始動条件が成立すると出力される点火信号に基づいて点火処理を行なう(S1100)。このとき、制御部118は、エンジン102の停止時に燃料が充填された膨張行程にある気筒のスパークプラグに電力を供給して気筒内の燃料に点火する。そして、点火処理後、予め定められた時間が経過すると(S2000にてYES)、スタータ130の駆動が開始される(S1300)。クランクシャフトの回転数が予め定められた回転数または、クランクシャフトの回転角度が予め定められた角度になると(S1400にてYES)、スタータの駆動を終了する。
以上のようにして、本実施の形態に係る内燃機関の始動装置によると、始動装置は、電力の供給を受けて、レシプロエンジンにおけるクランクシャフトを回転させる電動機(たとえば、スタータ)と、電動機の動作を制御するための制御部とを含む。制御部は、点火処理後であって、かつ予め定められた時間が経過すると、電動機への電力の供給を開始するように制御する。これにより、内燃機関において点火処理後、着火が進行し燃焼トルクがある程度大きくなる。点火処理後予め定められた時間が経過すると燃焼トルクは増大する。このとき、電動機への電力の供給を開始するように制御して、クランキングを行なう。これにより燃焼時の燃焼室内の圧力が負圧側に推移しなくなる。そのため、熱効率の低下を抑制できる。したがって、燃焼トルクを有効にクランクシャフトに付与することが可能となり、電動機に要求されるトルクの低減が図れる。すなわち、電動機において消費電力の低減が図れる。また、燃焼トルクによりクランクシャフトが回転を始めてからクランキングを行なうと、バッテリから電動機へのロック電流(突入電流)が流れる時間が短縮される。これにより電動機および電動機の駆動素子の発熱を抑制できる。さらに、バッテリの電圧低下が抑制されるため車両内の各ECUの電源遮断を防止することができる。したがって、再始動要求に対する内燃機関の始動の遅れを発生させることなく、かつ再始動時におけるバッテリの電圧の大幅な低下を回避できる内燃機関の始動装置を提供することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
第1の実施の形態に係る内燃機関の始動装置のブロック図である。 第1の実施の形態に係る内燃機関の始動装置の制御構造を示すフローチャートである。 第1の実施の形態に係る内燃機関の始動装置の動作のタイミングチャートである。 第2の実施の形態に係る内燃機関の始動装置のブロック図である。 第2の実施の形態に係る内燃機関の始動装置の制御構造を示すフローチャートである。
符号の説明
100,200 始動装置、102 エンジン、104 変速機、106 クランクシャフトプーリ、108 ベルト、110 モータプーリ、112 モータジェネレータ、114 インバータ、116 バッテリ、118,128 制御部、120 燃料噴射装置、122 クランクシャフト、124 クランクポジションセンサ、126 タイミングロータ、130 スタータ。

Claims (7)

  1. 内燃機関の停止時に膨張行程にある燃焼室へ燃料を噴射し、再始動時に前記燃焼室に点火処理を行なう内燃機関の始動装置であって、前記内燃機関は、前記点火処理に基づいて回転力を出力する出力軸を有し、
    前記始動装置は、
    電力の供給を受けて、前記出力軸を回転させる電動機と、
    前記電動機の動作を制御するための制御手段とを含み、
    前記制御手段は、前記点火処理後であって、かつ前記出力軸の回転数が予め定められた回転数以上になると、前記電動機への電力の供給を開始するように制御するための手段を含む、内燃機関の始動装置。
  2. 前記始動装置は、前記出力軸が前記内燃機関による回転力により回転したか否かを検知するための検知手段をさらに含む、請求項1に記載の内燃機関の始動装置。
  3. 内燃機関の停止時に膨張行程にある燃焼室へ燃料を噴射し、再始動時に前記燃焼室に点火処理を行なう内燃機関の始動装置であって、前記内燃機関は、前記点火処理に基づいて回転力を出力する出力軸を有し、
    前記始動装置は、
    電力の供給を受けて、前記出力軸を回転させる電動機と、
    前記電動機の動作を制御するための制御手段とを含み、
    前記制御手段は、前記点火処理後であって、かつ予め定められた時間が経過すると、前記電動機への電力の供給を開始するように制御するための手段を含む、内燃機関の始動装置。
  4. 前記始動装置は、始動時において前記出力軸が回転可能になる燃料噴射量になるように調整するための調整手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の始動装置。
  5. 前記予め定められた回転数は、前記出力軸が回転し始める0より大きい回転数である、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の始動装置。
  6. 前記内燃機関は、レシプロエンジンを含み、
    前記出力軸は、クランクシャフトである、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の始動装置。
  7. 前記電動機は、スタータ、補機モータおよび車両走行用モータのいずれかである、請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の始動装置。
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