JP2005221299A - 金属イオンの測定方法および金属イオン測定装置 - Google Patents

金属イオンの測定方法および金属イオン測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶液中の金属イオンの種類およびその濃度をオンラインで測定することが可能な測定方法および測定装置を得る。
【解決手段】 測定溶液中に、作用電極と対極とを浸漬するステップ、上記作用電極と上記対極との間に電流を流し、電気化学反応による電位−電流曲線を測定して溶液中の金属イオンの種類を特定するステップ、特定された金属イオンの還元電位に上記作用電極の電位を保持するステップ、上記作用電極上に形成される金属被膜により発生する上記作用電極の微小変形量を検出するステップ、及び上記微小変形量を基に、溶液中の金属イオン濃度を決定するステップを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶液中に存在する微量物質の濃度を測定する測定方法および測定装置に関するものであり、特に溶液中の金属イオンの種類およびその濃度を測定するものである。
従来、溶液中に存在する微量物質の濃度を測定する方法としては、光熱分光法を利用した物質濃度の測定法があった(例えば、非特許文献1参照。)。
この方法においては、測定試料の吸収波長に合わせた波長の励起光と、試料が吸収を持たない波長領域を有するプローブ光との2本のレーザー光を用いて測定を行う。測定試料に吸収された励起光のエネルギーが熱として変換されることにより、レーザーの焦点付近に温度勾配が生じ、その結果として溶液中に存在する微量物質の濃度勾配も生じる。その結果、励起光の照射部に屈折率の差が生じ、濃度勾配に対応した熱レンズ効果が現われる。この効果を利用して、プローブ光を上記照射部に照射すると、プローブ光は濃度勾配に対応した熱レンズにより屈折し、光路変化が生じる。光検出器近傍にピンホールを設置し、熱レンズ効果により発生した屈折率の差を、光検出器に入射するレーザー光の強度差として検出することで、溶液中の微量物質の濃度を高感度に決定することができる。
北森ら,「熱レンズ顕微鏡」,Jpn.J.Appl.Phys.39,5316−5322(2000)
しかしながら、上記光熱分光法では物質の光吸収を利用しているため、光吸収により変化する物質や、光吸収が非常に大きい物質の濃度測定は困難であった。また、光を吸収しない物質、例えば、溶液中の金属イオンの濃度を上記光熱分光法を利用した測定方法により測定しようとすると、一旦、測定しようとする金属イオンに対して特定波長の光を吸収する物質でマーキングする必要があり、オンラインで上記金属イオンの濃度を検出することができなかった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、溶液中の金属イオンの種類およびその濃度をオンラインで測定することが可能な測定方法および測定装置を得ることを目的としている。
この発明に係る金属イオンの測定方法は、測定溶液中に、作用電極と対極とを浸漬するステップ、上記作用電極と上記対極との間に電流を流し、電気化学反応による電位−電流曲線を測定して溶液中の金属イオンの種類を特定するステップ、特定された金属イオンの還元電位に上記作用電極の電位を保持するステップ、上記作用電極上に形成される金属被膜により発生する上記作用電極の微小変形量を検出するステップ、及び上記微小変形量を基に、溶液中の金属イオン濃度を決定するステップを備えたものである。
また、この発明に係る金属イオン測定装置は、内部を溶液が通過、または内部に溶液を収納する装置本体、上記装置本体内の溶液と接触するように配置される作用電極と対極、上記作用電極の電位を制御する制御手段、上記作用電極の電位に対応して流れる電流を検出する電位−電流検出手段、および電気化学反応により上記作用電極の電極表面に形成される金属皮膜によって変形する上記作用電極の変形量を検出する変形量検出手段を備えたものである。
この発明による金属イオンの測定方法では、電気化学反応による電位−電流曲線を測定しており、これにより溶液中の金属イオンの種類を特定することが可能になる。また、上記電気化学反応によって電極上に形成される金属被膜により上記電極が変形することを利用し、上記電極の微量変形量を測定することにより、溶液中の金属イオンの微量定量測定がオンラインでも可能となる。
また、この発明の金属イオンの測定装置は、内部を溶液が通過、または内部に溶液を収納する装置本体、上記装置本体内の溶液と接触するように配置される作用電極と対極、上記作用電極の電位を制御する制御手段、上記作用電極の電位に対応して流れる電流を検出する電位−電流検出手段、および電気化学反応により上記作用電極の電極表面に形成される金属皮膜によって変形する上記作用電極の変形量を検出する変形量検出手段を備えているので、溶液中の金属イオンの種類およびその濃度を容易に測定することが可能となる。
実施の形態1.
水溶液中に溶解している金属イオンの酸化還元電位はイオンの種類により異なる。溶液中に作用電極を浸漬して作用電極との間で電荷の移動を起こせば、溶液中の金属イオンの還元析出反応が起こり、作用電極表面に金属膜や吸着化合物層等の皮膜が形成される。その際の還元電流の観測される電位より溶液中に存在する金属イオンの種類が特定できる。
また、電極表面に析出する皮膜の成長速度および厚みは溶液中の金属イオン濃度に対応して変化する。一般に、下地金属の表面に金属皮膜が形成される場合、皮膜と下地金属との間で結晶の不整合が生じる。特に皮膜と下地金属との界面部分では多くの格子欠陥、転位が発生し、これが皮膜の成長とともに増加するため、皮膜と下地金属間に応力が発生する。下地金属の表面にめっき膜、気相形成膜、酸化皮膜等が生成する場合、いずれも応力が発生することが報告されている。本実施の形態の場合も、同様に、電極表面に析出した皮膜は作用電極に応力を発生させ、その結果、作用電極は微小変形する。例えば、長さ85mm、幅10mm、厚み0.2mmの白金板上にNiめっき(厚み10μm)した場合の膜ひずみは0.01%程度であり、変形量は500nm程度であった。なお、この場合の応力は基板に対する圧縮応力であった。よって、長さ100mmの基板上に金属イオンを析出させた場合、10nm−500nm程度の変形が期待できる。そこで、この微小変形量を検出すると共に、電極の微小変形量と溶液中のイオン濃度との関係を明確にした検量線、あるいは電極の微小変形量の時間微分値と溶液中のイオン濃度との関係を明確にした検量線を予め作成しておき、この検量線を用いることで溶液中のイオン濃度を決定することができる。
以下、本実施の形態1による金属イオンの測定方法を図1に基づいて説明する。
まず、金属電極を表面に形成したガラス等の基板を作用電極とし、上記作用電極と対極とを測定試料に直接、浸漬する(ステップS1)。
次に、溶液中に浸漬した作用電極と対極との間に電流を流し、電気化学反応による電位−電流曲線(分極曲線)を測定する(ステップS2)。図2に作用電極への電位走査による電流スペクトルの概念図を示す。図2において、横軸は電位(V(SHE:標準水素電極基準))、縦軸は電流(A)である。溶液中の各種イオンの酸化還元電位はイオンの種類によって異なるために、電位走査を行うと、特定の電位で、溶液中の金属イオンが還元析出反応をおこし、この反応に対応した電流スペクトルが観察される。還元電流の観測される電位より溶液中に溶解しているイオン種を決定する(ステップS3)。
次に、決定されたイオン種に対応した電位に作用電極の電位を保持する(ステップS4)。その結果、金属イオンは作用電極表面に析出、または吸着し、電極表面に皮膜を形成する。皮膜の成長速度および厚みは溶液中のイオン濃度に対応して変化する。また、電極表面に形成した皮膜は作用電極に応力を発生させる。
作用電極として薄いガラス基板上に金属蒸着薄膜を形成したものを用いれば、金属イオンの還元反応が起こる電極電位に保持した場合、金属膜の形成により作用電極に発生する応力により、上記作用電極は微小変形する。この微小変形量を高感度で測定し(ステップS5)、測定した微小変形量の時間微分値を計算し(ステップS6)、計算値と、電極の微小変形量の時間微分値と溶液中のイオン濃度との関係を予め測定した検量線とを対応させることで、溶液中の金属イオン濃度を決定する(ステップS7)。このような方法により、溶液中の金属イオン濃度をオンラインで高感度に決定することができる。また、本発明の測定方法は電気化学反応を利用しており、溶液の光吸収や光反応による溶液変質等の制約を受けない効果がある。
なお、基板の微小変形量を高感度で測定する方法としては、干渉縞による測定、レーザー光の変位を測定、圧電素子による測定、静電容量の変化を測定する等の方法がある。
また、上記実施の形態において、ステップS1では、作用電極を直接、測定しようとする溶液系に浸漬したが、溶液をセル内に取り分け、このセル内に作用電極と対極とを浸漬してイオン種を決定しても良い。その場合は、ステップS5で微小変形量を高感度で測定したら、ステップS6の計算を行わず、ステップS7において、測定した微小変形量と、電極の微小変形量と溶液中のイオン濃度との関係を予め測定した検量線とを対応させることで、溶液中のイオン濃度をオフラインで決定することができる。
また、溶液をセル内に取り分ける場合、溶液中の電気伝導性を上げるために電解質を添加するとよい。望ましい電解質とは、電極反応に関与せず、溶液のpHを安定させるものである。このような電解質には、ほう酸+ほう砂溶液がある。
また、水溶液中での電気化学反応においては、水の電気分解反応がイオンの酸化還元反応と同時に起こる。アノード側の電位では酸素の発生が、カソード側の電位では水素が発生する。そのため、微小な電流を検出するためには、これらの電流成分を除く必要がある。今回の実験では、純水中で分極曲線を予め測定し、その後、目的とする溶液中で分極曲線を測定した。両者の差分を取ることで、溶液中の金属イオンの酸化還元反応に伴う電流を高精度に観測できた。また、ほう酸+ほう砂等の電解質を添加する場合においても、電解質を加えた水溶液中で分極曲線を予め測定し、その後、目的とする溶液に同じ電解質を加えた溶液中で分極曲線を測定し、両者の差分を取ることで、溶液中の金属イオンの酸化還元反応に伴う電流を高精度に観測できた。その結果、溶液中に溶解しているイオン種を精度良く決定することができる。
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2による金属イオンの測定装置を示す構成図であり、図3(a)は横断面構成図、図3(b)は上面構成図である。本実施の形態2による測定装置は溶液1が流れる流路2中に装置本体100を設置するものであり、溶液中の金属イオンをオンラインで測定できるものである。また、本実施の形態2による測定装置は光干渉縞を利用して作用電極の微小変形量を高感度で測定するものである。図において、装置本体100は、溶液1が流れる流路2と装置本体100に設けられた流路2aとが連通するように設置される。上記流路2aの上面には作用電極3が設置され、作用電極3の上面には作用電極3と所定の間隔をおいてガラス基板よりなる基準面4が設置されている。作用電極3は、ガラス基板(例えば、厚さ0.1mm)31上に金属電極32が形成されたものであり、金属電極32としては例えば蒸着によりAu膜を形成したものである。また、ガラス基板31の金属電極32と反対側の面は反射面をなしている。作用電極3は金属電極32側を溶液1が流れる側に面して設置すると共に、金属電極32が溶液1と接するように設置する。また、作用電極3は一端(1辺)3aが装置本体100の流路2aに固定され、他端(3辺)3bは装置本体100に固定されず自由端となっており、溶液面と直行する方向に変形することが可能になっている。基準面4は作用電極3と反対側の面が反射面よりなるガラス基板であり、四方が板装置本体100に固定され、変形しないように構成されている。また、流路2a内には、白金よりなる対極5と、参照電極(Ag/AgCl電極)6とが設置され、作用電極3と対極5との間にはポテンショスタット10より電流が流される。参照電極6は作用電極3の電位を測るためのものであり、ポテンショスタット10は作用電極3の電位を制御すると共に、作用電極3の電位に対応して流れる電流を検出する。基準面4の上部にはレーザー干渉計7が設置されている。レーザー干渉計7は、例えばレーザー光源71と、ハーフミラー72と、レンズ73と、CCDカメラ74とで構成され、レーザー光源71から出射するレーザー光75の反射光76をCCDカメラ74で検出することにより、作用電極3が変形した際に、基準面4と作用電極3との間に発生する干渉縞70を検出する。
次に、本実施の形態による金属イオンの測定装置により、金属イオンの種類、及び濃度を測定する方法を示す。
まず、作用電極3と対極5との間に電圧を印加して電流を流す。その際、印加する電圧を変化させ、作用電極3への電位を+1Vから−2Vまで走査する。電位走査による電流スペクトルを測定し、水中の存在イオン種を特定する。
次に、作用電極の電位を、濃度の測定を行う金属イオンの還元電位、例えばPbの−0.126V(SHE:標準水素電極基準)に保持する。作用電極3と溶液1との界面で還元反応が起こり、金属電極32の表面にPb皮膜が形成されるとともに、ガラス基板31が応力により変形する。
この変形により基準面4とガラス基板31との間に図3(b)に示すような干渉縞70が発生するが、CCDカメラ74の観察領域Aをこの干渉縞70の発生部分に設定し、観測される干渉縞の幅を測定することにより、作用電極3の変形量が計算できる。なお、干渉縞の測定には波長650nmの半導体レーザーを用いた。干渉縞を用いた電極の変形量の測定に対する理論的な分解能は6nm程度である。
さらに、干渉縞の幅の時間変化を測定することにより作用電極3の変形量の時間微分値を計算し、計算値と、予め測定した電極の微小変形量の時間微分値と溶液中のイオン濃度との関係を表す検量線とを対応させることで、溶液中の金属イオン濃度を決定することができる。これにより、溶液中の金属イオン濃度をオンラインで高感度に決定することができる。
また、本実施の形態の測定装置の場合、電極の変形量の測定は全て溶液の外側で実施する構成であるため、溶液の光吸収の大きい場合や、溶液が光により変質する場合でも測定は可能であった。
なお、上記実施の形態においては、作用電極3の一端(1辺)3aを装置本体100に固定し、残りの3辺は自由端としたが、対向する2辺を装置本体100に固定し、他の2辺を自由端とする構成であってもよい。この場合、現われる干渉縞は対称形になるが、同様にして干渉縞の幅を測定すればよい。
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3による金属イオンの測定装置を示す構成図であり、図4(a)は横断面構成図、図4(b)は上面構成図である。本実施の形態3による測定装置は溶液1が流れる流路2中に装置本体100を設置するものであり、溶液中の金属イオンをオンラインで測定できるものである。また、本実施の形態3による測定装置はレーザー光を作用電極に照射し、作用電極のベンディングによるレーザー反射光の変位を利用して作用電極の微小変形量を高感度で測定するものである。図において、装置本体100は、溶液1が流れる流路2と装置本体100に設けられた流路2aとが連通するように設置される。また、上記流路2aの上面には孔2bが開けられている。ガラスの薄板基板31(厚さ0.1mm)上に金属電極32としてAu薄膜を形成し、これを作用電極3とする。作用電極3が設けられたガラス基板31の一端3aは流路2aの底面に固定され、ガラス基板31の他端3bは孔2bを介して流路2aの外にあり自由端をなしている。即ち、ガラス基板31は一端部が溶液中に浸漬され、他端部は溶液外に設置されている。また、流路2a内には、白金よりなる対極5と、参照電極(Ag/AgCl電極)6とが設置され、作用電極3と対極5との間にはポテンショスタット10より電流が流される。参照電極6は作用電極3の電位を測るためのものであり、ポテンショスタット10は作用電極3の電位を制御すると共に、作用電極3の電位に対応して流れる電流を検出する。また、ガラス基板31の自由端付近の基板上には、レーザー光の反射ミラーになるように金属(Ti)薄膜33が蒸着されており、この金属薄膜33上に、レーザー光源(半導体レーザー)71を用いてレーザー光75を照射する。レーザー光75は金属薄膜33表面で反射され、反射されたレーザー光76が受光素子に入射するように受光器(CCDカメラ)74を設置する。
次に、本実施の形態による金属イオンの測定装置により、金属イオンの種類、及び濃度を測定する方法を示す。
まず、作用電極3と対極5との間に電圧を印加して電流を流す。その際、印加する電圧を変化させ、作用電極3への電位を+1Vから−2Vまで走査する。電位走査による電流スペクトルを測定し、水中の存在イオン種を特定する。
次に、作用電極3の電位を溶存する金属イオンの還元析出電位に保持すると、作用電極3上に金属皮膜が形成され、これにより作用電極側に発生する応力によりガラス基板31が変形する。その結果、反射レーザー光76の光路が変化し、受光器74上のレーザースポットの位置が移動する。受光器74に入力する反射光76は、ガラス基板31の変形量を拡大して受光器74上を移動するため、ガラス基板31の微小な変形を高感度に検出することができる。即ち、反射レーザー光のスポット移動距離の時間変化を測定することにより、作用電極3の変形量の時間微分値を計算し、計算値と、予め測定した電極の微小変形量の時間微分値と溶液中のイオン濃度との関係を表す検量線とを対応させることで、溶液中の金属イオン濃度を決定することができる。これにより、溶液中の金属イオン濃度をオンラインで高感度に決定することができる。
また、本実施の形態の測定装置においても、電極の変形量の測定は全て溶液の外側で実施する構成であるため、溶液の光吸収の大きい場合や、溶液が光により変質する場合でも測定は可能であった。
実施の形態4.
図5は本発明の実施の形態4による金属イオンの測定装置を示す構成図であり、図5(a)は横断面構成図、図5(b)は上面構成図である。本実施の形態4による測定装置は溶液1が流れる流路2中に装置本体100を設置するものであり、溶液中の金属イオンをオンラインで測定できるものである。また、本実施の形態4による測定装置は光ファイバを作用電極に沿って設置し、作用電極のベンディングによるレーザー光の光路変化を検出して上記作用電極の微小変形量を高感度で測定するものである。図において、装置本体100は、溶液1が流れる流路2と装置本体100に設けられた流路2aとが連通するように設置される。また、上記流路2aの上面及び底面にはそれぞれ孔2b、2cが開けられ、実施の形態3と同様、作用電極3を構成するガラス基板31の一端部3aは流路2aの底部に固定されて溶液中に浸漬され、自由端をなす他端部3bは溶液外に設置されている。また、ガラス基板31は、少なくとも、溶液中に浸漬している部分の表面に金属電極32が施されている。また、流路2a内には、白金よりなる対極5と、参照電極(Ag/AgCl電極)6とが設置され、作用電極3と対極5との間にはポテンショスタット10より電流が流される。参照電極6は作用電極3の電位を測るためのものであり、ポテンショスタット10は作用電極3の電位を制御すると共に、作用電極3の電位に対応して流れる電流を検出する。また、流路2aの上面と底部とに設けられた孔2b、2cを通り、かつガラス基板31の一端3aから他端3bに沿って光ファイバ77が設置されている。光ファイバ77の下端部より入射したレーザー光は光ファイバ77の上端部より出射し、レンズ78を介して受光器74に入力するように構成されており、さらに、レンズ78と受光器74との間にはピンホールを有するアパーチャ79が設置されている。
次に、本実施の形態による金属イオンの測定装置により、金属イオンの種類、及び濃度を測定する方法を示す。
まず、作用電極3と対極5との間に電圧を印加して電流を流す。その際、印加する電圧を変化させ、作用電極3への電位を+1Vから−2Vまで走査する。電位走査による電流スペクトルを測定し、水中の存在イオン種を特定する。
次に、作用電極3の電位を溶存する金属イオンの還元析出電位に保持すると、作用電極3上に金属皮膜が形成され、これにより作用電極側に発生する応力によりガラス基板31が変形する。その結果、ガラス基板31に沿って設けられた光ファイバ77が曲げられる。出力側の光ファイバ端面と受光器74との間にはアパーチャ78が設けられているので、光ファイバ77の変形量が大きい場合には受光器74に入力される光量が減少する。受光器74が検出する光量の時間変化を測定することにより、作用電極3の変形量の時間微分値を計算し、計算値と、予め測定した電極の微小変形量の時間微分値と溶液中のイオン濃度との関係を表す検量線とを対応させることで、溶液中の金属イオン濃度を決定することができる。これにより、溶液中の金属イオン濃度をオンラインで高感度に決定することができる。
また、本実施の形態の測定装置においても、電極の変形量の測定は全て溶液の外側で実施する構成であるため、溶液の光吸収の大きい場合や、溶液が光により変質する場合でも測定は可能であった。
実施の形態5.
図6は本発明の実施の形態5による金属イオンの測定装置を示す構成図であり、図6(a)は横断面構成図、図6(b)は上面構成図である。本実施の形態5による測定装置は溶液1が流れる流路2中に装置本体100を設置するものであり、溶液中の金属イオンをオンラインで測定できるものである。また、本実施の形態5による測定装置はピエゾ素子を用いて作用電極の微小変形量を高感度で測定するものである。図において、装置本体100は、溶液1が流れる流路2と装置本体100に設けられた流路2aとが連通するように設置される。また、上記流路2aの上面には作用電極3が設置されている。作用電極3はガラス基板(例えば、厚さ0.1mm)31上に金属電極32が形成されたものであり、金属電極32としては例えば蒸着によりAu膜を形成したものである。また、作用電極3は金属電極32側を溶液1が流れる側に面して設置すると共に、金属電極32が溶液1と接するように設置されている。また、作用電極3は一端3aが装置本体100の流路2aに固定され、他端3bは装置本体100に固定されず自由端となっており、溶液面と直行する方向に変形することが可能になっている。さらに、溶液1に接する側と反対のガラス基板31上にはピエゾ素子80が貼付され、さらに上記ピエゾ素子80は流路2aと結合した支持梁81に固定されて、上記ガラス基板31と支持梁81で挟み込まれた構造となっている。作用電極3が変形すると、ピエゾ素子80に応力が加わり、応力に応じてピエゾ素子80が歪む。ピエゾ素子80に設けられた微小電圧検出装置82はピエゾ素子80の歪み量を電圧として出力する。また、流路2a内には、白金よりなる対極5と、参照電極(Ag/AgCl電極)6とが設置され、作用電極3と対極5との間にはポテンショスタット10より電流が流される。参照電極6は作用電極3の電位を測るためのものであり、ポテンショスタット10は作用電極3の電位を制御すると共に、作用電極3の電位に対応して流れる電流を検出する。
次に、本実施の形態による金属イオンの測定装置により、金属イオンの種類、及び濃度を測定する方法を示す。
まず、作用電極3と対極5との間に電圧を印加して電流を流す。その際、印加する電圧を変化させ、作用電極3への電位を+1Vから−2Vまで走査する。電位走査による電流スペクトルを測定し、水中の存在イオン種を特定する。
次に、作用電極3の電位を溶存する金属イオンの還元析出電位に保持すると、作用電極3上に金属皮膜が形成され、これにより作用電極側に発生する応力によりガラス基板31が変形する。その結果、ピエゾ素子80が歪む。ピエゾ素子30の歪み量を微小電圧検出装置82により電圧値として検出することにより、高感度に作用電極3の変形量が計測できる。検出される電圧値の時間変化を測定することにより、作用電極3の変形量の時間微分値を計算し、計算値と、予め測定した電極の微小変形量の時間微分値と溶液中のイオン濃度との関係を表す検量線とを対応させることで、溶液中の金属イオン濃度を決定することができる。これにより、溶液中の金属イオン濃度をオンラインで高感度に決定することができる。
また、本実施の形態の測定装置においても、電極の変形量の測定は全て溶液の外側で実施する構成であるため、溶液の光吸収の大きい場合や、溶液が光により変質する場合でも測定は可能であった。
なお、上記実施の形態ではガラス基板31へピエゾ素子80を貼付するものを示したが、金属電極32をピエゾ素子80そのものの上に形成してもよく、同様の効果が得られた。
また、上記実施の形態においては、作用電極3の一端(1辺)3aを装置本体100に固定し、残りの3辺は自由端としたが、対向する2辺を装置本体100に固定し、他の2辺を自由端とする構成であってもよい。この場合、ピエゾ素子80の歪み量は上記実施の形態より小さいが、ピエゾ素子30の歪み量が微小電圧検出装置82により電圧値として検出可能な範囲であれは、同様にして作用電極3の変形量が計測できる。
実施の形態6.
本実施の形態6による測定装置は図6におけるガラス基板31と支持梁81との間の静電容量の微小変化から作用電極3の微小変形量を高感度で測定するものである。装置構成は図6と同様であるが、ピエゾ素子80は無く、替りに支持梁81の、作用電極3との対向面に金属電極(対向電極)が施されると共に、上記対向電極と作用電極3との間の静電容量を測定する検出器を備える。
金属イオンの濃度を測定するにあたっては、検出される静電容量の値の時間変化を測定することにより、作用電極3の変形量の時間微分値を計算し、以下実施の形態5と同様にして溶液中の金属イオン濃度を決定することができる。
これにより、溶液中の金属イオン濃度をオンラインで高感度に決定することができる。
なお、上記各実施の形態では、測定装置を溶液1が流れる流路2中に設置して金属イオン種及び金属イオン濃度をオンラインで測定するものを示したが、溶液1をセル内に取り分けて測定しても良い。その場合、セルには上記各実施の形態と同様の構成の作用電極を設け、上記作用電極を設けたガラス基板の微小変形量を、各実施の形態と同様に、干渉縞、レーザー光の変位、圧電素子、静電容量の変化等で測定することにより、イオン濃度を高感度で測定することが可能となる。
本発明の実施の形態1による金属イオンの測定方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係わる作用電極への電位走査による電流スペクトルの概念図を示す。 本発明の実施の形態2による金属イオンの測定装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態3による金属イオンの測定装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態4による金属イオンの測定装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態5による金属イオンの測定装置を示す構成図である。
符号の説明
1 溶液、2,2a 流路、2b,2c 孔、3 作用電極、31 ガラス基板、32 金属電極、33 金属薄膜、4 基準面、5 対極、6 参照電極、7 レーザー干渉計、10 ポテンショスタット、70 干渉縞、71 レーザー光源、72 ハーフミラー、73,78 レンズ、74 CCDカメラ、75 レーザー光、76 反射光、77 光ファイバ、79 アパーチャ、80 ピエゾ素子、81支持梁、82 微小電圧検出装置、100 装置本体。

Claims (7)

  1. 測定溶液中に、作用電極と対極とを浸漬するステップ、上記作用電極と上記対極との間に電流を流し、電気化学反応による電位−電流曲線を測定して溶液中の金属イオンの種類を特定するステップ、特定された金属イオンの還元電位に上記作用電極の電位を保持するステップ、上記作用電極上に形成される金属被膜により発生する上記作用電極の微小変形量を検出するステップ、及び上記微小変形量を基に、溶液中の金属イオン濃度を決定するステップを備えたことを特徴とする金属イオンの測定方法。
  2. 内部を溶液が通過、または内部に溶液を収納する装置本体、上記装置本体内の溶液と接触するように配置される作用電極と対極、上記作用電極の電位を制御する制御手段、上記作用電極の電位に対応して流れる電流を検出する電位−電流検出手段、および電気化学反応により上記作用電極の電極表面に形成される金属皮膜によって変形する上記作用電極の変形量を検出する変形量検出手段を備えたことを特徴とする金属イオン測定装置。
  3. 変形量検出手段は、作用電極と所定の間隔をおいて対向配置される基準面、および上記作用電極と上記基準面との間の光干渉縞を検出する光干渉縞検出手段で構成されていることを特徴とする請求項2記載の金属イオン測定装置。
  4. 作用電極は、一端が装置本体に固定され、他端が自由端であり、変形量検出手段は、上記作用電極の他端付近にレーザ光を照射するレーザ照射手段、および上記作用電極の他端付近からの反射レーザ光の位置を検出する光検出手段で構成されていることを特徴とする請求項2記載の金属イオン測定装置。
  5. 作用電極は、一端が装置本体に固定され、他端が自由端であり、変形量検出手段は、上記作用電極の一端から他端に沿って設けられ、上記作用電極の一端側から入射した光が他端側から出射する光ファイバ、および上記光ファイバからの出射光の光路変化を検出する検出手段で構成されていることを特徴とする請求項2記載の金属イオン測定装置。
  6. 変形量検出手段は、装置本体に固定されると共に、作用電極の表面に接触するように設けられ、上記作用電極の変形量を電圧に変換して出力するピエゾ素子で構成されていることを特徴とする請求項2記載の金属イオン測定装置。
  7. 変形量検出手段は、作用電極と所定の間隔をおいて対向配置される対向電極、および上記作用電極と上記対向電極との間の静電容量を検出する検出手段で構成されていることを特徴とする請求項2記載の金属イオン測定装置。
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