JP2005247607A - 水素製造方法および水素製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素から、水素を高収率で製造でき、かつ熱効率が改善された水素製造方法および水素製造装置を提供する。
【解決手段】 炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む気化灯油(炭化水素)と水蒸気とを、改質触媒の存在下にて反応させて、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造方法であって、気化灯油と水蒸気とを、S/C≦4かつ300〜550℃で反応させて水素を生成すると共に、C2炭化水素と水蒸気とを反応させて、C2炭化水素の濃度を低下させる第1工程と、第1工程において、気化灯油のうち未反応の炭化水素分と水蒸気とを、500〜700℃で反応させて水素を生成しつつ、生成した水素および第1工程で生成した水素を、水素透過膜6で分離することで高純度の水素を得る第2工程と、を有する水素製造方法および水素製造装置1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素製造方法および水素製造装置に係り、詳しくは、LPG、ナフサ、灯油などの炭化水素と水蒸気とを反応させて水蒸気改質反応を生じさせ、水素を製造する水素製造方法および水素製造装置に関する。
水素は、従来より、基礎化学品として幅広い分野で使用されており、特に近年においては燃料電池の燃料ガスとして使用されている。水素が燃料電池に使用される場合、高純度の水素を燃料電池のアノード極(燃料極)に供給することで、このアノード極を構成するPtなどの電極触媒への悪影響を防ぎ、燃料電池の起電力を高めることが望まれている。
このような高純度の水素を製造する一方法として、LPG、ナフサ、灯油などの炭化水素(重質炭化水素とも称される)を水蒸気改質することによって、水素を製造する方法が知られている。例えば、特許文献1においては、所定の反応器に炭化水素と水蒸気を導入し、これらを改質触媒下にて水蒸気改質反応させて水素を生成し、生成した水素をPd膜など水素を選択的に透過させる水素透過膜によって水素を分離し、高純度の水素を製造する方法が提案されている。
特開2002−255506号公報(段落番号0011〜0026、図1)
しかしながら、LPG、ナフサ、灯油などの炭化水素は、炭素数が2以上である炭化水素(以下、C2炭化水素と適宜略称する)を含み、このC2炭化水素を含む炭化水素に前記した特許文献1に記載された水素製造方法を適用すると、改質触媒に吸着したC2炭化水素が水蒸気と反応し、水素が生成する前に、C2炭化水素同士が重合して改質触媒の活性点に析出し、その結果、改質触媒の活性が低下してしまい、反応効率が低下してしまうという問題があった。
なお、このようなC2炭化水素同士の重合を防止するため、一般には、炭化水素に対する水蒸気量S/Cを(moles/C-atom)を高め、C2炭化水素同士が重合しにくくなる条件に設定されるが、連続的に多量の水蒸気を供給しなければならず、熱効率が悪化するため、運転コストが高くなるという問題があった。
さらに、このようなC2炭化水素の析出は水素透過膜においても発生し、水素透過膜の連続空隙がC2炭化水素の析出物によって塞がれてしまい(コーキング、目詰まりとも称される)、水素透過率が低下し、水素の収率が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素から、水素を高収率で製造でき、かつ熱効率が改善された水素製造方法および水素製造装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素と水蒸気とを、改質触媒の存在下にて反応させて、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造方法であって、前記炭化水素と前記水蒸気とを、S/C≦4かつ300〜550℃で反応させて水素を生成すると共に、前記C2炭化水素と前記水蒸気とを反応させて、前記C2炭化水素の濃度を低下させる第1工程と、当該第1工程において、前記炭化水素のうち未反応の炭化水素と水蒸気とを、500〜700℃で反応させて水素を生成しつつ、当該生成した水素および前記第1工程で生成した水素を、水素透過膜で分離することで高純度の水素を得る第2工程と、を有することを特徴とする水素製造方法である。
ここで、S/C(moles/C-atom)は、(水蒸気中の水分子の数)/(炭化水素中の炭素原子の数)を意味する。
このような水素製造方法によれば、300〜550℃の低温条件下で、炭化水素と水蒸気とを反応させるため、C2炭化水素などが重合して改質触媒の表面に析出しにくくなり、触媒活性を低下させずに、炭化水素と水蒸気とを反応させて、水素を生成することができる(第1工程)。したがって、前記析出を防止するために、水蒸気を過剰に供給する必要はなく、S/C≦4に水蒸気供給量を抑えることができる。
そして、C2炭化水素の濃度が低下した状態で500〜700℃の高温条件とするため、水素透過膜の表面に炭化水素が析出しにくくなり、水素透過膜の水素透過率を維持可能となり、高効率で水素を分離し、高純度の水素を高収率で得ることができる(第2工程)。
また、このように第1工程における温度範囲を、第2工程における温度範囲より低めに設定した上、水素を高収率で得ることで熱効率は高くなり、低いランニングコストで、水素を製造することができる。
請求項2に係る発明は、前記第1工程において、前記C2炭化水素を20%以上反応させて、前記C2炭化水素の濃度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の水素製造方法である。
このような水素製造方法によれば、第1工程においてC2炭化水素を20%以上反応させるため、第2工程において、第1工程に比して500〜700℃に温度範囲を高めても、C2炭化水素などが重合して改質触媒および水素透過膜の表面に析出せず、水素を生成すると共に、水素透過膜によって水素を分離することができる。
請求項3に係る発明は、前記第1工程は、断熱性を有する反応器内で行い、反応開始時のみ改質触媒を加熱することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素製造方法である。
このような水素製造方法によれば、第1工程は、断熱性の反応器内で行うため、反応開始時に、所定温度に加熱され触媒活性が高められた改質触媒は、その触媒活性を維持可能となり、少ない熱エネルギーによって水素を製造することができる。
請求項4に係る発明は、炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素から、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造装置であって、反応器と、当該反応器に充填され、前記水蒸気改質反応を生じさせる改質触媒と、前記改質触媒を300〜700℃の温度勾配にて加熱する加熱手段と、生成した水素を前記反応器の外部に導く水素導出管と、当該水素導出管の表面に被覆された水素透過膜と、を備え、前記水素導出管は、前記反応器内の500℃以上の高温側に配置されており、前記炭化水素を前記反応器の500℃以下の低温側に導入して、前記C2炭化水素の濃度を低下させつつ水素を生成し、前記高温側にて、前記炭化水素のうち未反応の炭化水素を水蒸気とを反応させて水素を生成しつつ、前記水素導出管にて水素を外部に導出可能としたことを特徴とする水素製造装置である。
このような水素製造装置によれば、300〜700℃の温度勾配にて加熱された改質触媒の500℃以下の低温側から導入された炭化水素および水蒸気は、水蒸気改質反応により、水素を生成しつつ、C2炭化水素の濃度が低下する。したがって、500℃以下の低温条件であるため、C2炭化水素などが上部改質触媒の表面に析出せずに分解され、C2炭化水素の濃度が低下する。よって、前記析出を防止するために、過剰に水蒸気を供給する必要はない。
そして、このようにC2炭化水素の濃度が低下した状態で、炭化水素、水蒸気、水素などが500℃以上の高温側の改質触媒に導入されるため、500〜700℃の高温条件としても、水素透過膜の表面に炭化水素が析出しにくくなる。したがって、生成した水素は効率的に水素透過膜を通過し、水素導出管により外部に導出することができる。
すなわち、このように改質触媒の低温側から炭化水素および水蒸気を導入し、C2炭化水素の濃度が低下させた後に、高温側の改質触媒に導入して、水素を高効率で生成をさせるため、水素の製造において、熱を効率的に利用することができる。
請求項5に係る発明は、前記反応器は、内周壁により仕切られた、内側の加熱室と、当該加熱室を取り囲み、前記炭化水素および前記水蒸気が導入されると共に、前記改質触媒が充填された外側の反応室と、を有しており、前記加熱手段は、加熱室の一端側に配置されたバーナであって、前記反応室の中間位置に開閉可能な開閉板を設け、当該開閉板を開閉させることで、前記バーナにより、前記改質触媒を前記温度勾配にて加熱可能としたことを特徴とする請求項4に記載の水素製造装置である。
このような水素製造装置によれば、加熱室が反応室の内側に配置されたことにより、加熱手段であるバーナから供給される熱量は放射的に反応室に伝達するため、熱効率が高くなる。
そして、前記開閉板を適宜開閉させることで、バーナから改質触媒に伝達する熱量を調整し、改質触媒を300〜700℃の温度勾配にて加熱することができる。
本発明によれば、炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素から、水素を高収率で製造でき、かつ熱効率が改善された水素製造方法および水素製造装置を提供することができる。
次に、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る水素製造方法において使用する水素製造装置の正断面図である。図2は、図1に示す水素製造装置のX−X断面図である。
なお、本実施形態は、特許請求の範囲における炭化水素を、気化された灯油(以下、気化灯油という)とした場合について説明し、まず、水素製造装置について説明した後、水素製造方法について説明する。
<水素製造装置>
図1に示すように、水素製造装置1は、縦型(塔型)の装置であって、上方から気化灯油と水蒸気(H2O)を導入し、内蔵する改質触媒2により、水蒸気改質反応によって水素(H2)を生成すると共に、生成した水素を水素透過膜6によって分離し、この水素を下方から取り出すことで高純度の水素を得る装置である。
水素製造装置1は、主として、外形が円柱状の反応器3と、改質触媒2および気化灯油などを所定温度に加熱するバーナ4(加熱手段)と、生成した水素を外部に導く複数本(本実施形態では6本)の水素導出管5と(図2参照)、各水素導出管5に被覆された水素透過膜6と、反応器3の外周面を覆う断熱材7と、反応器3内に充填された改質触媒2を備えて構成されている。このように水素製造装置1は、水素透過膜6を内蔵するため、メンブレンリアクタと称される場合もある。
反応器3は、外形が円柱状であると共に、内部は空洞である。そして、反応器3は、その内部に、外周壁3aと同心的に配置された内周壁3bを有しており、この内周壁3bによって、前記空洞は内側のバーナ室S1(加熱室)と外側の反応室S2とに仕切られている。すなわち、反応器3は、その内部に、内側のバーナ室S1と、このバーナ室S1を取り囲む外側の反応室S2とを有する2重構造となっている。このようにバーナ室S1を内側に配置したことによって、バーナ4から放出される熱量は、放射的に反応室S2および改質触媒2に伝達するため、熱効率を高めることができる。
バーナ4は、バーナ室S1の一端側である反応器3の底壁3cに立設状態で固定されている。バーナ4は、途中位置に燃料調整バルブ(図示しない)を有する燃料配管(図示しない)を介して燃料タンク(図示しない)に接続している。そして、前記燃料調整バルブを適宜調整することで、バーナ4の燃焼を極めて正確に制御可能となっている。
また、バーナ4の上方であって、バーナ室S1の軸方向中間位置には、例えば、シャッタ式、回動式などの開閉機構により適宜開閉可能な開閉板3dが設けられている。さらに、開閉板3dの上方には排気孔3eが、一方、開閉板3dよりバーナ3d側には、バーナ室S1と外部とを連通させる排気管3fがそれぞれ設けられている。したがって、開閉板3dを適宜開閉させることで、反応室S2に充填された改質触媒2の上部(以下、上部改質触媒2Aという)と、改質触媒2の下部(以下、下部改質触媒2Bという)の触媒温度を個別に独立して調整し管理可能となっている。
すなわち、この開閉板3dが閉じた状態においては、バーナ4の燃焼熱は、排気管3fを経由して外部に排出され、反応室S2に充填された改質触媒2の上部(以下、上部改質触媒2Aという)に伝達しにくくなっている。一方、開閉板3dを開いた状態では、バーナ4の燃焼熱は、下部改質触媒2Bおよび上部改質触媒2Aに伝達し、下部改質触媒2Bおよび上部改質触媒2Aを所定に加熱可能となっており、排気孔3eにより、残りの燃焼熱が外部に排出される。因みに、図1では開閉板3dが閉じた状態を実線で示し、開いた状態を2点鎖線で示しており、開閉板3dは閉じた状態において、排気管3fのバーナ室S1側の開口に蓋をできるようになっている。
なお、本実施形態においては、上部改質触媒2Aが300〜550℃(低温)に、下部改質触媒2Bが500〜700℃(高温)となり、改質触媒2全体として300〜700℃の温度勾配を有するように開閉板3dおよびバーナ4を制御する。つまり、本実施形態では、改質触媒2の上方になるにつれて温度が低くなる。したがって、水素製造装置1は、図1に示すように、おおきく上段の低温改質部と下段の高温改質部とを有している。
6本の水素導出管5、5…は、上側(一端側)が閉じた円筒体である。6本の水素導出管5、5…は、反応室S2において、500〜700℃の高温側の底壁3cに立設状態で固定されていると共に、バーナ4を中心として周方向に等間隔で配置されている(図2参照)。このように周方向に水素導出管5、5…が配置されているため、生成した水素Wを効率的に水素製造装置の外部に導出することができる。
また、水素導出管5は、生成した水素が通過可能な多数の孔を有する多孔質体から形成されており、このような多孔質体を形成する材料としては、アルミナ(Al2O3)などが挙げられる。
水素透過膜6は、Pd膜、Pd−Ag膜などの水素を選択的に透過する膜である。水素透過膜6は、水素導出管5の外表面を薄層状で覆うように設けられている。このような水素透過膜6は、水素導出管5の表面にPdや、Pd−AgなどのPd合金を担持させることによって形成することができる。Pdなどを担持させる具体的な方法としては、例えば、無電解めっき方法、電気めっき、CVD法、スパッタ法、もしくは、これらの複合法などが挙げられる。
そして、反応器3の上流側である上部には、配管P1が設けられており、反応器3の500℃以下の低温側である上方から反応室S2に、気化灯油および水蒸気を導入可能となっている。配管P1の上流側には、灯油および水を気化させるための気化器(図示しない)や、気化灯油と水蒸気とを、所定混合割合にて混合する混合器(図示しない)が設けられている。また、配管P1の途中位置には、加圧ポンプ(図示しない)が設けられており、気化灯油および水蒸気を所定圧力にて反応室S2に導入可能となっている。
一方、反応器3の下流側である下部には、配管P2および配管P3が設けられている。配管P2は、反応器3の下方側から、各水素導出管5の中空部に連通するように設けられており、水素透過膜6を透過し、水素導出管5の中空部に到達した高純度の水素が、配管P2を経由して反応器3の外部に導出可能となっている。配管P3は、反応器3の下方において、反応室S2と連通するように設けられており、副生成物である二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、水蒸気(H2O)、残存水素(H2)などを反応器3の外部に排出可能となっている。
改質触媒2は、反応器3の反応室S2に充填されており、気化灯油と水蒸気とを反応させて、次の式(1)から式(3)に示すように、水蒸気改質反応を生じさせる。これらの反応によって、気化灯油を分解し、気化灯油中のC2炭化水素の濃度を低下させると共に、水素の生成を促進する触媒である。このような改質触媒2としては、Ni系の改質触媒や、Pt系の改質触媒、Ru系の改質触媒などから適宜選択して使用することができる。このうち、Ni系の改質触媒は、低温における活性が高いため、改質触媒2の温度を低めに設定可能であり、また、Ru系の改質触媒は広い温度範囲で活性を有しているため、熱効率に有利である。
灯油+H2O→主にH2、CO、CO2、H2O、CH4 …(1)
CH4+H2O→CO+3H2 …(2)
CO+H2O→CO2+H2 …(3)
ここで、説明の都合上、改質触媒2を中間高さ位置で上下2段に分けて、前記したように上部改質触媒2Aと下部改質触媒2Bと称する。
また、反応室S2には、上部改質触媒2Aと、下部改質触媒2Bの温度を検出する温度センサ(図示しない)がそれぞれ設けられており、それぞれの温度を監視可能となっている。
<水素製造方法>
続いて、水素製造装置1の動作と共に、本実施形態に係る水素製造方法について図1を参照して説明する。
本実施形態に係る水素製造方法は、図1に示す低温改質部にて、気化灯油と水蒸気とを反応させて、水蒸気改質反応により水素を生成すると共に、気化灯油中のC2炭化水素の濃度を低下させる第1工程と、高温改質部にて、さらに水蒸気改質して水素を生成すると共に、生成した水素を水素透過膜6で分離し、高純度の水素を得る第2工程とを有している。以下、各工程について詳細に説明する。
[第1工程]
開閉板3dを開いた状態(図1に示す2点鎖線の状態)で、バーナ4に着火し、上部改質触媒2Aおよび下部改質触媒2Bを加熱し触媒活性を高める。詳細には、上部改質触媒2Aは300〜550℃の範囲内に、下部改質触媒2Bは500〜700℃の範囲内となるように設定する。上部改質触媒2Aが、300〜550℃の範囲内となったとき開閉板3dを閉じて(図1に示す実線の状態)、上部改質触媒2Aが過剰に加熱されないようにする。
また、上部改質触媒2Aを300〜550℃の範囲内とする理由は、300℃より低いと上部改質触媒2Aの活性が低すぎるため、気化灯油と水蒸気との反応率が低下するからである。一方、550℃より高いと、気化灯油に含まれる炭化水素、特にC2炭化水素が重合して上部改質触媒2Aの表面の活性点に析出し、触媒活性が低下するからである。
さらに、下部改質触媒2Bを500〜700℃の範囲内とする理由は、500℃より低いと、前記した式(2)および式(3)に示す反応が進行せず、水素が高効率で生成できないからである。一方、700℃より高いと、バーナ4を高燃焼させねばならず、熱効率が低下すると共に、反応器3や水素透過膜6に高い耐熱性が必要となり、コストが大幅に上がってしまうからである。
そして、気化灯油と水蒸気とをS/C≦4、圧力5.0×105Pa(5atm)以上で配管P1から、反応室S2に導入する。そうすると、気化灯油は、上部改質触媒2Aの存在下に、水蒸気と反応し水素が生成すると共に、気化灯油に含まれるC2炭化水素の濃度が低下する。詳細に説明すると、気化灯油は、前記した式(1)に示すように、H2O(水蒸気)と反応することで分解され、主として、主に水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、メタンが生成する。このように気化灯油が分解されることによって、気化灯油に含まれるC2炭化水素の濃度は低下する。
なお、使用する灯油は、硫黄分を20ppb程度まで脱硫したものであることが好ましく、このような灯油を使用することで、改質触媒2への硫黄の被毒を抑えることができる。
ここで、上部改質触媒2Aは、前記したように、300〜500℃と低温であるため、気化灯油中の炭化水素(C2炭化水素を含む)が上部改質触媒2Aの表面に析出しにくい。したがって、水蒸気の導入量をS/C≦4にすることができ、水蒸気発生および水蒸気導入にかかるコストを抑えることができる。
また、第1工程において、C2炭化水素の20%以上、好ましくは50%以上を反応させて、C2炭化水素の濃度が低下するように、事前試験、キャリブレーションなどを行い、反応器3の容量、高温改質部と低温改質部の体積比などを設定することが好ましい。このように、C2炭化水素の20%以上、好ましくは50%以上を反応させ、C2炭化水素の濃度を低下させることで、後記するように、第2工程において、500〜700℃に昇温させても、炭化水素が下部改質触媒2Bおよび水素透過膜6の表面に析出しにくくなるからである。
次いで、生成したメタンおよび気化灯油に予め含有されていたメタンは、前記した式(2)に示すように、水蒸気と反応し、二酸化炭素と水素が生成する。さらに、一酸化炭素は、前記した式(3)に示すように、水蒸気と反応し、二酸化炭素および水素が生成する。
また、この第1工程では、S/C≒2かつ圧力5.0×105Pa(5atm)以上の条件下において、水蒸気改質反応の反応熱は略ゼロとなり、断熱状態においても反応は進行することになる。
[第2工程]
続いて、C2炭化水素の濃度が低下した気化灯油、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなどを含む混合ガスが、反応室S2内を下方に流れると、下部改質触媒2Bにて、主として、前記した式(2)および式(3)に示す反応が生じ、水素が生成する。
下部改質触媒2Bは、500〜700℃と上部改質触媒2Aに比べて高温であるが、前記したように第1工程において、C2炭化水素の濃度は低下しているため、C2炭化水素などが重合したり、下部改質触媒2Bの表面の活性点に析出することはなく、触媒活性は低下しない。また、C2炭化水素などが水素透過膜6の表面に析出して、水素透過率が低下することもない。
次いで、生成した水素は、反応室S2に気化灯油および水蒸気を導入した前記圧力を駆動力として水素透過膜6を透過し、さらに多孔質からなる水素導出管5の周壁などを通過した後、その中空部に到達する。すなわち、水素透過膜6によって、水素が選択的に分離され、分離された水素は水素導出管5の中空部に集まる。この水素は、水素導出管の中空部から配管P2を経由して、水素製造装置1の外部に導出され、高純度の水素を得ることができる。
このようにして、本実施形態に係る水素製造方法によれば、低温改質部にて主として、C2炭化水素の濃度を低下させた後、高温改質部にて水素を製造する(高温にて高反応率で水素を生成させる)ことによって、C2炭化水素を含む灯油から、水素を高収率かつ高い熱効率にて、水素を製造することができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のような変更することができる。
前記した実施形態では、図1に示すように、上段に低温改質部、下段に高温改質部を有する水素製造装置1としたが、水素製造装置の構成はこれに限定されず、低温改質部と高温改質部を別々とし、これらを配管で接続して構成された水素製造装置であってもよい。
前記した実施形態では、図1に示すように、上段の低温改質部と下段の高温改質部との体積比は略1:1としたが、これに限定されず適宜変更自由である。
本実施形態において使用する水素製造装置の正断面図である。 図1に示す水素製造装置のX−X断面図である。
符号の説明
1 水素製造装置
2 改質触媒
2A 上部改質触媒
2B 下部改質触媒
3 反応器
3d 開閉板
4 バーナ
5 水素導出管
6 水素透過膜
7 断熱材
S1 バーナ室(加熱室)
S2 反応室

Claims (5)

  1. 炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素と水蒸気とを、改質触媒の存在下にて反応させて、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造方法であって、
    前記炭化水素と前記水蒸気とを、S/C≦4かつ300〜550℃で反応させて水素を生成すると共に、前記C2炭化水素と前記水蒸気とを反応させて、前記C2炭化水素の濃度を低下させる第1工程と、
    当該第1工程において、前記炭化水素のうち未反応の炭化水素と水蒸気とを、500〜700℃で反応させて水素を生成しつつ、当該生成した水素および前記第1工程で生成した水素を、水素透過膜で分離することで高純度の水素を得る第2工程と、
    を有することを特徴とする水素製造方法。
  2. 前記第1工程において、
    前記C2炭化水素を20%以上反応させて、前記C2炭化水素の濃度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の水素製造方法。
  3. 前記第1工程は、断熱性を有する反応器内で行い、反応開始時のみ改質触媒を加熱することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素製造方法。
  4. 炭素数が2以上であるC2炭化水素を含む炭化水素から、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造装置であって、
    反応器と、
    当該反応器に充填され、前記水蒸気改質反応を生じさせる改質触媒と、
    前記改質触媒を300〜700℃の温度勾配にて加熱する加熱手段と、
    生成した水素を前記反応器の外部に導く水素導出管と、
    当該水素導出管の表面に被覆された水素透過膜と、
    を備え、
    前記水素導出管は、前記反応器内の500℃以上の高温側に配置されており、
    前記炭化水素を前記反応器の500℃以下の低温側に導入して、前記C2炭化水素の濃度を低下させつつ水素を生成し、
    前記高温側にて、前記炭化水素のうち未反応の炭化水素を水蒸気とを反応させて水素を生成しつつ、前記水素導出管にて水素を外部に導出可能としたことを特徴とする水素製造装置。
  5. 前記反応器は、内周壁により仕切られた、内側の加熱室と、当該加熱室を取り囲み、前記炭化水素および前記水蒸気が導入されると共に前記改質触媒が充填された外側の反応室と、を有しており、
    前記加熱手段は、加熱室の一端側に配置されたバーナであって、
    前記反応室の中間位置に開閉可能な開閉板を設け、
    当該開閉板を開閉させることで、前記バーナにより、前記改質触媒を前記温度勾配にて加熱可能としたことを特徴とする請求項4に記載の水素製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009013022A (ja) * 2007-07-06 2009-01-22 Iwatani Internatl Corp 水素分離膜型lpガス改質装置
JP2009530219A (ja) * 2006-03-17 2009-08-27 イエフペ 固定床吸熱反応用の内部燃焼交換反応器
JP2010100481A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Japan Energy Corp 膜分離型水素製造装置

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