JP2005247996A - 複合ゴム粒子、共重合樹脂及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

複合ゴム粒子、共重合樹脂及び熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 透明な、あるいは、透明感のある成形品とするために有用な複合ゴム粒子、この複合ゴム粒子を用いてなる共重合樹脂、及び、それ自体で光線透過率の高い透明な成形品とすることができ、着色剤等と混合した場合には着色鮮映性に優れた成形品とすることができる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の複合ゴム粒子3は、ゴム質重合体粒子(a)1及び樹脂質重合体粒子(b)2を含む混合物中で、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)を凝集させて得られた肥大化粒子であることを特徴とする。上記樹脂質重合体粒子(b)の重量平均粒子径は、70nm以下であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複合ゴム粒子、共重合樹脂及び熱可塑性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、透明な、あるいは、透明感のある成形品とするために有用な複合ゴム粒子、この複合ゴム粒子を用いてなる共重合樹脂、及び、光の透過性が高く且つ透明な成形品とすることができ、着色剤を含む場合には着色鮮映性に優れた成形品とすることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来より、ゴム粒子を含む熱可塑性樹脂としては、ジエン系ゴム質重合体を用いたABS樹脂、アクリル系ゴム質重合体を用いたASA樹脂等が広く知られている。
これらのABS樹脂及びASA樹脂は、ゴム成分とマトリックス成分との屈折率が大きいため、成形品とした場合、本質的に光線透過率の低い且つ不透明な成形品となる。そのため、これらの樹脂が、着色剤を含有した場合には、得られる成形品表面の着色鮮映性に劣ることとなる。従って、これらの樹脂を用いた成形品に、優れた着色鮮映性、外観性を備えるためには、成形品の表面に塗装を施さなければならなかった。尚、優れた着色鮮映性を備える成形品を得るためには、一般に、全光線透過率50%以上の透明性が求められ、全光線透過率が30%未満の場合、着色鮮明性が十分ではない。
また、上記ABS樹脂は、耐衝撃性に優れた成形品とすることができることから広く用いられているが、各種観点から改良が行われており、例えば、成形時の流動性、成形品表面のフィッシュアイ等を改善すべく、肥大化ゴム質重合体ラテックスを用いた樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1等)。
特開平9−278976号公報
本発明の目的は、透明な、あるいは、透明感のある(以下、「透明」という。)成形品とするために有用な複合ゴム粒子、この複合ゴム粒子を用いてなる共重合樹脂、及び、それ自体で光線透過率の高い透明な成形品とすることができ、着色剤等と混合した場合には着色鮮映性(例えば、漆黒性)に優れた成形品とすることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、ゴム含有熱可塑性樹脂において、樹脂成分を海、ゴム成分を島とする海島構造で、島部分であるゴム成分の屈折率を、海部分である樹脂成分の屈折率と同等まで高くすることにより透明性が得られることを見出した。その手段として、ゴム粒子中に可視光の波長以下の粒径の高屈折重合体粒子を均一に分散させ、その後、凝集肥大化することで、島部分の屈折率が高められ、その結果、ゴム含有熱可塑性樹脂が高い光線透過率を有し、透明性に優れるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
1.ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)を含む混合物中で、このゴム質重合体粒子(a)及びこの樹脂質重合体粒子(b)を凝集させて得られた肥大化粒子であることを特徴とする複合ゴム粒子。
2.本複合ゴム粒子が1つの屈折率を有する上記1に記載の複合ゴム粒子。
3.上記樹脂質重合体粒子(b)の重量平均粒子径は、70nm以下である上記1又は2に記載の複合ゴム粒子。
4.上記樹脂質重合体粒子(b)の屈折率は、上記ゴム質重合体粒子(a)の屈折率よりも大きい上記1乃至3のいずれかに記載の複合ゴム粒子。
5.本複合ゴム粒子の重量平均粒子径は、50〜2000nmの範囲にある上記1乃至4のいずれかに記載の複合ゴム粒子。
6.上記1乃至5のいずれかに記載の複合ゴム粒子の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたことを特徴とする共重合樹脂。
7.上記複合ゴム粒子と、上記ビニル系単量体の(共)重合体との屈折率差は、0.02以下である上記6に記載の共重合樹脂。
8.上記1乃至5のいずれかに記載の複合ゴム粒子の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られる共重合樹脂(P1)、又は、この共重合樹脂(P1)とビニル系単量体の(共)重合体(P2)との混合物からなるゴム強化樹脂を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
9.上記ゴム強化樹脂と、上記1乃至5のいずれかに記載の複合ゴム粒子との屈折率差は、0.01以下である上記8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明の複合ゴム粒子は、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)を含む混合物中で、このゴム質重合体粒子(a)及びこの樹脂質重合体粒子(b)を凝集させて得られた肥大化粒子であることから、屈折率が高く、透明な成形品とするのに有用である。
本発明の共重合樹脂は、上記複合ゴム粒子の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたものであることから、透明な成形品を与える樹脂組成物とするのに有用である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記複合ゴム粒子の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られる共重合樹脂(P1)、又は、この共重合樹脂(P1)とビニル系単量体の(共)重合体(P2)との混合物からなるゴム強化樹脂を含むことから、光線透過率の高い透明な成形品とすることができ、着色剤等と混合した場合には着色鮮映性(例えば、漆黒性)に優れた成形品とすることができる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
1.複合ゴム粒子
本発明の複合ゴム粒子は、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)を含む混合物中で、このゴム質重合体粒子(a)及びこの樹脂質重合体粒子(b)を凝集させて得られた肥大化粒子であることを特徴とする。
1−1.ゴム質重合体粒子(a)
ゴム質重合体粒子(a)を構成する重合体としては特に限定されない。尚、このゴム質重合体粒子(a)を用いて得られる複合ゴム粒子を用いた組成物の力学的強度を十分なものとするために、上記重合体のガラス転移温度(Tg)は0℃以下であることが好ましい。より好ましくは−10℃以下である。
上記ゴム質重合体粒子(a)を構成する重合体としては、アクリル系重合体、ジエン系重合体及びその水素添加物、エチレン・α−オレフィン系重合体、ウレタン系重合体、シリコーン系重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系重合体としては、重合体でも良いし、共重合体でもよい。従って、このアクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物の(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物と、この化合物と共重合可能なビニル系化合物との共重合体等を用いることができる。上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等を用いることができ、更に、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基等を有する化合物を用いることもできる。
尚、上記「(メタ)アクリル酸エステル化合物」における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタアクリル酸を意味する。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸n−オクタデシル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、アクリル酸シクロへキシル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能なビニル系化合物としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能なその他の単量体としては、例えば、多官能性ビニル化合物、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニリデン、炭素数が1〜6のアルキルビニルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記「多官能性ビニル化合物」とは、一分子中に2個以上のビニル基を有するものをいい、通常、(メタ)アクリル系共重合体を架橋する機能及びグラフト重合時の反応起点の役目を果たすものである。上記多官能性ビニル化合物としてはジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能性芳香族ビニル化合物、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、メタクリル酸アリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、多官能性ビニル化合物を用いる場合の使用量は、アクリル系重合体の形成に用いる単量体の全量に対して、好ましくは0.1〜5質量部である。
多官能性ビニル化合物の使用量が少なすぎると、得られるゴム質重合体粒子の架橋の程度が低くなり、結果としてゴム弾性が小さくなるため、複合ゴム粒子として共重合樹脂を得て、樹脂組成物から成形品を製造したとき、成形品の中で複合ゴム粒子の変形が著しく、力学的強度の低下を招き、更には成形品に異方性を生ずる。また、共重合樹脂を得るための重合において、反応起点が少なくなり、グラフト化が不十分となる場合がある。一方、多官能性ビニル化合物の使用量が多すぎると、ゴム質重合体粒子の架橋の程度が高くなり過ぎ、ゴム弾性を失って硬くなることがある。このような硬いゴム質重合体粒子を使用すると、最終的に得られる樹脂組成物の力学的強度が低温(−80〜0℃)において低下する場合がある。
ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
また、ジエン系重合体の水素添加物としては、上記重合体の水素添加物を用いることができる。尚、上記スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物には、スチレンブロックとスチレン・ブタジエンランダム共重合体の水素添加物等が含まれる。
エチレン・α−オレフィン系重合体としては、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1・(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体等が挙げられる。
これらのうち、アクリル系重合体及びジエン系重合体が好ましく、アクリル系重合体が特に好ましい。
上記ゴム質重合体粒子(a)の粒子径は特に限定されない。
上記ゴム質重合体粒子(a)の重量平均粒子径は、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。但し、下限は、通常、5nmである。
上記範囲の重量平均粒子径を有するゴム質重合体粒子(a)を用いることにより、より均一で且つ透明な複合ゴム粒子を得ることができる。
1−2.樹脂質重合体粒子(b)
樹脂質重合体粒子(b)を構成する重合体としては特に限定されない。尚、この樹脂質重合体粒子(b)を用いて得られる複合ゴム粒子を用いた組成物の力学的強度を十分なものとするために、上記重合体のガラス転移温度(Tg)は0℃を超えることが好ましい。より好ましくは50℃以上である。
上記樹脂質重合体粒子(b)を構成する重合体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物から選ばれた単量体からなる(共)重合体が挙げられ、好ましくは、芳香族ビニル化合物を用いた(共)重合体等である。特に、この芳香族ビニル化合物からなる単量体単位を、(共)重合体全体に対して10〜100質量%含むものが好ましい。
芳香族ビニル化合物を用いた(共)重合体とするための芳香族ビニル化合物としては、上記ゴム質重合体粒子(a)の形成に用いることのできる芳香族ビニル化合物として例示したもの等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記樹脂質重合体粒子(b)の屈折率は特に限定されないが、ゴム質重合体粒子(a)のそれよりも大きいことが好ましい。
上記樹脂質重合体粒子(b)の屈折率は、好ましくは1.450〜1.600、より好ましくは1.470〜1.600、更に好ましくは1.485〜1.600である。尚、上記屈折率は、アッベの屈折率計等により測定することができる。
上記樹脂質重合体粒子(b)の粒子径は特に限定されない。
上記樹脂質重合体粒子(b)の重量平均粒子径は、好ましくは70nm以下、より好ましくは60nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは5〜40nmである。上記範囲の重量平均粒子径を有する樹脂質重合体粒子(b)を用いることにより、より均一で且つ透明な複合ゴム粒子を得ることができる。一方、この重量平均粒子径が大きすぎると、得られる複合ゴム粒子の粒子径及び組成が不均一となる場合があり、その結果透明性が不十分となる場合がある。
1−3.ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)の調製方法
本発明の複合ゴム粒子を得るためには、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)は、水等の水系媒体に分散したラテックス等の分散液を用いることが好ましい。従って、上記例示した重合体の製造方法は、ラテックスとするための乳化重合法であってもよいし、溶液重合法、塊状重合法等の有機溶剤系、バルク系で得られる重合体を、溶解可能な有機溶媒に溶解した後に界面活性剤等とともに水系媒体に投入・分散させ再乳化する方法等であってもよい。
尚、上記ゴム質重合体粒子(a)及び上記樹脂質重合体粒子(b)を乳化重合法により製造する場合には、それぞれ、乳化剤の種類・量、開始剤の種類・量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を適宜選択することにより、粒子径の調整を容易に行うことができる。尚、本発明の複合ゴム粒子を得るためのゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)は、全体としての重量平均粒子径が上記範囲に入るものであれば、それぞれ、異なる粒子径分布を有するゴム質重合体粒子の2種以上をして用いてもよい。
上記ゴム質重合体粒子(a)及び上記樹脂質重合体粒子(b)を乳化重合法により製造する場合には、乳化剤のほか、重合開始剤、分子量調節剤(連鎖移動剤)、電解質等が用いられる。尚、単量体成分は、重合に際し、反応系に一括投入してもよいし、分割又は連続投入してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。
上記乳化剤としては、不均化ロジン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸のアルカリ金属塩、アルケニルコハク酸等の二塩基酸のアルカリ金属塩等のアニオン界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等のノニオン界面活性剤;アニオン部分として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩又はリン酸エステル塩を、カチオン部分として、アミン塩又は第四級アンモニウム塩を有する両性界面活性剤等が挙げられる。この両性界面活性剤としてはラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチジル(アミノエチル)グリシン等のアミノタイプが挙げられる。更に、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アリル基、アリルエーテル基、プロペニル基等の高い反応性を示す重合性不飽和結合を有する官能基を有する反応性乳化剤を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、不均化ロジン酸、オレイン酸及びラウリル酸のアルカリ金属塩、反応性乳化剤が好ましい。
この乳化剤の使用量は、単量体成分の全量に対して、通常、0.3〜20質量%である。
上記重合開始剤としては、キュメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この重合開始剤の使用量は、単量体成分の全量に対して、通常、0.01〜1.5質量%、好ましくは0.2〜1.0質量%である。
上記分子量調節剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この分子量調節剤の使用量は、単量体成分の全量に対して、通常、0.01〜2.0質量%である。
上記電解質としては、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤及び電解質は、それぞれ、反応系に一括投入してもよいし、分割又は連続投入してもよい。また、その一部を添加した後、その残りを連続的あるいは断続的に添加してもよい。その場合は、重合反応の進行に応じて使用すればよい。
乳化重合は、公知の条件で行えばよく、例えば、重合温度は、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜85℃である。また、重合時間は、通常、3〜10時間である。
1−4.複合ゴム粒子
本発明の複合ゴム粒子は、上記ゴム質重合体粒子(a)及び上記樹脂質重合体粒子(b)をそれぞれ肥大化させて得られたものであり、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)が凝集してなるものである。その概略説明図を図1に示す。即ち、図1は、ゴム質重合体粒子(a)1と、樹脂質重合体粒子(b)2とを混合し、肥大化により複合ゴム粒子3が形成されることを示す模式図である。
粒径肥大化の方法としては、公知の方法を適用することができ、例えば、上記ゴム質重合体粒子(a)及び上記樹脂質重合体粒子(b)を含む水系分散体に、(i)酸、塩等の凝集剤を添加する、(ii)剪断力を適用する、(iii)水系分散体を凍結させた後、解凍する等が挙げられる。これらの操作によって、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)の部分的な凝集を起こさせて、粒子径が肥大化した複合ゴム粒子を得ることができる。本発明においては、上記(i)の方法によることが好ましい。
上記(i)の方法における酸としては、無水酢酸、酢酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。また、塩としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機塩等が挙げられる。これらを用いることによって、ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)を含む水系分散体を不安定化させ、これらの粒子を部分的に凝集させることができ、肥大化できる。
本発明においては、無水酢酸を用いることが特に好ましく、これにより、任意の粒子径の複合ゴム粒子が得られ、また、得られた複合ゴム粒子の粒子径が経時的に安定である。尚、複合ゴム粒子を形成した後は、必要に応じて、分散体を中和する等の方法が適用される。
尚、本発明の複合ゴム粒子を構成する上記ゴム質重合体粒子(a)及び上記樹脂質重合体粒子(b)の含有割合(a)/(b)は、これらの合計を100質量%とした場合、好ましくは10〜90質量%/90〜10質量%、より好ましくは20〜80質量%/80〜20質量%、更に好ましくは30〜70質量%/70〜30質量%である。上記ゴム質重合体粒子(a)の含有割合が小さすぎると、得られる複合ゴム粒子を用いて得られる成形品の機械的強度が劣る傾向にある。一方、その含有割合が大きすぎると、該成形品の透明性が劣る傾向にある。
本発明の複合ゴム粒子の重量平均粒子径は、好ましくは50〜2000nm、より好ましくは70〜1500nm、更に好ましくは100〜1000nmである。
また、本発明の複合ゴム粒子は、1つの屈折率を有する。その屈折率は、好ましくは1.450〜1.595、より好ましくは1.460〜1.595、更に好ましくは1.470〜1.595である。尚、この屈折率は、アッベの屈折率計により測定することができる。
2.共重合樹脂
本発明の共重合樹脂は、上記本発明の複合ゴム粒子の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたことを特徴とする。
上記複合ゴム粒子の存在下に重合されるビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸、酸無水物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、上記アクリル系重合体とするための(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして例示した化合物のほか、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−オクタデシル等を用いることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
上記芳香族ビニル化合物としては、上記アクリル系重合体とするために用いることができる化合物として例示したものを、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記シアン化ビニル化合物としては、上記アクリル系重合体とするために用いることができる化合物として例示したものを、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリルが好ましい。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、N−フェニルマレイミドが好ましい。尚、マレイミド系化合物を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
上記不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
また、上記化合物以外に、必要に応じて、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等を用いることができる。
上記ビニル系単量体としては、これを用いてなる(共)重合体の屈折率と、上記複合ゴム粒子の屈折率との屈折率差(の絶対値)が0.02以下であることが好ましい。より好ましくは0.01以下である。
本発明の共重合樹脂は、上記複合ゴム粒子の存在下に、上記ビニル系単量体を、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法、乳化−溶液重合法、微小懸濁重合法等から選ばれる方法により製造することができる。本発明においては、乳化重合法が好ましい。
この乳化重合法は、上記ゴム質重合体粒子(a)及び上記樹脂質重合体粒子(b)の調製方法で説明した方法と同様とすることができる。重合に際しては、反応系において、複合ゴム粒子全量の存在下に、ビニル系単量体を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、複合ゴム粒子の全量又は一部を、重合途中で添加してもよい。
また、乳化−懸濁重合法により製造する場合には、公知の懸濁剤を用いることができる。更に、乳化重合法以外の方法で製造する場合には、乳化重合法によって若干重合反応を行い、複合ゴム粒子の表面を硬質の樹脂で被覆し、この複合ゴム粒子のみによる分散が可能になったとき、乳化系から懸濁系、塊状系又は溶液系に移行して、重合反応を継続してもよい。
尚、上記方法で得られた共重合樹脂は、通常、ビニル系単量体がグラフト重合してなるグラフト化複合ゴム(粒子)と、ビニル系単量体の重合体であり且つグラフトされないもの(以下、「未グラフト(共)重合体」ともいう)とを含む。
上記共重合樹脂のグラフト率(複合粒子ゴムへグラフトしたビニル系単量体の質量割合)は、好ましくは10〜200%、更に好ましくは15〜150%、特に好ましくは20〜100%である。上記グラフト率が10%未満では、本共重合樹脂を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の外観性、機械的強度、透明性等が低下する場合がある。また、200%を超えると、本共重合樹脂を用いて得られる熱可塑性樹脂組成物の加工性(流動性)が劣る場合がある。
ここで、グラフト率とは、上記共重合樹脂1グラム中のゴム成分をxグラム、上記共重合樹脂1グラムをメチルエチルケトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
また、上記共重合樹脂のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この範囲とすることにより、加工性に優れる。
尚、上記グラフト率及び極限粘度〔η〕は、共重合樹脂を製造する際の、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類・量、更には重合時間、重合温度等を選択することにより、容易に制御することができる。
3.熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記複合ゴム粒子の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られる共重合樹脂(P1)、又は、この共重合樹脂(P1)とビニル系単量体の(共)重合体(P2)との混合物からなるゴム強化樹脂を含むことを特徴とする。
本発明に関わる共重合樹脂(P1)は、上記本発明の共重合樹脂において、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるものである。ビニル系単量体の全量に対する芳香族ビニル化合物の使用割合は、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは3〜90質量%、更に好ましくは5〜80質量%である。
上記共重合樹脂(P1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、上記ゴム強化樹脂は、共重合樹脂(P1)のみであってもよいし、共重合樹脂(P1)とビニル系単量体の(共)重合体(P2)との混合物であってもよい。
この(共)重合体(P2)としては、ビニル系単量体を用いてなるものであれば特に限定されない。このビニル系単量体としては、上記本発明の共重合樹脂を製造する際に用いるビニル系単量体として例示したもの等を用いることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、このビニル系単量体は、共重合樹脂(P1)の形成に用いたビニル系単量体と同じ成分であってもよいし、異なる成分であってもよい。同じ成分である場合には、各化合物の使用量が同じであっても異なってもよい。
上記(共)重合体(P2)は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法、バルク重合法等による方法で製造することができる。
上記(共)重合体(P2)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム強化樹脂が、共重合樹脂(P1)と(共)重合体(P2)との混合物である場合には、共重合樹脂(P1)に由来するグラフト化複合ゴム(粒子)と、未グラフト(共)重合体及び(共)重合体(P2)の合計量(t)との割合は特に限定されないが、共重合樹脂(P1)の形成に用いたゴム質重合体粒子(a)100質量部に対して、上記合計量(t)が900質量部以下であることを満たすことが好ましい。上記合計量(t)が多すぎると、ゴム強化樹脂が脆化する傾向にある。
尚、上記ゴム強化樹脂が、共重合樹脂(P1)のみからなる場合、共重合樹脂(P1)と(共)重合体(P2)との混合物である場合、のいずれにおいても、このゴム強化樹脂と、共重合樹脂(P1)の形成に用いた複合ゴム粒子の屈折率との屈折率差(の絶対値)が0.01以下であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記共重合樹脂(P1)等以外に、上記共重合樹脂(P1)の形成に用いた本発明の複合ゴム粒子の屈折率との屈折率差(の絶対値)が0.01以下である重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。このような重合体としては、ゴム成分としてポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体(SBC)、SBCのブタジエン部分を水素添加した水添SBCを用い、これらの存在下にメタクリル酸メチル、スチレン等からなるビニル系単量体を重合させて得られた透明樹脂等の公知の透明性樹脂組成物等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、光安定剤、熱安定剤、相溶化剤、抗菌剤、充填剤、補強剤、金属粉末等の各種添加剤を含有してもよい。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等を用いることができる。
上記有機系難燃剤としては、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー、ブロム化アルキルトリアジン化合物等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素と窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の縮合型のリン酸エステル化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005247996
(但し、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基、フェニル基又はキシリル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは、2価のレゾルシノール残基、ハイドロキノン残基又はビスフェノールA残基である。m1、m2、m3及びm4は、それぞれ互いに独立して0又は1であり、nは1〜5のいずれかである。尚、このリン酸エステル化合物がブレンド物の場合には、nは1〜5の平均値である。)
上記無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、難燃剤を配合する場合には、難燃助剤を併用してもよい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、ビス−、トリス−、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸,オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
帯電防止剤としては、高分子及び低分子のいずれかに限定されず、公知のアニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤、両性帯電防止剤、錯体化合物、帯電防止性の可塑剤等を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤としては、有機染料、無機顔料、有機顔料、カーボンブラック等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のゴム質重合体粒子(a)の含有割合は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜55質量%である。上記ゴム質重合体粒子(a)の含有割合が少なすぎると、得られる成形品の力学的強度が十分でない場合があり、一方、多すぎると、表面外観性、硬度が劣る場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本ロール等の公知の混練機等を用い、原料成分を混練することにより得ることができる。混練は、原料成分を一括投入して行ってもよいし、多段添加式で行ってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、シート押出成形法、真空成形法、異形押出成形法、圧縮成形法、中空成形法、差圧成形法、ブロー成形法、発泡成形法、ガス注入成形法等、公知の各種成形法によって、フィルム、シート等の所定形状の成形品とされ、良好な表面外観の要求されるOA・家電製品、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、車輌用途等の各種パーツ、シャーシ、ハウジング材等に使用できる。
また、得られた成形品は、その表面にレーザーを照射することによって、黒発色、白発色、多色等のレーザーマーキングをすることもできる。
以下、例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、下記に限定されるものではない。尚、下記において、「部」及び「%」は特に断らない限り、質量基準である。
また、本発明に関する評価は、以下の項目であり、その評価方法を示す。
(1)複合ゴム粒子の透明性
複合ゴム粒子を熱プレス成形にてフィルム化(厚さ70μm)し、以下の基準にて評価した。
○;目視で透明である。
△;目視で半透明である。
×;目視で不透明である。
(2)屈折率
アッベの屈折計を用い、d線にて25℃で測定した。
(3)重合体粒子の重量平均粒子径
ラテックス中の重合体粒子の重量平均粒子径は、HONEYWELL社製の「マイクロトラックUPA150型」を用い、室温で測定した。単位はnmである。
(4)全光線透過率
射出成形にて試験片(縦80mm、横40mm、厚さ3.2mm)を作製し、ASTM D1003に準拠して測定した。単位は%である。
1.ゴム質重合体粒子(A)の製造
複合ゴム粒子とするためのゴム質重合体粒子(A)の製造例を以下に示す。
製造例A−1(ゴム質重合体粒子A−1の製造)
まず、アクリル酸n−ブチル98部、アリルメタクリレート2部を混合して、単量体混合物(I)を調製した。攪拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置等を備えた、容量10Lのガラス製反応器に、水185部、乳化剤として高級脂肪酸ナトリウム石鹸10部、不均化ロジン酸カリウム1部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩を0.1部、電解質として炭酸水素ナトリウム1部を仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下で、内温を75℃まで昇温した。75℃に達した時点で、水10部に過硫酸カリウム(以下、「KPS」と略記する)0.15部を溶解した水溶液を反応器内に添加した。その直後に単量体混合物(I)100部を、3時間にわたって連続添加し、重合反応を進めた。単量体混合物(I)の連続添加終了後、1時間の間、内温を75℃に保持した。その後、水2部にKPS0.03部を溶解した水溶液を反応器内に添加し、更に1時間の間、内温を75℃に保持して重合反応を終了し、アクリル系ゴム質重合体粒子A−1を含むラテックスを得た。このときの重合転化率は98%であった。得られたアクリル系ゴム質重合体粒子A−1の重量平均粒子径は31nmであった(表1参照)。
製造例A−2(ゴム質重合体粒子A−2の製造)
表1に示した重合処方に準じ、上記製造例A−1と同様にして、アクリル系ゴム質重合体粒子A−2を含むラテックスを得た。重合転化率及び重合体粒子A−2の重量平均粒子径の結果は表1に併記した。
Figure 2005247996
2.樹脂質重合体粒子(B)の製造
複合ゴム粒子とするための樹脂質重合体粒子(B)の製造例を以下に示す。
製造例B−1(ゴム質重合体粒子B−1の製造)
表1に示した重合処方に準じ、上記製造例A−1と同様にして、スチレン系樹脂質重合体粒子B−1を含むラテックスを得た。重合転化率及び重合体粒子B−1の重量平均粒子径の結果は表1に併記した。
製造例B−2(ゴム質重合体粒子B−2の製造)
表1に示した重合処方に準じ、上記製造例A−1と同様にして、スチレン系樹脂質重合体粒子B−2を含むラテックスを得た。重合転化率及び重合体粒子B−2の重量平均粒子径の結果は表1に併記した。
3.複合ゴム粒子(C)の製造及び評価
上記で得たゴム質重合体粒子(A)及び樹脂質重合体粒子(B)を用い、下記方法により複合ゴム粒子を製造し、透明性及び屈折率の測定を行った。
実施例1−1(複合ゴム粒子C−1の製造)
製造例A−1において使用したガラス製反応器に、アクリル系ゴム質重合体粒子A−1を含むラテックス70部(固形分換算)、スチレン系樹脂質重合体粒子B−1を含むラテックス30部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら内温を40℃まで昇温した。内温が40℃に達した時点で、水40部に無水酢酸(以下、「AA」と略記する)2部をホモジナイザーで分散させた懸濁溶液を反応器内に添加し、内温を40℃に保持しながら撹拌を停止して粒径肥大化処理を10分間行った。この粒径肥大化処理の後、水28.5部に水酸化カリウム1.5部を溶解した水溶液と、水22.5部にβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩2.5部を溶解した水溶液とを添加し、撹拌して肥大化処理を完了し、複合ゴム粒子C−1を含むラテックスを得た。得られた複合ゴム粒子C−1の重量平均粒子径は316nmであった。また、この複合ゴム粒子を透過型電子顕微鏡により観察したところ、ゴム質重合体粒子及び樹脂質重合体粒子が凝集して複合化していることが確認できた。
その後、ラテックスを凝固して複合ゴム粒子を取り出し、水洗、乾燥することにより、複合ゴム粒子を単離した。
実施例1−2〜1−7(複合ゴム粒子C−2〜C−7の製造)
表2に示した肥大化処方に準じ、上記実施例1−1と同様にして、複合ゴム粒子C−2〜C−7を含むラテックスを得た。透明性及び屈折率の結果は表2に併記した。
Figure 2005247996
比較例1−1
表3に示した処方に準じ、成分(B)を用いなかった以外は、上記実施例1−1と同様にして、ゴム粒子C−8を含むラテックスを得た。透明性及び屈折率の結果は表3に併記した。
参考例1
表3に示した処方に準じ、無水酢酸(AA)を用いない、即ち、重合体粒子が肥大化していない混合粒子C−9を含むラテックスを得た。透明性及び屈折率の結果は表3に併記した。
Figure 2005247996
表3より、比較例1−1のゴム粒子は、樹脂質重合体粒子を用いていないため、複合ゴム粒子ではなく、ゴム質重合体粒子のみが31nmから100nmに肥大化した。また、参考例1は、重量平均粒子径が70nmを超える148nmの樹脂質重合体粒子B−2を混合した例であり、無水酢酸を用いないため、肥大化しないだけでなく、重量平均粒子径が平均値である67nmと小さくなった。また、この混合粒子からなるフィルムは半透明であり、透明性は不十分であった。
一方、表2より、実施例1−1〜1−6の複合ゴム粒子は、用いたゴム質重合体粒子及び樹脂質重合体粒子の粒子径に対して大きく、透明性に優れる。尚、実施例1−7は、用いたゴム質重合体粒子の粒子径が31nm、樹脂質重合体粒子の粒子径が148nmと、後者が大きく、得られた複合ゴム粒子の粒子径も大きくなったが、半透明であった。
4.共重合樹脂の製造
上記で得た複合ゴム粒子(C)又はゴム粒子C−8を用い、下記方法によりグラフト化複合ゴム粒子又はグラフト化ゴム粒子を含む共重合樹脂を製造した。
実施例2−1(共重合樹脂R−1の製造)
メタクリル酸メチル320部、スチレン20部、アクリロニトリル60部及びt−ドデシルメルカプタン0.5部を混合して、単量体混合物(II)を調製した。製造例A−1において使用したガラス製反応器に、上記複合ゴム粒子C−1を含むラテックス100部(固形分換算)、水700部及び不均化ロジン酸カリウム2.5部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、内温を40℃まで昇温した。40℃に達した時点で、水230部に、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(以下、「EDTA」と略記する)0.2部と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(以下、「SFS」と略記する)1.0部と、硫酸第1鉄0.02部とを溶解した水溶液(以下、「RED水溶液」と略記する)のうちの72質量%相当量、及び、キュメンハイドロパーオキサイド(以下、「CHP」と略記する)0.8部を反応器に添加した。その直後に単量体混合物(II)及びRED溶液の27質量%相当量を、いずれも5時間にわたって連続添加し、重合反応を進めた。重合開始から内温を60℃まで昇温し、その後、この温度で保持した。重合を開始して5時間後、RED水溶液の残り1質量%相当量及びCHP0.05部を反応器内に添加し、1時間の間、同じ温度で保持した後に重合を終了し、共重合樹脂R−1を含むラテックスを得た。このときの重合転化率は96%であった(表4参照)。このラテックスより、凝固、水洗、乾燥し、粉末状の共重合樹脂R−1を得た。
上記で得られた共重合樹脂は、複合ゴム粒子に上記単量体成分がグラフトしたグラフト化複合ゴム粒子と、未グラフト(共)重合体とを含む。そこで、下記方法により、未グラフト(共)重合体を単離してフィルム化し、上記方法により屈折率を測定した。その結果を表4に併記した。
(未グラフト(共)重合体の単離方法)
共重合樹脂をアセトニトリル中に投入し、振とう機を用いて1時間振とうし、未グラフト(共)重合体をアセトニトリルに溶解させた。その後、遠心分離器を用いてこの溶液を遠心分離(22000rpm、1時間)し、不溶分を分離して可溶分を得た。次いで、75℃のホットプレートで2時間、続いて120℃の真空乾燥機で2時間乾燥し、固体状の未グラフト(共)重合体を得た。
実施例2−2〜2−9(共重合樹脂R−2〜R−9の製造)
表4に示した重合処方に準じ、上記実施例2−1と同様にして、共重合樹脂R−2〜R−9を得た。
Figure 2005247996
比較例2−1〜2−2(共重合樹脂R−10〜R−11の製造)
表5に示した重合処方に準じ、上記実施例2−1と同様にして、共重合樹脂R−10〜R−11を得た。
Figure 2005247996
5.熱可塑性樹脂組成物の製造及び評価
実施例3−1〜3−12及び比較例3−1〜3−2
上記で得た共重合樹脂R−1〜R−11、下記のビニル系単量体の(共)重合体等を用い、表6及び表7に示す配合割合でミキサーにより5分間混合した後、単軸押出機でシリンダー設定温度180〜220℃で溶融混練押出し、ペレット(熱可塑性樹脂組成物)を得た。得られたペレットを十分に乾燥し、全光線透過率測定用の試験片を得た。その結果を表6及び表7に併記した。
(1)ビニル系単量体の(共)重合体
・S−1;屈折率が1.524であるメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(重合比57/28/15)。
・S−2;屈折率が1.580であるメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(重合比5/85/10)。
(2)熱安定剤
フェノール系酸化防止剤(商品名「Irganox1010」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
Figure 2005247996
Figure 2005247996
また、カーボンブラックにより組成物を黒色とする場合の着色鮮映性及び力学的強度を評価するため、溶融混練時に、カーボンブラック(デグサ社製)及びステアリン酸カルシウムを、ゴム強化樹脂100部に対してそれぞれ0.5部及び0.3部配合して、黒色系樹脂組成物を製造し、下記方法で着色鮮映性及び力学的強度をした。その結果を表6及び表7に併記した。
(i)着色鮮映性
黒着色試験片を目視し、以下の基準で評価した。
○;漆黒性に優れている。
△;少し漆黒性に欠ける。
×;明らかに漆黒性に劣る。
(ii)力学的強度
全光線透過率の測定に用いた試験片を熱プレス成形にてフィルム化(厚さ70μm)し、手で折り曲げ、以下の基準で評価した。
○;折り曲げにより延性的に破壊した。
△;試験片によっては、一部に脆性的に破壊するものもあった。
×;折り曲げにより脆性的に破壊した。
表7より、比較例3−1は、樹脂質重合体粒子を用いず、肥大化させたゴム質重合体粒子のみを用いた共重合樹脂を含む組成物を評価したものであり、全光線透過率が22%と不十分であり、着色鮮映性にも劣る。また、比較例3−2は、複合ゴム粒子を用いずに製造した共重合樹脂を含む組成物を評価したものであり、全光線透過率及び着色鮮映性は十分であるが、力学的強度が不十分である。
一方、表6及び表7より、実施例3−1〜3−12は、肥大化により重量平均粒子径が100〜380nmと大きな複合ゴム粒子を用いて製造した共重合樹脂を含む組成物を評価したものであり、全光線透過率、着色鮮映性及び力学的強度の性能バランスに優れる。特に、実施例3−1〜3−8は、全光線透過率が50%以上であり、着色鮮映性及び力学的強度に優れている。
本発明の複合ゴム粒子を用いてなるゴム強化樹脂を含む組成物は、光の透過性に優れ且つ透明な成形品とすることができることから、その成形品は、フィルム、シート等の所定形状を有し、良好な表面外観の要求されるOA・家電製品、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、車輌用途等の各種パーツ、シャーシ、ハウジング材等に好適である。
本発明の複合ゴム粒子が形成されることを示す概略模式図である。
符号の説明
1;ゴム質重合体粒子(a)、2;樹脂質重合体粒子(b)、3;複合ゴム粒子。

Claims (9)

  1. ゴム質重合体粒子(a)及び樹脂質重合体粒子(b)を含む混合物中で、該ゴム質重合体粒子(a)及び該樹脂質重合体粒子(b)を凝集させて得られた肥大化粒子であることを特徴とする複合ゴム粒子。
  2. 本複合ゴム粒子が1つの屈折率を有する請求項1に記載の複合ゴム粒子。
  3. 上記樹脂質重合体粒子(b)の重量平均粒子径は、70nm以下である請求項1又は2に記載の複合ゴム粒子。
  4. 上記樹脂質重合体粒子(b)の屈折率は、上記ゴム質重合体粒子(a)の屈折率よりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の複合ゴム粒子。
  5. 本複合ゴム粒子の重量平均粒子径は、50〜2000nmの範囲にある請求項1乃至4のいずれかに記載の複合ゴム粒子。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の複合ゴム粒子の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られたことを特徴とする共重合樹脂。
  7. 上記複合ゴム粒子と、上記ビニル系単量体の(共)重合体との屈折率差は、0.02以下である請求項6に記載の共重合樹脂。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載の複合ゴム粒子の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られる共重合樹脂(P1)、又は、該共重合樹脂(P1)とビニル系単量体の(共)重合体(P2)との混合物からなるゴム強化樹脂を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  9. 上記ゴム強化樹脂と、請求項1乃至5のいずれかに記載の複合ゴム粒子との屈折率差は、0.01以下である請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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