JP2005264256A - 共重合体高分子、金属被覆物、金属配線基板及びそれらの製造方法 - Google Patents

共重合体高分子、金属被覆物、金属配線基板及びそれらの製造方法 Download PDF

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勝 中川
Yuji Suzuki
悠二 鈴木
Nozomi Nawa
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Abstract

【課題】揮発性、可燃性で、毒性を有する有機溶剤を使用せず、水媒体に可溶で、かつ吸着種としてサイズの小さいPd2+イオンの配位が可能であり、かつ金属酸化物及び高分子樹脂の基板表面に吸着可能であり、無電解めっきを促進する高分子化合物を提供すること。また、無電解めっきを促進する高分子化合物により被覆された金属酸化物及び高分子樹脂基板の金属被覆物及びその製造方法を提供すること。また、活性エネルギー線の照射により基板表面から無電解めっきを促進する高分子化合物を除去することにより高分子吸着ナノ薄膜の光パターン形成を行い、金属配線基板及びその環境低負荷型の製造方法等を提供すること。
【解決手段】本発明の共重合体高分子は、基板表面に吸着し得る正の電荷を有する官能基と、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基とを有する共重合体高分子であって、無電解めっき促進効果を示す共重合体高分子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体基板表面での無電解めっきを促進する共重合体高分子、金属被覆物、金属配線基板及びそれらの製造方法に関する。更に詳細には、金属配線基板製造時の有機物含有廃液を低減でき、溶剤として水を用いることを可能とするアディティブ法による金属配線基板を製造することのできる共重合体高分子、金属被覆物等に関する。
家庭用電気製品等に含まれている数マイクロメートルから数ミリメートルの解像度を有する金属配線基板は、感光性樹脂組成物からなるフォトレジストを用いて作製されている。工業的に用いられているものの一例としては、絶縁性基材層、導電性銅薄膜層、フォトレジスト層の順で積層されたラミネートフィルムを用いて金属配線基板を製造するものが挙げられる。
このような金属配線基板の製造では、配線画像形成に感光性樹脂組成物からなるフォトレジスト層が利用されている。このフォトレジスト層は、金属配線基板の製造過程で除去されていく。現在実施されている製造工程では、連続的なラミネート工程により作製されたラミネートフィルムを用いているため、フォトレジスト層の厚さは50μm程度である。厚いフォトレジスト層を用いると、感光性樹脂組成物の物品利用率が低くなり、その改善のために、樹脂組成物の回収が必要となる。また、現在の金属配線基板の製造過程では、フォトレジスト層に由来する大量の有機物含有廃棄物が排出される。環境低負荷を達成するという観点から、フォトレジスト層の薄膜化が要求されている。さらに、銅薄膜層を選択的にエッチングするサブストラクト法によって製造されるため、エッチング時に排出される重金属水溶液の回収や重金属の再利用が必要となってくる。そのため、金属の排出量の少ないアディティブ法が採用されることが望まれている(非特許文献1)。
このような技術背景に基づき、非特許文献2には、究極の超薄膜である有機ナノ薄膜を利用した基板表面層の改質による選択的金属化の方法が開示されている。該文献においては、基板表面のアディティブ法による金属化のために、ピリジル基含有シランカップリング剤が用いられている。該文献においては、トルエン等の有機溶剤に溶解させたピリジル基含有シランカップリング剤を含む溶液に基板を浸漬させ、自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer(SAM))を基板表面に形成させ、基板表面の化学的改質を行い、紫外線の描画露光を行い、露光部の有機物を光分解して除去する。次いで、基板を塩化パラジウムを含む水溶液に浸漬して、未露光部に残存するシランカップリング剤由来のピリジル基に、Pd2+イオンを配位結合形成に基づいて吸着させる。次いで、還元剤を含む水溶液に基板を浸漬し、Pd2+イオンを触媒の金属Pd(0)に還元する。最後に、無電解ニッケル−リンめっき浴に浸漬し、上記触媒で活性化された未露光部の領域を選択的に金属化することにより、金属配線基板を得ている。
上記非特許文献2に開示された方法では、フォトレジスト材料を用いる方法と比較した場合、製造時における有機物含有廃液の低減化の問題は解決されるが、SAM形成のために、高価なクロロシラン化合物やアルコキシシラン化合物を使用している。また、揮発性のピリジル基含有シランカップリング剤を用いていることや、揮発性及び可燃性で毒性を有する芳香族系炭化水素等の有機溶剤を使用するため、労働環境の改善面での問題が発生する。
非特許文献3には、ポリイミドからなる高分子樹脂基板の表面改質による基板の金属化法が開示されている。該文献に開示された方法では、高分子樹脂ポリイミド基板を4−ビニルピリジンの存在下アルゴンプラズマ処理し、ピリジル基を含有する高分子化合物を高分子樹脂基板に結合させ、ポリ(4−ビニルピリジン)を主成分とするグラフト層形成に基づき、基板の表面改質を行っている。次いで、基板を塩化パラジウム水溶液へ浸漬し、無電解めっき浴への浸漬を行い、ポリイミド基板の金属被覆物を得ている。
上記非特許文献3に開示された方法においても、製造時における有機物含有廃液の低減化の問題は解決される。しかし、高価なプラズマ照射装置を使用することや、既存のフォトレジストを使用する製造ラインへの適応が容易ではないため、生産コストがかかるという問題がある。また、高分子樹脂基板の種類が異なると、ピリジル基含有高分子化合物による基板表面の改質条件が異なってくる等の問題がある。従って、基板の種類に依存しない、アディティブ法による選択的金属化法の開発が望まれている。
上記問題を解決するため、特許文献1には、イオン性高分子を用いた基板表面の化学的改質による選択的金属化法が開示されている。該特許公報には、(A)負のζ電位を形成する、または負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、幹ポリマーを構成する繰り返し単位の側鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、かつ、活性エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合が切断される感活性エネルギー線高分子を前記負のζ電位または負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に吸着して形成される前記感活性エネルギー線高分子で被覆され、該被覆により正のζ電位を示す表面修飾基板を作製し、(B)該表面修飾基板に前記活性エネルギー線をパターン状に照射して、幹ポリマーの結合を切断し、(C)該表面修飾基板を水単独、水を主成分とする水と相溶性の有機溶媒との混合溶液、またはこれらに電解質を溶解させた溶液により活性エネルギー線照射部の切断された感活性エネルギー線高分子を脱着させた後、(D)前記感活性エネルギー線高分子の脱着部に無電解めっき触媒を吸着させ、次いで無電解めっき液に浸漬する工程を含む製造方法により得られたことを特徴とする金属配線基板及びその製造方法が開示されている。
該特許公報に開示された方法によれば、オニウム部位を有する感活性エネルギー線高分子と負電荷を有する又は負のζ電位を形成する基板を使用してなる選択的金属化法により金属配線基板が製造される。該方法では、活性エネルギー線の選択露光により活性エネルギー線で変性された吸着高分子を脱着させ、露光部が負のζ電位を示し、かつ未露光部が正のζ電位を示すパターン状表面修飾基板を用いている。該方法は、吸着した有機ナノ薄膜の水溶液による脱着を原理としているため、排出される有機系含有廃液が著しく低減され、更に労働環境に好ましくない揮発性、可燃性で、毒性を有する有機溶剤を使用していないことから、環境保全の面で極めて優れているといえる。
しかし、基板表面を修飾する感活性エネルギー線高分子の感活性エネルギー線部位がポリシランの幹骨格であるため、感活性エネルギー線高分子が高価であるという問題がある。また、金属化触媒粒子の基板表面への吸着の差異に、基板表面と金属化触媒粒子との間の静電気力(クーロン力)の引力と斥力とを利用しているため、荷電粒子間の斥力発現による露光部での吸着斑の発現や、SnClから形成される酸化すずコロイド粒子のサイズが200〜700nmと大きいため、マイクロメートルサイズの解像度で金属配線基板の品質が低下するという問題がある。更に、金属化にSnイオンを用いているため、Snフリーの環境低負荷技術への対応という課題もある。
日本特許庁 技術分野別特許マップ 印刷配線版 平成9年度、URL:http://www.jpo.go.jp/indexj.htm) W. J. Dressick, C.S. Dulcey, J.H. Georger, Jr., G. S. Calabrese, and J. M. Calvert, J. Electrochem. Soc., Vol 141, 210-220 (1994) W. C. Wang, R. K. H. Vora, E. T. Kang, K. G. Neoh, Macromol. Master. Eng. Vol 288, 152-163 (2003) 特開2003−133696号公報
従って、本発明の目的は、揮発性、可燃性で、毒性を有する有機溶剤を使用せず、水媒体に可溶で、かつ吸着種としてサイズの小さいPd2+イオンの配位が可能であり、かつ金属酸化物及び高分子樹脂の基板表面に吸着可能であり、無電解めっきを促進する高分子化合物を提供することにある。また、無電解めっきを促進する高分子化合物により被覆された金属酸化物及び高分子樹脂基板の金属被覆物及びその製造方法を提供することにある。また、紫外線等の活性エネルギー線の照射により基板表面から無電解めっきを促進する高分子化合物を除去することにより高分子吸着ナノ薄膜の光パターン形成を行い、金属配線基板及びその環境低負荷型の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、特定の共重合体高分子を用いることにより上記目的を達成し得るという知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、基板表面に吸着し得る正の電荷を有する官能基と、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基とを有する共重合体高分子であって、無電解めっき促進効果を示す共重合体高分子を提供する。
上記基板は、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板であることが好ましい。
表面修飾基板に吸着し得る正の電荷を有する官能基はピリジニウム基であることが好ましく、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基はピリジル基であることが好ましい。
共重合体としては、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位とを含む共重合体高分子が挙げられる。
Figure 2005264256
(上記式中、Rは水素、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基又はアリール基であり、Xはハロゲンである。)
Figure 2005264256
また、本発明は、上記共重合体高分子を含有してなる、無電解めっき促進用組成物を提供する。
また、本発明は、上記共重合体高分子又は上記無電解めっき促進用組成物を用いて、無電解めっき工程により製造される金属被覆物を提供する。
また、本発明は、上記共重合体高分子又は無電解めっき促進用組成物を用いて、無電解めっき工程により製造される金属配線基板を提供する。
また、本発明は、(a)上記共重合体高分子を、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;(b)該共重合体高分子により修飾された表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して、無電解めっき触媒の前駆物質を、表面修飾基板に修飾された共重合体高分子に吸着させる工程;及び(c)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属被覆物の製造方法により得られる金属被覆物を提供する。
上記金属被覆物においては、上記の工程(a)に記載の共重合体高分子が、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下で吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に存在することが好ましい。
また、本発明は、(a)上記共重合体高分子を、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;(d)該表面修飾基板に活性エネルギー線をパターン状に照射して、上記共重合体高分子を該表面修飾基板からパターン形状に除去する工程;(e)上記表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して無電解めっき触媒の前駆物質を表面修飾基板上の共重合体高分子が残存する領域に吸着させる工程;及び(f)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属配線基板の製造方法により得られる金属配線基板を提供する。
上記金属配線基板においては、上記の工程(a)に記載の共重合体高分子が、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下で吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に存在することが好ましい。
また、本発明は、(a)上記共重合体高分子を、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;(b)該共重合体高分子により修飾された表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して、無電解めっき触媒の前駆物質を、表面修飾基板に修飾された共重合体高分子に吸着させる工程;及び(c)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属被覆物の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記共重合体高分子を、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;(d) 該表面修飾基板に活性エネルギー線をパターン状に照射して、上記共重合体高分子を該表面修飾基板からパターン状に除去する工程;(e)上記表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して無電解めっき触媒の前駆物質を表面修飾基板上の共重合体高分子が残存する領域に吸着させる工程;及び(f)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属配線基板の製造方法を提供する。
本発明により、金属被覆物及び金属配線基板製造時の有機物含有廃液を低減でき、溶剤として水を用いることを可能とするアディティブ法による金属被覆物及び金属配線基板を製造することのできる共重合体高分子が得られる。また、本発明により、金属被覆物及び金属配線基板製造時の有機物含有廃液を低減でき、溶剤として水を用いることを可能とするアディティブ法による金属被覆物及び金属配線基板が得られる。また、本発明により、金属被覆物及び金属配線基板製造時の有機物含有廃液を低減でき、溶剤として水を用いることを可能とするアディティブ法による金属被覆物及び金属配線基板の製造方法が得られる。
以下、先ず本発明の共重合体高分子について説明する。
本発明の共重合高分子は、基板表面に吸着し得る正の電荷を有する官能基と、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基とを有する。本発明の共重合体高分子は、無電解めっき促進効果を示す。
また、上記基板としては、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板であることが好ましい。上記表面修飾基板としては、無電解めっき促進用組成物を構成する共重合体高分子の正電荷とクーロン力による吸着を起こしうるものであり、負電荷に解離する極性官能基を潜在的に基板表面に有しているまたは負のζ電位を形成しうる基板を意味する。また、表面処理によって上記特性を付与された表面修飾基板を使用することができる。ここでいう基板とは、自己支持性を有する平面状固体又は曲面状固体であり、前記感活性エネルギー線高分子を溶解する溶液との接触により負のζ電位(ゼータポテンシャル;界面動電電位)を示す基板又は基板表面に負電荷に解離する極性官能基を有する基板を意味する。負のζ電位としては、−5から−100mV未満の範囲であることが好ましい。負のζ電位を形成する基板としては、基板そのものが金属酸化物からなる基板としては、例えばシリカガラス、溶融石英ガラス、合成石英ガラス、シリコンオキサイド、雲母、アルミナ、酸化チタン等からなる固体基板等が挙げられる。負電荷に解離する極性官能基としては、例えばシラノール基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、フェノール性水酸基、アルカリ金属のアルコキシド基等が挙げられる。
また、本発明の共重合体高分子の側鎖に含まれる正の電荷を有する官能基は負のζ電位を形成する基板表面にクーロン力により吸着するので、多種多様な基板表面を金属酸化物で被覆した基板が好適に用いられる。金属酸化物で被覆した基板としては、例えば、半導体シリコン基板(ドープ及び非ドープ)の他に、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、セルロース樹脂などの樹脂バルク層の上に、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナなどの金属酸化物層を設けた基板等が挙げられる。さらには、上記共重合体高分子の側鎖に含まれる正の電荷を有する官能基は負電荷に解離する極性官能基を有する基板表面にもクーロン力を介して吸着するので、上記化学官能基を有するシランカップリング剤で前記多種多様な基板を化学的に表面処理した表面修飾基板も使用可能である。また、正のζ電位を形成するまたは正の電荷を有する極性官能基を有する基板表面に、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)などのアニオン性高分子を吸着させて被覆した基板が使用可能である。
また、前記有機系樹脂のバルク層表面または前記金属酸化物表面に物理的表面処理あるいは化学的表面処理を施した樹脂基板を使用することができる。物理的表面処理としては、プラズマ処理、オゾン/紫外線処理、コロナ放電処理、電子線照射処理などが挙げられる。また、化学的表面処理としては、過酸化水素―硫酸、濃硝酸、発煙硝酸、発煙硫酸、過マンガン酸カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液などの溶液で処理を施した前記樹脂基板が使用可能である。
本発明の共重合体高分子は、基板表面に吸着し得る正の電荷を有する官能基と、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基とを有する。
上記表面修飾基板に吸着し得る官能基としては、例えばピリジニウム基、イミダゾリウム基、ピコリニウム基等の芳香族オニウム基;トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基等の脂肪族アンモニウム基等が挙げられる。また、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基としては、例えばピリジル基、1級、2級、3級アミノ基、ピコリル基、イミダゾイル基、ベンゾイミダゾイル基等が挙げられる。
本発明の共重合体高分子としては、例えば、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位とを含む共重合体高分子が挙げられる。
Figure 2005264256
Figure 2005264256
上記一般式(1)において、Rは水素、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基又はアリール基であり、Xはハロゲンである。アルキル基としては、炭素数1〜30個のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜18個のアルキル基が好ましい。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられる。
上記共重合体高分子において、一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、一般式(2)で表わされる繰り返し単位とのモル比に特に制限はないが、好ましくは1:99〜99:1であり、更に好ましくは15:85〜85:15である。また、上記共重合体高分子は、その分子量は好ましくは500〜1,000,000であり、更に好ましくは1,000〜500,000である。
上記共重合体高分子を製造する方法に特に制限はなく、例えば、一般式(2)で表わされる繰り返し単位を有する重合体高分子を、ハロゲン化アルキル(R−X)と反応させることにより、製造することができる。
上記反応において、使用する溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。また反応温度は10℃〜150℃の温度で、0.5〜48時間反応を行うことが好ましい。
また、上記反応で得られた共重合体高分子は、再沈殿による精製方法や透析膜による精製方法により精製することができる。
本発明の共重合体高分子は、無電解めっき促進効果を有するので、無電解めっき促進用組成物として用いることができる。
また、本発明の共重合体高分子は、後述する金属被覆物の製造方法、及び金属配線基板の製造方法において用いることができる。
次に、本発明の金属被覆物について説明する。
本発明の金属被覆物は、本発明の金属被覆物の製造方法によって製造することができる。
以下、本発明の金属被覆物の製造方法について説明する。
本発明の金属被覆物の製造方法は、(a)上記共重合体高分子を、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;(b)該共重合体高分子により修飾された表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して、無電解めっき触媒の前駆物質を、表面修飾基板に修飾された共重合体高分子に吸着させる工程;及び(c)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む。
本発明の金属被覆物の製造方法について説明する。先ず、工程(a)について説明する。工程(a)は、負のζ電位を形成する、または負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記共重合体高分子を、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して表面修飾基板を作製する工程である。
先ず、上記共重合体高分子を、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響したで吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に溶解し、無電解めっき促進用組成物の溶液を調製する。この無電解めっき促進用組成物溶液を調製するために用いられる水可溶性溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、及びアセトン等が挙げられる。上記の中でも好ましいものは、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及びアセトンである。例えば、上記共重合体高分子として、上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、上記一般式(2)で表わされる繰り返し単位とを含み、上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位のモル比が30%の共重合体高分子を用いた場合、水にはほとんど溶解しないが、例えばエタノールと水との混合溶液には溶解する。共重合体高分子をエタノールと水との混合溶液に溶解する場合、エタノールの濃度によって吸着膜の厚みを調節することができる。すなわち、エタノールの溶液に溶解した場合、共重合体高分子は直線状の構造をとるため、吸着膜は薄くなり、エタノールの濃度を低くするに従って、高分子鎖が十分溶媒和された折りたたまれた構造をとるため、吸着膜が厚くなる。従って、上記工程(a)において、水と、水に可溶性溶媒の混合溶液を用いる場合には、それらの混合比を変えることによって吸着膜の厚みを調節することが可能となる。
無電解めっき促進用組成物溶液中の共重合体高分子の濃度は、好ましくは0.001〜5質量%であり、更に好ましくは0.01〜1質量%である。共重合体高分子の濃度が0.001質量%未満であると、共重合体高分子が吸着しても、表面修飾基板が共重合体高分子により緻密に被覆されない場合があり、5質量%を超えると、共重合体高分子により被覆された表面修飾基板を洗浄する際に、高濃度の共重合体高分子を含有する溶液が排出され、物品利用率が低下する場合がある。無電解めっき促進用組成物には、表面修飾基板のζ電位及び基板表面に存在する極性官能基の負電荷への解離を促進するために、電解質を溶解してもよい。用いられる電解質としては、種々の無機電解質や有機電解質を挙げることができる。例えば、塩化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、塩化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属塩、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等が挙げられる。これらの電解質ならびに異なる誘電率の水と相溶性のある有機溶媒を該高分子溶液に共存させることによって、溶存状態での共重合体高分子のストークス半径が制御されうるので、共重合体高分子を吸着させて基板を被覆する際に、前記電解質ならびに誘電率の異なる有機溶媒は膜厚調整剤として使用することができる。
上述のようにして調製された溶液に、表面修飾基板を配置して、共重合体高分子を該基板上に吸着させ被覆する。この操作によって、修飾基板表面に形成させた負のζ電位または負電荷と共重合体高分子に官能基が有する正電荷との間にクーロン力が作用し、共重合体高分子が基板上に効率よく吸着される。吸着した共重合体高分子には、基板表面の負電荷とクーロン力による吸着に関与しない正電荷の官能基が存在するので、結果として、共重合体高分子を被覆した表面修飾基板は、正の電荷が最表面層に露出し、共重合体高分子により被覆された表面修飾基板は正のζ電位を示す。このクーロン力による吸着に関与する官能基は、1分子の共重合体高分子あたりに複数個存在するため、クーロン力の多点相互作用により共重合体高分子は前記表面修飾基板に非可逆吸着をする。ここで、非可逆吸着とは、共重合体高分子の媒質を含まない溶液を作用しても脱着しない吸着現象を示す。これに対し、例えば、一つの官能基からなる低分子化合物は可逆吸着をする。ここで、可逆吸着とは、低分子化合物の媒質を含まない溶液を作用することによって、基板表面から定量的に脱着する吸着現象を意味する。
吸着に要する浸漬時間は、共重合体高分子の種類、濃度、表面修飾基板の種類によって異なるが、好ましくは5秒〜5時間であり、更に好ましくは1分〜1時間である。浸漬時間が5秒より短いと、共重合体高分子の吸着が不十分となる場合があり、5時間以上浸漬しても吸着層形成に変化がない場合がある。溶液の温度範囲は、好ましくは0℃から水溶性有機溶媒の沸点、更に好ましくは、室温から60℃の範囲である。無電解めっき促進用組成物溶液に浸漬した後の基板は、脱イオン水、あるいは該高分子の溶質を含まない水溶性有機溶媒または同じ体積比で混合した水溶性有機溶媒と脱イオン水との混合溶液を用いて洗浄し、次いで基板を風乾させる。共重合体高分子が吸着して基板上に形成する膜の膜厚は、上述したように、例えばエタノールの濃度に依存するが、通常は、1〜40nm程度であり、更に好ましくは2〜20nm程度であり、換言すれば超薄膜なものとなる。
表面修飾基板の共重合体高分子による被覆法には、基板を該溶液に浸漬する方法の他に、基板上に無電解めっき促進用組成物の溶液をスピン塗布、流延塗布、スクリーン印刷する方法、インクジェットプリンターによる描画方法等であってもよい。これらの方法によって調製される被覆膜は、表面修飾基板との界面でのクーロン力により自発的に吸着膜となる。工業的に好ましくは、無電解めっき促進用組成物の溶液を基板上にスピン塗布した後に、共重合体高分子の媒質を含まない溶液で洗浄する方法が用いられる。更に好ましくは、該高分子の損失なく基板上に被覆でき、かつ、実質的に使用する溶媒を最小限に抑えられる浸漬法が用いられる。
次に、工程(b)について説明する。工程(b)は、上記共重合体高分子により修飾された表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して無電解めっき触媒の前駆物質を表面修飾基板に修飾された共重合体高分子に吸着させる工程である。
工程(b)において用いられる無電解触媒の前駆物質としては、例えば酸化数が2価のPd2+イオンを含むパラジウム化合物である、PdCl、Pd(OCOCH、(NHPdCl、Pd(NO、NaPdCl、Pd(OCOCF、KPdCl、Pd(CN)Cl等が挙げられる。
上記無電解めっき触媒の前駆物質を溶解する溶媒としては、上記工程(a)において共重合体高分子を溶解するのに用いたものを用いることができる。また、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液中の無電解めっき触媒物質の濃度は、10−5〜10−1質量%であることが好ましく、10−4〜10−2質量%であることが更に好ましい。また、上記無電解めっき触媒の前駆物質の水溶液に表面修飾基板を浸漬する時間は、共重合体高分子、無電解めっき触媒の前駆物質の種類、濃度、表面修飾基板の種類によって異なるが、好ましくは1分〜1時間であり、更に好ましくは3〜30分であり、最も好ましくは5〜10分である。浸漬時間が1分より短いと、無電解めっき触媒物質の吸着が不十分となる場合があり、1時間以上浸漬しても吸着層形成に変化がない場合がある。溶液の温度範囲は、好ましくは0℃から水溶性有機溶媒の沸点、更に好ましくは、室温から60℃の範囲である。無電解めっき触媒の前駆物質の水溶液に浸漬した後の基板は、脱イオン水、あるいは該高分子の溶質を含まない水溶性有機溶媒または同じ体積比で混合した水溶性有機溶媒と脱イオン水との混合溶液を用いて洗浄し、次いで基板を風乾させる。
次いで、工程(c)について説明する。工程(c)は、上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程である。無電解めっき溶液としては、各種金属塩を含んでなる、従来公知の無電解めっき溶液を用いることができる。無電解めっき溶液には、還元剤、錯化剤、pH調製剤、緩衝剤、安定剤等を含有させてもよい。
上記金属塩としては、周期律表第4、5、6周期に属する金属を用いることができるが、めっき速度やめっき被膜層の性状などの観点からみて、ニッケル、コバルト、銅、銀、白金、金等の塩が好ましい。
還元剤としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、ロッシェル塩、ブドウ糖が挙げられる。好ましくは、次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。
錯化剤としては、例えば、アンモニア、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩等が用いられる。また、pH調製剤としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、アンモニウム塩が用いられる。また、安定剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の各種の界面活性剤等が用いられる。
無電解めっき溶液中の金属塩の濃度は、好ましくは10−3〜10mol/dmであり、更に好ましくは10−2〜10−1mol/dmである。また、無電解めっき溶液に表面修飾基板を浸漬する時間は、無電解めっき触媒の前駆物質、無電解めっき溶液中の金属塩の種類、濃度等によってことなるが、好ましくは1分〜12時間であり、更に好ましくは10分〜8時間であり、最も好ましくは30分〜6時間である。浸漬時間が1分より短いと、めっきが不十分となる場合があり、12時間以上浸漬してもめっきの形成に変化がない場合がある。溶液の温度範囲は、好ましくは10〜90℃であり、更に好ましくは25〜80℃である。
本発明は、上述の金属被覆物の製造方法によって得られた金属被覆物をも含有するものである。上述の金属被覆物の製造方法によって得られた金属被覆物は、例えば各種表示素子、バッテリー電極、太陽電池、集積回路、電磁波シールド材料、各種微小なマイクロ発熱体、マイクロ流路電極、細胞への物質を導入するための導電性チューブ材料、微小磁気ヘッド等として用いることができる。
次に、本発明の金属配線基板の製造方法について説明する。
本発明の金属配線基板の製造方法は、(a)上記共重合体高分子を、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;(d)該表面修飾基板に活性エネルギー線をパターン状に照射して、上記共重合体高分子を該表面修飾基板からパターン状に除去する工程;(e)上記表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して無電解めっき触媒の前駆物質を表面修飾基板上の共重合体高分子が残存する領域に吸着させる工程;及び (f)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む。
上記工程(a)については、上述した金属被覆物の製造方法と同様である。
工程(d)について説明する。工程(d)は、工程(a)で共重合体高分子により被覆された基板表面に、活性エネルギー線をパターン状に照射して、共重合体高分子を基板表面から除去する工程である。この工程により、共重合体高分子の結合が切断され、活性エネルギー線に暴露された共重合体高分子は基板から脱イオン水により脱着する。
工程(d)において用いられる活性エネルギー線としては、酸素分子と反応し、オゾン分子、活性酸素分子や原子を形成する、波長が260nm以下の紫外線が挙げられる。照射光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、水銀キセノン灯、キセノンエキシマー灯、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、各種レーザー等が挙げられる。パターン形成を行うためには、金属製又は石英製のフォトマスク越しにこれらの活性エネルギー線を照射すればよい。各種レーザーを用いる場合には、走査露光によって回路パターンを形成することができる。この照射により、露光部分のみにおいて、オゾン分子や活性酸素原子によって共重合体高分子の酸化的な分解反応が進行し、1分子の共重合体高分子あたりの正電荷を有する官能基の数が減少した潜像が、表面修飾基板の照射部領域に形成される。上述の活性エネルギー線照射後、基板を、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液により洗浄することが好ましい。洗浄することによって、活性エネルギー線に暴露された共重合体高分子が基板から脱着する。
波長200nm未満の遠紫外線を照射するには、10〜2000Pa程度の圧力下で照射することが好ましい。
本発明の金属配線基板の製造方法においては、上記工程(d)に続いて工程(e)及び工程(f)を実施する。この工程(e)及び(f)については、それぞれ、上述した金属被覆物の製造方法における工程(b)及び(c)と同様である。
本発明の金属配線基板の製造方法においては、上記工程(e)において、無電解めっき触媒の前駆物質は、工程(b)において活性エネルギー線が照射されて基板上の共重合体高分子が除去された領域以外、すなわち、基板上の共重合体高分子が残存する未露光部領域にのみ吸着する。
本発明は、上述の金属配線基板の製造方法によって得られた金属配線基板をも含有するものである。上述の金属配線基板の製造方法によって得られた金属配線基板は、例えば各種表示素子、バッテリー電極、太陽電池、集積回路、電磁波シールド材料、各種微小なマイクロ発熱体、マイクロ流路電極、細胞への物質を導入するための導電性チューブ材料、微小磁気ヘッド等として用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
ポリ(4−ビニルピリジン)2.0g、1−ブロモデカン 3.5g、2−プロパノール 125mlを混合し、105℃の温度で24時間加熱還流を行った。反応溶液を500mlの酢酸エチルに滴下して再沈殿を行った。次いで、吸引ろ過を行い、得られた粉末を再度5mlのエタノールに溶解し、500mlの酢酸エチルで再沈殿を行い、次いで吸引ろ過を行った。再沈殿及び吸引ろ過を再度繰り返して行い、100℃の温度で14時間乾燥を行い、白色粉末の生成物5.5gを得た。
得られた生成物を、DMSO−d/CDCl(v/v=1:1)中でH−NMRにより同定した。H−NMRのチャートを図1に示す。図1に示すように、H−NMRは、8.3ppm及び6.8ppmにピリジル基のα位及びβ位に由来するプロトンのピークが観察され、8.9ppm及び7.6ppmにピリジニウム基のα位及びβ位に由来するプロトンのピークが観察された。ピリジル基のα位のプロトンと4級化されたピリジニウム基のβ位のプロトンの積分比を比較することにより4級化率を算出したところ、ピリジニウム基の導入率が30%のポリ(1−ドデシル−4−ビニルピリジニウム ブロミド−co−4−ビニルピリジン)(以下、共重合体1という)であることがわかった。
実施例2
実施例1で得られた共重合体1を濃度10−2mol/dmで含有する水−エタノール混合溶液(v/v=40:60)を調製し、無電解めっき促進用組成物溶液Aとした。Xeエキシマ−フォトランプ(UER20−172A、ウシオ電機社製)からの172nmの紫外線を圧力1000Paの下で15分間照射し、水に対する静的接触角が5°より小さい溶融シリカ基板と表面酸化シリコンウェハー基板、また静的接触角が30±5°のポリエチレンテレフタレート(PET)基板を得た。これらの清浄な基板を無電解めっき促進用組成物溶液Aに、100回/分の振とう下、30℃の温度で1時間浸漬した。1時間浸漬した後、基板を取り出し、水−エタノール混合溶液(v/v=40:60)で洗浄し、Nガスを用いて乾燥し、共重合体1で表面修飾された基板を得た。共重合体1で被覆された表面修飾溶融シリカ基板は、水に対する静的接触角が60±3°であり、表面酸化シリコンウェハー基板は、水に対する静的接触角が75±3°であり、PET基板は、水に対する静的接触角が75±5°であった。pH7の10mmol/dm濃度のNaCl水溶液で平板のζ電位を、ζ電位測定装置(大塚電子社製、ELS−8000)を用いて測定した。測定結果は、表面修飾溶融シリカ基板、表面酸化シリコンウェハー基板、PET基板について、それぞれ40±10mV、40±10mV及び45±10mVであった。
実施例3
実施例2で得られた共重合体1で被覆された表面修飾溶融シリカ基板を、純粋な水及びエタノールに100回/分の振とう下、30℃の温度で1時間浸漬した。基板を取り出し、Nガスにより乾燥した。次いで、基板の紫外可視吸収スペクトルを測定した。水で洗浄した場合、測定波長260nmの吸光度は洗浄前が3.9×10−3であり、洗浄後が3.8×10−3であった。また、エタノールで洗浄した場合、測定波長260nmの吸光度は洗浄前が3.9×10−3であり、洗浄後が3.9×10−3であった。この結果は、いずれの洗浄においても共重合体1による被覆物が脱着耐性を示すことを意味する。
実施例4
5.6×10−3mol/dm濃度のPdCl、4.0×10−4mol/dm濃度のHClを含有し、pH2.2を呈する水溶液を調製し、一日静置して触媒化溶液Bを調製した。また、2.4×10−2mol/dm濃度のCuSO・5HO、0.50mol/dm濃度のHBO、0.27mol/dm濃度のNaHPO・HO、2.0×10−3mol/dm濃度のNiSO・6HO、5.2×10−2mol/dm濃度のNa・6HOを含む水溶液を調製し、少量のNaOHを加えてpH9を呈する水溶液を調製し、一日静置して無電解銅めっき溶液Cを調製した。
次いで、実施例2で得られた共重合体1で被覆された表面修飾シリコンウェハー基板を触媒化溶液Bに室温で5分間浸漬し、次いで、5.0×10−2mol/dm濃度のNaHPO・HO水溶液で3秒間洗浄した。洗浄後、基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、Pd粒子の形成が確認された(図2参照)。更に、無電解銅めっき溶液Cに60℃で4時間浸漬した。4時間経過後、基板を取り出し、脱イオン水で洗浄した後、Nガスにより乾燥を行い、銅被覆シリコンウェハー基板を得た。この基板の表面を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、銅が析出していることが観察された。この結果より、共重合体1には無電解めっき促進効果があることがわかる。
比較例1
共重合体1で被覆されていない清浄な表面酸化シリコンウェハー基板に、実施例4と同様の手順で無電解銅めっきを施した。走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリコンウェハー基板はCuは析出していないことが確認された。このことは、シリコンウェハー基板が銅により被覆されなかったことを示す。
実施例5
実施例2で得られた共重合体1で被覆された表面修飾PET基板に、実施例4と同様の操作を行い、無電解銅めっきを施し、銅被覆PET基板を得た。
実施例6
実施例2で得られた共重合体1で被覆された表面酸化シリコンウェハー基板の上に、石英製クロム蒸着フォトマスクを配置し、Xeエキシマ−フォトランプからの172nmの紫外線を圧力100Paの下、20分間露光し、基板上に共重合体1の光パターンを形成させた。次いで、この基板に実施例4と同様の手順で無電解銅めっきを施した結果、共重合体1が残存する未露光部にフォトマスクの形状に従って、銅が析出した銅配線基板を得た。得られた銅配線基板を図3に示す。図3において、(a)は用いたフォトマスクの光学顕微鏡像であり、(b)は得られた銅配線基板の光学顕微鏡像である。図3に示すように、基板表面に、フォトマスクのパターンに従って銅めっきが施されていることがわかる。
実施例7
5.0×10−2mol/dm濃度のNi(HPO・6HO、0.19mol/dm濃度のHBO、3.0×10−2mol/dm濃度のCHCOONa、1.4×10−2mol/dm濃度の(NHSOを含有し、PH5.7を呈する水溶液を調製し、一日静置して無電解ニッケルめっき液Dを調製した。
次いで、実施例2で得られた共重合体1で被覆された溶融シリカ基板の上に、銅材質のメッシュ構造を有するフォトマスクを配置し、Xeエキシマ−フォトランプからの172nmの紫外線を圧力1000Paの下、1分間露光し、基板上に共重合体1の光パターンを形成させた。次いで、この基板に無電解ニッケルめっき液Dを用いて無電解ニッケルめっきを施した結果、共重合体1が残存する未露光部にフォトマスクの形状に従って、Niが析出したNi配線基板を得た。得られたニッケル配線基板を図4に示す。図4において、(a)は用いたフォトマスクの光学顕微鏡像であり、(b)は得られたニッケル配線基板の光学顕微鏡像である。図4に示すように、基板表面に、フォトマスクのパターンに従ってニッケルめっきが施されていることがわかる。
共重合体高分子(共重合体1)のH−NMRのチャートを示す図である。 基板表面の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の金属配線基板の製造方法によって得られた銅配線基板の写真である。 本発明の金属配線基板の製造方法によって得られたニッケル配線基板の写真である。

Claims (15)

  1. 基板表面に吸着し得る正の電荷を有する官能基と、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基とを有する共重合体高分子であって、無電解めっき促進効果を示す共重合体高分子。
  2. 上記基板が、負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板である、請求項1に記載の共重合体高分子。
  3. 表面修飾基板に吸着し得る正の電荷を有する官能基がピリジニウム基であり、無電解めっき触媒前駆物質を吸着し得る官能基がピリジル基である、請求項2に記載の共重合体高分子。
  4. 下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位とを含む共重合体高分子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体高分子。
    Figure 2005264256
    (上記式中、Rは水素、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基又はアリール基であり、Xはハロゲンである。)
    Figure 2005264256
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子を含有してなる、無電解めっき促進用組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子、又は請求項5に記載の無電解めっき促進用組成物を用いて、無電解めっき工程により製造される金属被覆物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子、又は請求項5に記載の無電解めっき促進用組成物を用いて、無電解めっき工程により製造される金属配線基板。
  8. (a)請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子を、
    負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、
    上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;
    (b)該共重合体高分子により修飾された表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して、無電解めっき触媒の前駆物質を、表面修飾基板に修飾された共重合体高分子に吸着させる工程;及び
    (c)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属被覆物の製造方法により得られる金属被覆物。
  9. 請求項8の工程(a)に記載の共重合体高分子が、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下で吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に存在する、請求項8に記載の金属被覆物。
  10. (a)請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子を、
    負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、
    上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;
    (d) 該表面修飾基板に活性エネルギー線をパターン状に照射して、上記共重合体高分子を該表面修飾基板からパターン状に除去する工程;
    (e)上記表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して無電解めっき触媒の前駆物質を表面修飾基板上の共重合体高分子が残存する領域に吸着させる工程;及び
    (f)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属配線基板の製造方法により得られる金属配線基板。
  11. 請求項10の工程(a)に記載の共重合体高分子が、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下で吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に存在する、請求項10に記載の金属配線基板。
  12. (a)請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子を、
    負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、
    上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;
    (b)該共重合体高分子により修飾された表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して、無電解めっき触媒の前駆物質を、表面修飾基板に修飾された共重合体高分子に吸着させる工程;及び
    (c)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属被覆物の製造方法。
  13. 請求項12の工程(a)に記載の共重合体高分子が、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下で吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に存在する、請求項12に記載の金属被覆物の製造方法。
  14. (a)請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体高分子を、
    負のζ電位を形成するか、又は負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、
    上記負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に被覆して、該共重合体高分子により表面修飾基板を作製する工程;
    (d) 該表面修飾基板に活性エネルギー線をパターン状に照射して、上記共重合体高分子を該表面修飾基板からパターン状に除去する工程;
    (e)上記表面修飾基板を、無電解めっき触媒の前駆物質を含む水溶液に浸漬して、無電解めっき触媒の前駆物質を、表面修飾基板上の共重合体高分子が残存する領域に吸着させる工程;及び
    (f)上記表面修飾基板を、無電解めっき溶液に浸漬する工程を含む、金属配線基板の製造方法。
  15. 請求項14の工程(a)に記載の共重合体高分子が、上記基板の負のζ電位又は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下で吸着する状態で、水、又は水を主成分とする水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液、又はこれらに電解質を溶解させた溶液から選択される溶液中に存在する、請求項14に記載の金属配線基板の製造方法。
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