JP2005264366A - 補強繊維布帛巻物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化材として優れた力学特性を発現し、取扱性にも優れ、軽量な補強繊維布帛巻物を提供すること。
【解決手段】少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを積層して巻き取った巻物であって、該補強繊維布帛に付着している樹脂材料が2〜20重量%の範囲であり、かつ、巻物から補強繊維布帛を巻き戻す時におけるプラスチックフィルムと補強繊維布帛との剥離角度θが0〜30°の範囲であり、かつ、プラスチックフィルムが、厚み5〜100μm、比重1.1以下、デュロメーター硬さ(JIS K7215)D80以下のものである補強繊維布帛巻物。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを積層して巻き取った巻物であって、該補強繊維布帛に付着している樹脂材料が2〜20重量%の範囲であり、かつ、巻物から補強繊維布帛を巻き戻す時におけるプラスチックフィルムと補強繊維布帛との剥離角度θが0〜30°の範囲であり、かつ、プラスチックフィルムが、厚み5〜100μm、比重1.1以下、デュロメーター硬さ(JIS K7215)D80以下のものである補強繊維布帛巻物。
【選択図】図1
Description
本発明は、強化材として優れた力学特性を発現し、取扱い性に優れる補強繊維布帛の巻物およびその製造方法に関する。
より具体的には、繊維強化樹脂(FRP)にした際に優れた力学特性を発現し、ドライな状態においても取扱い性に優れる補強繊維布帛について、保存、運搬時における効果喪失を防ぎ、その効果を最大限に発現させるための補強繊維布帛巻物およびその製造方法に関するものである。
従来より、航空機部材などの高品質が要求される繊維強化樹脂(以下、FRPと記す。)の製造法として、補強繊維基材に予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを用い、これを型にセットしてバッグフィルムで覆い、オートクレーブ内で加熱、加圧し、樹脂を硬化させるオートクレーブ成形法が多用されている。この成形法はFRPにおいてボイド発生が少なく、高品質であることから航空機部材をはじめとして、一般的に多く使われている。
一方、近年、航空機材料の低コスト化が盛んに検討されている。そのような状況下において高価なオートクレーブを使用せずにドライな状態の(樹脂を含浸させていない状態)補強繊維布帛を型内にセットし、型内を減圧した状態(真空状態)で液状樹脂を注入する真空注入成形法(例えば、Resin Transfer Molding (RTM)、Vaccum assisited RTM (VaRTM)、Resin film Infusion(RFI)など)がコストダウンに繋がることから航空機や自動車などの部材に適用されつつある。
しかしながら、ガラス繊維や炭素繊維などの補強繊維からなるシート、織物、編物などのドライな補強繊維布帛を用いた真空注入成形法によるFRPは、オートクレーブ成形によるFRPに比べ、力学特性に劣るといった問題があった。
これは、補強繊維布帛がドライであることも一因であるが、用いるマトリックス樹脂が樹脂粘度において大きな制約を受け、樹脂自体の力学特性に劣るものしか使用できないことが主因である。
すなわち、力学特性を向上させるためには、樹脂自体の力学特性が劣っていると言わざるを得ない該マトリックス樹脂を補う工夫を、補強繊維布帛に盛り込む必要がある。
かかる問題に対し、補強繊維の配向を維持するため樹脂を固着することによって目止め処理し、かかる補強繊維布帛を離型シートを介して巻物状にしたものが提案されている(特許文献1等)。
この特許文献1の提案の目的は、補強繊維の乱れ、目ずれを抑制することにより力学特性を向上させることにある。しかしながら、該提案による力学特性の向上効果は、補強繊維の乱れ等を抑制した分のみであり、マトリックス樹脂自体の力学特性を補う抜本的な工夫はなされておらず、十分な効果を得ることができていない。
また、上記提案による離型シートは、上記目止め処理として、樹脂を固着する加熱プレスでの樹脂の付着防止のために用いる旨の開示がある。しかしながら、高い力学特性を付与する機能を有した樹脂材料を補強繊維布帛に付着して、抜本的な工夫を補強繊維布帛に盛り込んだ場合に発生する問題、例えば、樹脂材料が巻物状になった補強繊維布帛の内側と外側との補強繊維どおしが擬似付着を誘発し、無理に引き剥がそうとすると、ケバや繊維の乱れが生じる問題、樹脂材料の形態(凸凹)が補強繊維布帛に転写して補強繊維布帛の屈曲を誘発する問題、離型シートの収縮に起因して発生する各種の問題等に関する工夫は一切ない。
すなわち、特許文献1をはじめとした従来の技術では、離型紙等を挿入した例が存在するが、離型紙自体の特性に関する問題、例えば、離型紙の吸湿による伸縮で、補強繊維布帛にしわが入る問題、離型紙の重量(比重)が重いため巻物自体も重くなる等の問題、離型紙と補強繊維布帛の滑りにより巻姿崩れが生じる問題、離型紙が厚いため巻径が大きくなりる問題に対しては解決されておらず、かかる技術の実現が望まれている。
特開2002−249984号公報
本発明の目的は、従来の技術の上述した問題点を解決し、FRPに成形した場合に優れた力学特性を発現し、形態安定性や取扱性に優れ、軽量で巻径を最小限に抑えた補強繊維布帛巻物およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、次の手段をとるものである。
すなわち、少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを積層して巻き取った巻物であって、該補強繊維布帛に付着している樹脂材料が2〜20重量%の範囲であり、かつ、巻物から補強繊維布帛を巻き戻す時におけるプラスチックフィルムと補強繊維布帛との剥離角度θが0〜30°の範囲であり、かつ、プラスチックフィルムが、厚み5〜100μm、比重1.1以下、デュロメーター硬さ(JIS K7215)D80以下のものであることを特徴とする補強繊維布帛巻物である。
また、本発明の補強繊維布帛巻物の製造方法は、少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを交互に積層しながら巻き取る巻物の製造方法であって、
(A)樹脂材料を2〜20重量%の範囲で補強繊維布帛に付着する樹脂付着工程と、
(B)樹脂材料が接着している補強繊維布帛をプラスチックフィルムとともに、補強繊維布帛とプラスチックフィルムとの剥離角度θが0〜30°の範囲になるように積層しながら巻き取る巻取工程、
とを有し、かつ、プラスチックフィルムの厚みが5〜100μmであり、かつ、プラスチックフィルムが次の要件1、2のいずれも満たすことを特徴とするものである。
(A)樹脂材料を2〜20重量%の範囲で補強繊維布帛に付着する樹脂付着工程と、
(B)樹脂材料が接着している補強繊維布帛をプラスチックフィルムとともに、補強繊維布帛とプラスチックフィルムとの剥離角度θが0〜30°の範囲になるように積層しながら巻き取る巻取工程、
とを有し、かつ、プラスチックフィルムの厚みが5〜100μmであり、かつ、プラスチックフィルムが次の要件1、2のいずれも満たすことを特徴とするものである。
[要件1] :比重が1.1以下。
[要件2] :デュロメーター硬さ(JIS K7215)がD80以下。
[要件2] :デュロメーター硬さ(JIS K7215)がD80以下。
本発明によれば、FRPに成形した際に優れた力学特性を発現し、かつ、形態安定性や取扱性にも優れ、かつ、軽量で巻径を最小限に抑えた補強繊維布帛巻物を得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の補強繊維布帛巻物の一実施態様を示す概略図である。図1に示す通り、補強繊維布帛巻物3は、補強繊維布帛1とプラスチックフィルム2とを交互に積層しながら巻き取った巻物である。
図2は、本発明の補強繊維布帛の1実施態様を示す概略斜視図である。図2に示す通り、補強繊維布帛1は、一方向に引きそろえられた補強繊維糸条5、および、補助繊維糸条(たて方向補助糸)7に対して、その直角方向に補助繊維糸条(よこ方向補助糸)6が等ピッチで配列し、たて方向補助糸7と交錯した一方向織物(ノンクリンプ織物)である。
かかる布帛の片表面には、樹脂材料4が点状に付着して、布帛を目止めしている。かかる樹脂材料4の存在により、FRPにした際にマトリックス樹脂自体の特性を補い、高い力学特性を発現できるのである。
本発明の補強繊維布帛は、特に真空注入成形におけるマトリックス樹脂自体の力学特性不足を補うために、補強繊維布帛に樹脂材料が2〜20重量%の範囲で付着されている。すなわち、かかる樹脂材料がマトリックスの特性不足を補うのである。かかる樹脂材料が付着した補強繊維布帛は、通常の織物とは異なり、単純にそのまま巻き取ると、補強線布帛1どおしが擬似接着を起こしやすく、その場合は補強繊維布帛1を引き出す際に、補強繊維糸条5の乱れ、毛羽を発生させる。
本発明の特徴の一つは、この問題を解決するために、補強繊維布帛1とプラスチックフィルム2とを積層しながら巻き取った巻物である点にある。かかるプラスチックフィルム2により、巻物の下の層にある樹脂材料4と、上の層にある補強繊維糸条5とが互いにくっつきあい、引き出す際に補強繊維糸条5の乱れやケバの発生を防ぐことができるのである。
かかる観点から、プラスチックフィルム2と、補強繊維布帛1との剥離角度θは0〜30°の範囲にする必要がある。剥離角度が30°を越えると引き剥がす際に、樹脂材料4がプラスチックフィルム2にとられ、その結果、ケバや繊維の乱れが発生するので本発明の所期の効果を達成することができない。
なお、プラスチックフィルムと補強繊維布帛との剥離角度は、次に示す測定方法から求める。
図4は、プラスチックフィルム2と補強繊維布帛1との剥離角度θの測定方法の流れを示す概念図である。補強繊維布帛巻物3から最外層の補強繊維布帛1を、30cm引き出して補強繊維布帛1の端部を切断して長さを合わせる。かかる補強繊維布帛巻物3をスタンドに立て、巻物を図4(A)に示すように、補強繊維布帛1の端部を切断した際に剥離した位置を3時の方向に配置し、時計回りcに巻物3を30秒/周の速度にて回転させて、9時の位置で回転を停止する(図4(B))。巻き出された補強繊維布帛1と補強繊維布帛巻物3の接点をdとし、接点dでの補強繊維布帛1の接線方向を接線fとする。接線fと床面の垂直方向eの角度について、回転開始から停止まで最大となった角度を、剥離角度θとする。
剥離角度θの求め方を、図4(B)および(C)から説明する。補強繊維布帛巻物3と補強繊維布帛1との接点dから、床面の垂直方向eを0°として、接点dの補強繊維布帛の接線fとの角度を求める。かかる角度を剥離角度θとする。
より具体的には、図4(B)における剥離角度θは0°である。すなわち、かかる布帛は、本発明の剥離角度の範囲内のものである。このように剥離角度θが0〜30°の範囲であることにより、補強繊維布帛巻物3を引き出す際に補強繊維糸条の乱れやケバの発生を抑制するこができるため、優れた力学特性を発現し、かつ、取り扱い性の優れた補強繊維布帛巻物を得ることができるのである。
また、図4(C)における剥離角度θは70°である。すなわち、かかる布帛は、本発明の剥離角度の範囲外のものである。このように剥離角度θが30°を越えると、補強繊維布帛巻物3を引き出す際に補強繊維糸条の乱れやケバの発生を誘発し、優れた力学特性を発現することができない。また、取り扱い性にも劣る。
上記以外にも、本発明の特徴の一つには、補強繊維巻物をできるだけ小径化、軽量化できる点がある。かかる観点から、プラスチックフィルムは、その厚みが5〜100μmであることが重要である。より好ましくは10〜50μm、更に好ましくは15〜35μmの範囲である。5μm未満であると、巻き取る際に破れやすく取扱性に劣る。一方、100μmを越えると、補強繊維布帛巻物の巻径が大きく(かさ高く)なるだけでなく、重量も重くなり好ましくない。巻径が大きかったり、重量が重くなると、巻物を引き出したりする際の取扱性に劣るだけでなく、運搬するときに運送費も高くなる。また、補強繊維布帛を使用する際にはプラスチックフィルムを廃棄する場合が多いが、プラスチックフィルムの厚みが厚すぎると、廃棄量自体が多くなるため無駄に使用することになるので好ましくなく、上述した範囲であることが重要なのである。。
更に、上記以外にも、本発明の特徴の一つには、補強繊維布帛巻物をできるだけ軽量にできる点がある。更には、上述の補強繊維布帛の片表面には樹脂材料が付着しているため、その形態(凸凹)が転写して補強繊維の屈曲を防止できる点がある。かかる観点から、プラスチックフィルムに用いる素材は、次の要件1、2のいずれも満たす必要がある。
[要件1] :比重が1.1以下。
[要件2] :デュロメーター硬さ(JIS K7215)がD80以下。
[要件1] :比重が1.1以下。
[要件2] :デュロメーター硬さ(JIS K7215)がD80以下。
上記要件1は、補強繊維布帛巻物の軽量化に寄与する。比重が1.1を越えるものを用いると、プラスチックフィルムは補強繊維布帛と交互に積層されるため、巻物が重くなるだけでなく、巻物の巻芯もその荷重に耐えられるものにする必要がでてくる問題がある。
また、上記要件2は、樹脂材料の補強繊維布帛への転写防止に寄与する。かかる視点は、これまでの補強繊維布帛からは着想し得ないものであり、マトリックス樹脂自体の力学特性を補う目的で付着された樹脂材料を有する本発明の補強繊維布帛によってのみ、その効果を奏するものである。
かかるデュロメータ硬さがD80を越えると、プラスチックフィルムが硬くなりすぎ、クッション材にならず、樹脂材料を介して、補強繊維の屈曲を引き起こす。なお、下限に特に限定されないが、フィルムを形成するためには、D5以上であるのが一般的である。
本発明の補強繊維布帛巻物は、以上の要件を満たすことにより、本発明の課題を解決できるのである。
かかる補強繊維の屈曲防止の観点から、プラスチックフィルムに用いる素材は、更に次の要件3を満たすのが好ましい。
[要件3] :ロックウェル硬さ(JIS K7202)がR70以下。
[要件3] :ロックウェル硬さ(JIS K7202)がR70以下。
上記要件3は、要件2と同様の効果を発現させるための指標で、R70を越えると補強繊維の屈曲を誘発する場合がある。なお、下限は特に限定されないが、フィルムを形成するにはR10以上であるのが一般的である。
本発明で用いるプラスチックフィルムは、その吸湿率が1%以下であることが好ましい。吸湿率が1%を越えるとプラスチックフィルムが伸縮しやすく、補強繊維布帛にシワが入ったり、巻物の重量が重くなる問題があるだけでなく、補強繊維布帛に水分を付着させるおそれがある。より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%である。なお、ここでいう吸湿率は、JIS K7209(23℃、24hr)に準拠して測定した値である。
本発明で用いるプラスチックフィルムは、その長手方向の収縮率が7%以下、および/または収縮率比R3=(長手方向の収縮率)/(幅方向の収縮率)が2〜10の範囲であるのが好ましい。また、別の視点からは幅方向の収縮率は3%以下であるのが好ましい。より好ましくは、長手方向の収縮率が5%以下、R3は3〜8の範囲、幅方向の収縮率が1%以下である。
長手方向の収縮率が7%を超えると、補強繊維布帛が巻き締まることにより、補強繊維布帛を屈曲させる(ボコツキ)が生じやすい。また、幅方向の収縮率が3%を超えると、補強繊維布帛の幅が小さくなりやすく、目付が変動する場合がある。長手方向の収縮率よりも小さい収縮率が好ましい理由は、補強繊維布帛は、幅方向の方が容易に寸法変化し易いためである。更に、R3が2未満であるとプラスチックフィルムを薄く製造することが困難となりやすく、10を超えると、異方性が強すぎて布帛を屈曲させるおそれがある。なお、かかる収縮率とは、300mm角のプラスチックフィルムを100℃で1時間加熱したときの、収縮した比率を指す。なお、フィルム長手方向とは、巻物を形成する際のプラスチックの巻取方向を指し、長手方向収縮率はフィルムを100℃に加熱したオーブン中で2時間放置した後に測定した長手方向の収縮率である。また、フィルム幅方向とは、フィルム長手方向に対して直角の方向を指し、幅方向収縮率はフィルムを100℃に加熱したオーブン中に2時間放置した後に測定した幅方向の収縮率である。
なお、長手方向の収縮率が7%以下であることと、収縮率比R3=(長手方向の収縮率)/(幅方向の収縮率)が2〜10の範囲であることは、双方とも満足されているものが最も好ましいものである、いずれか一方だけを満足するものであっても前記問題点を解決できる。
本発明で用いるプラスチックフィルムは、その長手方向の伸び率が180%以上であるのが好ましい。より好ましくは200%以上である。伸び率が180%未満であると、巻物を形成するときにプラスチックフィルムが長手方向に突っ張り過ぎ、巻物の内層側を過度に締め付ける状況が発生しやすいだけでなく、プラスチックフィルムが破れる場合があり、製造上の問題となり得る。かかる伸び率の上限は、特に限定されないが、フィルムとして扱う上では1000%以下であるのが一般的である。
また、本発明で用いるプラスチックフィルムは、その伸び率比R1=(長手方向の伸び率A)/(幅方向の伸び率B)が、0.1〜0.7の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.3〜0.5の範囲である。かかるR1が、0.1未満であると、プラスチックフィルムの異方性が大き過ぎることを意味し、取り扱い上の問題を発生しやすい。一方、R1が0.7を越えると、幅方向の伸びが小さくなるため、巻物を形成するときにプラスチックフィルムにシワが入りやすくなる。
なお、長手方向の伸び率が180%以上であることと、伸び率比R1=(長手方向の伸び率A)/(幅方向の伸び率B)が、0.1〜0.7の範囲であることは、双方とも満足されているものが最も好ましいものであるが、いずれか一方だけを満足するものであっても前記問題点を解決できる。
本発明で用いるプラスチックフィルムは、その長手方向の引張強さが1.5MPa以上であることが好ましい。より好ましくは2MPa以上である。引張強さが1.5MPa未満であると、巻物を形成するときにプラスチックフィルムが破れやすく、製造上の問題となる場合がある。かかる引張強さに、特に上限はないが、15MPa以下であるのが一般的である。
また、本発明で用いるプラスチックフィルムは、その引張強さ比R2=(長手方向の引張強さC)/(幅方向の引張強さD)が0.8〜1.6の範囲であるのが好ましい。より好ましくは、1〜1.4の範囲である。かかるR2が0.8未満であると、異方性が大き過ぎることを意味し、取り扱い上の問題を発生させやすい。一方、R2が1.6を越えると、幅方向の強度が小さくなるため、巻物を製造する際の問題となる場合がある。
なお、長手方向の引張強さが1.5MPa以上であることと、引張強さ比R2=(長手方向の引張強さC)/(幅方向の引張強さD)が0.8〜1.6の範囲あることは、双方とも満足されているものが最も好ましいものである、いずれか一方だけを満足するものであっても前記問題を解決できる。
更に、本発明で用いるプラスチックフィルムは、その表面粗さが1〜30μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは3〜15μm、更に好ましくは5〜10μmの範囲である。かかる範囲の表面粗さを有することにより、補強繊維布帛巻物の中に積層されていても、その内層での滑りが抑制することができ、特に長い補強繊維布帛を巻物にした際に、格段の効果を発現する。
かかる視点から、本発明の補強繊維布帛巻物の補強繊維布帛の長手方向の長さは50mを越えるものであると、本発明の効果を最大限に発現できるため好ましい。より好ましくは100m以上、更に好ましくは150m以上である。なお、プリプレグや一般的に用いられる樹脂材料が用いられていない布帛の巻量は50m以下であるのが一般的である。
本発明の補強繊維布帛の形態は、特に限定されず、織物や、編物、不織布などいずれの形態であってもよく、補強繊維糸条の配列が一方向、二方向または多方向のいずれでもよい。その中でも一方向の背強繊維布帛であるのが好ましい。特に、高い力学特性を発現し得る補強繊維が一方向にのみ配列された一方向性織物、一方向性シートまたは一方向性不織布であると、本発明の効果を最大限に発現することができる。一方向性織物のなかでも図2に示したようにクリンプのない一方向性ノンクリンプ織物は、高い強度発現が期待できるため好ましい。
ここで、一方向性織物とは、補強繊維糸条が、互いに並行するよう一列に引き揃えられたまま配列した、たて糸、または、よこ糸と、その直交方向に補助糸が補強繊維糸条(たて糸、または、よこ糸)と交差して織組織を構成したものを指す。織組織としては、平織、綾織、朱子織などいずれの織組織であっても構わない。なお、補助糸は、補強繊維糸条の1/5の繊度のものを指す。更に、本発明における一方向性織物は、たて方向およびよこ方向にも補助糸を用い、たて補助糸とよこ補助糸との交錯により織組織を構成し、実質的に補強繊維糸条(たて糸、またはよこ糸)が屈曲しないようにした一方向性ノンクリンプ織物であってもよい。
二方向性織物とは、一方向性織物で用いた補助糸に代え、たて糸およびよこ糸のいずれも補強繊維糸条を用いたものを指す。なお、この場合も補助糸を併用してもよく、たて補助糸とよこ補助糸との交錯により織組織を構成し、実質的に補強繊維糸条(たて糸、またはよこ糸)が屈曲しないようにした二方向性ノンクリンプ織物であってもよい。
多方向性織物とは、例えば、3方向の場合は、±45°に加え、90°方向にも補強繊維糸条を配列して織組織にしたものを指す。また、4方向の場合は、3方向性織物に更に0°方向に補強繊維糸条が配列しているものを指す。
一方向性シートとは、布帛形成を織組織による拘束で行わず、引き揃えたまま交錯させずに積層し、バインダー、支持体(例えば、メッシュ、不織布等)、結節糸などにて固定して布帛形成したものを指す。
一方向性不織布とは、布帛形成を織組織による拘束で行わず、補強繊維糸条どおしの交絡により布帛形成したものを指す。
本発明で使用する補強繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、フェノール繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維)、金属繊維、またはセラミック繊維、これらの組み合わせが挙げられるが、これらの中でも炭素繊維は軽量で、比強度および比弾性率、耐薬品性、耐熱性に優れており、補強繊維として好ましい。
特に、補強繊維として炭素繊維を用い、布帛として織物形態である場合、かかる炭素繊維により構成される炭素繊維糸条は12,000フィラメント以上であり、かつ、補強繊維布帛における炭素繊維の目付は300g/m2 以下であるのが好ましい。かかる要件を満たす補強繊維布帛は、炭素繊維糸条どおしの交錯点が少なくなるため、非常に目ズレしやすく、いったん巻物を形成した後に引き出すと、目曲がりが発生しやすい。しかし、本発明にある通りプラスチックフィルムと積層している巻物であると、かかるプラスチックフィルムがクッション材が如き役割を果たし、目曲がりを抑制することができ、本発明の効果を最大限に発現することができるのである。
なお、図2に示した補助繊維糸条(たて方向補助糸)7等は、引張破断伸度が高く、実質的に熱収縮がないものが好ましく、糸条繊度のラインナップ、耐吸水性、コストのバランスに優れる炭素繊維またはガラス繊維が好ましく用いられる。
樹脂材料4は布帛の表面にのみ付着していることが好ましい。表面にのみ多くの樹脂が付着していることにより、樹脂材料が成形品中の層間強化材として効率的に機能し、より高い力学特性(特に耐衝撃性)を発現することができる。また、かかる形態である場合にこそ、本発明の効果を最大限に発現することができるのである。
本発明で使用する樹脂材料4としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはそれらの混合物であってもよい。かかる補強繊維布帛を用いて得たFRPとして高い力学特性(特に耐衝撃性)を発現させる場合においては、靱性に優れた熱可塑性樹脂を主成分として用いるのが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ポリフェニリンオキサイド、ポリフェニリンスルファイド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルニトリル、フェノキシなどが例として挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などが例として挙げられる。
かかる樹脂材料のガラス転移温度Tgは、布帛への付着を容易にするために、20〜150℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは40〜140℃、更に好ましくは60〜130℃の範囲である。Tgが20℃未満であると、FRPにした際の高温特性が低下しやすくなるだけでなく、樹脂材料を固形物として付与することが困難な場合があるため、製造上の問題が発生する。また、樹脂材料を布帛に付着させる際、樹脂材料のガラス転移温度以上に加熱し、樹脂を軟化または溶融状態にせねばならないが、Tgが150℃を越えると、高温に加熱することなく接着させることが困難であるし、また、補強繊維に処理されている表面処理剤(サイジング剤やカップリング剤等)へのダメージが懸念される。かかる視点からは、本発明の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂を主成分とし、熱硬化性樹脂を副成分としてTgを調整した樹脂組成物を適用するのが好ましい。
かかる樹脂材料としては2〜20重量%であることが好ましい。11〜15重量%の範囲がより好ましい。高い力学特性を発現させるためには、できるだけ付着量が多いことが好ましいが、20重量%を越えると、樹脂材料が補強繊維布帛表面を全体的に覆ってしまうため、真空注入成形(例えば、RTMやVaRTM)には、マトリックス樹脂が布帛の厚み方向に含浸し難くなる問題があり、適用が困難となる。
一方、樹脂材料が2重量%未満であると、布帛の目止めができないばかりか、高い力学特性を発現できず、本発明の効果が得られない。
樹脂材料の付着形態は線状または点状であることが好ましい。より好ましくは、点状である。樹脂材料が点状であると、少量の樹脂材料で、補強繊維布帛の全面に樹脂材料を分布させることができる。一方、樹脂材料が繊維状であると、多量の樹脂材料でも、布帛表面を全面的に覆ってしまい難い。かかる形態は、使用目的によって適宜使い分けるのが好ましい。
ここで、樹脂材料を点状とするためには樹脂を直径400μm以下の粒子状とするのが好ましい。かかる粒子状の樹脂材料を補強繊維布帛上に塗布し、加熱により粒子状の樹脂を軟化または溶融させて布帛に接着させることができる。このように、点状で付着させると、樹脂材料が布帛全面を覆うようなことが発生しにくいため、特に真空注入成形にてFRPを成形する場合に布帛厚み方向へのマトリックス樹脂の含浸が大きく阻害されることが発生しにくい。
かかる樹脂材料としては、補強繊維布帛の少なくとも片表面に2〜100μmの範囲の厚みで付着していることが好ましく、更に、樹脂材料と樹脂材料の間に間隙を有する層を形成していることが好ましい。更に好ましくは5〜90μmの範囲である。樹脂材料の厚み2が2μm未満であると、かかる補強繊維布帛を用いて得たFRPとして高い力学特性(特に耐衝撃性)を発現させることが困難になる。
一方、樹脂材料の厚みが100μmを越えると、補強繊維布帛巻物を形成する際、樹脂材料の形態(凸凹)が補強繊維布帛に転写して補強繊維の屈曲を誘発し、力学特性を低下させる問題があるだけでなく、プラスチックフィルムのクッション材としての効果が薄くなるため適用が困難である。また、間隙を有する層を形成することにより、特に真空注入成形にてFRPを成形する場合に、布帛厚み方向へマトリックス樹脂が流れやすくなるため、優れた含浸性を有することができるのである。
本発明の補強繊維布帛巻物からの補強繊維布帛は、上述の通り真空注入成形、具体的には、RTM、VaRTM、RFI等の成形法にてFRPに成形されるのが好ましい。すなわち、本発明の補強繊維布帛巻物からの補強繊維布帛は、真空注入成形に供された場合に最大限の効果を奏する。
次に、図2の補強繊維布帛巻物3の製造方法を説明する。本発明の補強繊維布帛巻物の製造方法は、少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを交互に積層しながら巻き取る巻物の製造方法であって、次の(A)〜(B)の工程を経て製造される。
なお、ここで用いるプラスチックフィルムは、上述した要件を満たすプラスチックフィルムを用いる。プラスチックフィルムが必ず満たさなければならない要件としては、プラスチックフィルムの厚みが5〜100μmであり、かつ、プラスチックフィルムに用いる素材が次の要件1、2のいずれも満たすことである。
[要件1] :比重が1.1以下。
[要件2] :デュロメーター硬さ(JIS K7215)がD80以下。
[要件1] :比重が1.1以下。
[要件2] :デュロメーター硬さ(JIS K7215)がD80以下。
以下、より詳細に補強繊維布帛巻物の製造方法を説明する。図3は、本発明の補強繊維布帛巻物の製造方法の一実施態様を示す概略図である。
(A)樹脂の付着工程8
樹脂材料4を2〜20重量%の範囲で、予め用意した補強繊維布帛8に付着する。より具体的には、補強繊維布帛を予めホットローラー10で予熱しておき、布帛8の片表面に樹脂材料散布装置9a、9b、9cを用いて樹脂材料4が2〜20重量%の範囲になるように散布する。
(A)樹脂の付着工程8
樹脂材料4を2〜20重量%の範囲で、予め用意した補強繊維布帛8に付着する。より具体的には、補強繊維布帛を予めホットローラー10で予熱しておき、布帛8の片表面に樹脂材料散布装置9a、9b、9cを用いて樹脂材料4が2〜20重量%の範囲になるように散布する。
片表面に散布した樹脂材料4を遠赤外線ヒーター11で加熱し、布帛8に融着させる。加熱温度は用いる樹脂材料にも依存するが、一般的には80〜300℃の範囲が好ましい。より好ましくは100℃〜200℃の範囲である。
必要に応じて、布帛片表面に融着させた樹脂材料4を巻き取る前に冷却してもよい。
(B)巻取工程12
樹脂材料4が付着している補強繊維布帛をプラスチックフィルム2との剥離角度θが0〜30°の範囲になるように積層しながら巻き取り、補強繊維布帛巻物3を得る。
(B)巻取工程12
樹脂材料4が付着している補強繊維布帛をプラスチックフィルム2との剥離角度θが0〜30°の範囲になるように積層しながら巻き取り、補強繊維布帛巻物3を得る。
ここで、剥離角度θが0〜30°の範囲になるように積層しながら巻き取るには、補強繊維布帛の巻取張力を30〜1000N/mの範囲で巻き取り、かつ、プラスチックフィルムの巻取張力を1〜500N/mの範囲で巻き取ることにより実施できるものである。より好ましくは、補強繊維布帛の巻取張力を50〜400N/mの範囲で巻き取り、かつプラスチックフィルムの巻取張力を5〜100N/mの範囲にするとよいものである。
補強繊維布帛の巻取張力が30N/m未満であると、得られた巻物が巻き崩れしやすくなるという問題が発生する。一方、補強繊維布帛の巻取張力が1000N/mを超えると、補強繊維布帛にシワが入るという問題が発生しやすい。また、プラスチックフィルムの巻取張力が1N/m未満であると、安定してプラスチックフィルムが引き出せないという問題が発生する。一方、プラスチックフィルムの巻取張力が500N/mを超えると、フィルムが延びすぎて必要以上に補強繊維布帛を巻き締めたり、フィルムが裂けたりするという問題が発生する。
ここで、得られる巻物の巻き崩れを抑制する観点からは、プラスチックフィルムは1〜5%の範囲で延ばされながら積層されて巻き取られるのが好ましい。かかるプラスチックフィルムの延びが巻き取られた後から僅かながら与える締め付け力は、巻き姿を安定させる効果を奏するのである。
このようにして得られた補強繊維布帛巻物3における補強繊維布帛は、FRPの強化材として使用される。
なお、本発明において、説明に使用した各物性値は、以下のようにして求められるものである。
(1)剥離角度:
補強繊維布帛巻物3から最外層の補強繊維布帛1を、30cm引き出して補強繊維布帛1の端部を切断して長さを合わせる。かかる補強繊維布帛巻物3をスタンドに立て、巻物を図4(A)に示すように、補強繊維布帛1の端部を切断した際に剥離した位置を3時の方向に配置し、時計回りcに巻物3を30秒/周の速度にて回転させて、9時の位置で回転を停止する(図4(B))。巻き出された補強繊維布帛1と補強繊維布帛巻物3の接点をdとし、接点dでの補強繊維布帛1の接線方向を接線fとする。接線fと床面の垂直方向eの角度について、回転開始から停止まで最大となった角度を、剥離角度θとする。
(1)剥離角度:
補強繊維布帛巻物3から最外層の補強繊維布帛1を、30cm引き出して補強繊維布帛1の端部を切断して長さを合わせる。かかる補強繊維布帛巻物3をスタンドに立て、巻物を図4(A)に示すように、補強繊維布帛1の端部を切断した際に剥離した位置を3時の方向に配置し、時計回りcに巻物3を30秒/周の速度にて回転させて、9時の位置で回転を停止する(図4(B))。巻き出された補強繊維布帛1と補強繊維布帛巻物3の接点をdとし、接点dでの補強繊維布帛1の接線方向を接線fとする。接線fと床面の垂直方向eの角度について、回転開始から停止まで最大となった角度を、剥離角度θとする。
剥離角度θの求め方を、図4(B)および(C)から説明する。補強繊維布帛巻物3と補強繊維布帛1との接点dから、床面の垂直方向eを0°として、接点dの補強繊維布帛の接線fとの角度を求める。かかる角度を剥離角度θとする。
(2)プラスチックフィルムのデュロメーター硬さ:
JIS K7215に準拠して測定された値を指す。
(3)プラスチックフィルムのロックウェル硬さ:
JIS K7202に準拠して測定された値を指す。
(4)プラスチックフィルムの長手方向の収縮率:
プラスチックフィルムを100℃に加熱したオーブンで2時間放置した後のフィルムの長手方向の収縮率を指す。
(5)プラスチックフィルムの幅方向の収縮率:
プラスチックフィルムを100℃に加熱したオーブンで2時間放置した後のフィルムの幅方向の収縮率を指す。
(6)プラスチックフィルムの長手方向の伸び率:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(7)プラスチックフィルムの幅方向の伸び率:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(8)プラスチックフィルムの長手方向の引張強さ:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(9)プラスチックフィルムの幅方向の引張強さ:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(10)付着樹脂材料の付着厚み:
電子顕微鏡にて補強繊維布帛の断面を観察し、布帛表面に接着している樹脂材料の厚みを、観察した倍率から求められた厚みを指す。
(11)プラスチックフィルムの表面粗さ:
JIS B0601に準拠して測定された値を指す。
(2)プラスチックフィルムのデュロメーター硬さ:
JIS K7215に準拠して測定された値を指す。
(3)プラスチックフィルムのロックウェル硬さ:
JIS K7202に準拠して測定された値を指す。
(4)プラスチックフィルムの長手方向の収縮率:
プラスチックフィルムを100℃に加熱したオーブンで2時間放置した後のフィルムの長手方向の収縮率を指す。
(5)プラスチックフィルムの幅方向の収縮率:
プラスチックフィルムを100℃に加熱したオーブンで2時間放置した後のフィルムの幅方向の収縮率を指す。
(6)プラスチックフィルムの長手方向の伸び率:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(7)プラスチックフィルムの幅方向の伸び率:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(8)プラスチックフィルムの長手方向の引張強さ:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(9)プラスチックフィルムの幅方向の引張強さ:
JIS Z1702に準拠して測定された値を指す。
(10)付着樹脂材料の付着厚み:
電子顕微鏡にて補強繊維布帛の断面を観察し、布帛表面に接着している樹脂材料の厚みを、観察した倍率から求められた厚みを指す。
(11)プラスチックフィルムの表面粗さ:
JIS B0601に準拠して測定された値を指す。
実施例および比較例に用いる原材料としては、次のものを用いた。
1.プラスチックフィルム
ポリエチレン製フィルム:厚さ25μm、たて方向引張強さ2MPa以上、よこ方向引張強さ1.7MPa以上、たて方向引張伸び率200%以上、よこ方向引張伸び率480%以上、密度0.92g/cm3 、吸湿率0.05%未満、長手方向の収縮率4%、幅方向の収縮率0.8%、R3=5、表面粗さ10μm以下。
2.離型紙
シリコン系離型紙:リンテック(株)製コウテイシWBE90R−DT(厚さ120μm、吸湿率3.6%、長手方向の収縮率0.2%、幅方向の収縮率0.2%、R3=1)。
3.補強繊維糸条
PAN系炭素繊維:24,000フィラメント、繊度1,030tex、引張強度5,900MPa、引張弾性率295GPa、破断伸度2.0%)。
4.たて補助糸
ガラス繊維:日東グラスファイバー製ECE225 1/0 1.0Z、繊度22.5tex、伸度3%以上、バインダータイプ”DP”。
5.よこ補助糸
ポリアミド66繊維:7フィラメント、繊度1.7tex
6.樹脂材料
ポリエーテルスルフォン樹脂(住友化学工業(株)製スミカエクセル(登録商標)5003P)60重量%(主成分)と次のエポキシ樹脂組成物40重量%(副成分)とを2軸押出機にて溶融混練したものを冷凍粉砕したもの。平均粒子系D50((株)セイシン企業製LMS−24で測定)115μm、ガラス転移点92℃
エポキシ樹脂組成物−ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート(登録商標)806を21重量部、日本化薬(株)製NC−3000を12.5重量部、および、日産化学工業(株)製TEPIC−Pを4重量部を、100℃で均一になるまで攪拌したもの。
1.プラスチックフィルム
ポリエチレン製フィルム:厚さ25μm、たて方向引張強さ2MPa以上、よこ方向引張強さ1.7MPa以上、たて方向引張伸び率200%以上、よこ方向引張伸び率480%以上、密度0.92g/cm3 、吸湿率0.05%未満、長手方向の収縮率4%、幅方向の収縮率0.8%、R3=5、表面粗さ10μm以下。
2.離型紙
シリコン系離型紙:リンテック(株)製コウテイシWBE90R−DT(厚さ120μm、吸湿率3.6%、長手方向の収縮率0.2%、幅方向の収縮率0.2%、R3=1)。
3.補強繊維糸条
PAN系炭素繊維:24,000フィラメント、繊度1,030tex、引張強度5,900MPa、引張弾性率295GPa、破断伸度2.0%)。
4.たて補助糸
ガラス繊維:日東グラスファイバー製ECE225 1/0 1.0Z、繊度22.5tex、伸度3%以上、バインダータイプ”DP”。
5.よこ補助糸
ポリアミド66繊維:7フィラメント、繊度1.7tex
6.樹脂材料
ポリエーテルスルフォン樹脂(住友化学工業(株)製スミカエクセル(登録商標)5003P)60重量%(主成分)と次のエポキシ樹脂組成物40重量%(副成分)とを2軸押出機にて溶融混練したものを冷凍粉砕したもの。平均粒子系D50((株)セイシン企業製LMS−24で測定)115μm、ガラス転移点92℃
エポキシ樹脂組成物−ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート(登録商標)806を21重量部、日本化薬(株)製NC−3000を12.5重量部、および、日産化学工業(株)製TEPIC−Pを4重量部を、100℃で均一になるまで攪拌したもの。
実施例1
184本の上記補強繊維糸条をお互いに平行に引きそろえ、1.8本/cmの密度で一方向に配列し、1m幅のシート状の補強繊維糸条群を形成した。また、たて方向補助糸糸条を、互いに平行に引きそろえ、1.8本/cmの密度で、補強繊維糸条群と同じ方向で、かつ、補強繊維糸条と交互に一方向に配列し、たて補助糸糸条群を形成した。両者を用いてシート状のたて方向糸条群を形成した。
184本の上記補強繊維糸条をお互いに平行に引きそろえ、1.8本/cmの密度で一方向に配列し、1m幅のシート状の補強繊維糸条群を形成した。また、たて方向補助糸糸条を、互いに平行に引きそろえ、1.8本/cmの密度で、補強繊維糸条群と同じ方向で、かつ、補強繊維糸条と交互に一方向に配列し、たて補助糸糸条群を形成した。両者を用いてシート状のたて方向糸条群を形成した。
次に、よこ方向補助糸糸条を、お互いに平行に引きそろえ、3本/cmの密度で、たて方向糸条群と直交する方向に配列し、上記たて方向補助糸糸条とよこ方向補助糸糸条とを織機を用いて平織組織に交錯させ、一方向性ノンクリンプ織物を形成した。
かかる一方向性ノンクリンプ織物に、粒子状の樹脂材料をノードソン(株)製トリボIIガンにて均一分散させながら、表面に26g/m2 (14重量%)塗布し、185℃、0.3m/minの条件にて遠赤外線ヒーターを通過させ、樹脂材料を布帛片表面に付着させた(樹脂付着工程)。
次いで、布帛を冷却して樹脂材料を固着させ、巻き取り装置により布帛を巻き取る直前にプラスチックフィルム供給装置を設け、デュロメーター硬さがD50でロックウェル硬さがR10以下の素材を用いたプラスチックフィルムと布帛を重ね合わせて同時に100mの長さを巻き取った(巻取工程)。巻取を開始するときの補強繊維布帛の巻取張力は300N/m、プラスチックフィルムの巻取張力は30N/mとした。かかる補強繊維布帛巻物を、40℃の部屋に1週間放置した。
得られた補強繊維布帛巻物は、プラスチックフィルムにより、巻物の下層の樹脂材料と上層の補強繊維布帛とが直接触れないため、補強繊維の乱れやケバが発生せず、容易に引き出せることができた。また、プラスチックフィルムで覆われた補強繊維布帛巻物の表面は平滑であり、シワによる凸凹は見られなかった。また、微視的に見てもプラスチックフィルムが布帛の表面凹凸のクッションになっており、強化繊維糸条が布帛の厚み方向にも真直になっていた。なお、剥離角度θは0°であった。
比較例1
プラスチックフィルムを用いない以外は、実施例1と同様にして補強繊維布帛巻物を得た。その後、実施例1と同様に、補強繊維布帛巻物を40℃の部屋に1週間放置した。
プラスチックフィルムを用いない以外は、実施例1と同様にして補強繊維布帛巻物を得た。その後、実施例1と同様に、補強繊維布帛巻物を40℃の部屋に1週間放置した。
得られた補強繊維布帛巻物は引き出し時に巻物の下層の樹脂材料と上層の補強繊維布帛とが直接触れて互いにくっつきあい、引き剥がすことが困難であった。無理矢理引き剥がそうとすると上層の補強繊維が乱れたり、ケバが大量に発生するため、商品としての価値が得られなかった。
比較例2
プラスチックフィルムに替えて離型紙を用いる以外は、実施例1と同様にして補強繊維布帛巻物を得た。その後、実施例1と同様に、補強繊維布帛巻物を40℃の部屋に1週間放置した。
プラスチックフィルムに替えて離型紙を用いる以外は、実施例1と同様にして補強繊維布帛巻物を得た。その後、実施例1と同様に、補強繊維布帛巻物を40℃の部屋に1週間放置した。
得られた補強繊維布帛巻物において、剥離角度θは0°であり、容易に引き出せることができるものの、離型紙は吸湿により凸凹になっているだけでなく、かかる凸凹が補強繊維布帛に転写し、補強繊維布帛が屈曲していた。また、微視的にみても、離型紙が布帛の表面凹凸のクッションになっておらず、強化繊維糸条が布帛の厚み方向に凸凹が転写していた。更には、巻物を運搬する際に、実施例1の巻物に比べて容易に巻姿が崩れ、それに伴い強化繊維布帛の蛇行が見られた。この他にも、実施例1の巻物に比べて巻径が大きく、かつ、重く、運搬するのに問題があった。
本発明は、航空機、船舶、自動車等の輸送機器の構造部材や、建築部材などにも好適に使用することができるが、これらに限られるものではない。
1、8:補強繊維布帛
2:プラスチックフィルム
3:補強繊維布帛巻物
4:樹脂材料
5:補強繊維糸条
6、7:補助繊維糸条
8:接着工程
9a:彫刻ロール
9b:ドクターブレード
9c:振動ネット
10:ホットローラー
11:遠赤外線ヒーター
12:巻取工程
13:巻取装置
θ:剥離角度
a:巻物の巻厚分の長さ
b:巻物の外周の1/2の長さ
c:回転方向
d:接点
e:床面に垂直方向の基準線
f:補強繊維布帛の接線
2:プラスチックフィルム
3:補強繊維布帛巻物
4:樹脂材料
5:補強繊維糸条
6、7:補助繊維糸条
8:接着工程
9a:彫刻ロール
9b:ドクターブレード
9c:振動ネット
10:ホットローラー
11:遠赤外線ヒーター
12:巻取工程
13:巻取装置
θ:剥離角度
a:巻物の巻厚分の長さ
b:巻物の外周の1/2の長さ
c:回転方向
d:接点
e:床面に垂直方向の基準線
f:補強繊維布帛の接線
Claims (16)
- 少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを積層して巻き取った巻物であって、該補強繊維布帛に付着している樹脂材料が2〜20重量%の範囲であり、かつ、巻物から補強繊維布帛を巻き戻す時におけるプラスチックフィルムと補強繊維布帛との剥離角度θが0〜30°の範囲であり、かつ、プラスチックフィルムが、厚み5〜100μm、比重1.1以下、デュロメーター硬さ(JIS K7215)D80以下のものであることを特徴とする補強繊維布帛巻物。
- プラスチックフィルムの素材が、ロックウェル硬さ(JIS K7202)R70以下のものであることを特徴とする請求項1記載の補強繊維布帛巻物。
- プラスチックフィルムが、吸湿率(JIS K7209)1%以下のものであることを特徴とする請求項1または2記載の補強繊維布帛巻物。
- プラスチックフィルムが、長手方向の収縮率7%以下、および/または収縮率比R3(長手方向の収縮率/幅方向の収縮率)=2〜10の範囲のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- プラスチックフィルムが、長手方向の伸び率180%以上、および/または伸び率比R1(長手方向の伸び率A/幅方向の伸び率B)=0.1〜0.7の範囲のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- プラスチックフィルムが、長手方向の引張強さが1.5MPa以上、および/また引張強さ比R2(長手方向の引張強さC/幅方向の引張強さD)=0.8〜1.6の範囲のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- プラスチックフィルムの表面粗さが、1〜30μmの範囲のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 補強繊維布帛が、その布帛長さが50mを越えて巻かれているものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 補強繊維布帛が、炭素繊維織物であり、かつ、用いられる炭素繊維糸条が12,000フィラメント以上であり、かつ、補強繊維布帛における炭素繊維の目付が300g/m2 以下のものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 補強繊維布帛が、一方向シートまたは一方向性織物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 樹脂材料が、布帛の表面にのみ付着していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 樹脂材料のガラス転移温度Tg20〜150℃の範囲のものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 樹脂材料が、補強繊維布帛の少なくとも片表面に2〜100μmの範囲の厚みで付着していて、かつ、間隙を有する層を形成していることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 樹脂材料が、線状または点状の形態で付着している請求項1〜13のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 補強繊維布帛が、真空注入成形に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の補強繊維布帛巻物。
- 少なくとも、布帛の片表面に樹脂材料が付着している補強繊維布帛と、プラスチックフィルムとを積層して巻き取る巻物の製造方法であって、
(A)樹脂材料を2〜20重量%の範囲で補強繊維布帛に付着させる樹脂付着工程と、
(B)樹脂材料が付着している補強繊維布帛をプラスチックフィルムとともに、該補強繊維布帛とプラスチックフィルムとの剥離角度θが0〜30°の範囲になるように積層しながら巻き取る巻取工程、
とを有し、かつ、前記プラスチックフィルムとして、プラスチックフィルム厚みが5〜100μmであり、かつ、比重1.1以下、デュロメーター硬さ(JIS K7215)D80以下であるものを用いることを特徴とする補強繊維布帛巻物の製造方法。
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