JP2005285648A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池の低温起動時において、燃料電池内の水収支を考慮して燃料電池を起動することにより、安定した起動・発電が可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池システムは、ステップ102において、燃料電池の発電開始電流値を入力し、ステップ104において、発電開始電流値に対する熱媒体の温度である暖機規定温度を演算式またはマップに基づいて演算する。そして、熱媒体温度が暖機規定温度に到達した時点にて、燃料電池の発電を開始する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、燃料電池を備えた燃料電池システムに関し、特に燃料電池の起動時の温度制御に関する。
この燃料電池システムとしては、燃料極および空気極にそれぞれ燃料および空気が供給されそれらの化学反応によって発電する燃料電池10と、この燃料電池10との間で熱交換する熱媒体が循環する熱媒体循環回路20と、この熱媒体循環回路20上に設けられて熱媒体を循環させるポンプ24と、熱媒体循環回路20を循環する熱媒体の温度を調整する調温手段(ラジエータ21、温調弁23、流路制御弁31、ヒータ32)とを備えたものが知られている(特許文献1)。
この特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、この燃料電池においては発電に伴い内部で水分が発生する。また、燃料電池は、燃料極と空気極との間に介在されている電解質の機能を確保する目的で、燃料電池に供給される改質ガスおよび空気を加湿している。低温環境下においては、これら水分が凍結し燃料電池が起動しないあるいは出力が低下するという問題があり、これに対処するために、燃料電池の一部を集中的に電気ヒータなどで加熱することによりその一部において発電を可能とし、その一部の発電による自己発熱を利用して残りの部分を加熱する起動方法が実施されている。具体的には、燃料電池温度Tfcが運転可能温度(燃料電池バイパス温度Tfb)未満の場合には電気ヒータ32で加熱し、燃料電池バイパス温度Tfb以上になると、発電可能となった一部で発電を開始してその発電による自己発熱と電気ヒータ32による加熱とによりさらに加熱し、ラジエータバイパス温度Trb以上となると、燃料電池全体で発電が可能であると判断して定常運転時の制御を行っている。
特開2003−249251号公報(第7−9頁、図1,3) 特開2002−42841号公報
上述した燃料電池システムにおいては、発電可能である一部分にて発電が開始されると水が生成され、これにより水収支がゼロを上回ってその他の温度が低い発電不能部分にてフラッディングが発生し安定した起動が不可能となる。特に、定置用燃料電池システムなどの低圧運転のシステムにおいては、燃料電池内でフラッディングが生じるとその凝縮水を排出することが困難であるため安定起動・発電は不可能である。
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、燃料電池の低温起動時において、燃料電池内の水収支を考慮して燃料電池を起動することにより、安定した起動・発電が可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、燃料極および酸化剤極にそれぞれ燃料および酸化剤ガスが供給されそれらの化学反応によって発電する燃料電池と、この燃料電池との間で熱交換する熱媒体が循環する熱媒体循環回路と、この熱媒体循環回路上に設けられて熱媒体を循環させるポンプと、熱媒体循環回路を循環する熱媒体の温度を調整する調温手段とを備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池の発電電流値に対して同燃料電池の燃料極または酸化剤極内の水収支がゼロとなる熱媒体の温度を示す演算式またはマップを記憶する記憶手段と、燃料電池の発電開始電流値を入力する入力手段と、発電開始電流値に対する熱媒体の温度である暖機規定温度を演算式またはマップに基づいて演算する暖機規定温度演算手段と、熱媒体循環回路を流通する熱媒体の温度を検出する温度センサと、燃料電池システムの起動開始後から熱媒体温度が暖機規定温度に到達するまでは、調温手段によって熱媒体を昇温する昇温手段と、熱媒体温度が暖機規定温度に到達した後であって定常運転規定温度に到達する前に、燃料電池の発電を開始する発電開始手段と、燃料電池の発電に伴う自己発熱により同燃料電池が昇温されることにより、熱媒体温度が定常運転規定温度に到達すると、熱媒体温度を定常運転規定温度に維持する温度維持手段とを備えたことである。
また請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、水収支は燃料電池の燃料極または酸化剤極内に導入される水および燃料電池の生成水と燃料電池から排出される水との差であることである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、暖機規定温度演算手段が、発電開始電流値に対する熱媒体の温度である暖機規定温度を演算式またはマップに基づいて演算し、昇温手段が、燃料電池システムの起動開始後から熱媒体温度が暖機規定温度に到達するまでは、調温手段によって熱媒体を昇温し、発電開始手段が、熱媒体温度が暖機規定温度に到達した後であって定常運転規定温度に到達する前に、燃料電池の発電を開始し、温度維持手段が、燃料電池の発電に伴う自己発熱により同燃料電池が昇温されることにより、熱媒体温度が定常運転規定温度に到達すると、熱媒体温度を定常運転規定温度に維持する。これにより、燃料電池システムの起動時において、起動が開始されて熱媒体温度が暖機規定温度以上であって定常運転規定温度に到達する前に燃料電池の発電が開始され、燃料電池は自己発熱によって加熱が開始される。このとき、暖機規定温度は、燃料電池の発電電流値に対して同燃料電池の燃料極または酸化剤極内の水収支がゼロとなる熱媒体の温度となるように設定されているので、燃料電池の燃料極または酸化剤極内でフラッディングが生じることはない。したがって、安定した起動・発電が可能な燃料電池システムを提供することができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、水収支は燃料電池の燃料極または酸化剤極内に導入される水および燃料電池の生成水と燃料電池から排出される水との差であることにより、確実かつ容易に発電開始電流値に対する熱媒体の温度である暖機規定温度を示す演算式またはマップを作成することができる。
以下、本発明による燃料電池システムの一実施の形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池10とこの燃料電池10に必要な水素ガスを含む改質ガスを生成する改質器20を備えている。
燃料電池10は、燃料極11と酸化剤極である空気極12と両極11,12間に介装された電解質13を備えており、燃料極11に供給された改質ガスおよび空気極12に供給された酸化剤ガスである空気(カソードエア)を用いて発電するものである。なお、燃料電池10の空気極12には、空気を供給する供給管61およびカソードオフガスを排出する排出管62が接続されており、これら供給管61および排出管62の途中には、空気を加湿するための加湿器14が設けられている。この加湿器14は水蒸気交換型であり、排出管62中すなわち空気極12から排出される気体中の水蒸気を除湿してその水蒸気を供給管61中すなわち空気極12へ供給される空気中に供給して加湿するものである。なお、空気の代わりに空気の酸素富化したガスを供給するようにしてもよい。
改質器20は、天然ガス、LPガス、灯油、メタノールなどの燃料を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池10に供給するものであり、バーナ21、改質部22、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)23および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)24から構成されている。
バーナ21は、起動時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池10の燃料極11からアノードオフガス(燃料電池に供給され使用されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部22に導出するものである。この燃焼ガスは改質部22を(同改質部22の触媒の活性温度域となるように)加熱し、その後燃焼ガス用凝縮器34を通ってその燃焼ガスに含まれている水蒸気が凝縮されて外部に排気される。
改質部22は、外部から供給された燃料に蒸発器25からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部22に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部23に導出される。
COシフト部23は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部24に導出される。
CO選択酸化部24は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池10の燃料極11に導出される。
蒸発器25は、一端が貯水器50内に配置され他端が改質部22に接続された改質水供給管68の途中に配設されている。改質水供給管68には改質水用ポンプ53が設けられている。このポンプ53は制御装置90によって制御されており、貯水器50内の改質水として使用する回収水を蒸発器25に圧送している。蒸発器25は例えばバーナ21から排出される燃焼ガス、改質部22、COシフト部23などの熱によって加熱されており、これにより圧送された改質水を水蒸気化する。
改質器20のCO選択酸化部24と燃料電池10の燃料極11とを連通する配管64の途中には、凝縮器30が設けられている。この凝縮器30は改質ガス用凝縮器31、アノードオフガス用凝縮器32、カソードオフガス用凝縮器33および燃焼ガス用凝縮器34が一体的に接続された一体構造体である。改質ガス用凝縮器31は配管64中を流れる燃料電池10の燃料極11に供給される改質ガス中の水蒸気を凝縮する。アノードオフガス用凝縮器32は、燃料電池10の燃料極11と改質器20のバーナ21とを連通する配管65の途中に設けられており、その配管65中を流れる燃料電池10の燃料極11から排出されるアノードオフガス中の水蒸気を凝縮する。カソードオフガス用凝縮器33は、排出管62の加湿器14の下流に設けられており、その排出管62中を流れる燃料電池10の空気極12から排出されるカソードオフガス中の水蒸気を凝縮する。
上述した凝縮器31〜34は配管66を介して純水器40に連通しており、各凝縮器31〜34にて凝縮された凝縮水は、純水器40に導出され回収されるようになっている。純水器40は、凝縮器30および燃焼ガス用凝縮器34から供給された凝縮水すなわち回収水を内蔵のイオン交換樹脂によって純水にするものであり、純水化した回収水を貯水器50に導出するものである。なお、貯水器50は純水器40から導出された回収水を改質水として一時的に溜めておくものである。また、純水器40には水道水供給源(例えば水道管)から供給される補給水(水道水)を導入する配管が接続されており、純水器40内の貯水量が下限水位を下回ると水道水が供給されるようになっている。
燃料電池システムは、第1熱交換器71と、第1熱交換器71と燃料電池10との間に設けられて熱媒体が循環される熱媒体循環回路72と、熱媒体循環回路72上に熱媒体を循環させる第1ポンプ73が設けられている。これにより、熱媒体が燃料電池10を通過する際には熱媒体と燃料電池10との間で熱交換が行われる。また、熱媒体循環回路72の燃料電池10の出口付近には熱媒体の温度を検出する温度センサ85が設けられている。
また、温水を貯留する温水貯留槽である貯湯槽74が設けられており、第1熱交換器71と貯湯槽74との間に熱媒体である温水が循環される温水循環回路75と、温水循環回路75上に温水を循環させる第2ポンプ76が設けられている。これにより、第1熱交換器71においては、熱媒体循環回路72を通過中の熱媒体と温水循環回路75を通過中の温水との間で熱交換が行われる。温水循環回路75の一端および他端は貯湯槽74の上部および下部に接続されており、温水循環回路75の他端部側すなわち貯湯槽74の下部側部位には一端が貯湯槽74の上部に接続された配管77の他端が接続されている。配管77には第1バルブ78が設けられている。配管77との接続部位と貯湯槽74との間の温水循環回路75には第2バルブ79が設けられている。これにより、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ開状態、閉状態にして第2ポンプ76を駆動すると、貯湯槽74の上部の温度の高い温水が第1熱交換器71に供給され、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ閉状態、開状態にして第2ポンプ76を駆動すると、貯湯槽74の下部の温度の低い温水が第1熱交換器71に供給される。
また、配管77には追い炊きバーナ81が設けられており、追い炊きバーナ81は貯湯槽74の上部から導出される温水をさらに加熱するものである。
また、温水循環回路75上に第2熱交換器82が設けられている。この第2熱交換器82、凝縮器30との間には凝縮器熱媒体が循環する凝縮器熱媒体循環回路83が設けられている。凝縮器熱媒体循環回路83上に凝縮器熱媒体を循環させる第3ポンプ84が設けられている。これにより、第2熱交換器82においては、凝縮器熱媒体循環回路83を通過中の凝縮器熱媒体と温水循環回路75を通過中の温水との間で熱交換が行われて、温水より高温である凝縮器熱媒体により温水が昇温される。
なお、本実施の形態においては、貯湯槽74、温水循環回路75、第1熱交換器71、および第2ポンプ76から、熱媒体循環回路72を循環する熱媒体の温度を調整する調温手段が構成されている。
また、上述した温度センサ85、第1〜第3ポンプ73,76,83、第1および第2バルブ78,79は制御装置90に接続されている(図2参照)。制御装置90は記憶部91に接続されている。記憶部91は、図3に示す燃料電池10の発電電流値Iに対して同燃料電池10の燃料極または空気極内の水収支がゼロとなる熱媒体の温度である暖機規定温度Taを示す演算式またはマップを記憶している。
この演算式またはマップは次のようにして求めることができる。図4に示すように、燃料電池10の出力電流値を一定(例えばI2)にして燃料電池の冷却水(熱媒体)の温度を所定の温度レンジにて変化させた場合、その温度に対する水収支を計算してあるいは計測して求める。そして、水収支が0となる温度(例えばT2)を出力電流値I2に対する暖機規定温度Taとして導出する。そして、出力電流値を所定の範囲にて変化させて前述と同様の方法でその出力電流値に対する暖機規定温度をそれぞれ導出して、導出した出力電流値に対する暖機規定温度の関係を示すものが図3の発電電流値Iに対して同燃料電池10の燃料極または空気極内の水収支がゼロとなる熱媒体の温度である暖機規定温度Taを示す演算式またはマップである。
なお、水収支は、燃料電池10の空気極12(または燃料極11)内に導入される水量および燃料電池10の生成水量と燃料電池10から排出される水量との差で定義される。導入される水量および排出される水量は、カソードエアおよびカソードオフガスは水蒸気飽和であるとしてそれぞれ空気極12の導入口および導出口の温度によって導出することができる。なお、導入される空気がドライエアの場合には導入される水量はほぼゼロとする。生成水量は燃料電池10の出力電流によって導出される。
制御装置90はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図4のフローチャートに対応したプログラムを実行して、設定された発電開始電流Iに対応する暖機規定温度Taを演算し、図5のフローチャートに対応したプログラムを実行して、燃料電池システムの起動制御を実行している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
次に、上述した燃料電池システムの作動について図4および図5を参照して説明する。制御装置90は、予め作業者によって入力され記憶されている燃料電池10の発電開始電流値Iを読み出し、その発電開始電流値Iに対する暖機規定温度Taを図3に示す演算式またはマップから演算する(ステップ102,104)。例えば発電開始電流値IがI2である場合、発電電流I2に対する暖機規定温度TaはT2となる。なお、導出した暖機規定温度Taは記憶部91または制御装置90に記憶するのが好ましい。
そして、制御装置90は、制御装置90は図示しない起動スイッチがオンされると、図6に示すプログラムを実行する。ステップ202において、燃料電池システムの起動が開始される。具体的には、燃焼用燃料および燃焼用空気がバーナ21に供給されて燃焼される。燃焼ガスの加熱によって改質部22が所定温度になると、燃料および改質水が改質部22に供給される。またCO選択酸化部24に酸化用空気が供給される。しかし、改質装置20から導出される改質ガスは燃料電池10には供給されていない。
また、制御装置90は、燃料電池の冷却水温度Thを温度センサ85によって検出し、その温度に基づいて冷却水の温度を昇温している(ステップ204,206)。具体的には、貯湯槽71の温水を利用して冷却水を昇温している。すなわち、第1および第2バルブをそれぞれ開状態および閉状態とし第2ポンプ76を駆動させて温水を第1熱交換器71に送出する。また第1ポンプ73を駆動させ燃料電池10内の冷却水(熱媒体)を第1熱交換器71に送出する。これにより第1交換機71にて冷却水(熱媒体)が温水によって昇温される(昇温手段)。
そして、燃料電池の冷却水温度Thが暖機規定温度Ta(本実施の形態ではT2)に到達した時点(図7の時刻t1)より後であって、改質装置20の暖機が完了した時点(図7の時刻t2)に、燃料電池10の発電を開始する(ステップ208〜210)。ステップ208にて、冷却水温度Thが暖機規定温度Taに到達したか否かを判定し、到達するまでステップ204〜208の処理を繰り返し実行し、到達したならばプログラムをステップ209に進める。ステップ209にて、改質装置20から導出される改質ガス中の水素量および一酸化炭素濃度が規定値に到達しているか否かを判定し、到達するまでステップ204〜209の処理を繰り返し実行し、到達したならばプログラムをステップ210に進める。
制御装置90は、ステップ210にて、改質装置20から導出される改質ガスを燃料電池10に供給するようにして、燃料電池10の発電を開始する。このときの発電電流Iすなわち発電開始電流値は予め決められたI2であり、一方発電開始時(時刻t2)の冷却水温度Thは発電開始電流値I2に対応する冷却水温度T2よりΔTだけ高い温度となっているので、水収支はゼロより小さい状態すなわち乾き気味となるので、燃料電池10内でフラッディングは生じない。
また、上述した昇温手段による加熱に加えて、燃料電池10の発電による自己発熱によって燃料電池10は昇温し、これにより冷却水も昇温する。制御装置90は、燃料電池の冷却水温度Thを温度センサ85によって検出し、燃料電池の冷却水温度Thが定常運転温度Tb(具体的には60〜80℃)に到達すると(図7の時刻t3)、それ以降はシステムが停止されるまで、冷却水温度Thが定常運転温度Tbに維持されるように調整される(ステップ212〜216)。具体的には、制御装置90は、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ開状態および閉状態とし第2ポンプ76を駆動させて温水を第1熱交換器71に送出する。また第1ポンプ73を駆動させ燃料電池10内の冷却水(熱媒体)を第1熱交換器71に送出する。これにより第1交換機71にて冷却水(熱媒体)が温水によって昇温される。また、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ閉状態および開状態とし第2ポンプ76を駆動させて温度の低い温水を第1熱交換器71に送出する。また第1ポンプ73を駆動させ燃料電池10内の冷却水(熱媒体)を第1熱交換器71に送出する。これにより第1交換機71にて冷却水(熱媒体)が温水によって降温される。
上述した説明から理解できるように、この実施の形態においては、暖機規定温度演算手段(ステップ102,104)が、発電開始電流値に対する熱媒体の温度である暖機規定温度Taを演算式またはマップに基づいて演算し、昇温手段(ステップ204〜208)が、燃料電池システムの起動開始後から熱媒体温度が少なくとも暖機規定温度Taに到達するまでは、調温手段によって熱媒体を昇温し、発電開始手段(ステップ210)が、熱媒体温度が暖機規定温度Taに到達した後であって定常運転規定温度Tbに到達する前に、燃料電池の発電を開始し、温度維持手段(ステップ212〜216)が、燃料電池10の発電に伴う自己発熱により同燃料電池10が昇温されることにより、熱媒体温度が定常運転規定温度Tbに到達すると、熱媒体温度を定常運転規定温度Tbに維持する。これにより、燃料電池システムの起動時において、起動が開始されて熱媒体温度が暖機規定温度Ta以上であって定常運転規定温度Tbに到達する前に燃料電池10の発電が開始され、燃料電池10は自己発熱によって加熱が開始される。このとき、暖機規定温度Taは、燃料電池10の発電電流値Iに対して同燃料電池10の空気極12(または燃料極12)内の水収支がゼロとなる熱媒体の温度となるように設定されているので、燃料電池10の空気極12(または燃料極11)内でフラッディングが生じることはない。したがって、安定した起動・発電が可能な燃料電池システムを提供することができる。
また、水収支は燃料電池10の空気極12(または燃料極11)内に導入される水および燃料電池10の生成水と燃料電池10から排出される水との差であることにより、確実かつ容易に発電開始電流値に対する熱媒体の温度である暖機規定温度を示す演算式またはマップを作成することができる。
なお、上述した実施の形態においては、冷却水温度Thが暖機規定温度Ta以上となり、かつ改質装置20の暖機が完了すれば、燃料電池10は発電を開始するようになっていたが、冷却水温度Thが暖機規定温度Ta以上となる前に、改質装置20の暖機が完了する場合、燃料電池システムに改質装置が設けられていない場合などにも本発明を適用することができる。これら場合、図6のフローチャートに代えて、図8に示すフローチャートを実行すればよい。図8のフローチャートは図6のフローチャートからステップ209を削除したものである。
改質装置が設けられておらず、燃料として水素ガスを使用する場合で説明する。制御装置90が図8に示すフローチャートを実行すると、図9に示すタイムチャートのように燃料電池システムは制御される。すなわち、制御装置90は、ステップ202において、燃料電池システムの起動を開始し、燃料電池の冷却水温度Thを温度センサ85によって検出し、その温度に基づいて冷却水の温度を昇温している(ステップ204,206)。そして、燃料電池の冷却水温度Thが暖機規定温度Ta(本実施の形態ではT2)に到達すると(図9の時刻t4)、燃料電池10の発電を開始する(ステップ208,210)。すなわち、加湿された水素ガスが燃料電池10に供給される。このときの発電電流Iすなわち発電開始電流値は冷却水温度T2に対応するI2であり、その冷却水温度T2で水収支はゼロであるので、燃料電池10内でフラッディングは生じない。さらに、上述した昇温手段による加熱に加えて、燃料電池10の発電による自己発熱によって燃料電池10は昇温し、これにより冷却水も昇温する。制御装置90は、燃料電池の冷却水温度Thを温度センサ85によって検出し、燃料電池の冷却水温度Thが定常運転温度Tb(具体的には60〜80℃)に到達すると(図9の時刻t5)、それ以降はシステムが停止されるまで、冷却水温度Thが定常運転温度Tbに維持されるように調整される(ステップ212〜216)。
なお、上述した各実施の形態においては、熱媒体循環回路72を循環する熱媒体の温度を調整する調温手段を貯湯槽74、温水循環回路75、第1熱交換器71、および第2ポンプ76から構成するようにしたが、これに限られず、熱媒体循環回路72を循環する熱媒体の温度を調整する他の調温手段(例えば温度ヒータ)から構成するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、図10に示すように、貯湯槽74の温水を利用する構成としてもよい。具体的には、温水循環回路75の一端部側すなわち貯湯槽74の上部側部位には一端が貯湯槽74の上部に接続された配管77の他端が接続されている。配管77には第1バルブ78が設けられている。また、配管77には追い炊きバーナ81が設けられている。配管77との接続部位と貯湯槽74との間の温水循環回路75には第2バルブ79が設けられている。さらに、温水循環回路75には第2ポンプ76と逆方向に吐出する第4ポンプ92が設けられている。これにより、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ閉状態、開状態にして第4ポンプ92を駆動すると、貯湯槽74の上部の温度の高い温水が第1熱交換器71に供給され、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ閉状態、開状態にして第2ポンプ76を駆動すると、貯湯槽74の下部の温度の低い温水が第1熱交換器71に供給される。また、第1および第2バルブ78,79をそれぞれ開状態、閉状態にして第4ポンプ92を駆動すると、貯湯槽74の上部の温度の高い温水が追い炊きバーナ81に加熱されて第1熱交換器71に供給される。なお、図1と同一部材については同一符号を付してその説明を省略する。
また、上述した実施の形態において、図11に示すように、貯湯槽74の温水を利用する構成としてもよい。具体的には、温水循環回路75の他端部側すなわち貯湯槽74の下部との接続側部位に三方弁93を設け、三方弁93と貯湯槽74の上部を接続する配管94を設けている。三方弁93は貯湯槽74の下部と上部を連通する状態と配管94を介して貯湯槽74の上部どうしを連通する状態とを切換可能な弁である。また、貯湯槽74内の上部には電気ヒータ95が設けられている。これにより、三方弁93を配管94を介して貯湯槽74の上部どうしを連通する状態に切り換えて第2ポンプ76を駆動すると、貯湯槽74の上部の温度の高い温水が第1熱交換器71に供給される。このとき、電気ヒータ95を作動させると電気ヒータ95によって加熱された温水が第1熱交換器71に供給される。また、三方弁93を貯湯槽74の下部と上部を連通する状態に切り換えて第2ポンプ76を駆動すると、貯湯槽74の下部の温度の低い温水が第1熱交換器71に供給される。なお、図1と同一部材については同一符号を付してその説明を省略する。
また、上述した実施の形態において、図12に示すように、貯湯槽74の温水を利用する構成としてもよい。具体的には、図11に示す構成から三方弁93および配管94を削除して、温水循環回路75に第2ポンプ76と逆方向に吐出する第5ポンプ96を設けるようにすればよい。これにより、第5ポンプ96のみを駆動すると貯湯槽74の上部の温度の高い温水が第1熱交換器71に供給され、第2ポンプ76のみを駆動すると貯湯槽74の下部の温度の低い温水が第1熱交換器71に供給される。
本発明による燃料電池システムの一実施の形態の概要を示す概要図である。 図1に示す燃料電池システムを示すブロック図である。 燃料電池の発電電流値に対して同燃料電池の空気極内の水収支がゼロとなる熱媒体の温度を示す演算式またはマップである。 図3に示す演算式またはマップを求める方法の説明図である。 図2に示した制御装置にて実行される制御プログラムのフローチャートである。 図2に示した制御装置にて実行される制御プログラムのフローチャートである。 本発明による燃料電池システムの実施の形態の動作を示すタイムチャートである。 図2に示した制御装置にて実行される他の制御プログラムのフローチャートである。 本発明による燃料電池システムの実施の形態の他の動作を示すタイムチャートである。 本発明による燃料電池システムの他の実施の形態の概要を示す概要図である。 本発明による燃料電池システムの他の実施の形態の概要を示す概要図である。 本発明による燃料電池システムの他の実施の形態の概要を示す概要図である。
符号の説明
10…燃料電池、11…燃料極、12…空気極、20…改質器、21…バーナ、22…改質部、23…一酸化炭素シフト反応部(COシフト部)、24…一酸化炭素選択酸化反応部(CO選択酸化部)、25…蒸発器、30…凝縮器、31…改質ガス用凝縮器、32…アノードオフガス用凝縮器、33…カソードオフガス用凝縮器、34…燃焼ガス用凝縮器、40…純水器、50…貯水器、53…改質水ポンプ、61〜66…配管、68…改質水供給管、71…第1熱交換器、72…熱媒体循環回路、73…第1ポンプ、74…貯湯槽、75…温水循環回路、76…第2ポンプ、77…配管、78…第1バルブ、79…第2バルブ、81…追い炊きバーナ、82…第2熱交換器、83…凝縮器熱媒体循環回路、84…第3ポンプ、85…温度センサ、90…制御装置。

Claims (2)

  1. 燃料極および酸化剤極にそれぞれ燃料および酸化剤ガスが供給されそれらの化学反応によって発電する燃料電池と、該燃料電池との間で熱交換する熱媒体が循環する熱媒体循環回路と、該熱媒体循環回路上に設けられて前記熱媒体を循環させるポンプと、前記熱媒体循環回路を循環する前記熱媒体の温度を調整する調温手段とを備えた燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の発電電流値に対して同燃料電池の燃料極または酸化剤極内の水収支がゼロとなる前記熱媒体の温度を示す演算式またはマップを記憶する記憶手段と、
    前記燃料電池の発電開始電流値を入力する入力手段と、
    前記発電開始電流値に対する前記熱媒体の温度である暖機規定温度を前記演算式またはマップに基づいて演算する暖機規定温度演算手段と、
    前記熱媒体循環回路を流通する前記熱媒体の温度を検出する温度センサと、
    前記燃料電池システムの起動開始後から前記熱媒体温度が前記暖機規定温度に到達するまでは、前記調温手段によって前記熱媒体を昇温する昇温手段と、
    前記熱媒体温度が暖機規定温度に到達した後であって定常運転規定温度に到達する前に、前記燃料電池の発電を開始する発電開始手段と、
    前記燃料電池の発電に伴う自己発熱により同燃料電池が昇温されることにより、前記熱媒体温度が前記定常運転規定温度に到達すると、前記熱媒体温度を前記定常運転規定温度に維持する温度維持手段とを備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1において、前記水収支は前記燃料電池の燃料極または酸化剤極内に導入される水および前記燃料電池の生成水と前記燃料電池から排出される水との差であることを特徴とする燃料電池システム。
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