JP2005287809A - 医療用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体組織同士の癒着を確実に防止するとともに、一定期間経過後に癒着防止部材を既存の手術手技の範囲内で(新たな侵襲を加えることなく)容易に体内から除去することができ、癒着防止部材が体内で分解することによる炎症反応を抑えることができる医療用具を提供すること。
【解決手段】 本発明の医療用具1Aは、生体組織同士の間に介挿して使用され、生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材としてのバルーン3と、体内から体外へ体壁100を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメン21を有する排液チューブ2とを備える。排液チューブ2は、チューブ本体23と、その先端側に設けられ、外径が細くなった細径部24とを有している。バルーン3は、排液チューブ2の細径部24とチューブ本体23との境界付近に連結されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば胸部、腹部等の外科的手術後に生じる浸出液を排出するとともに、臓器、体壁等の生体組織同士が癒着を防止するのに用いる医療用具に関する。
外科的手術後、損傷組織周囲から、血液等の体液が浸出し、感染や治癒遅延もしくは臓器圧迫の原因となる。したがって、通常、この浸出液は、チューブを用い、先端を体液の溜まりやすい部位に設置し、他端を体外に出し、排液バッグや吸引器等に接続し体液を排出する(ドレナージ)。この術後の浸出液は、周辺組織の治癒とともに消失するため、ドレーンチューブは、一定期間留置後、引き抜かれて取り除かれる。
一方、外科的手術により、傷害を受けた臓器が体壁もしくは近隣臓器と直接もしくはフィブリン等の浸出液産物を介して接触した状態が続くと、その治癒の過程でこれら組織が一体化した組織(癒着)が発生する。この癒着は、時に強固に臓器や周辺臓器に癒着することがある。このような癒着が生じた場合、腹部ではイレウス(腹部閉塞症)となり、さらに、重篤な合併症を引き起こす。また、再手術を行う場合、体壁と臓器との癒着は再手術の大きな障害となり、最初の剥離操作に多くの時間を要するだけでなく、時には、剥離操作の過程で臓器に傷害を与える場合もある。特に、胸部の冠動脈バイパス術や弁治療術等心臓周囲の手術には再手術を要する症例がある。また、先天性心疾患を持つ小児の手術においては、一時的手術を行い、成長後、本格的治療を行う2期的手術が行われている。したがって、必然的に再手術が必要となる症例も有り、これらの手術において癒着防止は必要不可欠である。
この癒着を防止する手段として、癒着防止材が市販されており、臓器と周囲組織の間に埋め込み臓器と周囲組織との直接の接触を防ぎ(バリア)、癒着を防止するものである。この癒着防止材としては、心臓領域では不活性で組織が接着し難い延伸加工したポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)シートが使用される。しかし、このePTFEシートは、生体内非吸収性であり、異物が永久的に生体内に残存することになるために、感染等のリスクが永久に残る。また、ePTFEシートは異物で非吸収性であるため、一定期間後には周囲に新たに被包組織が形成する。ePTFEシートはこの被包組織とは接着し難いものの、被包組織が周囲組織と癒着する為、最終的にさらに、癒着組織を増大させることもある。
一方、術後、一定期間周辺組織への接触を避け、この間、傷害を受けた上皮や中皮細胞を再生させることで癒着防止可能であることが考えられている。したがって、上皮や中皮細胞が再生する間、周囲組織との接触を防止し、その後、消失するコンセプトで生体内吸収性材料を用いた癒着防止材が検討されている。実際に、腹部の消化器領域では、生体内吸収性材料の多糖(ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロース)からなる癒着防止材が使用され、一定の効果が得られている。しかし、動物を用いたモデル実験や臨床の報告でも完全な癒着防止効果は得られておらず、原因として、短い消失期間や物性等で完全なバリア効果がないことや、分解産物や材料自体の問題による生体内反応にあることが考えられる。逆に、消失期間の長い材料を用いた場合、分解・消化に伴う炎症反応とともに、徐々に生体組織によって置換されながら消失していくため、細胞の足場となり、癒着組織の形成を助長させることになる。したがって、術後の一定期間において目的組織を確実に周囲組織と分離すると同時に、その後、急速に体内から消失する必要があり、さらには分解に伴う炎症反応を起こさないことが望ましい。これらは相反する事象でありこれらを満足させる生体内吸収性材料で見つけ出すことは難しい。
特開平5−237122号公報 特開2001−231787号公報
前記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、生体組織同士の癒着を確実に防止するとともに、一定期間経過後に癒着防止部材を既存の手術手技の範囲内で(新たな侵襲を加えることなく)容易に体内から除去することができ、癒着防止部材が体内で分解することによる炎症反応を抑えることができる医療用具を提供することを目的とする。
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブとを備え、
前記排液チューブは、その先端付近に、その他の部分より外径が細くなった細径部を有しており、
前記癒着防止部材は、前記排液チューブの前記細径部と前記その他の部分との境界付近に連結されていることを特徴とする医療用具。
(2) 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
前記排液ルーメンに挿通され、その先端部が前記癒着防止部材に固定された線状体とを備え、
前記癒着防止部材を除去する際、前記線状体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材の全部または一部が前記排液チューブ内に引き込まれることを特徴とする医療用具。
(3) 前記排液チューブの先端部に前記線状体が通る側孔が形成され、前記癒着防止部材の全部または一部は、前記側孔から前記排液チューブ内に引き込まれる上記(2)に記載の医療用具。
(4) 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
前記排液チューブと前記癒着防止部材とを連結する可撓性を有する連結部材とを備え、
前記排液チューブと前記癒着防止部材とのなす角度が可変であることを特徴とする医療用具。
(5) 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
前記癒着防止部材にその先端部が固定された可撓性を有する細長い長尺体とを備え、
前記排液チューブは、前記長尺体を挿通する長尺体挿通ルーメンをさらに有し、
前記癒着防止部材を除去する際、前記長尺体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材が前記排液チューブ側に引き寄せられることを特徴とする医療用具。
(6) 前記排液チューブは、その先端付近に、その他の部分より外径が細くなった細径部を有しており、
前記排液ルーメンの先端開口は、前記細径部の先端に形成されており、前記長尺体挿通ルーメンの先端開口は、前記排液チューブの前記細径部と前記その他の部分との境界の段差部に形成されている上記(5)に記載の医療用具。
(7) 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
前記癒着防止部材にその先端部が固定された可撓性を有する細長い長尺体とを備え、
前記長尺体は、前記排液ルーメンに挿通され、
前記癒着防止部材を除去する際、前記長尺体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材が前記排液チューブ側に引き寄せられることを特徴とする医療用具。
(8) 前記排液チューブの先端部に前記長尺体が通る側孔が形成されている上記(7)に記載医療用具。
(9) 前記長尺体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材の全部または一部が前記排液チューブ内に引き込まれる上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の医療用具。
(10) 前記長尺体を前記排液チューブに対し固定する固定手段をさらに備える上記(5)ないし(9)のいずれかに記載の医療用具。
(11) 前記癒着防止部材は、シート状の部材で構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の医療用具。
(12) 前記癒着防止部材は、拡張・収縮可能なバルーンで構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の医療用具。
(13) 前記癒着防止部材は、拡張・収縮可能なバルーンで構成されており、前記長尺体は、前記バルーンを拡張・収縮させる作動流体が通過するバルーンルーメンを有する上記(5)ないし(10)のいずれかに記載の医療用具。
(14) 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する拡張・収縮可能なバルーンと、
体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブとを備え、
前記バルーンは、前記排液チューブの先端側に連結され、
前記排液チューブは、前記バルーンを拡張・収縮させる作動流体が通過するバルーンルーメンをさらに有することを特徴とする医療用具。
本発明の医療用具によれば、生体組織同士の癒着を確実に防止するとともに、一定期間経過後に癒着防止部材を既存の手術手技の範囲内で体内から容易に除去することができる。よって、癒着防止部材が体内で分解することによる炎症反応を抑えることができる。
また、癒着防止部材を体内から除去する際、通常のドレーン留置術の範囲内で行うことができ、患者に新たな侵襲を加えなくて済む。よって、患者の負担を大幅に軽減することができる。
以下、本発明の医療用具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の医療用具の第1実施形態を示す図、図2は、図1に示す医療用具の使用状態を示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
図1に示すように、医療用具1Aは、排液ルーメン21を有する排液チューブ(ドレーンチューブ)2と、拡張・収縮可能なバルーン(カフ)3とを有している。
排液チューブ2は、チューブ本体23と、チューブ本体23の先端側に設けられ、チューブ本体23より外径が細くなった細径部24とを有している。この細径部24は、チューブ本体23に対し片側に偏心している。排液ルーメン21は、排液チューブ2の基端から先端まで形成され、その先端開口211は、細径部24の先端面に開口している。
図示の構成では、細径部24には、排液ルーメン21に連通する複数の側孔241が形成されている。これにより、体内の浸出液をより効率良く確実に排出することができる。
また、排液チューブ2には、バルーン3を拡張・収縮させる作動流体が通過するバルーンルーメン22が長手方向に沿ってさらに設けられている。このバルーンルーメン22は、チューブ本体23の基端から先端まで形成されている。また、バルーンルーメン22は、排液ルーメン21より細くなっている。
バルーン3は、可撓性を有する管状のチューブ4を介して、バルーンルーメン22の先端部、すなわちチューブ本体23と細径部24との境界部に連結されている。
このような医療用具1Aは、図2に示すように、外科手術後、体内の浸出液の貯まりやすい部位に排液チューブ2の先端部(細径部24)を置き、基端側を体外に出すように設置される。すなわち、排液チューブ2は、体内から体外へ体壁100(生体組織)を貫通して留置される。そして、排液ルーメン21の基端開口212に図示しない吸引装置等を接続し、先端開口211や側孔241から吸入した浸出液を排液ルーメン21を通して体外へ排出する。
バルーンルーメン22の基端開口221には、例えばシリンジのようなポンプ50が接続される。このポンプ50を用いてバルーン3内に作動流体(好ましくは液体)を送り込むことにより、バルーン3を拡張させる。拡張したバルーン3は、癒着を防止すべき臓器等の生体組織200上に置かれ、この生体組織200を覆う。この後、体壁100の切開部を閉じる。なお、バルーンルーメン22の基端部には、図示しない三方活栓や弁等の加圧・減圧調整装置を設ける。
このようにバルーン3を設置することにより、生体組織200が体壁100や他の生体組織と癒着するのを確実に防止することができる。
また、本実施形態では、排液チューブ2とバルーン3とが柔軟なチューブ4を介して連結されていることにより、排液チューブ2とバルーン3とのなす角度(図2中のθで示す角度)を自由に変化させることができる。これにより、症例に合わせて、バルーン3を任意の角度に調整して留置することができる。
バルーン3を一定期間留置した後には、組織治癒とともに浸出液の漏出はなくなり、癒着し難い状態となるため、バルーン3は、排液チューブ2とともに、生体から抜去(除去)される。これにより、生体内にバルーン3のような癒着防止部材が長期間残存することがないので、被包組織や細胞侵入の足場が形成されることを防止することができる。
また、バルーン3は、排液チューブ2の留置個所を介して体外に取り出すことができる。すなわち、バルーン3は、既存の手術手技の範囲内で、新たな侵襲を患者に加えることなくが体内から除去することができるので、患者への負担を大幅に軽減することができる。
医療用具1Aを生体から抜去する際には、ポンプ50によりバルーン3内を減圧し、バルーン3を収縮させる(図1の状態)。このとき、本実施形態では、細径部24を設けたことにより、収縮したバルーン3は細径部24の周囲のスペースに収納されるので、医療用具1Aをより容易に抜去することができる。
本発明では、排液チューブ2としては、通常のドレーンチューブとして使用されているのと同様の様々なタイプのものものを用いることができる。その材質としては、特に限定されないが、通常は、毒性の低い塩化ビニル、シリコン系、ポリウレタン系等のエラストマーや合成樹脂が好ましい。また、そのサイズは、特に限定されないが、望ましくは12〜40Fr程度である。また、排液チューブ2は、アングル(屈曲形状または湾曲形状)をつけたものでもよい。
バルーン3は、生体組織200を全部もしくは部分的に覆うことによって他組織との接触を遮断する。体腔内のスペースを考慮すると、バルーン3は、図2に示すように扁平に拡張することが望ましい。
拡張時のバルーン3の形状については、目的組織の形状により様々な形状にでき、例えば、長方形、楕円形、円形の他、例えばCABG手術等においてはドーナツ形状とすることもできる。
本発明では、癒着防止部材の材質としては、生体内で不活性で、分解を受けにくい材料を用いるのが好ましい。これにより、生体内で吸収される吸収性物質を用いた場合と異なり、分解産物に起因する炎症反応が起きるのを確実に防止することができる。
このような観点からバルーン3の構成材料としては、シリコン系等のエラストマーやナイロン、ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。また、バルーン3と排液チューブ2とを同じ材料を用いて一体成形してもよい。
なお、バルーン3およびバルーンルーメン22は、一つに限らず、用途に応じて二つ以上設けることができる。
また、癒着防止部材としては、バルーン3に代えて、折り畳み可能な薄く柔軟なシートを用いてもよい。このシート部材としては、生体内で無毒で安定な材料、例えば、シリコン系、ポリウレタン系等のエラストマーや、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂、セルロース膜等の天然高分子などを用いることができる。
<第2実施形態>
図3は、本発明の医療用具の第2実施形態を示す図である。以下、この図を参照して本発明の医療用具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態の医療用具1Bにおける排液チューブ2の細径部24には、側孔242が形成されている。排液ルーメン21には、糸(線状体)10が挿通されており、この糸10は、側孔242を通って、糸10の先端部は、バルーン3に固定されている。
このような医療用具1Bでは、バルーン3を除去する際、糸10の基端側を牽引することにより、バルーン3の全部または一部を側孔242から排液チューブ2内に引き込むことができる。また、バルーン3の全部または一部を側孔242から引き込まない場合でも、バルーン3の全部または一部を細径部24に対して引き寄せることができる。これにより、バルーン3(医療用具1B)を生体からより容易に除去することができる。なお、バルーン3は、先端開口211から排液チューブ2内に引き込まれるように構成してもよい。
<第3実施形態>
図4は、本発明の医療用具の第3実施形態を示す図、図5は、図4に示す医療用具の使用状態を示す図、図6および図7は、それぞれ、図4に示す医療用具における固定手段の構成例を示す図、図8は、バルーン付きチューブの構成例を示す図である。
以下、これらの図を参照して本発明の医療用具の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の医療用具1Cは、排液チューブ2Cと、バルーン付きチューブ5とを有している。
排液チューブ2Cは、前記排液チューブ2と同様に、チューブ本体23と細径部24とを有しており、その基端から細径部24の先端まで排液ルーメン21が形成されている。
また、排液チューブ2Cは、バルーン付きチューブ5を挿通する長尺体挿通ルーメン25を有している。長尺体挿通ルーメン25は、チューブ本体23の基端から先端まで形成され、長尺体挿通ルーメン25の先端開口251は、チューブ本体23と細径部24との境界の段差部に形成されている。
バルーン付きチューブ5は、拡張・収縮可能な癒着防止部材としてのバルーン51と、可撓性を有する細長いチューブ(長尺体)52とで構成されており、チューブ52の先端部は、バルーン51に固定されている。チューブ52には、バルーン51を拡張・収縮させる作動流体が通過するバルーンルーメンが長手方向に沿って形成されている。
図5に示すように、このような医療用具1Cでは、バルーン付きチューブ5は、長尺体挿通ルーメン25を通して挿入され、目的とする生体組織200上に搬送された後、バルーン51が拡張される。これにより、生体組織200が体壁100もしくは他臓器と接触するのを防止する。
チューブ52は、柔軟な材質を用いることによって、バルーン51を任意の位置および
角度に留置することができる。図示を省略するが、チューブ52の基端部には、このバルーン51を拡張・収縮させる手段が設けられている。この手段として逆支弁や三方活栓等を用いることができる。
バルーン51の形状、材質については、前記第1実施形態と同様のものを用いることができるほか、図8に示すようなものでもよい。
図8中の左側上段に示すバルーン付きチューブ5Aにおけるバルーン51は、細長いシリコン、ラテックス等のゴム製袋で構成されており、同図中の右側上段に示すように、ゴム風船状に拡張する。
また、バルーン51は、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニル等の樹脂薄膜で構成してもよく、これにより、同図中の右側中段のバルーン付きチューブ5Bに示すように、拡張時の形状を予め定めることができる。
また、同図中の左側および右側の下段のバルーン付きチューブ5Cに示すように、チューブ52の先端近傍に側孔521を設け、シリコン等のゴム製薄膜もしくは折り畳まれたナイロン、ポリプロピレン薄膜等でこの部分を覆い、両末端をチューブ52に接合させた構造のバルーン51を用いることもできる。
図4に示すように、医療用具1Cは、チューブ52を排液チューブ2Cに対し固定し得る固定手段20をさらに備えている。図5に示すように、使用状態では、この固定手段20によってチューブ52を排液チューブ2Cに対し固定する。これにより、バルーン51を、一定期間、体内の目的部位により確実にとどまらせることができる。
固定手段20の構成としては、特に限定されないが、例えば、図6および図7に示すように、チューブ52の少なくとも一部を挟み込んで留めるクリップ20’などを用いることができる。この固定手段20は、排液チューブ2C側に設けてチューブ52を挟み固定するこものでもよく、また、チューブ52側に設けて排液チューブ2C一部を挟み固定するものでもよい。一般的にドレーンチューブは一定の位置に固定されることから、排液チューブ2Cも通常の手段にて体腔に固定される。したがって、チューブ52も体内の目的位置に固定することが可能となる。
一定期間、排液チューブ2Cは体外に設けた図示しない吸引器等につながれ排液を吸引するとともに、バルーン51が目的とする生体組織200の他組織への接触を防止する。その後、医療用具1Cは生体から抜去される。この時、まず、バルーン51は体外にある拡張・収縮手段で収縮され、固定手段20による固定を解除した後、チューブ52の基端側を牽引することにより、長尺体挿通ルーメン25を通して抜去される。あるいは、バルーン51の一部を長尺体挿通ルーメン25内に収納した後、排液チューブ2Cと共にを引き抜いてもよい。このような方法により、容易に抜去することができる。
なお、本実施形態では、バルーン51に代えて、生体内で不活性で分解を受け難い材料からなるシートを用いてもよい。この場合、折り畳まれて挿入されたシートは目的とする生体組織200の上で広げて留置される。このシートについては、次の第4実施形態において詳細に説明する。
<第4実施形態>
図9は、本発明の医療用具の第4実施形態を示す図、図10は、図9に示す医療用具の使用状態を示す図である。
以下、これらの図を参照して本発明の医療用具の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態の医療用具1Dは、排液ルーメン21を有する排液チューブ2Dと、シート付きチューブ6とを有している。
シート付きチューブ6は、癒着防止部材としてのシート61と、可撓性を有する細長いチューブ(長尺体)62とで構成されており、チューブ62の先端部は、シート61に固定されている。
本実施形態では、癒着防止部材をシート状の部材で構成したことにより、比較的広い範囲を覆うことができ、例えば、消化器臓器の癒着を防止する場合に特に好適である。
シート61の材質としては、小さく折り畳み易いようにする観点から、薄く柔軟な材質を用いるのが好ましく、例えば、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂、エラストマーを用いることが可能である。また、無孔体のみでなく、細胞侵入がないぐらいの密な多孔体、例えば延伸加工したPTFEや、セルロース膜等を用いることができる。
シート61の形状は、目的とする生体組織200の形状によって定められるものであり、予め形状を決定しておくこともできるが、術中に目的とする生体組織200の形状に合わせて切り落とすことも可能である。
このようなシート付きチューブ6は、シート61を折り畳んだ状態(図9参照)で排液ルーメン21に挿通された後、シート61を広げて生体組織200上に載せ、これを覆った状態で留置される(図10参照)。
その後、固定手段としての留め具30を用いてチューブ62の基端部を排液チューブ2に対し固定する。留め具30は、排液チューブ2の基端開口に嵌合可能な円筒状の部材で構成され、その管壁の一部には、チューブ62が嵌合可能な溝301が形成されている。この溝301にチューブ62を嵌合させるとともに、留め具30を排液チューブ2の基端開口に嵌合させることにより、チューブ62を固定することができる。このような留め具30を用いることにより、シート61を目的部位に確実に留置し続けることができるととものに、留め具30の内側に吸引装置等のコネクタを接続することができるので、チューブ62が邪魔になることがない。
このような医療用具1Dでは、シート61を生体から除去する際には、留め具30を取り外した後、チューブ62の基端側を牽引することにより、シート61が排液チューブ2側に引き寄せられ、さらに排液ルーメン21の先端開口211よりシート61が畳まれつつ排液ルーメン21内に引き込まれる。これにより、シート付きチューブ6を抜去することができる。本実施形態では、比較的内径の大きい排液ルーメン21を介して癒着防止部材を抜去するので、より容易に抜去することができる。
なお、シート61を用いる場合には、図示の構成に限らず、シート61の辺縁部の全部または一部に線材を固定し、その線材の基端側を長尺体挿通ルーメン25または排液ルーメン21を通して基端部側に出し、これを操作することにより、シート61を縮めるまたは折り畳むようにしてもよい。
また、シート付きチューブ6を抜去した後は、排液チューブ2をそのまま留置し続けてもよく、排液チューブ2も同時に抜去してもよい。
シート61には、癒着防止が期待できる薬剤(例えば抗癌剤、抗炎症剤、血栓溶解剤、組織成長因子)を含浸もしくは混ぜ込んでもよい。これにより、癒着防止効果をさらに高めることができる。
また、本実施形態では、シート61に代えて、前述したようなバルーンを癒着防止部材として用いてもよい。また、チューブ62は、2本以上用いてもよい。
<第5実施形態>
図11は、本発明の医療用具の第5実施形態を示す図である。以下、この図を参照して本発明の医療用具の第5実施形態について説明するが、前記第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態の医療用具1Eは、排液チューブ2Eの先端近傍に比較的大きな側孔26を設け、シート付きチューブ6をこの側孔26から出し入れするように構成したこと以外は、前記第4実施形態と同様である。
以上説明したような各実施形態における排液チューブ2としては、現在使用されている各種の医療用ドレーンチューブ、フィルム型ドレーン、チューブ型ドレーン、サンプ型ドレーン、アングル付きドレーン等を用いることができる。
以上、本発明の医療用具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、医療用具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の医療用具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
特開平5−237122号公報には、「内視鏡用の機械的癒着防止装置に関するものであり、二重壁シートをシート・アプリケータに巻き上げ、体腔内へ導入する。体腔内において、二重壁シートはエアクッションの要領で膨らまされ、その結果、腹膜化領域の術後癒着を防止する」ことが記載されている。その構成および作用として、「術後、特に、癒着剥離後(すなわち、はさみおよびメスによって癒着した腹膜部位の機械的な鈍または鋭剥離後)に、一時的にプラスチックシートを係合している組織部位の間に挿入する。このプラスチックシートが、腹膜化した腹部、大網部および腹膜部の表面の癒着を防止する。数時間から数日後(好ましくは、48時間後)に、プラスチックシートを除去する。シートは不活性でなければならない。」ことが記載されている。さらに、「適用した扁平バルーンの上下においては、ロビンソンカテーテルあるいは類似の排液手段を挿入し、一方では分泌液の排出を助け、他方では縫合不適、たとえば腸間縫合不適の場合に分泌液バッグに関する必要な情報を直ちに得ることができる点有利である」ことが記載されている。
本願発明の医療用具は、癒着防止部材を目的とする部位に挿入し、一定期間後除去することで癒着を予防する点、およびその癒着防止部材が排液手段と組み合わすことが可能であることが記載された点において、特開平5−237122号公報の記載と共通する。しかしながら、本願では癒着防止部材と排液手段とが可撓性を有する連結部材を備えることができること、または排液手段と癒着防止部材を任意の位置に移動させる手段を備えることができることにより、排液手段の効率を上げることができる点、および様々な部位の癒着を防止することができる点において、特開平5−237122号公報に記載の発明と相違する。
本願発明はこのような構成をとることにより、部位や症例によって、排液手段の先端が留置される部位と癒着を防止するための所望の部位が離れている場合や、排液手段と癒着防止部材の間に角度θが存在する場合に対処することができるという効果を有する。また、特開平5−237122号公報に記載の発明では、排液手段と癒着防止部材とを同時に抜去することが難しく、抜去時に患者に新たな苦痛や侵襲が負荷されることがあり得る。一方、本願発明は、排液手段に癒着防止部材の収納手段を設けることができ、これによって抜去をより行い易くできるという効果を達成することができる。
特開2001−231787号公報には、「内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な外径を有したチューブ状本体と、該チューブ状本体の先端に設けられた膨張可能なバルーンとを含んでなるイレウス案内用具」が記載されている。そして、腸閉塞を起こした時、「腸管内から内容物または内溶液を排除するためのイレウスチューブ」を内視鏡と共に用いて「人体管腔の所望の部位へ容易に誘導し短時間で挿入作業を完了させる」ための案内具を開示したものである。
本願発明は排液手段とバルーンとを有する点において、特開2001−231787号公報に記載された発明と共通するが、排液と癒着防止を目的とする点、および排液手段と癒着防止部材との固定手段を有することができる点において、特開2001−231787号公報に記載された発明と異なる。特開2001−231787号公報に記載された発明は本願発明とは構造的に異なるため、本願発明の目的である排液と癒着防止のためには適用できない。
特開2001−231787号公報には、イレウス案内用具のバルーンを拡張し臓器壁に固定して、他端からイレウスチューブ先端が挿入されることが記載されている。すなわち、イレウスチューブ案内具のチューブおよびバルーンはイレウスチューブ内もしくはそれとほぼ同じ部位にあり、イレウスチューブ案内具のバルーンが体腔内に固定されることによりイレウスチューブが固定されることが記載されている。そして、イレウスチューブとイレウス案内用具の固定手段については何ら記載されていない。一方、本願発明は、癒着防止手段の一つの形態としてバルーンを用いた場合、それを排液手段とは異なる位置で使用することができるように、排液手段と癒着防止部材との一時的もしくは永久の固定手段を設けることにより、目的臓器や組織壁を圧迫させる必要がない等の本願発明の目的を達成することができる。
本発明の医療用具の第1実施形態を示す図である。 図1に示す医療用具の使用状態を示す図である。 本発明の医療用具の第2実施形態を示す図である。 本発明の医療用具の第3実施形態を示す図である。 図4に示す医療用具の使用状態を示す図である。 図4に示す医療用具における固定手段の構成例を示す図である。 図4に示す医療用具における固定手段の構成例を示す図である。 バルーン付きチューブの構成例を示す図である。 本発明の医療用具の第4実施形態を示す図である。 図9に示す医療用具の使用状態を示す図である。 本発明の医療用具の第5実施形態を示す図である。
符号の説明
1A、1B、1C、1D、1E 医療用具
2、2C、2D、2E 排液チューブ
21 排液ルーメン
211 先端開口
212 基端開口
22 バルーンルーメン
23 チューブ本体
24 細径部
241、242 側孔
25 長尺体挿通ルーメン
251 先端開口
252 基端開口
26 側孔
3 バルーン
4 チューブ
5、5A、5B、5C バルーン付きチューブ
51 バルーン
52 チューブ
521 側孔
6 シート付きチューブ
61 シート
62 チューブ
10 糸
20 固定手段
20’ クリップ
30 留め具
301 溝
50 ポンプ
100 体壁
200 生体組織(臓器)

Claims (14)

  1. 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
    体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブとを備え、
    前記排液チューブは、その先端付近に、その他の部分より外径が細くなった細径部を有しており、
    前記癒着防止部材は、前記排液チューブの前記細径部と前記その他の部分との境界付近に連結されていることを特徴とする医療用具。
  2. 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
    体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
    前記排液ルーメンに挿通され、その先端部が前記癒着防止部材に固定された線状体とを備え、
    前記癒着防止部材を除去する際、前記線状体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材の全部または一部が前記排液チューブ内に引き込まれることを特徴とする医療用具。
  3. 前記排液チューブの先端部に前記線状体が通る側孔が形成され、前記癒着防止部材の全部または一部は、前記側孔から前記排液チューブ内に引き込まれる請求項2に記載の医療用具。
  4. 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
    体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
    前記排液チューブと前記癒着防止部材とを連結する可撓性を有する連結部材とを備え、
    前記排液チューブと前記癒着防止部材とのなす角度が可変であることを特徴とする医療用具。
  5. 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
    体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
    前記癒着防止部材にその先端部が固定された可撓性を有する細長い長尺体とを備え、
    前記排液チューブは、前記長尺体を挿通する長尺体挿通ルーメンをさらに有し、
    前記癒着防止部材を除去する際、前記長尺体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材が前記排液チューブ側に引き寄せられることを特徴とする医療用具。
  6. 前記排液チューブは、その先端付近に、その他の部分より外径が細くなった細径部を有しており、
    前記排液ルーメンの先端開口は、前記細径部の先端に形成されており、前記長尺体挿通ルーメンの先端開口は、前記排液チューブの前記細径部と前記その他の部分との境界の段差部に形成されている請求項5に記載の医療用具。
  7. 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する癒着防止部材と、
    体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブと、
    前記癒着防止部材にその先端部が固定された可撓性を有する細長い長尺体とを備え、
    前記長尺体は、前記排液ルーメンに挿通され、
    前記癒着防止部材を除去する際、前記長尺体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材が前記排液チューブ側に引き寄せられることを特徴とする医療用具。
  8. 前記排液チューブの先端部に前記長尺体が通る側孔が形成されている請求項7に記載の医療用具。
  9. 前記長尺体の基端側を牽引することにより、前記癒着防止部材の全部または一部が前記排液チューブ内に引き込まれる請求項5ないし8のいずれかに記載の医療用具。
  10. 前記長尺体を前記排液チューブに対し固定する固定手段をさらに備える請求項5ないし9のいずれかに記載の医療用具。
  11. 前記癒着防止部材は、シート状の部材で構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の医療用具。
  12. 前記癒着防止部材は、拡張・収縮可能なバルーンで構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の医療用具。
  13. 前記癒着防止部材は、拡張・収縮可能なバルーンで構成されており、前記長尺体は、前記バルーンを拡張・収縮させる作動流体が通過するバルーンルーメンを有する請求項5ないし10のいずれかに記載の医療用具。
  14. 生体組織同士の間に介挿して使用され、前記生体組織同士が互いに癒着するのを防止する拡張・収縮可能なバルーンと、
    体内から体外へ生体組織を貫通して留置され、体内の浸出液を体外へ排出する排液ルーメンを有する排液チューブとを備え、
    前記バルーンは、前記排液チューブの先端側に連結され、
    前記排液チューブは、前記バルーンを拡張・収縮させる作動流体が通過するバルーンルーメンをさらに有することを特徴とする医療用具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102935260A (zh) * 2012-11-02 2013-02-20 王亮 限制接触型双球囊两腔导尿管
CN111921065A (zh) * 2020-06-03 2020-11-13 王安 一种防腹肠黏连的薄膜引流管
CN112930203A (zh) * 2018-10-31 2021-06-08 株式会社海莱客思 生物体内非分解性的粘连阻止材料

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