JP2005291275A - 差動排気シール - Google Patents
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Abstract
【課題】
シール機能を低下させることなく、よりコストを低減できる差動排気シールを提供する。
【解決手段】
差動排気シール44を動作させるための排気ポンプとして、プロセス室Pを減圧する高真空ポンプP1の補助ポンプP2を用いているので、より低コストな構成が提供される。
【選択図】 図1
シール機能を低下させることなく、よりコストを低減できる差動排気シールを提供する。
【解決手段】
差動排気シール44を動作させるための排気ポンプとして、プロセス室Pを減圧する高真空ポンプP1の補助ポンプP2を用いているので、より低コストな構成が提供される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、たとえば真空雰囲気に維持された筐体内で処理を行うような処理装置に用いる差動排気シールに関する。
半導体製造装置などにおいては、真空や特殊ガス雰囲気に維持したプロセス室内で、ワークをステージに載置して移動させて加工処理することが行われている。ここで、プロセス室内に駆動源を含む位置決め装置を設けると、プロセス室外部との密閉性が維持されるため、真空や特殊ガス雰囲気を比較的容易に維持することが可能となる。
ところが、プロセス室内に駆動源を含む駆動装置を設けるとなると、プロセス室自体が大きくなり、その内部を所定の気圧にするための時間が長くかかったり、プロセス室内部を満たす特殊ガスを大量に必要としたり、或いは位置決め装置のメンテナンスが困難であったりするなどの問題がある。
これに対して、プロセス室の容積を最小限にすると、上述した問題は解消されるものの、プロセス室内部に設けられたワークを載置するテーブルを、プロセス室外部から駆動する構成が必要となる。かかる構成の例としては、プロセス室と連通する筐体の壁に形成された開口を介して、プロセス室内部と外部との間を延在する回転軸を設け、かかる回転軸を筐体に対して相対回転させることで、プロセス室内部のテーブル等をプロセス室外部より回転駆動するものがある(特許文献1)。
米国特許第4726689号公報
ところで、特許文献1の構成では、筐体と回転軸との間の気体を差動排気ポートから吸引することで、外部の異物がプロセス室内に侵入することを防止している。しかるに、特許文献1においては、差動排気ポートが、プロセス室を減圧する排気ポンプとは別なポンプに接続されている。このため、差圧室の数に応じてポンプを増設することが行われている。しかし、複数台のポンプを設置することは、半導体製造装置全体のコストを上昇させることとなる。
そこで本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、シール機能を低下させることなく、よりコストを低減できる差動排気シールを提供することを目的とする。
本発明の差動排気シールは、
メインポンプにより所定の圧力まで内部が減圧される筐体と、前記筐体の開口を介してその外部から内部へと延在する可動部材との間をシールする差動排気シールにおいて、
前記筐体内を減圧するメインポンプの背圧は、補助ポンプにより前記筐体外部の圧力より低い所定の圧力に維持されるようになっており、
前記筐体の開口または前記可動部材において、前記可動部材または前記筐体に対向して形成された少なくとも1つの差圧室と、前記差圧室に対し前記筐体の外部側及び前記差圧室に対し前記筐体の内部側のそれぞれに絞り部を有するとともに、前記補助ポンプの吸入口に前記少なくとも1つの差圧室が連通してなることを特徴とする。
メインポンプにより所定の圧力まで内部が減圧される筐体と、前記筐体の開口を介してその外部から内部へと延在する可動部材との間をシールする差動排気シールにおいて、
前記筐体内を減圧するメインポンプの背圧は、補助ポンプにより前記筐体外部の圧力より低い所定の圧力に維持されるようになっており、
前記筐体の開口または前記可動部材において、前記可動部材または前記筐体に対向して形成された少なくとも1つの差圧室と、前記差圧室に対し前記筐体の外部側及び前記差圧室に対し前記筐体の内部側のそれぞれに絞り部を有するとともに、前記補助ポンプの吸入口に前記少なくとも1つの差圧室が連通してなることを特徴とする。
本発明の差動排気シールは、メインポンプにより所定の圧力まで内部が減圧される筐体と、前記筐体の開口を介してその外部から内部へと延在する可動部材との間をシールする差動排気シールにおいて、前記筐体内を減圧するメインポンプの背圧は、補助ポンプにより前記筐体外部の圧力より低い所定の圧力に維持されるようになっており、前記筐体の開口または前記可動部材において、前記可動部材または前記筐体に対向して形成された少なくとも1つの差圧室と、前記差圧室に対し前記筐体の外部側及び前記差圧室に対し前記筐体の内部側のそれぞれに絞り部を有するとともに、前記補助ポンプの吸入口に前記少なくとも1つの差圧室が連通してなるので、前記差動排気シールを動作させるために、別個の排気ポンプを必要とせず、より低コストな構成を提供できる。
ここで、メインポンプとは、吸入気体が分子流領域であるようなポンプであり、具体的にはターボ分子ポンプ、油拡散ポンプ、スパッタイオンポンプ、ソーションポンプ、チタンサプリメーションポンプ、非蒸発ゲッタポンプ、クライオポンプなどの高真空ポンプをいう。一方、補助ポンプは、吸入気体が粘性流領域の気体であるポンプであり、油回転ポンプ、ドライポンプ等種類は問わないが、以下の最低吸引量QHを確保できるものであると好ましい。
又、「絞り部」とは、スキマが小さくなっている場合のみを指すのではなく、例えばO−リングによりスキマが全くない状態に密閉する場合も含めるものとする。
前記補助ポンプの吸入口に連通される前記差圧室は、前記筐体の最も外部寄りの差圧室であると好ましい。
前記絞り部がスキマを有し、前記補助ポンプに連通される最も外部寄りの差動排気シールからの流量であり、以下の式で表される流量QHが、前記メインポンプに必要背圧を得るための前記補助ポンプの流量Qpumpから、前記メインポンプからの排気流量Q0を差し引いた値より小さくなるように、絞り部形状が定められると好ましい。
QH=(a3b/24μL)・P0 2[Pa・m3/s] (1)
ただし、a:前記絞り部と前記可動部材とのスキマ[m]
b:前記絞り部における気体の移動方向に直交する幅[m]
L:前記絞り部における気体の移動方向の長さ[m]
μ:通過する気体の粘度[Pa・s]
P0:前記筐体外部圧力[Pa]
QH=(a3b/24μL)・P0 2[Pa・m3/s] (1)
ただし、a:前記絞り部と前記可動部材とのスキマ[m]
b:前記絞り部における気体の移動方向に直交する幅[m]
L:前記絞り部における気体の移動方向の長さ[m]
μ:通過する気体の粘度[Pa・s]
P0:前記筐体外部圧力[Pa]
前記可動部材は回転軸であり、その軸径dと、前記それぞれの絞り部の長さLとがL/d≦6となるとこのましい。
更に、前記メインポンプの背圧を10Pa以下とすると好ましい。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる差動排気シールを含む回転導入機10の正面断面図であり、差動排気シールについては簡略化して示している。図1に示すように、大気圧下に設置された回転導入機10は、内部がプロセス室Pとなっており更にプロセス室Pとその外部とを連通する開口20aを有する筐体20と、筐体20の開口20aを貫通して、プロセス室Pから外部へと延在する可動部材である回転軸30と、開口20aを遮蔽するように筐体20に取り付けられたシールユニット40と、プロセス室Pを減圧するためのメインポンプである高真空ポンプP1と、その補助ポンプP2とを有している。尚、プロセス室Pと高真空ポンプP1の吸入口とを連通する配管にはバルブV1が配置され、高真空ポンプP1の排出口と補助ポンプP2の吸入口とを連通する配管にはバルブV2が配置されている。補助ポンプP2の排出口は、大気に開放されている。
シールユニット40は、筐体20にボルト(不図示)などで、例えばO−リングのようなシール要素を介して固定される円筒状の本体41と、本体41に対して回転軸30を回転自在に支持する軸受42,43と、差動排気シール44とからなる。
差動排気シール44は、本体41の筐体20側端部近傍において、周溝状の差圧室44aと、その軸線方向両側に配置されたランド部44b、44cを有している。ランド部44b、44cは、回転軸30の表面に対して、小さなクリアランス(スキマともいう)aで近接している。差圧室44aは、補助ポンプP2の吸入口に連通している。即ち、補助ポンプP2の吸入口は、高真空ポンプP1の排出口と差圧室の双方に連通している。尚、ランド部44b及び44cが本発明の絞り部を構成する。
本実施の形態の動作について説明する。回転軸30のプロセス室P内端部には、被回転体である不図示のワークが取り付けられているものとする。かかる状態から、補助ポンプP2及び高真空ポンプP1を動作させて、プロセス室Pを減圧する。このとき、たとえばターボ分子ポンプである高真空ポンプP1の背圧は、補助ポンプP2により大気圧より低い所定の圧力に維持されるようになっており、それにより高真空ポンプP1の性能を発揮できるようになっている。又、排気ポンプP2の動作により、差動排気シール44がシール機能を発揮する。
差動排気シール44のシール機能について説明する。本実施の形態のように、圧力差のある2室(ここではプロセス室Pと大気)の隔壁を貫通する回転軸30の貫通穴の途中に全周溝(差圧室)44aを設けて、それに排気ポンプP2を接続して吸引したときにランド部44b及び44cと回転軸30とのクリアランスaを極力小さくすると、圧力抵抗が大きくなり、高圧室(大気)側から流入するガス(一般的にはエア)の量が少なくなる。流入するガスのほとんどの量を差圧室44aから排気すると、低圧室(プロセス室P)側へのガスの流入は極めて微量となる。したがって、回転軸30が回転(或いは直動)自在に貫通しているにもかかわらず、2室が気密的に隔離された状態を得ることができる。このような構成を差動排気シールと呼ぶ。本実施の形態の場合の差動排気シール44は、非接触であるため、シールからの発塵・アウトガスがなく、長寿命で、さらに温度に寿命が依存しないという特長を持つが、ランド部44b、44cに、例えばOリングのような接触式シールを設けて対向面と密着させた絞り部としてもよい。このようにした上で、差圧室44aから排気するようにしたものも差動排気シールと呼ぶことにする。
プロセス室P内が所定の気圧に減圧された後、不図示の駆動源により回転軸30が外部から回転させられることで、プロセス室P内の真空環境下で、ワークが回転しながら所定の処理が施されるようになっている。
本実施の形態によれば、差動排気シール44を動作させるための排気ポンプとして、プロセス室Pを減圧する高真空ポンプP1の補助ポンプP2を用いているので、より低コストな構成が提供される。
ここで、差動排気シール44のランド部44cの寸法について考察する。図2(a)は、差動排気シールの概略図であり、図2(b)は絞り部と回転軸との間の空間のモデル図である。ここで、補助ポンプP2の差動排気シールを動作させるために必要な最低吸引量QHは、以下の式で表される。
QH=(a3b/24μL)・P0 2[Pa・m3/s] (1)
ただし、a:絞り部44cと回転軸30とのスキマ[m]
b:絞り部44cにおけるガスの移動方向に直交する幅(即ち内周長)[m]
L:絞り部44aにおけるガスの移動方向の長さ[m]
μ:空気の粘度[Pa・s]
P0:筐体20外部圧力(=大気圧)[Pa]
QH=(a3b/24μL)・P0 2[Pa・m3/s] (1)
ただし、a:絞り部44cと回転軸30とのスキマ[m]
b:絞り部44cにおけるガスの移動方向に直交する幅(即ち内周長)[m]
L:絞り部44aにおけるガスの移動方向の長さ[m]
μ:空気の粘度[Pa・s]
P0:筐体20外部圧力(=大気圧)[Pa]
具体的な数値計算例を以下に示す。
(計算例1)
まず、図1のような構成でプロセス室P内からの排気ガスがほとんどない場合(メインポンプからの排気流量Q0がゼロと見なせる場合)について、実効排気速度1300[L/min]の補助ポンプP2(ドライポンプ)を使用し、ターボ分子ポンプP1及び回転軸外径を変更したいくつかの場合の計算例を示す。
(計算例1)
まず、図1のような構成でプロセス室P内からの排気ガスがほとんどない場合(メインポンプからの排気流量Q0がゼロと見なせる場合)について、実効排気速度1300[L/min]の補助ポンプP2(ドライポンプ)を使用し、ターボ分子ポンプP1及び回転軸外径を変更したいくつかの場合の計算例を示す。
すなわち、回転軸30の外径10mm、ランド部44cの軸方向長さL=10mmの場合について、必要背圧(許容排気口圧力)の異なる4種類のターボ分子ポンプP1を使用した場合の補助ポンプP2の許容流量Qpump及び隙間aの上限値の計算結果を表1に、ランド部44cの軸方向長さL=10mmとし、必要背圧10Paのターボ分子ポンプP1を使用した場合に、回転軸30の外径Dを変化させた場合の補助ポンプP2の許容流量Qpump及び隙間aの上限値の計算結果を表2に示す。すなわち、補助ポンプP2の許容流量Qpump(すなわち、メインポンプP1の必要背圧を得ることができる補助ポンプP2の許容排気流量)から、メインポンプP1の排気流量Qo(この例ではQo≒0)を差し引いた値より(1)式で定まるQHが小さくなるように隙間aの大きさの上限値が定められている。
表1、表2でドライポンプP2の許容流量Qpumpは、ターボ分子ポンプP1の必要背圧が与えられたとき、ドライポンプP2の実効排気速度より定まる。また、μ=1.82×10−5[Pa・S]、PO=105[Pa](大気圧)とした。
(計算例2)
図1のような構成で、プロセス入室Pからのアウトガスや排気ガスがQ0=3000[Pa・L/min]である他は、計算例1と同一条件とした場合についてを表3、表4に示す。
図1のような構成で、プロセス入室Pからのアウトガスや排気ガスがQ0=3000[Pa・L/min]である他は、計算例1と同一条件とした場合についてを表3、表4に示す。
(計算例3)
実効排気速度4200[L/min]の補助ポンプP2を使用する点と、ターボ分子ポンプP1の必要背圧以外の条件は、計算例1と同様とした場合の結果を表5に、更にランド部44cの軸方向長さL=10mmとし、必要背圧が5Paのターボ分子ポンプP1を使用した場合に、回転軸30の外径Dを変化させた場合の結果を表6に示す。
実効排気速度4200[L/min]の補助ポンプP2を使用する点と、ターボ分子ポンプP1の必要背圧以外の条件は、計算例1と同様とした場合の結果を表5に、更にランド部44cの軸方向長さL=10mmとし、必要背圧が5Paのターボ分子ポンプP1を使用した場合に、回転軸30の外径Dを変化させた場合の結果を表6に示す。
(計算例4)
計算例3に対応する、プロセス室Pからアウトガス、排気ガスが1000[Pa・L/min]の場合の結果を表7、表8に示す。
計算例3に対応する、プロセス室Pからアウトガス、排気ガスが1000[Pa・L/min]の場合の結果を表7、表8に示す。
以上は、可動部材が回転軸の場合の例であるが、本発明は、筐体と可動部材との対向面が平面状(平面に沿った2次元方向に移動する)の場合にも適用できる。次に筐体と可動部材との対向面が平面状の場合の計算例を示す。可動部材を平面状とした場合の差動排気シールを含む位置決め装置の概略断面図を図3に、差動排気シールの対向面の概略図を図4に示す。図中、120aが筐体120の開口、144aが差圧室、144b、144cがランド部(絞り部)であり、可動部材としてのスライダ130が図3で左右方向に、ランド部144b、144cとの間に隙間aを保った状態で、図示しない案内装置によりスライド可能とされている。
(計算例5)
プロセス室P内からの排気ガスがほとんどなく、必要背圧10[Pa]のターボ分子ポンプP1と、実効排気速度1300[L/min]のドライポンプP2の組み合わせ(従って許容流量QH=7000[Pa・L/min])で開口のサイズを変化させた場合を表9に示す。但し、図4の中でランド部144cの長さL=10[mm]である。又、この場合、(1)式のbは、b=(W2+H2)×2とした。
プロセス室P内からの排気ガスがほとんどなく、必要背圧10[Pa]のターボ分子ポンプP1と、実効排気速度1300[L/min]のドライポンプP2の組み合わせ(従って許容流量QH=7000[Pa・L/min])で開口のサイズを変化させた場合を表9に示す。但し、図4の中でランド部144cの長さL=10[mm]である。又、この場合、(1)式のbは、b=(W2+H2)×2とした。
なお、対向面が平面状の場合、図3のようにスライダ130を左右方向にスライドさせるようにする代わりに、あるいはそれに加え、スライダを回転可能に支持した回転導入機にも本発明は通用可能である。この場合、回転のみ可能とする場合は、差動排気シールの形状は、図4のような形状とする代わりに同心円状とするのが好ましく、その場合b等の求め方は、形状の変更に応じて変更するのはいうまでもない。
以上のように、(1)式に基づき、差動排気シールの形状、及び選択されたターボ分子ポンプP1、ドライポンプP2から、絞り部の隙間の大きさをどのように決めればよいかを定めることができる。あるいは、(1)式に基づき、隙間aを与えられた場合に、ターボ分子ポンプP1及びドライポンプP2、及び差動排気シールの形状(D、L、H1、W1、H2、W2等)の選択するようにしてもよい。
ここで、メインポンプである高真空ポンプ(上記の例では、ターボ分子ポンプP1)の必要背圧の決定は、その高真空ポンプの圧縮比と、筐体内の要求真空度とに基づき行われる。
例えば、筐体20,120(真空チャンバ)内が10−5[Pa]以下の高真空を必要とされる場合であれば、メインポンプの圧縮比を107とすれば背圧は100[Pa]以下でなければならない。現実には、さらに安全をみて10[Pa]程度の背圧が得られるようにするのがより好ましい。
ここで、補助ポンプP2の吸気口圧力(すなわち差圧室44aの内圧)を10Pa以下となるようにすると、高真空ポンプP1として、ターボ分子ポンプ等を用いた場合における、そのメインポンプのほとんどに適合するので好ましい。その理由について、詳しく説明する。
一般的に、高真空ポンプは、その排気を大気にダイレクトに解放できないから、別のポンプ(補助ポンプという)をその排気口に接続して、背圧を下げる必要がある。高真空ポンプの排気口の圧力の許容される最大値が決まっていて、その圧力値よりもともと到達圧力が高いポンプは、補助ポンプとして用いることができない。この圧力値を許容排気口圧力(必要背圧)という。許容排気口圧力は高真空ポンプの仕様の一つである。
本実施の形態で高真空ポンプとして用いているターボ分子ポンプには、その冷却方式に水冷と空冷の2種類があるが、一般的に水冷方式のポンプの方が許容排気口圧力が高く、例えば同排気速度実行排気速度550[L/s]のターボ分子ポンプで、許容排気口圧力を比較した場合、水冷方式では200Pa、空冷方式では10Paという例がある。許容排気口圧力が高いと、接続可能な補助ポンプがより高い到達圧力のものでも許されることになり、補助ポンプの選択の幅が広がる。よって、水冷方式の方が有利であると言えるが、水冷方式のポンプの方が空冷方式のものより高価である場合が多い。
空冷方式のポンプの許容排気口圧力は、数10Paであるのが普通で最も低い圧力値のもので10Pa程度である。従って、高真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)の排気口圧力が10Pa以下になるように、排気系を構成すれば、ほとんどのターボ分子ポンプを用いたプロセス室に対して適用可能となる。たとえば、許容排気口圧力の制約から、水冷方式のターボ分子ポンプが使われているプロセス室にしか適用できないということはなくなる。
ここで、排気系と一言で述べたが、上記の排気系(=ターボ分子ポンプの排気口圧力が10Pa以下になる排気系)を実現するには以下の要件が必要である。
(1) まず、補助ポンプの到達圧力が10Pa以下であることが、前提として必要である。
(2) ターボ分子ポンプから流入するガス流量(=ターボ分子ポンプの排気)によって決まる補助ポンプの吸気口圧力が10Pa以下である必要がある。
(3) 差動排気シールからのガス流量(上記(1)式のQH)によって決まる補助ポンプの吸気口圧力が10Pa以下であることが必要である。このためには、補助ポンプの到達圧力はなるべく低く、排気速度がなるべく大きいとより実現しやすいということになるが、本発明の本来の趣旨からすれば、もともとターボ分子ポンプの補助ポンプとして存在していたポンプの余力分を、差動排気シールの機能を発揮させるために使用するということであるから、その場合、極力、差動排気シールからの流入ガス流量を小さくすることが好ましい。そのためには、以下のようにすると効果的である。
(4) 絞り部44cの内周長bを小さくする。内周長bに比例して流入量は増大するからである。
(5) 絞り部44cの長さLを大きくする。長さLに反比例して流入量は増大するからである。
(6) 絞り部44cのスキマaを小さくする。スキマaの3乗に比例して流入量は増大するからである。
(1) まず、補助ポンプの到達圧力が10Pa以下であることが、前提として必要である。
(2) ターボ分子ポンプから流入するガス流量(=ターボ分子ポンプの排気)によって決まる補助ポンプの吸気口圧力が10Pa以下である必要がある。
(3) 差動排気シールからのガス流量(上記(1)式のQH)によって決まる補助ポンプの吸気口圧力が10Pa以下であることが必要である。このためには、補助ポンプの到達圧力はなるべく低く、排気速度がなるべく大きいとより実現しやすいということになるが、本発明の本来の趣旨からすれば、もともとターボ分子ポンプの補助ポンプとして存在していたポンプの余力分を、差動排気シールの機能を発揮させるために使用するということであるから、その場合、極力、差動排気シールからの流入ガス流量を小さくすることが好ましい。そのためには、以下のようにすると効果的である。
(4) 絞り部44cの内周長bを小さくする。内周長bに比例して流入量は増大するからである。
(5) 絞り部44cの長さLを大きくする。長さLに反比例して流入量は増大するからである。
(6) 絞り部44cのスキマaを小さくする。スキマaの3乗に比例して流入量は増大するからである。
上記数値の必要十分な値は、補助ポンプ(=差動排気ポンプ)の到達圧力と排気速度性能によって変化するため一概には決められないが、少なくともスキマ(シールクリアランスという)aの大きさは5〜50μm程度である必要がある。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、図1で示したような可動部材が回転軸である場合や、図3で示したような平板状の可動部材が開口を塞ぐように配され、筐体の外壁に沿う方向にスライド可能なものの他にも、開口を貫通する軸上あるいは角柱状等の可動部材が貫通方向に沿って往復動可能な可動部材としたものにも適用できる。
図3のような平板状の可動部材の場合、差圧室を可動部材の側に設けるような構成としてもよい。但し、可動部材の移動範囲内において、常に差動室に隣接する絞り部が筐体内部あるいは筐体外部に露出することのないようにする必要があり、そのためには絞り部及び差圧室を図4のような方向からみた場合の面積が広くなる。その点、固定側である筐体例に差圧室を設けるようにすれば、同じ性能を得るのに、その面積を極小化でき、好ましい。
また、図1や図3の例では、差圧室を1つ設けているが、差圧室を2つあるいは3つ以上設けた場合にも適用可能である。この場合、いずれの差圧室を補助ポンプの吸入口に連通するように構成してもよいが、例えば、チャンバ内からの排気が多い場合は、最も外部寄り(大気側寄り)の差圧室を補助ポンプの吸入口に連通するような構成とするのが好ましい。これに対し、内部からの排気が全くない場合は、内側寄り(プロセス室P側寄り)の差圧室を補助ポンプの吸入口に連通するような構成とするのが、プロセス室Pのクリーン度が維持されるので好ましい。図5に、可動部材が回転軸である場合で、周溝状の差圧室を2つ設けるようにした回転導入機の例を示す。
差圧室44aにおいて大部分の排気が行われ、差圧室44d内の圧力は大気圧に比べ十分低い圧力となっている。従って、差圧室44dの排気には高真空ポンプであるターボ分子ポンプP3を使用している。但し、必要な到達圧力がプロセス室ほど低くないため、ターボ分子ポンプP3としては、大型のものは不要である。
図6は、周溝状の差圧室を2つずつ設けるようにした回転導入機の他の例を示す図である。本例は、図1の構成に対して、大気側に近い差圧室44aを補助ポンプP3により吸引している。ターボ分子ポンプP1の実効排気速度を550L/s、補助ポンプP2の実効排気速度を265L/min、到達圧力を0.2Pa、また、差動排気ポンプP3の実効排気速度を5L/min、到達圧力を4100Paである構成で、33Lのプロセス室を真空とする場合を考える時、プロセス室を1.3×10−5Pa(=1.0×10−7Torr、高真空領域のさらにより高真空側の圧力で、通常の半導体製造プロセスをカバーする圧力領域)以下に保持するためのシール長さ(L)と軸径(d)の関係を種々の組み合わせについて調べた。その一覧を表10に示す。シールクリアランスは、通常用いられる10μmと20μmを採用している。いずれの場合も(L/d)は、6以下となっているのが分かる。言い換えれば、(L/d)が6以下を満足すれば、補助ポンプと差動排気ポンプの少なくとも1台を兼用とする本発明での差動排気は成立すると言える。
10 回転導入機
20 筐体
30 回転軸
40 シールユニット
44 差動排気シール
20 筐体
30 回転軸
40 シールユニット
44 差動排気シール
Claims (5)
- メインポンプにより所定の圧力まで内部が減圧される筐体と、前記筐体の開口を介してその外部から内部へと延在する可動部材との間をシールする差動排気シールにおいて、
前記筐体内を減圧するメインポンプの背圧は、補助ポンプにより前記筐体外部の圧力より低い所定の圧力に維持されるようになっており、
前記筐体の開口または前記可動部材において、前記可動部材または前記筐体に対向して形成された少なくとも1つの差圧室と、前記差圧室に対し前記筐体の外部側及び前記差圧室に対し前記筐体の内部側のそれぞれに絞り部を有するとともに、前記補助ポンプの吸入口に前記少なくとも1つの差圧室が連通してなることを特徴とする差動排気シール。 - 前記補助ポンプの吸入口に連通される前記差圧室は、前記筐体の最も外部寄りの差圧室であることを特徴とする請求項1に記載の差動排気シール。
- 前記絞り部がスキマを有し、前記補助ポンプに連通される最も外部寄りの差動排気シールからの流量であり、以下の式で表される流量QHが、前記メインポンプに必要背圧を得るための前記補助ポンプの流量Qpumpから、前記メインポンプからの排気流量Q0を差し引いた値より小さくなるように、絞り部形状が定められることを特徴とする請求項2に記載の差動排気シール。
QH=(a3b/24μL)・P0 2[Pa・m3/s] (1)
ただし、a:前記絞り部と前記可動部材とのスキマ[m]
b:前記絞り部における気体の移動方向に直交する幅[m]
L:前記絞り部における気体の移動方向の長さ[m]
μ:通過する気体の粘度[Pa・s]
P0:前記筐体外部圧力[Pa] - 前記可動部材は回転軸であり、その軸径dと、前記それぞれの絞り部の長さLとがL/d≦6となることを特徴とする請求項1に記載の差動排気シール。
- 前記メインポンプの背圧を10Pa以下とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の差動排気シール。
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