JP2005294438A - 熱酸化方法及びこれによって得られた基板を備えた圧電アクチュエータ並びに液体噴射装置 - Google Patents

熱酸化方法及びこれによって得られた基板を備えた圧電アクチュエータ並びに液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【解決課題】 金属酸化膜と下地層との密着性を安定させるための熱酸化方法を提供する。
【解決手段】 複数の基板14を治具12に固定し、これを熱酸化炉10に投入して、基板表面の金属膜を酸化して金属酸化膜を形成する熱酸化方法であって、前記治具に固定される基板間の距離を、基板直径の少なくとも1/4以上にした。前記金属膜は、ジルコニウム、アルミニウム、チタンのいずれかから構成される。前記熱酸化炉に前記治具を投入する際の移送速度は200mm/分以上であることが好ましい。

【選択図】 図6

Description

本発明は、複数の基板を治具に固定し、これを熱酸化炉に投入して、基板表面の金属膜を酸化して金属酸化膜を形成する熱酸化方法に係わり、この熱酸化方法によって得られた圧電アクチュエータを基板に形成する場合において有用な熱酸化方法に関するものであり。それを備えた液体噴射装置に及ぶ。
この種のインクジェットヘッドに関する従来例として、例えば、特開2003−145762号公報に記載されたものが存在する。このものは、安定した液滴吐出特性を持って信頼性が向上されてなる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供するために、同公報の図2に示されるように、ノズル開口に連通する圧力発生室12が形成される流路形成基板10と、該流路形成基板10の一方面側に振動板を介して設けられた下電極60、圧電体層70及び上電極80からなる圧電素子300とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記圧力発生室12と同一の深さを有すると共に前記圧力発生室12の長手方向一端部に連通して当該圧力発生室に液体を供給する液体供給路14が前記流路形成基板10に設けられ、且つ該液体供給路14に対向する領域の前記振動板上に補強膜100を設けると共に該補強膜100と前記振動板との全体の内部応力を引張り応力として、振動板の剛性を向上することを特徴とするものである。さらに、同公報には、前記補強膜が、酸化ジルコニウム層を含むこと、そして、前記酸化ジルコニウム層が、前記振動板の一部を兼ねることが記載されている。
この酸化ジルコニウム層は、振動板であるSiO2上にスパッタリング等によって金属ジルコニウム膜を形成し、次いで熱酸化炉で酸化されることによって形成される。なお、特開平5−13548号公報に記載のように、リング状ウエハ支持装置に支持される複数の基板間のピッチを極力小さくして、1回のバッチ処理によって多数のウエハを熱酸化処理するようにしている。
特開2003−145762号公報 特開平5−13548号公報
しかしながら、本発明者が特許文献2記載の熱酸化処理について検討したところ、ウエハ支持装置に多数のウエハを固定して、熱酸化すると輻射熱が全てのウエハ(基板)に均等に十分行き渡らず、輻射熱の影響が不均一となることから、基板が固定される位置によって金属酸化膜と下地層との密着性が低下してしまうという課題を本願発明者は知るに至った。このように密着性低下があり、時として金属酸化膜が下地層から剥離することがあると、ひいては、圧電体素子への信頼性が低下するという課題がある。
そこで、本願発明は、このような課題を解決するために、金属酸化膜と下地層との密着性を安定させるための熱酸化方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために、複数の基板を熱酸化炉に投入される際に、輻射熱が全ての基板に均等に供給されるよう配慮し、本願発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、複数の基板を治具に固定し、これを熱酸化炉に投入して、基板表面の金属膜を酸化して金属酸化膜を形成する熱酸化方法であって、前記治具に固定される基板間の距離を、基板直径の少なくとも1/4以上にしたことを特徴とするものである。このようにすることにより、熱酸化炉内での全ての基板に輻射熱が均等に行き渡り、複数の基板間および同一基板内で金属酸化膜と下地膜との間の密着力を所定の値以上に確保できるものである。基板間の距離の上限は、必要な作業効率を確保する点から決定される。すなわち、この上限値は、f(m)∝(t/m)=(k・(t/m))、(tは、治具が複数の基板を収納できる全長、mは1回の熱処理の際に要求される基板の処理枚数)から決定される。kは、適宜決定される係数である。例えば、kは、酸化炉の特性(加熱温度、昇温特性等)、基板の搬送速度等を考慮して、適宜決定されて良い。
本発明の好適な形態においては、前記熱酸化炉に前記治具を投入する際の移送速度が200mm/分以上であることが好ましい。このようにすることによって、基板の昇温速度が確保されて金属酸化膜の下地膜に対する密着力を確保することができる。移送速度の上限値は、治具類が移送速度の上昇に伴う熱ショックに耐え得る範囲で適宜決定される。
金属膜は輻射熱を吸収する一方,酸化金属膜となると輻射熱を吸収しなくなくなる性質を有しており,本発明の方法によれば、熱酸化炉に投入される基板は順次酸化され、他の基板への輻射熱を遮ることがないため投入された基板間および基板内において所定の密着力を確保できるものである。
本発明に係わる熱酸化方法は、前記金属膜としては、例えば、ジルコニウム、アルミニウム、チタンのいずれかがある。
さらに本発明は、既述の方法によって得られた金属酸化膜を含む振動板と、該振動板上に形成され、下電極膜と圧電体層と上電極膜とを備えた圧電体素子と、からなる圧電アクチュエータである。
また、本発明は、上記圧電アクチュエータをノズル開口から液体を吐出させるための液体吐出素子として備えた液体噴射ヘッドと、駆動装置と、を有する液体噴射装置である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図10に示すように、本実施の形態にかかるプリンタ500は、複数のインクジェット式記録ヘッド510(後に詳述する)を有するヘッドユニット510A及び510Bを備え、このヘッドユニット510A及び510Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ520A及び520Bが着脱可能に設けられている。これらのカートリッジ520A及び520Bが着脱可能に設けられたヘッドユニット2は、キャリッジ530に搭載されており、このキャリッジ530は、プリンタ本体540に取り付けられたキャリッジ軸550に軸方向移動自在に設けられている。なお、ヘッドユニット510A及び510Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物、及びカラーインク組成物を吐出する。
また、プリンタ本体540には、キャリッジ530を駆動するための駆動モータ560が設けられており、駆動モータ560の駆動力が図示しない複数の歯車及びタイミングベルト570を介してキャリッジ530に伝達されることで、ヘッドユニット510A及び510Bを搭載したキャリッジ530はキャリッジ軸550に沿って移動される。
さらに、プリンタ本体540には、キャリッジ軸550に沿ってプラテン580が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン580上を搬送されるようになっている。そして、ヘッドユニット510A及び510Bから、所望のインク組成物が、所望のタイミングで記録シートSに吐出されることで、文字や画像等が印刷される。
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの二酸化シリコン(以下、適宜「SiO2」と表記する)からなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの酸化ジルコニウム(以下、適宜「ZrO2」と表記する)からなる絶縁体膜55(請求項に記載の金属酸化膜)が形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これら下電極膜60及びリード電極90には、図示しないが、駆動ICから延設される接続配線の一端が接続される。
なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図5を参照して説明する。なお、図3〜図5は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110(請求項に記載の基板)を約1100℃の熱酸化炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコン単結晶基板を用いている。
次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50上に、例えば、DCスパッタ法により所定厚さ、本実施形態では、約0.4μmのジルコニウム層(請求項に記載の金属膜、以下、適宜「Zr」と表記する。)を形成する。そして、ジルコニウム層が形成された流路形成基板用ウエハ110を、700℃以上に加熱した熱酸化炉に200mm/min以上の速度で挿入し、ジルコニウム層を熱酸化することにより酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。流路形成基板ウエハ110の熱酸化炉への投入方法については後に詳述する。
次に本発明の実施形態について説明する。図6は、本発明に係わる熱酸化方法を示す原理図であり、400は熱酸化炉を示しているものである。この熱酸化炉内は、ほぼ一定温度(例えば摂氏900度)に保たれている。この熱酸化炉には酸素を含む酸化性ガスが所定の流量で(例えば、15リットル/分)で連続的に供給されている。
符号410は耐熱性の治具であり、複数の流路形成基板用ウェハ110を流路形成基板用ウェハ110の移送方向に重ねて支持している。さらに、熱酸化炉の開口に対して流路形成基板用ウェハ110を水平に並べた状態(図6参照)で且つ、当該ウェハの裏側、つまり、ジルコニウム層が熱拡散炉の開口に対して反対側に向いた状態で熱拡散炉に投入する。このような投入方法により、所望の密着力を有する酸化ジルコニウム層がより確実に得られることができた。この治具が横型に形成された熱酸化炉400に図示矢印方向に移送されて炉に対して出し入れされる。治具12は、熱酸化炉内で一定時間保持される。この投入過程で基板上のジルコニウム層は熱酸化を受けて、酸化ジルコニウム層になる。符号mは流路形成基板用ウェハ110間の距離を示す。流路形成基板用ウェハ110間の距離mは流路形成基板用ウェハ110の直径の少なくとも1/4以上の値である。これ未満であると、炉内の輻射熱が隣接する流路形成基板用ウェハ110に十分及ばず、酸化ジルコニウムと下地層(酸化シリコン層)との密着性が確保できず、かつ密着性がばらつく。熱酸化炉は、例えば、全体として1.5mの長さに形成され、炉への出入り口端から0.5m先以降で炉内温度が一定に保持されている。炉への出入り口端から0.5mまでは温度が徐々に高くなっている。図7は基板の平面図であり、「×」は基板中心であり、「□」及び「○」は流路形成基板用ウェハ110のそれぞれ左又は右の端部領域を示す。
次に具体的な実施形態について説明する。直径が6インチのシリコン単結晶基板(流路形成基板用ウェハ110)の表面に酸化シリコン膜を形成したものを用い、これにスパッタリングによってZr膜を280nm形成した。このようにして得た3枚の流路形成基板用ウェハ110を、流路形成基板用ウェハ110間の距離が6cmとなるように、図5に示す治具に固定した。この治具をポートレート(移送速度)500mm/minで炉内に投入した。炉内に1時間治具を保持した後、同じレートで治具を炉から取り出して、ZrO2層と酸化シリコン膜との密着性を計測した。密着力の測定は次のようにした。株式会社レスカ製CSR―02(薄膜スクラッチ試験機)を使用した。なお、熱酸化炉としては、光洋リンドバーク社製の横型炉を使用した。
密着力の測定結果を図8に示す。図8に示す特性表において、「□」は図7に示す流路形成基板用ウェハ110の□の位置での密着力の測定結果であり、×及び○についても同様である。表の横軸の数値は流路形成基板用ウェハ110の番号であり、「2」は治具に固定された中心の流路形成基板用ウェハ110であり、「1」は炉の奥側の流路形成基板用ウェハ110であり、「3」は炉の手前側の流路形成基板用ウェハ110である。熱酸化2回行い、合計6枚の流路形成基板用ウェハ110のそれぞれについて密着力を測定した。表に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全ての位置(□、×、○)において、3枚の流路形成基板用ウェハ110に対して、密着力が安定している、すなわち、密着力にばらつきがないことが分かる。また、13枚の流路形成基板用ウェハ110を流路形成基板用ウェハ110間の距離が6cmとなるように処理しても同様の結果が得られた。このことは直ぐ後に説明する、比較例と対比すると明らかである。流路形成基板用ウェハ110中心(×)における密着力が流路形成基板用ウェハ110の左右端(□、○)に比較して密着力が高く、かつ密着力が最高値と最低値との差も流路形成基板用ウェハ110間で少ないことが分かる。
次に、比較例について説明する。この比較例が実施形態と異なる点は次の通りである。基板間距離を5mmにしたこと、実施形態で使用したのと同じ治具に流路形成基板用ウェハ110を13枚固定したこと。熱酸化を3回に分けて行い、それぞれ密着力を測定した。比較例の結果を、図9に示す。横軸の数字は図8のものと同じ意味である。7は治具の中心に固定された流路形成基板用ウェハ110を示し、数値が若いほど炉の手前側の流路形成基板用ウェハ110であることを示している。図9から明らかなように、酸化ジルコニウム膜の密着力は流路形成基板用ウェハ110の位置によって大きくばらついている。かつ、密着力も図8のものと比較すると低い値に留まっている。特に治具の中央部に固定された流路形成基板用ウェハ110において密着力の低下が著しい。このように密着力低下が発生すると、酸化ジルコニウム層が下地膜である酸化シリコン膜から剥離するおそれがあり、酸化ジルコニウム膜上に形成される素子(例えば圧電体素子)としての信頼性を十分確保することができない。
既述の実施形態によれば、密着力が150mN以上で、安定した密着力を示す酸化ジルコニア膜を用いたアクチュエータを提供することができる。
また、治具に固定される基板間の距離の上限値についても、f(m)=k・(t/m)、(tは、治具が複数の基板を収納できる全長、mは1回の熱処理の際に要求される基板の処理枚数、kは、適宜決定される係数である。)で定まる係数からなるように設定される。また、f(m)が、基板直径の1/4≦f(m)であるように設定される。以上より、基板の配置について、下限と上限が設定されることで、効率的で量産可能な状態で所望のウェハを得られる。
なお、このような絶縁体膜55を形成した後は、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次いで、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成している。なお、このように圧電体層70を形成すると、焼成時に圧電体層70の鉛成分が弾性膜50に拡散する虞があるが、圧電体層70の下側には鉛拡散防止機能としての性質を有する酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55が設けられているため、圧電体層70の鉛成分が弾性膜50に拡散することはない。
次いで、図4(a)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、リード電極90を形成する。具体的には、図4(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成する。その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を各圧電素子300毎にパターニングすることでリード電極90が形成される。
次に、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図4(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらに弗化硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工した。次いで、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることにより、図5(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、振動板の一部を構成する金属酸化膜として、酸化ジルコニウム層を用いて説明したが、この他に酸化アルミニウム、酸化チタンであっても良い。又は、例えば、上述の実施形態では、弾性膜50上に絶縁体膜55を形成するようにしたが、絶縁体膜55は、弾性膜50よりも圧電体層70側に設けられていればよく、例えば、弾性膜50と絶縁体膜55との間に他の層が設けられていてもよい。また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを例示して本発明を説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明に係わる熱酸化方法を示す原理図である。 シリコン単結晶基板(流路形成基板用ウェハ)の平面図である。 本発明の実施形態に係わる、金属酸化膜の密着力の特性を示した表である 本発明の比較例に係わる、金属酸化膜の密着力の特性を示した表である。 前記ヘッドを備えたプリンタの斜視図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体膜、 80 上電極膜、100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 300 圧電素子 10 熱酸化炉、12 治具、14 基板

Claims (7)

  1. 複数の基板を治具に固定し、これを熱酸化炉に投入して、基板表面の金属膜を酸化して金属酸化膜を形成する熱酸化方法であって、前記治具に固定される基板間の距離を、基板直径の少なくとも1/4以上にしたことを特徴とする熱酸化方法。
  2. 前記熱酸化炉に前記治具を投入する際の移送速度が200mm/分以上である請求項1記載の熱酸化方法。
  3. 前記金属膜がジルコニウム、アルミニウム、チタンのいずれかから成る請求項1又は2記載の熱酸化方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項によって得られた金属酸化膜を含む振動板と、該振動板上に形成され、下電極膜と圧電体層と上電極膜とを備えた圧電体素子と、からなる圧電アクチュエータ。
  5. 請求項4に記載された圧電アクチュエータをノズル開口から液体を吐出させるための液体吐出素子として備えた液体噴射ヘッドと、駆動装置と、を有する液体噴射装置。
  6. 前記治具に固定される基板間の距離の上限値が、f(m)=k・(t/m)、(tは、治具が複数の基板を収納できる全長、mは1回の熱処理の際に要求される基板の処理枚数、kは、適宜決定される係数である。)で定まる係数からなる請求項1記載の熱酸化方法。
  7. 前記f(m)が、基板直径の1/4以上である請求項6記載の熱酸化方法。


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