JP2005297623A - 車両の衝撃吸収構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストな構造で衝突時に狙い通りのエネルギー吸収特性(即ち、荷重入力方向への変形が進んでも依然としてエネルギー吸収量が高い特性)を得ることができる車両の衝撃吸収構造体を得る。
【解決手段】衝撃吸収構造体10は、鋼板のプレス成形により中空の円錐台形状に形成された衝撃吸収要素22を必要個数だけ軸方向に積層させ、隣接する周壁部22A同士を接着剤24で接着することにより構成されている。この構成によれば、衝撃吸収構造体10の先端部に衝突荷重Fが入力されると、各衝撃吸収要素22の周壁部22Aの大径部22A2側には周方向への引張荷重が作用し、面内塑性変形が生じる。従って、圧縮座屈により面外変形が生じる構造に比し、エネルギー吸収効果が高くなる。また、プレス成形を利用できるので低コストで製作することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】衝撃吸収構造体10は、鋼板のプレス成形により中空の円錐台形状に形成された衝撃吸収要素22を必要個数だけ軸方向に積層させ、隣接する周壁部22A同士を接着剤24で接着することにより構成されている。この構成によれば、衝撃吸収構造体10の先端部に衝突荷重Fが入力されると、各衝撃吸収要素22の周壁部22Aの大径部22A2側には周方向への引張荷重が作用し、面内塑性変形が生じる。従って、圧縮座屈により面外変形が生じる構造に比し、エネルギー吸収効果が高くなる。また、プレス成形を利用できるので低コストで製作することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、衝突荷重が入力される荷重入力部と衝突荷重が伝達される荷重伝達部との間に介在されて変形することにより衝突時のエネルギーを吸収する車両の衝撃吸収構造体に関する。
従来から、自動車には種々の衝撃吸収構造体が採用されている。例えば、フロントサイドメンバの前端部とフロントバンパリインフォースメントとの間には、衝撃吸収構造体としてのクラッシュボックスが設定されることがある。
ここで、下記特許文献1には、繊維複合材料によって構成された筒状の中空体の内部中央にI型の補強材を配設した衝撃吸収構造体が開示されている。この衝撃吸収構造体は自身の長手方向が衝突時の荷重入力方向となるように配置され、衝突時には圧縮されて座屈変形することによってエネルギーを吸収するようになっている。
特開2003−262246号公報
しかしながら、上記先行技術による場合、衝撃吸収構造体が圧縮座屈変形する際に壁面の面外変形を伴うが、圧縮座屈という現象は元来不安定な現象であるため、座屈開始時のピーク荷重と面外変形が進行する過程で発生する荷重との間に大きな差が生じ、高いエネルギー吸収吸収量を維持できないという問題がある。
前記問題を模式図を使って解り易く説明すると、今仮に、図9に示されるように、2本の筒状の衝撃吸収構造体100を並列的に配置したとする。なお、各衝撃吸収構造体100の基端部は、荷重伝達部材102に固定的に支持されているものとする。
この状態で、衝撃吸収構造体100の先端部に衝突体104が所定値以上の荷重Fで衝突したとすると、当該衝撃吸収構造体100は軸圧縮方向に衝突荷重Fを受け、蛇腹状に圧縮座屈変形していく。つまり、衝撃吸収構造体100の壁面には面外変形が生じ、かかる面外変形によって衝突時のエネルギーが吸収される。
図10は、この場合のエネルギー吸収特性(F‐S特性)をグラフ化したものである。図10に示された破線グラフPが理想波形である。これに対し、実際のエネルギー吸収特性は実線グラフQのようになる。すなわち、衝突開始時から荷重が急激に立ち上がり、ピーク荷重aを迎える。このa点は圧縮座屈変形の開始時点でもあり、それ以降は急激に荷重が下がり、ジグザグに推移していく。このジグザグに推移していく部分が衝撃吸収構造体100が面外変形を起こしているときである。エネルギー吸収量はグラフと横軸とで囲まれた面積で表されるから、この衝撃吸収構造体100の場合、衝突時のエネルギー吸収量が理想波形(破線グラフP)の場合に比べて少ないと言える。
このように単純に筒状の衝撃吸収構造体を用いると衝突時のエネルギー吸収量が少なくなる。このため、従来の先行技術等では、衝撃吸収構造体の内部に複雑なリブを設定する等の対策を講じて、エネルギー吸収量の不足分を補っていた。しかしながら、複雑なリブは鋼材のプレス成形によっては設定することができないため、他の方法、例えば、アルミニウム合金材を用いた押出し成形等の手法を使わざるを得ず、材料の制約を受けると共にコストアップを招く。また、最近では、アルミニウム合金材以外にも、前述した特許文献1にみられるようにFRP等の繊維複合材を用いることも検討されているが、鋼板のプレス成形に比べれば高価であり、又リブ形状が複雑であれば高い生産性は望めない。
上述したことを総括すると、単純な筒状体を基本構造体として其処にリブを設けるといった従来の衝撃吸収構造体から脱却した新たな着想が求められている。
本発明は上記事実を考慮し、低コストな構造で衝突時に狙い通りのエネルギー吸収特性(即ち、荷重入力方向への変形が進んでも依然としてエネルギー吸収量が高い特性)を得ることができる車両の衝撃吸収構造体を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、衝突荷重が入力される荷重入力部と衝突荷重が伝達される荷重伝達部との間に介在されて変形することにより衝突時のエネルギーを吸収する車両の衝撃吸収構造体であって、中空の略円錐台形状に形成された衝撃吸収要素を軸方向に複数個重ね合わせて積層構造とし、小径側を荷重入力部側へ向け大径側を荷重伝達部側へ向けて配置した、ことを特徴としている。
請求項2記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1記載の発明において、隣り合う前記衝撃吸収要素同士は、接着剤によって接合されている、ことを特徴としている。
請求項3記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記衝撃吸収要素は、周壁部の板厚が小径側から大径側まで均一に設定されており、かつ周壁部の壁面が平滑面とされている、ことを特徴としている。
請求項4記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記衝撃吸収要素の周壁部には、周方向への所定値以上の引張力が作用することにより伸長する凹凸部が形成されている、ことを特徴としている。
請求項5記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記衝撃吸収要素は、周壁部の大径側の板厚の方が小径側の板厚よりも薄く設定されている、ことを特徴としている。
請求項1記載の本発明によれば、衝突時になると、衝突荷重は荷重入力部に入力される。入力された衝突荷重は、衝撃吸収構造体を介して荷重伝達部へ伝達される。この際、衝撃吸収構造体が軸方向に圧縮されて変形することにより、所定のエネルギー吸収がなされる。
ここで、本発明では、中空の略円錐台形状に形成された衝撃吸収要素を軸方向に複数個重ね合わせて積層構造とすることにより衝撃吸収構造体を構成し、小径側を荷重入力部側へ向け大径側を荷重伝達部側へ向けて配置したので、荷重入力部を介して衝撃吸収構造体の小径側に圧縮荷重が作用すると(即ち、衝突の負荷がかかると)、個々の衝撃吸収要素の大径側には周方向への引張荷重が作用する。このため、衝撃吸収要素の大径側には引張応力による面内塑性変形が生じ、この面内塑性変形の連なりによって衝突時のエネルギーが吸収される。従って、従来の壁面の面外座屈変形という不安定現象を利用したエネルギー吸収構造に比べて、エネルギー吸収過程における変形荷重が高めに安定する。
しかも、本発明によれば、個々の衝撃吸収要素の形状を中空の略円錐台形状としたので、例えば、鋼板をプレス成形することによって製作することができる。このため、例えば、アルミニウム合金材を押出し成形して衝撃吸収要素を製作する場合に比べてコストを削減することができる。
請求項2記載の本発明によれば、隣り合う衝撃吸収要素同士を接着剤によって接合したので、接着剤の分離荷重をエネルギー吸収効果を高めるために利用することができる。特に、本発明では、衝撃吸収要素を中空の略円錐台形状としたので、接着剤の接着面に作用する分離荷重がせん断荷重となる。よって、エネルギー吸収効果が高くなる。
つまり、接着剤の接着層の破壊荷重は、せん断荷重によるものなのか、剥離荷重によるものなのかによって大きく異なるが、従来のように面外座屈変形を利用した衝撃吸収構造体であれば、変形の進行に伴って接着層には剥離荷重がより多く作用するため、あまり高いエネルギー吸収効果を期待することができない。しかし、本発明のように、衝撃吸収要素を中空の略円錐台形状とすれば、接着剤の接着面にせん断荷重がより多く作用するため、変形の進行に伴って接着剤の接着層の破断荷重も高くなる。
請求項3記載の本発明によれば、衝撃吸収要素の周壁部の板厚を小径側から大径側まで均一に設定し、かつ周壁部の壁面を平滑面としたので、隣り合う衝撃吸収要素間の隙間を均一にすることができる。従って、例えば、接着剤によって隣り合う衝撃吸収要素同士を接合する場合には、接着層の厚さが均一になると共に接着剤の塗布作業も容易になる。
請求項4記載の本発明によれば、衝撃吸収要素の周壁部に周方向への所定値以上の引張力が作用することにより伸長する凹凸部を形成したので、当該凹凸部を設けた部分は「伸長」という塑性変形が可能となる。
請求項5記載の本発明によれば、衝撃吸収要素の周壁部の大径側の板厚の方を小径側の板厚よりも薄く設定したので、小径側での圧縮座屈を起こり難くしかつ大径側での周方向の引張応力による塑性変形を円滑に促進させることができる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、中空の略円錐形状に形成された衝撃吸収要素を軸方向に複数個重ね合わせて積層構造とし、小径側を荷重入力部側へ向け大径側を荷重伝達部側へ向けて配置したので、引張応力による面内塑性変形によって衝突時のエネルギーを吸収することができ、その結果、低コストな構造で衝突時に狙い通りのエネルギー吸収特性(即ち、荷重入力方向への変形が進んでも依然としてエネルギー吸収量が高い特性)を得ることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1記載の発明において、隣り合う衝撃吸収要素同士を接着剤によって接合したので、接着剤の分離荷重をエネルギー吸収効果を高めるために利用することができ、その結果、エネルギー吸収性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1又は請求項2記載の発明において、衝撃吸収要素の周壁部の板厚を小径側から大径側まで均一に設定し、かつ周壁部の壁面を平滑面としたので、接着剤による接合を採用する場合には接着層の厚さの均一化及び接着剤の塗布作業の容易化を図ることができ、その結果、安定した衝撃吸収性能の確保及び衝撃吸収構造体の製造効率の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1又は請求項2記載の発明において、衝撃吸収要素の周壁部に周方向への所定値以上の引張力が作用することにより伸長する凹凸部を形成したので、「伸長」という塑性変形が可能となり、その結果、エネルギー吸収特性の調整範囲を拡大することができると共に、基本的には変形荷重が小さく変形ストロークが大きくなるようなエネルギー吸収特性が得られるという優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明に係る車両の衝撃吸収構造体は、請求項1又は請求項2記載の発明において、衝撃吸収要素の周壁部の大径側の板厚の方を小径側の板厚よりも薄く設定したので、小径側での圧縮座屈を起こり難くしかつ大径側での周方向の引張応力による塑性変形を円滑に促進させることができ、その結果、塑性変形の進行に伴う荷重変動の少ない安定したエネルギー吸収特性を得ることができるという優れた効果を有する。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収構造体の第1実施形態について説明する。
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収構造体の第1実施形態について説明する。
図2には、本実施形態に係る衝撃吸収構造体10がクラッシュボックスとして採用された車体前部の概略平面図が示されている。この図に示されるように、車体の前端部には、平面視で略コ字状に形成された荷重入力部としての長尺状のフロントバンパリインフォースメント12が車両幅方向を長手方向して配置されている。このフロントバンパリインフォースメント12は高強度部材であり、その前面側に図示しないフロントバンパカバーが取り付けられている。
一方、前輪14が配置されるフロントホイールハウス16の内側には、長尺状に形成された荷重伝達部としての高強度のフロントサイドメンバ18が車両前後方向を長手方向として配置されている。フロントサイドメンバ18の後端部は、フロントクロスメンバ20の前面に結合されている。また、フロントサイドメンバ18の前端部は、フロントバンパリインフォースメント12に対して所定距離だけ車両後方側へ離間した位置(オフセットした位置)に配置されている。そして、フロントサイドメンバ18の前端部とフロントバンパリインフォースメント12の後端面との間に、本実施形態に係る衝撃吸収構造体10が介在されている。なお、衝撃吸収構造体10は、フロントサイドメンバ18に対して連続的に配置されている。
図1(B)には上記衝撃吸収構造体10の全体構成が軸線を中心とした半断面図で示されており、又図1(A)には当該衝撃吸収構造体10を構成する衝撃吸収要素22の単体構成が斜視図で示されている。
これらの図に示されるように、衝撃吸収要素22は、鋼板をプレス成形することにより、中空の薄肉円錐台形状に形成されている。また、衝撃吸収要素22の周壁部22Aの内周面及び外周面は、その周方向に平滑な面とされている。さらに、衝撃吸収構造体10の周壁部22Aの傾斜角度θ(図3参照)は、エネルギー吸収特性との関係で所定角度に設定されている。また、衝撃吸収構造体10の周壁部22Aの板厚t(図4参照)は、小径部22A1から大径部(スカート部)22A2に至るまで均一に設定されている。
上記構成の衝撃吸収要素22をその軸方向に複数個重ね合わされて積層し、隣り合う衝撃吸収要素22の周壁部22A同士を接着剤24で接着することにより、本実施形態に係る衝撃吸収構造体10が構成されている。
なお、上記衝撃吸収構造体10をクラッシュボックスとして設置する際には、小径部22A1をフロントリインフォースメント12側へ向けると共に、大径部22A2をフロントサイドメンバ18側へ向けて設置される。また、衝撃吸収構造体10の軸方向の一方の端部(即ち、クラッシュボックスとしての組付状態において車両後方側に位置する衝撃吸収要素22側)には、略円板形状に形成された保持具26が装着されている。保持具26は、円板形状に形成されかつクラッシュボックスとしての使用時にフロントサイドメンバ18の前端部にボルト及びナット等の図示しない固定手段によって固定される底部26Aと、この底部26Aの周縁部に90度間隔で立設されかつ衝撃吸収構造体10の軸線に対して平行に延出された複数の突起部26Bと、によって構成されている。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
前面衝突すると、その際の衝突荷重はフロントバンパリインフォースメント12に入力される。入力された衝突荷重は、衝撃吸収構造体10を介してフロントサイドメンバ18へ伝達される。この際、衝撃吸収構造体10が軸方向に圧縮されて塑性変形することにより、所定のエネルギー吸収がなされる。
ここで、本実施形態では、中空の円錐台形状に形成された衝撃吸収要素22を軸方向に複数個重ね合わせて積層構造とすることにより衝撃吸収構造体10を構成し、小径部22A1側をフロントバンパリインフォース12側へ向けて配置し、大径部22A2側をフロントサイドメンバ18側へ向けて配置したので、フロントバンパリインフォース12を介して衝撃吸収構造体10の小径部22A1側に圧縮荷重F(図1(B)、図3参照)が入力されると(即ち、衝突の負荷がかかると)、個々の衝撃吸収要素22の大径部22A2側には周方向への引張荷重T(図3参照)が作用する。このため、衝撃吸収要素22の大径部22A2側には引張応力による面内塑性変形が生じ、この面内塑性変形の軸方向への連なり(連続)によって前面衝突時のエネルギーが吸収される。従って、従来の壁面の面外座屈変形という不安定現象を利用したエネルギー吸収構造に比べて、エネルギー吸収過程における変形荷重が高めに安定する。なお、複数個の衝撃吸収要素22を積層させて個々の衝撃吸収要素22にそれぞれ面内塑性変形させていることも、エネルギー吸収量の増加に寄与している。
しかも、本実施形態によれば、個々の衝撃吸収要素22の形状を中空の円錐台形状という極めてシンプルな形状とした(換言すれば、従来のように複雑なリブを伴う形状にはしなかった)ので、鋼板をプレス成形することによって容易に衝撃吸収要素22を製作することができる。このため、例えば、アルミニウム合金材を押出し成形して衝撃吸収要素を製作する場合に比べてコストを削減することができる。
その結果、本実施形態に係る衝撃吸収構造体10によれば、低コストな構造で衝突時に狙い通りのエネルギー吸収特性(即ち、図10の破線グラフ(理想波形)Pで示されるように、荷重入力方向への変形が進んでも依然としてエネルギー吸収量が高い特性)を得ることができる。
また、本実施形態では、隣り合う衝撃吸収要素22の周壁部22A同士を接着剤24によって接合したので、接着剤24の分離荷重をエネルギー吸収効果を高めるために利用することができる。特に、本実施形態では、衝撃吸収要素22を中空の円錐台形状としたので、接着剤24の接着面に作用する分離荷重がせん断荷重S(図4参照)となる。よって、エネルギー吸収効果が高くなる。
つまり、接着剤24の接着層の破壊荷重は、せん断荷重によるものなのか、剥離荷重によるものなのかによって大きく異なるが、従来のように面外座屈変形を利用した衝撃吸収構造体であれば、変形の進行に伴って接着層には剥離荷重がより多く作用するため、あまり高いエネルギー吸収効果を期待することができない。しかし、本実施形態のように、衝撃吸収要素22を中空の円錐台形状とすれば、接着剤24の接着面にせん断荷重Sがより多く作用するため、変形の進行に伴って接着剤24の接着層の破断荷重も高くなる。その結果、本実施形態によれば、エネルギー吸収性能を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、衝撃吸収要素22の周壁部22Aの板厚tを小径部22A1側から大径部22A2側まで均一に設定し、かつ周壁部22Aの壁面を平滑面としたので、隣り合う衝撃吸収要素22間の隙間28(図4参照)を均一にすることができる。従って、例えば、接着剤24によって隣り合う衝撃吸収要素22同士を接合する場合には、接着層の厚さが均一になる。その結果、本実施形態によれば、安定した衝撃吸収性能を確保することができる。加えて、接着剤24の塗布作業も容易になるため、衝撃吸収構造体10の製造効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、衝撃吸収要素22を中空の円錐台形状としたので、周壁部22Aの傾斜角度θを変更することにより、エネルギー吸収特性を容易に調整することができる。つまり、周壁部22Aの傾斜角度θは大径部22A2の周方向への引張荷重Tによる面内塑性変形の生じ易さに影響するため、かかる傾斜角度θを変更することによって衝撃吸収構造体10のエネルギー吸収特性を容易に調整することができる。加えて、衝撃吸収要素22の使用個数を変更することによっても、エネルギー吸収特性を容易に調整することができる。さらに、衝撃吸収要素22の周壁部22Aの板厚tを変更することによっても、エネルギー吸収特性を容易に調整することができる。このように本実施形態によれば、衝撃吸収要素22ひいては衝撃吸収構造体10のエネルギー吸収特性を種々の観点から容易に調整することができるというメリットがある。
〔第2実施形態〕
次に、図5〜図7を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収構造体の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
次に、図5〜図7を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収構造体の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図5(A)、(B)に示されるように、この第2実施形態では、衝撃吸収構造体30を構成する衝撃吸収要素32の周壁部32Aを、凹凸部としての山部34と谷部36が周方向に交互に配列された波型形状とした点に特徴がある。
上記構成によれば、衝撃吸収構造体30の周壁部32Aの小径部32A1側から軸方向に衝突荷重が入力されると、大径部32A2側には周方向に引張荷重Tが作用する。この引張荷重Tが所定値以上に達すると、隣り合う山部34同士が互いに離間する方向へ伸長される。その結果、本実施形態によれば、エネルギー吸収特性の調整範囲を拡大することができると共に、基本的には変形荷重が小さく変形ストロークが大きくなるようなエネルギー吸収特性が得られる。
補足すると、この実施形態の場合、周壁部32Aが周方向に伸長されるため、板材の曲げ変形を利用していることになるが、従来の面外座屈と異なって、変形の進行に伴う荷重変動は少なく、安定したエネルギー吸収特性となる。
なお、上記の衝撃吸収要素32の積層の仕方には、大別して二種類がある。図6(A)、(B)に示される積層パターンは、軸方向に隣り合う衝撃吸収要素32の山部34同士及び谷部36同士が重なる積層パターンである。この場合、衝撃吸収要素32の積層ピッチW1は短くなる。
一方、図7(A)、(B)に示される積層パターンは、軸方向に隣り合う衝撃吸収要素32の山部34と谷部36とが重なる積層パターンである。この場合、衝撃吸収要素32の積層ピッチW2は長くなる。
〔第3実施形態〕
次に、図8を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収構造体の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
次に、図8を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収構造体の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図8(A)、(B)に示されるように、この第3実施形態では、衝撃吸収構造体40を構成する衝撃吸収要素42の周壁部42Aの板厚を小径部42A1から大径部42A2に向かうにつれて徐々に薄くした点に特徴がある。なお、この衝撃吸収要素42は、不等厚の鋼板をプレス成形することによって製作されている。
上記構成の衝撃吸収要素42を複数個積層させて構成された衝撃吸収構造体40によれば、大径部42A2の板厚を薄くすることによって、周方向の引張応力による面内塑性変形が生じ易くなる。また、仮に小径部42A1側の板厚が特に薄い場合には、荷重入力時に小径部42A1側で圧縮座屈傾向が現れ易くなることが予想される。かかる圧縮座屈が生じると、衝撃吸収構造体40の変形が進行する際に荷重変動が生じる原因となると共に、大径部42A2側での塑性変形が阻害されることも考えられる。しかし、本実施形態のように小径部42A1から大径部42A2へ向かうにつれて徐々に板厚を薄くすれば、このような不具合を未然に防ぐことができる。
つまり、本実施形態の衝撃吸収構造体40によれば、小径部42A1側での圧縮座屈を起こり難くしかつ大径部42A2側での周方向の引張応力による塑性変形を円滑に促進させることができる。その結果、本実施形態によれば、塑性変形の進行に伴う荷重変動の少ない安定したエネルギー吸収特性を得ることができる。
〔実施形態の補足説明〕
なお、上述した各実施形態では、鋼板のプレス成形によって衝撃吸収要素22、32、42を製作したが、これに限らず、FRP等の樹脂材料を使ってこれらを製作してもよい。
なお、上述した各実施形態では、鋼板のプレス成形によって衝撃吸収要素22、32、42を製作したが、これに限らず、FRP等の樹脂材料を使ってこれらを製作してもよい。
また、上述した各実施形態では、衝撃吸収構造体10、30、40をクラッシュボックスとして利用したが、これに限らず、他の用途に利用することも当然可能である。
さらに、上述した各実施形態では、隣り合う衝撃吸収要素22、32、42を接着剤24で接合したが、これに限らず、接着剤以外の接合手段によって隣り合う衝撃吸収要素22、32、42を接合するようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、衝撃吸収要素22、32、42を中空の円錐台形状に形成したが、これに限らず、中空の略円錐台形状であればよい。従って、周壁部22A、32A、42Aが半径方向内側又は半径方向外側へ多少湾曲した形状等であってもよい。
10 衝撃吸収構造体
12 フロントバンパリインフォースメント(荷重入力部)
18 フロントサイドメンバ(荷重伝達部)
22 衝撃吸収要素
22A 周壁部
22A1 小径部
22A2 大径部
24 接着剤
30 衝撃吸収構造体
32 衝撃吸収要素
32A 周壁部
32A1 小径部
32A2 大径部
34 山部(凹凸部)
36 谷部(凹凸部)
40 衝撃吸収構造体
42 衝撃吸収要素
42A 周壁部
42A1 小径部
42A2 大径部
12 フロントバンパリインフォースメント(荷重入力部)
18 フロントサイドメンバ(荷重伝達部)
22 衝撃吸収要素
22A 周壁部
22A1 小径部
22A2 大径部
24 接着剤
30 衝撃吸収構造体
32 衝撃吸収要素
32A 周壁部
32A1 小径部
32A2 大径部
34 山部(凹凸部)
36 谷部(凹凸部)
40 衝撃吸収構造体
42 衝撃吸収要素
42A 周壁部
42A1 小径部
42A2 大径部
Claims (5)
- 衝突荷重が入力される荷重入力部と衝突荷重が伝達される荷重伝達部との間に介在されて変形することにより衝突時のエネルギーを吸収する車両の衝撃吸収構造体であって、
中空の略円錐台形状に形成された衝撃吸収要素を軸方向に複数個重ね合わせて積層構造とし、小径側を荷重入力部側へ向け大径側を荷重伝達部側へ向けて配置した、
ことを特徴とする車両の衝撃吸収構造体。 - 隣り合う前記衝撃吸収要素同士は、接着剤によって接合されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の衝撃吸収構造体。 - 前記衝撃吸収要素は、周壁部の板厚が小径側から大径側まで均一に設定されており、かつ周壁部の壁面が平滑面とされている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の衝撃吸収構造体。 - 前記衝撃吸収要素の周壁部には、周方向への所定値以上の引張力が作用することにより伸長する凹凸部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の衝撃吸収構造体。 - 前記衝撃吸収要素は、周壁部の大径側の板厚の方が小径側の板厚よりも薄く設定されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の衝撃吸収構造体。
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2005297623A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008239083A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Hitachi Ltd | 輸送機 |
| JP2009180349A (ja) * | 2008-01-31 | 2009-08-13 | Hiroshima Univ | 緩衝装置 |
-
2004
- 2004-04-07 JP JP2004112794A patent/JP2005297623A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008239083A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Hitachi Ltd | 輸送機 |
| JP2009180349A (ja) * | 2008-01-31 | 2009-08-13 | Hiroshima Univ | 緩衝装置 |
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