JP2005306865A - ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物及びその製造方法、並びに、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物及びその製造方法 - Google Patents

ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物及びその製造方法、並びに、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物及びその製造方法 Download PDF

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浩之 中村
Hirokazu Kuroda
寛和 黒田
Iku Kaneko
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Abstract


【解決課題】 コンブレタスタチンの基本骨格を有する化合物又はレズベラトロールの基本骨格若しくはレズベラトロールの基本骨格に類似の骨格を有する化合物であって、生理活性が低下し難い化合物、あるいは生体内における挙動解析が容易な化合物を提供すること、並びに該化合物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 3’−位又は4’−位のいずれか一方に、ホウ酸基を有し、3−位及び5−位にメトキシ基を有するシス−スチルベン化合物。2−位、3−位、4−位、5−位、及び6−位のうちの2又は3箇所に、メトキシ基を有し、3’−位にホウ酸基を有し、4’−位にメトキシ基を有するトランス−スチルベン化合物。2−位、3−位、4−位、5−位、及び6−位のうちの2又は3箇所に、ヒドロキシル基を有し、3’−位にホウ酸基を有し、4’−位にヒドロキシル基を有するトランス−スチルベン化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物及びその製造方法、並びに、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物及びその製造方法に関し、具体的には、チューブリン重合阻害効果を持つコンブレタスタチンの基本骨格を有するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物及びその製造方法、並びにアポトーシス誘導作用等の様々な抗腫瘍活性を有するレズベラトロールの基本骨格又はレズベラトロールの基本骨格に類似する骨格を有するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物及びその製造方法に関する。
チューブリン重合阻害剤は、がん細胞の細胞分裂を阻害する効果、及び血管内皮細胞を傷害し、血流を遮断することによって、がん細胞を死滅させる効果を有するので、近年、がん治療における新しい標的物質として注目されている。
現在、チューブリン重合阻害効果を有する化合物としては、コンブレタスタチンA−4(下記式(16)):
Figure 2005306865
及びコンブレタスタチンA−2(下記式(17)):
Figure 2005306865
(以下、両化合物を総称して、コンブレタスタチン化合物とも記載する。)が知られている。しかし、該コンブレタスタチン化合物は水溶性に乏しく、そのままでは薬剤として投与することができない。そのため、従来より、該コンブレタスタチン化合物を医薬品として用いるために、該コンブレタスタチン化合物に水溶性を付与することが行われていた。
該コンブレタスタチン化合物に水溶性を付与したものとして、非特許文献1には、コンブレタスタチンA−4の水酸基を、リン酸ナトリウム塩に変換したコンブレタスタチンA−4プロドラッグが開示されており、該プロドラッグは、2002年現在、臨床試験PhaseIIまで進んでいる。
また、非特許文献2には、コンブレタスタチンA−2の水酸基を、アミノ塩酸塩に変換したプロドラッグが開示されている。
Pettit,G.R et.al, J.Med.Chem., 2003, 46, 525. Pettit,G.R et.al, Anti-Cancer Drug Design, 2001, 16, 185.
また、ブドウ科植物の皮に多く含まれている、レズベラトロール(Resveratrol、(E)−3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン、下記式(18));
Figure 2005306865
は、腫瘍細胞の死を促進し増殖を防ぐ、アポトーシス誘導作用等の様々な抗腫瘍活性が認められている化合物として、近年注目を集めているトランス−スチルベン化合物である。
従来の薬剤は、標的受容タンパクに存在するアミノ酸、水酸基又はチオール基等と、水素結合を形成して結合することにより、生理活性を発揮する。しかし、該水素結合は可逆的なので、薬剤が該標的受容タンパクから離脱し易いことから、従来の薬剤は、生理活性が低下し易いという問題があった。
また、薬剤の生体内における挙動解析は、副作用及び安全性等の問題を明らかにするために、非常に重要である。しかし、現在開発されている薬剤の殆んどは、生体内に存在する元素、すなわち、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、リン等の各元素によって構成されているため、該薬剤の追跡は容易ではなかった。例えば、非特許文献1又は2に開示されている前記プロドラッグを薬剤と投与した場合は、生体内における挙動解析をすることは困難であった。
従って、本発明の課題は、コンブレタスタチンの基本骨格を有する化合物であって、生理活性が低下し難い化合物、あるいは生体内における挙動解析が容易な化合物を提供すること、並びに該化合物の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、レズベラトロールの基本骨格又はレズベラトロールの基本骨格に類似の骨格を有する化合物であって、生理活性が低下し難い化合物、あるいは生体内における挙動解析が容易な化合物を提供すること、並びに該化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、コンブレタスタチンの基本骨格に、ホウ酸基を導入したホウ酸基含有シス−スチルベン化合物、又はレズベラトロールの基本骨格若しくはレズベラトロールの基本骨格に類似の骨格に、ホウ酸基を導入したホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物は、(1)コンブレタスタチン化合物又はレズベラトロールに比べ、水に対する溶解度が高いこと、(2)ホウ素原子は、α−オートラジオグラフによる断面像化等で、追跡することができるので、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物又は該ホウ酸基含有トランス−スチルベンの化合物の生体内における挙動解析が、容易にできること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、下記一般式(1):
Figure 2005306865
(式中、Rは水素原子又はメトキシ基を示し、Rは水素原子、ホウ酸基又はメトキシ基を示し、Rは水素原子、ホウ酸基又はメトキシ基を示し、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、R又はRのいずれか一方がホウ酸基である。)で表されるホウ酸基含有シス−スチルベン化合物を提供するものである。
また、本発明(2)は、下記一般式(2):
Figure 2005306865
(式中、Rは水素原子又はメトキシ基を示す。)で表される一置換アルキン化合物及び下記一般式(3):
Figure 2005306865
(式中、Xは脱離基を示し、Rは水素原子、保護ホウ酸基又はメトキシ基を示し、Rは水素原子、保護ホウ酸基又はメトキシ基を示し、R又はRのいずれか一方が保護ホウ酸基である。)で表される保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物を反応させ、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物を得るカップリング工程(A)、該カップリング工程(A)で得られる該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物を水素化して、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物を得る水素化工程、及び該水素化工程で得られる該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物のホウ酸基の保護基を外して、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物を得る脱保護工程を有するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、下記一般式(4):
Figure 2005306865
(式中、Rはメトキシ基を示し、nは2又は3である。)で表されるホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を提供するものである。
また、本発明(4)は、下記一般式(5):
Figure 2005306865
(式中、Rはヒドロキシル基を示し、mは2又は3である。)で表されるホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を提供するものである。
また、本発明(5)は、下記一般式(6):
Figure 2005306865
(式中、Rはメトキシ基を示し、Yはハロゲン化ホスホニウム基、リン酸基又はリン酸エステル基を示し、nは2又は3である。)で表されるトルエン誘導体及び下記一般式(7):
Figure 2005306865
(式中、Zは脱離基を示す。)で表されるベンズアルデヒド誘導体を反応させ、脱離基含有トランス−スチルベン化合物を得るカップリング工程(B)、該カップリング工程(B)で得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物の脱離基を、ホウ酸基に置換し、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を得るホウ酸基導入工程を有するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の製造方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、下記一般式(6):
Figure 2005306865
(式中、Rはメトキシ基を示し、Yはハロゲン化ホスホニウム基、リン酸基又はリン酸エステル基を示し、nは2又は3である。)で表されるトルエン誘導体及び下記一般式(7):
Figure 2005306865
(式中、Zは脱離基を示す。)で表されるベンズアルデヒド誘導体を反応させ、脱離基含有トランス−スチルベン化合物を得るカップリング工程(B)、該カップリング工程(B)で得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物の脱離基を、ホウ酸基に置換し、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を得るホウ酸基導入工程、及び該ホウ酸基導入工程で得られる該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)のメトキシ基を、ヒドロキシル基に変換して、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を得るヒドロキシル化工程を有するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造方法を提供するものである。
本発明のホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(以下、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)とも記載する。)は、コンブレタスタチンの基本骨格を有し、生理活性が低下し難く、あるいは生体内における挙動解析が容易である。また、本発明のホウ酸基含有スチルベン化合物の製造方法は、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)を製造するのに好適に用いられる。また、本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)(以下、単にホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)とも記載する。)及び本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)(以下、単にホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)とも記載する。)は、レズベラトロールの基本骨格又はレズベラトロールの基本骨格に類似の骨格を有し、生理活性が低下し難く、あるいは生体内における挙動解析が容易である。また、本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の製造方法は、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を製造するのに好適に用いられ、また、本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造方法は、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を製造するのに好適に用いられる。
本発明に係るホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、前記一般式(1)に示すように、コンブレタスタチンの基本骨格(該一般式(1)中、R、R及びRを除く部分)を持ち、そして、3’−位又は4’−位のいずれか一方に、ホウ酸基を有する。また、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、4−位、3’−位又は4’−位に、メトキシ基を有することができる。該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)の具体例としては、3,4,4’,5−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、3,3’,4,5−テトラメトキシ−4’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、3,4,5−トリメトキシ−4’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、3,4,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、3,3’,5−トリメトキシ−4’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、3,4’,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、3,5−ジメトキシ−4’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン、及び3,5−ジメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベンが挙げられる。該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、前記コンブレタスタチンA−4の基本骨格を持つので、チューブリン重合阻害活性を有する。
該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、分子中の二重結合に対して、2つのフェニル基が同じ側にあるシス体であるが、フェニル基が反対側にあるトランス体を含有するものであってもよい。該シス体に対する該トランス体の含有比率は、0.1〜10%であることが、薬剤として投与した時に副作用が少ない点で好ましく、特に好ましくは0.1〜1%である。
また、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)の純度は、0.1〜10%であることが、薬剤として投与した時に副作用が少ない点で好ましく、特に好ましくは0.1〜1%である。
本発明に係るホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)は、前記一般式(4)に示すように、レズベラトロールの基本骨格と類似の骨格(該一般式(4)中、R、及びホウ酸基を除く部分)を持ち、そして、3’−位にホウ酸基を有し、該ホウ酸基を有するベンゼン環とは別のベンゼン環に、2又は3個のメトキシ基を有する。すなわち、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)は、2−位、3−位、4−位、5−位、及び6−位のうちの2又は3箇所に、メトキシ基を有し、3’−位にホウ酸基を有し、4’−位にメトキシ基を有する。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の具体例としては、2,3,4’−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,4,4’−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,4’,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,4’,6−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4,4’−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4’,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4’,6−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4,4’,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4,4’,6−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4’,5,6−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,3,4,4’−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,3,4’,5−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,3,4’,6−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4,4’,5−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4,4’,6−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4,4’,5,6−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベンが挙げられる。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)は、前記レズベラトロールの基本骨格に類似の骨格を持つので、抗腫瘍活性を有する。
該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)は、トランス体であるが、シス体を含有するものであってもよい。該トランス体に対する該シス体の含有比率は、0.1〜10%であることが、薬剤として投与した時に副作用が少ない点で好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0%である。
また、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の純度は、0.1〜10%であることが、薬剤として投与した時に副作用が少ない点で好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0%である。
本発明に係るホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、前記一般式(5)に示すように、レズベラトロールの基本骨格(該一般式(5)中、R、及びホウ酸基を除く部分)を持ち、そして、3’−位にホウ酸基を有し、該ホウ酸基を有するベンゼン環とは別のベンゼン環に、2又は3個のヒドロキシル基を有する。すなわち、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、2−位、3−位、4−位、5−位、及び6−位のうちの2又は3箇所に、ヒドロキシル基を有し、3’−位にホウ酸基を有し、4’−位にヒドロキシル基を有する。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の具体例としては、2,3,4’−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,4,4’−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,4’,5−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,4’,6−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4,4’−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4’,5−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4’,6−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4,4’,5−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4,4’,6−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4’,5,6−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,3,4’,5−テトラヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、2,3,4’,6−テトラヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4,4’,5−テトラヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、3,4,4’,6−テトラヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン、4,4’,5,6−テトラヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベンが挙げられる。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、前記レズベラトロールの基本骨格を持つので、抗腫瘍活性を有する。
該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、トランス体であるが、シス体を含有するものであってもよい。該トランス体に対する該シス体の含有比率は、0.1〜10%であることが、薬剤として投与した時に副作用が少ない点で好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0%である。
また、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の純度は、0.1〜10%であることが、薬剤として投与した時に副作用が少ない点で好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0%である。
該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、3’−位又は4’−位のいずれか一方がホウ酸基なので、前記コンブレタスタチンA−4に比べ、水溶性が高い。また、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、3’−位がホウ酸基なので、前記レズベラトロールに比べ、水溶性が高い。更に、ホウ酸基は、塩基性の化合物、例えば、水酸化ナトリウムと反応し、容易に水溶性の高い塩に変換され、また、多価のアルコール化合物と反応し、容易に錯体を形成することができる。従って、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、水溶性を向上させることが容易であり、糖類等と錯体を形成させることにより、医薬品化が容易である。
また、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)のホウ酸基中のホウ素原子は、電子が入っていない空軌道を有しているため、該空軌道に、標的受容体タンパクのアミノ基の窒素原子、水酸基の酸素原子、又はチオール基の硫黄原子等の非共有電子対を受け取り、共有結合を形成することができる。下記反応式(8)に示す様に、ホウ酸基を有する化合物は、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物又は水酸基を有する化合物と反応し、共有結合によって、該第一級アミン化合物、該第二級アミン化合物又は該水酸基を有する化合物と結合する。
Figure 2005306865
そして、該共有結合は、非可逆的な結合であるため、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、可逆的な水素結合で結合している従来の薬剤に比べ、該標的受容体タンパクと強く結合することができる。従って、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、標的受容体タンパクと共有結合を形成することにより、薬剤としての効果が低下し難いという、新たな生理活性を導くことができる化合物であると考えられる。
また、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、ホウ素原子を含有しているので、生体内へ投与後、例えば、α−オートラジオグラフによる断画像化、又はICPを用いる各組織内のホウ素濃度の測定等により、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)又は該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を追跡することができる。従って、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、生体内における挙動解析が容易である。
また、ホウ酸基は、他の官能基へ容易に変換されるので、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、コンブレタスタチンA−4の基本骨格を持つ誘導体の製造に、好適に用いられ、また、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、レズベラトロールの基本骨格又はレズベラトロールの基本骨格に類似の骨格を持つ誘導体の製造に、好適に用いられる。該官能基変換方法としては、例えば、鈴木カップリング反応が挙げられる。該鈴木カップリング反応とは、下記反応式(9)に示すように、ホウ酸基含有化合物をハロゲン化有機化合物と反応させ、目的とする官能基が導入されている化合物を製造する反応である。
Figure 2005306865
(式中、R、R”はアリール基、アルケニル基又はアルキル基を示し、R’は水素原子又はアルキル基を示す。)
次に、本発明のホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の製造方法を、下記反応式(12)を参照して説明する。
Figure 2005306865
本発明のホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の製造方法は、前記一般式(2)に示す一置換アルキン化合物(以下、一置換アルキン化合物(2)とも記載する。)及び前記一般式(3)に示す保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(以下、保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)とも記載する。)を反応させ、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)を得るカップリング工程(A)、該カップリング工程(A)で得られる該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)を水素化して、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)を得る水素化工程、及び該水素化工程で得られる該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)のホウ酸基の保護基を、脱保護することによりホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)を得る脱保護工程を有する。
該カップリング工程(A)における該一置換アルキン化合物(2)及び該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)の反応は、該一置換アルキン化合物(2)の三重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子、及び該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)のベンゼン環の炭素原子に結合している脱離基Xが、脱離すると共に、該水素原子が結合していた炭素原子及び該脱離基Xが結合していた炭素原子同士が結合(カップリング)する、カップリング反応(A)である。
該一置換アルキン化合物(2)は、前記一般式(2)に示すように、フェニルエチンのベンゼン環の3−位及び5−位にメトキシ基を有する化合物である。また、該一置換アルキン化合物(2)は、4−位にメトキシ基を有することができる。該一置換アルキン化合物(2)は、例えば、3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、又は3,5−ジメトキシベンズアルデヒド等のベンズアルデヒド化合物を、四臭化炭素とトリフェニルホスフィンを溶解させた無水塩化メチレン中、0℃で、10分間反応させ、1,1−ジブロモ−2−(3’,4’,5’−トリメトキシフェニル)エチレン、又は1,1−ジブロモ−2−(3’,5’−ジメトキシフェニル)エチレンを得た後、更に無水テトラヒドロフラン溶媒中、−78℃で、ブチルリチウムと反応させることにより得られる。
該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)は、前記一般式(3)に示すように、ベンゼン化合物の3−位又は4−位のいずれか一方に保護ホウ酸基を有する化合物である。また、該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)は、3−位又は4−位にメトキシ基を有することができる。また、前記一般式(3)中、Xの脱離基としては、有機合成反応で一般的に用いられる脱離基であれば特に制限されないが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;トシル基、トリフラート基等のスルホン酸エステル基等が、脱離し易いのでカップリング反応が起こり易い点で好ましい。該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)を製造する方法としては、特に制限されず、例えば、脱離基を有するフェニルホウ酸とピナコールを反応させること、更に具体的には、例えば、4−ヨードフェニルホウ酸及びピナコールを、塩化メチレンに溶解させ、更に無水硫酸ナトリウムを加え、12時間程度反応させることにより、該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)を製造することができる。
本発明において、該保護ホウ酸基とは、該脱保護工程を行うことにより、ホウ酸基に変換される官能基のことであり、ホウ酸基に該ホウ酸基の保護基が結合している官能基を指す。該保護ホウ酸基としては、特に制限されず、例えば、保護基としてピナコールを用いてホウ酸基が保護されているピナコレートボレート基、保護基としてカテコールを用いてホウ酸基が保護されているカテコレートボレート基、ピナンジオールを用いてホウ酸基が保護されているピナンジオレートボレート基、2,3−ブタンジオールを用いてホウ酸基が保護されている2,3−ブタンジオレートボレート基、2,4−ペンタンジオールを用いてホウ酸基が保護されている2,4−ペンタンジオレートボレート基、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオールを用いてホウ酸基が保護されている1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオレートボレート基等が挙げられる。
該カップリング工程(A)に係るカップリング反応(A)において、該一置換アルキン化合物(2)及び該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)の反応を進行させるために、反応剤を用いることができる。該反応剤としては、特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリイソプロピルアミン、ピリジン、ピペラジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、必要に応じて、触媒を用いることができる。該触媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム及び1価のヨウ化銅(I)の共触媒;ジベンジリデンアセトンパラジウム、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム触媒;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、ビスジフェニルホスフィノメタン、ビスジフェニルホスフィノエタン、ビスジフェニルホスフィノプロパン、ビスジフェニルホスフィノブタン、ビスジフェニルホスフィノフェロセン等のホスフィン配位子及び1価のヨウ化銅(I)の共触媒等が挙げられる。
該カップリング反応(A)における溶媒は、該反応剤及び該触媒により、適宜選択される。また、該溶媒としては、市販のものを用いることができるが、乾燥操作又は脱水操作により水分を除去したものが、反応効率が高まる点で好ましい。
該カップリング反応(A)の反応温度は、通常20〜70℃である。該反応温度が20℃未満だと、反応が進行し難く、また、70℃を超えると副反応が起こり易くなる。該カップリング反応(A)の反応時間は、通常1〜24時間である。また、予め乾燥させた反応装置を用い、該カップリング反応(A)をアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが、反応効率が高まる点で好ましい。
また、該カップリング反応(A)により得られる該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)を、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶等により精製することができる。
該カップリング反応(A)の一例を説明すると、アセトニトリル溶媒中に、該一置換アルキン化合物(2)及び該保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物(3)を溶解させ、更にヨウ化銅(I)及びテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウムを加え攪拌する。次に、これらの混合物に、トリエチルアミンを加えて反応を行う。そして、所定時間経過後、塩化アンモニウム水溶液を加えて、反応を終了させ、塩化メチレンを用いて、生成した該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)を抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウム等で脱水し、ろ過した後、ろ液の溶媒を除去すれば、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)を得ることができる。
該水素化工程における水素化は、該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)の三重結合を、シス体の二重結合に変換する立体選択的な水素化である。
該水素化は、三重結合を立体選択的にシス体に変換するものであれば、特に制限されず、立体選択的な水素化を行うことができる水素化剤を用いる方法、立体選択的な水素化を行うことができる水素化触媒を用いる方法等が挙げられる。
該水素化における溶媒は、該水素化剤又は該水素化触媒により、適宜選択される。また、該溶媒としては、市販のものを用いることができるが、乾燥操作又は脱水操作により水分を除去したものが、反応効率が高まる点で好ましい。
該水素化を行う水素化温度は、特に制限されないが、好ましくは−10〜25℃、特に好ましくは−5〜5℃である。該水素化温度が、−10℃未満だと水素化が起こりにくく、また、25℃を超えると立体選択性が悪くなる。また、該水素化を行なう水素化時間は、特に制限されないが、概ね1〜5時間である。該水素化時間が、1時間未満だと水素化が十分に起こらず、また、5時間を超えても水素化がそれ以上進行しないため非効率である。また、予め乾燥させた反応装置を用い、該反応をアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが、反応効率が高まる点で好ましい。
また、該水素化により得られる保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)を、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶等により精製することができる。
該水素化方法の一例を説明すると、まず、テトラヒドロフラン溶媒中で、ボラン−ジメチルスルフィド錯体及びシクロヘキセンを反応させることにより、ジシクロヘキシルボラン錯体を調製する。
次に、該ジシクロヘキシルボラン錯体のテトラヒドロフラン溶液に、該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(10)を加えて、−5〜5℃で、2〜4時間反応を行った後、20〜25℃で、0.4〜0.6時間反応を行う。次に、反応系を−5〜5℃にして、酢酸を加え、更に1.5〜3時間反応を行う。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、水素化を終了させ、塩化メチレンを用いて、生成した該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)を抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウム等で脱水し、ろ過した後、ろ液の溶媒を除去すれば、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)が得られる。
該水素化工程により得られる該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)は、シス体に対するトランス体の含有比率が20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは5%以下である。
該脱保護工程は、該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(11)のホウ酸基の保護基を外して、ホウ酸基に変換する、いわゆる脱保護を行う工程である。
該脱保護を行う方法としては、特に制限されず、一般的に、ホウ酸基の保護基を外すために用いられる方法であればよく、例えば、ジエタノールアミン及び塩酸を用いる方法、フッ素化水素カリウム及び塩酸を用いる方法等が挙げられる。
また、該脱保護工程により得られる該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)を、必要に応じ、シリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶等により精製することができる。
このようにして得られる該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、シス体に対するトランス体の含有比率が0.1〜5%であり、純度が95〜99.9%である。従って、該本発明のホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の製造方法は、前記本発明のホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)の製造に、好適に用いられる。
次に、本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造方法を、下記反応式(14)を参照して説明する。
Figure 2005306865
本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の製造方法は、前記一般式(6)に示すトルエン誘導体(以下、トルエン誘導体(6)とも記載する。)及び前記一般式(7)に示すベンズアルデヒド誘導体(以下、ベンズアルデヒド誘導体(7)とも記載する。)を反応させ、脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)を得るカップリング工程(B)、該カップリング工程(B)で得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)の脱離基を、ホウ酸基に置換し、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を得るホウ酸基導入工程を有する。
また、本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造方法は、該トルエン誘導体(6)及び該ベンズアルデヒド誘導体(7)を反応させ、脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)を得るカップリング工程(B)、該カップリング工程(B)で得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)の脱離基を、ホウ酸基に置換し、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を得るホウ酸基導入工程、該ホウ酸基導入工程で得られる該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)のメトキシ基を、ヒドロキシル基に変換して、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を得るヒドロキシル化工程を有する。
該カップリング工程(B)における該トルエン誘導体(6)及び該ベンズアルデヒド誘導体(7)の反応は、該トルエン誘導体(6)のホスホニウム基又はリン酸基等が結合している炭素原子と、該ベンズアルデヒド誘導体(7)のカルボニル基の炭素原子とを結合させると共に、該ホスホニウム基又はリン酸基等と、該カルボニル基の酸素原子とを脱離させて、二重結合を形成させるカップリング反応(B)であり、且つ立体選択的にトランス体のスチルベン骨格を形成させる反応である。
該トルエン誘導体(6)は、前記一般式(6)に示すように、トルエン誘導体のベンゼン環の2−位、3−位、4−位、5−位及び6−位のうちの2又は3箇所に、メトキシ基を有する。また、前記一般式(6)中のYが、ハロゲン化ホスホニウム基(−P)、リン酸基(−PO(OH))又はリン酸エステル基(−PO(OR)OH又は−PO(OR))である。該ハロゲン化ホスホニウム基としては、例えば、臭化トリフェニルホスホニウム基が挙げられる。該トルエン誘導体(6)は、例えば、非特許文献、J. Org. Chem. 62巻 4821−4826頁(1997年)(Meier, H.; Dullweber, U)に記載されている方法で製造される。具体的には、例えば、3,5−ジメトキシベンジルブロミドとトリエチルホスファイト(P(OEt))を、無溶媒で、160℃、12時間反応させて得られる。
該ベンズアルデヒド誘導体(7)は、前記式一般(7)に示すように、ベンズアルデヒドの4−位にメトキシ基を有する化合物である。また、前記一般式(7)中、Zの脱離基としては、有機合成反応で一般的に用いられる脱離基であれば特に制限されないが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が、リチオ化し易いのでホウ酸基と置換し易い点で好ましい。該ベンズアルデヒド誘導体(7)を製造する方法としては、特に制限されず、例えば、4−アニスアルデヒドに臭素等のハロゲン分子を反応させることにより、該ベンズアルデヒド誘導体(7)を製造することができる。
該カップリング工程(B)に係るカップリング反応(B)において、該トルエン誘導体(6)及び該ベンズアルデヒド誘導体(7)の反応を進行させるために、反応剤を用いることができる。該反応剤としては、特に制限されないが、例えば、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。
該カップリング反応(B)における溶媒は、該反応剤により、適宜選択される。また、該溶媒としては、市販のものを用いることができるが、乾燥操作又は脱水操作により水分を除去したものが、反応効率が高まる点で好ましい。
該カップリング反応(B)の反応温度は、通常0〜25℃である。該反応温度が0℃未満だと、反応が進行し難く、また、25℃を超えると副反応が起こり易くなる。該カップリング反応(B)の反応時間は、通常2〜12時間である。また、予め乾燥させた反応装置を用い、該カップリング反応(B)をアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが、反応効率が高まる点で好ましい。
また、該カップリング反応(B)により得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)を、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶等により精製することができる。
該カップリング反応(B)の一例を説明すると、ジメチルホルムアミド溶媒中に、該トルエン誘導体(6)及び該ベンズアルデヒド誘導体(7)を溶解させ、更にジメチルホルムアミドに溶解させたtert−ブトキシカリウムを加え攪拌、反応を行う。そして、所定時間経過後、ジエチルエーテルを用いて、生成した該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)を抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウム等で脱水し、ろ過した後、ろ液の溶媒を除去すれば、該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)を得ることができる。
該カップリング工程(B)により得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)は、トランス体に対するシス体の含有比率が10%以下、好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
該ホウ酸基導入工程は、該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)の脱離基Zを、ホウ酸基に置換する置換反応を行う工程である。
該置換反応において、脱離基Zをホウ酸基に置換するためのホウ酸基導入剤は、脱離基をホウ酸基に置換するために、通常用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、トリエチルボレート、トリイソプロピルボレート等のアルキルボレート(B(OR));ハロゲン化ボラン(BHX)等が挙げられる。
また、該置換反応において、反応を進行させるために、反応剤を用いることができる。該反応剤としては、特に制限されないが、例えば、n−ブリルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等が挙げられる。また、必要に応じて、触媒を用いることができる。該触媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホリルアミド(HMPA)、ヘキサメチルホスホリルトリアミド(HMPT)が挙げられる。
該置換反応における溶媒は、該ホウ酸基導入剤又は該反応剤若しくは該触媒により、適宜選択される。また、該溶媒としては、市販のものを用いることができるが、乾燥操作又は脱水操作により水分を除去したものが、反応効率が高まる点で好ましい。
該置換反応を行う反応温度は、特に制限されないが、好ましくは−100〜−20℃、特に好ましくは−80〜−60℃である。該反応温度が、−100℃未満だと置換反応が起こり難く、また、−20℃を超えると還元体(脱離基Zが水素原子に置換された化合物)の生成が多くなる。また、該置換反応を行なう反応時間は、特に制限されないが、概ね0.5〜1時間である。該反応時間が、0.5時間未満だと置換反応が十分に起こらず、また、1時間を超えても置換反応がそれ以上進行しないため非効率である。また、予め乾燥させた反応装置を用い、該反応をアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが、反応効率が高まる点で好ましい。
また、該置換反応により得られるホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶等により精製することができる。
該置換反応の一例を説明すると、テトラヒドロフラン溶媒に、該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(13)を溶解させ、更に、トルエン溶媒を加えて、−80〜−60℃に冷却する。次いで、イソプロピルボレートを滴下し、所定の時間攪拌する。次いで、n−ブチルリチウムを加え、−80〜−60℃で所定の時間攪拌し、徐々に温度を上げ、0〜20℃で、更に所定の時間攪拌する。
その後、硫酸水溶液を加えて、置換反応を終了させ、塩化メチレンを用いて、生成した該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウム等で脱水し、ろ過した後、ろ液の溶媒を除去すれば、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)が得られる。
このようにして得られる該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)は、トランス体に対するシス体の含有比率が0.1〜1%であり、純度が99〜99.9%である。従って、該本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の製造方法は、前記本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の製造に、好適に用いられる。
該ヒドロキシル化工程は、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)のメトキシ基をヒドロキシル基に変換する、ヒドロキシル化反応を行う工程である。
該ヒドロキシル化反応を行う方法としては、特に制限されず、一般的に、メトキシ基をヒドロキシル基に変換するために用いられる方法であればよく、例えば、三臭化ホウ素を用いる方法、三塩化ホウ素を用いる方法、ヨウ化トリメチルシランを用いる方法、ナトリウムエタンチオレートを用いる方法等が挙げられる。
該ヒドロキシル化反応における溶媒は、適宜選択される。また、該溶媒としては、市販のものを用いることができるが、乾燥操作又は脱水操作により水分を除去したものが、反応効率が高まる点で好ましい。
該ヒドロキシル化反応の反応温度は、通常−80〜−20℃である。該反応温度が−80℃未満だと、反応が進行し難く、また、−20℃を超えると副反応が起こり易くなる。該ヒドロキシル化反応の反応時間は、通常6〜12時間である。また、予め乾燥させた反応装置を用い、該ヒドロキシル化反応をアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが、反応効率が高まる点で好ましい。
また、該ヒドロキシル化工程により得られる該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を、必要に応じ、シリカゲルクロマトグラフィー又は再結晶等により精製することができる。
このようにして得られる該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、トランス体に対するシス体の含有比率が0.1〜1%であり、純度が99〜99.9%である。従って、該本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造方法は、前記本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造に、好適に用いられる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(カップリング工程(A))
アルゴン雰囲気下、室温で、3,4,5−トリメトキシフェニルエチン(前記一般式(2)中、Rがメトキシ基の化合物)2.9g(15mmol)、及び4−メトキシ−3−(ピナコレートボレート)ブロモベンゼン(前記一般式(3)中、Rがピナコレートボレート基、Rがメトキシ基、Xが臭素原子の化合物)4.7g(15mmol)を脱水したアセトニトリル溶媒に溶解させた。次に、該アセトニトリル溶液に、塩化銅(I)(CuI)0.22g(1.2mmol)及びテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh)0.87g(0.75mmol)を加えた。次に、攪拌しながらトリエチルアミン6.3ml(45mmol)を加え、70℃で20時間攪拌し、カップリング反応を行なった。
所定時間攪拌後、塩化アンモニウム水溶液を加え、カップリング反応を終了させ、塩化メチレンを用いて抽出を行った。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、更に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、ろ過を行った。得たろ液中の溶媒をエバポレーターで除去し、黄白色固体を得た。該黄白色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、黄白色固体の3,4,5−トリメトキシフェニル−4’−メトキシ−3’−(ピナコレートボレート)フェニルエチン(以下、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)と記載する。)1.2gを得た。この時、収率は20%であった。該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)の物性を表1に示す。
Figure 2005306865
(水素化工程)
シクロヘキセン0.61ml(6.0mmol)をテトラヒドロフラン8.0mlに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液を0℃にした。次に、該テトラヒドロフラン溶液に、1分かけてボラン−ジメチルスルフィド錯体の1M溶液3.0ml(3.0mmol)を滴下して、1時間撹拌し、続いて、テトラヒドロフラン12mlに溶解させた該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)1.1g(2.5mmol)を加え、0℃で2.5時間攪拌し、更に室温で30分攪拌した。その後、再びテトラヒドロフラン溶液を0℃にし、酢酸1.0ml(17mmol)を加え、2時間撹拌した。次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、塩化メチレンで抽出を行った。有機層を、塩化ナトリウム水溶液で脱水し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過を行った。得たろ液中の溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4:1)により精製し、油状液体の3,4,4’,5−テトラメトキシ−3’−(ピナコレートボレート)シス−スチルベン(以下、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E1)と記載する。)0.44gを得た。この時、収率は40%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E1)の物性を表2に示す。
Figure 2005306865
(脱保護工程)
2−プロパノール0.3mlに溶解させたジエタノールアミン0.12g(1.1mmol)及び該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E1)0.44g(1.0mmol)を混合し、続いてジエチルエーテル3.0mlを加え、室温で48時間攪拌した。所定時間攪拌後ろ過を行ない、ろ別した固体をジエチルエーテルで洗浄し、白色固体を得た。該白色固体をテトラヒドロフラン3.0mlに溶解させ、1mol/Lの塩酸水溶液3.0mlを加え、室温で1時間攪拌した。攪拌後、蒸留水及び酢酸エチルを加え抽出を行った。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と接触させ、弱塩基性とした後、飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、更に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。ろ過後、ろ液中の溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)によりで精製し、白色固体の3,4,4’,5−テトラメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン(前記一般式(1)中、Rがメトキシ基、Rがホウ酸基、Rがメトキシ基の化合物、以下、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)と記載する。)0.35gを得た。この時、収率は10%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)の物性を表3に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の水溶性)
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)の水に対する溶解度を求めたところ、23℃において、2.36×10−4mol/Lであった。比較のために、コンブレタスタチンA−4の溶解度を求めたところ、23℃において、3.86×10−5mol/Lであった。
(ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B16細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ジメチルスルホキシドにホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)を溶かした。次に、96穴プレート「3072」(Falcon社製)に、一穴あたりB16細胞0.5×10個、培地200μL、及び該ジメチルスルホキシド溶液を加え、最終的にジメチルスルホキシドの含有量が0.5%以下、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)の濃度が0.01〜100μg/mLとなるように調整した。これを37℃、二酸化炭素5%雰囲気下で3日間培養した後、培地を除きリン酸緩衝溶液PBS(−)50μLで3回洗浄する。クリスタルバイオレットの0.4%メタノール溶液20μLで細胞を染色し、マイクロプレートリーダー(波長490nm)で吸光度を測定し50%細胞成長阻害濃度(IC50)を決定した。その結果、B16細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、6.3×10−9mol/Lであった。
(ii)1−87細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
B16細胞0.5×10個に代え、1−87細胞0.5×10個とする以外は、上記(i)B16細胞に対する細胞成長阻害活性の評価と同様の方法で行った結果、1−87細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、5.1×10−9mol/Lであった。
(コンブレタスタチンA−4の生理活性の評価)
比較のために、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、該ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)のホウ酸基がヒドロキシル基である前記式(16)に示すコンブレタスタチンA−4とする以外は、上記と同様の方法で生理活性の評価を行ったところ、B16細胞に対するコンブレタスタチンA−4の細胞成長阻害濃度(IC50)は、4.6×10−9mol/Lであり、1−87細胞に対するコンブレタスタチンA−4の細胞成長阻害濃度(IC50)は、8.5×10−9mol/Lであった。
このように、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)は、コンブレタスタチンA−4に比べ、10倍程度水に溶け易く、また、チューブリン重合阻害活性を有することがわかった。
(カップリング工程(A))
アルゴン雰囲気下、室温で、3,4,5−トリメトキシフェニルエチン0.72g(3.8mmol)、及び4−(ピナコレートボレート)ヨードベンゼン(前記一般式(3)中、Rが水素原子、Rがピナコレートボレート基、Xがヨウ素原子の化合物)1.2g(3.8mmol)を脱水したアセトニトリル溶媒に溶解させた。次に、該アセトニトリル溶液に、塩化銅(I)(CuI)0.072g(0.038mmol)及びテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh)0.22g(0.019mmol)を加えた。次に、攪拌しながらトリエチルアミン0.93ml(6.7mmol)を加え、70℃で1.5時間攪拌し、カップリング反応を行なった。
所定時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、カップリング反応を終了させ、塩化メチレンを用いて抽出を行った。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、ろ過を行った。得たろ液中の溶媒をエバポレーターで除去し、黄白色固体を得た。該黄白色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、黄白色固体の3,4,5−トリメトキシフェニル−4’−(ピナコレートボレート)フェニルエチン(以下、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D2)と記載する。)1.1gを得た。この時、収率は71%であった。該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D2)の物性を表4に示す。
Figure 2005306865
(水素化工程)
保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)1.1g(2.5mmol)に代え、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D2)0.59g(1.5mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、油状液体の3,4,5−トリメトキシ−4’−(ピナコレートボレート)シス−スチルベン(以下、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E2)とも記載する。)0.40gを得た。この時、収率は67%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E2)の物性を表5に示す。
Figure 2005306865
(脱保護工程)
メタノール3.0mlに保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E2)を溶解させ、得たメタノール溶液に4mol/Lのフッ化水素カリウム水溶液0.5ml(2.0mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。攪拌後ろ過を行ない、ろ別した固体をジエチルエーテルで洗浄し、白色固体を得た。該白色固体を酢酸エチル3.0mlに溶解させ、1mol/Lの塩酸水溶液3.0mlを加え、室温で1時間攪拌した。水層を取り除いて得た有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と接触させ、弱塩基性とした後、飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、更に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。ろ過後、得たろ液中の溶媒を除去し、ヘキサン−塩化メチレンを用いて再結晶し、白色固体の3,4,5−トリメトキシ−4’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン(前記一般式(1)中、Rがメトキシ基、Rが水素原子、Rがホウ酸基の化合物、以下、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C2)と記載する。)0.054gを得た。この時、収率は46%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C2)の物性を表6に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B16細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C2)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、B16細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C2)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、2.6×10−6mol/Lであった。
(ii)1−87細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C2)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、1−87細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C2)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、3.2×10−6mol/Lであった。
(カップリング工程(A))
4−(ピナコレートボレート)ヨードベンゼン1.2g(3.8mmol)に代え、3−(ピナコレートボレート)ヨードベンゼン(前記一般式(3)中、Rがピナコレートボレート基、Rが水素原子、Xがヨウ素原子の化合物)2.0g(6.0mmol)をとする以外は、実施例2と同様の方法で行ったところ、黄白色固体の3,4,5−トリメトキシフェニル−3’−(ピナコレートボレート)フェニルエチン(以下、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D3)と記載する。)1.7gを得た。この時、収率は72%であった。該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D3)の物性を表7に示す。
Figure 2005306865
(水素化工程)
保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)1.1g(2.5mmol)に代え、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D3)1.2g(3.1mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、油状液体の3,4,5−トリメトキシ−3’−(ピナコレートボレート)シス−スチルベン(以下、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E3)と記載する。)0.6gを得た。この時、収率は53%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E3)の物性を表8に示す。
Figure 2005306865
(脱保護工程)
該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E1)0.44g(1.0mmol)に代え、該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E3)0.82g(2.1mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、白色固体の3,4,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン(前記一般式(1)中、Rがメトキシ基、Rがホウ酸基、Rが水素原子の化合物、以下、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C3)と記載する。)0.2gを得た。この時、収率は29%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C3)の物性を表9に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B16細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C3)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、B16細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C3)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、4.9×10−7mol/Lであった。
(ii)1−87細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C3)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、1−87細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C3)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、2.1×10−6mol/Lであった。
(カップリング工程(A))
アルゴン雰囲気下、室温で、3,5−ジメトキシフェニルエチン(前記一般式(2)中、Rが水素原子の化合物)0.88g(5.4mmol)、及び4−(ピナコレートボレート)ヨードベンゼン1.8g(5.4mmol)を脱水したアセトニトリル溶媒に溶解させた。次に、該アセトニトリル溶液に、塩化銅(I)(CuI)0.10g(0.54mmol)及びテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh)0.31g(0.27mmol)を加えた。次に、攪拌しながらトリエチルアミン2.2ml(16mmol)を加え、50℃で2時間攪拌し、カップリング反応を行なった。
所定時間攪拌後、塩化アンモニウム水溶液を加え、カップリング反応を終了させ、塩化メチレンを用いて抽出を行った。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、更に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、ろ過を行った。得たろ液中の溶媒をエバポレーターで除去し、黄白色固体を得た。該黄白色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=30/1)により精製し、黄白色固体の3,5−ジメトキシフェニル−4’−(ピナコレートボレート)フェニルエチン(以下、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D4)と記載する。)1.4gを得た。この時、収率は73%であった。該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D4)の物性を表10に示す。
Figure 2005306865
(水素化工程)
保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)1.1g(2.5mmol)に代え、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D4)0.80g(2.2mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、油状液体の3,5−ジメトキシ−4’−(ピナコレートボレート)シス−スチルベン(以下、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E4)と記載する。)0.55gを得た。この時、収率は68%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E4)の物性を表11に示す。
Figure 2005306865
(脱保護工程)
保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E1)0.44g(1.0mmol)に代え、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E4)0.5g(1.4mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、白色固体の3,5−ジメトキシ−4’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン(前記一般式(1)中、Rが水素原子、Rが水素原子、Rがホウ酸基の化合物、以下、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C4)と記載する。)0.1gを得た。この時、収率は25%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C4)の物性を表12に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B16細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C4)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、B16細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C4)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、1.2×10−5mol/Lであった。
(ii)1−87細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C4)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、1−87細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C4)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、9.1×10−6mol/Lであった。
(カップリング工程(A))
4−(ピナコレートボレート)ヨードベンゼン1.8g(5.4mmol)に代え、3−(ピナコレートボレート)ヨードベンゼン1.3g(4.0mmol)とする以外は、実施例4と同様の方法で行ったところ、黄白色固体の3,5−ジメトキシフェニル−3’−(ピナコレートボレート)フェニルエチン(以下、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D5)と記載する。)1.0gを得た。この時、収率は70%であった。該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D5)の物性を表13に示す。
Figure 2005306865
(水素化工程)
保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D1)1.1g(2.5mmol)に代え、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物(D5)0.88g(2.4mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、油状液体の3,5−ジメトキシ−3’−(ピナコレートボレート)シス−スチルベン(以下、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E5)と記載する。)0.41gを得た。この時、収率は47%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E5)の物性を表14に示す。
Figure 2005306865
(脱保護工程)
保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E1)0.44g(1.0mmol)に代え、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(E5)0.33g(0.89mmol)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、白色固体の3,5−ジメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)シス−スチルベン(前記一般式(1)中、Rが水素原子、Rがホウ酸基、Rが水素原子の化合物、以下、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C5)と記載する。)0.19gを得た。この時、収率は68%であった。該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C5)の物性を表15に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B16細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C5)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、B16細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C5)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、1.8×10−6mol/Lであった。
(ii)1−87細胞に対する細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C1)に代えて、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C5)とする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、1−87細胞に対するホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(C5)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、2.0×10−6mol/Lであった。
(カップリング工程(B))
アルゴン雰囲気下、3,5−ジメトキシベンジルリン酸ジエチルエステル(前記一般式(6)中、nが2であり、Yがリン酸ジエチルエステル基(−PO(OEt))であり、3−位及び5−位にメトキシ基を有する化合物)1.44g(5mmol)、及び3−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒド(前記一般式(7)中、Zが臭素原子である化合物)1.08(5mmol)を脱水したジメチルホルムアミド溶媒20mlに溶解させた。次に、脱水したジメチルホルムアミド溶媒10mlに溶解させたtert−ブトキシカリウム2.00g(15mmol)を0℃で滴下し室温で12時間撹拌して、カップリング反応を行った。そして、12時間撹拌後、ジエチルエーテルを用いて抽出を行った。
ジエチルエーテル層に水を加えてジメチルホルムアミドを除去し、5%炭酸水素ナトリウム溶液で洗った後、飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、さらに硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、ろ過を行った。得たろ液中の溶媒をエバポレーターで除去し、黄色固体を得た。
該黄色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸=10/1)により精製し、黄白色固体の3,4’,5−トリメトキシ−3’−ブロモ−トランス−スチルベン(以下、脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F1)と記載する。)0.99g(13.2mmol)を得た。このとき収率は63%であった。該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F1)の物性を下に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基導入工程)
アルゴン雰囲気下、該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F1)1.75g(5.0mmol)を脱水テトラヒドロフラン5mlに溶解させ、さらにトルエン溶媒20mlを加え、−78℃にした。続いて、イソプロピルボレイト(B(iso−CO))1.74ml(7.5mmol)を滴下し、30分撹拌した。
続いてn−ブチルリチウム4.38ml(7.0mmol)を加え、−78℃で1時間撹拌し、徐々に室温にした後、1時間撹拌した。続いて−20℃にし、10%硫酸水溶液2mlを加え、室温にし、反応を終了させた。
次いで、塩化メチレンを用いて抽出を行った。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた後、ろ過を行った。得たろ液中の溶媒をエバポレーターで除去し、黄色固体を得た。該黄色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、黄白色固体の3,4’,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン(前記式(4)中、nが2であり、3−位及び5−位にメトキシ基を有する化合物、以下、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)と記載する。)0.84g(1.67mmol)を得た。このとき収率は53%であった。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)の物性を下に示す。
Figure 2005306865
(ヒドロキシル化工程)
アルゴン雰囲気下、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)0.63g(2.0mmol)を脱水した塩化メチレン溶媒に溶解させ、−78℃で撹拌した。これに臭化ホウ素溶液(BBr、0.783M)7.6ml(6.0mmol)を滴下し、1時間反応を行った後、徐々に−40℃まで温度を上げ、さらに8〜12時間攪拌、反応を行った。反応後、氷水中に溶液を滴下して反応を終了させ、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水で洗い、飽和塩化ナトリウム水溶液で脱水した後、エバポレーターで溶媒を除去し、褐色固体を得た。該褐色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/メタノール=5/1)により精製し褐色固体の3,4’,5−トリヒロドキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン(前記式(5)中、mが2であり、3−位及び5−位にヒドロキシル基を有する化合物、以下、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B1)と記載する。)0.41g(1.5mmol)を得た。このとき収率は75%であった。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B1)の物性を下に示す。なお、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B1)は、MSスペクトル分析の溶媒であるメタノール中では、3’−位のジヒドロキシボリル基のヒドロキシル基が、メトキシ基に変換されるため、3,4’,5−トリヒロドキシル−3’−(ジメトキシボリル)トランス−スチルベンが検出された。
・MS (ESI negative) m/z ;299 (C14H10O3B(OMe)2)
更に、ヒドロキシル化により得られた化合物の構造を確認するために、(1S,2S,3R,5S)−(+)−ピナンジオールを用いて、上記ヒドロキシル化及び精製後の化合物を、安定なホウ酸エステルに誘導し、得られたホウ酸エステル化合物の分子量を、MS(ESI positive)で測定したところ、m/z;407(MH)を確認した。このことから、該ホウ酸エステル化合物は、ホウ酸基を有し、且つメトキシ基が全てヒドロキシル化されている、下記式(15)の構造であることが確認された。よって、ヒドロキシル化及び精製により得られた化合物の構造が、3,4’,5−トリヒロドキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベンであることが確認された。
・MS (ESI positive) m/z ;407 (C24H27O3BO5)
Figure 2005306865
(ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の細胞成長阻害活性の評価
ジメチルスルホキシドにホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)を溶かした。次に、96穴プレート「3072」(Falcon社製)に、一穴あたりB−16細胞0.5×10個、培地200μL、及び該ジメチルスルホキシド溶液を加え、最終的にジメチルスルホキシドの含有量が0.5%以下、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)の濃度が0.01〜100μg/mLとなるように調整した。これを37℃、二酸化炭素5%雰囲気下で3日間培養した後、培地を除きリン酸緩衝溶液PBS(−)50μLで3回洗浄する。クリスタルバイオレットの0.4%メタノール溶液20μLで細胞を染色し、マイクロプレートリーダー(波長490nm)で吸光度を測定し50%細胞成長阻害濃度(IC50)を決定した。その結果、B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、1.1×10−5mol/Lであった。
(ii)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B1)とする以外は、上記(i)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の細胞成長阻害活性の評価と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B1)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、9.0×10−6mol/Lであった。
(レズベラトロールの生理活性の評価)
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、レズベラトロール(18)とする以外は、上記(i)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の細胞成長阻害活性の評価と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するレズベラトロール(18)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、8.8×10−5mol/Lであった。
(レズベラトロール誘導体の生理活性の評価)
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、レズベラトロール(18)のトリメチルエーテル体(3,4’,5−トリメトキシ−トランス−スチルベン、下記式(19)に記載する化合物)とする以外は、上記(i)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の細胞成長阻害活性の評価と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するレズベラトロールのトリメチルエーテル誘導体(19)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、2.4×10−5mol/Lであった。
Figure 2005306865
(カップリング工程(B))
3,5−ジメトキシベンジルリン酸ジエチルエステルに代えて、3,4−ジメトキシベンジルリン酸ジエチルエステル(前記一般式(6)中、nが2であり、Yがリン酸ジエチルエステル基(−PO(OEt))であり、3−位及び4−位にメトキシ基を有する化合物)1.44g(5.0mmol)とする以外は、実施例6と同様の方法で行い、3,4,4’−トリメトキシ−3’−ブロモ−トランス−スチルベン(以下、脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F2)と記載する。)0.74g(2.1mmol)を収率42%で得た。該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F2)の物性を下に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基導入工程)
該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F1)に代えて、該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F2)1.05g(3.0mmol)を用いる以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、黄白色固体の3,4,4’−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン(前記式(4)中、nが2であり、3−位及び4−位にメトキシ基を有する化合物、以下、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A2)と記載する。)0.74g(2.3mmol)を得た。このとき収率は78%であった。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A2)の物性を下に示す。
Figure 2005306865
(ヒドロキシル化工程)
該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A2)0.27g(0.86mmol)とする以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、褐色固体の3,4,4’−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン(前記式(5)中、mが2であり、3−位及び4−位にヒドロキシル基を有する化合物、以下、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B2)と記載する。)0.20g(0.71mmol)を得た。このとき収率は83%であった。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B2)の物性を下に示す。なお、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B2)は、メタノール溶媒中で、3’−位のジヒドロキシボリル基のヒドロキシル基の1又は2個が、メトキシ基に変換された、3,4,4’−トリヒロドキシル−3’−(ジメトキシボリル)トランス−スチルベン及び3,4,4’−トリヒロドキシル−3’−(ヒドロキシル−メトキシボリル)トランス−スチルベンと共に検出された。
・MS (ESI negative) m/z;299 (C14H10O3B(OMe)2), 285 (C14H10O3B(OMe)OH), 271 (M-H)
(ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A2)とする以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A2)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、6.0×10−5mol/Lであった。
(ii)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B2)とする以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B2)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、4.8×10−5mol/Lであった。
(カップリング工程(B))
3,5−ジメトキシベンジルリン酸ジエチルエステルに代えて、2,5−ジメトキシベンジルリン酸ジエチルエステル(前記一般式(6)中、nが2であり、Yがリン酸ジエチルエステル基(−PO(OEt))であり、2−位及び5−位にメトキシ基を有する化合物)1.44g(5.0mmol)とする以外は、実施例6と同様の方法で行い、2,4’,5−トリメトキシ−3’−ブロモ−トランス−スチルベン(以下、脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F3)と記載する。)0.91g(2.6mmol)を収率52%で得た。該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F3)の物性を下に示す。
Figure 2005306865
(ホウ酸基導入工程)
該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F1)に代えて、該脱離基含有トランス−スチルベン化合物(F3)0.35g(1.0mmol)を用いる以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、黄白色固体の2,4’,5−トリメトキシ−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン(前記式(4)中、nが2であり、2−位及び5−位にメトキシ基を有する化合物、以下、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A3)と記載する。)0.21g(0.67mmol)を得た。このとき収率は67%であった。該ホウ酸含有トランス−スチルベン化合物(A3)の物性を下に示す。
Figure 2005306865
(ヒドロキシル化工程)
該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A3)0.31g(1.0mmol)とする以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、褐色固体の2,4’,5−トリヒドロキシル−3’−(ジヒドロキシルボリル)トランス−スチルベン(前記式(5)中、mが2であり、2−位及び5−位にヒドロキシル基を有する化合物、以下、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B3)と記載する。)0.17g(0.62mmol)を得た。このとき収率は62%であった。該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B3)の物性を下に示す。なお、該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B3)の3’−位のジヒドロキシボリル基のヒドロキシル基が、メトキシ基に変換された、2,4’,5−トリヒロドキシル−3’−(ジメトキシボリル)トランス−スチルベンが検出された。
・MS (ESI negative) m/z; 299 (C14H10O3B(OMe)2)
(ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物の生理活性の評価)
(i)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A3)とする以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A3)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、6.0×10−6mol/Lであった。
(ii)B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の細胞成長阻害活性の評価
ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A1)に代えて、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B3)とする以外は、実施例6と同様の方法で行ったところ、B−16細胞に対するホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B3)の細胞成長阻害濃度(IC50)は、6.0×10−6mol/Lであった。
本発明のホウ酸基含有シス−スチルベン化合物(1)は、チューブリン重合阻害効果を有する医薬品であって、生体内で生理活性が低下し難い医薬品、又は生体内における挙動解析が容易な医薬品の製造に好適に用いられる。本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)及び本発明のホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)は、アポトーシス誘導作用を有する医薬品であって、生体内で生理活性が低下し難い医薬品、又は生体内における挙動解析が容易な医薬品の製造に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2005306865
    (式中、Rは水素原子又はメトキシ基を示し、Rは水素原子、ホウ酸基又はメトキシ基を示し、Rは水素原子、ホウ酸基又はメトキシ基を示し、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、R又はRのいずれか一方がホウ酸基である。)で表されるホウ酸基含有シス−スチルベン化合物。
  2. 下記一般式(2):
    Figure 2005306865
    (式中、Rは水素原子又はメトキシ基を示す。)で表される一置換アルキン化合物及び下記一般式(3):
    Figure 2005306865
    (式中、Xは脱離基を示し、Rは水素原子、保護ホウ酸基又はメトキシ基を示し、Rは水素原子、保護ホウ酸基又はメトキシ基を示し、R又はRのいずれか一方が保護ホウ酸基である。)で表される保護ホウ酸基含有ベンゼン化合物を反応させ、保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物を得るカップリング工程(A)、該カップリング工程(A)で得られる該保護ホウ酸基含有二置換アルキン化合物を水素化して、保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物を得る水素化工程、及び該水素化工程で得られる該保護ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物のホウ酸基の保護基を外して、ホウ酸基含有シス−スチルベン化合物を得る脱保護工程を有することを特徴とするホウ酸基含有シス−スチルベン化合物の製造方法。
  3. 下記一般式(4):
    Figure 2005306865
    (式中、Rはメトキシ基を示し、nは2又は3である。)で表されるホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)。
  4. 下記一般式(5):
    Figure 2005306865
    (式中、Rはヒドロキシル基を示し、mは2又は3である。)で表されるホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)。
  5. 下記一般式(6):
    Figure 2005306865
    (式中、Rはメトキシ基を示し、Yはハロゲン化ホスホニウム基、リン酸基又はリン酸エステル基を示し、nは2又は3である。)で表されるトルエン誘導体及び下記一般式(7):
    Figure 2005306865
    (式中、Zは脱離基を示す。)で表されるベンズアルデヒド誘導体を反応させ、脱離基含有トランス−スチルベン化合物を得るカップリング工程(B)、該カップリング工程(B)で得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物の脱離基を、ホウ酸基に置換し、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を得るホウ酸基導入工程を有することを特徴とするホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)の製造方法。
  6. 下記一般式(6):
    Figure 2005306865
    (式中、Rはメトキシ基を示し、Yはハロゲン化ホスホニウム基、リン酸基又はリン酸エステル基を示し、nは2又は3である。)で表されるトルエン誘導体及び下記一般式(7):
    Figure 2005306865
    (式中、Zは脱離基を示す。)で表されるベンズアルデヒド誘導体を反応させ、脱離基含有トランス−スチルベン化合物を得るカップリング工程(B)、該カップリング工程(B)で得られる該脱離基含有トランス−スチルベン化合物の脱離基を、ホウ酸基に置換し、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)を得るホウ酸基導入工程、及び該ホウ酸基導入工程で得られる該ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(A)のメトキシ基を、ヒドロキシル基に変換して、ホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)を得るヒドロキシル化工程を有することを特徴とするホウ酸基含有トランス−スチルベン化合物(B)の製造方法。
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JP2009537526A (ja) * 2006-05-15 2009-10-29 ジョージタウン・ユニバーシティ 治療もしくは診断剤の全身投与のための抗体もしくは抗体断片標的化免疫リポソームの製造およびその使用
WO2011022502A1 (en) * 2009-08-18 2011-02-24 Georgetown University Boronic acid compositions and methods related to cancer
JP2014024778A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Asahi Kasei Corp 芳香族ホウ素化合物の製造方法

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