JP2005334146A - 棒状化粧料容器用中皿 - Google Patents

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毅 木村
Tomohiko Onda
智彦 恩田
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Abstract

【課題】 棒状化粧料の抜け、ちぎれ、折れの防止効果が極めて高い棒状化粧料容器用中皿並びに該中皿を具備する棒状化粧料容器及び棒状化粧用具を提供すること。
【解決手段】 筒状部1Aを有し、筒状部1Aの内壁面18に、棒状化粧料の係合用突起2が複数個設けられており、係合用突起2は、筒状部1Aの略同じ高さに複数個設けられて、突起列4A、4Bを形成しており、突起列4A、4Bは、筒状部1Aの長手方向X−Xに1〜3mm離間して複数列設けられており、長手方向X−Xと直交する直交平面への投影図において、係合用突起2と筒状部1Aの内壁面18との接合部における筒状部1Aの周方向に沿う長さの総計が、各突起列4A、4Bにおいて、係合用突起2が配された箇所における筒状部1Aの内周長の70%以下であり、係合用突起2は、前記直交平面への投影形状がそれぞれ重ならないように設けられている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、口紅等の棒状化粧料用の容器において棒状化粧料をその下部で保持するための棒状化粧料容器用中皿並びに該中皿を具備する棒状化粧料容器及び棒状化粧用具に関する。
棒状化粧料容器は、一般的に、棒状化粧料を備えた本体部と該本体部を被覆するキャップとからなる。本体部としては、例えば、中皿と該中皿を移動可能とする繰り出し機構とを備えたものがあり、該中皿としては、例えば、棒状化粧料の外径とほぼ等しい内径の筒状部を有し、該筒状部に棒状化粧料の下部を装着した形で棒状化粧料を保持する構造のものがある。
棒状化粧料容器に棒状化粧料が収納されてなる棒状化粧用具においては、運搬又は使用する際等に、振動や外力によって棒状化粧料が中皿から抜けることを防止するために、中皿の筒状部の内壁面に係合用突起を設けて棒状化粧料に食い込ませるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1〜5参照)。特許文献1〜5に記載の中皿においては、1個あるいは複数個の係合用突起からなる突起列が筒状部の長手方向に複数列設けられている。
特開平8−112140号公報 米国特許第2858937号明細書 実開昭62−67515号公報 米国特許第6158911号明細書 米国特許第6290414号明細書
棒状化粧料の中皿からの抜けを効率的に防止するためには、係合用突起の寸法を大きくして、係合用突起が棒状化粧料に深く食い込むようにすればよいが、こうすると逆に棒状化粧料自身の強度が低下し、振動、落下などの衝撃によって棒状化粧料が係合用突起付近で破断する(ちぎれる)といった現象が起きやすくなる。さらに、棒状化粧料(例えば口紅)を被塗布体(例えば唇)に押しつけたときに係合用突起付近に応力が集中して、その近傍から棒状化粧料が折れるという現象が起きやすくなる。したがって、効率的に抜けを防止するとともに、ちぎれや折れの発生も十分に抑制できるような係合用突起の考案が望まれる。
抜け防止用の係合用突起の存在に伴う棒状化粧料のちぎれを防止するために、特許文献1〜5にも記載されているように、係合用突起を中皿の筒状部の長手方向に多列状に配する方法が有効である。係合用突起が中皿の筒状部の長手方向に分散して配置されるため、棒状化粧料の強度の局所的低下を防ぐことができるからである。
しかしながら、特許文献1、2に記載の中皿においては、各突起列が中皿の筒状部の全周に渡ってつながった1つの突起から形成されているため、突起列付近で棒状化粧料の断面積が著しく減少し、化粧料の強度が低下するため、ちぎれが発生し易い。あるいは、係合用突起の外周長M2の総計(後述)を大きくすることができず、抜け防止効果が小さい。
また、特許文献3記載の中皿においては、各突起列が中皿の筒状部の周方向に離間した複数の係合用突起から形成されているが、中皿の筒状部の長手方向と直交する平面への係合用突起の投影形状が重なっているため、やはり係合用突起の外周長M2の総計(後述)を大きくできず、抜け防止効果が十分ではない。
また、特許文献4、5に記載の中皿においては、2つの係合用突起で形成された突起列を2列有する中皿が開示されているが、抜け、ちぎれ、折れの防止を目的としたものではないため、突起列の間隔、係合用突起の数や形状に関しての最適化が行われておらず、本発明の目的を満足するものではない。たとえば特許文献4、5に記載の係合用突起は、扁平板状で、その幅(筒状部の周方向の幅)に対してその長さ(その基部からその先端部までの長さ)が短く、また突起表面の各平面の交線部分が尖鋭になっている。そのため、中皿に充填された溶融状態の化粧料が固化時に収縮したとき、係合用突起の棒状化粧料への食い込みが浅くなり易く、棒状化粧料の抜け防止効果が十分ではない。さらに、突起に尖鋭部分があるため、棒状化粧料のちぎれや折れが発生しやすいという欠点を有する。
従って、本発明の目的は、棒状化粧料の抜け、ちぎれ、折れを同時に防止する効果が極めて高い棒状化粧料容器用中皿並びに該中皿を具備する棒状化粧料容器及び棒状化粧用具を提供することにある。
本発明は、筒状部を有し、該筒状部の内壁面に、棒状化粧料の係合用突起が複数個設けられており、該係合用突起は、該筒状部の略同じ高さに複数個設けられて、突起列を形成しており、該突起列は、該筒状部の長手方向に1〜3mm離間して複数列設けられており、該長手方向と直交する直交平面への投影図において、該係合用突起と該筒状部の内壁面との接合部における該筒状部の周方向に沿う長さの総計が、各該突起列において、該係合用突起が配された箇所における該筒状部の内周長の70%以下であり、該係合用突起は、該直交平面への投影形状がそれぞれ重ならないように設けられている棒状化粧料容器用中皿を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、前記棒状化粧料容器用中皿及び該中皿を前記長手方向に沿って移動可能とする繰り出し機構を備えた本体部と、該本体部を被覆するキャップとからなる棒状化粧料容器を提供するものである。
また、本発明は、前記棒状化粧料容器における前記中皿に棒状化粧料が収納されてなる棒状化粧用具を提供するものである。
本発明の棒状化粧料容器用中皿、棒状化粧料容器及び棒状化粧用具によれば、棒状化粧料の抜け、ちぎれ、折れの防止効果が極めて高い。
以下、本発明の棒状化粧料容器用中皿(以下単に「中皿」ともいう)を、その好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の中皿1は、図1〜図7に示すように、筒状部1Aを有し、筒状部1Aの内壁面18に、棒状化粧料の係合用突起2が複数個設けられており、係合用突起2は、筒状部1Aの略同じ高さに複数個設けられて、突起列4A、4Bを形成しており、突起列4A、4Bは、筒状部1Aの長手方向X−Xに1〜3mm(図6に示す間隔J)離間して複数列設けられており、長手方向X−Xと直交する直交平面P1への投影図において、係合用突起2と筒状部1Aの内壁面18との接合部における筒状部1Aの周方向に沿う長さM3の総計が、各突起列4A、4Bにおいて、係合用突起2が配された箇所における筒状部1Aの内周長M1の70%以下であり、係合用突起2は、直交平面P1への投影形状がそれぞれ重ならないように設けられている。
尚、本発明の説明においては、「上」とは筒状部の先端部11側をいい、「下」とは筒状部の後端部15側をいう。「筒状部の周方向」とは、図2に示すように筒状部を平面視したときにおける筒状部の内壁面の周方向をいい、「筒状部の内周中心」とは、筒状部を平面視したときにおける筒状部の中心をいう。
また、以下の説明において、「係合用突起」又は「係合用突起2」という表現は、係合用突起に共通の説明をする場合に用い、「突起列」又は「突起列4」という表現は、突起列に共通の説明をする場合に用いる。図4〜図7は、上方の突起列4Aを形成する係合用突起2A、2Bを示しているが、図4〜図7を用いた係合用突起に関する説明は、特に説明のない限り、他の形態の係合用突起にも適宜適用される。
本実施形態の中皿1について以下に詳述する。
本実施形態の中皿は、図1〜図3に示すように、筒状部1Aを有している。筒状部1Aは略円筒形状で、その外壁面は、先端部11から後端部15に向けて、細径部12、太径部13、受皿嵌合部14、係止部17の順で外径が異なっている。
細径部12の外壁面は円筒面となっており、太径部13の外壁面は、細径部12よりも太径の円筒面となっている。受皿嵌合部14の外壁面は、太径部13よりも細径の円筒面となっており、受皿(後述)が嵌合されるようになっている。係止部17の外壁面は、後端部15から受皿嵌合部14に向けて徐々に太径になっており、係止部17の上端部は、受皿嵌合部14よりも太径になっている。
係止部17には、平面視で周方向に90°おきに切り欠き16が4個形成されている。
筒状部1Aの内壁面18は、図2及び図3に示すように、平面視で、先端部11から後端部15に亘って段差のない平滑な円周面になっている。
図1〜図3に示すように、筒状部1Aの内壁面18には、内壁面18から突出する棒状化粧料の係合用突起2が12個設けられている。
詳細には、内壁面18における受皿嵌合部14の上端近傍の高さ(位置)に、係合用突起2A、2Bが4個ずつ設けられており、この8個の係合用突起2A、2Bから、上方の突起列4Aが形成されている。また、該係合用突起2A、2Bの高さよりも低い高さ(位置)に、係合用突起2Fが4個設けられており、この4個の係合用突起2Fから、下方の突起列4Bが形成されている。
係合用突起2は、筒状部1Aと一体的に成形されていてもよく、筒状部1Aとは別体に形成した後、筒状部1Aに接合されて形成されていてもよい。
係合用突起2は、図4に示すように、筒状部1Aの内壁面18との接合部である基部21と、自由端である先端部22と、それらの間の中間部23とからなる。「係合用突起の先端部」とは、図5に示すように、側面視で、筒状部1Aの内壁面18から筒状部1Aの内周中心に向けての最大高さH(内壁面18と直線L3との距離)を有している場所をいう。尚、その場所が複数ある場合は、筒状部1Aの先端部11に最も近いものを選ぶものとする。
係合用突起2は、図4及び図5に示すように、その基部21からその先端部22に向かう長さK2が、筒状部1Aの周方向に沿う幅K1よりも長くなっている。係合用突起についての「基部から先端部に向かう長さ」とは、図5に示す基部21の上下方向中央部21aと先端部22との間の長さK2をいう。
係合用突起2の基部21からその先端部22に向かう長さK2が、筒状部1Aの周方向に沿う幅K1よりも長くなっていると、係合用突起2の外周長M2(後述、図7参照)を長くすることができ、化粧料の抜け防止効果が向上する(後述)。また、中皿1の筒状部1Aに充填された溶融状態の化粧料は固化時に収縮する傾向があるが、前記長さK2を前記幅K1よりも長くすることにより、化粧料の固化時の収縮に伴う、化粧料と係合用突起との支持面積の減少を小さくすることができ、化粧料の抜け防止効果が向上する。
係合用突起2は、筒状部1Aの周方向に沿う幅が、その基部21からその先端部22に向けて徐々に細く(先細りに)なっている。先細り形状であると、筒状部1Aの周方向に隣接する係合用突起2の先端部22同士の間の領域が狭くならず、化粧料の強度が保たれる。
上方の突起列4Aを形成する係合用突起2A、2Bにおいては、基部21は、図4(a)に示すように、正面視で略長方形である。中間部23は、図4(a)に示すように、正面視で、基部21から先端部22に向けて徐々に細くなる形状を有しており、図4(b)に示すように、側面視で、基部21(筒状部1Aの内壁部18)から横向きに延出した後、上方に向けて徐々に向きを変えて先端部22に亘っている。先端部22は、丸みを帯びている。
係合用突起2においては、各稜線が丸みを帯びており、尖鋭部分を有していない。尖鋭部分を有していない係合用突起は、尖鋭部分を有している係合用突起に比して、外部から衝撃や圧力が加わったときの棒状化粧料への応力集中を防止でき、棒状化粧料の折れ、抜け、ちぎれの防止効果が一層向上している。例えば棒状化粧料(口紅)を被塗布体(唇)に押しつけたとき、尖鋭部分のない係合用突起を有する中皿においては、係合用突起付近での応力集中が少なくなり、その近傍から棒状化粧料が折れるという現象が起きにくくなる。
係合用突起2A、2B及び2Fは、何れも、図3〜図6に示すように、筒状部1Aの長手方向X−X(図1参照)と直交する直交平面P1に対して傾斜して設けられている。そして、上方の突起列4Aにおいては、筒状部1Aの周方向に隣接する係合用突起2A、2Bは、図1〜図3に示すように、直交平面P1に対する傾斜方向が互いに反対向きである。即ち、8個の係合用突起2A、2Bは、図2に示すように、筒状部1Aの周方向に離間して設けられており、上向きに傾斜した上向き突起2Aと下向きに傾斜した下向き突起2Bとが近接して、2個一対で突起群3を形成している。そして、4個の突起群3が、平面視で、筒状部1Aの周方向に90°おきに配置されている。下方の突起列4Bにおいては、4個の係合用突起2Fが、図1〜図3に示すように、直交平面P1に対して同じ向き(上向き)に傾斜している。そして、平面視で、筒状部1Aの周方向に90°おきに配置されている。
上方の突起列4Aを形成する各係合用突起2A、2Bは、図1〜図3に示すように、筒状部1Aの内壁面18の略同じ高さに設けられている。また、下方の突起列4Bを形成する各係合用突起2Fは、図1〜図3に示すように、筒状部1Aの内壁面18の略同じ高さに設けられている。「略同じ高さに設けられている」とは、各係合用突起2がある適当に選んだ一つの直交平面P1と交差するように設けられていることを意味する。
上方の突起列4Aにおいては、図3に示すように、上向き突起2Aと下向き突起2Bとは、上向き突起2Aの先端部22と下向き突起2Bの基部21の上端部とが略同じ高さに配置されており、上向き突起2Aの基部21の下端部と下向き突起2Bの先端部22とが略同じ高さに配置されている。下方の突起列4Bにおいては、図3に示すように、すべての係合用突起2Fの基部の高さが同じになっている。
長手方向X−Xと直交する直交平面P1への投影図(図7参照)において、係合用突起2と筒状部1Aの内壁面18との接合部における筒状部1Aの周方向に沿う長さM3(図7参照)の各突起列での総計は、各突起列4において、係合用突起2が配された箇所における筒状部1Aの内周長M1の70%以下であり、好ましくは50%以下である。尚、「筒状部の内周長M1」は、係合用突起を取り除いたときの筒状部1Aの内壁面18の周長(平面視で1周分)である。前記範囲の長さM3が好ましい理由は以下の通りである。
係合用突起2の突起列4を複数列設けても、突起列4を形成する係合用突起2が筒状部1Aの全周近くに亘って設けられていると、その突起列4の付近で棒状化粧料の断面積が小さくなるため棒状化粧料の強度が低下してちぎれが発生しやすく、突起列4を複数列設けた効果が低減する。そこで、各突起列4において前記長さM3の総計を前記内周長M1の70%以下とすることにより、各突起列4に係合用突起2を分散して配置し、特定の突起列4において棒状化粧料の断面積が著しく小さくなることを避けることができる。また、係合用突起2を内壁面18の周方向に断続的に分散して配置することにより、溶融状態の棒状化粧料を中皿の筒状部1Aに充填したときに係合用突起2の影(筒状部1Aの先端部11側)に気泡が残るのを防ぐことができる。
筒状部1Aの先端部11に最も近接した係合用突起2の基部21から筒状部1Aの先端部11までの筒状部1Aの長手方向X−Xに沿う距離N(図3参照)は、直交平面P1に投影した筒状部1Aの内壁面18の内径(直径)N1(図2参照)の好ましくは95%以上、更に好ましくは105%以上である。棒状化粧料(例えば口紅)を被塗布体(例えば唇)に押し付けたとき、棒状化粧料はおおよそ、被塗布体との接触点を作用点、中皿1の先端部11との接触点を支点、係合用突起2との接触点を力点として変形するが、距離Nを大きくすることにより、棒状化粧料内に発生する剪断力が低減され、棒状化粧料が折れ難くなる。一方、棒状化粧料はその外径(直径)すなわち筒状部1Aの内径N1が大きいほど折れ難くなるため、前記距離Nの好ましい範囲は内径N1との相対関係で定まり、通常の棒状化粧料(例えば口紅、リップクリーム、スティックアイシャドウ)においては、距離Nの内径N1に対する比を95%以上とすることにより折れを防止することができる。なお、直交平面P1に投影した筒状部1Aの内壁面18が一定内径の円形状でない場合は、係合用突起2から先端部11までの間で、筒状部1Aの内周中心を通る直線と内壁面18との二つの交点間の距離の最小値を内径N1と定義する。直交平面P1に投影した筒状部1Aの内壁面18が例えば楕円体である場合は、内径N1は楕円体の短軸の長さを表す。
本発明の中皿においては、隣接する突起列4A、4Bの筒状部1Aの長手方向X−Xに沿う間隔J(図6参照)は、1〜3mmとなっている。該間隔Jは、上方の突起列4Aを形成する係合用突起2A、2Bの基部の下端のうちの最下端と、下方の突起列4Bを形成する係合用突起2Fの基部の上端のうちの最上端との間隔をいう。間隔Jが1mm未満になると係合用突起2A、2B、2Fが接近し、突起列4を複数列設けた効果が低下する。その結果、突起列4A、4B付近での棒状化粧料の断面積が小さくなり、ちぎれが発生しやすくなる。間隔Jを3mmより大きくすると、必然的に、上方の突起列4Aが筒状部1Aの先端部11に近接するか、あるいは下方の突起列4Bが筒状部1Aの後端部15に近接する。係合用突起2が筒状部1Aの先端部11に近接すると、前記のように棒状化粧料の折れが発生し易くなり、逆に、係合用突起2が筒状部1Aの後端部15に近接すると棒状化粧料の抜けが発生し易くなる。
図7に示すように、直交平面P1への投影図において、係合用突起2の外周長M2の総計は、係合用突起2が配された箇所における筒状部1Aの内周長M1の70%〜200%であることが好ましく、100%〜180%であることが更に好ましい。「係合用突起の外周長」M2は、係合用突起2における筒状部1Aの内壁面18からの延出部分の外周長であり、「総計」は、全ての係合用突起2に関する総和を意味する。尚、係合用突起2が配された箇所における筒状部1Aの内周長M1が各突起列で異なる場合は、各突起列での内周長M1の、全突起列に関する算術平均を内周長M1と定義する。
これらの範囲が好ましい理由は以下の通りである。
棒状化粧料Cが中皿1から上方向に抜けるとき、係合用突起2の外周に沿って棒状化粧料に剪断面(破断面)が形成される。そしてこの剪断面が係合用突起2から棒状化粧料Cの後端部C1(図12参照)にまで至って、棒状化粧料Cが中皿から抜ける。したがって、この剪断面の面積Sが大きいほど、棒状化粧料Cは中皿1から抜け難い。棒状化粧料は剪断面における化粧料同士の接着力によって抜けに耐えるからである。したがって、係合用突起2の外周長M2あるいは外周長M2の筒状部1Aの内周長M1に対する比が大きいほど棒状化粧料は抜けにくくなる傾向にある。
その一方で、外周長M2あるいは外周長M2の筒状部1Aの内径長M1に対する比を大きくするために、係合用突起2の数を多くしすぎると、隣接する係合用突起2の間のスペースに入る棒状化粧料の量が少なくなり、棒状化粧料の一部が係合用突起2間に残存した状態で棒状化粧料が抜けるということが起き、外周長M2の総計を長くした効果が現れなくなる。また、係合用突起2間が狭いため、棒状化粧料が係合用突起2間にスムーズに充填されず、気泡が残り易くなる。しかも中皿の成形が難しくなる。
係合用突起の数は、特に制限はないが、好ましくは6個〜14個である。係合用突起の数が多いほど、前記外周長M2の総計が長くなり棒状化粧料Cが抜けにくくなるが、多すぎると前記の通り、抜け防止効果が低減したり、気泡残りや中皿の成形不備が起こりやすくなる。前記長さK2が前記幅K1よりも長い係合用突起を用いると、少ない数の係合用突起で前記外周長M2の総計を長くすることができて、好ましい。
本発明の中皿において、筒状部1Aの先端部11から離間した、下方の突起列4Bを形成する係合用突起2Fの数が、筒状部1Aの先端部11に近い、上方の突起列4Aを形成する係合用突起2A、2Bの数よりも少なくなるように、係合用突起2の数を各突起列に配分することが好ましい。前記のように、係合用突起2による抜け防止効果は棒状化粧料に形成される前記剪断面の面積Sが大きいほど高くなる。一方、下方の突起列4Bよりも上方の突起列4Aの方が、係合用突起2から棒状化粧料Cの後端部C1(図12参照)までの距離が長く、前記剪断面の面積Sが大きくなる。従って、上方の突起列4Aの係合用突起の方が抜け防止により大きな寄与をし、筒状部1Aの先端部11に近い突起列により多くの係合用突起を配置するのが有効である。
係合用突起2は、直交平面P1への投影形状がそれぞれ重ならないように設けられている。「直交平面P1への投影形状がそれぞれ重ならない」とは、図2に示すように、平面視で、中皿1に設けられた全ての係合用突起2が全く重ならないことをいう。係合用突起2をこのような配置で設けることにより、同じ数の係合用突起2に対して前記剪断面の面積Sを大きくすることができ、棒状化粧料の抜け難さを更に向上させることができる。
本発明の中皿においては、図1〜図3に示すように、係合用突起2を筒状部1Aの長手方向X−Xと直交する直交平面P1に対して傾斜して設けることによって、抜け、ちぎれの防止性能が一層向上する。係合用突起2の直交平面P1に対する傾斜角度θ1は、好ましくは45°〜80°、更に好ましくは50°〜70°である。「係合用突起の直交平面に対する傾斜角度」とは、図5に示すように、側面視で、基部21の上下方向中央部21aを通る直交平面P1を示す直線をL1とし、基部21の上下方向中央部21aと先端部22とを結ぶ直線をL2としたときにおける直線L1と直線L2とのなす角度θ1(0°〜90°)をいう。
前記範囲の傾斜角度θ1が好ましい理由は以下の通りである。
筒状部1Aの内周中心に向けての最大高さH(図5参照)を保持しつつ、係合用突起2の傾斜角度θ1を大きくすると、中皿1に収納されている棒状化粧料と係合用突起2との接触面積が大きくなり、両者間の摩擦力が増加するとともに、落下等の際に棒状化粧料に加わる衝撃力が空間的に分散され、棒状化粧料が中皿1から抜け難くなる。また、係合用突起2の近傍では棒状化粧料の断面積(直交平面P1で切ったときの断面積)が減少し、棒状化粧料の強度が低下するが、傾斜角度θ1を大きいと、棒状化粧料の断面積の減少は小さく保たれるので、棒状化粧料の強度が確保され、ちぎれ難くなる。
一方で、係合用突起2の傾斜角度θ1を大きくし過ぎると、係合用突起2と筒状部1Aの内壁面18との間隔が狭まり、溶融した棒状化粧料を中皿1に充填する際に棒状化粧料が係合用突起2の周囲を十分に回り込むことができず、棒状化粧料の内部に気泡が残り易い。更に、上向き突起の先端部22から中皿1の先端部11までの距離が短くなり、棒状化粧料が折れ易くなる(欠点1)。また下向き突起の背後に位置する棒状化粧料の長さ〔係合用突起2Bの先端部22から棒状化粧料Cの後端部C1(図12参照)までの距離〕が短くなり、棒状化粧料が中皿1から抜け易くなる(欠点2)。更にまた、中皿1自体の成形が難しくなる。
本実施形態における上方の突起列4Aにおいては、係合用突起2として、上向き突起2Aと下向き突起2Bとを組み合わせて、筒状部1Aの周方向に交互に配置することにより、前記欠点1及び2を緩和することができる。すなわち、棒状化粧料における前記欠点1及び2を有する箇所が空間的に分散され、極端に弱い箇所がなくなる。また、隣接する係合用突起2A、2Bが反対向きに傾斜しているため、突起間のスペースが広がり、溶融した棒状化粧料を中皿1にスムーズに充填できる。一方、下方の突起列4Bにおいては、係合用突起2Fから棒状化粧料Cの後端部C1までの距離が短いため、前記欠点2が顕著に現れやすい。このためすべての係合用突起2Fを上向き突起とし、前記欠点2の発現を防止している。
本実施形態の中皿1の筒状部1Aには、図12に示すように、棒状化粧料Cが収納される。棒状化粧料Cの上部は、筒状部1Aの先端部11から延出しており、棒状化粧料Cの下部は、筒状部1Aの内部に収納されている。棒状化粧料Cの下端部C1は、筒状部1Aの後端部15から若干後退した位置に配置している。
中皿1の筒状部1Aは、硬質素材で形成することができる。ここで、硬質素材は、繰り出し機構6(後述)の中で中皿1が上下移動をする際に必要な摺動性を有する素材を意味し、金属や硬質樹脂が含まれる。射出成形により生産性良く製造し得る点では、硬質樹脂が好ましい。
硬質樹脂としては、例えば、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアセタール(POM)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が挙げられる。透明であることが求められる場合にはASを、不透明であることが求められる場合にはABSを使用することができる。
硬質素材の選択においては、棒状化粧料との相性、例えば、棒状化粧料との接着力や硬質素材と棒状化粧料とが相互に品質劣化を起こす等の悪影響を及ぼさないことを考慮して選択するのが好ましい。
以上の説明の通り、本実施形態の中皿においては、係合用突起2が筒状部1Aの略同じ高さに複数個設けられて、突起列4を形成し、突起列4が筒状部1Aの長手方向X−Xに所定間隔離間して複数列設けられ、直交平面P1への投影図において係合用突起2が所定の配置で形成されているため、係合用突起2が分散して配置され、係合用突起2の近傍において棒状化粧料の断面積が著しく小さくならず、棒状化粧料の折れやちぎれが発生し難い。従って、本実施形態の中皿によれば、棒状化粧料の抜け、ちぎれ、折れの防止効果が極めて高い。
次に、本発明の棒状化粧料容器用中皿の別の実施形態について説明する。特に説明しない点については、図1〜図3に示す実施形態についての説明が適宜適用される。以下に示す別の実施形態においても、図1〜図3に示す実施形態と同様の効果が奏される。
図8に示す実施形態の中皿1においては、下方の突起列4Bを形成する係合用突起2Gが、横向きの(直交平面P1と平行な)突起となっている。その他の点については、図1〜図3に示す実施形態の中皿1と同様の構成を有している。
図9に示す実施形態の中皿1においては、上方の突起列4Aを形成する係合用突起2Cが、横向きの(直交平面P1と平行な)突起となっている。その他の点については、図8に示す実施形態の中皿1と同様の構成を有している。
図10及び図11に示す実施形態の中皿1においては、上方の突起列4Aが4個の係合用突起2Dから構成されている。4個の係合用突起2Dは、平面視で、筒状部1Aの周方向に90°おきに配置されている。上方の突起列4Aを形成する係合用突起2Dと、下方の突起列4Bを形成する係合用突起2Gとは、図10に示すように、平面視で、筒状部1Aの周方向に45°ずれた位置に配置されている。その他の点については、図9に示す実施形態の中皿1と同様の構成を有している。
次に、図1に示す中皿を備えた本発明の棒状化粧料容器及び棒状化粧用具の一実施形態について、図13を参照しながら説明する。
本実施形態の棒状化粧料容器は、図13に示すように、図1に示す棒状化粧料容器用中皿1と、中皿1を長手方向X−Xに沿って移動可能とする繰り出し機構6を備えた本体部5と、本体部5を被覆するキャップ7とからなる。
また、本実施形態の棒状化粧用具は、前記棒状化粧料容器における中皿1に棒状化粧料Cが収納されてなる。
本実施形態の棒状化粧料容器及び棒状化粧用具について詳述する。
繰り出し機構6は、図13に示すように、受皿61とハカマ部材63と内筒部材65と螺旋部材66と外筒部材67とからなる。
受皿61は、中皿1の下部の受皿嵌合部14の外周に挿嵌される略円筒形の部材であり、その外周には、係合ピン69が突設されている。
ハカマ部材63は、上部が開口し底部を有する金属材製の円筒形部材である。
内筒部材65は、合成樹脂製の略円筒形の部材で、その下部が中具68(後述)を介してハカマ部材63に挿嵌され、その上部には軸心方向の切欠部64が形成されている。
螺旋部材66は、内筒部材65の上方外周部を回動可能に覆う合成樹脂製部材であり、その内周面には、係合ピン69が係合する螺旋溝66Aが螺旋状に形成されている。
外筒部材67は、螺旋部材66の外周部を覆う金属材製の略円筒形部材であり、上部及び下部が開口している。外筒部材67は、内筒部材65及び螺旋部材66の外周面に挿嵌されている。
本実施形態の棒状化粧料容器には、更に中具68が設けられている。中具68は、その下方部68Aがハカマ部材63の内周部と内筒部材65の下方外周部との間に嵌合固定されている。また、中具68の中間部68Bは、下方部68Aよりも太径になっており、ハカマ部材63の外周面と中具68の中間部68Bの外周面とが略一致している。中具68の上方部68Cは、中間部68Bよりも細径で、外周方向に向かって湾曲している。
キャップ7は、上部が閉口し下部が開口する円筒形部材からなり、本体部5における中具68よりも上方の部分を被覆できるようになっている。キャップ7の下部は、中具68の上方部68Cに着脱自在に嵌合できるようになっている。
本実施形態の棒状化粧用具は、前述の棒状化粧料容器における中皿1に、棒状化粧料Cが係合用突起2A、2B、2Fに係止された状態で収納されてなる。棒状化粧料Cの先端部C2は中皿1の筒状部1Aの先端部11から上方に延出しており、棒状化粧料Cの下端部C1は中皿1の筒状部1Aの後端部15の上方に位置している。
本発明の中皿における棒状化粧料としては、口紅、リップクリーム、スティックアイシャドウ、スティックファンデーション等が挙げられる。
本実施形態の棒状化粧用具によれば、キャップ7を外した状態で、ハカマ部材63と外筒部材67とを持って回動させることにより、係合ピン69が内筒部材65の切欠部64及び螺旋部材66の螺旋溝66A内を摺動し、受皿61及びこれに嵌合する中皿1が上下移動する。このようにして、外筒部材67の上部開口部67Aより棒状化粧料Cを突出・退避させて使用することができる。
本発明の中皿、棒状化粧料容器及び棒状化粧用具は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
本発明の中皿において、突起列の列数は3列以上でもよい。このとき隣接する突起列の間隔はすべて一定である必要はなく、突起列ごとに異なっていてもよい。
本発明の中皿の係合用突起の形態について、前記各実施形態を適宜組み合わせた構成とすることもできる。また、係合用突起の直交平面P1に対する傾斜角度は、すべての係合用突起に共通である必要はなく、係合用突起ごとに異なっていてもよい。特に、上向きに傾斜した上向き突起の傾斜角度と下向きに傾斜した下向き突起の傾斜角度が異なっていてもよい。
係合用突起は、前記実施形態の形状に制限されない。また、形状が係合用突起ごとに異なっていてもよい。
筒状部の内周形状は、円形に制限されず、楕円形やその他の円形に類似する形状でもよい。筒状部の後端部近傍には、筒状部の内周部分を全面的に又は部分的に被覆する底部を設けてもよい。
本発明の棒状化粧料容器においては、その全体及び各構成要素の形状、材質、組み合わせ方法、中皿を上下移動させる繰り出し機構等は、従来の棒状化粧料収納容器と同様に種々の構成を採用することができる。中皿と受皿とは一体的に形成することもできる。
図1は、本発明の棒状化粧料容器用中皿の一実施形態の正面図である。 図2は、本発明の棒状化粧料容器用中皿の一実施形態の平面図である。 図3は、図2に示すIII−III断面図である。 図4は、係合用突起を示す図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。 図5は、係合用突起の先端部及び係合用突起の傾斜角度の定義方法を模式的に示す側面図である。 図6は、隣接する突起列についての筒状部の長手方向の間隔の定義方法を模式的に示す側面図である。 図7は、係合用突起の直交平面への投影図を模式的に示す図である。 図8は、本発明の棒状化粧料容器用中皿の別の実施形態の中央縦断面図(図3対応図)である。 図9は、本発明の棒状化粧料容器用中皿の更に別の実施形態の中央縦断面図(図3対応図)である。 図10は、本発明の棒状化粧料容器用中皿の更に別の実施形態の平面図(図2対応図)である。 図11は、図10に示すXI−XI断面図である。 図12は、中皿に棒状化粧料が収納された状態を示す断面図である。 図13は、本発明の棒状化粧用具の一実施形態の中央縦断面図である。
符号の説明
1 棒状化粧料容器用中皿
1A 筒状部
11 先端部
12 細径部
13 太径部
14 受皿嵌合部
15 後端部
16 切欠き
17 係止部
18 内壁面
2 係合用突起
2A、2F 上向き突起
2B 下向き突起
2C、2D、2G 横向き突起
21 基部
22 先端部
3 突起群
4A、4B 突起列
C 棒状化粧料(口紅)

Claims (8)

  1. 筒状部を有し、該筒状部の内壁面に、棒状化粧料の係合用突起が複数個設けられており、該係合用突起は、該筒状部の略同じ高さに複数個設けられて、突起列を形成しており、該突起列は、該筒状部の長手方向に1〜3mm離間して複数列設けられており、該長手方向と直交する直交平面への投影図において、該係合用突起と該筒状部の内壁面との接合部における該筒状部の周方向に沿う長さの総計が、各該突起列において、該係合用突起が配された箇所における該筒状部の内周長の70%以下であり、該係合用突起は、該直交平面への投影形状がそれぞれ重ならないように設けられている棒状化粧料容器用中皿。
  2. 前記係合用突起の数が6個〜14個である請求項1記載の棒状化粧料容器用中皿。
  3. 前記係合用突起は、その基部からその先端部に向かう長さが、前記筒状部の周方向に沿う幅よりも長くなっている請求項1又は2記載の棒状化粧料容器用中皿。
  4. 前記直交平面への投影図において、前記係合用突起の外周長の総計が、該係合用突起が配された箇所における前記筒状部の内周長の70%〜200%である請求項1〜3の何れかに記載の棒状化粧料容器用中皿。
  5. 前記筒状部の先端部に最も近接した前記係合用突起の前記基部から該筒状部の該先端部までの前記長手方向に沿う距離が前記直交平面への投影図における前記筒状部の内壁面の内径の95%以上である請求項1〜4の何れかに記載の棒状化粧料容器用中皿。
  6. 各前記突起列を形成する前記係合用突起の数が、前記筒状部の先端部から離間した該突起列ほど少なくなっている請求項1〜5の何れかに記載の棒状化粧料容器用中皿。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の棒状化粧料容器用中皿及び該中皿を前記長手方向に沿って移動可能とする繰り出し機構を備えた本体部と、該本体部を被覆するキャップとからなる棒状化粧料容器。
  8. 請求項7記載の棒状化粧料容器における前記中皿に棒状化粧料が収納されてなる棒状化粧用具。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017012379A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 花王株式会社 棒状化粧料容器、棒状化粧料製品及びその製造方法

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