JP2005334560A - ステントの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステントを構成する材料の選択の幅の拡大を図り、所望の特性を有するステントを容易に得ることができるステントの製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の金属を主材料として構成された第1の層22と、第1の層22に隣接し、前記第1の金属と異なる第2の金属を主材料として構成された第2の層23とを有する積層体を形成する第1の工程と、前記積層体に熱処理を施すことにより、少なくとも第1の層22と第2の層23との間の界面付近を合金化して線状部11を形成する第2の工程とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、医療用のステント、特に、血管などの管状器官に挿入・留置して使用されるステントの製造方法に関するものである。
従来から、生体の管状器官(例えば、血管、気管、食道、胆管など)の内腔部に挿入・留置し、管状器官を内側から支持するためのステントが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなステントは、通常、全体として円筒形状をなしており、縮径状態として管状器官の内腔部に導入され、内腔部を移動させた後、留置部位において拡径状態とすることにより固定(装着)される。
このようなステントの製造に際して、例えば、特許文献1では、棒状の電極の外周に、メッキを施してメッキ層を形成し、このメッキ層をステントの形状に対応して加工した後に、前記電極を除去することにより、ステントを得る。
ステントは生体の管状器官に直接触れるものであるため、少なくともステントの表面を構成する材料には生体組織適合性が要求される。したがって、特許文献1では、生体組織適合性金属のみでステントを形成したり、生体組織適合性金属以外の金属で構成された基層に、生体組織適合性金属で構成された層を積層したりしている。
特開2003−102847号公報
しかしながら、ステントを生体組織適合性金属のみで構成する場合、特許文献1にかかる方法では、ステントを構成する金属はメッキ可能な金属でなければならないため、材料の選択の幅が狭くなってしまう。その結果、ステントの特性を所望のものとすることが難しい。
また、基層に生体組織適合性金属を積層した場合、特許文献1にかかる方法では、基層と生体組織適合性金属の層との層間に界面が存在しているため、選択される材料によっては、層間剥離が生じやすく、この点でも、材料の選択の幅が狭くなってしまい、ステントの特性を所望のものとすることが難しい。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、その目的は、ステントを構成する材料の選択の幅の拡大を図り、所望の特性を有するステントを容易に得ることができるステントの製造方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明のステントの製造方法は、生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用されるステントの製造方法であって、
全体として筒状をなし網目構造を有する金属成形体を製造するに際し、
第1の金属を主材料として構成された第1の層と、前記第1の層に隣接し、前記第1の金属と異なる第2の金属を主材料として構成された第2の層とを有する積層体を形成する第1の工程と、
前記積層体に熱処理を施すことにより、少なくとも前記第1の層と前記第2の層との間の界面付近を合金化する第2の工程とを有することを特徴とする。この発明によれば、第1の金属及び第2の金属を適宜選択することで、所望のステントを得ることができる。また、得られるステントは、少なくとも第1の層と第2の層との界面付近が合金化されているので、第1の層と第2の層との層間剥離を防止することができ、また、第1の金属及び第2の金属としてより多種の金属を用いることができる。
本発明において、前記第1の工程では、前記網目構造を有するように前記積層体を形成することが望ましい。この発明によれば、合金化後に加工が難しいものであっても、合金化前に、比較的加工が容易な第1の金属及び第2の金属を加工して、網目構造を有する積層体を得ることができるため、加工が容易となり、より高精度なステントを製造できる。また、積層体が網目構造を有することにより、積層体の熱容量が低減されるので、第2の工程における熱処理をより短時間、低温で行うことができる。
本発明において、前記第1の工程では、網目構造を有するように前記第1の層を形成した後、前記第2の層を形成することが望ましい。この発明によれば、第1の層を覆うように第2の層を形成することができるので、第1の金属が生体組織適合性を有しない金属であっても、第1の層を全て合金化しなくともよく、第2の工程における熱処理を簡単なものとすることができる。
本発明において、前記第2の金属は、前記第1の金属よりも熱伝導性が高いことが望ましい。この発明によれば、第2の工程における熱処理をより短時間、低温で行うことができる。
本発明において、前記第1の工程では、前記第1の金属と前記第2の金属とを積層したものに対し、前記網目構造をなすように加工することにより、前記第1の層及び前記第2の層を形成することが望ましい。この発明によれば、ステントの内側と外側とで金属を異なるものとすることができ、所望の特性のステントをより容易に得ることができる。
本発明において、前記第1の工程では、全体として前記筒状をなすように前記積層体を形成することが望ましい。この発明によれば、合金化後に加工が難しいものであっても、合金化前に、比較的加工が容易な第1の金属及び第2の金属を加工して、筒状をなす積層体を得ることができるため、加工が容易となり、より高精度なステントを製造できる。
本発明において、前記第1の工程では、前記第1の金属を主材料として構成され、全体として予め筒状をなす基材を用いて、前記第1の層を形成することが望ましい。この発明によれば、比較的簡単にステントを得ることができる。
本発明において、前記第1の工程では、筒状又は柱状をなす芯材の外表面に、前記第1の層を形成することが望ましい。この発明によれば、第1の層の厚さをより正確に所望のものとすることができるので、得られるステントをより正確に所望のものとすることができる。
本発明において、前記第2の工程では、前記熱処理により、前記第1の層と前記第2の層との間の界面付近を、前記第1の層から前記第2の層へ向け徐々に合金組成が変化するように合金化することが望ましい。この発明によれば、得られるステントで第1の金属及び第2の金属のそれぞれの特性を発揮させながら、第1の層と第2の層との層間剥離を防止することができる。
本発明において、前記第2の層は、前記金属成形体の製造後に少なくとも前記金属成形体の最外周に対応するように前記積層体に位置しており、前記第2の金属は、生体組織適合性を有する金属であることが望ましい。この発明によれば、第1の層と第2の層との層間剥離を防止しながら、留置後の生体組織適合性に優れる。
本発明において、前記第1の金属は、形状記憶特性を有する金属であることが望ましい。この発明によれば、第1の層と第2の層との層間剥離を防止しながら、自己拡張型ステントに好適に適用できると共に、留置後の生体組織適合性にも優れる。
本発明において、前記第2の工程では、前記熱処理により、前記積層体のほぼ全体を前記合金化することが望ましい。この発明によれば、合金化後に生体組織適合性を発揮すればよいので、第1の金属及び第2の金属が生体組織適合性がなくともよく、第1の金属及び第2の金属の選択の幅がより拡がる。
本発明において、前記第1の金属及び前記第2の金属は、前記合金化により前記金属成形体に形状記憶特性を付与するものであることが望ましい。この発明によれば、自己拡張型ステントを容易に得ることができる。
本発明において、前記第1の工程では、前記第2の層に隣接し、前記第2の金属と異なる第3の金属を主材料として構成された第3の層を前記積層体が有することが望ましい。この発明によれば、第1の金属及び第2の金属の他に第3の金属を適宜選択することで、より広い選択肢の中から所望のステントを得ることができる。
本発明において、前記第2の工程における前記熱処理は、非酸化性雰囲気のもとで行われることが望ましい。この発明によれば、第2の工程で、第1の層及び第2の層の酸化を防止して、より確実に、高品位な金属成形体を形成することができる。
本発明において、前記第2の工程における前記熱処理の加熱温度は、300〜1500℃であることが望ましい。この発明によれば、得られるステントに、第1の層及び第2の層を、より確実に合金化することができる。
本発明において、前記第2の工程における前記熱処理の加熱時間は、0.5〜3時間であることが望ましい。この発明によれば、得られるステントに、第1の層及び第2の層を、より確実に合金化することができる。
本発明によれば、ステントを構成する材料の選択の幅の拡大を図り、所望の特性を有するステントを容易に得ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明に係るステントの製造方法の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態を説明する。以下、本発明のステントの製造方法の説明に先立ち、かかる製造方法によって得られるステントを説明する。
図1において、ステント1は、生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用されるものであり、全体形状がほぼ筒状をなしている。
このようなステント1は、ステント1の外径を収縮(縮径)させた状態(以下、「縮径状態」と称す。)で、管状器官の内腔部の目的部位まで移送(搬送)される。そして、この目的部位において、ステント1自体の復元力により、又は外力を付与することにより、ステント1の外径が、縮径状態の外径より大きくなるように拡大(拡径)し、この状態(以下、「拡径状態」と称す。)で目的部位に固定(装着)される。
ステント1は、平板状の線状部11を複数連結して構成したような網状構造を有している。そして、複数の線状部(ストラット)11で囲まれる部分に開口10が形成されている。
線状部11同士は、180°未満の角度で互いに連結され、これにより、各開口10は、多角形形状(この実施形態では、4つの線状部11で囲まれることにより菱形形状)をなしている。この構成により、ステント1は、十分な剛性や強度を確保しながら、径方向の柔軟性に優れたものとなる。また、十分な剛性や強度を確保できることから、ステント1は、放射支持力に優れたものとなる。
ここで、本明細書中、「径方向の柔軟性」とは、図2(a)中の矢印方向、すなわち、中心軸から外側に向かう方向における柔軟性のことを言う。また、「放射支持力」とは、拡径状態において管状器官の形状を保持する力のことを言う。
各線状部11には、それぞれ、その交点111及び/又は途中に、ステント1の中心軸側に向かって凹没する凹没部12aが形成されている。そして、複数の凹没部12aのうち、ステント1の周方向に隣り合うものは、ステント1のほぼ同一の横断面(中心軸に対してほぼ垂直な方向での断面)上に配置されている。言い換えれば、ステント1には、リング状に配置された凹没部12aを一組として、この組が複数組、ステント1の軸方向に沿って、所定距離離間して配置されている。これにより、ステント1に対して軸方向の高い柔軟性を付与できる。
ここで、本明細書中、「軸方向の柔軟性」とは、図1中の矢印方向への柔軟性(撓み易さ、すなわち可撓性)のことを言う。
また、凹没部12aを設けることにより、ステント1の外面側に凹凸が形成されるので、管状器官の内面に対する滑りが防止され、ステント1を管状器官の内腔部内により確実に固定できる。
この実施形態では、凹没部12aは、図1に示すように、線状部11を厚さ方向に変形させたような形状をしている。したがって、線状部11の横断面積は、ステント1の全体に亘って、ほぼ一定となっている。これにより、凹没部12aが形成された部分において、ステント1の強度が極端に低下するのを防止できる。その結果、ステント1が軸方向へ伸び易くなることや、軸方向に垂直な方向へ曲がり癖が付き易くなることなどを防止できる。
線状部11の平均横断面積は、ステント1の構成材料などによっても若干異なるが、1×10-5mm2以上0.1mm2以下の範囲であることが望ましく、1×10-4mm2以上0.01mm2以下の範囲であることがより望ましい。線状部11の横断面積が小さ過ぎる(線状部11が細すぎる)と、ステント1の剛性が低下する場合があり、線状部11の横断面積が大き過ぎる(線状部11が太過ぎる)と、ステント1の軸方向の柔軟性(可撓性)が低下する場合がある。
また、線状部11の横断面形状は、ステント1の各部において異なっていてもよいが、図1に示すように、ステント1のほぼ全体に亘って、ほぼ一定であることが望ましい。これにより、ステント1の軸方向の柔軟性が各部において不均一となるのを防止できる。
なお、線状部11の横断面形状は、図2に示すような四角形(直方形)の他、例えば、円形、楕円形、正方形、菱形、三角形、五角形、六角形などの多角形でもよい。
また、凹没部12aの縦断面形状(側面視での形状)は、図1に示すようなU字状のものに限定されず、例えば、V字状、コ字状でもよい。また、凹没部12aは設けなくともよい。
図示されていないが、ステント1(線状部11)の縁部は、丸みを帯びていることが望ましい。これにより、ステント1の留置操作時や留置後などにおいて、管状器官の内壁を不本意に傷付けてしまうのを防止できる。また、ステント1を血管内留置ステントに適用した場合には、血栓形成を防止するのにも役立つ。
このようなステント1は、後述するような方法により、各線状部11が一体的に形成されている。これにより、ステント1全体としての強度がより向上する。
ステント1(線状部11)は、合金で構成されており、ステント1の構成材料には、ステント1の種類に応じて、次のようなものを使用することが望ましい。
ステント1をバルーン拡張型ステントに適用する場合、ステント1は、拡径状態において、管状器官から受ける圧縮応力に対して変形しない必要がある。このため、ステント1の構成材料には、拡張による塑性変形により加工硬化し、拡張後、比較的剛性が高くなる材料を使用することが望ましい。また、生体組織適合性や化学的安定性の高い材料を使用することが望ましい。
このような材料としては、Au、Pt、Ta、Rh、Ru、Pd、Nb、Os、Ir、Agなどのうちの少なくとも2つを主材料とする合金が使用できる。
これらの中でも、特に、Au、Pt、Rh、Ru、Pd、Os、Irのうちの少なくとも2つを主材料とする合金を主とするものが望ましく、Au、Pt、Rh、Ru、Irのうちの少なくとも2つを主材料とする合金を主とするものがより望ましい。これらは、拡張による塑性変形により加工硬化する特性(加工硬化性)に特に優れると共に、生体組織適合性やX線造影性にも優れる。また、このような合金は、その組成比により、加工硬化性を容易に制御できるという利点がある。
このため、これらの材料でステント1を構成することにより、例えば、ステント1を血管内留置ステントに適用した場合には、血栓形成を効果的に防止できる。また、ステント1を管状器官の内腔部内に留置する操作をX線透視下にて行えるので、その留置操作をより円滑且つ正確に行える。
一方、ステント1を自己拡張型ステントに適用する場合、ステント1は、その形状を自発的に復元し得る必要がある。このため、ステント1の構成材料には、超弾性合金、形状記憶合金や比較的弾性の高い材料を使用することが望ましい。
このような材料としては、例えば、Ni・Ti合金、Au・Cd合金、Cu・Zn合金、Cu・Al合金、Fe・Pt合金、Mn・Cu合金、Ni・Al合金、Cu・Cd合金、Cu・Al・Ni合金、Au・Cd・Ag合金、Ti・Al・V合金などが使用できる。
これらの中でも、特に、Ni・Ti合金(以下、NT合金ともいう)を主とするものが望ましい。これは、特に高い弾性を示し、さらに形状記憶特性にも優れる材料だからである。
また、これらの材料は、生体組織適合性に優れると共に、X線造影性にも優れる。このため、これらの材料でステント1を構成することにより、例えば、ステント1を血管内留置ステントに適用した場合には、血栓形成を効果的に防止できる。また、ステント1を管状器官の内腔部内に留置する操作をX線透視下にて行えるので、その留置操作をより円滑且つ正確に行える。
なお、ステントの形状は、上述のものに限られない。例えば、この実施形態では、開口10の形状は、菱形形状をなしていたが、これに限定されず、例えば、三角形、長方形、正方形、五角形、六角形、その他の多角形などでもよい。
また、この実施形態では、線状部11同士の連結部(交点111付近)が屈曲する形状をなしていたが、例えば円弧状(U字状)など湾曲する形状をなしていてもよい。
次に、このステント1の使用方法について、バルーン拡張型ステントを、血管の狭窄部に適用する場合を一例に説明する。
(I) まず、血管(管状器官の内腔部)内に、周知のセルディンガー法により、案内カテーテルを経皮的に挿入し、その先端部を狭窄部(目的部位)の近傍に到達させる。
(II) そして、バルーン付カテーテル先端部のバルーンの外周に、ステント1を縮径状態で装着しておき、このバルーン付カテーテルを上記案内カテーテルを通して血管内に導く。
(III) 次に、バルーン付カテーテル内に挿入したガイドワイヤをガイドにして、バルーン付カテーテルをさらに押し進め、その先端部に装着したステント1を狭窄部にまで移送し、配置する。
このとき、ステント1には、凹没部12aを設けたことにより、軸方向の高い柔軟性が付与されているため、複雑に屈曲又は湾曲、若しくは分岐した血管に沿って、ステント1を狭窄部にまで容易かつ確実に移送できる。
(IV) この状態で、バルーン付カテーテルを通して生理食塩水などの液体をバルーン内に注入し、バルーンを膨らませる。これにより、ステント1の外径が徐々に拡径していく。
(V) さらに、バルーンを膨らませ拡張させると、ステント1は、その外径がさらに拡径し(拡径状態に至り)、血管の内壁に当接し、内壁を押圧する。
(VI) ステント1を十分に拡径させた後、バルーン内の液体を抜き出してバルーンを萎ませ、バルーン付カテーテルをステント1の内周から引き抜く。これにより、ステント1を血管内に留置できる。
このとき、ステント1には、その外面側に凹没部12aにより凹凸が形成されているので、狭窄部により確実に固定できる。
以上のようにして、ステント1により血管の狭窄部を拡張させて、心筋梗塞や脳梗塞などの予防や、治療を行える。
次に、ステント1の製造方法について説明する。
(第1の工程)
(A) まず、図3(a)に示すように、ほぼパイプ状の基材2を用意する。
基材2の構成材料(第1の金属)としては、前述したステント1の合金を構成する金属単体又は合金を使用できる。例えば、基材2の構成材料としては、Au、Pt、Ta、Rh、Ru、Pd、Nb、Os、Ir、Ag又はこれらのうちの少なくとも2つを主材料とする合金、Ni・Ti合金、Au・Cd合金、Cu・Zn合金、Cu・Al合金、Fe・Pt合金、Mn・Cu合金、Ni・Al合金、Cu・Cd合金、Cu・Al・Ni合金、Au・Cd・Ag合金、Ti・Al・V合金などが使用できる。これらは、得られるステント1に求められる特性等に応じて適宜選択される。
(B) 次に、必要に応じて、図3(b)に示すように、基材2の周面に、凹没部12aの形状に対応する形状の溝21をリング状に形成する。このとき、複数本の溝21を基材2の軸方向に沿って、ほぼ等しい間隔で形成する。
溝21の形成方法としては、例えば、冷間・熱間鍛造、レーザー加工、切削加工、彫刻加工、転造加工、へら絞り、液圧形成加工などが使用できる。
この加工後の基材2の横断面(一部横断面)は、図4(c)に示すような状態となる。
(C) 次に、図4(d)に示すように、基材2の一部を除去して開口10’を形成することにより、第1の層22を形成する。
この開口10’の形成方法(基材2の除去方法)としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、レーザー加工、マシニングセンターなどによる機械加工、彫刻機などによる彫刻加工などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(D) 次に、図4(e)に示すように、第1の層22の外周面に、前述の第1の金属と合金化することにより上述したようなステント1の構成材料(本体材料)となるような材料(金属)を用いて、第2の層23を形成する。このようにして、第1の層22と第2の層23とが積層した積層体を得る。また、このとき、開口10が形成される。
第2の層23の構成材料(第2の金属)としては、前述の第1の金属と合金化することにより上述したようなステント1の構成材料(本体材料)となるような材料(金属)であればよく、前述した第1の金属と同様の金属を使用できる。
また、第2の金属は、前述の第1の金属よりも熱伝導性が高いのが望ましい。これにより、第2の層23が第1の層22を覆っていても、後述の第2の工程における熱処理をより短時間、低温で行うことができる。
また、この第2の層23の形成方法としては、ステント1の構成材料(本体材料)や第1の金属、第2の金属などに応じて適宜選択されるが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などの物理気相成膜法、化学気相成膜法、電解メッキ、無電解メッキなどのメッキ法、本体材料を含む液状材料(溶液又は分散液)の付与(塗布)による方法のような液体成膜法などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
また、第2の層23の厚さは、第1の層22の厚さよりも小さいことが望ましい。これにより、後述の工程(E)において、より短時間の熱処理で合金層を形成することができるので、熱処理によるステント1の変形を防止して、より高精度なステント1を得ることができる。
また、第1の金属及び第2の金属は、後述する工程(E)(第2の工程)後にステント1が形状記憶特性を有するような金属である場合、自己拡張型ステントを容易に得ることができる。
(第2の工程)
(E) 次に、第1の層22と第2の層23とが積層した積層体に熱処理を施すことにより、図4(f)に示すように、第1の層22および第2の層23を第1の金属及び第2の金属からなる合金(線状部11)とする。このとき、第1の層22及び第2の層23の各層の内部応力の除去を目的とする低温ひずみ取り焼鈍を兼ねながら、第1の層22と第2の層23との界面24において、各層間の構成材料が互いに拡散するように処理を行う。これにより、第1の層22と第2の層23との界面24が消失し、ステント1の強度が増大すると共に、第1の層22と第2の層23との層間剥離が防止される。
この熱処理を行う場合には、加熱雰囲気は非酸化性雰囲気、すなわち、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気、又は水素、アンモニア分解ガス等の還元性雰囲気であるのが望ましい。また、加熱温度は300℃以上1500℃以下の範囲であるのが望ましく、500℃以上1200℃以下の範囲であるのがより望ましい。また、加熱時間は0.5時間以上3時間以下の範囲であるのが望ましく、1.0時間以上2時間以下の範囲であるのがより望ましい。このような条件で熱処理を行うことにより、第1の層22及び第2の層23の酸化を防止しながら、より確実に、第1の層22及び第2の層23を合金化(線状部11を形成)することができる。
(F) 次に、必要に応じて、ステント1の縁部に丸みを付ける加工を施す。
この加工方法としては、例えば、研磨加工、バレル研磨、電解研磨、化学研磨、ホーニング加工、電磁バレル研磨などが使用できる。
以上のようにして、図1、2に示すステント1が得られる。
このようなステント1の製造方法によれば、第1の金属及び第2の金属を適宜選択することで、所望のステントを得ることができる。また、得られるステント1は、第1の層22と第2の層23とが拡散接合されるので、第1の層22と第2の層23との層間剥離を防止することができ、第1の金属及び第2の金属として、単に積層しただけでは層間剥離を生じやすいような金属同士でも用いることができ、より多種の金属を用いることができる。
また、本実施形態では、第1の工程で、前記積層体がステントの形状に対応した形状をなしている。すなわち、第1の工程で、合金化する前の積層体に加工を施す。したがって、加工が容易となり、より高精度なステントを製造できる。
また、第1の工程で、第1の金属を主材料として構成された筒状の基材2を加工することにより、ステント1の形状に対応した第1の層を形成するので、比較的簡単にステントを得ることができる。
また、第1の工程で、第1の層22を形成した後に、第1の層22に第2の金属を付与することにより第2の層23を形成するので、第1の層22を覆うように第2の層23を形成することができる。したがって、第1の金属が生体組織適合性を有しない金属であっても、第1の層を全て合金化しなくともよく、第2の工程における熱処理を簡単なものとすることができる。
また、第2の工程での熱処理により、第1の層22と第2の層23との積層体のほぼ全体を、第1の金属及び第2の金属を主成分として構成された合金とするので、第1の金属や第2の金属自体に生体組織適合性がなくとも、ステント1を構成する合金が優れた生体組織適合性を有するものであればよい。その結果、第1の金属及び第2の金属の選択の幅がより拡がる。
なお、図3及び図4(c)〜(d)に示すような前述した工程(A)〜(D)に代えて、図5及び図6に示すような工程(G)〜(L)を経て、ステント1を得ることができる。
(G) まず、図5(a)に示すように、ほぼパイプ状の芯材3を用意する。なお、芯材3はほぼ円柱状をなすものでもよい。
芯材3は、比較的硬質であり、且つ、後述の工程(K)にて比較的容易に除去できるものが望ましい。
この芯材3の構成材料としては、ステント1、第1の層22、第2の層23の構成材料などに応じて選択されるが、例えば、ポリオレフィン(例えば、PE、PPなど)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネイト、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリアセタールのような樹脂材料や、その他、Ni及びNi合金、Cu及びCu合金、Fe及びFe合金などのステント1を構成する金属材料と比較して、自然電極電位的に卑な金属材料などが使用できる。
(H) 次に、必要に応じて、図5(b)に示すように、芯材3の周面に、凹没部12aの形状に対応する形状の溝31をリング状に形成する。このとき、複数本の溝31を芯材3の軸方向に沿って、ほぼ等しい間隔で形成する。
溝31の形成方法としては、例えば、冷間・熱間鍛造、ダイキャスト、射出成形、レーザー加工、切削加工、彫刻加工、転造加工などが使用できる。
この芯材3の横断面(一部横断面)は、図6(c)に示すような状態となる。
(I) 次に、図6(d)に示すように、芯材3の周面に、上述したような第1の金属を用いて、第1の金属層4を形成する。
この第1の金属層4の形成方法としては、ステント1、第1の層22、第2の層23の構成材料(本体材料)などに応じて適宜選択されるが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などの物理気相成膜法、化学気相成膜法、電解メッキ、無電解メッキなどのメッキ法、本体材料を含む液状材料(溶液又は分散液)の付与(塗布)による方法のような液体成膜法などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(J) 次に、図6(e)に示すように、第1の金属層4の一部を除去して開口10’を形成する。
この開口10’の形成方法(第1の金属層4の除去方法)としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、レーザー加工、マシニングセンターなどによる機械加工、彫刻機などによる彫刻加工などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(K) 次に、芯材3を除去する。これにより、図4(f)に示すように、第1の層22が形成される。
この芯材3の除去方法としては、芯材3の構成材料などによって適宜選択されるが、例えば、加熱により焼失させる方法(焼き飛ばす方法)、ステント1を溶解又は膨潤させず、芯材3を選択的に溶解可能な溶剤に溶解させる方法、ケミカルエッチング又は、電気化学的手法により芯材3を選択的に溶出させる方法などが使用できる。
このように、工程(G)〜(K)を経ても、ステント1を得ることができる。
このような工程(G)〜(K)を経てステントを得た場合、第1の工程で、筒状または柱状の芯材3に第1の金属を付与した後に、ステント1の形状に対応して加工することにより、第1の層22を形成するので、比較的簡単にステント1を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態では、前述した第1実施形態におけるステント1の製造方法の工程(C)〜(E)に代えて、図7に示すような工程(L)〜(M)を経て、ステント1を製造する。
(L) 図7(a)に示すように、図3(b)に示すような基材2の周面に、上述したような第2の金属を用いて、金属層5を形成する。
この金属層5の形成方法としては、ステント1の構成材料(本体材料)などに応じて適宜選択されるが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などの物理気相成膜法、化学気相成膜法、電解メッキ、無電解メッキなどのメッキ法、本体材料を含む液状材料(溶液又は分散液)の付与(塗布)による方法のような液体成膜法などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(M) 次に、図7(b)に示すように、基材2及び金属層5の一部を除去して開口10を形成することにより、第1の層25及び第2の層51が積層した積層体を得る。
この開口10の形成方法(基材2及び金属層5の除去方法)としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、レーザー加工、マシニングセンターなどによる機械加工、彫刻機などによる彫刻加工などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
第1の層25及び第2の層51は、一方の厚さが他方の厚さよりも小さいのが望ましい。また、第2の金属は、第1の金属よりも熱伝導性が高いことが望ましい。これにより、後述の工程(N)の熱処理をより短時間、低温で行うことができるので、熱処理によるステント1の変形を防止して、より高精度なステント1を得ることができる。
(N) 次に、第1の層25と第2の層51とが積層した積層体に熱処理を施すことにより、図7(c)に示すように、第1の層25および第2の層51を第1の金属及び第2の金属からなる合金層(線状部11)とする。このとき、第1の層25及び第2の層51の各層の内部応力の除去を目的とする低温ひずみ取り焼鈍を兼ねながら、第1の層25と第2の層51との界面26において、各層間の構成材料が互いに拡散するように処理を行う。これにより、第1の層25と第2の層51との界面26が消失し、ステント1の強度が増大する。
この熱処理を行う場合には、加熱雰囲気は非酸化性雰囲気、すなわち、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気、又は水素、アンモニア分解ガス等の還元性雰囲気であるのが望ましく、加熱温度は300℃以上1500℃以下の範囲であるのが望ましく、500℃以上1200℃以下の範囲であるのがより望ましい。また、加熱時間は0.5時間以上3時間以下の範囲であるのが望ましく、1.0時間以上2時間以下の範囲であるのがより望ましい。このような条件で熱処理を行うことにより、第1の層25及び第2の層51の酸化を防止しながら、より確実に、合金層(線状部11)を形成することができる。
以上のようにして、図1、2に示すステント1が得られる。
このようなステント1の製造方法によれば、第1の工程で、第1の金属を主材料とする筒状の基材2に第2の金属を付与した後に、ステント1の形状に対応して加工することにより、第1の層25及び第2の層51を形成するので、比較的簡単にステントを得ることができる。
なお、前述した第1実施形態と同様に、芯材3を用いてステントを1を得ることもできる。すなわち、図7(a)〜(b)に示すような前述した工程(L)〜(M)に代えて、図8に示すような工程(O)〜(R)を経て、ステント1を得ることができる。
(O) 前述の工程(I)と同様、図8(a)に示すように、図5(b)に示すような芯材3の周面に、上述の第1の金属を用いて、第1の金属層4を形成する。
(P) 次に、図8(b)に示すように、第1の金属層4上に、上述したような第2の金属を用いて、第2の金属層6を形成する。
第2の金属層6の形成方法としては、前述の第1の金属層4の形成方法と同様のものを使用できる。
(Q) 次に、図8(c)に示すように、第1の金属層4及び第2の金属層6の一部を除去して開口10を形成する。
この開口10の形成方法(第1の金属層4の除去方法)としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、レーザー加工、マシニングセンターなどによる機械加工、彫刻機などによる彫刻加工などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(R) 次に、前述の工程(K)と同様に、芯材3を除去する。これにより、図8(d)に示すように、第1の層41及び第2の層61が形成される。
このように、工程(O)〜(R)を経ても、ステント1を得ることができる。
<第3実施形態>
本実施形態では、前述した第1実施形態におけるステントの製造方法の工程(E)での熱処理の条件を変えることにより、図9に示すような積層構造のステントを得ることができる。なお、前記熱処理の条件が異なる以外は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のステント1(線状部11)は、図9に示すように、線状部11の中心部に位置する第1の金属層13と、線状部11の外周部に位置する第2の金属層14とが傾斜合金層15を介して接合されている。言い換えれば、線状部11の内側から外側へ、第1の金属層13と、傾斜合金層15と、第2の金属層14とが順次接合されている。
第1の金属層13は、前述したような第1の金属で構成され、第2の金属層14は、前述したような第2の金属で構成されている。
そして、傾斜合金層15は、前記第1の金属と前記第2の金属とを主成分とする合金で構成され、この合金中における前記第1の金属と前記第2の金属との比率(組成比)が、第1の金属層13側から第2の金属層14側へ向け徐々に変化している。すなわち、傾斜合金層15は、第1の金属層13との接合部付近で前記第2の金属に対する前記第1の金属の割合が最大、第2の金属層14との接合部付近で前記第1の金属に対する前記第2の金属の割合が最大となっていて、第1の金属層13、傾斜合金層15、第2の金属層14の各層間に実質的な界面が存在しないようになっている。
なお、第1の金属層13及び第2の金属層14の少なくとも一方が実質的に存在なくてもよい。すなわち、第1の金属層13又は第2の金属層14と傾斜合金層15のみ、あるいは、傾斜合金層15のみでステント1が構成されていてもよい。
本実施形態の製造方法における熱処理では、加熱雰囲気は窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気(非酸化性雰囲気)、又は水素、アンモニア分解ガス等の還元性雰囲気であるのが望ましい。また、熱処理における加熱温度は、選択される第1の金属及び第2の金属や、第1の層及び第2の層の厚さなどによっても異なるが、300℃以上1500℃以下の範囲であるのが望ましく、500℃以上1200℃以下の範囲であるのがより望ましい。また、加熱時間は、選択される第1の金属及び第2の金属や、第1の層及び第2の層の厚さなどによっても異なるが、0.5時間以上3時間以下の範囲であるのが望ましく、1.0時間以上2時間以下の範囲であるのがより望ましい。このような条件で熱処理を行うことにより、第1の層22(第1の金属層13)及び第2の層23(第2の金属層14)の酸化を防止しながら、より確実に、傾斜合金層15を形成することができる。
本実施形態におけるステントの製造方法において、第2の金属は、Ti、貴金属などの生体組織適合性を有する金属であるのが望ましい。これにより、得られるステントは、第1の層13と第2の層14との層間剥離を防止しながら、留置後の生体組織適合性に優れる。
また、第1の金属は、NT合金などの形状記憶特性を有する金属であるのが望ましい。これにより、第1の層13と第2の層14との層間剥離を防止しながら、自己拡張型ステントに好適に適用できると共に、留置後の生体組織適合性にも優れる。
このように、本実施形態によれば、第2の工程で、熱処理により、第1の層22と第2の層23との間の界面付近を、第1の層22から第2の層23へ向け徐々に合金組成が変化する傾斜合金層15とする。したがって、前述した第1実施形態の効果に加えて、得られるステントは、第1の金属(第1の層22)及び第2の金属(第2の層23)のそれぞれの特性を発揮しながら、第1の金属層13(第1の層22)と第2の金属層14(第2の層23)との層間剥離を防止することができる。
また、第1の工程で、第1の層22を形成した後に、第1の層22に第2の金属を付与することにより第2の層23を形成するので、第1の層22を覆うように第2の層23を形成することができる。したがって、例えば、第2の金属として生体組織適合性金属を用いた場合、第1の金属として生体組織適合性金属以外の金属をも用いることができるので、第1の層22を構成する材料(第1の金属)の選択の幅がより拡がる。また、このように第1の層22を覆うように第2の層23を形成することによっても、第1の金属層13(第1の層22)と第2の金属層14(第2の層23)との層間剥離を防止することができる。
<第4実施形態>
本実施形態では、前述した第2実施形態におけるステントの製造方法の工程(N)での熱処理の条件を変えることにより、図10に示すような積層構造のステントを得ることができる。なお、前記熱処理の条件が異なる以外は、第2実施形態と同様であるので、第2実施形態と同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のステント1(線状部11)は、図10に示すように、ステント1の内周側に位置する第1の金属層113と、ステント1の外周側に位置する第2の金属層114とが傾斜合金層115を介して接合されている。言い換えれば、ステント1の内周側から外周側へ、第1の金属層113と、傾斜合金層115と、第2の金属層114とが順次接合(積層)されている。なお、図10では、説明の便宜上、第1の金属層113と、傾斜合金層115と、第2の金属層114との各層間の界面を図示しているが、これらの界面は実質的に存在しないものである。
第1の金属層113は、前述したような第1の金属で構成され、第2の金属層114は、前述したような第2の金属で構成されている。
そして、傾斜合金層115は、前記第1の金属と前記第2の金属との合金で構成され、この合金中における前記第1の金属と前記第2の金属との比率が、第1の金属層113側から第2の金属層114側へ向け徐々に変化している。すなわち、傾斜合金層115は、第1の金属層113との接合部付近で前記第2の金属に対する前記第1の金属の割合が最大、第2の金属層114との接合部付近で前記第1の金属に対する前記第2の金属の割合が最大となっていて、第1の金属層113、傾斜合金層115、第2の金属層114の各層間に実質的な界面が存在しないようになっている。
本実施形態の製造方法における熱処理では、加熱雰囲気は窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気(非酸化性雰囲気)、又は水素、アンモニア分解ガス等の還元性雰囲気であるのが望ましい。また、熱処理における加熱温度は、選択される第1の金属及び第2の金属や、第1の層及び第2の層の厚さなどによっても異なるが、300℃以上1500℃以下の範囲であるのが望ましく、500℃以上1200℃以下の範囲であるのがより望ましい。また、加熱時間は、選択される第1の金属及び第2の金属や、第1の層及び第2の層の厚さなどによっても異なるが、0.5時間以上3時間以下の範囲であるのが望ましく、1.0時間以上2時間以下の範囲であるのがより望ましい。このような条件で熱処理を行うことにより、第1の層及び第2の層の酸化を防止しながら、より確実に、傾斜合金層115を形成することができる。
本実施形態におけるステントの製造方法において、第2の金属は、Ti、貴金属などの生体組織適合性を有する金属であるのが望ましい。これにより、第1の層113と第2の層114との層間剥離を防止しながら、留置後の生体組織適合性に優れる。
また、第1の金属は、NT合金などの形状記憶特性を有する金属であるのが望ましい。これにより、第1の層113と第2の層114との層間剥離を防止しながら、自己拡張型ステントに好適に適用できると共に、留置後の生体組織適合性にも優れる。
このような本実施形態では、前述の第2実施形態の効果に加えて、前述した第3実施形態と同様、第1の金属(第1の層22)及び第2の金属(第2の層23)のそれぞれの特性を残しながら、第1の金属層113(第1の層25)と第2の金属層114(第2の層51)との層間剥離を防止することができる。
なお、本発明のステントの製造方法は、上述の第1〜4実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは無論である。
例えば、前述の第1〜4実施形態では、積層体が2層で構成されているものについて説明したが、3層以上であってもよい。例えば、第2実施形態において、第1の工程で、第2の層23に第1の層22と反対側で隣接し、第2の金属と異なる第3の金属を主材料として構成された第3の層を前記積層体が有するようにすることができる。この場合、前述した第3、4の実施形態と同様に前記積層体に対し熱処理を行って、第1〜3の層の各層間の界面付近を傾斜合金層とすることができる。また、前述した第1、2の実施形態と同様に前記積層体に対し熱処理を行って、積層体のほぼ全体を第1〜3の金属を主成分とする合金とすることができる。また、第3の層は第2の層のみに隣接していてもよいし、第1の層及び第2の層からなる積層体のほぼ全体を覆っていてもよい。このように第1の金属及び第2の金属の他に第3の金属を適宜選択して積層体を構成することにより、より広い選択肢の中から所望のステント1を得ることができる。
また、前述の第1〜4実施形態では、ステントの長手方向のほぼ全域に亘って合金化する例について説明したが、ステントの長手方向の一部のみを合金化してもよい。また、ステント1の長手方向の一部について、第1、2実施形態のように積層体を全合金化し、ステント1の長手方向の残部について、第3、4実施形態のように傾斜合金層を形成してもよい。
(実施例1)
まず、基材として肉厚50μm、外径3mm、内径2.7mm、長さ20mmのNT合金パイプを用意し、これに、ピッチ200μm、PV段差100μmのベローズ加工を施した。
次に、ベローズ加工済みのNT合金パイプを、YAGレーザーを用いて、図1に示すようなステント形状(後述メッキ厚み分のみマイナス寸法補正した形状)に加工して、第1の層を形成した。
次に、前記第1の層の周面全体に、湿式電解メッキにより、第2の層として厚さ10μmの純Ptメッキ層を均一に密着性良く覆うように形成して、第1の層(NT合金層)及び第2の層(Pt層)が積層されてなる積層体を得た。
次に、第2の層(Pt層)のメッキ電着応力除去を兼ねながら、第1の層(NT合金層)と第2の層(Pt層)とを相互固体拡散させて傾斜合金層を形成してこれらの密着性を完全なものとするため、前記積層体に不活性ガス雰囲気のもとで1050℃、1時間の熱処理を施した。
次に、熱処理済みの前記積層体に、NT合金層の超弾性化のための熱処理をさらに施して、ステントを得た。この熱処理は、不活性ガス雰囲気のもとで行った。
このようにして得られたステントを切断して、その断面を観察したところ、NT合金製の層とPt製の層との間に、NT合金とPtとで構成された合金層が形成されていた。そして、この合金層は、Nt製の層からPt製の層へ向けて徐々に、NT合金とPtとの組成比が変化していて、傾斜合金層をなしていた。
(実施例2)
まず、芯材として長さ20mm、外径2050μmのSK-4合金製の円柱材を用意し、この円柱材の外周面に、旋盤加工により、ピッチ200μm、深さ50μm、山径2000μm、谷径1900μmの縦断面凹凸波型加工を施した。
次に、前述の縦断面凹凸波型加工済みの円柱材の外周面に、湿式メッキにより、厚さ50μmの18金Au-Cu合金メッキ層を形成した。
次に、Au-Cu合金層を、YAGレーザーを用いて、図1に示すようなステント形状(後述のメッキ層厚み分をマイナス補正した形状)に加工して、円柱材の外周面に第1の層を形成した。このとき、レーザーを前記円柱材の中心軸に向けてこの中心軸に対して直角の方向で照射した。また、レーザーが円柱材に達するような条件で、レーザーの照射を行った。
次に、円柱材上に前記第1の層(Au-Cu合金層)が形成されてなる構造体から、円柱材を選択的に電気化学的手法により溶出させた。
次に、前記第1の層の周面全体に、湿式電解メッキにより、第2の層として厚さ10μmの純Auメッキ層を均一に密着性良く覆うように形成して、第1の層(Au-Cu合金層)及び第2の層(Auメッキ層)が積層されてなる積層体を得た。
次に、第2の層(Auメッキ層)のメッキ電着応力の除去を兼ねながら、第1の層(Au-Cu合金層)と第2の層(Auメッキ層)とを相互固体拡散させて傾斜合金層を形成してこれらの密着性を完全なものとするとともにAu-Cu合金層を個溶体化処理するため、前記積層体に不活性ガス雰囲気のもとで650℃、1時間の熱処理を施し、その後油冷した。
次に、線状部の中心部に位置するAu-Cu合金層の強度を向上させて、自己拡張型ステントを製造したり、又は放射支持力をより向上させるための時効硬化処理として、不活性雰囲気中にて370℃、1.5時間熱処理を行って、ステントを得た。
このようにして得られたステントを切断して、その断面を観察したところ、均一な組成比のAu-Cu合金製の層の周囲に、外側に向けて徐々に、AuとCuとの組成比が変化するAu-Cu合金製の傾斜合金層が形成されていた。また、均一な組成比のAu-Cu合金製の層の硬度はHv380であり、傾斜合金層の平均硬度は硬度Hv230であった。
(実施例3)
まず、芯材として長さ35mm、外径850μmにの真鍮製の円柱材を用意し、この円柱材の外周面に、湿式電解メッキにより、厚さ2μmの純Pd層、厚さ45μmのPd-Co合金層、厚さ10μmの純Au層を順次形成(積層)した。
次に、このようなPd層、Pd-Co合金層、及びAu層を、UVレーザーを用いて、図1に示すようなステント形状の凹没部を省略した形状(後述のメッキ層厚み分をマイナス補正した形状)に加工して、円柱材の外周面に第1の層(Pd層)、第2の層(Pd-Co合金層)、及び第3の層(Au層)を形成した。このとき、レーザーを前記円柱材の中心軸に向けてこの中心軸に対して直角の方向で照射した。また、レーザーが円柱材に達するような条件で、レーザーの照射を行った。
次に、円柱材上に第1の層(Pd層)、第2の層(Pd-Co合金層)、及び第3の層(Au層)が形成されてなる構造体から、円柱材を選択的に電気化学的手法により溶出させた。
次に、第1〜3の層のメッキ電着応力の除去を兼ねながら、第1〜3の層の各層間で相互固体拡散させて傾斜合金層を形成してこれらの密着性を完全なものとするとともにPd-Co合金層を個溶体化処理するため、前記積層体に不活性ガス雰囲気のもとで700℃、1時間の熱処理を施し、その後油冷した。
次に、Pd-Co合金層及び傾斜合金層の強度を向上させて、自己拡張型ステントを製造したり、又は放射支持力をより向上させるための時効硬化処理として、不活性雰囲気中にて370℃、1.5時間熱処理を行って、ステントを得た。
このようにして得られたステントを切断して、その断面を観察したところ、Pd層、Pd-Co合金層、Au層が順次積層されているとともに、これらの層間付近には傾斜合金層が形成されていた。すなわち、Pd層からPd-Co合金層へ向けて徐々に、PdとCoとの組成比が変化し、Pd-Co層からAu層へ向けて徐々に、Pd-Co合金とAuとの組成比が変化していた。
(実施例4)
まず、基材として、肉厚50μm、外径1mm、長さ25mmの純Pt製のパイプ材を用意し、これを、UVレーザーを用いて、図1に示すようなステント形状の凹没部を省略した形状(後述メッキ厚み分のみマイナス寸法補正した形状)に加工して、第1の層を形成した。
次に、前記第1の層の周面全体に、湿式電解メッキにより、第2の層として厚さ5μmの純Rh層を均一に密着性良く覆うように形成して、第1の層(Pt層)及び第2の層(Rh層)が積層されてなる積層体を得た。
次に、第1の層(Pt層)と第2の層(Rh層)とを全てPt-Rh合金とするため、前記積層体に不活性ガス雰囲気のもとで1250℃、3時間の熱処理を施して、ステントを得た。
このようにして得られたステントを切断して、その断面を観察したところ、Pt-Rh合金で均一に構成されていた。すなわち、Pt-Rh合金の合金層がステントの線状部をなしていた。
(実施例5)
まず、芯材として長さ25mm、外径880μmのSK-5製の円柱材を用意し、この円柱材の外周面に、湿式電解メッキにより、厚さ5μmの純Pd層、厚さ45μmの純Au層、厚さ10μmの純Pt層を順次形成(積層)した。
次に、このようなPd層、Au層、及びPt層を、彫刻機を用いて、図1に示すようなステント形状の凹没部を省略した形状(後述のメッキ層厚み分をマイナス補正した形状)に加工して、円柱材の外周面に第1の層(Pd層)、第2の層(Au層)、及び第3の層(Pt層)を形成した。このとき、彫刻機による彫り込み深さが円柱材に達するように、加工を行った。
次に、円柱材上に第1の層(Pd層)、第2の層(Au層)、及び第3の層(Pt層)が形成されてなる構造体から、円柱材を選択的に電気化学的手法により溶出させた。
次に、第1〜3層を全て完全焼鈍されたPd-Au-Pt合金とするため、前記積層体に不活性ガス雰囲気のもとで1000℃、3時間の熱処理を施した後に油冷して、ステントを得た。
このようにして得られたステントを切断して、その断面を観察したところ、Pd-Au-Pt合金で均一に構成されていた。すなわち、Pd-Au-Pt合金の合金層がステントの線状部をなしていた。
本発明に係るステントの第1の実施形態を示す側面図。 図1中に示すA-A線での断面図。 図1に示すステントの製造方法を説明する図。 図1に示すステントの製造方法を説明する図。 図1に示すステントの製造方法の他の例を説明する図。 図1に示すステントの製造方法の他の例を説明する図。 本発明の第2の実施形態におけるステントの製造方法を説明する図。 本発明の第2の実施形態におけるステントの製造方法の他の例を説明する図。 本発明の第3実施形態におけるステントの製造方法によって得られたステントを示す部分断面図。 本発明の第3実施形態におけるステントの製造方法によって得られたステントを示す部分断面図。
符号の説明
1……ステント
10……開口
10’……開口
11……線状部(線材)
13……第1の金属層
14……第2の金属層
15……傾斜合金層
12a……凹没部
2……基材
21……溝
22……第1の層
23……第2の層
24……界面
25……第1の層
26……界面
3……芯材
31……溝
4……第1の金属層
41……第1の層
5……金属層
51……第2の層
6……第2の金属層
61……第2の層
111……交点
113……第1の金属層
114……第2の金属層
115……傾斜合金層

Claims (17)

  1. 生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用されるステントの製造方法であって、
    全体として筒状をなし網目構造を有する金属成形体を製造するに際し、
    第1の金属を主材料として構成された第1の層と、前記第1の層に隣接し、前記第1の金属と異なる第2の金属を主材料として構成された第2の層とを有する積層体を形成する第1の工程と、
    前記積層体に熱処理を施すことにより、少なくとも前記第1の層と前記第2の層との間の界面付近を合金化する第2の工程とを有することを特徴とするステントの製造方法。
  2. 前記第1の工程では、前記網目構造を有するように前記積層体を形成することを特徴とする請求項1に記載のステントの製造方法。
  3. 前記第1の工程では、網目構造を有するように前記第1の層を形成した後、前記第2の層を形成することを特徴とする請求項2に記載のステントの製造方法。
  4. 前記第2の金属は、前記第1の金属よりも熱伝導性が高いことを特徴とする請求項3に記載のステントの製造方法。
  5. 前記第1の工程では、前記第1の金属と前記第2の金属とを積層したものに対し、前記網目構造をなすように加工することにより、前記第1の層及び前記第2の層を形成することを特徴とする請求項2に記載のステントの製造方法。
  6. 前記第1の工程では、全体として前記筒状をなすように前記積層体を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  7. 前記第1の工程では、前記第1の金属を主材料として構成され、全体として予め筒状をなす基材を用いて、前記第1の層を形成することを特徴とする請求項6に記載のステントの製造方法。
  8. 前記第1の工程では、筒状又は柱状をなす芯材の外表面に、前記第1の層を形成することを特徴とする請求項6に記載のステントの製造方法。
  9. 前記第2の工程では、前記熱処理により、前記第1の層と前記第2の層との間の界面付近を、前記第1の層から前記第2の層へ向け徐々に合金組成が変化するように合金化することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  10. 前記第2の層は、前記金属成形体の製造後に少なくとも前記金属成形体の最外周に対応するように前記積層体に位置しており、前記第2の金属は、生体組織適合性を有する金属であることを特徴とする請求項9に記載のステントの製造方法。
  11. 前記第1の金属は、形状記憶特性を有する金属であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のステントの製造方法。
  12. 前記第2の工程では、前記熱処理により、前記積層体のほぼ全体を前記合金化することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  13. 前記第1の金属及び前記第2の金属は、前記合金化により前記金属成形体に形状記憶特性を付与するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  14. 前記第1の工程では、前記第2の層に隣接し、前記第2の金属と異なる第3の金属を主材料として構成された第3の層を前記積層体が有することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  15. 前記第2の工程における前記熱処理は、非酸化性雰囲気のもとで行われることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  16. 前記第2の工程における前記熱処理の加熱温度は、300〜1500℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
  17. 前記第2の工程における前記熱処理の加熱時間は、0.5〜3時間であることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載のステントの製造方法。
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