JP2005336065A - (メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造において、酸化反応工程の不具合によるプラント全体の停止を回避でき、安定な連続運転が可能であり、経済性に優れている(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法であって、原料ガスを気相接触酸化する酸化反応工程と、得られた反応ガスを冷却する反応ガス冷却工程と、反応生成物から軽沸点成分を分離する軽沸分離工程と、反応生成物から高沸点成分を分離除去する精製工程と、精製工程における缶出液中の高沸点成分を分解する高沸点成分分解工程とを順次に配置して成るプロセスにより(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を製造する方法において、酸化反応工程を並列に配置して同時に運転する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法に関し、詳しくは、(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造において、酸化反応工程の不具合によるプラント全体の停止を回避でき、安定な連続運転が可能であり、経済性に優れている(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を製造する方法は、分子状酸素を使用し、原料ガスとしてプロピレン、プロパン又はイソブチレンを気相接触酸化する酸化反応工程と、得られた(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を含有する反応ガスを冷却する反応ガス冷却工程と、反応生成物から軽沸点成分を分離する軽沸分離工程と、軽沸点成分が分離された反応生成物から高沸点成分を分離除去し、(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を回収する精製工程と、精製工程における缶出液中の高沸点成分を分解し、有価成分および残存(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を回収する高沸点成分分解工程とから成る。
上記の製造方法において安定した連続運転を行うために、酸化反応工程における酸化触媒の安定化について種々の検討がなされてきた。例えば、固定床多管型反応器における目的生成物の収率を低下させるホットスポット(触媒層内の異常発熱点)の発生を防止するための方法が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。また、固定床反応器の反応管への触媒充填方法についても種々の方法が知られている(例えば特許文献5〜7参照)。
しかしながら、酸化反応工程における酸化触媒について改良しても、引続き行われる反応ガス冷却工程における運転状況が酸化反応工程に影響し、酸化触媒に悪影響を及ぼすことがある。この様に、安定した連続運転を行うために、酸化反応工程における種々の改良が行われているが、未だに安定な連続運転が達成できていないのが実情である。
(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸が易重合性物質であるため、(メタ)アクリル酸を製造するプラントの運転を停止した際に、通常の化学品製造プラントで行われる様な、プラントを構成する機器内にプロセス流体を保持させておくことは極めて難しい。そのため、プラント停止時において、製造停止による経済損失に加え、プラント内よりプロセス流体を抜出して処理するための多大な時間と労力も必要となり、プラント停止は大きな経済損失をもたらす。したがって、酸化反応工程の不具合によるプラント全体の停止を回避でき、安定な連続運転を達成することは極めて重要である。
上記の目的を達成するために、本プラントの他に、本プラントと同程度の規模/能力を有する予備プラントを設け、本プラントが停止した際に予備プラントに切替えて製造を続ける方法も考えられる。しかしながら、予備用に同程度の規模のプラントを設け、本プラントが停止している場合以外は稼働させないことは、必要とするプラントの設置スペース及び設備コスト並びにそれらに対する生産能力を考慮すると極めて非経済的である。
特開平7‐10802号公報 特開平8‐92147号公報 特開平2000‐93784号公報 特公昭53‐30688号公報 特開昭51‐127013号公報 特開平3‐294239号公報 特開平7‐10802号公報
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造において、酸化反応工程の不具合によるプラント全体の停止を回避でき、安定な連続運転が可能であり、経済性に優れている(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を製造する方法において、酸化反応工程を並列に配置して同時に運転することにより、酸化反応工程のある1系列に不具合が生じて運転停止となっても、他の系列が運転を継続することによりプラント全体の停止を回避できるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法であって、原料ガスを気相接触酸化する酸化反応工程と、得られた反応ガスを冷却する反応ガス冷却工程と、反応生成物から軽沸点成分を分離する軽沸分離工程と、反応生成物から高沸点成分を分離除去する精製工程と、精製工程における缶出液中の高沸点成分を分解する高沸点成分分解工程とを順次に配置して成るプロセスにより(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を製造する方法において、酸化反応工程を並列に配置して同時に運転することを特徴とする(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法に存する。
本発明の(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法は、酸化反応工程を並列に配置して同時に運転するために、酸化反応工程の不具合によるプラント全体の停止を回避でき、安定な連続運転が可能であり、経済性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法は、原料ガスを気相接触酸化する酸化反応工程と、得られた反応ガスを冷却する反応ガス冷却工程と、反応生成物から軽沸点成分を分離する軽沸分離工程と、反応生成物から高沸点成分を分離除去する精製工程と、精製工程における缶出液中の高沸点成分を分解する高沸点成分分解工程とから成る。
アクロレインは、通常、プロピレン(メタアクロレインの場合はイソブチレン又はt−ブタノール)を原料とし、Mo−Bi−Fe−Co−Ni−B−Na−Si−O等から成るMo−Bi系複合酸化物触媒を使用して製造され、軽沸点成分としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン等を分離し、精製して得られる。一方、アクリル酸は、通常、上記の反応工程で得られたアクロレイン(メタアクリル酸はメタアクロレインを経由して)をそのまま原料とし、Mo−V−Sb−Ni−Cu−Si−O等から成るMo−V系複合酸化物触媒を使用した気相接触酸化法により製造するか、プロパンを原料とし、触媒として、Mo−Bi−Te系複合酸化触媒、Mo−Bi−Se系複合酸化触媒などを使用した気相接触酸化法によって製造され、軽沸点成分として水、酢酸などを分離し、精製して得られる。以下の説明において、アクリル酸を代表して例示するが、アクロレイン、メタアクロレイン及びメタアクリル酸についても同様に本発明の製造方法を適用できる。
酸化反応工程:
アクロレイン及びアクリル酸の工業的製造方法としては、以下に説明するワンパス方式、未反応プロピレンリサイクル方式および燃焼廃ガスリサイクル方式が挙げられ、本発明の製造方法においては何れも採用できる。
(1)ワンパス方式:
前段反応に於て、プロピレン、空気およびスチームを混合供給し、主としてアクロレインとアクリル酸に転化し、この出口ガスを生成物と分離することなく後段反応へ供給する方法である。後段反応への供給に際し、前段出口ガスに加え、後段反応で反応させるのに必要な空気およびスチームも合わせて供給する方法が一般的である。
(2)未反応プロピレンリサイクル方式:
アクリル酸捕集装置に、後段反応で得られるアクリル酸含有反応生成ガスを導入し、水溶液としてアクリル酸を捕集する。捕集装置における未反応プロピレンを含有する廃ガスの一部を前段反応に供給し、未反応プロピレンの一部をリサイクルする方法である。
(3)燃焼廃ガスリサイクル方式:
後段反応で得られるアクリル酸含有反応生成ガスをアクリル酸捕集装置に導き、水溶液としてアクリル酸を捕集する。捕集装置における廃ガスの全量を接触的に燃焼酸化し、廃ガス中に含有される未反応プロピレン等を主として二酸化炭素および水に変換し、前段反応に得られる燃焼廃ガスの一部を添加する方法である。
酸化反応工程で使用される反応器として、固定床多管型反応器、固定床プレート型反応器、流動床型反応器などが例示されるがこれらに限定されない。中でも、気相接触酸化反応により、プロピレン又はイソブチレンを複合酸化物触媒の存在下で分子状酸素または分子状酸素含有ガスを使用してアクロレイン又はアクリル酸を製造する際に広く使用されているのは固定床多管型反応器である。固定床多管型反応器としては、工業的に通常使用されているものであれば特に制限はない。
本発明の製造方法において、酸化反応工程を並列に配置して同時に運転する。これにより、酸化反応工程のある1系列に不具合が生じて運転停止となっても、他の運転可能な系列により運転を継続することが出来、プラント全体が運転停止になることを回避出来る。2系列で運転を行う場合の各系列の運転能力は、1系列で運転する工程の運転能力の通常20%以上、好ましくは30〜70%である。各系列の運転能力が等しい装置を使用することが好ましい。3系列以上で運転を行う場合の各系列の運転能力は、1系列で運転する工程の運転能力の通常20%以上、好ましくは30〜40%である。各系列の運転能力が等しい装置を使用することが好ましい。また、ある2系列の運転能力の合計が他の1系列の運転能力に等しい様な組合せも好ましい。運転能力が20%未満の装置を有する場合、この装置のみを使用して運転継続を行う必要がある際に、稼働率が低すぎ、また1系列で運転する装置の最低稼働率に対応できない場合がある。
例えば、2系列の装置により同時に運転する場合、1系列で運転する工程の運転能力を100%として、系列Aを約50%、系列Bを約50%の運転能力を有する装置によって運転することが好ましい。この場合、系列Aが運転停止となっても、同程度の能力を有する系列Bが運転を継続することにより、稼働率は半減するものの、プラント全体が運転停止となることを回避できる。一般的に、2系列同時に運転停止となる可能性は極めて低い。また、運転能力の異なる装置の組合せも可能である。例えば、系列Aが約40%、系列Bが約60%の運転能力を有する装置で2系列の運転を行うことも可能である。しかしながら、運転能力の異なる装置の組合せでは、装置が高価となる場合がある。また、運転能力の大きい系列Bが運転停止となった場合、運転能力の低い系列Aで運転を継続することとなるため、系列Bの修理中における稼働率は、運転能力の低い系列Aの運転能力に支配される。
酸化反応工程を3系列に配置して同時に運転する場合、1系列で運転する工程の運転能力を100%として、系列A、B及びCがそれぞれ約33〜34%の同程度の運転能力を有する装置によって運転する方法、あるいは、系列A及びBがそれぞれ約25%の運転能力を有する装置と、系列Cが50%の運転能力を有する装置とを組合せて運転する方法が好ましい。この様な方法を採用することにより、任意の1系列が運転停止となっても、他の系列の運転を継続することにより、約50%以上の稼働率で運転を継続することが出来る。
酸化反応工程への原料(リサイクル原料も含む)の供給量は、各系列の装置能力に応じて調節する。運転停止の系列が生じた場合、運転切り替え装置により、継続させる系列にのみ供給を行う。その場合の供給量は、運転を継続させる系列の運転能力に応じて調節する。
反応ガス冷却工程:
酸化反応工程で得られる反応ガスは、通常200〜300℃であり、必要に応じて熱の回収が行われた後に反応ガス冷却塔に供給される。反応ガス冷却塔内で、反応ガスは冷却され、液化される。非凝縮ガスは塔頂より流出させた後に、反応系にその一部が供給され、残余は大気放出のために無害化処理設備へ供給される。反応ガス冷却塔の冷却媒体としては、水、有機溶剤、これらの混合物などが例示される。反応ガス冷却塔内には、通常トレイ又は充填物が設置される。トレイ及び充填物については特に制限は無く、一般に使用されるトレイ及び充填物を使用することが出来、1種類以上を組合せて使用してもよい。
トレイとしては、ダウンカマーのある泡鐘トレイ、多孔版トレイ、バルブトレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラクストレイ等、ダウンカマーの無いデユアルトレイが例示される。充填物としては、規則充填物および不規則充填物が例示される。規則充填物としては、スルザー・ブラザース社製「スルザーパック」、住友重機械工業社製「住友スルザーパッキング」、住友重機械工業社製「メラパック」、グリッチ社製「ジェムパック」、モンツ社製「モンツパック」、東京特殊金網社製「グッドロールパッキング」、日本ガイシ社製「ハニカムパック」、ナガオカ社製「インパルスパッキング」、三菱化学エンジニアリング社製「MCパック」等が例示される。不規則充填物としては、ノートン社製「インタロックスサドル」、日鉄化工機社製「テラレット」、BASF社製「ポールリング」、マストランスファー社製「カスケード・ミニ・リング」、日揮社製「フレキシリング」等が例示される。
反応ガス冷却工程以降を1系列で行う場合、酸化反応工程での1部運転停止の場合を考慮して装置の最低運転能力の設計を行う。例えば、酸化反応工程において1部運転が停止し、50%の稼働率で運転しなければならない場合、反応ガス冷却工程以降の各工程において50%の稼働率で運転可能な装置を使用する。しかしながら、反応ガス冷却工程以降の各工程における装置の稼働率が、酸化反応工程の最低稼働率に対応できない場合もある。この場合、酸化反応工程において高い稼働率で運転する系列に不具合が生じない様に対策を施すか、精製工程で得られる製品アクリル酸を軽沸分離工程、精製工程および/または高沸点成分分解工程に供給することにより、酸化反応工程の最低稼働率に対応させることが出来る場合がある。
後者の製品アクリル酸を再供給する方法について具体的に説明する。酸化反応工程の1系列が運転停止したために酸化反応工程の稼働率が40%となり、以降の軽沸分離工程、精製工程および高沸点成分分解工程の何れか1つ以上の工程において最低稼働率が50%である場合、最低稼働率が50%である工程への供給量が稼働率にして10%分不足する。そのため、供給量が不足している工程に、精製工程で得られる製品アクリル酸を供給することにより、各工程の最低稼働率に供給量を調節する。
反応ガス冷却工程は酸化反応工程と密接に関係しており、反応ガス冷却工程の運転が変動すると酸化反応工程の運転に影響を及ぼし、触媒の不具合が生じることもある。特に、酸化反応工程において運転停止の系列が生じた際、反応ガス冷却工程の運転の変動が、運転継続している酸化反応工程の他の系列に影響を及ぼすことがある。また、反応ガス冷却工程の後に行われる軽沸分離工程は、酸化反応工程および反応ガス冷却工程における不具合による変動により、重合発生などのトラブルが生じる。そこで、反応ガス冷却工程は、酸化反応工程と同様に、並列に配置して同時に運転することが好ましい。これにより反応ガス冷却工程のある1系列に不具合が生じて運転停止となっても、他の運転可能な系列により運転を継続することが出来、プラント全体が運転停止になることを回避出来る。
反応ガス冷却工程を複数系列とした場合、各系列の運転能力およびその組合せ方法は、酸化反応工程で説明したものと同様である。なお、酸化反応工程における各系列に対し、反応ガス冷却工程の各系列を連結させる方法としては、酸化反応工程における各系列をそのまま対応する反応ガス冷却工程の各系列に連結させる方法と、反応ガス冷却工程前に酸化反応工程における各系列を一旦収集した後、反応ガス冷却工程の複数の系列に分割する方法とが挙げられる。すなわち、系列A1、A2・・・Anを有する酸化反応工程と系列B1、B2・・・Bnを有する反応ガス冷却工程を連結させる場合に、A1−B1、A2−B2・・・An−Bnの様に各系列毎にそれぞれ連結させる方法と、系列A1、A2・・・Anから得られる反応ガスを一旦纏め、次いで系列B1、B2・・・Bmに分割して反応ガス冷却工程を行う方法とがある。
上記前者の方法(各系列毎にそれぞれ連結させる方法)では、酸化反応工程と反応ガス冷却工程とが連結した複数の独立系列から成るため、制御が行いやすく、リサイクル原料を含む原料の供給量の調節が容易であるため好ましい。また、上述の様に反応ガス冷却工程と酸化反応工程は影響を及ぼし合うことから、酸化反応工程と反応ガス冷却工程においてそれぞれ別々の系列(例えばA1とB2)で同時に不具合が生じることは極めて稀であり、前者の方法において同時に2系列の運転が停止する可能性は極めて低い。上記後者の方法では、各工程の各系列の制御が煩雑で難しいため、可能ではあるがあまり現実的ではない。
軽沸分離工程:
反応ガス冷却工程において液化した反応生成物から、主として軽沸点成分である水および酢酸を分離する。なお、(メタ)アクロレインの製造においては、軽沸点成分としては、ホルムアルデヒド、アセトン、アセトアルデヒドを分離する。軽沸点成分の分離は軽沸分離塔で行い、軽沸分離塔としては、化学品プラントで一般に使用される蒸留塔が使用でき、1塔、もしくは2塔以上で構成される。2塔以上で構成される場合は、前段の脱水塔で水を分離し、後段の酢酸分離塔で酢酸を分離する。また、水や酢酸以外に、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸プロピル、酢酸エチル、又はこれらの2種以上の混合溶剤など、プロセスで使用される溶剤も分離されることがある。軽沸分離塔の塔内には、反応ガス冷却塔で説明したトレイ又は充填物を設置することが出来る。
蒸留塔に付属する塔底液加熱用熱交換器(リボイラ)としては、一般には塔内に設置される場合と塔外に設置される場合に大別されるが、リボイラの型式としては特に限定されない。具体的には、竪型固定管板型、横型固定管板型、U字管型、2重管型、スパイラル型、角ブロック型、プレート型、薄膜蒸発器型などが例示される。
蒸留塔の各種ノズル、塔本体、リボイラ、配管、および衝突板(含む天板)などの材質は、特に制限は無く、取り扱う易重合性化合物、温度条件、耐食性の観点からそれぞれの液物性に対応して選定すればよい。(メタ)アクリル酸の製造においては、SUS304,SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS327等のステンレススチール類、ハステロイ類などが好ましく使用される。
アクリル酸は易重合性化合物であるため、重合禁止剤を添加して軽沸分離を行うことが好ましい。重合禁止剤として、アクリル酸銅、ジチオカルバミン酸銅、フェノール化合物、フェノチアジン化合物などが例示される。ジチオカルバミン酸銅としては、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テトラメチレンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸銅などの環状アルキレンジチオカルバミン酸銅、オキシジエチレンジチオカルバミン酸銅などの環状オキシジアルキレンジチオカルバミン酸銅などが例示される。フェノール化合物としては、ハイドロキノン、メトキノン、ピロガロール、カテコール、レゾルシン、フェノール、又はクレゾール等が例示される。フェノチアジン化合物としては、フェノチアジン、ビス‐(α‐メチルベンジル)フェノチアジン、3,7‐ジオクチルフェノチアジン、ビス‐(α‐ジメチルベンジル)フェノチアジン等が例示される。これらは2種以上組合せて使用してもよい。
軽沸分離工程を1系列で行う場合、反応ガス冷却工程において説明した様に、酸化反応工程および/または反応ガス冷却工程での1部運転停止の場合を考慮して装置の最低稼働能力の設計を行う。軽沸分離工程の装置の最低稼働能力が、酸化反応工程の最低稼働率に対応出来ない場合は、反応ガス冷却工程において説明した様に、精製工程で得られる製品アクリル酸を軽沸分離工程に供給することにより対応させることが出来る。
軽沸分離工程では主に水と酢酸とを分離する。そのため、水存在下でのアクリル酸蒸留を行う必要があり、重合防止剤を添加していても重合による固形物発生が起こりやすい。特に、簡便さの観点から軽沸分離工程を蒸留塔1塔で行う場合は、蒸留塔に大きな負荷がかかる。そのため、酸化反応工程および反応ガス冷却工程を並列に配置して同時運転するのに加えて、軽沸分離工程も並列に配置して同時運転することが好ましい。すなわち、最も不具合が生じ易く、運転を停止する可能性が高い酸化反応工程、反応ガス冷却工程および軽沸分離工程を複数系列とし、1系列に不具合が生じて運転を停止しても、他の系列が運転を継続することにより、プラント全体の運転停止を回避することが出来る。軽沸分離工程を複数系列とした場合、各系列の運転能力および組合せ方法は、酸化反応工程で説明したものと同様である。また、各系列の連結方法は、反応ガス冷却工程において説明したものと同様である。
軽沸分離工程は、上述の様に蒸留塔1塔で行うことが出来るが、蒸留塔への負荷を分散させ、重合による固形物発生トラブルを軽減するために、軽沸分離工程を第1の軽沸分離工程と第2の軽沸分離工程とに分け、それぞれ異なる軽沸物を分離することが好ましい。すなわち、主として水を分離し、反応ガス冷却工程側に位置する第1の軽沸分離工程と、主として酢酸を分離し、精製工程側に位置する第2の軽沸分離工程とに分けて軽沸分離を行うことが好ましい。この場合、上述の様に、酸化反応工程および反応ガス冷却工程を並列に配置して同時運転するのに加えて、第1、第2の軽沸分離工程も並列に配置して同時運転することが好ましいが、重合による固形物発生トラブルがより生じやすい第1の軽沸分離工程のみ並列に配置し、比較的安定運転が達成しやすい第2の軽沸分離工程以降の各工程を1系列で行うことも出来、初期設備投資を削減することが出来る。各系列の運転能力およびその組合せ方法は、酸化反応工程で説明したものと同様である。また、各系列の連結方法は、反応ガス冷却工程において説明したものと同様である。
精製工程:
精製工程においては、軽沸点成分が分離された反応生成物から高沸点成分を分離除去し、高純度のアクリル酸を得る。高沸点成分としては、無水マレイン酸、ベンズアルデヒド等が含まれている。精製工程は通常蒸留塔で行われる。蒸留の際には、通常重合禁止剤を使用する。重合禁止剤としては、軽沸分離工程で使用する重合禁止剤と同様のものが使用できる。蒸留塔の塔頂より留出するのは高純度のアクリル酸であり、高沸点成分は缶出液中に残る。
精製工程においても、反応ガス冷却工程において説明した様に、酸化反応工程および/または反応ガス冷却工程での1部運転停止の場合を考慮して装置の最低運転能力の設計を行う。酸化反応工程の最低稼働率に対応させる方法としては、反応ガス冷却工程において説明した様に、精製工程で得られる製品アクリル酸を軽沸分離工程および/または精製工程に供給することにより対応させることが出来る。
高沸点成分分解工程:
高沸点成分分解工程においては精製工程における缶出液中の高沸点成分を分解する。得られた分解反応物において、重合禁止剤、アクリル酸などの有価成分を回収し、所定の工程に供給して再使用する。
高沸物分解塔としては、縦型または横型の槽型であり、必要に応じて槽には攪拌機、加熱設備、蒸留塔などが付帯される。温度調節用の加熱設備としては、ジャケット型、インナーコイル型、外部設置の熱交換器型などが例示され、何れの型式も使用できる。分解反応温度は、通常110〜250℃、好ましくは120〜230℃である。分解反応の滞留時間は、分解反応温度が110〜250℃の場合、通常10〜50時間と比較的長時間であり、分解反応温度が120〜230℃の場合、通常30分〜10時間である。分解反応圧力は、減圧条件、常圧条件の何れでもよい。高沸物分解塔の塔内には、反応ガス冷却塔で説明したトレイ又は充填物を設置することが出来る。
高沸点成分分解工程においても、反応ガス冷却工程において説明した様に、酸化反応工程および/または反応ガス冷却工程での1部運転停止の場合を考慮して装置の最低稼働能力の設計を行う。酸化反応工程の最低稼働率に対応させる方法としては、反応ガス冷却工程において説明した様に、精製工程で得られる製品アクリル酸を軽沸分離工程、精製工程および/または高沸点成分分解工程に供給することにより対応させることが出来る。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:
酸化反応工程、反応ガス冷却工程、軽沸分離工程、精製工程および高沸点成分分解工程とから成り、酸化反応工程―反応ガス冷却工程をA、B及びCの3系列とし、軽沸分離工程以降を1系列とした構成を有し、10万t/年の生産能力を有するアクリル酸製造プラントを使用してアクリル酸の製造を行った。酸化反応工程―反応ガス冷却工程における系列Aの生産能力は2万5千t/年(全体の25%)、系列Bの生産能力は2万5千t/年(全体の25%)、系列Cの生産能力は5万t/年(全体の50%)であった。運転開始から10ヶ月後に系列Aの酸化反応器の差圧が上昇し、原料供給が不可能となり、系列Aの運転を停止した。この際、酸化反応工程―反応ガス冷却工程の系列B及び系列Cの運転を継続させ、更に系列B及び系列Cの運転能力に対応する様に、1系列で運転している軽沸分離工程以降の運転負荷を75%に変更して、系列Aが復旧するまで運転を継続した。系列Aが復旧した後、軽沸分離工程以降の運転負荷を100%に戻し、プラント全体の運転停止を回避することが出来た。
比較例1:
酸化反応工程、反応ガス冷却工程、軽沸分離工程、精製工程および高沸点成分分解工程とから成り、すべての工程が1系列の構成であり、2万5千t/年の生産能力を有するアクリル酸製造プラントを使用してアクリル酸の製造を行った。運転開始から10ヶ月後に酸化反応器の差圧が上昇し、原料供給が不可能となり、酸化反応器の運転を停止した。この際、反応ガス冷却工程以降の全ての運転も停止せざるを得なくなり、プラント全体の運転を停止して、系内のアクリル酸含有液を系外へ抜き出した。酸化反応器が復旧するのに10日間を要し、この間プラント全体の運転が停止し、生産が停止した。
比較例2:
比較例1において、プラント全体の運転を停止している間、系内のアクリル酸含有液を系外に抜き出さず、系内に保液した。10日後に酸化反応器が復旧した際、系内に保管した液に重合物が確認された。
実施例2:
酸化反応工程、反応ガス冷却工程、軽沸分離工程、精製工程および高沸点成分分解工程とから成り、酸化反応工程―反応ガス冷却工程をA及びBの2系列とし、軽沸分離工程以降を1系列とした構成を有し、7万5千t/年の生産能力を有するアクリル酸製造プラントを使用してアクリル酸の製造を行った。酸化反応工程―反応ガス冷却工程における系列Aの生産能力は2万5千t/年(全体の約33%)、系列Bの生産能力は5万t/年(全体の約67%)であった。運転開始から10ヶ月後に系列Aの酸化反応器の差圧が上昇し、原料供給が不可能となり、系列Aの運転を停止した。この際、酸化反応工程―反応ガス冷却工程の系列Bの運転を継続させ、更に系列Bの運転能力に対応する様に、1系列で運転している軽沸分離工程以降の運転負荷を67%に変更して、系列Aが復旧するまで運転を継続した。系列Aが復旧した後、軽沸分離工程以降の運転負荷を100%に戻し、プラント全体の運転停止を回避することが出来た。
実施例3:
実施例2と同様の装置を使用し、アクリル酸の製造を行った。運転開始から10ヶ月後に系列Bの酸化反応器の差圧が上昇し、原料供給が不可能となり、系列Bの運転を停止した。この際、酸化反応工程―反応ガス冷却工程の系列Aの運転を継続させたが、酸化反応工程―反応ガス冷却工程の運転能力が約33%であり、軽沸分離工程以降の運転能力範囲が50〜100%であるため、精製工程において得られる製品アクリル酸の1部を軽沸分離工程に供給し、軽沸分離工程以降の運転負荷を50%に調節して運転を継続した。系列Bが復旧した後、軽沸分離工程以降の運転負荷を100%に戻し、プラント全体の運転停止を回避することが出来た。

Claims (6)

  1. (メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法であって、原料ガスを気相接触酸化する酸化反応工程と、得られた反応ガスを冷却する反応ガス冷却工程と、反応生成物から軽沸点成分を分離する軽沸分離工程と、反応生成物から高沸点成分を分離除去する精製工程と、精製工程における缶出液中の高沸点成分を分解する高沸点成分分解工程とを順次に配置して成るプロセスにより(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を製造する方法において、酸化反応工程を並列に配置して同時に運転することを特徴とする(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 反応ガス冷却工程を並列に配置して同時に運転する請求項1に記載の(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法。
  3. 軽沸分離工程を並列に配置して同時に運転する請求項2に記載の(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸の製造方法。
  4. 軽沸分離工程が、第1の軽沸分離工程および第2の軽沸分離工程から成り、第1の軽沸分離工程および第2の軽沸分離工程はそれぞれ異なる軽沸物を分離し、反応ガス冷却工程側の第1の軽沸分離工程を並列に配置して同時に運転する請求項3に記載の製造方法。
  5. 複数系列で運転する工程の各系列の運転能力が、1系列で運転する工程の運転能力の20%以上である請求項1〜4の何れかに記載の製造方法。
  6. 第1の軽沸分離工程、第2の軽沸分離工程または精製工程の何れか1つ以上の工程に、精製工程において得られた(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を供給する請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
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