JP2005511202A - 心臓弁の機能不全を処置するためのインプラント - Google Patents

心臓弁の機能不全を処置するためのインプラント Download PDF

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Abstract

【課題】インプラントが容易に埋め込まれ、第1の状態から第2の状態への変化を容易に制御することができ、そしてインプラントが埋め込まれる血管の壁を損傷させることなく、心臓弁の輪の十分な安定化が確保されるようなインプラントを開発する。
【解決手段】心臓弁の機能不全、特に、僧帽弁の機能不全を処置するためのインプラント10は、実質的に延ばされた実質的に柔軟な第1の状態から、減少した曲げ半径を有する第2の状態に変化させることができる細長い本体部12を有する。インプラント10はまた、本体部12を第1の状態から第2の状態に変化させるための、本体部12に沿って延びる柔軟な引張り要素36を有する。本体部12は、鎖を形成するように連続して配置された、第1の状態では互いに可動的である複数のエレメント18、20、22を含む。

Description

本発明は、心臓弁の機能不全、特に、僧帽弁の機能不全を処置するためのインプラントであって、第1の実質的に延ばされた状態から、減少した曲げ半径を有する第2の状態に変化させることができる細長い本体部と、本体部を第1の状態から第2の状態に変化させるための、本体部に沿って延びる柔軟な引張り要素とを含むインプラントに関する。
そのようなインプラントは下記特許文献1から知られている。
心臓血管疾患は、西洋世界では死亡率の大きな割合を占めている。
心不全が急性心筋梗塞以外の原因から生じることがある。例えば、心不全は、長期間にわたる高血圧の結果であり得るか、または代謝性疾患もしくは遺伝性疾患の結果であり得る。
心不全をもたらし得る心臓疾患にはまた、心臓弁の機能不全、特に、僧帽弁の機能不全も含まれる。
心臓は、2つの部分から、すなわち、右側半分および左側半分からなる。心臓の両半分はそれぞれが心房および心室からなる。心室が実際の心臓ポンプであり、一方、心房は、心室に対する充填機構を構成している。右心室は、血液を、より少ない循環に、すなわち、ガス交換のために肺経由で送り出し、一方、左心室は血液を全身に送り出している。
心臓の拡大(拡張)は、多くの場合、左心室の急性不全または慢性不全の兆候である。徐々に生じる拡張は、より大きな力を得るための一種の補償現象であると見なされ、心臓の特定の性質を表している。この拡大は左心室だけに限定されない。そのため、拡大はまた、左心房と左心室との間にある輪の拡大をもたらすことが多い。僧帽弁は、この輪に固定されている。僧帽弁は、左心室と左心房との間に位置する心臓弁である。この心臓弁は、血液が心室から心房内に逆流することを防ぐ2つの尖(すなわち、前尖および後尖)を含む。
これらの尖は一定の輪直径のためのものである。輪が拡大したとき、尖のサイズは、フラップ弁の漏れない閉鎖を確保するためにはもはや十分ではなく、漏出が2つの尖の間で生じ、血液がそれぞれのポンプ運動のときに逆向きに漏れ、これは心不全を生じさせことがある。ほとんどの場合、漏出の原因となっているのは主として後尖である。これは、前尖の方が、心臓の柔らかい骨格を介して良好に固定されているからである。
僧帽弁輪の拡張の手術的処置では、尖を再び元のサイズの輪に適合させ、その結果、僧帽弁が、漏れることなく再び閉じるように、輪を短くすることが可能である。輪のサイズを減少させるために、僧帽弁の代用体(例えば、金属リング)が手術により僧帽弁の輪にはめ込まれることが多い。しかしながら、そのような介入は、患者に相当な身体的負担を負わす開心手術によってのみ行うことができる。しかしながら、多くの場合、このような手術では死亡率が非常に大きいので、心不全によってその状態が既に損なわれている患者には手術することができない。このような患者については、唯一の残された選択肢は薬物処置であるが、多くの場合、これは十分ではない。
従って、患者に身体的負担をあまり負わせず、死亡率が著しく低下された新しい処置形態が求められている。すなわち、心臓弁の機能不全を最小限の侵襲的手法によって処置することが非常に求められている。
下記特許文献1には、僧帽弁の機能不全を最小限の侵襲的手法によって処置するためのインプラントが開示される。後者では、心臓の主要な静脈である冠状静脈洞が左心房と左心室との間の後部溝(後室間溝)に存在するという事実が利用されている。冠状静脈洞のこの進路には、静脈の直ぐ近くにおいて僧帽弁輪の後部湾曲がまさに沿っている。僧帽弁の後尖の結合部が冠状静脈洞に沿って位置し、輪外周のほぼ半分を覆っている。従って、インプラントが、血管内経路により、すなわち、最小限の侵襲的手法を使用して冠状静脈洞内に導入されることによって、輪の後部弧の外周を短くするか、または輪を強化および安定化することが可能である。
下記特許文献1には、この目的のために意図されるインプラントの様々な形態が記載される。
既知のインプラントの第1のタイプは、冠状静脈洞に埋め込まれる血管ステントとして設計された本体部を有する。血管ステントは、冠状静脈洞の直径に対応する直径を有する。血管ステントはワイヤの格子状物から作製される。ワイヤのために使用される材料が温度依存的な形状記憶を有するという事実は、この血管ステントが冠状静脈洞に挿入された後、前記ステントが、低下した曲げ半径を有する状態を取ることを意味する。しかしながら、インプラントを血管ステントとして設計することの1つの欠点は、冠状静脈洞に埋め込まれたステントが凝固および血栓症を生じさせることがあり、従って、心筋における血液循環を減少させることがあるということである。さらに、血管ステントのワイヤは、冠状静脈洞の血管壁を圧迫するので、血管壁の破裂を生じさせることがある。半径の減少は、使用されたワイヤの形状記憶にだけ基づくという事実は、場合により、知られているインプラントの安定化作用もまた、僧帽弁の輪を安定化させるためには十分ではないことを意味する。さらに、本体部を、実質的に延びた状態から、曲げ半径がより小さい第2の状態に変化させることは、ワイヤの物質的性質にだけ基づくので、適切に制御することができない。
既知のインプラントの第2のタイプは、単純には、冠状静脈洞に導入されるワイヤからなる。このワイヤにおいて、第1の実質的に延びた状態から、減少した曲げ半径を有する第2の状態への変化が、使用されたワイヤ材料の形状記憶に基づいて生じ、このため、上記の欠点がもう一度生じる。第1の状態から第2の状態へのワイヤの変化もまた温度依存的であるので、ワイヤは、望ましくないことに、血管系を介したその導入時のあまりにも早いときに湾曲する可能性があり、その結果として、ワイヤをさらに遠くに進ませることが不可能である。
既知のインプラントの第3のタイプでは、本体部が、互いに遠くに離れて設置され、そして、それぞれが格子状構造を有し、プルワイヤの形態での引張り要素によって相互に接続されている3つの短いステント部分からなる。3つのステント部分が冠状静脈洞に導入された後、引張り要素は、それらを引くことにより引張られる。そのような手段により、3つのステント部分の間の距離がわずかに減少し、僧帽弁輪の半径がより小さくなる。しかしながら、この場合の欠点は、引張り要素がステント部分の間に露出して存在するので、引張り要素が、引張り時にまっすぐになり、冠状静脈洞の血管壁に食い込むということである。
国際公開第01/00111号パンフレット
従って、本発明の1つの目的は、上記の欠点が回避され、インプラントが容易に埋め込まれ、第1の状態から第2の状態への変化を容易に制御することができ、そしてインプラントが埋め込まれる血管の壁を損傷させることなく、心臓弁の輪の十分な安定化が確保されるような、最初に述べられたタイプのインプラントを開発することである。
本発明によれば、この目的は、最初に述べられたタイプのインプラントに関しては、本体部が、鎖を形成するように連続して配置された、第1の状態では互いに可動的である複数(多数)のエレメントを含み、そして、本体部の第2の状態では、引張り要素が、弧を形成するようにこれらのエレメントを互いに引張り、この場合、前記エレメントは、第2の状態において互いに実質的に動かず、そして、実質的に連続した平坦な支持表面を弧の内側半径面に形成するという事実によって達成される。
従って、本発明によるインプラントは、鎖を形成するように連続して配置され、かつ引張り要素が引張られていないときには互いに可動的である複数のエレメントを含む本体部を有しており、その結果、インプラントを、本体部の第1の状態で、血管内方法によって血管または冠状静脈洞に導入することができる。インプラントが血管内の本来の位置に配置されるとすぐに、引張り要素が引張られ、その結果として、エレメントは、弧を形成するように引張られ、従って、実質的に連続した平坦な支持表面が、心臓弁の輪の方を向くように血管の壁に配置され、心臓弁の輪を効果的に支える。このインプラントは、直線状の部分を生じさせることなく血管の自然の湾曲に従う弧の湾曲を規定することが可能であるので、血管壁に食い込まず、また血管壁内に押し込まれない。本体部の第2の状態において、相互に引張られたエレメントは、エレメントおよび引張り要素の形態に依存して、堅いか、もしくは剛体的であり得る弧を形成するか、または、弧はまた、ある程度の弾性を有し得る。この意味において、第2の状態にあるエレメントが互いに「実質的に動かない」という特徴は、輪が剛体的または堅い場合には、エレメントが完全に動かないことを意味し、弧が依然としてある程度の柔軟性を有する場合には、エレメントが依然として互いにわずかな可動性を有するか、または柔軟でさえあることを意味することとして理解しなければならない。本発明によるインプラントは、本体部の第1の状態で、血管内経路によって、例えば、カテーテルによって容易に導入することができ、そして血管内の本来の位置に置かれたとき、引張り要素によって、例えば、導入のために使用されたカテーテルによって、制御された様式で引張られ得る。その結果として、引張り要素が好適に作動したとき、エレメントは引張られて弧を形成する。
好ましい実施形態では、引張り要素は、エレメント上で支持表面から遠い側に配置されている。
この利点は、先行技術から知られているインプラントとは対照的に、引張り時に、引張り要素がまっすぐにならず、血管壁に食い込まないことを保証するということである。支持表面から遠くに向けられているエレメントの側面は、引張り要素が、例えば、エレメントの裏(逆)側に配置されていることを意味するだけでなく、エレメントが中空設計されている場合には、引張り要素はまた、エレメントに一体化され、エレメントの内部を通ることができることを意味することとして理解しなければならない。
さらなる好ましい実施形態では、それぞれ隣接するエレメントは関節型様式で互いに接続されている。
この方策は、個々のエレメントが本体部の第1の状態では既に互いに接続されており、その結果として、第2の状態への変化が、引張り要素の引張りによって、一層より良好な制御とともに生じ得るという利点を有する。本体部の第1の状態において、それぞれ隣接するエレメントの関節型接続は、血管内への血管内導入のとき、前記エレメントを含む本体部が、血管の進路に適合させることができるための必要な柔軟性を有するという利点を有する。
好ましい実施形態では、隣接するエレメントの間の関節型接続がエレメント間の柔軟な接続部分によって形成される。
この方策は、関節型接続が構造的に単純な様式で実現され得るという利点を有する。これらの接続部分は、個々のエレメントとの一体物で形成することができ、そして、例えば、個々のエレメントを作製するとき、個々のエレメントの間の所定位置に実質的な架橋を残すことによって1つの材料片から形成することができる。
好ましい代わりの実施形態では、隣接エレメントの間の関節型接続が軸ヒンジによって形成される。
この方策は、エレメントの接続のより複雑な実施形態を表しているが、それにもかかわらず、これは、個々のエレメントの間の関節型接続が全体として非常に安定にされ得るという利点を有する。この実施形態では、個々に作製されたエレメントを、インプラントの本体部を形成するために軸ヒンジによって互いに接続することができる。
さらなる好ましい実施形態では、引張り要素は、遠位エレメントに固定されており、そして引張り要素の連続した引張りを可能にする引張り機構によって近位エレメントに接続されている。
この方策によって、第1の状態から第2の状態への本発明によるインプラントの本体部の変化が一層より良好に制御され得る。特に、本体部の第2の状態における弧の曲げ半径を、引張り要素の連続した引張りによって、適用される特定部位に対して、そして患者毎に個々に非常に正確に適合させることができる。
さらなる好ましい実施形態では、引張り機構は、近位エレメントに配置され、引張り要素の近位部分にねじ締めできるねじ山を有する。
ねじ山の好適で精巧な形態により、ねじ山が近位エレメントに配置されている引張り機構のこの実施形態は、引張り要素の連続した引張りを可能にし、インプラントの本体部の第2の状態の非常に細かい適合化が可能になる。引張り機構は、好ましくは、インプラントを血管内経路によって標的部位に持ち込むカテーテルを使用して作動させられる。そのような場合、そのようなカテーテルは、引張り要素を引張り、本体部を第2の状態に変化させるために、操作している外科医によって体外から操ることができる好適なシャフトを備えている。
さらなる好ましい実施形態では、エレメントは、心臓弁の方を向くその側面に、引張り要素を通すためのはと目(穴)を有する。
この方策は、引張り要素がエレメント上で案内されるという利点を有する。この実施形態では、前記の実施形態の1つにおいて好ましくは設けられているエレメントの相互接続を省くこともまた可能であり、これは、この場合には、引張り要素上のエレメントを、好ましくははと目によって、その長さ方向のまわりの回転でねじれないように固定することができるからである。
さらなる好ましい実施形態では、固定用(アンカーリング)フックが、支持表面側において、少なくとも1つのエレメントに配置されている。
固定用フックは、心臓弁の輪の組織に引っかけるために役立ち、そのような手段によって、本発明によるインプラントは、好都合には、埋め込まれた状態において滑りまたは移動がないように固定される。
さらなる好ましい実施形態では、固定用フックは、支持表面を超えて延び出ることができる。
この方策は、少なくとも1つの固定用フックが血管内挿入を妨げないという利点を有する。これは、固定用フックを、固定用フックが妨害物を構成しないくぼんだ部分に配置することができるからである。その場合、固定用フックが本体部の支持表面を超えて外側に延び出られるのは、標的部位においてだけであり、このことは、固定用フックが延び出たとき、固定用フックが輪の組織に確実に引っかかるというさらなる利点をもたらす。
さらなる好ましい実施形態では、固定用フックは回動運動可能であり、かつ固定用フックを外向きに回動させるために、引張り要素が固定用フックに接続されている。
この方策は、引張り要素を引張っているとき、少なくとも1つの固定用フックが、それが設けられているエレメントの支持表面を超えて自動的に延び出るという特定の利点を有する。少なくとも1つの固定用フックの伸張運動が、引張り要素の引張りが開始されたときに生じ、その結果として、インプラントが、最初に、標的部位に固定され、そして引張り要素のさらなる引張りによって、本体部が変形して弧形状をもたらす第2の状態に本体部が変化させられる。この方策の付加された利点は、1つだけの作動機構、すなわち、引張り要素が、固定用フックの伸張運動のために、そして本体部を第1の状態から第2の状態に変化させるために必要であるということである。
さらなる好ましい実施形態では、固定用フックは少なくとも遠位エレメントに配置されており、そして引張り要素は、固定用フックを介して遠位エレメントに固定されている。
上記の実施形態によれば、この方策は、引張り要素が、遠位エレメントに対して、本体部を第1の状態から第2の状態に変化させるために、そしてまた、少なくとも1つの固定用フックに対しても、後者を延び出させるために、その両方に対してこのようにして接続されているという利点を有する。
しかしながら、固定用フックがそれぞれの場合に数個のエレメントに配置されていることもまた好ましい。
これにより、冠状静脈洞におけるインプラントの一層より良好な固定が達成されるだけでなく、第2の状態において、本体部が、例えば、ある種の相対的な可動性を互いに関して依然として有するか、または自身が柔軟である本体部の個々のエレメントによって、ある程度の柔軟性または弾性を依然として有するように、本体部はまた、エレメントから形成され得る。
さらなる好ましい実施形態では、エレメントは、少なくとも支持表面を形成するそれらの外側に湾曲を有する。
この方策は、エレメントが、最初から、好適な予備的湾曲を備え、その結果、支持表面が、エレメントにより形成されるインプラント本体部の第2の状態において、安定化される輪の解剖学的湾曲に適合する湾曲を有するという利点を有する。この実施形態は、特に、個々のエレメント、および従って好ましくは本体部もまた、第2の状態において、曲げ的に堅く、または剛体的でさえあるときには好都合である。
しかしながら、そのような湾曲が、エレメントのための好適な材料(例えば、ニチノール)を使用することによって、埋め込み時にだけ、例えば、体温の影響下で、個々のエレメントに与えられるならば同様に好ましい。
さらなる好ましい実施形態では、隣接するエレメントの端面が本体部の第2の状態で互いに面一の(接触した)状態にあるように、エレメントの端面が設計される。
この利点は、本体部が埋め込まれた状態にある場合、エレメントの端面が、血管を流れる血液の流れに対する妨害とならず、従って、血液に渦を形成させないということである。さらに、支持表面は、本体部の第2の状態において心臓弁の方を向くエレメントの外側によって形成されるので、連続して平滑であり、その結果として、冠状静脈洞の血管壁は依然としてインプラントによって一層より良好に保護される。
さらなる好ましい実施形態では、エレメントは実質的に曲げ剛性を有する。
この利点は、弧を構成するために引張られたとき、エレメントが、拡張した自然の輪、従って、処置される心臓弁の拡張した自然の輪の特に良好な安定化を確保する全体的な曲げ剛性を有するか、または一層剛体的な部分的リングを形成し得るということである。
さらなる好ましい実施形態では、エレメントは、断面において、それらの外周に沿って全周にわたって延びる壁を有する。
この方策は、別の好ましい実施形態に示されるように、エレメントが中空体として設計されている場合、その中に引張り要素を配置することを可能にするという利点を有する。
断面形状は円形形態に限定されないこと、そして、他の断面形状がむしろ好ましい場合があることが理解される。例えば、三日月形状の断面または半円形の断面は、血管内のインプラントが血管のより小さい断面を占め、冠状静脈洞を通る血液の十分な流れを確保するというさらなる利点を有している。
さらなる好ましい実施形態では、エレメントの壁は少なくとも一部が途切れている。
この方策により、インプラントの表面をなおさらに小さくすることができ、その結果として、血栓形成の危険性または凝固の危険性をさらに最小限に抑えることができる。
エレメントが、断面において、それらの外周の一部だけに沿って延びる壁を有するならば同様に好ましい。
開いた断面を有する個々のエレメントのこの実施形態では、引張り要素は、当然のことではあるが、エレメントによって完全には取り囲まれ得ない。しかしながら、この方策は、インプラントによって占められる血管の断面を非常に小さく保つことができ、その結果、冠状静脈洞を通る血液の通路が考えられる最小限の程度でしか損なわれないという利点を有する。
さらなる好ましい実施形態では、エレメントの表面は生物学的組織または血液に関して付着防止性および生体適合性を有する。
この方策は、本発明によるインプラントはそれ自体が生体適合性であり、そして血栓形成の危険性が回避され得るという利点を有する。個々のエレメントは、例えば、好適な物質で被覆することができ、またはエレメントを好適な材料から作製することができ、またはインプラントの本体部を、個々のエレメントを覆う好適な柔軟な薄い管材で外装することができる。
さらなる利点および特徴が、下記の説明および添付された図面から明らかになる。
上記の特徴および下記になおも説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示された組合せにおいてだけでなく、他の組合せにおいても、または単独でも使用され得ることが理解される。
本発明の例示的な実施形態が図面に示され、そして図面を参照してより詳しく下記に記載される。
図1、図2、図6および図8には、心臓弁の機能不全を処置するためのインプラントが、本発明の場合には、僧帽弁の機能不全を処置するためのインプラントではあるが、全体が参照番号10によって示されている。インプラント10は、僧帽弁に存在する自然の輪を、輪の病理学的な拡張または緩みがある場合に安定化させるために使用される。
インプラント10は、一般には、遠位端14および近位端16を含む本体部12を有する。
図1および図6には、本体部12が第1の状態で示されており、この場合、本体部12は実質的に延ばされて、実質的に柔軟であり、その結果、この第1の状態において、本体部12は、カテーテルによる血管内経路によってその埋め込み部位に向かって動脈または静脈に沿って進めることができ、そして、そうしているとき、これらの血管の湾曲した進路にさえ容易に適合させることができる。
図2および図8には、本体部12が第2の状態で示されており、この場合、本体部12は、減少した曲げ半径を有する湾曲した形状を取っている。この状態で、インプラント10は、処置される心臓弁の自然の輪に対してその安定化機能を発揮することができる。
本体部12は、鎖を形成するために連続して配置されている複数のエレメント18を含んでいる。示されている例示的な実施形態では、本体部12は、合計で11個のそのようなエレメント18を含んでおり、遠位エレメント(先端エレメント)20が本体部12の遠位端(先端)14を形成し、近位エレメント(基端エレメント)22が本体部12の近位端(基端)16を形成している。
図1および図6に表される本体部12の第1の状態において、エレメント18は互いに可動的である。示されている例示的な実施形態では、相対的な可動性は、それぞれ隣接するエレメント18が関節型様式で互いに接続されているという事実によってもたらされる。この手段によって、エレメント18は、本体部12の長さ方向に対して横の方向に可動的であり、しかし、本体部12の長さ方向では互いに実質的に動かない。
それぞれ隣接するエレメント18の関節型接続は、エレメント18間の柔軟な接続部分24によって形成されている。接続部分24は、本体部12の長さ方向の中心軸に関して偏心して配置されている。
しかしながら、柔軟な接続部分によって接続される代わりに、本体部12の個々のエレメント18はまた、軸ヒンジによって関節型様式で互いに接続することができる。
個々のエレメント18の関節型接続は、図2による本体部12の第2の状態では、外側の半径(外径)面26を形成する本体部12の側面において行われており、その一方で、エレメント18は、外側の半径面26とは反対側に位置する内側の半径(内径)面28において互いに接続されていない。
エレメント18は、断面(図3参照)において、その外周に沿って全周にわたって延びる壁30を有する。すなわち、個々のエレメント18は小さい管の形態で設計されている。従って、各エレメント18は、その外周に沿って全周にわたって(全面に)延びる壁30を有する中空体を表す。端面32および端面34において、各エレメント18は長さ方向に開口している。
エレメント18の端面32および端面34は、図2および図8に示されるように、隣接するエレメント18の端面32および端面34が本体部12の第2の状態で互いに接触する(面一になる)ように設計されている。管としての個々のエレメント18の実施形態では、本体部12は、従って、長さ方向に沿って実質的に連続する閉じた部分的リングの形態を取る。
本体部12を作製するために、後者が、例えば、管の長さ方向の中心軸に関して横方向に内側の半径面28から管壁に部分的に切り込むことによって、図2による部分的リングとしての形状にされた管から作製され得る。この場合、柔軟な接続部分24が切削処理のときに所定位置に残される。そのようにして形成された管が延ばされたとき、図1による本体部12の形状が得られる。
図2および図8に示されるような本体部12の第2の状態では、エレメント18は、インプラント10の埋め込まれた状態において、処置される心臓弁の方に向けられている実質的に連続する平坦な支持表面を内側の半径面28に形成する。
本体部12を、図1および図6に示される第1の状態から、図2および図8に示される第2の状態に変化させるために、本体部12に沿って延びる柔軟な引張り要素36が提供される。引張り要素36は、例えば、スチール、ニチノールまたは他の好適な材料から作製され得る、例えば、細いワイヤである。
引張り要素36は本体部12の近位端16から遠位端14まで延びている。引張り要素36は、エレメント18において、支持表面を形成する内側の半径面28から遠い側に配置されており、エレメント18の内部を通っている。
引張り要素36は遠位エレメント20に固定されており、、引張り機構38を介して近位エレメント22に接続されている。このことは、より詳しくは、図7を参照して下記に記載される。
外ねじを有するエレメント40が引張り要素36の近位端に配置されており、これは、内ねじを有するねじ締めスリーブ42とねじ込み係合している。スクリューシャンク42は、それに関する限り、近位エレメント22に対して回すことができるが、軸方向には動かない。そのような目的のために、スリーブ44が、動かないように近位エレメント22に接続されており、ねじ締めスリーブ42の半径方向の突出部46がそのようなスリーブ44の中に係合している。
ねじ締めスリーブ42の最も外側の近位端に切り込みが入れられて、図6に示されるように、対応する突出部50をその遠位端に有する対応する補助装置52がぴったり合うスリット48が存在する。
ねじ締めスリーブ42を長さ方向の軸54の周りに回すことによって、ねじ締めスリーブ42とねじ込み係合している引張り要素36が、近位側に(矢印56の方向に)引張られる。引張り要素36は遠位エレメント20に固定されているので、エレメント18は、それに従って互いに引張られて、図2および図8による弧を形成する。エレメント18が引張られて、弧を形成している状態では、エレメント18は、引張り要素36によって互いに保持され、互いに関して実質的には動かない。
引張り機構38は、引張り要素36の連続した引張りを可能にする。
図2および図8における本体部12は、隣接するエレメント18の端面32および端面34が互いに完全に接している最大限に引張られた状態で示されているが、本体部12を部分的にだけ引張ることも同様に可能であり、そのような手段によって、本体部12は、図2および図8の場合よりも大きい曲げ半径を有する弧を形成することができる。
さらに、固定用(アンカーリング)フックが、本体部12の内側の半径面28において、エレメント18の少なくとも1つに配置されている。5個のそのような固定用フック58が図2に従って提供される。固定用フック58は、本体部12の内側の半径面28(これは支持表面を形成する)を超えて延び出ることができ、この場合、固定用フック58の外向きの伸張動きが引張り要素36の引張り時に生じる。このことは、遠位エレメント20に配置された固定用フック60の例が示される図5を参照してより詳しく記載される。
引張り要素36は、固定用フック60を介して遠位エレメント20に固定されている。固定用フック60は、回動軸62の周りに回動することができるような方法で遠位エレメント20に取り付けられている。ねじ締めスリーブ42を回すことによって引張り要素36が引張っているとき、固定用フック60は、最初に、図5に示されるように、遠位エレメント20の内側に回動した位置から、外側に延び出される、すなわち回動して出される。限界停止装置64により、固定用フック60の最大限の回動が制限される。固定用フック60が限界停止装置64を押すと直ちに、引張り要素36のさらなる引張りにより、本体部12は、本体部12が図2および図8による弧形状を取る第2の状態に確実に変化する。
図1から理解され得るように、エレメント18は、支持表面または内側の半径面28を形成するそれらの外側に湾曲を既に有しており、この場合、そのような湾曲は、図2に示される状態における本体部12の曲げ半径に対応する。エレメント18が、さらに、実質的に曲げ剛性を有するか、または一層剛体的な設計である場合、図2に示される第2の状態における本体部12は、実質的に曲げ剛性を有するか、または剛体的でさえある弧または部分的リングを形成する。
エレメント18の表面は、生物学的組織または血液に関して付着防止性および生体適合性を有しており、これは、適当な被覆によって、または柔軟な管状の外装によって達成することができる。しかしながら、エレメント18はまた、全体を生体適合性材料から作製することができる。エレメント18はまた、金属から作製し、適当な被覆または管状の外装を備えることができる。
さらに、エレメント18の壁30には、連続した穴を、このようにして表面をさらに少なくするために備えることができる。
図8は、埋め込まれた状態におけるインプラント10を示す概略的な図である。
参照番号70は、この場合、後尖72および前尖74を有する僧帽弁を示す。図8に示されている僧帽弁70は、平面図に対応する。僧帽弁は、左心房と左心室との間において心臓に配置されている。僧帽弁70は自然の輪76により所定位置に固定されている。輪76は病理学的に拡大(拡張)しまたは緩むことがあり、その結果、僧帽弁70は、心臓のポンプ運動のとき、もはや密閉しない。
今回、インプラント10が天然の輪76を十分に支え、かつ強化し、またはその半径を減少させるという事実によって、インプラント10は、僧帽弁70の閉鎖作用を再確立するために役立つ。
この目的のために、インプラント10は、輪76を取り囲み、そして心筋の主要な静脈であり、輪76にすぐ隣接する冠状静脈洞78に埋め込まれる。
図1および図6による本体部の第1の状態で、インプラント10が、カテーテルシステムを使用して冠状静脈洞に導入される。この場合、例えば、大腿静脈が進入路として使用される。大腿静脈はまた、スワン−ガンツカテーテルを用いた心臓検査でも使用される。その場合、ガイドカテーテルによって、インプラント10をX線透視法によって冠状静脈洞78に設置することができる。インプラント10は、補助装置52について、例えば、参照番号80によって、図6に示されるような、内側チャネルを有し、かつ回転可能なシャフトを備える補助カテーテルに固定される。図6による補助装置52の突出部50は、ねじ締めスリーブ42のスリット48に係合する。シャフト80を回すことによって、ねじ締めスリーブ42は回転させられ、そのような手段により、引張り要素36が、図6における矢印56の方向に従って近位方向に引張られる。少なくとも1つの固定用フック60および適する場合にはそれ以外の固定用フック58もまた、最初に外方向に延び出され、輪76の組織に引っかかる。シャフト80をさらに回すことによって、引張り要素36が近位方向にさらに引張られ、その結果、本体部12が、第1の状態から、図2および図8による第2の状態に変わる。この場合、エレメント18により、弧または部分的リングが形成され、そのような弧または部分的リングの支持表面を形成する内側の半径面28は、輪76に隣接する冠状静脈洞78の血管壁を押し、そして、このようにして、輪76を支える。
エレメント18によって形成される弧は、好ましくは180oを超える円周角を覆い、そのような手段によって、インプラント10は、輪76の周りにできる限り係合し、その位置がさらに安定化される。
エレメント18が互いに完全に引張られたとき、補助装置57はねじ締めスリーブ42からはずれ、その後、補助カテーテルの助けにより身体から抜き取ることができる。ねじ山を用いた引張り機構の代わりに、別の引張り機構(例えば、差し込み型機構)もまた使用することができる。
インプラント10の断面の大きさは、冠状静脈洞78の最も大きい可能な管腔が血液の通路のために依然として利用できることを確保するために、できる限り小さくしなければならない。
図9および図10には、エレメント18の他の断面形状の例が示されている。図9および図10に示される断面形状はほぼ三日月形状であり、そのような場合、引張り要素36は、エレメント18によって取り囲まれず、むしろ、自由な状態にある。図9および図10に示される例示的な実施形態では、エレメント18の壁30は、このように、断面において外周の一部だけに沿って延びる。
互いに関節型接続されている場合、エレメント18は、それらの断面端部(82および84)において柔軟な接続部分を有することができる。
図10によれば、エレメント18がこの「開いた」構造の場合、引張り要素36を個々のエレメント18におけるはと目(穴)86に通すことも可能である。この場合、エレメント18の互いの接続を不要にできる。
第1の状態にある、心臓弁の機能不全を処置するためのインプラントを示す。 第2の状態にある、図1に示されるインプラントを示す。 図1の線III−IIIに沿う、図1に示されるインプラントの断面を示す。 後ろ側から見た、図1に示されるインプラントの部分図である。 図1および図2に示されるインプラントの遠位端を拡大し、かつ部分的に長さ方向の断面で示す。 図1に示されるインプラントを、非常に概略的に表される補助装置と一緒に示す。 図1に示されるインプラントの近位端を長さ方向の断面で拡大して示す。 埋め込まれた状態にある図1に示されるインプラントを、非常に概略的に表される心臓弁ととともに示す。 インプラントのためのエレメントの幾何形状のさらなる例示的な実施形態を断面で示す。 インプラントのためのエレメントの幾何形状のさらなる例示的な実施形態を断面で示す。

Claims (21)

  1. 心臓弁の機能不全、特に、僧帽弁(70)の機能不全を処置するためのインプラントであって、実質的に延ばされた実質的に柔軟な第1の状態から、減少した曲げ半径を有する第2の状態に変化させることができる細長い本体部(12)と、前記本体部(12)に沿って延び、前記本体部(12)を前記第1の状態から前記第2の状態に変化させるための、柔軟な引張り要素(36)とを含み、前記本体部(12)は、鎖を形成するように連続して配置され複数のエレメント(18、20、22)を含み、この複数のエレメントは、前記第1の状態では互いに可動的であり、前記本体部(12)が前記第2の状態のとき、前記引張り要素(36)は、前記エレメント(18、20、22)が弧を形成するようにこれらを互いに引張り、この第2の状態において、前記エレメント(18、20、22)は、互いに実質的に動かず、かつ、前記弧の内側半径面(28)に、実質的に連続した平坦な支持表面を形成することを特徴とするインプラント。
  2. 前記引張り要素(36)が、前記エレメント(18、20、22)上で、前記支持表面から遠い側に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のインプラント。
  3. それぞれ隣接するエレメント(18、20、22)が関節型様式で互いに接続されていることを特徴とする、請求項1または2記載のインプラント。
  4. 隣接するエレメント(18、20、22)の間の前記関節型接続が前記エレメント(18、20、22)の間の柔軟な接続部分(24)によって形成されていることを特徴とする、請求項3記載のインプラント。
  5. 隣接するエレメントの間の前記関節型接続が軸ヒンジにより形成されていることを特徴とする、請求項3記載のインプラント。
  6. 前記引張り要素(36)が、遠位エレメント(20)に固定されており、かつ前記引張り要素(36)の連続した引張りを可能にする引張り機構(38)を介して近位エレメント(22)に接続されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のインプラント。
  7. 前記引張り機構が、前記近位エレメント(22)に配置され、前記引張り要素(36)の近位部分にねじ締めできるねじ山を有することを特徴とする、請求項6記載のインプラント。
  8. 前記エレメント(18)が、前記引張り要素を通すためのはと目を有することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のインプラント。
  9. 前記支持表面側において少なくとも1つのエレメント(18、20、22)に固定用フック(58、60)が配置されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載のインプラント。
  10. 前記固定用フック(58、60)が前記支持表面を超えて延び出ることができることを特徴とする、請求項9記載のインプラント。
  11. 前記固定用フック(58、60)が回動運動可能であり、かつ前記固定用フック(58、60)を外向きに回動させるために、前記引張り要素(36)が前記固定用フック(58、60)に接続されていることを特徴とする、請求項10記載のインプラント。
  12. 前記固定用フック(60)が少なくとも前記遠位エレメント(20)に配置されており、そして前記引張り要素(36)が、前記固定用フック(60)を介して前記遠位エレメント(20)に固定されていることを特徴とする、請求項11記載のインプラント。
  13. それぞれの場合に数個のエレメント(18、20、22)に前記固定用フック(58、60)が配置されていることを特徴とする、請求項9ないし12のいずれかに記載のインプラント。
  14. 前記エレメント(18、20、22)が、少なくとも前記支持表面を形成するそれらの外側において湾曲を有することを特徴とする、請求項1ないし13のいずれかに記載のインプラント。
  15. 隣接するエレメント(18、20、22)の端面(32、34)が前記本体部(12)の前記第2の状態では互いに面一になるように、前記エレメント(18、20、22)の前記端面(32、34)が設計されていることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれかに記載のインプラント。
  16. 前記エレメント(18、20、22)が実質的に曲げ剛性を有することを特徴とする、請求項1ないし15のいずれかに記載のインプラント。
  17. 前記エレメント(18、20、22)が、断面において、それらの外周に沿って全周にわたって延びる壁(30)を有することを特徴とする、請求項1ないし16のいずれかに記載のインプラント。
  18. 前記エレメント(18、20、22)がそれらの端面で開口しており、前記引張り要素(36)が前記エレメント(18、20、22)の内部を通っていることを特徴とする、請求項17記載のインプラント。
  19. 前記エレメント(18、20、22)の前記壁(30)の少なくとも一部が途切れていることを特徴とする、請求項17または18記載のインプラント。
  20. 前記エレメント(18、20、22)が、断面において、それらの外周の一部だけに沿って延びる壁(30)を有することを特徴とする、請求項1ないし16のいずれかに記載のインプラント。
  21. 前記エレメント(18、20、22)の表面が生物学的組織または血液に関して付着防止性かつ生体適合性であることを特徴とする、請求項1ないし20のいずれかに記載のインプラント。
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