JP2006001237A - 感熱記録シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 外観性を損なうことなく撓ませたり伸縮させたりすることが容易な感熱記録シートを提供する。
【解決手段】 オレフィン系樹脂で形成された弾性率600MPa以下の基材シート1と、この基材シート1上に設けられた感熱記録材層2とを有する感熱記録シート10により、上記課題を解決した。
【選択図】 図1








Description

本発明は、パターン状に加熱することによって文字や絵柄を記録することができる感熱記録シートに関する。
比較的簡単な装置により簡便に文字や絵柄を記録(印字)できる記録シートとして、感熱記録シートが知られている。感熱記録シートは、基材シート上に、例えばロイコ染料と顕色剤とが添加された樹脂で形成された感熱記録材層が設けられたものである(例えば、特許文献1を参照。)。基材シートは、一般に紙やポリエチレンテレフタレートで形成されている。こうした感熱記録シートでは、感熱記録材層が感熱記録プリンタ(サーマルプリンタ)等でパターン状に加熱されることにより、所望の文字や絵柄等が印字される。
感熱記録シートを用いた場合には、紙等の基材シートに活版印刷等する場合と比較して、ロットが小さいときでも短時間でしかも低コストの下に印字することが可能である。また、加熱溶融転写方式や加熱昇華転写方式等を利用した記録シート(転写リボンを用いて印字する記録シート)を用いた場合には、使用後に廃棄物となる転写リボンに印字済みの情報が残留してしまうが、感熱記録シートを用いた場合には、個人情報や営業秘密情報等を印字してもその廃棄物から情報が漏洩するおそれがない。
感熱記録シートは、ファクシミリ用の用紙又はレジスターで印字されるレシート等に用いられるほか、裏面に粘着剤層が設けられて商品等に貼付される粘着シートや粘着ラベル等として用いられることもある。また、最近では、感熱記録シートを曲面部に貼付したり、病院等で患者を識別するための腕輪に使用したりする等、撓ませたり伸縮させたりした状態での使用に対する要求がある。
特公平5−4913号公報
しかしながら、従来の感熱記録シートでは、基材シートが紙やポリエチレンテレフタレート等の柔軟性に乏しい材料で形成されているので、上記のような撓ませた状態で使用しようとすると所望形状に撓ませ難いことが多々ある。また、このような感熱記録シートを無理に撓ませた場合には、感熱記録シート全体に高い曲げ応力が生じてしまうので、感熱記録材層に亀裂や破断が生じて感熱記録シートの外観性が損なわれるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、外観性を損なうことなく撓ませたり伸縮させたりすることが容易な感熱記録シートを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の感熱記録シートは、オレフィン系樹脂で形成された弾性率600MPa以下の基材シートと、該基材シート上に設けられた感熱記録材層とを有することを特徴とする。
この発明によれば、基材シートが上記の弾性率を有するので、可撓性、伸縮性が高い感熱記録シートを容易に得ることができる。また、この感熱記録シートに撓みや伸縮を加えたときには、感熱記録シート全体に加わる剪断応力及び圧縮(引張)応力(以下、単に「応力」と総称する。)が基材シートによって吸収され、結果として、曲げや伸縮に伴って感熱記録材層に加わる応力が軽減されるので、感熱記録材層に亀裂や破断が生じることが抑制される。したがって、外観性を損なうことなく撓ませたり伸縮させたりすることが容易な感熱記録シートを得ることができる。
本発明の感熱記録シートは、上記の感熱記録シートにおいて、前記感熱記録材層上に表面保護層が更に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、表面保護層によって所望の特性を感熱記録シートに付加することができるので、用途や求められる性能等に応じた種々の特性の感熱記録シートを得易くなる。
本発明の感熱記録シートは、上記の感熱記録シートにおいて、前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂の硬化物から形成されていることが好ましい。
この発明によれば、電離放射線硬化性樹脂の硬化物から形成された表面保護層を有しているので、感熱記録シートに耐候性、耐溶剤性、耐擦傷性等を付与することができ、その結果として、感熱記録シートの用途を拡大することが可能になる。
また、従来から用いられている感熱記録シートに電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる柔軟性に乏しい表面保護層を設けた場合には、感熱記録シートを撓ませたり伸縮させたりし難くなると共に、無理に撓みや伸縮を加えると表面保護層に亀裂や破断が生じて外観性が損なわれ易くなるが、この発明によれば、基材シートの弾性率が上記の範囲内にあることから、撓みや伸縮を加えたときの応力を基材シートによって吸収することができ、結果として、表面保護層に亀裂や破断が生じることを抑制しつつ感熱記録シートを撓ませたり伸縮させたりすることが容易になる。
本発明の感熱記録シートは、前記感熱記録材層と前記表面保護層との間に、中間層が更に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、感熱記録材層と表面保護層との間に中間層が設けられているので、感熱記録材層と表面保護層との密着性を向上させることができる。
本発明の感熱記録シートは、上記の感熱記録シートにおいて、前記基材シートの裏面に、粘着剤層が更に設けられていることが好ましい。この発明でいう「基材シートの裏面」とは、基材シートにおける厚さ方向の面のうちで、感熱記録材層が設けられる側の面とは反対側の面を意味する。
この発明によれば、基材シートの裏面に粘着剤層が設けられているので、この感熱記録シートを各種被着体に容易に貼付することが可能になる。
本発明の感熱記録シートは、上記の感熱記録シートにおいて、前記粘着剤層の外表面上に、離型シートが更に設けられていることが好ましい。この本発明でいう「粘着剤層の外表面」とは、粘着剤層における厚さ方向の面のうちで、基材シートの裏面側の面とは反対側の面を意味する。
この発明によれば、粘着剤層上に離型シートが設けられているので、使用する前の感熱記録シートの取り扱いや保管が容易になる。
本発明の感熱記録シートによれば、外観性を損なうことなく撓ませたり伸縮させたりすることが容易なものが得られるので、曲面部に貼付したり、腕輪状に変形させたりして使用する等、感熱記録シートの用途を拡大することが可能になる。
以下、本発明の感熱記録シートについて、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の感熱記録シート10の基本構造を示す断面図である。本発明の感熱記録シート10は、図1に示すように、基材シート1と、基材シート1上に設けられた感熱記録材層2とを必須の構成部材とするものである。以下、これら必須の構成部材(以下、「必須部材」という。)について図1及び後述の図2を参照して説明し、次いで、任意の構成部材(以下、「任意部材」という。)についても図面を適宜参照して説明する。
I.必須部材;
(基材シート)
基材シート1は、600MPa以下の弾性率を有する。すなわち、基材シート1は、柔軟性に富む。このため、感熱記録シート10は撓ませたり伸縮させたりすることが容易で、且つ感熱記録シート10を撓ませたり伸縮させたりしても感熱記録材層2に亀裂や破断が生じ難い。
感熱記録シート10を撓ませたり伸縮させたりしたときに感熱記録材層2に亀裂や破断が生じるのを防止する観点からは、基材シート1の弾性率を350MPa以下とすることがより好ましい。基材シート1の弾性率の下限は、基材シート1の作製時の取り扱い易さ等を考慮して決定され、この値は、材料の組成にもよるが、通常200MPa程度である。弾性率が200MPa未満の基材シートは、カレンダーロール機等を用いて分出(シーティング)して作製する際に、切れたり変形したりしてしまうことがある。
なお、ここでの弾性率は、JIS−K7113のプラスチックの引張試験方法により測定される。具体的には、2号形試験片の形状に加工した基材シート1について、25℃、引張速度50mm/min、つかみ具間距離80mmの条件の下に引張試験を行って測定されたデータをもとに算出される値である。
基材シート1は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン‐プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びオレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂により形成することができる。上記のオレフィン系樹脂は、前述の弾性率を得ることができれば1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。複数種を混合して用いると、基材シート1の弾性率を調整することが容易になる。
上記の弾性率を有する基材シート1を形成する観点からは、基材シート1の材料として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることが特に好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、結晶質オレフィン系樹脂からなるハードセグメントと、非晶質オレフィン系樹脂からなるソフトセグメントとの混合物であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることができ、その具体例としては、例えば、(A)特開平5−77371号公報に記載されているオレフィン系熱可塑性エラストマー、(B)特開平7−316358号公報に記載されているオレフィン系熱可塑性エラストマー、(C)特公平6−23278号公報に記載されているオレフィン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。また、(D)結晶質オレフィン系樹脂からなるハードセグメントと、部分的に架橋したオレフィン系エラストマー(ゴム)からなるソフトセグメントとの混合物であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることもできる。(D)のオレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、(D-1)特公昭53−21021号公報に記載されているオレフィン系熱可塑性エラストマー、(D-2)特公昭53−34210号公報に記載されているオレフィン系熱可塑性エラストマー、(D-3)特公昭56−15741号公報に記載されているオレフィン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。
(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしての結晶質ポリプロピレンと、プロピレン成分の質量比率が50質量%以上であるソフトセグメントとしての非晶質ポリオレフィンとを混合した樹脂である。結晶質ポリプロピレンとしては、プロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−1ブテンランダム共重合体等が好ましく挙げられる。非晶質ポリオレフィンとしては、プロピレン−1ブテン−エチレン三元共重合体等が好ましく挙げられる。このオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いると、柔軟性に富み、透明性及び機械的強度にも優れる基材シート1を形成できる。
(B)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしての結晶質ポリオレフィンと、プロピレン及び/又は1ブテンの含有率が50質量%以上であるソフトセグメントとしての低結晶質ポリオレフィンとを混合した組成物100質量部に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤が0.5質量部以上添加された樹脂である。このオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いると、柔軟性に富み、表面の粘着性が抑制された基材シート1を形成できる。
(C)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、メルトインデックスが0.1〜4g/10分で沸騰ヘプタンに不溶なハードセグメントとしてのアイソタクチックポリプロピレンと、数平均分子量Mnが25000以上であり且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比がMw/Mn≦7である沸騰ヘプタンに可溶なソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとからなる軟質ポリプロピレン等である。このオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いると、柔軟性に富み、力学的性質にも優れる基材シート1を形成できる。
(D-1)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしての結晶質オレフィン重合体と、ソフトセグメントとしての部分的に架橋されたモノオレフィン共重合体ゴムとを均一に配合し混合させて生成される樹脂である。ハードセグメントである結晶質オレフィン重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられ、ソフトセグメントであるモノオレフィン共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役三元共重合体ジエンゴム等が挙げられる。
(D-2)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのオレフィン系重合体と、ソフトセグメントとしての未架橋のモノオレフィン共重合体ゴムとを、架橋剤を添加して混合し、溶融混練することによりソフトセグメントを部分的に架橋させて生成される樹脂である。
(D-3)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのペルオキシド分解型オレフィン系重合体と、ソフトセグメントとしてのペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム及びペルオキシド非架橋型炭化水素ゴムとを、パラフィン系又はナフテン系等の鉱物油系軟化剤を添加して混合し、有機ペルオキシドの存在下で溶融混練することによりソフトソセグメントを部分的に架橋させて生成される樹脂である。ハードセグメントとしてのペルオキシド分解型オレフィン系重合体は、ペルオキシドと混合され加熱されると分子量が減少して流動性が増加する性質を有し、このような重合体としては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等が挙げられる。ソフトセグメントとしてのペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムは、ペルオキシドと混合され加熱されると架橋して流動性が低下する性質を有し、このような共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役三元共重合体ジエンゴム等が挙げられる。ソフトセグメントとしてのペルオキシド非架橋型炭化水素ゴムは、ペルオキシドと混合され加熱されても架橋せず流動性が変化しない性質を有し、このような炭化水素ゴムとしては、例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム等が挙げられる。
上記のオレフィン系熱可塑性エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの質量比(ハードセグメント:ソフトセグメント)は、通常10:90〜90:10であり、この範囲内で基材シート1の弾性率が600MPa以下になるように調整される。例えば、この範囲内でソフトセグメントの配合割合を大きくすると、基材シート1の弾性率を小さくすることができる。
基材シート1には、基材シート1が上記の弾性率を有することができる範囲で、着色剤、充填剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等の添加剤を添加することができる。着色剤としては、イソインドリノンイエロー、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー等の有機顔料や、弁柄、黄鉛、群青、カーボンブラック、チタン白、アンチモン白、鉛白等の無機顔料等が用いられる。感熱記録シートとしては、充分な隠蔽性を確保するために一般的に白色系のものの需要が多いので、通常、チタン白等の白色顔料を主体としてものが最も多用される。着色剤の添加量は、基材シート1の弾性率を上記の範囲内にする観点から、0〜20質量%程度であることが好ましい。充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等、平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。無機充填剤の添加量は、基材シート1の弾性率を上記の範囲内にする観点から、0〜20質量%程度であることが好ましい。
基材シート1は、例えば、上記の形成材料を溶融混練し、押出し成形法やカレンダー法等によりシート状又はフィルム状に成形加工することによって得られる。このとき延伸するか否かは適宜選択可能であり、延伸する場合には、例えば1軸延伸若しくは2軸延伸が適宜適用される。
基材シート1の厚さは、30〜120μmであることが好ましい。基材シート1の厚さが120μmよりも大きい場合には、感熱記録シート10が厚くなりすぎて、感熱記録シート10を撓ませたり伸縮させたりすることが難しくなる。また、基材シート1の厚さが30μmよりも小さい場合には、基材シート1の製膜が難しくなったり、通常使用される範囲で感熱記録シート10を撓ませたり伸縮させたりしたときに基材シート1が破断し易くなったりする。
基材シート1は、単層構造であってもよく、また、複数の層からなる積層構造であってもよい。基材シート1の表面を平坦にする観点からは、図2に示す基材シート1Aのように、添加剤を添加しない上層1a、添加剤を添加した中層1b、及び、添加剤を添加しない下層1cからなる3層構造であることが好ましい。例えば単層の基材シートを形成する場合には、添加剤が添加された溶融樹脂を押出し機から押出した際に、この溶融樹脂と押出し機の押出し口とが接触することにより、シート表面に凹凸が形成されてしまうことがあるが、上記のような3層構造の基材シート1Aを形成する場合には、添加剤を含有した溶融樹脂ではなく添加剤を含有しない溶融樹脂が上記の押出し口と接触するので、シート表面が平坦なものになり易い。
基材シート1、1Aの片面又は両面には、易接着プライマー層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理等の易接着処理を施すことが好ましい。基材シート1、1Aの表面に易接着処理を施すと、感熱記録材層2や後述する粘着剤層5との接着性が向上する。易接着プライマー層(アンカーコートともいう。)の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレンイミン、アルキルチタネート等を使用することができる。
なお、基材シート1、1Aをオレフィン系樹脂で形成した場合には、感熱記録シート10を焼却した際にダイオキシン等の塩素化合物系ガスの発生が抑制される。
(感熱記録材層)
感熱記録材層2は、公知の各種感熱記録材を用いて形成され、感熱記録材としては、例えば、バインダー樹脂にロイコ染料と顕色剤とを添加したものを用いることができる。
ロイコ染料としては、(A)3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等の青発色性染料、(B)3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン等の緑発色性染料、(C)3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン等の赤発色性染料、(D)3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等の黒発色性染料等を用いることができる。上述した各ロイコ染料は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。感熱記録材層2におけるロイコ染料の含有量は、通常5〜35質量%程度である。
顕色剤としては、(I)4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロへキシリデンジフェノール等のフェノール性化合物、(II)N−(p−トリルスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、N−(p−トリルスルホニル)カルバモイル酸−p−ベンジルオキシフェニルエステル等の分子内に−SONH−結合を有するもの、(III) p−クロロ安息香酸亜鉛、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。顕色剤の含有量は、特に限定されず、例えばロイコ染料1質量部に対して、通常1〜10質量部程度であり、1〜5質量部程度であることが好ましい。
ロイコ染料や顕色剤が含有されるバインダー樹脂としては、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
感熱記録材層2中には、必要に応じ、記録した文字や絵柄の保存安定性をより高めるための保存性改良剤や記録感度をより高めるための増感剤を含有させることもできる。保存安定剤としては、例えば、(i)2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等のヒンダードフェノール化合物、(ii)4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物が挙げられる。増感剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル等が挙げられる。保存安定剤及び増感剤の含有量は、特に限定されず、ロイコ染料1質量部に対して各々4質量部以下の範囲で適宜調整される。
感熱記録材層2中には、必要に応じて助剤を含有させることが好ましい。助剤としては、例えば、カオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、酸化チタン等の顔料類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤等が挙げられる。
感熱記録材層2は、例えば水を分散媒として用い、平均粒子径が2μm以下に微粉砕されたロイコ染料、顕色剤、バインダー樹脂、及び、必要に応じて添加される保存安定剤、増感剤、助剤を添加、攪拌することにより混合して感熱記録材層用の塗工液を調製し、この塗工液を基材シート1上に塗工し乾燥させて形成される。感熱記録材層用の塗工液の塗工量は、乾燥後の質量で2〜12g/m 程度であり、好ましくは3〜10g/m 程度である。
II.任意部材;
図1に示した基本構造の感熱記録シート10には、求められる性能や用途等に応じて、表面保護層、中間層、粘着剤層、離型シート等の任意部材を適宜設けることができる。以下、各任意部材について説明する。
(a)表面保護層;
図3は、表面保護層3を備える感熱記録シート10Aの一例を示す断面図である。表面保護層3は、図3に示すように、感熱記録材層2上に設けられて、感熱記録シート10Aに耐溶剤性、耐擦傷性、耐候性を付与し、これにより、感熱記録材層2に記録された文字や絵柄を長期に亘り保持するための層である。また、表面保護層3を設けることにより、感熱記録シート10Aの表面に光沢を付与することもできる。
ここで、感熱記録材層2は、一般に、加熱や有機溶剤の塗布により、発色、変色又は褪色し易い。そのため、表面保護層3を形成するための塗工液としては、表面保護層3の形成過程において加熱や有機溶剤の使用を要しないものを用いることが好ましい。
感熱記録材層2の発色等を抑制する観点からは、表面保護層3を形成するための塗工液として、水性樹脂(水に溶解又は分散可能な樹脂)の水溶液若しくは水分散液、又は、溶媒を使用しない電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。表面保護層3を短時間で形成し、表面保護層3の耐久性を高める観点からは、電離放射線硬化性樹脂を用いることが更に好ましい。
電離放射線硬化性樹脂は、分子中にラジカル重合性不飽和基又はカチオン重合性官能基等の電離放射線重合性官能基を有する単量体(モノマー)又はプレポリマー(オリゴマーも含まれる。)からなり、単量体及びプレポリマーの両方を含んでいてもよい。プレポリマー及び単量体は、それぞれ単体として用いられてもよく、また、複数種が混合されて用いられてもよい。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート又はアクリレートをいうものとする。カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーを挙げることができる。プレポリマーの分子量は、通常250〜100000程度である。
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体としては、単官能単量体では、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアクリレート化合物が挙げられ、多官能単量体では、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールへキサ(メタ)アクリレート等のアクリレート系化合物や、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のチオール系化合物のほか、ジオールとジイソシアネートからなるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加して生成されるポリエン等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂を紫外線で硬化させる場合には、電離放射線硬化性樹脂に光重合用開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性不飽和基を有する単量体又はプレポリマーに対して用いられる光重合用開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。カチオン重合性不飽和基を有する単量体又はプレポリマーに対して用いられる光重合用開始剤としては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。光重合用開始剤は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、通常0.1〜5質量部程度添加される。
電離放射線硬化性樹脂には、光増感剤を添加することが好ましい。光増感剤としては、例えば、p−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。また、電離放射線硬化性樹脂には、必要に応じて、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防黴剤等を添加してもよい。充填剤としては、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機充填剤、又は、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂ビーズ等を用いることができる。また、滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩や、脂肪酸、脂肪酸アミド、長鎖アルキルアルコール、パラフィンワックス等を用いることができる。
表面保護層3を形成するための塗工液として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、上記の電離放射線硬化性樹脂を感熱記録材層2に塗工し、電離放射線を照射してこの電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。電離放射線硬化性樹脂の塗工量は、硬化後の質量で通常1〜10g/m 程度である。塗工方法としては、ロールコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、オフセットグラビアコート法等を用いることができる。
電離放射線としては、電離放射線硬化性樹脂を架橋又は重合させることができるエネルギーを有する各種放射線を用いることができる。電離放射線としては、通常、紫外線又は電子線が用いられ、なかでも電子線が好ましく用いられる。電離放射線として電子線を用いた場合には、電離放射線硬化性樹脂に光重合用開始剤を添加する必要がなく、また、耐光性付与のために紫外線吸収剤を添加しても電離放射線硬化性樹脂の重合又は架橋が阻害されないので安定して架橋密度の高い表面保護層3を得ることができる。
電子線により電離放射線硬化性樹脂を硬化させる場合、電子線の加速電圧は、通常70〜300kVの範囲内で、用いる電離放射線硬化性樹脂の種類や表面保護層3の厚さに応じて適宜選定される。また、電子線の照射量は、通常1〜10Mrad、好ましくは3〜5Mradの範囲内で適宜選定される。電子線源としては、特に制限されず、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
紫外線により電離放射線硬化性樹脂を硬化させる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む放射線が用いられる。紫外線源としては、特に制限されず、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈、ブラックライト(紫外線放射型の蛍光灯)等が用いられる。
前述した水性樹脂としては、種々のものを用いることができる。水性樹脂の具体例については、後述する中間層についての説明の中で例示する。耐久性及び可撓性ないし伸縮性のよい表面保護層を得る観点からは、ウレタン系、ポリビニルアルコール系、又はアクリル系の水性樹脂が好ましい。水性樹脂をエマルジョンの形態で塗工する場合には、エマルジョンの中和剤として、感熱記録シートに文字や絵柄等を印字するためのプリンターのサーマルヘッドをできるだけ変質させたり劣化させたりしないものを選択する必要がある。この観点からは、中和剤として無機金属塩を用いるよりも、アンモニア(水)や、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンを用いることが好ましい。
(b)中間層;
図4は、中間層4を備える感熱記録シート10Bの一例を示す断面図である。中間層4は、図4に示すように、感熱記録材層2と表面保護層3との間に設けられて、表面保護層3と感熱記録材層2との密着性を向上させたり、塗布された表面保護層用の塗工液が感熱記録材層2中へ浸透することにより表面保護層3の光沢性が低下するのを抑制したり、感熱記録材層2の表面を平坦化して表面保護層用の塗工液の塗工適性を向上させたりするための層である。
表面保護層3の項で説明したように感熱記録材層2の発色等を抑制する観点から、中間層4を形成するための塗工液としては、水性樹脂の水溶液若しくは水分散液、又は、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、表面保護層3の項で例示した材料と同様の材料の中から適宜選択したものを用いることができる。
水性樹脂としては、セルロース(繊維素)系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カゼイン、澱粉、ロジン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。上記の熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
アクリル系樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等が挙げられる。
ウレタン系樹脂は、主としてポリオール(多価アルコール)とポリイソシアネートとを反応させて生成される。ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。また、ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアンーネート、又は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環式)イソシアネートが用いられる。これらのポリイソシアネートは、付加体、ブロックイソシアネート、又は、3量体や5量体等の多量体の形で用いることもできる。
中間層4を形成するための塗工液には、必要に応じて、体質顔料、顔料、界面活性剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の各種添加剤が添加される。体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、カオリナイト、珪藻土、白土、水酸化アルミニウム、亜鉛華等の粒子を用いることができる。
中間層4は、中間層4を形成するための塗工液を感熱記録材層2上に塗工し、この塗工液を乾燥又は硬化させることにより形成される。塗工方法としては、ロールコート、バーコート、ナイフコート等を用いることができる。塗工液の塗工量は、乾燥又は硬化後の質量で2〜12g/m 程度であり、好ましくは3〜10g/m 程度である。
(c)粘着剤層;
図5は、粘着剤層5を備える感熱記録シート10Cの一例を示す断面図である。粘着剤層5は、図5に示すように、基材シート1の裏面に形成されて、感熱記録シート10Cと所望の被着体とを接着するためのものである。粘着剤層5は、感熱記録シート10Cの用途等に応じて、一様な全面ベタ状の層として、又は所望箇所に選択的に形成された層として、形成される。なお、図5中の符号6は、後述する離型シートを示す。
粘着剤層5の形成に用いられる粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体等のアクリル系粘着剤、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の合成ゴム系粘着剤、又は、天然ゴム系粘着剤が挙げられる。粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等が添加されてもよい。
粘着剤層5は、基材シート1の裏面上に直接塗工することも可能であるが、好ましくは、転写(塗工)方式で形成する。転写方式とは、上記の粘着剤が溶剤に溶解又は分散された粘着剤層用の塗工液を離型シートに塗工し、この離型シートの塗工面を基材シート1の裏面に対向させて、基材シート1に粘着剤層5を積層させる方式である。転写方式を採用すると、感熱記録材層2とは別離した状態で、離型シート上において溶剤乾燥や架橋を行うことになる。したがって、感熱記録材層2に不要な発色等を生じさせることなく、十分に熱をかけて粘着剤層5の乾燥や架橋を行うことができる。塗工液の離型シートへの塗工方法としては、コンマコート法、ロールコート法等を用いることができ、粘着剤層5の厚さは、5〜30μmであることが好ましい。なお、ここで使用される離型シートは、このまま粘着剤層5上に設けられて後述する離型シート6となる。
(d)離型シート;
離型シート6は、図5に示すように粘着剤層5の外表面上に設けられて、粘着剤層5が不用意に他の物体に接着したり、感熱記録シート10Cを巻き取ったときにブロッキングが生じたりすることを防止するためのものであり、感熱記録シート10Cの使用時まで粘着剤層5に仮接着される。
離型シート6としては、上質紙、リンター紙、硫酸紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙、又は、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂等の樹脂シートの表面にシリコーン樹脂等の離型剤を塗工したものが用いられる。離型シート6の厚さは、通常25〜75μmである。
(e)他の任意部材;
本発明の感熱記録シートには、上述した(a)〜(d)の任意部材以外の任意部材を適宜設けることができる。例えば、基材シート1(図1を参照。)から感熱記録材層2(図2を参照。)への熱伝導を抑制するために、基材シートと感熱記録材層との間に断熱材層を設けることができる。この断熱材層を設けることにより、比較的高温になる被着体に感熱記録シート10(図1参照)を貼付した場合でも感熱記録材層2の昇温が抑制されるので、昇温に起因する感熱記録材層2での発色、変色又は褪色を防止することが可能になる。
このような断熱材層は、例えば、発泡剤あるいはマイクロバルーン(中空球状粒子)が添加されたポリオレフィン系、ウレタン系等の樹脂により形成することができ、その厚さは、材料の熱伝導率や放熱性等に応じて、3〜20μm程度の範囲内で適宜選定される。
以上説明した部材によって構成される本発明の感熱記録シートは、感熱記録プリンタ(サーマルプリンタ)により所望の文字又は絵柄等が印字されて、薬品、洗剤、化粧品、食品、飲料等の容器に貼付される各種の内容表示ラベルや値札ラベル等として、あるいは、病院内での患者の識別に利用される腕輪等として使用することができ、特に、撓んだ状態で使用される用途に好適である。
本発明の感熱記録シートでは、基材シートの弾性率が前述のように600MPa以下であるので、すなわち基材シートが柔軟性に富むので、可撓性及び伸縮性が高いものを容易に得ることができる。
この感熱記録シートを撓ませたときには、感熱記録シート全体に加わる応力が基材シートによって吸収され、結果として感熱記録材層に加わる応力が軽減される。このため、感熱記録材層に亀裂や破断が生じることが抑制され、感熱記録シートが表面保護層(図3を参照。)を有している場合には表面保護層に亀裂や破断が生じることも抑制される。したがって、表面保護層を有しているか否かに拘わらず、外観性を損なうことなく撓ませたり伸縮させたりすることが容易な感熱記録シートを得ることができる。
更に、本発明の感熱記録シートには、面内方向に引張られた場合にも、伸縮に伴って感熱記録シート全体に加わる引張応力が基材シートで吸収されるので、感熱記録材層に亀裂や破断が生じ難いという利点がある。樹脂からなるシートを曲面部に貼付するにあたっては、シートを曲面部の形状に追従させるために、シートを伸ばしながら貼付することがある。本発明の感熱記録シートは、上述のように引張応力を基材シートで吸収することができるので、このような手順で貼付する場合でも貼付自体が容易であり、且つ外観性の低下が抑制される。
加えて、本発明の感熱記録シートは、面内方向に引張られた場合に、感熱記録シート全体に加わる引張応力が基材シートで吸収されることから、基材シートに所謂ネッキングが生じ難く、この点からも外観性が損なわれ難いという利点がある。
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。
(実施例1)
基材シートとして、結晶質ポリプロピレンからなるハードセグメントとスチレン−ブタジエンゴムからなるソフトセグメントとを混合して弾性率が600MPaとなるように調整されたオレフィン系熱可塑性エラストマーシート(厚さ80μm、幅15cm)を用いた。なお、基材シートの弾性率は、基材シートについての説明において前記したとおり、JIS−K7113のプラスチックの引張試験法により測定した。
感熱記録シートを作製するにあたって、まず、上記の基材シートの両面にコロナ放電処理を施した。また、メチルセルロース樹脂に黒発色性ロイコ染料、顕色剤及び増感剤を添加し、これを水に溶解させて感熱記録材層用の塗工液を調製した。そして、この塗工液を基材シートの片面に塗工し、乾燥させて、感熱記録材層を形成した。このときの塗工液の塗工量は、6g/m(乾燥後の量)とした。
次に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの10質量%水溶液100質量部に、カオリン(平均粒子径;1μm)の10質量%スラリー(分散媒;水)5質量部と、水酸化アルミニウム(平均粒子径;1μm)の50質量%スラリー(分散媒;水)5質量部と、ステアリン酸亜鉛の30質量%分散液(分散媒;水)1質量部とを混合して調製した中間層用の塗工液を、塗工量が3g/m(乾燥後の量)となるようにして感熱記録材層上に塗工し、乾燥させて、中間層を形成した。
次に、ウレタンアクリレートプレポリマーとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとからなる表面保護層用の塗工液を中間層上に塗工し、この塗工液に加速電圧165keVの電子線を3Mradの照射量にて照射して表面保護層を形成し、実施例1の感熱記録シートを得た。
(実施例2)
基材シートとして弾性率が500MPaとなるように調整されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシート(厚さ80μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録シートを得た。
(実施例3)
基材シートとして弾性率が300MPaとなるように調整されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシート(厚さ80μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録シートを得た。
(比較例1)
基材シートとして弾性率が700MPaとなるように調整されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシート(厚さ80μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録シートを得た。
(評価)
(a)折り曲げ試験I;
実施例1〜3及び比較例1で得られた各感熱記録シートを、表面保護層が外側となるようにして常温下(約25℃)で180°に折り曲げ、折り曲げた箇所を目視にて観察して、亀裂の有無を評価した。また、感熱記録シートの折り曲げた箇所に、サーマルプリンタ(サトー製、型番;MR410e)を用い、印字速度を6インチ(15cm)/秒とし、印字濃度のレベルを最高レベルとして印字し、適正に印字されたかを評価した。更に、得られた各感熱記録シートを低温下(0℃)で180°に折り曲げ、上記と同様に、亀裂の有無の評価及び適正に印字されたかの評価を行った。これらの結果を表1に示す。
表1においては、感熱記録シートに亀裂が認められなかった場合を○、亀裂が認められた場合を×で表しており、感熱記録シートに適正に印字された場合を○、印字箇所が発色しなかった場合を×で表している。
(b)折り曲げ試験II;
実施例1〜3及び比較例1で得られた各感熱記録シートを、表面保護層が内側となるようにして折り曲げた以外は折り曲げ試験Iと同じ条件の下に、折り曲げた箇所での亀裂の有無の評価、及び折り曲げた箇所への印字の適否の評価を行った。これらの結果を表1に併記する。
表1においては、感熱記録シートに亀裂が認められなかった場合を○、亀裂が認められた場合を×で表しており、感熱記録シートに適正に印字された場合を○、印字箇所が発色しなかった場合を×で表している。
(c)引張試験;
実施例1〜3及び比較例1で得られた各感熱記録シートを10cm×2.54cm(1インチ)の矩形状に加工し、常温下において引張試験機により感熱記録シートを長手方向に10%(1cm)引き伸ばした後、感熱記録シートの表面(表面保護層の表面)を目視により観察して、亀裂の有無を評価した。また、引き伸ばした感熱記録シートに、上記の折り曲げ試験と同様にして印字し、適正に印字されたかを評価した。これらの結果を表1に併記する。
表1においては、感熱記録シートに亀裂が認められなかった場合を○、亀裂が認められた場合を×で表しており、感熱記録シートに適正に印字された場合を○、印字箇所が発色しなかった場合を×で表している。
Figure 2006001237
(評価結果)
実施例1〜3の各感熱記録シートは、常温下及び低温下のいずれの折り曲げ試験及び引張試験においても、亀裂が認められず、また、各試験後においても適正に印字された。それに対し、比較例1の感熱記録シートは、常温下及び低温下のいずれの折り曲げ試験及び引張試験においても、亀裂が認められ、且つ各試験後においては印字箇所が発色せず適正に印字されなかった。
本発明の感熱記録シートの基本構造を示す断面図である。 本発明の感熱記録シートにおける基材シートの構造の他の例を示す断面図である。 本発明の感熱記録シートの他の例を示す断面図である。 本発明の感熱記録シートの更に他の例を示す断面図である。 本発明の感熱記録シートの更に他の例を示す断面図である。
符号の説明
1、1A 基材シート
2 感熱記録材層
3 表面保護層
4 中間層
5 粘着剤層
6 離型シート
10、10A、10B、10C 感熱記録シート

Claims (6)

  1. オレフィン系樹脂で形成された弾性率600MPa以下の基材シートと、該基材シート上に設けられた感熱記録材層とを有することを特徴とする感熱記録シート。
  2. 前記感熱記録材層上に表面保護層が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録シート。
  3. 前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂の硬化物から形成されていることを徴とする請求項2に記載の感熱記録シート。
  4. 前記感熱記録材層と前記表面保護層との間に、中間層が更に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の感熱記録シート。
  5. 前記基材シートの裏面に、粘着剤層が更に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱記録シート。
  6. 前記粘着剤層の外表面上に、離型シートが更に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の感熱記録シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10131172B2 (en) 2016-05-20 2018-11-20 Dow Global Technologies Llc Thermally printable paper article with elastic interspersing layer

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