JP2006016706A - ゴム補強用スチールコード - Google Patents

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Abstract

【課題】 楕円オープンコードの低荷重域での引っ張りによるコード長手方向の伸びを抑制し、良好なゴム浸入性を維持する。
【解決手段】 素線径0.20〜0.45mmの1×3(1×4、1×5、1×6でもよい)の楕円オープン構造のスチールコード10の長径側の撚角αと短径側の撚角βとの比α/βを、1.1〜1.8とすることにより、低張力付加時に短径側での接触による抗力で長径側の隙間の減少を抑制して、良好なゴム浸入性を維持し、耐疲労性を向上させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タイヤやベルト等のゴム製品の埋設補強材として使用するゴム補強用スチールコード、特に単層構造のオープン撚りで素線の螺旋形状が偏平な断面楕円のゴム補強用スチールコード(楕円オープンコード)に関する。
タイヤやベルト等のゴム製品に埋設するゴム補強用スチールコードとして、例えば3〜6本の素線(スチールフィラメント)を単層構造に撚り合わせた所謂1×n(n=3〜6)のスチールコードが従来から使用されている。この単層構造のスチールコードは、中心部がコード長手方向にストロー状の空隙となり、特に、素線同士が密着するよう稠密に撚り合わせたクローズ撚りの場合、コード中心部の空隙は閉ざされたものとなる。この場合、例えばタイヤ成形工程でスチールコードがゴムとの複合体となるときにそのコード中心部の空隙までゴムが浸透せず、コード中心部が中空部となって残ると、タイヤ表面の外傷からコード内部へ浸入した水分等が、中空部となったコード中心部の空隙に浸入して、それが毛細管現象によりコード内部を長手方向に浸透し、その結果、コード内部より腐食が進行し、スチールコードの耐疲労性を悪化させ、タイヤ寿命を縮めてしまう。そこで、単層構造のスチールコードにおいて、ゴム浸入性を確保するため、円形螺旋状に形付けした素線を素線同士が密着しないよう甘く撚り合わせたオープン撚り構造とすることが行われている。
しかし、円形螺旋状に素線を形付けしたオープン撚りコードは、低荷重域での引っ張りによっても素線間の隙間が消えやすいため、例えばゴムシートにコードを挟み込むカレンダー工程やゴム製品の加硫工程でコードに張力が加わったときに、素線間の隙間が閉じてしまって、ゴム浸透性が損なわれる恐れがある。
そこで、ゴム浸透性をより良好に維持できるコードとして、単層のオープン撚り構造で、素線の螺旋形状が偏平でコード横断面が略楕円形状のゴム補強用スチールコードが考えられた(例えば、特許文献1等参照)。この単層のオープン撚り構造で素線の螺旋形状が偏平なコード(楕円オープンコード)は、引張荷重がかかったときに素線同士が短径側で先に接触し、それが拘束となってコードの伸び変形が抑制されるために、長径側にゴムの浸入を許容する隙間が維持されやすく、そのため、断面円形のコードに比べて良好なゴム浸入性を維持できる。
また、それとは別に、単層構造のスチールコードのゴム浸透性を確保する手段として、コード横断面が略楕円形で素線同士が互いに全く接触しない部分と、少なくとも2本の素線同士が接触する部分とがコード長手方向に交互に配列された構成のスチールコード(例えば、特許文献2、3等参照。)も知られているが、この場合、コードの形状安定性は良好になるものの、撚りの締まった部分が多すぎて十分なゴム浸入性は得られない。
実開平1−62396号公報 特開平2−91291号公報 特開平10−266083号公報
単層構造のオープン撚りで、素線の螺旋形状を偏平としコード横断面が略楕円形状としたゴム補強用スチールコード(楕円オープンコード)は、素線の短径部での接触が拘束となることによってコードの伸び変形が抑制されて長径部での隙間が維持されやすいため、断面円形のコードに比べてゴム浸入性が良いが、それでも、タイヤ製造時の例えばゴムシートにコードを挟み込むカレンダー工程でクリールスタンドにセットされたリールからコードを引き出す時の張力によっては、やはり素線間の隙間が小さくなり、ゴムが浸入できない状態になってしまう。
したがって、単層構造のオープン撚りで素線の螺旋形状が偏平な断面楕円のゴム補強用スチールコード(楕円オープンコード)の低荷重域での引っ張りによるコード長手方向の伸びを抑制し、良好なゴム浸入性を維持できるようにすることが課題である。
本発明者は、単層構造のオープン撚りで素線の螺旋形状が偏平な断面楕円のゴム補強用スチールコード(楕円オープンコード)における素線の撚角とゴム浸入性との関係に着目し、鋭意研究を重ねた結果、長径側の撚角と短径側の撚角との比が引っ張りによる素線間の隙間の状態に関係し、ひいてはゴム浸入性に大きく関係することを見出し、請求項1記載のゴム補強用スチールコードの発明をなすに至った。
すなわち、本発明のゴム補強用スチールコードは、例えばタイヤやベルト等のゴム製品の埋設補強材として好適な、素線径が0.20〜0.45mmのスチールコードであって、n本(n=3〜6)の素線を各々螺旋状に形付けし単層で素線間に隙間ができるように撚り合わせた1×nのオープン撚り構造で、各素線の螺旋形状が偏平でコード横断面が略楕円形状のゴム補強用スチールコードにおいて、コード横断面の長径側の撚角αとコード横断面の短径側の撚角βとの比α/βが、1.1〜1.8であることを特徴とする。
単層のオープン撚り構造で、各素線の螺旋形状が偏平でコード横断面が略楕円形状のスチールコード(楕円オープンコード)は、従来、長径側の撚角αと短径側の撚角βとが殆ど同じ(α/βが1.1未満)で、その場合、低荷重域での張力付加時にコードが長手方向に伸びるにしたがって長径側および短径側とも同じように撚角が小さくなっていく(素線全体が同時に寝ていく状態となる)ため、コードの伸び変形が容易で、タイヤ製造時の例えばゴムシートにコードを挟み込むカレンダー工程でクリールスタンドにセットされたリールからコードを引き出す時の張力によっては、素線間の隙間が小さくなり、ゴムが浸入できない状態になってしまう。それに対し、本発明のスチールコードは、長径側の撚角αと短径側の撚角βとの比(撚角比)α/βが、1.1〜1.8であって、この場合、低張力付加時に素線同士が先ず短径側で接触することにより抗力が生じてコード長手方向の伸びが抑制され、それにより長径側の隙間の減少が抑制され、ゴムが浸入できる隙間が確保される。
撚角比α/βが1.1未満(長径側の撚角αと短径側の撚角βとが殆ど同じ)では、低張力付加時(低荷重域での張力付加時)にコードが長手方向に伸びるにしたがって長径側および短径側とも同じように撚角が小さくなっていって、短径側および長径側で同時に素線間の隙間が小さくなり、ゴム浸入性が低下する。また、撚角比α/βが1.8を越えると、偏平率が高くなりすぎてコードの加工が困難になる。偏平率とは、オープン撚り構造のスチールコードの素線がフリーの状態で有する偏平螺旋形状の長径をa、短径をbとして、次式で表される数値をいう。
偏平率=(b/a)×100
長径側の撚角αは撚りピッチによって決まり、短径側の撚り角βは偏平率によって決まる。本発明のスチールコードは、撚りピッチと偏平率とを調整して撚角比α/βが上記範囲(1.1〜1.8)になるよう製造する。
本発明のスチールコードは、低張力付加時に素線同士が先ず短径側で接触することにより抗力が生じてコード長手方向の伸びが抑制され、それにより長径側の隙間の減少が抑制され、ゴムが浸入できる隙間が確保されて、良好なゴム浸入性を維持でき、水分等の浸入による腐食を防止できて耐疲労性が向上する。
本発明のスチールコードは、素線径が0.20〜0.45mmのn本(n=3〜6)の素線を各々螺旋状に形付けし単層で素線間に隙間ができるように撚り合わせた1×nのオープン撚り構造で、各素線の螺旋形状が偏平でコード横断面が略楕円形状のゴム補強用スチールコード(楕円オープンコード)である。このスチールコードは、例えばタイヤやベルトその他のゴム製品の埋設補強材として使用される。図1は、その一例としての、素線径が0.20〜0.45mmの3本の素線1,2,3を撚り合わせた所謂1×3構造のスチールコード10を模式的に示している。図1の(a)はコード横断面の長径側を側面視にて模式的に示す図、(b)はコード横断面の短径側を側面視にて模式的に示す図である。
このスチールコード10は、図1に示すようにコード横断面の長径側の撚角αが短径側の撚角βよりも大きい。そして、その長径側の撚角αと短径側の撚角βとの比(撚角比)α/βが、1.1〜1.8である。長径側の撚角αは撚りピッチによって決まり、短径側の撚り角βは偏平率によって決まる。このスチールコード10は、撚りピッチと偏平率とを調整して撚角比α/βが1.1〜1.8となるよう製造されたものである。
このスチールコード10は、長径側の撚角αと短径側の撚角βとの比(撚角比)α/βが、1.1〜1.8であることにより、低張力付加時に素線同士が先ず短径側で接触することにより抗力が生じてコード長手方向の伸びが抑制され、それにより長径側の隙間の減少が抑制され、ゴムが浸入できる隙間が確保されて、良好なゴム浸入性を維持でき、水分等の浸入による腐食を防止できて耐疲労性が向上する。
図2は、5kgの荷重をかけた時の1×3の楕円オープンコード(素線径が0.20〜0.45mm)の撚角比α/βとゴム侵入性との関係を示している。低荷重付加時のゴム侵入性は、図2に示すように、α/βが1.1未満では良くなくて(ゴム浸入低)、α/βが、1.1以上で顕著に向上する。ただし、α/βが1.8を越えるとコード加工が困難(作成困難)となる。低荷重域でのα/βとゴム侵入性との関係は、荷重が5kgの場合に限らず、低荷重域ではほぼ同様である。また、この低荷重域でのα/βとゴム侵入性との関係は、1×3に限らず、1×4、1×5、1×6の楕円オープンコードでもほぼ同様である。
本発明の一例のスチールコードの模式説明図で、(a)は長径側を側面視にて模式的に示す図、(b)は短径側を側面視にて模式的に示す図である。 楕円オープンコードの撚角比α/βとゴム侵入性との関係を示すグラフである。
符号の説明
1,2,3 素線
10 スチールコード

Claims (1)

  1. n本(n=3〜6)の素線を各々螺旋状に形付けし単層で素線間に隙間ができるように撚り合わせた1×nのオープン撚り構造で、各素線の螺旋形状が偏平でコード横断面が略楕円形状のゴム補強用スチールコードにおいて、各素線のコード横断面における長径側の撚角αとコード横断面の短径側の撚角βとの比α/βが、1.1〜1.8であることを特徴とするゴム補強用スチールコード。
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