JP2006100154A - アルカリ蓄電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ニッケル電極内でのコバルト量を最適化してニッケル電極内での抵抗を低減させることによって、高出力が得られるアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】 本発明のアルカリ蓄電池は、発泡ニッケルからなる導電性基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が保持されたニッケル正極11を備えている。そして、正極活物質となる水酸化ニッケルは表面がコバルト化合物で被覆された粒子であるとともに、正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対して、コバルトが14質量%以上で、21質量%以下であり、かつ、導電性基板の表面積(m2)に対する正極活物質の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発泡ニッケルからなる導電性基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が保持されたニッケル正極を備えたアルカリ蓄電池、およびその製造方法に関する。
近年、二次電池(蓄電池)の用途が拡大して、携帯電話、ノートパソコン、電動工具、電動自転車、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicles)、電気自動車(EV:Electric Vehicles)などの広範囲の用途に亘って二次電池(蓄電池)が用いられるようになった。このうち、特に、電動工具、電動自転車、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)などの高出力が求められる機器の電源としては、ニッケル−水素蓄電池やニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池が用いられている。
ところで、この種のアルカリ蓄電池においては、正極としてニッケル電極が用いられるが、このニッケル電極は、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質が発泡ニッケルからなる導電性基板に保持されて形成されている。このようなニッケル電極において高出力が得られるようにするには正極活物質の利用率を向上させる必要がある。この場合、正極活物質の利用率を向上させる技術としては、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質粒子にコバルトやコバルト化合物を添加したり、正極活物質粒子の表面にコバルト化合物を析出させて被覆したり、正極活物質粒子をコバルト化合物で被覆した後、更に過酸化水素水で酸化するといったものが従来より知られている。
このようにコバルトやコバルト化合物を含む正極活物質を充填したニッケル電極は、アルカリ蓄電池に組み込まれると、コバルト種が一旦電解液中に溶解して水酸化ニッケルの表面に一様に分散する。このため、その後の初回充電によって活物質と活物質との間、および活物質と集電体との間をコバルト種が連結した形で析出する。この析出物はオキシ水酸化コバルトになり、このオキシ水酸化コバルトの導電性ネットワークにより活物質と活物質との間および活物質と集電体間との間の導電性が向上することとなる。この結果、正極活物質の利用率が向上すると考えられている。
しかしながら、このようなコバルト種を含む正極活物質を充填してニッケル電極を作製し、このニッケル電極を用いて蓄電池を作製しても、過放電時に充填されたコバルト化合物が正極活物質となる水酸化ニッケル粒子の中に入り込んで、コバルト化合物の導電効果が失われるという事態が生じた。その結果、正極活物質の利用率の向上効果が持続しなくなって、過放電特性が低下するという問題が生じた。
これに対して、表面がコバルト化合物で被覆された水酸化ニッケル粒子を正極活物質として用い、これをアルカリが共存する酸素雰囲気下で熱処理(一般的には、これをアルカリ熱処理という)する。これにより、予め2価より価数が大きい高次のコバルト酸化物を水酸化ニッケル粒子の表面に形成させて、導電性の向上効果を高めることができるとともに、水酸化ニッケル粒子の結晶の状態に変化を与え、過放電特性を向上させることが、特許文献1や特許文献2で提案されるようになった。
特開平8−148145号公報 特開平9−50805号公報
ところで、上述した特許文献1や特許文献2で提案されたニッケル電極において、正極活物質となる水酸化ニッケルの利用率の向上効果は、低レートでの充放電においては十分に期待できた。ところが、高レートでの充放電においては、活物質の利用率を向上させることは困難なため、高出力や高回生効率が求められるEV(Electric Vehicles)用やHEV(Hybrid Electric Vehicles)用といった用途に用いるには、ニッケル電極内での抵抗をさらに低減させる必要があることが分かった。この場合、ニッケル電極内での抵抗を低減させるために、ニッケル金属やカーボン粉末を添加することも提案されているが、ニッケル金属やカーボン粉末は酸化されるため、長期に亘って安定した導電性を得ることができないという問題があった。
ここで、長期に亘って安定な導電性を確保するためには、コバルトの添加量を増やしてオキシ水酸化コバルトにて導電性を付与する必要がある。ところが、コバルトの添加量を増やしすぎると、コストアップとなるだけでなく、コバルトに起因して自己放電が増大するといった問題が生じた。また、単にコバルトの添加量を増加させるだけでは、ニッケル電極内での抵抗が低減するだけであって、十分であるとは言えない。また、ニッケル電極の電極基板(導電性基板)となる発泡ニッケルの単位面積当たりの金属量を増加させることで抵抗の低減化を図ることもできる。ところが、発泡ニッケルの単位面積当たりの金属量を増加させると、正極活物質の充填量が低下するとともに正極活物質が均一に充填できないなどの問題も生じた。
そこで、本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、ニッケル電極内でのコバルト量を最適化してニッケル電極内での抵抗を低減させることによって、高出力が得られるアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のアルカリ蓄電池は、発泡ニッケルからなる導電性基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が保持されたニッケル正極を備えている。そして、正極活物質となる水酸化ニッケルは表面がコバルト化合物で被覆された粒子であるとともに、正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100(正極活物質内のニッケル量を意味し、発泡ニッケル成分は含まない)に対して、コバルトが14質量%以上で、21質量%以下であり、かつ、導電性基板の表面積(m2)に対する正極活物の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下であることを特徴とする。
ここで、ニッケル正極内のコバルトの添加量を増大させると正極内での抵抗が低減すると考えられていたが、正極内のコバルトの添加量を単に増大させただけでは正極内での抵抗を低減させることができなかった。これは、正極活物質内を電子が流れる際の抵抗値が大きいためであり、通電距離、即ち、電子が流れる距離を低減させない限り抵抗値を減少させることができないからである。逆に言うと、正極活物質の全体積(m3)と基材表面積(m2)との比を下げることでその抵抗を低減させることが可能となる。ただし、正極活物質の全体積(m3)と基材表面積(m2)との比を下げすぎると正極活物質が均一に充填されなくなる。
この場合、導電性基板が発泡ニッケルであれば、これは立体構造となっていて三次元導電ネットワークを有するため、より少ない基材量で比表面積が大きくなって、活物質層の厚みを低減できるので、導電性基板としては発泡ニッケルを用いる必要がある。そして、正極活物質内のコバルトの添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対してコバルトが14質量%以上で、21質量%以下で、かつ導電性基板の表面積(m2)に対する正極活物質の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下であると、正極内での抵抗を低減させることが可能で、より良い効果が得られることが明らかになった。このため、正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対して、コバルトが14質量%以上で、21質量%以下であり、かつ、導電性基板の表面積(m2)に対する正極活物の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下であるのが望ましい。
また、正極活物質の反応抵抗の面からすると、極板の全体積から導電性基板の全体積を除いた見かけの活物質密度が3.3g/cm3以下であると、電解液と正極活物質との接触界面が大きくなって好ましことが分かった。一方、極板の全体積から導電性基板の全体積を除いた見かけの活物質密度が2.3g/cm3以上であると、活物質の脱落などの極板強度に影響を与えることもないことが分かった。さらに、上記密度が2.3g/cm3以上で3.3g/cm3以下であると、活物質の導電性を保つために、上記のコバルト量が有効に機能するものと考えられる。これらのことから、極板の全体積から導電性基板の全体積を除いた見かけの活物質密度が2.3g/cm3以上で、3.3g/cm3以下であることが望ましい。
さらに、水酸化ニッケルの表面に被覆されたコバルト化合物が酸化処理により高次化されていると、コバルトの価数変化に伴う正極不可逆充電成分が減少することになる。このため、負極へのリザーブ水素の蓄積を低減できるだけではなく、水酸化ニッケル表面の導電性が向上する。これにより、初期充放電時により均一に充電されるとともに、高次化されたコバルトにより導電ネットワークの形成がなされるようになる。このことから、水酸化ニッケルの表面に被覆されたコバルト化合物は酸化処理により高次化されていることが望ましい。
なお、上述のような構成のアルカリ蓄電池を形成するためには、水酸化ニッケルの表面にコバルト化合物を被覆させるコバルト化合物被覆工程と、被覆されたコバルト化合物を酸化させて2価より価数が大きな高次化コバルト化合物とする高次化工程と、正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対してコバルトが14質量%以上で、21質量%以下となるように、表面にコバルト化合物が被覆された水酸化ニッケルとコバルト化合物と糊材とを混合して混合物とする混合工程と、導電性基板の表面積(m2)に対する正極活物の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下となるように、前記混合物を導電性基板に塗着させる塗着工程とを備えるようにすればよい。
この場合、被覆工程において、水酸化ニッケルの表面を被覆するコバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対してコバルト5質量%以下となるように水酸化ニッケルの表面にコバルト化合物を被覆させるのが望ましい。これは水酸化ニッケルの表面を被覆するコバルト化合物が金属成分での質量比でニッケル100に対して5より大きくなると、被覆するコバルト化合物が水酸化ニッケルの充放電反応を妨げるようになるためである。そして、水酸化ニッケルの表面を被覆するコバルトの比率を5質量%以下にすれば、表面のコバルトが水酸化ニッケルの充放電反応を妨げることなく、有効に導電性を付与することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態を図1に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。なお、図1は本発明のアルカリ蓄電池を模式的に示す断面図である。また、図2はコバルトの添加量(金属成分で比較したニッケル100に対するコバルトの質量比)に対する出力比の関係を示す図である。
1.ニッケル正極
硫酸ニッケルを主成分とし、これに微量の硫酸亜鉛と硫酸コバルトとを混合した水溶液を攪拌しながら、この水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下する。そして、反応中pHを13〜14に安定させることによって、水酸化ニッケルの結晶を析出させた。この場合、析出した水酸化ニッケルの結晶には、微量の亜鉛とコバルトが固溶されることとなる。
ついで、この水酸化ニッケルの結晶が析出した水溶液を攪拌しながら、比重1.30の硫酸コバルト水溶液と25質量%の水酸化ナトリウム水溶液とを滴下する。そして、水溶液をpH9〜10に維持して熟成する時間を調整することによって、所定のコバルト添加量となるように調整した。この後、このようにして作製された粒状物(主成分が水酸化ニッケルである球状水酸化物粒子を結晶核として、この核の周囲に水酸化コバルトが析出した粒子)を分取し、水洗した後、乾燥させた。
ついで、分取した粒状物をビーカー中で攪拌しながら、これに25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、この粒状物(主成分が水酸化ニッケルである球状水酸化物粒子を結晶核として、この核の周囲に水酸化コバルトが析出した粒子)に水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた。この後、さらに攪拌しながら、80℃で0.5時間加熱することによって、高次化処理(アルカリ熱処理)を行なった。このアルカリ熱処理により、粒子表面に付着した水酸化コバルトは高次化され、水酸化ニッケル粒子を核として、この核の周囲に2価より大きい価数を持つ高次の水酸化コバルトで被覆された正極活物質粒子となる。
この場合、金属成分でのニッケルの質量100に対して、表面のコバルト量は2質量%で、粒子内部に固溶されたコバルト量は1質量%で、高次の水酸化コバルトで被覆された正極活物質を活物質αとした。また、金属成分でのニッケルの質量100に対して、表面のコバルト量は5質量%で、粒子内部に固溶されたコバルト量は1質量%で、高次の水酸化コバルトで被覆された正極活物質を活物質βとした。さらに、金属成分でのニッケルの質量100に対して、表面のコバルト量は8質量%で、粒子内部に固溶されたコバルト量は1質量%で、高次の水酸化コバルトで被覆された正極活物質を活物質γとした。なお、高次化処理(アルカリ熱処理)を行なわないで、表面のコバルト量は5質量%で、粒子内部に固溶されたコバルト量は1質量%となるよう正極活物質を作製し、これを活物質δとした。これらの活物質α〜δの内容は下記の表1に示すとおりである。
なお、固溶されたコバルト量(固溶Co量)については、コバルト被覆を行なう前の活物質をICP発光分析により定量分析を行なうことにより求めることができる。また、表面のコバルト量(表面Co量)については、コバルト被覆後の活物質のコバルト量を同様の定量分析を行って求め、コバルト被覆後の活物質のコバルト量からコバルト被覆前の活物質のコバルト量を減算することにより求めることができる。
Figure 2006100154
ついで、上述のように作製した正極活物質β(表面のコバルト量は5質量%で、粒子内部に固溶されたコバルト量は1質量%で、高次の水酸化コバルトで被覆された正極活物質)を用い、これに、金属成分でのニッケルの質量100に対してコバルトの添加量が所定の比率(ニッケルの質量100に対する総コバルト量(質量%)が下記の表1に示すような量)になるように水酸化コバルトを添加した。さらに、酸化イットリウムと酸化ニオブを、金属成分でのニッケルの質量100に対して、イットリウムが0.5質量%で、ニオブが0.5質量%となるように添加して、正極活物質混合物を作製した。
得られた正極活物質混合物が100質量部で、0.2質量%のHPC(ヒドロキシルプロピルセルロース)水溶液50質量部を混合して活物質スラリーを作製した。ついで、得られた活物質スラリーを、厚みが1.6mmの発砲ニッケル(目付が580g/m2のもの)からなる電極基板に所定の充填密度(下記の表2に示すような見かけの活物質密度)となるように充填した。この後、乾燥させて、所定の厚みになるように圧延し、所定の寸法に切断してニッケル正極11(a1,a2,a3,a4,a5,a6,a7,a8)を作製した。
Figure 2006100154
2.水素吸蔵合金負極
一方、ミッシュメタル(Mm)、ニッケル(Ni:純度99.9%)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、およびマンガン(Mn)を1.0:3.2:1.0:0.2:0.6のモル比になるように混合した後、この混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉で誘導加熱して合金溶湯とした。この合金溶湯を公知の方法で鋳型に流し込み、冷却して、組成式がMmNi3.2Co1.0Al0.2Mn0.6で表される水素吸蔵合金のインゴットを作製した。
この水素吸蔵合金インゴットを機械的粉砕法により、平均粒子径が40μmになるまで粉砕して、水素吸蔵合金粉末とした。ついで、得られた水素吸蔵合金粉末100質量部に対して、結着剤としての5質量%のポリエチレンオキサイド(PEO)の水溶液20質量部を混合して水素吸蔵合金ペーストを作製した。この水素吸蔵合金ペーストをパンチングメタルからなる芯体の両面に塗布し、室温で乾燥させた後、所定の厚みに圧延し、所定の寸法に切断して水素吸蔵合金負極12を作製した。
3.ニッケル−水素蓄電池
ついで、上述のようにして作製したニッケル正極11(a1,a2,a3,a4,a5,a6,a7,a8)と、水素吸蔵合金負極12とを用い、これらの間にポリエチレンおよびポリプロピレンからなる不織布にスルホン化処理を施したセパレータ(目付が65g/m2で、厚みが0.18mmのもの)13を介在させて、これらを渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。得られた渦巻状電極群の上部に正極集電体14を抵抗溶接するとともに、渦巻状電極群の下部に負極集電体15を抵抗溶接して渦巻状電極体をそれぞれ作製した。ついで、鉄にニッケルメッキを施した有底円筒形の金属外装缶16内に渦巻状電極体を挿入した後、負極集電体15と金属外装缶16の底部をスポット溶接した。
一方、正極キャップ17aと蓋体17bとからなる封口体17を用意し、正極集電体14に設けられたリード部を蓋体17bの底部に溶接した。この後、渦巻状電極体の上端面に防振リングを挿入し、外装缶16の上部外周面に溝入れ加工を施して環状溝部16aを形成した。この後、金属製外装缶16内に電解液(例えば、30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液)を注液し、封口体17の外周部に装着された封口ガスケット18を外装缶16の環状溝部16aの上に載置するとともに、外装缶16の先端部を封口体17側にカシメて封口して、ニッケル−水素蓄電池10(A1〜A8)をそれぞれ組み立てた。
ここで、ニッケル正極a1を用いたものをニッケル−水素蓄電池A1とし、ニッケル正極a2を用いたものをニッケル−水素蓄電池A2とし、ニッケル正極a3を用いたものをニッケル−水素蓄電池A3とし、ニッケル正極a4を用いたものをニッケル−水素蓄電池A4とし、ニッケル正極a5を用いたものをニッケル−水素蓄電池A5とし、ニッケル正極a6を用いたものをニッケル−水素蓄電池A6とし、ニッケル正極a7を用いたものをニッケル−水素蓄電池A7とし、ニッケル正極a8を用いたものをニッケル−水素蓄電池A8とした。
ついで、これらのニッケル−水素蓄電池10(A1〜A8)を室温(約25℃)にて0.1It相当の電流で16時間充電(160%の充電)を行った後、65℃の温度環境に24時間放置した。ついで、室温(約25℃)にて0.2It相当の電流で放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させるサイクルを2サイクル繰り返した。その後、室温(約25℃)にて0.1It相当の電流で16時間充電(160%の充電)を行った後、室温(約25℃)にて0.2It相当の電流で放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させた。この後、各電池A1〜A8を解体して、正極11から活物質を脱落させ、脱落質活物質の質量および体積を測定すると下記の表3に示すような結果となった。また、電極基板となる発泡ニッケルの一部のBET測定を実施して、発泡ニッケルの表面積(以下では、基板の表面積という)を算出すると下記の表3に示すような結果となった。なお、これらの各電池A1〜A8の1It放電時の容量(Ah)は下記の表3に示す通りである。
Figure 2006100154
4.試験
ついで、これらの各電池A1〜A8に対して1Itの充電電流で電池容量の50%(SOC(State Of Charge :充電深度)が50%で、30分の充電)まで充電した。この後、40A放電→40A充電→80A放電→80A充電→120A放電→120A充電→160A放電→160A充電の順で充放電を繰り返した。この場合、各ステップの間に10分間の休止期間を設け、各放電ステップ実施後の10分間の休止後において、10秒間ずつ放電を行い、この10秒間経過時点における電池電圧を放電電流に対してプロットし、最小二乗法にて求めた直線が0.9Vに達するときの電流値を出力とし、電池A1の平均出力を100としたときの各電池A2〜A8の平均値における出力比を求めると下記の表4に示すような結果となった。また、電池A3〜A8において、コバルトの添加量(金属成分で比較したニッケル100に対するコバルトの質量比)に対する出力比の関係をグラフに表すと、図2に示すような結果になった。
Figure 2006100154
上記表4および図2の結果から明らかなように、電池A1〜A4においては出力比が100〜129と小さいのに対して、電池A5〜A8においては出力比が135〜148と大きくなっていることが分かる。これは、電池A5〜A8においては、水酸化ニッケルからなる正極活物質の表面が高次化水酸化コバルトにより被覆されていることで正極活物質の導電性が向上したことと、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合が低減したことにより、ニッケル正極内での抵抗が低減して出力比が向上したと考えられる。
これに対して、電池A1においては、総コバルト量が少なく、また、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合が大きいことから、ニッケル正極内での抵抗が大きくなって、出力比が向上しなかったと考えられる。また、電池A2のように、総コバルト量を増加させても、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合が大きいと、ニッケル正極内での抵抗が大きいために、電池A1と同様に出力比が向上しなかったと考えられる。また、電池A3,A4のように、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合を小さくしても、総コバルト量が少ないと、ニッケル正極内での抵抗の低減効果が少なく、出力比が向上しなかったと考えられる。
これらから、基板の表面積に対する正極活物質の全体積を0.7×10-6m以下とし、かつ総コバルト量が14質量%以上とすることによって、コバルトの添加による出力向上効果が顕著になるということができる。これは、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合が0.7×10-6m以下で、総コバルト量が14質量%以上になると、急激にニッケル正極内での導電経路の形成が増加するものと考えられる。また、電池A8のように、総コバルト量が21質量%を超えても出力向上効果はほとんどないことが分かる。これは、総コバルト量が14質量%以上になると、充分な導電ネットワークが形成され、それ以上のコバルトは導電性に寄与していないか、もしくは、酸化されないコバルトとなっているものと考えられる。
以上のことを総合的に勘案すると、ニッケル正極内に添加される総コバルト量(正極活物質内の金属成分のニッケルに対する質量比)は14質量%以上で、21質量%以下、特に好ましくは、18質量%以上で、21質量%以下が望ましいということができる。このようなコバルトの添加領域において、ニッケル正極内での導電経路の形成が飽和に近い状態になって、高出力が得られるものと考えられる。一方、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合が0.7×10-6m以下において、良好な結果が得られているが、この割合が0.3×10-6mより小さくしすぎると、活物質が均一に充填できなくなる。このため、基板の表面積に対する正極活物質の全体積の割合は0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下にするのが望ましいということができる。
5.正極活物質のコバルト被覆量の検討
ついで、表面が水酸化コバルトで被覆された正極活物質のコバルト被覆量について検討した。そこで、上述のようにして作製した正極活物質α,γ,δを用い、上述と同様に、これらにそれぞれ、金属成分でのニッケルの質量100に対してコバルトの添加量(金属成分でのニッケルの質量100に対する総コバルト量)が18質量%になるように水酸化コバルトを添加した。さらに、酸化イットリウムと酸化ニオブを、金属成分でのニッケルの質量100に対して、イットリウムが0.5質量%で、ニオブが0.5質量%となるように添加して、正極活物質混合物を作製した。
得られた正極活物質混合物が100質量部で、0.2質量%のHPC(ヒドロキシルプロピルセルロース)水溶液50質量部を混合して活物質スラリーを作製した。ついで、得られた活物質スラリーを、厚みが1.6mmの発砲ニッケル(目付が580g/m2のもの)からなる電極基板に所定の充填密度(下記の表1に示すような見かけの密度)となるように充填した。この後、乾燥させて、所定の厚みになるように圧延し、所定の寸法に切断してニッケル正極11(b1,b2,b3)を作製した。この場合、正極活物質αを用いたものをニッケル正極b1とし、正極活物質γを用いたものをニッケル正極b2とし、正極活物質δを用いたものをニッケル正極b3とした。
ついで、上述のように作製したニッケル正極11(b1,b2,b3)を用いて、上述と同様にニッケル−水素蓄電池10(B1,B2,B3)をそれぞれ作製した。なお、ニッケル正極b1を用いたものを電池B1とし、ニッケル正極b2を用いたものを電池B2とし、ニッケル正極b3を用いたものを電池B3とした。これらの電池を用いて上述と同様な充放電試験を行い、上述の電池A1に対する出力比を求めると下記の表5に示すような結果が得られた。なお、下記の表5には、上述の電池A1および電池A6の結果も併せて示している。
Figure 2006100154
上記表5の結果から明らかなように、水酸化ニッケルの表面に被覆された水酸化コバルトが高次化処理されている正極活物質α,β,γを用いた電池B1,A6,B2は、高次化処理されていない正極活物質δを用いた電池B3よりも出力特性が向上し、特に、正極活物質α,βを用いた電池B1,A6においてはより高出力が達成されていることが分かる。これは、高次化処理により正極活物質の導電性が向上したためと考えられる。
この場合、正極活物質γのように、表面に被覆されているコバルトの添加割合が8質量%(金属成分でニッケル100に対するコバルトの質量比)であると、高次化された水酸化コバルトが正極活物質としての水酸化ニッケルの充放電反応を妨げるように作用して出力特性を低下させるようになる。このため、表面に被覆されているコバルトは、金属成分でニッケル100に対するコバルトが5質量%以下になるように添加されているのが望ましいということができる。
なお、発泡ニッケルの表面積(基板の表面積)を変更する方法としては、発泡ニッケルを作製する際に用いるウレタンフォームの孔数を変化させたり、ウレタンフォームの厚みを変更することでも、同様の効果が得られた。ただし、発泡ニッケルのニッケル骨格を細くしすぎると、充填性に問題があったり、電池作成時に発泡ニッケルが断裂して、充分な効果が得られないことがあるため、ニッケル骨格の厚みを薄くすることに限界を設ける必要がある。
本発明のアルカリ蓄電池を模式的に示す断面図である。 コバルトの添加量(金属成分で比較したニッケル100に対するコバルトの質量比)に対する出力比の関係を示す図である。
符号の説明
10…アルカリ蓄電池、11…ニッケル正極、12…水素吸蔵合金負極、13…セパレータ、14…正極集電体、15…負極集電体、16…外装缶、16a…環状溝部、17…封口体、17a…正極キャップ、17b…蓋体、18…封口ガスケット

Claims (6)

  1. 発泡ニッケルからなる導電性基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が保持されたニッケル正極を備えたアルカリ蓄電池であって、
    前記水酸化ニッケルは表面がコバルト化合物で被覆された粒子であるとともに、
    前記正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対して、コバルトが14質量%以上で、21質量%以下であり、
    かつ、前記導電性基板の表面積(m2)に対する前記正極活物の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  2. 前記正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対して、コバルトが18質量%以上で、21質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池。
  3. 前記ニッケル正極の全体積から前記導電性基板の全体積を除いた見かけの活物質密度が2.3g/cm3以上で、3.3g/cm3以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルカリ蓄電池。
  4. 前記水酸化ニッケルの表面に被覆された前記コバルト化合物は酸化処理により2価より価数が大きな高次化コバルト化合物に高次化されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池。
  5. 発泡ニッケルからなる導電性基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質を塗着して形成したニッケル正極を備えたアルカリ蓄電池の製造方法であって、
    前記水酸化ニッケルの表面にコバルト化合物を被覆させるコバルト化合物被覆工程と、
    前記被覆されたコバルト化合物を酸化させて2価より価数が大きな高次化コバルト化合物とする高次化工程と、
    正極活物質に添加された全コバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対してコバルトが14質量%以上で21質量%以下となるように、前記表面にコバルト化合物が被覆された水酸化ニッケルとコバルト化合物と糊材とを混合して混合物とする混合工程と、
    前記導電性基板の表面積(m2)に対する正極活物の全体積(m3)の比率が0.3×10-6m以上で、0.7×10-6m以下となるように前記混合物を前記導電性基板に塗着させる塗着工程とを備えたことを特徴とするアルカリ蓄電池用の製造方法。
  6. 前記被覆工程において、前記水酸化ニッケルの表面を被覆するコバルト化合物の添加割合が金属成分での質量比でニッケル100に対して5質量%以下となるように前記水酸化ニッケルの表面にコバルト化合物を被覆させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載のアルカリ蓄電池用の製造方法。
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