しかしながら、記録ヘッドを画像記録を行う画像記録領域外に退避させた上でノズル回復動作を行う場合には、ノズル回復動作を行っている間は画像記録を行うことができず記録作業の効率が低下するという問題がある。
また、ノズル回復機構をプラテンと記録ヘッドとの間に移動させてプラテンの上でノズル回復動作を行う場合には、ノズル回復動作の際に飛散したインクがプラテンの上に付着してしまう等のおそれがあり、この場合、次に画像記録を行ったときにこうしたインクが記録媒体に付着して記録媒体を汚してしまい、高精細な画像記録を行うことができないという問題がある。
さらに、近年は、より高速で画像記録を行うべく、記録ヘッドの大型化やノズルの数を増加させる多ノズル化が促進されている。このため、すべてのノズルについて適切なノズル回復動作を行い常に高精細な画像記録を行うことが可能な状態に保つためには記録ヘッドのノズル回復動作を行うノズル回復機構も大型化せざるを得ないという問題がある。特に、ライン型の記録ヘッドにおいては、記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に移動させながら画像記録を行うシリアル型の記録ヘッドと異なり、画像記録を行う記録媒体と同一幅分ノズルを配置する必要がある。このため、大判の記録媒体に画像記録を行うことも多くなった現在においては、この問題は特に顕著となる。
また、同色の記録ヘッドを複数備えるインクジェット記録装置も提案されており、この場合、記録ヘッドの数だけノズル回復ユニットを設けるとすると、装置の大型化、重量化を招くという問題もある。
そこで、本発明は以上のような課題を解決すべくなされたものであり、装置の大型化を抑えながら、記録動作を中断することなく適宜記録ヘッドのノズル回復動作を行い、画像記録の高速化と高精彩な画像記録とをともに実現することのできるインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
このような問題を解決するため、請求項1に記載されている発明は、記録媒体上にインクを吐出する複数の記録ヘッドと、
画像記録領域と前記画像領域外の退避領域との間で前記記録ヘッドを移動可能とするヘッド移動機構と、
前記記録ヘッドのうちいずれか1つの前記記録ヘッドが画像記録領域において画像記録を行うときに前記画像領域外の退避領域において他の前記記録ヘッドのうち少なくとも1つの前記記録ヘッドのノズル回復動作を行うノズル回復ユニットとを備えたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項1に記載の発明は、同色のインクを吐出する記録ヘッドを複数備え、そのうちいずれか1つの記録ヘッドが画像記録領域において画像記録を行っているときに、他の記録ヘッドのうち少なくとも1つの記録ヘッドについてノズル回復ユニットによるノズル回復動作を行うようになっている。
請求項2に記載されている発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドを複数支持する支持軸を備え、
前記ヘッド移動機構は、前記支持軸の軸線を中心として前記支持軸を回動させることにより前記支持軸に支持された前記記録ヘッドを前記画像記録領域から前記退避領域まで移動可能とするものであることを特徴としている。
このような構成を有する請求項2に記載の発明は、複数の記録ヘッドを支持する支持軸を回動機構によって回動させることにより支持軸に支持された記録ヘッドを画像記録領域から退避領域外まで移動できるようになっている。
請求項3に記載されている発明は、請求項2に記載のインクジェット記録装置において、同一の前記支持軸に支持される前記記録ヘッドは同色のインクを吐出することを特徴としている。
このような構成を有する請求項3に記載の発明は、同一の支持軸に支持される記録ヘッドからは同色のインクが吐出されるようになっている。
請求項4に記載されている発明は、請求項2又は請求項3に記載のインクジェット記録装置において、前記支持軸が複数配置され、前記各支持軸は前記支持軸に支持される前記各記録ヘッドの移動が妨げられない位置に配置されることを特徴としている。
このような構成を有する請求項4に記載の発明は、支持軸が複数設けられている場合には、各支持軸の配置は各記録ヘッドの移動を妨げないようになっている。
請求項5に記載されている発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、ノズル回復動作を行う前記記録ヘッドの位置に対応する位置まで前記ノズル回復ユニットを移動させる移動機構を設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項5に記載の発明は、ノズル回復ユニットは、移動機構によってノズル回復動作を行う記録ヘッドの位置に対応する位置まで移動するようになっている。
請求項6に記載されている発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、インクを吐出する複数のノズルを備え、前記ノズルが前記記録ヘッドの長手方向に沿って列状に配置されたライン型の記録ヘッドであることを特徴としている。
このような構成を有する請求項6に記載の発明は、ノズルが記録ヘッドの長手方向に沿って列状に配置されたライン型の記録ヘッドを用いて画像記録を行うようになっている。
請求項7に記載されている発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、所定のタイミングで前記画像記録領域と前記退避領域との間で前記記録ヘッドを移動させるように前記ヘッド移動機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項7に記載の発明は、制御部がヘッド移動機構を制御することによって所定のタイミングで記録ヘッドが画像記録領域と退避領域との間で移動するようになっている。
請求項8に記載されている発明は、請求項7に記載のインクジェット記録装置において、前記制御部は、画像記録動作開始時から所定の時間が経過したときに、前記記録ヘッドを移動させるように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項8に記載の発明は、画像記録動作開始時から所定の時間が経過したときに、制御部がヘッド移動機構を制御することによって記録ヘッドが画像記録領域と退避領域との間で移動するようになっている。
請求項9に記載されている発明は、請求項7に記載のインクジェット記録装置において、前記制御部は、所定の枚数画像記録が行われたときに、前記記録ヘッドを移動させるように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項9に記載の発明は、所定の枚数画像記録が行われたときに、制御部がヘッド移動機構を制御することによって記録ヘッドが画像記録領域と退避領域との間で移動するようになっている。
請求項10に記載されている発明は、請求項7に記載のインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記記録ヘッドから所定量のインクが吐出されたときに、前記記録ヘッドを移動させるように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項10に記載の発明は、記録ヘッドから所定量のインクが吐出されたときに、制御部がヘッド移動機構を制御することによって記録ヘッドが画像記録領域と退避領域との間で移動するようになっている。
請求項11に記載されている発明は、請求項7に記載のインクジェット記録装置において、ユーザの指示を入力する入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部から入力される指示に従って、前記記録ヘッドを移動させるように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項11に記載の発明は、ユーザが入力部から入力した指示に従って、制御部がヘッド移動機構を制御することによって記録ヘッドが画像記録領域と退避領域との間で移動するようになっている。
請求項1に記載された発明によれば、複数の記録ヘッドを備え、1つの記録ヘッドのノズル回復動作を行っている間も、他の記録ヘッドによって画像記録を行うことができる。このため、画像記録動作を中断することなく適宜記録ヘッドのノズル回復動作を行うことができ、画像記録の高速化を実現するとともに高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
また、全ての記録ヘッドについて一度にノズル回復動作を行うのではなく、画像記録を行う記録ヘッドとノズル回復動作を行う記録ヘッドとを適宜切り替えて交代でノズル回復動作を行うため、複数の記録ヘッドを備えた場合でもノズル回復ユニットを記録ヘッドと同数備える必要がなく、装置の大型化を抑えることができる。
さらに、ノズル回復動作は、画像記録領域外において行うので、ノズル回復動作の際にインクが飛散等した場合でもプラテンにインクが付着することがなく、インクの再付着を生じることがなく、高精彩な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項2に記載された発明によれば、記録ヘッドを支持する支持軸を回動させるという簡易な機構により記録ヘッドを画像記録領域から画像記録領域外まで移動することができる。このため、装置を複雑化することなく画像記録を行う記録ヘッドを画像記録領域に位置させ、それ以外の記録ヘッドを画像記録領域外に位置させて、ある記録ヘッドで画像記録を行っているときに同時に他の記録ヘッドのノズル回復動作を画像記録領域外で行うことができ、画像記録動作の効率化を図ることが可能となるという効果を奏する。
請求項3に記載された発明によれば、同色のインクを吐出する記録ヘッドを複数備えているので、いずれかの記録ヘッドにノズル欠等の吐出不良がある場合でも画像記録を行う記録ヘッドを切り替えることにより、連続的な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項4に記載された発明によれば、支持軸が複数設けられている場合でも、各支持軸に支持された記録ヘッドが互いに衝突する等により移動を妨げられることがない。このため、記録ヘッドの移動を円滑に行うことができ、支持軸に支持された記録ヘッドを適宜切り替えながら、連続した画像記録を行うことができるので、画像記録の高速化を実現することができるという効果を奏する。
請求項5に記載された発明によれば、ノズル回復動作を行う記録ヘッドの位置に応じてノズル回復ユニットが移動するので、複数の記録ヘッドを備える場合でも、記録ヘッドの数と同じ数のノズル回復ユニットを設ける必要がない。このため、装置の小型化、軽量化を実現することができるという効果を奏する。
請求項6に記載された発明によれば、ライン型の記録ヘッドによって画像記録を行うので、画像記録の高速化を図ることができる。そして、このような記録ヘッドを用いた場合でも、適宜ノズル回復ユニットによるノズル回復動作を行うことができるという効果を奏する。
請求項7に記載された発明によれば、所定のタイミングで無条件に記録ヘッドを画像記録領域と退避領域との間で移動させる。このため、連続して画像記録動作を行っている途中で吐出不良が発生した場合でも品質が劣化したまま記録される記録媒体を少なく抑えることができ、記録媒体の無駄を抑えて高精細な画像記録を効率よく行うことができるという効果を奏する。
請求項8に記載された発明によれば、画像記録動作開始時から所定の時間が経過するごとに、無条件に記録ヘッドを画像記録領域と退避領域との間で移動させる。このため、連続して画像記録動作を行っている途中で吐出不良が発生した場合でも品質が劣化したまま記録される記録媒体を少なく抑えることができ、記録媒体の無駄を抑えて高精細な画像記録を効率よく行うことができるという効果を奏する。
請求項9に記載された発明によれば、所定の枚数画像記録が行われるごとに、無条件に記録ヘッドを画像記録領域と退避領域との間で移動させる。このため、連続して画像記録動作を行っている途中で吐出不良が発生した場合でも品質が劣化したまま記録される記録媒体を少なく抑えることができ、記録媒体の無駄を抑えて高精細な画像記録を効率よく行うことができるという効果を奏する。
請求項10に記載された発明によれば、記録ヘッドから所定量のインクが吐出されるごとに、無条件に記録ヘッドを画像記録領域と退避領域との間で移動させる。このため、連続して画像記録動作を行っている途中で吐出不良が発生した場合でも品質が劣化したまま記録される記録媒体を少なく抑えることができ、記録媒体の無駄を抑えて高精細な画像記録を効率よく行うことができるという効果を奏する。
請求項11に記載された発明によれば、ユーザが入力部から入力した指示に従って、記録ヘッドを画像記録領域と退避領域との間で移動させる。このため、吐出不良の検知及びノズルの回復動作を行なうタイミングをユーザの任意とすることができ、高精細な画像記録を効率よく行うことができるという効果を奏する。
以下、図1から図4を参照しつつ本発明に係るインクジェット記録装置の第一の実施形態について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、本実施の形態において、インクジェット記録装置1には、平板状に形成されたプラテン2が設けられている。プラテン2は、本実施形態におけるインクジェット記録装置1によって画像記録を行う記録媒体Pの最大幅よりも大きい寸法に形成されており、記録媒体Pを非記録面から支持するようになっている。また、プラテン2の下方には、プラテン2とほぼ等しい幅寸法に形成され、プラテン2を支持するプラテン支持部材3が配置されている。
インクジェット記録装置1の上面であってプラテン2の配置されている領域は、画像記録を行う画像記録領域Aとされている。
また、インクジェット記録装置1には、複数の搬送ローラ4等により構成され、記録媒体Pを所定の搬送方向Xに搬送するための記録媒体搬送機構5(図4参照)が設けられている。記録媒体搬送機構5は、搬送ローラ4を回転させることによって、画像記録時において、記録媒体Pを搬送方向Xの上流側から下流側に順次搬送するようになっている。
プラテン支持部材3の両側面には、一端がプラテン支持部材3の側面に取り付けられるとともに図2における上方に湾曲しながら延在する支持軸6が、それぞれ2本ずつ設けられている。支持軸6の一端であって前記湾曲部分より上方部分は、支持軸6の図2における垂直方向の軸線を中心として回動可能な回動部7となっており、ヘッド移動機構としての軸回動機構8(図4参照)によって正逆両方向に回動自在となっている。なお、支持軸6の構成及び支持軸6を回動させる構成は、ここに例示したものに限定されない。
また、各支持軸6の回動部7には、記録媒体Pにインクを吐出する記録ヘッド9a,9bが2つずつ支持軸6を中心として直角に交わるように支持されている。記録ヘッド9a,9bは、本実施形態におけるインクジェット記録装置1で使用される4色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)。)に対応して各色毎2つずつあり、各支持軸6の回動部7に支持される記録ヘッド9a,9bは、それぞれ同色のインクを吐出する記録ヘッド9a,9bとなっている。なお、インクジェット記録装置1で使用されるインクはこれに限定されず、例えば、ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)等の各色のインクを使用することもできる。この場合には、各色に対応した記録ヘッドが設けられる。
記録ヘッド9a,9bのプラテン2に対向する面は複数のノズルのノズル孔(図示せず)が形成されたノズル面(図示せず)となっており、記録ヘッド9a,9bは、ノズル孔が記録ヘッド9a,9bの長手方向に沿ってノズル面上に列状に配置されたライン型の記録ヘッド9a,9bである。支持軸6に支持された各記録ヘッド9a,9bは、支持軸6の回動部7がほぼ90度回動することにより記録媒体Pの搬送方向Xと直交する位置から搬送方向Xに平行となる位置までプラテン2の上面に対して平行に移動するようになっている。
なお、前記各支持軸6は、記録ヘッド9a,9bの長手方向の長さよりも長い間隔をおいて配置されており、支持軸6の回動部7が回動することにより記録ヘッド9a,9bが移動する際、他の支持軸に支持された記録ヘッド9a,9bの移動を妨げないようになっている。
支持軸6の内部は中空となっており、各支持軸6の内部には支持している記録ヘッド9a,9bにインクを供給するためのインク供給管(図示せず)が配設されている。インク供給管の一端は、インクを貯留する図示しないインクタンクに連通しており、各インクタンクからインク供給管を介してインクが各記録ヘッド9a,9bに送られるようになっている。なお、インク供給管は、支持軸6に支持される記録ヘッド9a,9bの数に対応して、支持軸6の中に2本ずつ設けられており、インク供給管が連通するインクタンクには各インク供給管と連通するためのインク流出口(図示せず)がそれぞれ2つずつ設けられている。このように、インクタンクに各記録ヘッド9a,9bに対応した数のインク流出口を設け、それぞれにインク供給管を連通させることによって各記録ヘッド9a,9bに偏りなくインクを供給することができるようになっている。
図2に示すように、画像記録領域Aの外側であって画像記録領域Aの左右に隣接する領域は、それぞれ支持軸6に支持されている記録ヘッド9a,9bのうち画像記録を行っていない記録ヘッド9bが退避する退避領域Bとされている。各退避領域Bには記録ヘッド9bのノズル面のノズル回復動作を行うノズル回復ユニット10を支持するユニット支持部材11がそれぞれ2つずつ記録媒体Pの搬送方向Xに延在して設けられている。
ユニット支持部材11にはノズル回復ユニット10を案内するガイドレール12がユニット支持部材11の長手方向に沿って設けられており、ノズル回復ユニット10はユニット移動機構13(図4参照)によりこのガイドレール12に沿って移動可能となっている。各ユニット支持部材11は1本の支持軸6について1つずつ対応しており、ガイドレールは、1つの支持軸6に支持された2つの記録ヘッド9a,9bのうちいずれが退避領域Bにある場合にも退避領域Bにある記録ヘッド9a,9bに対応する位置にノズル回復ユニット10を案内することのできる長さを有している。
また、図3に示すように、ユニット支持部材11はユニット昇降機構14(図4参照)によってノズル回復ユニット10を支持したまま上下方向Yに昇降自在となっており、ノズル回復ユニット10を退避領域Bに位置する記録ヘッド9bのノズル面に当接する位置まで上昇させるとともに、もとの待機位置まで下降させるようになっている。
図1から図3に示すように、ノズル回復ユニット10は、その上面が記録ヘッド9a,9bのノズル面よりも大きい寸法となるように形成されている。また、ノズル回復ユニット10の上面には、例えば樹脂等の材料からなりノズル回復ユニット10の長手方向に延在する吸引キャップ15が設けられている。吸引キャップ15は、記録ヘッド9a,9bのノズル面とほぼ等しい大きさに形成されており、ノズル回復ユニット10がユニット昇降機構14によって昇降した際にノズル面のノズル孔に密着可能となっている。
吸引キャップ15の底面には、例えば樹脂等の可撓性を有する材料で形成され吸引キャップ15の内部に連通するインク連通管16が設けられている。このインク連通管16の途中には、吸引装置である吸引ポンプ17が設けられており、インク連通管16の下端には、吸引したインクを受ける廃インクタンク18が設けられている。吸引ポンプ17は、ノズル回復ユニット10が上昇して吸引キャップ15が記録ヘッド9a,9bのノズル面に密着した際に記録ヘッド9a,9bのノズル面と吸引キャップ9とによって形成された空間内の空気をインク連通管16を介して吸引することによって前記空間内の減圧を行うようになっており、これによって、増粘してノズル孔を塞いでいるインクその他の異物をノズルから強制的に吸引するとともに、ノズルから吐出されたインク等の異物の吸引を行うようになっている。また、本実施形態においては、吸引キャップ15はノズルからインクを空吐出させたとき吐出されたインクを受ける空吐出受け部を兼ねるものであり、吸引キャップ15に空吐出されたインクについても吸引ポンプ17によって吸引され廃インクタンク18に送られるようになっている。なお、吸引ポンプ17は、例えば、チューブポンプ等を用いることができるが、空気及びインク等を吸引するのに十分な吸引力を確保できるものであれば足り、他の機構を適用することも可能である。
また、ノズル回復ユニット10の両端部には、吸引キャップ15の端部に近接してノズル面に残留するインクを拭き取るブレード19がそれぞれ設けられている。ブレード19はゴム等の弾性体によって形成されており、ブレード19の先端部をノズル面に摺接させることによりノズル面に付着したインクを除去できるようになっている。
なお、本実施形態において、記録媒体Pとしては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の種々の材質からなる記録媒体Pが適用可能である。また、記録媒体Pの形態としては、ロール状、カットシート状、板状等の各種形態が適用可能である。
次に、図2を参照しつつ、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の制御構成について説明する。
インクジェット記録装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、各種の処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、各種データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を備えて装置全体を総括的に制御する制御部20を有している。
また、インクジェット記録装置2は、ユーザが画像記録領域Aと退避領域Bとの間で記録ヘッド9a,9bの位置を移動させ画像記録を行う記録ヘッド9a,9bを交代させるタイミング、記録ヘッド9a,9bのノズルの不吐出検知やノズル回復動作を行うタイミング、記録媒体Pの種類、画像記録の開始信号、画像記録条件等の各種の指示や情報を入力する入力部17を有しており、入力部21から入力された指示や情報は、制御部20に送られるようになっている。入力部21は、例えば、操作ボタン、操作パネル、キーボード等であり、ユーザは操作ボタン等を選択することにより各種の支持の入力、設定等を行うことができるようになっている。
また、制御部20は、軸回動機構8を制御して記録ヘッド9a,9bを支持する支持軸6を回動させるようになっている。すなわち、例えば、図2において、記録ヘッド9aと記録ヘッド9bの位置を交代させる場合には、制御部20は、軸回動機構8によって支持軸6を時計回りの方向にほぼ90度回動させる。これにより、制御部10は、画像記録領域Aに位置している記録ヘッド9aを退避領域Bの所定の位置に退避させ、他方の記録ヘッド9bを画像記録領域Aの所定の位置に移動させるようになっている。
なお、制御部20が軸回動機構8を制御して支持軸6を回動させ記録ヘッド9aと記録ヘッド9bとの位置を交代させるタイミングは、予め設定されている一定の画像記録枚数に達したときとしてもよいし、画像記録動作開始時から予め設定されている一定の時間を経過するごととしてもよい。また、記録ヘッド9a,9bから吐出されたインクが予め設定されている所定量に達するごととしてもよい。
この場合、どの程度の画像記録枚数やインクの吐出量に達したとき、または、画像記録開始時からどの程度の時間が経過したときに記録ヘッド9a,9bの交代を要するかは、例えば、予め制御部20のROM等に記憶されていてもよいし、ユーザが任意に設定、選択を行い、入力部から入力することによって設定されるようにしてもよい。
さらに、ユーザが記録ヘッド9aと記録ヘッド9bとの位置を交代させるタイミングを任意に決定し前記入力部21から指示を入力することにより、ユーザの指示した任意のタイミングで記録ヘッド9a,9bを交代させるようにしてもよい。
なお、記録ヘッド9a,9b近傍にノズル欠等の吐出不良を検知するセンサ等を設けて、制御部は、このセンサによってノズル欠等が検知されたときにノズル回復動作が必要と判断して記録ヘッド9aと記録ヘッド9bとの位置を交代させるように軸回動機構を制御してもよい。
また、制御部20は、一定間隔ごとに全ての支持軸6の回動部7を回動させて、各支持軸6に支持された記録ヘッド9a,9bについて記録ヘッド9aと記録ヘッド9bとの位置の交代を行わせるようにしてもよいし、例えば、一部の支持軸6の回動部7のみを回動させて任意の記録ヘッド9a,9bについてのみ位置を交代させるようにしてもよい。なお、例えば、図2における記録ヘッド9aが画像記録領域Aから退避領域Bに移動してきた場合には、制御部20は、直ちにノズル回復ユニット10によるノズル回復動作を行わせるようにしてもよいが、例えば、退避領域Bにノズルの吐出不良検知を行う検知機構(図示せず)を設けて、退避領域Bに移動していた記録ヘッド9aにつき、まずこの検知機構によりノズルに吐出不良があるか否かを判断し、ノズルに吐出不良があると判断された場合に適宜ノズル回復動作を行うようにしてもよい。このように、ノズルに吐出不良があると判断された場合に適宜ノズル回復動作を行うようにすると、必要に応じてインクの吸引や空吐出を行うので、無駄なインク使用量を抑えることができ、より好ましい。なお、この場合、ノズルの吐出不良検知中も画像記録領域Aにおいて画像記録を行うことができるので、画像記録効率が低下することもない。また、退避領域Bには記録媒体の搬送路がないため、ノズルの吐出不良検知機構を配置する上での制約が少なく、検知精度の高い検知機構を低コストで装置に搭載することが可能となる。
また、制御部20は、ユニット移動機構13を制御してノズル回復ユニット10を退避領域Bに位置している記録ヘッド9aに対応する位置まで移動させるようになっている。また、ノズル回復ユニット10をノズル面に密着させた状態のときにユニット移動機構13を制御してノズル回復ユニット10をガイドレール12に沿って移動させ、ノズル面にブレード19を摺接させるようになっている。
また、制御部20は、ユニット昇降機構14を制御してユニット支持部材11に支持されたノズル回復ユニット10を昇降させるようになっており、例えば、記録ヘッド9aのノズル回復動作を行う際には、吸引キャップ15が記録ヘッド9aのノズル面に密着する位置までノズル回復ユニット10を上昇させる。さらに、制御部20は、吸引ポンプ17を動作させて吸引キャップ15と記録ヘッド9aのノズル面との間の空間内の空気を吸引し前記空間内を減圧するようになっている。
また、制御部20は、記録媒体搬送機構5を制御して記録媒体Pを所定の搬送方向Xに搬送しながら、所定の画像データ及び入力部21から入力された各種の画像記録に関する情報等に基づいて画像記録領域Aに位置する記録ヘッド9a,9b、例えば、画像記録領域Aに記録ヘッド9bが位置し退避領域Bに記録ヘッド9aが位置している場合には、記録ヘッド9bを動作させる。これにより、各記録ヘッド9bから所定量のインクが吐出され、記録媒体P上に所定の画像が記録されるようになっている。
次に、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の作用について説明する。
入力部21から画像記録を開始する信号、画像記録条件等が入力されると、制御部20は、記録媒体搬送機構5を制御することにより、搬送ローラ4を回転させて、記録媒体Pを搬送方向Xの上流側から下流側に搬送させる。
また、記録媒体Pの搬送が開始され、記録媒体Pがプラテン2上の所定位置まで搬送されると、制御部20は、所定の画像データ等に基づいて記録ヘッド9aを動作させ、記録ヘッド9aのノズルからインクを記録媒体Pの上に吐出させる。これにより、記録媒体Pに画像が記録される。
画像記録動作を繰り返すと記録ヘッド9aのノズル面10にインク等の汚れが付着する。そこで、予め定められた所定の枚数の画像記録若しくは所定の時間画像記録動作を行うごと、又はユーザによって入力部から指示が入力されたときはその指示されたときに、制御部20は、記録ヘッド9aと記録ヘッド9bとの位置の交代が必要であると判断して、軸回動機構8により支持軸6の回動部7をほぼ90度回動させて記録ヘッド9aを退避領域Bに退避させる。なお、このとき、支持軸6に支持された他方の記録ヘッド9bは画像記録領域A上に配置されるので、画像記録領域A上に配置された記録ヘッド9bによって引き続き画像記録を行うことができる。
退避領域Bに退避した記録ヘッド9aのノズル回復動作を行う場合には、まず、ユニット移動機構13によって記録ヘッド9aに対応する位置までノズル回復ユニット10が移動する。次にユニット昇降機構14によってノズル回復ユニット10が上昇し、吸引キャップ15が記録ヘッド9aのノズル面に密着する。吸引キャップ9aがノズル面に密着すると、吸引ポンプ17によって吸引キャップ9aとノズル面との間の空間内の空気を吸引し、前記空間内部を減圧する。これにより、ノズルからインク等の異物を強制的に吸引するとともに、ノズルから吐出されたインク等の吸引を行う。吸引されたインク等はインク連通管16を介して廃インクタンク18に送られる。
インク等の吸引動作が完了すると、制御部20は記録ヘッド9aを動作させて記録ヘッド9aのノズルから吸引キャップ15上にインクを空吐出させる。ノズルから空吐出されたインクは吸引ポンプによって吸引され、インク連通管16を介して廃インクタンク18に送られる。空吐出が完了すると、ノズル回復ユニット10がわずかに下降する。これにより、吸引キャップ15が記録ヘッド9aのノズル面から離間される。さらに、ユニット移動機構13によってノズル回復ユニット10がユニット支持部材11のガイドレール12上を移動する。その際、ブレード19が記録ヘッド9aのノズル面に摺接し、ノズル面に残留しているインク等が除去され、記録ヘッド9aは、画像記録に適した状態に回復される。
ノズル回復動作が完了すると、ノズル回復ユニット10は所定の待機位置まで下降する。なお、一方の記録ヘッド9bによって画像記録動作を行っている間、退避領域Bに位置する記録ヘッド9aがインクを定期的に吐出するようなノズル回復動作を繰り返すようにしてもよい。これにより、退避領域Bに位置する記録ヘッド9aは常にインク吐出に適した状態が維持される。
さらに所定の枚数の画像記録又は所定の時間画像記録動作が行われたとき、又はユーザによって入力部から入力された指示により記録ヘッド9bについてノズル回復動作が必要とされたときは、支持軸6の回動部7が時計と反対周りにほぼ90度回動し、画像記録を行っていた記録ヘッド9bを退避領域Bに移動させるとともに、記録ヘッド9aが画像記録領域Aの所定位置にくるようにする。そして、前述した場合と同様に記録ヘッド9aによって画像記録を行いながら、記録ヘッド9bについてノズル回復動作を行う。
本実施形態によれば、記録ヘッド9a,9bのノズル回復動作が必要なときは、2つの記録ヘッド9a,9bを支持する支持軸6を回動させることによって一方の記録ヘッド9bで画像記録を行いながら、他方の記録ヘッド9aのノズル回復動作を行うことができる。このため、画像記録動作を中断することなく記録ヘッド9a,9bのノズル回復動作を行うことができ、画像記録の高速化を実現することができる。
また、ノズル回復ユニット10が記録媒体Pの搬送方向Xに沿って移動可能となっているので、1本の支持軸6に支持された2つの記録ヘッド9a,9bのノズル回復動作を1つのノズル回復ユニット10によって行うことができる。このため、装置を小型化、軽量化することができる。
なお、本実施形態では、1本の支持軸6に2つの記録ヘッド9a,9bを支持されるようにしたが、1本の支持軸6に支持される記録ヘッド9a、9bの数はこれに限定されず、3つ以上の記録ヘッドが支持されるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、ノズル回復ユニット10を移動可能としたが、記録ヘッドが3つ以上設けられているときは、ノズル回復ユニットを固定的に設け、複数の記録ヘッドがノズル回復ユニットに対応する位置に移動してきたときに順にノズル回復動作を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、プラテン2を支持するプラテン支持部材3を設けて、記録ヘッド9a、9bを支持する支持軸6はプラテン支持部材3に取り付けられるように構成したが、プラテン支持部材3を設けずに、支持軸6をプラテン2の下方から直接装置の上面に取り付けるように構成してもよい。
また、本実施形態においては、記録ヘッド9a,9bのノズル回復動作として、インク等の吸引、空吐出、ブレードによるインクの除去を行うようにしたが、ノズル回復動作はここに例示したものに限定されない。また、インク等の吸引とブレードによるインクの除去、又は空吐出とブレードによるインクの除去のみを行うものとしてもよい。
さらに、本実施形態においては、記録ヘッド9a,9bを支持軸6に支持させ、記録ヘッド9a,9bを画像記録領域Aから退避領域Bまで移動させるヘッド移動機構として記録ヘッド9a,9bを支持する支持軸6の回動部7を回動させる軸回動機構8を設けるものとしたが、記録ヘッドの構成及びヘッド移動機構はこれに限定されない。例えば、記録ヘッドを支持する支持軸を設けずに、ヘッド移動機構として、複数の記録ヘッドを画像記録領域から退避領域までスライド移動させる機構を設けてもよい。
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
次に、図5を参照しつつ、本発明に係るインクジェット記録装置の第二の実施形態について説明する。なお、第二の実施形態は、記録ヘッド及びノズル回復ユニットの構成を異にするものであるので、以下においては、特に第一の実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態において、インクジェット記録装置のプラテン支持部材(図示せず)の両側面には、記録ヘッド30a,30bを支持する支持軸31が、本実施形態において使用される4色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)。)に対応してそれぞれ4本ずつ配設されている。
各支持軸31の上部一端は正逆両方向に回動する回動部(図示せず)となっており、回動部には、それぞれ同色のインクを記録媒体Pに吐出する記録ヘッド30a,30bが2つずつ支持軸6を中心として直角に交わるように支持されている。
記録ヘッド30a,30bは、第一の実施形態と同様、ノズル(図示せず)が記録ヘッド30a,30bの長手方向に沿ってノズル面(図示せず)の上に列状に配置されたライン型の記録ヘッド30a,30bである。記録ヘッド30a,30bの長手方向の長さは、プラテン2の幅寸法の半分よりわずかに長くなっている。また、プラテン2を挟んで向かい合う支持軸31に支持された記録ヘッド30a,30bは同色のインクを吐出するようになっており、向かい合う支持軸31は記録ヘッド30a,30bの幅とほぼ等しい幅だけ搬送方向Xに互いにずれて配置されている。これにより、向かい合う支持軸31に支持された記録ヘッド30a,30bは、プラテン2の上でわずかに先端部が重なり合い、記録ヘッド30a,30bのノズルが等間隔で連続するようになっている。
支持軸31に支持された各記録ヘッド30a,30bは、支持軸31の回動部がほぼ90度回動することにより記録媒体Pの搬送方向Xと直交する位置から搬送方向Xに平行となる位置までプラテン2の上面に対して平行に移動するようになっている。
なお、前記各支持軸31は、互いの支持する記録ヘッド30a,30bの長手方向の長さの2倍よりも長い間隔をおいて配置されており、支持軸31の回動部が回動することにより記録ヘッド30a,30bが移動する際、記録ヘッド30a,30bの移動を妨げないようになっている。
また、画像記録を行う画像記録領域の外側であって画像記録領域の左右に隣接する退避領域には、各支持軸31に対応してそれぞれノズル回復ユニット32及びこれを支持するユニット支持部材(図示せず)が設けられている。
また、本実施形態において、インクジェット記録装置は、第一の実施形態と同様、装置各部を制御する制御部(図示せず)を備えている。
なお、各ノズル回復ユニット32等の構成、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、同一の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
記録ヘッド30aを用いて予め定められた所定の枚数の画像記録若しくは所定の時間画像記録動作が行われたとき、又はユーザによって指示が入力されたときはその指示されたときに、制御部によって記録ヘッド9aと記録ヘッド9bとの位置の交代が必要と判断され、画像記録を行っていた記録ヘッド30aを支持する支持軸31の回動部がほぼ90度回動する。例えば、イエロー(Y)のインクを吐出する記録ヘッド30a,30bについて位置の交代が必要とされると、イエロー(Y)のインクを吐出する記録ヘッド30a,30bを支持する支持軸31の回動部がそれぞれ回動し、各支持軸31の支持する記録ヘッド30a,30bのうち、画像記録を行っている記録ヘッド30aをそれぞれ記録媒体Pの搬送方向Xの下流方向に回動させて退避領域に移動させる。記録ヘッド30aが退避領域に移動すると、ノズル回復ユニット32が記録ヘッド30aに対応する位置まで移動し、所定のノズル回復動作を行う。記録ヘッド30aについてノズル回復動作を行っている間も支持軸31に支持されたもう1つの記録ヘッド30bによって画像記録が続行される。
以上のように、本実施形態によれば、各支持軸31に支持される記録ヘッド30a,03bの長さがプラテンの幅寸法の半分程度しかないため、記録ヘッド30a,03bがその重みによって撓む等の問題が生じにくい。そして、このような記録ヘッド30a,03bを用いた場合でも画像記録を中断することなく、記録ヘッド30a,03bのノズル回復動作を行うことができる。
また、各記録ヘッド30a,03bはプラテン2の幅寸法の半分よりわずかに長い寸法に形成されているので、プラテン2を挟んで向かい合う支持軸31に支持された記録ヘッド30a,03bのうち画像記録領域に位置するものは、互いにその先端がわずかに重なり合うようになっている。このため、各記録ヘッド30a,30bをプラテン2の幅寸法よりも短い寸法としてもプラテン2の幅とほぼ同じ長尺な記録ヘッド30a,30bを用いた場合と同様、記録画像に白筋等を生じることのない高精細な画像記録を行うことができる。
なお、本発明が本実施の形態に限られないことは、第一の実施形態と同様である。