JP2006140010A - 固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性を維持しつつ耐腐食性を向上させた固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けて緻密なバッファ層を形成し、前記バッファ層上に導電性保護膜を形成する。さらに、前記導電性保護膜を、前記バッファ層上に微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることにより、形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体高分子膜の両側に各々電極を配置した単位セル(膜電極)を複数個積層してなる固体高分子電解質燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)において前記単位セル間に配置されて用いられる固体高分子電解質燃料電池用セパレータに関するものである。
周知のように、近年、地球温暖化を始めとする地球環境の破壊が懸念されており、様々な分野において地球環境の破壊防止に向けた努力が始められている。そのような努力の一環として、燃料電池を自動車のモーター電源あるいは分散電源として用いるための研究開発が活発に進められている。かかる燃料電池としては、種々ある燃料電池の中でも、固体高分子電解質燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)と呼称される燃料電池が注目されている。
この固体高分子電解質燃料電池は、図5に示すように、固体高分子膜21の両側に酸素極22、水素極23の電極を配置して単位セルを構成し、この単位セルの両側を燃料電池用セパレータ24で挟んで積層した構成となっている。
前記燃料電池用セパレータ24の一方の側面24aには、この側面24aに隣接する単位セルに燃料ガスを供給するための燃料ガス用溝25が形成され、他方の側面24bには、この側面24bに隣接する単位セルに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス用溝26が形成されている。これらの溝は、図に示すように、側面の周縁部分を残した内側の領域に形成されている。そして、燃料電池セパレータ24は、少なくとも表面は導電性を有しており、その各側面の周縁部分において、単位セルの各電極22,23に電気的に接触している。図中、符号27a及び27bは燃料ガス供給穴(ガス供給部)及び排出穴であり、符号28aおよび28bは酸化剤ガス供給穴及び排出穴である。
前記固体高分子電解質燃料電池に用いられる燃料電池用セパレータは、金属系セパレータと樹脂系セパレータに大別される(非特許文献1、2参照)。金属系セパレータには、一般的にステンレス鋼が用いられている。また、軽量化を図るために、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウム(Al)基合金あるいはチタン(Ti)が用いられることもある。一方、樹脂系セパレータには、カーボン系材料あるいはカーボン樹脂モールドセパレータが用いられている。
セミナーテキスト:技術情報協会 平成15年7月24日 工業材料2003年4月号(Vol.51 No.51 No.4 p59−61
樹脂系セパレータは、軽量であり、腐食に対する耐性が金属系セパレータに比べて優れている反面、強度面に問題があり、特に強い衝撃が加わった場合には、割れを生ずる可能性がある。これに対して、金属系セパレータは、強度が大きく、割れにくい、成型が容易などの長所がある。しかし、固体高分子電解質燃料電池のスタック内が腐食環境にあるため、ステンレス鋼等の金属からなる金属系セパレータには、腐食が生じやすいという問題点がある。また、金属セパレータの表面に金属の不動態被膜が形成されれば、腐食の問題はなくなるが、表面の導電性が低下するため、電極との接触部分において接触抵抗が増大することとなり、使用時間の経過とともに燃料電池から取り出される電圧が低下する、すなわち、電池性能が低下するという問題もある。
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、導電性を維持しつつ耐腐食性を向上させた固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、実験、検討を重ねたところ、一次粒径がサブミクロンから数μmの金属、金属酸化物、金属硼化物、金属窒化物あるいは金属炭化物などからなる微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルから所定範囲の速度で目的の金属基材表面に吹き付けると、金属基材表面に緻密な堆積層が形成できることを知るに至った。原料微粉末を所定範囲の速度で目的の金属基材表面に衝突させると、その衝撃エネルギーにより原料微粉末はより微細に粉砕される。発生した微粉砕粒子は粉砕により活性な新生面を有することになり、新生面同士が密着して金属基材表面に密に堆積し、相互に強く結合する。その結果、金属基材表面上には、原料微粉末の組成からなる緻密な堆積層が形成される。それが緻密な堆積層であることは、図6に示す硼化チタン(TiB2)膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真によって確認することができる。この硼化チタン膜は、平均一次粒径2.5μmの硼化チタン微粉末を粒子速度1000m/秒にてステンレス(SUS304)基板上に吹き付けることによって得られた厚さ2.0μmの硼化チタン堆積膜である。
この図6から分かるように、金属硼化物からなる微粉末を吹き付けて形成したコーティング層は、結晶粒径が小さく、極めて緻密な膜である。この時に用いる原料微粉末として硼化チタン(TiB2)のような導電性を有するとともに耐腐食性に優れた材料を用いれば、目的の金属基材表面に導電性及び耐腐食性に優れた緻密な導電性保護膜を形成することができる。このような微粉末を微小孔ノズルから目的の金属基材表面に吹き付けることによって金属基材表面上に得られる緻密な堆積層を、本発明では、「微粉末ジェットコーティング層」と呼称する。
前記微粉末ジェットコーティング層を得る方法である微粉末ジェットコーティング法は、単に所定粒径範囲の微粉末を所定範囲の速度で目的の金属基材表面に吹き付けるだけの方法であり、加熱等の補助的条件を必要としない。処理温度としては、常温にて行うことができる。したがって、金属基材表面に堆積された微粉砕粒子は、結晶成長することなく、そのままの粒径を維持したままとなり、緻密の程度が劣化することはない。これに対して、従来のCVD法やPVD法では、高温にて成膜するために、堆積膜中において結晶成長が促進され、膜を構成する粒径が大きくなり、膜の緻密度は大きく劣化してしまう。
本発明者らは、さらに研究を重ねたところ、固体高分子電解質燃料電池は、運転中および運転の前後において、比較的大きな温度変化にさらされるので、セパレータの金属基材表面とその上に形成した導電性保護膜との間に熱歪みによる応力が掛かることが確認された。そのため、金属基材表面と導電性保護膜との間には、常に所定の剥離力が働くことになる。前記微粉末ジェットコーティング層は、十分な表面密着力を有しているものの、長期な運転にも耐えられるように、さらに金属基材表面への密着力を高める必要のあることが知見された。
一般的に、金属基材とその表面へ密着している膜との間に生じる熱応力による剥離力を抑止するために、金属基材の熱膨張係数と膜材料の膨張係数との中間の膨張係数を有する材料および/または双方の金属材料と化学的親和性の高い材料からなる中間層を金属基材と膜との間に形成する技術が、知られている。しかし、従来の中間層は、CVD法やPVD法等の比較的高熱な温度環境下にて、形成されるので、得られる中間層の組織において結晶成長が生じ、組織を構成する結晶粒径が大きくなる。このような中間層と前記微粉末ジェットコーティング層とを組み合わせた場合、中間層の組織の緻密度とその上に形成される前記微粉末ジェットコーティング層との緻密度とは大きく隔たったものとなる。したがって、中間層の材料として適切な膨張係数もしくは化学的親和性を持つ材料を選択しても、中間層の結晶粒径が大きなものとなるため、その上に形成する微粉末ジェットコーティング層に対して充分な熱応力緩和機能を十分には発揮し得ないことになる。
そのため、本発明者らは、金属基材上に形成する微粉末ジェットコーティング層に対して熱応力緩和を担うことのできるバッファ層を緻密に形成できる技術を探求した。その結果、前記導電性保護膜を形成する場合と同様に微粉末ジェットコーティング法により、適切な熱膨張係数もしくは化学的親和性を有する金属材料の微粉末を金属基材表面に吹き付ければ、前記導電性保護膜と同程度の緻密さのバッファ層が形成できることが確認された。
金属セパレータを構成する金属基材表面に、予め前記「微粉末ジェットコーティング層からなるバッファ層」を形成しておき、このバッファ層上に前記「微粉末ジェットコーティング層からなる導電性保護膜」を形成すれば、導電性及び耐食性に優れ、かつ密着性(耐剥離性)に優れた導電性保護膜を、金属セパレータの金属基材表面に形成することができる。
前記バッファ層とする「微粉末ジェットコーティング層」を形成するための微粉末としては、一次粒径0.1μm〜5.0μmの金属微粉末が好適である。また、同様に、前記導電性保護膜とする「微粉末ジェットコーティング層」を形成するための微粉末としては、一次粒径0.1μm〜5.0μmの微粉末が好適である。これは次の知見による。すなわち、微粉末の粒子径が0.1μm以下の場合、金属基材表面に衝突する際の衝撃力が小さいため、一次粒子の破砕が充分に進行せず、金属基材表面への密着力が弱くなり、かつ緻密に堆積しない。一方、微粉末の粒子径が5.0μm以上の場合、衝撃力が大きくなっても、粒径が大きいことにより破砕が生じにくくなる。また、5.0μm以上の粒径では、吹き付け用のノズルが詰まりやすくなるという装置上の問題も発生する。この微粉末を用いてコーティング層を形成するためには、吹きつけの粒子速度は500m/秒以上に設定する必要がある。
前記導電性及び耐食性を有する導電性保護膜を形成する材料としては、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成することが好ましい。
これに対して、前記バッファ層を形成するための微粉末の材料は、酸化鉄(Fe23またはFe34)、酸化鉄(Fe23またはFe34)と前記導電性保護膜の構成材料との混合物が好ましいことが知見された。
酸化鉄(Fe23またはFe34)と前記導電性保護膜の構成材料との混合物からバッファ層を構成する場合、金属基材側から導電性保護膜に向かって酸化鉄(Fe23またはFe34)の含有量を減少させるように組成に傾斜を持たせると、熱応力緩和特性がより向上することも知見された。
このバッファ層の膜厚としては、0.01μm〜5μmが好適であり、より好ましくは、0.1μm〜2μmである。これに対し、その上に形成する導電性保護膜の膜厚は、0.01μm〜10μmが好適である。
前記酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末と前記導電性保護膜形成用の微粉末との混合微粉末を用いて前記金属基材表面上にバッファ層を形成する場合に、前記混合微粉末中の酸化鉄(Fe23またはFe34)含有量を徐々に減少させつつキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から前記金属基材表面上に吹き付けることによって、成分分布を傾斜させたバッファ層を得ることができる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の請求項[1]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる耐剥離性に優れた導電性保護膜を有する固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータであって、前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末ジェットコーティング層からなるバッファ層が形成され、該バッファ層上に導電性保護膜が形成されていることを特徴とする
本発明の請求項[2]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、バッファ層を構成する微粉末ジェットコーティング層が一次粒径0.1μm〜5.0μmの金属微粉末を用いて得られた緻密層であることを特徴する。
本発明の請求項[3]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]または[2]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、バッファ層が酸化鉄(Fe23またはFe34)から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[4]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]または[2]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、バッファ層が酸化鉄(Fe23またはFe34)と前記導電性保護膜の構成材料との混合物から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[5]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[4]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、バッファ層の組成分布が金属基材側から導電性保護膜に向かって酸化鉄(Fe23またはFe34)の含有量が減少するものであることを特徴とする。
本発明の請求項[6]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、バッファ層の膜厚が0.01μm〜5μmであることを特徴とする。
本発明の請求項[7]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]〜[6]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、前記導電性保護膜が微粉末ジェットコーティング層から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[8]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[7]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、導電性保護膜を構成する微粉末ジェットコーティング層が一次粒径0.1μm〜5.0μmの微粉末を用いて得られた緻密層であることを特徴する。
本発明の請求項[9]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]〜[8]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、導電性保護膜が、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[10]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]〜[9]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータにおいて、導電性保護膜の膜厚が0.01μm〜10μmであることを特徴とする。
本発明の請求項[11]は、固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法にかかるもので、この製造方法は、固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる耐剥離性に優れた導電性保護膜を有する固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法であって、前記金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることによりバッファ層を形成し、前記バッファ層上に導電性保護膜を形成することを特徴とする。
本発明の請求項[12]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、バッファ層形成用の微粉末として一次粒径0.1μm〜5.0μmの金属微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[13]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]または[12]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、バッファ層形成用の微粉末として、酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[14]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]または[12]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、バッファ層形成用の微粉末として、酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末と、前記導電性保護膜形成用の微粉末との混合微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[15]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[14]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末と前記導電性保護膜形成用の微粉末との混合微粉末を用いて前記金属基材表面上にバッファ層を形成する際に、前記混合微粉末中の酸化鉄(Fe23またはFe34)含有量を徐々に減少させつつキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から前記金属基材表面上に吹き付けることを特徴とする。
本発明の請求項[16]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]〜[15]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、バッファ層の膜厚を0.01μm〜5μmとすることを特徴とする。
本発明の請求項[17]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]〜[16]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜を、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から前記バッファ層上に吹き付けることにより、形成することを特徴とする。
本発明の請求項[18]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[17]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜形成用の微粉末として一次粒径0.1μm〜5.0μmの金属微粉末を用いることを特徴する。
本発明の請求項[19]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]〜[18]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜を、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成することを特徴とする。
本発明の請求項[20]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[17]または[18]に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜形成用の金属微粉末として、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[21]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[11]〜[20]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜の膜厚を0.01μm〜10μmとすることを特徴とする。
本発明の請求項[22]は、固体高分子電解質燃料電池にかかるもので、この燃料電池は、ガス供給部を有する請求項[1]〜[10]のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用セパレータと、固体高分子膜の一方の面に酸素含有ガスが供給されるカソード側電極と、他方の面に水素含有ガスが供給されるアノード側電極とを備えた単位セルと、を積層して構成されていることを特徴とする。
本発明に係る固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法は、導電性を維持しつつ耐食性と耐剥離性に優れた導電性保護膜を金属セパレータの金属基材表面に形成することができ、それにより導電性及び耐食性に優れた金属セパレータを提供することができる。また、本発明の金属セパレータを用いることにより、電力取りだし効率が高く、高耐久性の固体高分子電解質燃料電池を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明における微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から金属セパレータの金属基材表面に吹き付けて金属基材の周縁部分(電極との接触部分)に成膜するための装置の概略図である。
真空排気が可能なステンレス製のチャンバー1内には、基板(金属セパレータの金属基材(ステンレス))2を支持する基板ホルダー3と、キャリアガスによって搬送された原料粉末をエアロゾルとして噴射するための微小孔ノズル4が設置されている。基板ホルダー3は、図示しない駆動機構によって、ノズル4に対してXY方向に所定の速度で駆動できる機構を備えている。また、ノズル4と基板ホルダー3との間隔は、図示しない機構によって、任意の距離に設定できるようになっている。
図1において、符号5は、所定の方法で調整された原料粉末を一定速度で供給できる機能を有するパウダーフィーダーである。このパウダーフィーダー5としては、エジェクターを備えた回転掻き取り方式のパウダーフィーダーが好適に用いられるが、一定時間に一定量の粉末を供給できる機能を備えていれば、この方式に限定されるものではない。パウダーフィーダー5には、圧力調整器7及びマスフローコントローラ8を介してキャリアガスボンベ6が接続されている。チャンバー1内の雰囲気は、粉塵補集用のフィルター9を介して、ロータリーポンプ10及びメカニカルブースターポンプ11によって排気されている。12は自動バルブもしくは手動バルブである。13は圧力計である。
図1を用いて本発明によるステンレス系の金属基材の周縁部分に密着度(耐剥離性)の高い導電性保護膜を成膜する手順を説明する。この説明では、バッファ層を構成する材料として酸化鉄(Fe23)を用い、導電性保護膜を形成する材料として、炭化チタン(TiC)を用いている。所定の形状の基板2を基板ホルダー3にセットする。基板2は、ステンレス系あるいはCr−Fe合金等の金属基材であり、燃料電池のセパレータとなるものである。
パウダーフィーダー5には、予め所定の方法で粒度を調整した酸化鉄(Fe23)粉末を所定量、充填しておく。充填する酸化鉄(Fe23)粉末の一次粒子径は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。本発明の方法は、ノズル4から高速で噴射された微粒子が基板2に衝突する際の衝撃力を成膜の駆動力としているため、充填する酸化鉄(Fe23)粉末の粒子径が0.1μm以下の場合、基板に衝突する際の衝撃力が小さいため、一次粒子の破砕が十分には進行せず、基板2との密着力が大きく、かつ緻密な薄膜が形成されない。一方、充填する酸化鉄(Fe23)粉末の粒子径が5μm以上の場合、成膜中にノズル4が閉塞し、成膜プロセスが停止してしまうという不具合が生じることがある。
次に、ロータリーポンプ10及びメカニカルブースターポンプ11によりチャンバー1内を真空排気する。チャンバー1内が10Pa以下の到達真空度に達したら、キャリアガスボンベ6から圧力調整器7及びマスフローコントローラ8を介して圧力及び流量を所定の値に調整したキャリアガスをパウダーフィーダー5に送り込む。
キャリアガスには、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)などの不活性ガスを用いることができる。粒子速度を大きくするためには、ヘリウム(He)がより好ましい。キャリアガス流量が定常値に達し、チャンバー1内の圧力が安定したら、パウダーフィーダー5の粉末供給機構を作動させ、キャリアガスに原料粉末を均一に分散させたエアロゾルを形成する。
このようにして形成したエアロゾルをノズル4のエアロゾル導入部に導入する。導入されたエアロゾルは、ノズル4の絞り部及び粒子加速部を順次通る際に加速され、ノズル4の先端の開口部から基板2に向かって高速で噴射される。基板2の表面に高速で衝突したエアロゾル中の酸化鉄(Fe23)粉末は破砕し、活性な新生面が露出し、その新生面に別の粒子の新生面が密着することにより、基板2上に高い密着力を有する緻密な酸化鉄(Fe23)層が形成される。この際、基板ホルダー3を図示しない駆動機構によって、XY方向に移動させることにより、基板2上の一定面積に酸化鉄(Fe23)層を形成することができる。パウダーフィーダー5からの原料粉末供給速度、基板ホルダー3の移動速度などを変化させることにより、基板2上に形成させる酸化鉄(Fe23)膜の膜厚を制御することができる。
また、図2に成膜した膜の構成を示す。この図を参照して、説明すると、基板2上に形成させるバッファ層14の膜厚は、0.01μm以上5μm以下が望ましい。さらに好ましくは、0.1μm〜2μmである。基板2上に形成させるバッファ層14の膜厚が、0.01μm以下の場合、金属部材からなる基材2とトップコート層(導電性保護膜)15との熱膨張係数の差に起因する応力を緩和する効果が小さい。一方、金属部材からなる基材2とトップコート層15との熱膨張係数の差に起因する応力を緩和する効果は、バッファ層14の膜厚5μm以上で飽和する。
以上のバッファ層成膜の過程において、基板2は特に加熱しておらず、常温に保たれている。したがって、バッファ層14内での結晶成長は助長されず、結晶粒径は微細なままに膜形成が完了する。
このようにして、基板2上にバッファ層14を形成した後、パウダーフィーダー5内の原料粉末を炭化チタン(TiC)に交換し、バッファ層14と同様の要領で、バッファ層14上にトップコート層15を形成する。炭化チタン(TiC)原料粉末の一次粒径は、酸化鉄(Fe23)と同様の理由から0.1μm以上5μm以下が望ましい。また、トップコート層15である炭化チタン(TiC)の膜厚は、0.01μm以上10μm以下が望ましい。基板2上に形成させる炭化チタン(TiC)の膜厚が、0.01μm以下の場合、電極との接触抵抗低減効果が低下する。一方、基板2上に形成させる炭化チタン(TiC)の膜厚が、10μm以上の場合、薄膜内の内部応力が大きくなり、炭化チタン(TiC)が基板2から剥離しやすくなる。以上のトップコート層の成膜の過程において、基板2は特に加熱しておらず、常温に保たれている。
以下、本発明の実施例を説明する。以下に示す実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
Cr−Fe合金基板上に、バッファ層として酸化鉄(Fe23)、トップコート層(導電性保護膜)として炭化チタン(TiC)を成膜した。ここで、図2に、成膜した膜の構成を示す概略図を示す。本実施例では、図中の符号2は、Cr−Fe合金からなる基板、14は酸化鉄(Fe23)からなるバッファ層、15は炭化チタン(TiC)からなるトップコート層である。
バッファ層14の原料粉末には、JFEケミカル(株)製の酸化鉄(Fe23)粉末を、トップコート層15の原料粉末には、日本新金属(株)製の炭化チタン(TiC)粉末を用いた。使用した酸化鉄(Fe23)及び炭化チタン(TiC)の平均一次粒径をFE−SEMで確認したところ、それぞれ0.5μm及び1.8μmであった。成膜には、キャリアガスとしてヘリウム(He)を用いた。ノズル4先端と基板2との距離は50mmに設定した。ノズル4の開口サイズは、0.5×5mmとした。
まず、パウダーフィーダー5に酸化鉄(Fe23)粉末を充填し、成膜した。成膜条件は、ノズル4-基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度1.2g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒とした。ヘリウム流量は、15リットル/分に設定した。この条件で、基板2上にバッファ層14として膜厚0.5μmの酸化鉄(Fe23)層を形成した。
次に、パウダーフィーダー5内の原料粉末を炭化チタン粉末(TiC)に交換し、バッファ層14上にトップコート層15を形成した。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度1.8g/分、基板2の移動速度0.1mm/秒とした。ヘリウム流量は、15リットル/分に設定した。その結果、バッファ層14上にトップコート層15として膜厚1.2μmの炭化チタン層が形成された。
(比較例1)
基板2上にバッファ層14を挿入せずに、トップコート層15として炭化チタン層のみを成膜した。トップコート層15の成膜条件及び膜厚は、実施例1と同様である。
以上のようにして作製した実施例1及び比較例1について、室温と100℃との間で熱サイクル試験を実施した結果、バッファ層14を設けた実施例1では、トップコート層15の剥離は全く認められなかったのに対し、バッファ層14を挿入せずに、トップコート層15として炭化チタン層のみを成膜した比較例1では、トップコート層15の一部に剥離が認められた。
(実施例2)
Cr−Fe合金基板上に、バッファ層として酸化鉄(Fe23)とホウ化ジルコニウム(ZrB2)の混合層、トップコート層としてホウ化ジルコニウム(ZrB2)を成膜した。成膜した膜の構成は、図2と同様である。本実施例では、図中の符号2は、Cr−Fe合金からなる基板、14は酸化鉄(Fe23)とホウ化ジルコニウム(ZrB2)の混合材料からなるバッファ層、15はホウ化ジルコニウム(ZrB2)からなるトップコート層である。
バッファ層14の原料粉末には、JFEケミカル(株)製の酸化鉄(Fe23)粉末及び日本新金属(株)製のホウ化ジルコニウム(ZrB2)粉末を用い、トップコート層15の原料粉末には、日本新金属(株)製のホウ化ジルコニウム(ZrB2)粉末を用いた。使用した酸化鉄(Fe23)及びホウ化ジルコニウムの平均一次粒径をFE−SEMで確認したところ、それぞれ0.5μm及び1.9μmであった。成膜には、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。ノズル4先端と基板2との距離は50mmに設定した。ノズル4の開口サイズは、0.5×5mmとした。
まず、酸化鉄(Fe23)粉末及びホウ化ジルコニウム粉末、各80gを秤量し、ボールミル法により5時間、湿式混合した。混合後、溶媒のアルコールを乾燥させた。このようにして準備した酸化鉄(Fe23)粉末及びホウ化ジルコニウム粉末の混合粉末をパウダーフィーダー5に充填し、成膜した。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度1.0g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒に設定した。ヘリウム流量は、15リットル/分に設定した。この条件で、基板2上にバッファ層14として膜厚0.6μmの膜を形成した。形成したバッファ層14の組成をEPMAで分析した結果、酸化鉄(Fe23)及びホウ化ジルコニウムの混合層であることを確認した。
次に、パウダーフィーダー5内の原料粉末をホウ化ジルコニウム粉末に交換し、バッファ層14上にトップコート層(導電性保護膜)15を形成した。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度2.0g/分、基板2の移動速度0.12mm/秒とした。ヘリウム流量は、15リットル/分に設定した。その結果、バッファ層14上にトップコート層15として膜厚1.5μmのホウ化ジルコニウム層が形成された。
(比較例2)
基板2上にバッファ層14を挿入せずに、トップコート層15としてホウ化ジルコニウム層のみを成膜した。トップコート層15の成膜条件及び膜厚は、実施例2と同様である。
以上のようにして作製した実施例2及び比較例2について、室温と100℃との間で熱サイクル試験を実施した結果、バッファ層14を設けた実施例1では、トップコート層15の剥離は全く認められなかったのに対し、バッファ層14を挿入せずに、トップコート層15としてホウ化ジルコニウム層のみを成膜した比較例2では、トップコート層15の一部に剥離が認められた。
(実施例3)
Cr−Fe合金基板上に、バッファ層として酸化鉄(Fe23)とホウ化ジルコニウムの混合層、トップコート層としてホウ化ジルコニウムを成膜した。成膜した膜の構成は、図2と同様である。本実施例では、図中の符号2は、Cr−Fe合金からなる基板、14は酸化鉄(Fe23)とホウ化ジルコニウムの混合材料からなるバッファ層であり、バッファ層14は基板2からトップコート層15に向かうにつれて、ホウ化ジルコニウムの割合が多くなるような組成分布を有している。15はホウ化ジルコニウムからなるトップコート層である。
図3にバッファ層14の成膜に用いた装置の概略図を示す。基本的な装置構成は、図1と同様であるが、キャリアガスの圧力計12以降を2系統に分岐し、マスフローコントローラ8、パウダーフィーダー5及びノズル4を各々、2系統設けた点が異なる。
バッファ層14の原料粉末には、JFEケミカル(株)製の酸化鉄(Fe23)粉末と日本新金属(株)製のホウ化ジルコニウム粉末を、トップコート層15の原料粉末には、日本新金属(株)製のホウ化ジルコニウム粉末を用いた。使用した酸化鉄(Fe23)及びホウ化ジルコニウムの平均一次粒径をFE−SEMで確認したところ、それぞれ0.5μm及び1.9μmであった。成膜には、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。ノズル4先端と基板2との距離は50mmに設定した。ノズル4の開口サイズは、0.5×5mmとした。
まず、酸化鉄(Fe23)粉末及びホウ化ジルコニウム粉末、各80gを秤量し、各々の原料粉末を別のパウダーフィーダー5に充填した。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、酸化鉄(Fe23)粉末の粉末供給速度1.5g/分から0.5g/分まで変化させた。同時に、ホウ化ジルコニウム粉末の粉末供給速度0.3g/分から2.0g/分まで変化させた。基板2移動速度0.8mm/秒に設定した。ヘリウム流量は、15リットル/分に設定した。この条件で、基板2上にバッファ層14として膜厚0.6μmの膜を形成した。形成したバッファ層14の組成をEPMAで分析した結果、図4にその組成分布を示すように、バッファ層14は基板2からトップコート層15に向かうにつれて、ホウ化ジルコニウムの割合が多くなるような組成分布を有していることを確認した。なお、このバッファ層における導電性保護膜構成材料の組成分布は、連続的に細かく変化させればさせる程、より熱応力緩和性能が向上することになる。本発明において良好な熱応力緩和性能を得るためには、バッファ層の組成分布としては、図4に示されているように20重量%〜80重量%が好ましい。さらに好ましい組成分布の範囲としては、前述の熱応力緩和性能向上の観点から、10重量%〜90重量%である。
次に、パウダーフィーダー5内のうち、酸化鉄(Fe23)粉末の供給を停止し、原料粉末をホウ化ジルコニウム粉末のみを供給し、バッファ層14上にトップコート層15を形成した。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度2.0g/分、基板2の移動速度0.12mm/秒とした。ヘリウム流量は、15リットル/分に設定した。その結果、バッファ層14上にトップコート層15として膜厚1.5μmのホウ化ジルコニウム層が形成された。
(比較例3)
基板2上にバッファ層14を挿入せずに、トップコート層15としてホウ化ジルコニウム層のみを成膜した。トップコート層15の成膜条件及び膜厚は、実施例3と同様である。
以上のようにして作製した実施例3及び比較例3について、室温と100℃との間で熱サイクル試験を実施した結果、バッファ層14を設けた実施例1では、トップコート層15の剥離は全く認められなかったのに対し、バッファ層14を挿入せずに、トップコート層15としてホウ化ジルコニウム層のみを成膜した比較例3では、トップコート層15の一部に剥離が認められた。
本発明の金属セパレータは、燃料電池の単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末によるバッファ層が形成され、該バッファ層上に導電性保護膜が形成されているので、腐食環境下においても、電極との接触部分において良好な接触抵抗を維持することができる。さらに本発明では、上記の導電性保護膜を成膜する前に、微粉末を用いてバッファ層を形成し、このバッファ層上に導電性保護膜を形成しているため、セパレータ基板と導電性保護膜との間に緻密な熱応力緩和層が存在することになり、導電性保護膜の密着力(耐剥離性)が向上され、その結果、固体高分子電解質燃料電池の高性能化及び長寿命化に貢献できる。
本発明に係る金属セパレータの金属基材の周縁部に導電性保護膜を成膜するための装置の概略構成図である。 本発明に係る金属セパレータの要部の断面構成図である。 本発明に係る金属セパレータの金属基材の周縁部に形成するバッファ層が酸化鉄と導電性保護膜を構成する金属材料との混合物である場合に用いられる成膜装置の概略構成図である。 本発明の実施例3において得られた金属セパレータのバッファ層の組成分布を示す図である。 固体高分子電解質燃料電池の単位セルの構造を示す分解斜視図である。 微粒子ジェットコーティング層のSEM写真による表面組織図である。
符号の説明
1 チャンバー
2 基板(セパレータの金属基材)
3 基板ホルダー
4 ノズル
5 パウダーフィーダー
6 キャリアガスボンベ
7 圧力調整器
8 マスフローコントローラ
9 フィルター
10 ロータリーポンプ
11 メカニカルブースターポンプ
12 バルブ
13 圧力計
14 バッファ層
15 トップコート層(導電性保護膜)
21 固体高分子膜
22 酸素極
23 水素極
24 燃料電池用セパレータ
24a 燃料電池用セパレータの一方の側面
24b 燃料電池用セパレータの他方の側面
25 燃料ガス用溝
26 酸化剤ガス用溝
27a 燃料ガス供給穴(ガス供給部)
27b 燃料ガス排出穴
28a 酸化剤ガス供給穴(ガス供給部)
28b 酸化剤ガス排出穴

Claims (22)

  1. 固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる耐剥離性に優れた導電性保護膜を有する固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータであって、
    前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末ジェットコーティング層からなるバッファ層が形成され、該バッファ層上に導電性保護膜が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  2. 前記バッファ層を構成する微粉末ジェットコーティング層が一次粒径0.1μm〜5.0μmの金属微粉末を用いて得られた緻密層であることを特徴する請求項1に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  3. 前記バッファ層が酸化鉄(Fe23またはFe34)から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  4. 前記バッファ層が酸化鉄(Fe23またはFe34)と前記導電性保護膜の構成材料との混合物から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  5. 前記バッファ層の組成分布が金属基材側から導電性保護膜に向かって酸化鉄(Fe23またはFe34)の含有量が減少するものであることを特徴とする請求項4に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  6. 前記バッファ層の膜厚が0.01μm〜5μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  7. 前記導電性保護膜が微粉末ジェットコーティング層から構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  8. 前記導電性保護膜を構成する金属微粉末ジェットコーティング層が一次粒径0.1μm〜5.0μmの金属微粉末を用いて得られた緻密層であることを特徴する請求項7に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  9. 前記導電性保護膜が、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  10. 前記導電性保護膜の膜厚が0.01μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
  11. 固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる耐剥離性に優れた導電性保護膜を有する固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法であって、
    前記金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることによりバッファ層を形成し、
    前記バッファ層上に導電性保護膜を形成することを特徴とする固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  12. 前記バッファ層形成用の微粉末として一次粒径0.3μm〜5.0μmの微粉末を用いることを特徴する請求項11に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  13. 前記バッファ層形成用の微粉末として、酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末を用いることを特徴とする請求項11または12に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  14. 前記バッファ層形成用の微粉末として、酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末と、前記導電性保護膜形成用の微粉末との混合微粉末を用いることを特徴とする請求項11または12に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  15. 前記酸化鉄(Fe23またはFe34)微粉末と前記導電性保護膜形成用の金属微粉末との混合微粉末を用いて前記金属基材表面上にバッファ層を形成する際に、前記混合微粉末中の酸化鉄(Fe23またはFe34)含有量を徐々に減少させつつキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から前記金属基材表面上に吹き付けることを特徴とする請求項14に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  16. 前記バッファ層の膜厚を0.01μm〜5μmとすることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  17. 前記導電性保護膜を、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から前記バッファ層上に吹き付けることにより、形成することを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  18. 前記導電性保護膜形成用の微粉末として一次粒径0.1μm〜5.0μmの微粉末を用いることを特徴する請求項17に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  19. 前記導電性保護膜を、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成することを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  20. 前記導電性保護膜形成用の金属微粉末として、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることを特徴とする請求項17または18に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  21. 前記導電性保護膜の膜厚を0.01μm〜10μmとすることを特徴とする請求項11〜20のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  22. ガス供給部を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用セパレータと、
    固体高分子膜の一方の面に酸素含有ガスが供給されるカソード側電極と、他方の面に水素含有ガスが供給されるアノード側電極とを備えた単位セルと、
    を積層して構成されている固体高分子電解質燃料電池。
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