JP2006189232A - ヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプ - Google Patents

ヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプ Download PDF

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Abstract

【課題】 マイナス角度状態で使用しても、優れた冷却性能を有する、また、ウィック等の別部材を使用せずに製造することが可能なヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプを提供する。
【解決手段】 管内に作動液を封入してヒートパイプとして用いる伝熱管であって、伝熱管の内周面に多数形成された第1フィン3と、第1フィン3の間に少なくとも1つ形成され、第1フィン3よりも高さの低い第2フィン4と、第2フィン4の斜面4bに形成された突状部5とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプに係り、特に、電子機器のCPU(中央演算装置)冷却用として使用されるヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプに関する。
近年の電子機器は、パーソナルコンピュータ、特にノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノート型パソコンと称する。)に代表されるように、CPUの高性能化に伴い、CPUの発熱量が増大している。CPUは、発熱によって高温になると演算処理能力が低下するなどの不具合が出るため、これを冷却するための冷却装置を備えている。
なお、ノート型パソコンに備えられる冷却装置は、設置スペースとの関係から、できるだけ小型化することが望まれており、図8(a)に例示するような構成の冷却装置100が広く用いられている。かかる冷却装置100は、主にヒートパイプ101と、放熱板103と、小型ファン102とから構成されている。前記ヒートパイプ101は、微細な溝が形成されたパイプの内部に一定量の作動液を減圧封入したものであって、一端をCPU104などの発熱体に接触させてその熱を吸収し、他端を小型ファン102等によって冷却することで吸収した熱を発散している。
すなわち、図7に示すように、ヒートパイプ10の発熱体との接触部分(加熱部(蒸発部12))において、ヒートパイプ10の内部に封入された作動液8が加熱されて気化し、蒸気となることで発熱体の熱を吸収する。そして、気化した作動液8はヒートパイプ10の他端の放熱する部分(放熱部(凝縮部11))で冷却されて凝縮し、再び作動液8となる。凝縮部11で液体に戻った作動液8には、ヒートパイプ10内に形成された溝によって、毛細管力が発生する。そして、この毛細管力によって、作動液8が蒸発部12に還流する。このように、ヒートパイプ10は、密閉されたヒートパイプ10内で作動液8の蒸発と凝縮を繰り返し、これが還流することで蒸発部12から凝縮部11への連続的な熱輸送を行うことができるものである。
今後、CPU等をさらに高性能とするためにも、より冷却性能の優れたヒートパイプ10の開発が切望されている。なお、冷却性能は、熱伝達率や最大熱輸送量を指標として表すことができる。熱伝達率とは、いかに早く熱を蒸発部12から凝縮部11に伝えられるかを表すものであり、最大熱輸送量とは、蒸発部12の温度が上昇したときに何ワット(W)までの熱量を伝えられるかを表す指標である。
かかる要望のもと、例えば、特許文献1には、金属製の細管の内面に長さ方向に連続する微細なフィンを多数形成した自励振動型ヒートパイプ用伝熱管(特許文献1では自励振動型ヒートパイプと記載されている)が提案されている。また、フィン高さと管内径との比(フィン高さ/管内径)が0.01〜0.35、かつ、フィン数と管内径との比(フィン数/管内径)が3〜25であること、または、フィンの管軸に対するフィンリード角が0〜20°であることが好ましい旨が記載されている。さらに、前記構造の自励振動型ヒートパイプ用伝熱管によれば、フィン相互間に発生する毛細管力によって管内面を濡らし、安定した熱輸送性能(本発明でいうところ最大熱輸送量に相当)を維持することができる旨が記載されている。
また、特許文献2には、ヒートパイプ用伝熱管ではないが、管内面に形成されたフィンに特徴を持った熱交換器に適用される内面溝付伝熱管が提案されている。特許文献2の内面溝付伝熱管は、管本体の内面に所定の高さの高フィンを螺旋状に形成し、前記高フィンの間に前記高フィンよりも高さの低い1つあるいは複数の低フィンを形成したもので、前記低フィンは、高さが前記高フィンの高さの1/15〜1/5である。また、前記高フィンの高さが0.1〜0.3mm、または、高フィンの管軸に対するねじれ角(前記フィンリード角に相当)が15〜35°であることが好ましい旨が記載されている。そして、前記内面溝付伝熱管によれば、凝縮熱伝達率と蒸発熱伝達率をバランス良く向上させ、また、管内の圧力損失や伝熱管の質量を増加させることなく、伝熱性能を向上させることができる旨が記載されている。
さらに、特許文献3には、管内面にフィンを加工する代わりに、管内面にウィックを取り付けたヒートパイプ用伝熱管が提案されている。特許文献3のヒートパイプ用伝熱管(特許文献3では細径ヒートパイプと記載されている)は、管(特許文献3ではパイプと記載されている)の長手方向に直交する断面において、管内面の片側または両側へ位置する状態に、長手方向に連続するウィックを設けたものである。このヒートパイプ用伝熱管においては、ウィックを管内部に分散させずにより集中して配置することができる構造であるので、ウィック相互間に毛細管力がより効率よく発生し、最大熱輸送量が増大する旨が記載されている。また、ウィックとしては、銅、銀、鉄、ステンレス、ガラス等からなるワイヤ、メッシュ、焼結金属多孔材等が例示されている。
特開2003−302180号公報(段落0004〜0006、0024〜0026) 特開2002−350080号公報(段落0001、0009〜0011、0022) 特開平2−133795号公報(第2頁左上欄19行〜右上欄20行、第3頁左下欄4行〜10行)
ヒートパイプは、図7に示すように、ヒートパイプ10の蒸発部12と凝縮部11が同じ高さに保たれた、すなわち、水平状態で使用されることが望ましい。しかし、図8(a)に示すようなヒートパイプ101(10)が組み込まれるノート型パソコン等は、その構成、使用状態によって、図8(b)に示すように、蒸発部12が凝縮部11より高い位置になる、すなわち、ヒートパイプ101(10)が水平方向からマイナス方向に角度βだけ傾いたマイナス角度状態で使用されることがある。
このようにヒートパイプ10がマイナス角度状態で使用された場合には、ヒートパイプ10として特許文献1のヒートパイプ用伝熱管を使用すると、管内部に形成されたフィン相互間に発生する毛細管力が、作動液8を凝縮部11より高い位置にある蒸発部12へ戻すほど、高くないため、蒸発部12への作動液8の液戻りが悪くなり(遅くなり)、冷却性能が低下するという問題があった。また、管内面に形成されるフィンの形状として、特許文献2に記載されているフィン形状を適用することも検討されたが、ヒートパイプの凝縮熱伝達率と蒸発熱伝達率のバランスは向上できたが、フィン相互間に発生する毛細管力の向上は見られず、前記特許文献1のヒートパイプ用伝熱管と同様に、作動液8の液戻りが悪く、冷却性能が低下した。
また、ヒートパイプ10として特許文献3のヒートパイプ用伝熱管を使用すると、ウィック相互間に発生する毛細管力が、フィン相互間に発生する毛細管力に比べて高いため、特許文献1および特許文献2に比べて作動液8の液戻りは速くなるが、液戻り速度は、ヒートパイプの液戻り速度として満足できるレベルではなく、冷却性能も十分とは言えなかった。そして、特許文献3のヒートパイプ用伝熱管においては、管内面にウィックを設ける作業は、特許文献1および特許文献2のように管内面にフィンを形成させる作業に比べ、煩雑で作業コストが高くなると共に、管以外にウィックを形成する材料が必要となり、材料コストが高くなる。したがって、ヒートパイプ用伝熱管の製造コストが高くなるという問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、マイナス角度状態で使用しても、優れた冷却性能を有する、また、ウィック等の別部材を使用せずに製造することが可能なヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプを提供することを目的とする。
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、管内に作動液を封入してヒートパイプとして用いる伝熱管であって、前記伝熱管の内周面に多数形成された第1フィンと、前記第1フィンの間に少なくとも1つ形成され、前記第1フィンよりも高さの低い第2フィンと、前記第2フィンの斜面に形成された突状部とを備えるヒートパイプ用伝熱管として構成したものである。前記の構成によれば、第1フィンの間に第2フィンを形成することによって、溝部の溝底幅が小さくなり、溝部に凝縮する作動液の毛細管力が高くなり、液戻りが早くなる。また、第2フィンの斜面を加工することで突状部が形成されることによって、突状部と溝底部との間に幅の狭い溝部が形成され、この溝部にも作動液が凝縮し、作動液の毛細管力が高くなり、液戻りが早くなる。さらに、従来のヒートパイプ用伝熱管のようにウィック等を管内面に取り付けることなく、管内面に加工された第1および第2フィンによって、作動液の毛細管力を高め、液戻りを早めることができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記伝熱管の管軸直交断面において、前記第2フィンの根元に形成された第2フィン根元半径raが0mmを超え0.04mm未満であるヒートパイプ用伝熱管として構成したものである。前記の構成によれば、前記第2フィン根元半径raをできるだけ小さくすることによって、前記第2フィンの斜面に形成される前記突状部の長さおよび量が増大し、突状部と溝底部との間に凝縮する作動液の量も増大する。それにより、作動液の毛細管力がより一層高くなり、液戻りが早くなる。
また、請求項3に記載の発明は、前記伝熱管の管軸平行断面において、前記第1フィンと管軸とがなす第1フィンリード角θ1が0°以上30°以下であり、かつ、前記第2フィンと管軸とがなす第2フィンリード角θ2が前記第1フィンリード角θ1と同一であるヒートパイプ用伝熱管として構成したものである。前記の構成によれば、第1フィンリード角θ1および第2フィンリード角θ2をできるだけ低い角度に規定することによって、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部との間の距離が短くなり、凝縮部から蒸発部への作動液の戻りが早くなる。なお、第1フィンリード角θ1および第2フィンリード角θ2が0°とは、第1フィンおよび第2フィンが管軸に対して平行であることを示している。
また、請求項4に記載の発明は、前記伝熱管の管軸直交断面において、前記第1フィンの両斜面のなす第1フィン山頂角δ1が5°以上30°以下であり、かつ、前記第2フィンの両斜面のなす第2フィン山頂角δ2が5°以上30°以下であるヒートパイプ用伝熱管として構成したものである。前記の構成によれば、第1フィン山頂角δ1および第2フィン山頂角δ2を適切な範囲に規定して、第1フィンおよび第2フィンの斜面を伝熱管の溝底部に対してできるだけ垂直に形成することで、溝部に凝縮する作動液の毛細管力がより一層高くなり、液戻りが早くなる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のヒートパイプ用伝熱管を用い、前記ヒートパイプ用伝熱管の内部に作動液を減圧封入したヒートパイプとして構成したものである。前記の構成によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のヒートパイプ用伝熱管を用いてヒートパイプを作製するので、ヒートパイプ内の作動液の毛細管力が高くなり、液戻りが早くなる。
また、請求項6に記載の発明は、前記ヒートパイプ用伝熱管は、その管軸方向に直交する断面の形状が楕円形または半円形であるヒートパイプとして構成したものである。前記の構成によれば、ヒートパイプ用伝熱管の断面形状を所定形状にすることによって、放熱体(例えば放熱板)および発熱体(例えばCPU)との当接面積が大きくなり、放熱による作動液の凝縮効率が高くなると共に、発熱(加熱)による作動液の蒸発効率が高くなり、液戻りが早くなる。
さらに、請求項7に記載の発明は、前記作動液が水であるヒートパイプとして構成したものである。前記の構成によれば、作動液として表面張力が大きな水を使用することによって、作動液の毛細管力がより一層高くなり、液戻りが早くなる。
請求項1ないし請求項4に記載の発明によれば、マイナス角度状態で使用しても、作動液の液戻りが早いため、冷却性能、すなわち、熱伝達率や最大熱輸送量に優れると共に、ウィック等の別部材を使用しないため、製造コストの安いヒートパイプ用伝熱管を提供することができる。なお、第2フィンのフィン根元半径ra、第1および第2フィンのフィンリード角θ1、θ2、第1および第2フィンのフィン山頂角δ1、δ2を所定範囲にすることによって、冷却性能がより一層優れたヒートパイプ用伝熱管を提供することができる。
請求項5ないし請求項7に記載の発明によれば、マイナス角度状態で使用しても、作動液の液戻りが早いため、冷却性能、すなわち、熱伝達率や最大熱輸送量に優れると共に、ウィック等の別部材を使用しないため、製造コストの安いヒートパイプを提供することができる。なお、ヒートパイプ用伝熱管の断面形状を所定形状にする、または、作動液が水であることによって、冷却性能がより一層優れたヒートパイプを提供することができる。
以下、適宜図面を参照して本発明に係るヒートパイプ用伝熱管およびヒートパイプを実施するための最良の形態について具体的に説明する。
参照する図面において、図1(a)はヒートパイプ用伝熱管の管軸方向における部分断面図(なお、第1フィンおよび第2フィンは簡略化して線で示した。)、(b)は管軸直交方向における部分断面図、図2(a)〜(c)は第2フィンの他の形態を示す要部拡大斜視図、図3(a)〜(d)は突状部の他の形態を模式的に示す斜視図、図4は転造加工前の素管および溝付プラグの部分断面図、図5(a)、(b)はヒートパイプ用伝熱管の他の形態を示す部分断面図、図6(a)は溝部に形成される作動液のメニスカスの形成状況を示す説明図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
また、図7はヒートパイプの内部の作用を説明するための説明図、図8(a)、(b)はヒートパイプの使用形態の一例を示す模式図である。
<ヒートパイプ用伝熱管>
本発明に係るヒートパイプ用伝熱管は、管内に作動液を封入してヒートパイプとして用いる伝熱管であって、その管軸直交断面は略円形、好ましくは後記するように、ヒートパイプの冷却効率を考慮して楕円形または半円形となるよう構成されている。そして、管外径(楕円形にあっては長径)は4〜8mmである。
ヒートパイプ用伝熱管は、銅および銅合金、その中でも無酸素銅、低リン脱酸銅、リン脱酸銅を好適に用いることができる。具体的には、無酸素銅JIS H3300 C1020を好適に用いることができる。また、これらの銅や銅合金を軟質材あるいは硬質材に調質して用いるのがさらに好ましい。さらに、伝熱性の良い金属として、銅の他にもアルミニウムなども好適に用いることができる。
ヒートパイプ用伝熱管の作製方法については後記するが、ヒートパイプ用伝熱管を作製するための、転造前の素管の寸法としては、その外径が8〜13mmのものを用いると好適である。素管の外径が8mm未満であると、ヒートパイプ用伝熱管を作製した場合に形成される後記第1および第2フィンが小さくなるために、フィン加工の際に工具が欠損するなどの理由で量産が困難となりやすい。また、素管の外径が13mmを超えると、作製されるヒートパイプ用伝熱管が大きくなり、省スペース化を目的としたヒートパイプを作製しにくくなる。
ヒートパイプ用伝熱管を作製するための、転造前の素管の底肉厚は、0.25mm〜0.60mmとするのが好ましい。素管の底肉厚が0.25mm未満であると、ヒートパイプ用伝熱管を作製した場合に、素管の破断等が発生しやすく、素管内周面にフィンを加工することが困難となりやすい。また、素管の底肉厚が0.60mmを超えると、フィン加工性の効率が悪くなりやすく、冷却性能も低下しやすい。
図1(a)、(b)に示すように、ヒートパイプ用伝熱管1は、第1フィン3と、第2フィン4と、突状部5とを備える。以下、各構成について説明する。
(第1フィン)
第1フィン3は、ヒートパイプ用伝熱管1の内周面に多数形成され、その数は、フィン加工のしやすさ、冷却性能を考慮して適宜設定する。また、第1フィン3は、山頂曲線部3aと、これに滑らかにつながる斜面3bとから構成され、この斜面3bとヒートパイプ用伝熱管1の内周面の一部を構成する平らな(内周曲率曲面)溝底部2aとが任意の第1フィン根元半径Raで滑らかにつながるように形成される。また、溝底部2aなしに、任意の第1フィン根元半径Raと、後記する第2フィン根元半径raとが滑らかにつながって、内周面を構成してもよい。そして、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸直交断面において、第1フィン根元半径Raは0.04〜0.12mmが好ましい。第1フィン根元半径Raが0.04mm未満の場合には、管内周面に第1フィンを加工しにくく、管の破断、工具(溝付プラグ)の欠損が生じやすくなる。また、第1フィン根元半径Raが0.12mmを超える場合には、第1フィン3が大きくなり、ヒートパイプ用伝熱管1の重量が重くなりやすい。
また、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸平行断面において、第1フィン3と管軸とがなす第1フィンリード角θ1は、0°以上30°以下であることが好ましく、0°以上10°以下がより好ましく、0°以上5°以下が最適である。図1(a)に示すように、第1フィンリード角θ1を低い角度で形成することで管軸方向に平行に近くなるように第1フィン3が形成されるため、図7に示すヒートパイプ10を作製した際、ヒートパイプ10において作動液8の流路となる溝部2(図1(b)参照)の長さ、すなわち、凝縮部11から蒸発部12までの溝部2の長さを短くすることができる。その結果、凝縮した作動液8の戻りを早くすることが可能となり、冷却性能を向上することができる。
なお、第1フィンリード角θ1が0°は、第1フィン3が管軸に対して平行に形成されていることを意味し、第1フィンリード角θ1が0°を超える角度は、第1フィン3が管軸に対して螺旋状に形成されていることを意味する。第1フィンリード角θ1が30°を超える場合には、ヒートパイプ10における凝縮部11から蒸発部12までの溝部2の長さが長くなり、作動液8の戻りが遅くなりやすい。
また、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸直交断面において、第1フィン3の両斜面3b、3bのなす第1フィン山頂角δ1が5°以上30°以下となるように形成するのが好ましい。第1フィン山頂角δ1は、斜面3bと溝底部2aとの角度を規定するものでもあり、前記斜面3bが垂直に近い程(第1フィン山頂角δ1が小さい程)、後記するメニスカスを形成する角度αが大きくなり、斜面3bと溝底部2aとで形成される溝部2に凝縮した作動液8の毛細管力が高くなる(図6(a)、(b)参照)。その結果、ヒートパイプ10が、例えばノート型パソコンに取り付けられて使用される際、図8(b)に示すように、ノート型パソコンの姿勢が斜めになり、ヒートパイプ10がマイナス角度状態になっても、作動液の高い毛細管力によって、凝縮部11から蒸発部12への作動液の戻りの速度の低下が最小限となる。
これは、図6(a)、(b)に示すように、フィンの斜面と作動液8で形成されるメニスカスを観察することでも容易に確認することができる(図6(b)では第2フィン4の斜面の場合を記載したが、第1フィン3の斜面3bでも同様である。)。なお、毛細管力ΔPは、ΔP=(2σ・cosα)/wで求めることができる。ΔPの式において、σは
表面張力、wは溝底幅、αはメニスカスの角度を表す。したがって、第1フィン山頂角δ1が30°より大きくなると作動液8に働く毛細管力が低くなり(メニスカスを形成する角度αが小さくなる)、冷却性能が低下しやすい。一方、第1フィン山頂角δ1が5°未満であると第1フィン3の成形性が悪化して量産が困難となりやすい。
また、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸直交断面において、第1フィン3の第1フィン高さHaは0.15〜0.35mmが好ましい。第1フィン高さHaが0.15mm未満であると第1フィン3(溝部2)の相対量が不足し、ヒートパイプ10(図8(a)のノート型パソコンの模式図におけるヒートパイプ101に相当)とした際に、冷却性能が低下しやすい。一方、第1フィン高さHaが0.35mmを超えると、成形する第1フィン3が高くなり過ぎて、第1フィン3の成形性の悪化や工具の欠損等が生じ易いために、ヒートパイプ用伝熱管1の製造が困難となりやすい。
(第2フィン)
第2フィン4は、第1フィン3、3の間に少なくとも1つ形成されるもので、第2フィン4の数は特に限定されない。図5(a)には、第1フィン3間に複数の第2フィン4を形成したヒートパイプ用伝熱管1a、図5(b)には、第1フィン3間に1つの第2フィン4を形成したヒートパイプ用伝熱管1bを記載した。
第2フィン4は、前記第1フィン3と同様に、山頂曲線部4aと、これに滑らかにつながる斜面4bとから構成され、この斜面4bとヒートパイプ用伝熱管1の内周面の一部を構成する平らな(内周曲率曲面)溝底部2aとが任意の第2フィン根元半径raで滑らかにつながるように形成される。そして、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸直交断面において、第2フィン根元半径raは0mmを超え0.04mm以下が好ましい。第2フィン根元半径raが0mmの場合には、管内周面に第1フィンを加工しにくく、管の破断が生じやすくなる。また、第2フィン根元半径raが0.04mmを超える場合には、後記する突状部5の形成が不十分となりやすい。その結果、作動液の毛細管力が高くならず、液戻りが早くなりにくい。
また、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸平行断面において、第2フィン4と管軸とがなす第2フィンリード角θ2は、第2フィン4の加工がしやすい点で、前記第1フィンリード角θ1と同一であることが好ましい。また、ヒートパイプ用伝熱管1の管軸直交断面において、第2フィン4の両斜面4b、4bのなす第2フィン山頂角δ2は、前記第1フィン山頂角δ1と同様な理由で、5°以上30°以下となるように形成するのが好ましく、第2フィン4の加工がしやすい点で、前記第1フィン山頂角δ1と同一とすることがより好ましい。また、第2フィン4は、前記第1フィン3よりも高さの低いもので、その高さ(第2フィン高さ)haは、前記第1フィン高さHaの1/3以下が好ましい。第2フィン高さhaが1/3よりも高いと、突状部5の形成が不十分となりやすい。なお、突状部5の構成は後記する。
(溝底幅)
図1(b)、図5(b)に示すように、前記第1フィン3および第2フィン4の形成により、第1フィン3と第2フィン4との間に溝部2が形成される。また、図5(a)に示すように、第1フィン3の間に第2フィン4が複数形成される場合には、第1フィン3と第2フィン4との間に溝部2が形成されると共に、第2フィン4相互間にも溝部2が形成される。この溝部2(溝底部2a)の溝底幅w、w’は、ヒートパイプ用伝熱管1の最大内径Dの0.02倍以上0.05倍以下となるように設定するのが好ましい。すなわち、0.02≦(溝底幅w、w’/最大内径D)≦0.05となるように設定するのが好ましい。なお、最大内径Dは管軸直交断面において180°対向する溝底部2a間の距離である。また、第1フィン3と第2フィン4との間の溝底幅wと、第2フィン4相互間の溝底幅w’とは同一幅であることが好ましいが、異なる幅に設定してもよい。
溝底幅w、w’が最大内径Dの0.02倍未満であると、溝底幅w、w’が狭過ぎるために、第1フィン3および第2フィン4を形成するための工具に欠損等が生じやすく、ヒートパイプ用伝熱管1を量産しにくくなる。一方、溝底幅w、w’が最大内径Dの0.05倍を超えると、第1フィン3と第2フィン4との間の溝部2、および、第2フィン4相互間の溝部2に凝縮する作動液8に働く毛細管力ΔP(図6参照)が低くなり、冷却性能
が低下する。
(突状部)
図1(b)、図2(a)〜(c)に示すように、突状部5は、第2フィン4、4’、4’’の少なくとも片側の斜面4b、4b’、4b’’に、少なくとも1つ形成される。そして、突状部5の少なくとも一部は、第2フィン4の斜面4b、4b’、4b’’に金属的に線接続または面接続している。また、突状部5の形状は、針状または箔状を有することが好ましいが、本発明においては特に限定されない。図3(a)〜(d)に突状部5の代表的な一例を模式的に記載する。図3(a)、(b)が針状の突状部5a、5bの例であり、突状部5aは円錐形状に形成され、突状部5bは円柱形状に形成されたものである。また、図3(c)、(d)は箔状の突状部5c、5dの例であり、突状部5cは長方角柱形状に形成され、突状部5dは突状部5cの幅が長手方向に変化したものである。この突状部5(5a〜5d)は、加工されるときに、第2フィン4の斜面4bから形成されるものであり、斜面4bにおける形成位置、数、形状等は特に限定されるものではない。また、突状部5の外径(幅)、長さ、形状等の調整は、後記するヒートパイプ用伝熱管の作製方法におけるスチールボール9の圧下量、素管6の抽伸速度、クリアランスc(図4参照)等によって行う。なお、図2(b)は、複数の突状部5、5が、第2フィン4’の斜面4b’に、管軸に沿って断続的に形成された一例を記載したものである。また、図2(c)は、複数の突状部5、5が、第2フィン4’’の斜面4b’’に沿って形成された一例を記載したものである。
このような突状部5の形成により、図6に示すように、突状部5と溝底部2aとの間に幅の狭い溝部2’が形成されることとなり、この狭い溝部2’にも作動液8が凝縮する。この凝縮された作動液8のメニスカスも、溝部2’の幅が狭いため、良好な形状を呈し、作動液8の毛細管力も高くなる。その結果、ヒートパイプ10(図7参照)内の作動液8の液戻りが早くなり、冷却性能の向上を図ることができる。さらに、突状部5は、図5(a)、(b)に示すように、ヒートパイプ用伝熱管1a、1bの内周面に形成された第2フィン4、4・・・の全てに形成される必要はなく、内周面に形成された第2フィン4、4・・・の少なくとも一部に形成されていればよい。
<ヒートパイプ用伝熱管の作製方法>
次に、ヒートパイプ用伝熱管1の作製方法について説明する。
ヒートパイプ用伝熱管の内周面の第1および第2フィンは、例えば、転造加工法により形成することができる。具体的には、図4に示すように、第1および第2フィンに対応した溝形状が施された溝付プラグ7を、所定の径の素管(銅管)6の内側に挿入する。そして、スチールボール9を素管6の外側から圧下しながら遊星回転させる。そして、素管6を抽伸方向に引き抜くことにより、溝付プラグ7が回転し、素管6の内周面に連続的に所定形状の第1および第2フィンが加工され、ヒートパイプ用伝熱管が作製される。なお、ヒートパイプ用伝熱管の内周面へのフィン加工は、ボール転造加工法だけでなく、ロール転造加工法でもよい。また、転造加工法に限定されず、例えば圧延加工法によっても行うことができる。
ここで、前記素管6の内周面と溝付プラグ7との間に所定のクリアランスcを設けて転造加工することにより、素管6にひずみが生じ、溝付プラグ7によって形成されるフィン、特に第2フィンに位相ズレが発生する。この位相ズレにより、形成された第2フィンが溝付プラグ7によってかじられることとなり、第2フィンの斜面に前記した突状部が形成されることとなる。そして、クリアランスcは、0.15mm以上が好ましい。クリアランスcが0.15mm未満であると、素管6と溝付プラグ7の圧下による密着度が増加し、溝付プラグ7に欠損等が生じやすく、ヒートパイプ用伝熱管が量産しにくくなる。
また、溝付プラグ7の第1および第2溝深さHb、hb、第1および第2溝根元半径Rb、rb、第1および第2溝山頂角δ3、δ4、第1および第2溝リード角(図示せず)等は、前記のヒートパイプ用伝熱管1の第1および第2フィン高さHa、ha、第1および第2フィン根元半径Ra、ra、第1および第2フィン山頂角δ1、δ2および第1および第2フィンリード角θ1、θ2(図1(b)参照)等に対応して決定される。
<ヒートパイプの作製方法>
次に、ヒートパイプの作製方法について説明する。
前記のヒートパイプ用伝熱管を所定の長さに切断後、その一端をTIG溶接により封止する。片側が封止されたヒートパイプ用伝熱管に所定量の作動液を注入後、ヒートパイプ用伝熱管内を真空引きし、減圧状態に保持したままで、他端をTIG溶接によって封止する事で、パイプ内部が真空に近い状態のヒートパイプを作製することができる。なお、作動液8の注入量は、熱伝達率や最大熱輸送量を勘案すると、蒸発部12の内容積の20〜35%程度とするのが好ましい(図7参照)。しかしながら、注入量は、これに限定さるものではない。また、作動液としては、水、メチルアルコール等が使用され、特に、表面張力が大きく、毛細管力が高くなる水(純水)が好ましいが、本発明の作動液を水(純水)に限定するものではない。
図8に示すように、前記のようにして作製されたヒートパイプ101(10)は、ノート型パソコンの冷却装置100に好適に用いることができる。そして、ヒートパイプ101(10)の一端は蒸発部12としてCPU104などの発熱体と当接してかかる部分の熱を吸熱し、他端は凝縮部(放熱部)11として小型ファン102などによって冷却される。また、ヒートパイプ101(ヒートパイプ用伝熱管)は、その管軸方向に直交する断面の形状が楕円形または半円形であることが好ましい。ヒートパイプ101の断面形状を楕円形または半円形にすることによって、放熱体(例えば放熱板103)および発熱体(例えばCPU104)との当接面積が大きくなり、放熱による作動液の凝縮効率が高くなると共に、吸熱による作動液の蒸発効率が高くなり、作動液の液戻りが早くなる。さらに、本発明の一実施形態として挙げたヒートパイプ101は、その他の電子機器、例えば、デスクトップ型パソコンや各種の家電製品等にも好適に用いることができる。
(a)は本発明に係るヒートパイプ用伝熱管の管軸方向における部分断面図、(b)は管軸直交方向における部分断面図である。 (a)〜(c)は本発明に係るヒートパイプ用伝熱管の第2フィンの他の形態を示す要部拡大斜視図である。 (a)〜(d)は本発明に係るヒートパイプ用伝熱管の突状部の他の形態を模式的に示す斜視図である。 本発明に係るヒートパイプ用伝熱管の製造における、転造加工前の素管および溝付プラグの部分断面図である。 (a)、(b)は本発明に係るヒートパイプ用伝熱管の他の形態を示す部分断面図である。 (a)は本発明に係るヒートパイプ用伝熱管の溝部に形成される作動液のメニスカスの形成状況を示す説明図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。 ヒートパイプの内部の作用を説明するための説明図である。 (a)、(b)はヒートパイプの使用形態の一例を示す模式図である。
符号の説明
1、1a、1b ヒートパイプ用伝熱管
3 第1フィン
3b 斜面
4、4’4’’ 第2フィン
4b、4b’、4b’’ 斜面
5、5a、5b、5c、5d 突状部
8 作動液
10、101 ヒートパイプ
ra 第2フィン根元半径
θ1 第1フィンリード角
θ2 第2フィンリード角
δ1 第1フィン山頂角
δ2 第2フィン山頂角

Claims (7)

  1. 管内に作動液を封入してヒートパイプとして用いる伝熱管であって、前記伝熱管の内周面に多数形成された第1フィンと、前記第1フィンの間に少なくとも1つ形成され、前記第1フィンよりも高さの低い第2フィンと、前記第2フィンの斜面に形成された突状部とを備えることを特徴とするヒートパイプ用伝熱管。
  2. 前記伝熱管の管軸直交断面において、前記第2フィンの根元に形成された第2フィン根元半径raが0mmを超え0.04mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ用伝熱管。
  3. 前記伝熱管の管軸平行断面において、前記第1フィンと管軸とがなす第1フィンリード角θ1が0°以上30°以下であり、かつ、前記第2フィンと管軸とがなす第2フィンリード角θ2が前記第1フィンリード角θ1と同一であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートパイプ用伝熱管。
  4. 前記伝熱管の管軸直交断面において、前記第1フィンの両斜面のなす第1フィン山頂角δ1が5°以上30°以下であり、かつ、前記第2フィンの両斜面のなす第2フィン山頂角δ2が5°以上30°以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のヒートパイプ用伝熱管。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のヒートパイプ用伝熱管を用い、前記ヒートパイプ用伝熱管の内部に作動液を減圧封入したことを特徴とするヒートパイプ。
  6. 前記ヒートパイプ用伝熱管は、その管軸方向に直交する断面の形状が楕円形または半円形であることを特徴とする請求項5に記載のヒートパイプ。
  7. 前記作動液が水であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のヒートパイプ。
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