JP2006199650A - 7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 7−オクテン−1−オールから7,8−エポキシ−1−オクタノールを収率よく高純度で得る方法を提供すること。
【解決手段】7−オクテン−1−オールを、実質的に水を含まない過酢酸によりエポキシ化することを特徴とする7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は7−オクテン−1−オールを実質的に水を含まない過酢酸によりエポキシ化することによる7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法に関する。
エポキシアルコール類の製造方法としては、過酸化水素水を用いる系が知られており、例えば、β、γ−不飽和アルコール類をタングステン酸塩および4級アンモニウム塩の存在下に過酸化水素でエポキシ化することにより、対応するエポキシアルコール類が生成することが知られている(特許文献1参照)。しかしこの特許文献1には、炭化水素鎖末端に不飽和二重結合を有する7−オクテン−1−オールから対応するエポキシアルコールである7,8−エポキシ−1−オクタノールを製造することについては記載されていない。また、過酸化水素のみでは反応性が低いので、上記過酸化水素を用いる系においては各種金属錯体等の触媒を必要としている。
また、炭化水素鎖末端に不飽和二重結合を有する1級アルコール類から有機過カルボン酸を用いて対応するエポキシアルコール類を製造する方法として、メタクロロ過安息香酸を使用したエポキシアルコール類の合成例が知られている(非特許文献1)。しかし、メタクロロ過安息香酸以外の酸化剤についての記載はなく、また、酸化剤として用いるメタクロロ安息香酸が高価であるという問題点がある上、塩素分等が微量な不純物として生成物のエポキシアルコール類に混入してくる場合がある。
特開2002−20375号公報 J.Am. Chem. Soc, 95, (23), 7777-7782, (1973)
本発明の目的は高収率で、7,8−エポキシ−1−オクタノールを工業的に有利に製造する方法を提供することである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、7−オクテン−1−オールを実質的に水を含まない過酢酸を用いてエポキシ化することにより、7,8−エポキシ−1−オクタノールを収率よく高純度で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、7−オクテン−1−オールを、実質的に水を含まない過酢酸によりエポキシ化することを特徴とする7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法である。
また本発明の第2は、過酢酸中の水分が0.8質量%以下である本発明の第1の7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法である。
また本発明の第3は、過酢酸が酢酸エチル溶液である本発明の第2の7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法である。
本発明によれば、7−オクテン−1−オールから、安価に収率よく、かつ高純度で、7,8−エポキシ−1−オクタノールを製造することができる。
<過酢酸>
本発明でエポキシ化剤として使用する過酢酸は、実質的に水を含まないものであれば特に限定されない。具体的には、水分含有量0.8質量%以下、好ましくは0.6質量%以下の過酢酸を使用することが、高い選択率および転化率で目的とする7,8−エポキシ−1−オクタノールが得られるという点で好ましい。本発明でいう実質的に水分を含まない過酢酸は、アルデヒド類、例えば、アセトアルデヒドの空気または酸素酸化により製造されるものであり、例えば、過酢酸についてはドイツ公開特許公報1418465号や特開昭54−3006号公報に記載された方法により製造される。これらの方法によれば、過酸化水素と酢酸から過酢酸を合成し、溶媒により過酢酸を抽出する方法に比べて連続して大量に高濃度の過酢酸を合成できるために、安価に得ることができるので、好ましい。
7,8−エポキシ−1−オクタノールを高い選択率および転化率で合成するためには、7−オクテン−1−オール1モルに対する過酢酸の使用量は、好ましくは1.0〜3.0モル、より好ましくは1.05〜1.5モルである。経済性及び副反応の問題から、3.0倍モルを超えることは通常不利である。本発明の製造方法によれば、高価なエポキシ化剤や触媒を使用する必要はない。
エポキシ化反応においては、装置や反応条件に応じて、溶媒を使用してもよい。
溶媒は過酢酸の希釈による安定化などの目的で使用することができ、溶媒比率を上げることでエポキシ化反応の際に過酢酸から発生する酢酸の濃度を下げることができるので、酢酸によるエポキシ環の開環反応が防止しやすくなる。溶媒を使用する場合、その使用量は過酢酸100質量部に対して通常、20〜500質量部である。溶媒の使用量が500質量部より多いと、エポキシ化反応が進まず、収率が低くなる傾向となり、逆に、20質量部より少ない場合、使用する意味が殆どない。
溶媒の種類としては、エステル類、脂肪族または芳香族炭化水素類、エーテル類などを用いることができる。特に好ましい溶媒は、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等であり、とりわけ、酢酸エチルが好ましい。
エポキシ化反応温度は、7−オクテン−1−オールに対する過酢酸の反応性によって定まる。反応温度は20〜100℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは45〜55℃である。20℃未満では反応が遅く、100℃を超える温度では過酢酸が発熱を伴って分解するので、好ましくない。
エポキシ化反応は、7−オクテン−1−オールおよび必要に応じて溶媒を反応器に仕込み、所定温度範囲に保ちながら過酢酸を滴下などの方法で逐次添加して行なうことが好ましい。また、上記のエポキシ化反応は連続式に行ってもよい。
本発明では、エポキシ化反応に特別な操作は必要なく、例えば過酢酸を滴下終了後、反応粗液を1〜10時間攪拌して反応および熟成させればよい。
得られた反応粗液からの7,8−エポキシ−1−オクタノールの単離は、適当な方法、たとえば、反応粗液中に含まれている未反応の過酢酸および過酢酸から生成した酢酸等を水で抽出し、水層から分離された有機層を蒸留して溶媒を留去することにより行うことができる。さらに、未反応の7−オクテン−1−オールは、これが目的の7,8−エポキシ−1−オクタノールよりも低沸点であることから、溶媒と同様に留去して回収することができる。
反応および熟成終了後、反応粗液は最初に高濃度の苛性ソーダ水溶液などのアルカリにて中和洗浄を行うことが好ましい。すなわち、苛性ソーダ水溶液を用いると過酢酸から生じた酢酸との中和反応により酢酸ソーダが生成し、酢酸ソーダが緩衝剤的に作用する他、酢酸ソーダ水溶液層側の比重が上がるので、7,8−エポキシ−1−オクタノールの有機層との比重差が大きくなり、分液性がよくなるという副次的効果がある。この中和洗浄および分液を行った後、7,8−エポキシ−1−オクタノールを含有する有機層中に残存している酢酸ソーダを水にて洗浄して除去し、次いで溶媒を蒸留除去することが好ましい。さらに、生成した目的生成物である7,8−エポキシ−1−オクタノールのエポキシ基に過酢酸から生じた酢酸が付加する副反応でアセトキシヒドロキシアルコール類を生じることがあるが、これは目的生成物である7,8−エポキシ−1−オクタノールより高沸点であることから蒸留により除去することができる。
本発明の製造方法では、従来の過酸化水素によるエポキシ化反応のように各種金属触媒等を必ずしも併用する必要はないが、必要に応じて触媒を用いることもできる。
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
反応器に、1−オクタノールを12%含む7−オクテン−1−オール300g、酢酸エチル300gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を50℃になるようにコントロールしながら、過酢酸を30質量%含む酢酸エチル溶液(水分0.41質量%)606gを、約2時間かけて滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、50℃で7時間攪拌しながら熟成し反応を終了した。
次いで、反応粗液に、30℃以下の攪拌状態で、10%苛性ソーダ水溶液602gを加え、攪拌を止めて2層に分離させ、下層の水層を分離除去した。この操作を2回繰り返した後に、上層の有機層に対して501gの脱イオン水を加え、残存する中和塩を洗浄除去した。
洗浄済みの粗液から、70℃/2666Paで溶媒、酢酸などの低沸点化合物の除去を行い、残留液225.0gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると7,8−エポキシ−1−オクタノール79.7%、2,8−ジヒドロキシオクタン−1−オール酢酸エステル、1.4%、7−オクテン−1−オール7.2%、1−オクタノール11.7%であった(7−オクテン−1−オールの7,8−エポキシ−1−オクタノールへの選択率は64.3%、7,8−エポキシ−1−オクタノールの収率は60.4%)。
図1に原料の7−オクテン−1−オール、図2に得られた留出液の各1H−NMRスペクトルを示す(横軸はδ値、縦軸はシグナル強度を示す)。1H−NMR測定は溶媒としてCDClを用いて、内部標準TMSで行なった。原料の7−オクテン−1−オールに見られたδ4.8およびδ5.6付近の末端二重結合に由来するピークが減少し、δ2.3〜δ3.0付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが確認され、上記残留液の大部分が目的生成物である7,8−エポキシ−1−オクタノールであることが確認された。
(実施例2)
反応器に、1−オクタノールを3%含む7−オクテン−1−オール300g及び酢酸エチル300gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を60℃になるようにコントロールしながら約4時間かけて過酢酸を30質量%含む酢酸エチル溶液(水分率0.41質量%)633gを滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、60℃で3時間攪拌しながら熟成し反応を終了した。
次いで、反応粗液に、30℃以下の攪拌状態で、10%苛性ソーダ水溶液603gを加え、攪拌を止めて2層分離し、下層の水層を分離除去した。この操作を3回繰り返した後に、上層の有機層に対して400gの脱イオン水を加え、残存する中和塩を洗浄除去した。
洗浄済みの粗液から、70℃/2666Paで低沸点化合物の除去を行い、残留液278.5gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると7,8−エポキシ−1−オクタノール89.4%、2,8−ジヒドロキシオクタン−1−オール酢酸エステル0.9%、7−オクテン−1−オール6.0%、1−オクタノール2.0%、酢酸エチル1.7%であった(7,8−エポキシ−1−オクタノールの収率は76.0%)。
残存する7−オクテン−1−オール、1−オクタノール、酢酸エチルは7,8−エポキシ−1−オクタノールに対して低い沸点を持つことから、155℃/2000Paで、低沸点成分の除去を行い、残留液239.0gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると7,8−エポキシ−1−オクタノール98.1%、2,8−ジヒドロキシオクタン−1−オール酢酸エステル1.9%であり、7−オクテン−1−オール、1−オクタノール、酢酸エチルは検出されなかった(7,8−エポキシ−1−オクタノールの収率は71.6%)。
2,8−ジヒドロキシオクタン−1−オール酢酸エステルは、7,8−エポキシ−1−オクタノールに対して高い沸点を持つことから、170℃/2000Paで、高沸点化合物の除去を行い、溜出液227.5gを得た。
得られた溜出液をGCにて組成分析すると7,8−エポキシ−1−オクタノール98.5%、2,8−ジヒドロキシオクタン−1−オール酢酸エステル1.5%であった(7,8−エポキシ−1−オクタノールのトータル収率は68.5%)。
図3に得られた留出液の1H−NMRスペクトルを示す(横軸はδ値、縦軸はシグナル強度を示す)。1H−NMR測定は溶媒としてCDClを用いて、内部標準TMSで行った。原料の7−オクテン−1−オールに見られたδ4.8およびδ5.6付近の末端二重結合に由来するピークが消失しており、δ2.3〜δ3.0付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが確認され、上記残留液は、大部分が目的生成物である7,8−エポキシ−1−オクタノールであることが確認された。
(比較例1)
1−オクタノールを12%含有する7−オクテン−1−オール300g及び酢酸エチル300gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を60℃になるようにコントロールしながら約4時間かけて30質量%過酸化水素水257gを滴下した。過酸化水素水滴下終了後、60℃で12時間熟成し反応を終了した。
反応粗液の1H−NMRの測定では、δ4.8およびδ5.6付近の末端二重結合に由来するピークの消失は確認できず、またδ2.3〜δ3.0付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成も確認することができなかった。7,8−エポキシ−1−オクタノールを合成できなかった。
本発明の製造方法で得られる7,8−エポキシ−1−オクタノールは、塩素分のような微量の不純物が少なく、各種化学品(たとえば、医薬・農薬の原料、樹脂原料等)の原料として利用可能である。
原料の7−オクテン−1−オールのH−NMRスペクトルチャートである。 実施例1で得られた7,8−エポキシ−1−オクタノールのH−NMRスペクトルチャート(未反応の7−オクテン−1−オールが残った生成物のチャート)である。 実施例2で得られた7,8−エポキシ−1−オクタノールのH−NMRスペクトルチャート(蒸留により未反応の原料等を除去した後の生成物のチャート)である。

Claims (3)

  1. 7−オクテン−1−オールを、実質的に水を含まない過酢酸によりエポキシ化することを特徴とする7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法。
  2. 過酢酸中の水分が0.8質量%以下である請求項1に記載の7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法。
  3. 過酢酸が酢酸エチル溶液である請求項2に記載の7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法。
JP2005014597A 2005-01-21 2005-01-21 7,8−エポキシ−1−オクタノールの製造方法 Withdrawn JP2006199650A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110407280A (zh) * 2019-04-09 2019-11-05 临沂大学 一种利用mar去除饮用水中环境激素类有机物质的工艺方法

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