JP2006207459A - 内燃機関の冷却構造及び水路形成部材 - Google Patents

内燃機関の冷却構造及び水路形成部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 各シリンダボア間に冷却水通路を備えない多気筒エンジンであっても、このシリンダボア間を高効率且つ均一に冷却することができる内燃機関の冷却構造及びその構造を得るための水路形成部材を提供する。
【解決手段】 シリンダブロックのウォータジャケット内にジャケットパーティション12を装着して、このウォータジャケット内を、シリンダバレル2に冷却水を直接接触させる上側水路26、シリンダバレル2から遮熱された状態で冷却水を流す下側水路24、シリンダブロックのサイアミーズ部に沿って鉛直上方に延び且つ下側水路24に連通するサイアミーズ水路16に区画する。シリンダバレル2から遮熱されることで低温度に維持された下側水路24内の冷却水の一部がサイアミーズ水路16に流れ込むことにより、シリンダブロックのサイアミーズ部を効果的に冷却する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば自動車用エンジン等の内燃機関を冷却水によって冷却するための構造及びその構造を得るために冷却水通路(以下、ウォータジャケットという)内に配設される水路形成部材に係る。特に、本発明は、内燃機関の冷却を高効率で且つ均一に行うための対策に関する。
従来より、自動車用等として適用される多気筒エンジンにあっては、その小型軽量化や全長(シリンダ列方向の長さ)の短縮化を図るために、シリンダブロックにおいて互いに隣り合うシリンダボア同士を結合した所謂「サイアミーズ構造」のものが知られている。
このサイアミーズ構造のシリンダブロックは、各シリンダボア間(隣り合うシリンダボア同士が最も近接する領域、以下、この部分をサイアミーズ部と呼ぶ)の寸法が短いため、一般には、このサイアミーズ部には冷却水路が形成されていない。このため、特に、このサイアミーズ部での温度上昇が懸念されるものである。特に、燃焼室からの熱を直接受けるシリンダブロック上端部周辺のサイアミーズ部にあってはかなり高温になる。
近年、普及しつつあるアルミニウム合金製のシリンダブロックの場合、200℃を越えるとその材料強度が十分に得られなくなる可能性があるが、このアルミニウム合金製のシリンダブロックにサイアミーズ構造を採用した場合には、上記サイアミーズ部上端部において200℃を越える可能性があり、また周囲との温度差から熱歪みが懸念される。この熱歪みが生じた場合、シリンダボアの真円度が悪化して、ピストンリングとシリンダ内壁(シリンダライナ内面)との隙間から潤滑オイルが燃焼室内に流れ込んでオイル消費量が増大したり、ブローバイガスの量が大幅に増大してしまう等といった不具合を招くことになる。図12は、サイアミーズ構造のシリンダブロックを使用したエンジンを運転した場合のサイアミーズ部周辺の温度分布(シリンダ列方向に対して直交する断面における温度分布)の一例を示している。また、図13は、同部分のウォータジャケット内における冷却水の流速分布の一例を示している。図12から明らかなように、サイアミーズ部の上端部では200℃近くに達しており、この部分での熱歪みが懸念される状況となっている。また、シリンダブロックの冷却性能はウォータジャケット内における冷却水の流速によって左右されるが、図13から判るようにシリンダブロックの上端部付近では冷却水の流速が低く、これも、サイアミーズ部上端部の冷却を十分に行うことができない要因の一つになっている。
この点に鑑み、下記の特許文献1及び特許文献2では、サイアミーズ構造のシリンダブロックに対し、サイアミーズ部の一部分を横断するように冷却水通路を形成し、この冷却水通路に冷却水を流すことによってサイアミーズ部の冷却が行えるようにした提案がなされている。また、下記の特許文献3には、サイアミーズ部を横断するように鋳込まれた板ケレンの両端をウォータジャケットに突出させ、その突出部分のうちサイアミーズ部に近い箇所に水平方向に貫通する通水孔を形成した構成が開示されている。つまり、この通水孔に冷却水を案内することによってサイアミーズ部近傍に冷却水を流れ込ませ、これによりサイアミーズ部の冷却効率が高められるようにしている。
特開平5−321753号公報 特開平6−81644号公報 実開平6−83940号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているようにサイアミーズ部を横断する冷却水通路を形成する場合、この冷却水通路の流路面積をある程度(十分な冷却性能が得られる程度に)確保しながらシリンダライナを含めたシリンダブロックの剛性を高く維持しようとすると、シリンダブロック全長の短縮化を図るには限界がある。
一方、特許文献3に開示されているように、板ケレンの両端に通水孔を形成する構成の場合、各シリンダボア同士の間に介在する板ケレンの厚み寸法だけシリンダブロック全長が長くなってしまい(例えば直列6気筒エンジンの場合、シリンダブロック全長は板ケレンの厚み寸法の5倍分も長くなる)、この場合にもシリンダブロック全長の短縮化を図るには限界がある。
そればかりでなく、この特許文献3のものでは、冷却水はシリンダ列方向(水平方向)に流れることになるため、特定のシリンダの上端部周辺の冷却性能が劣ってしまうことになる。詳しく説明すると、例えば直列4気筒エンジンの場合、ラジエータからの冷却水はウォータジャケット内を第1番気筒から第4番気筒に向かって水平方向に流れることになる。この際、第1番気筒と第2番気筒との間のサイアミーズ部の上端部周辺には比較的温度の低い冷却水が流れる状況となっており、この冷却水の温度とサイアミーズ部の温度との差が大きいためにサイアミーズ部は効率良く冷却される。このサイアミーズ部の上端部周辺を冷却した冷却水は、そのまま水平方向に流れて、第2番気筒と第3番気筒との間のサイアミーズ部の上端部周辺を冷却した後に、第3番気筒と第4番気筒との間のサイアミーズ部の上端部周辺に流れ込む。この際、既に冷却水はかなりの高温度に達しており、この冷却水の温度とサイアミーズ部(第3番気筒と第4番気筒との間のサイアミーズ部)の温度との差は極端に小さくなっている。このため、この第3番気筒と第4番気筒との間のサイアミーズ部の上端部周辺を十分に冷却することは困難になる。
尚、上記シリンダブロックに形成されているウォータジャケットは、ガスケットに形成されている開口を経てシリンダヘッドのウォータジャケットに連通しており、シリンダブロックからシリンダヘッドに向かう冷却水の流れが生じるようになっている。つまり、この冷却水の流れ(上方に向かう流れ)によってサイアミーズ部の上端部周辺を冷却することができる構成となっている。しかしながら、上述した如く、シリンダブロックに形成されているウォータジャケット内の冷却水流れの最下流端に位置する気筒(上述の場合は第4番気筒)付近のサイアミーズ部の上端部周辺にはかなり高温度の冷却水が流れており、しかも、その流速はウォータジャケット内の圧力損失等によって低下している。その結果、特定のシリンダの上端部周辺の冷却性能が劣るといった状況を避けることはできない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各シリンダボア間に冷却水通路を備えない多気筒エンジンであっても、このシリンダボア間を高効率且つ均一に冷却することができる内燃機関の冷却構造及びその構造を得るための水路形成部材を提供することにある。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、多気筒内燃機関のシリンダボアの外周囲を囲むように形成された冷却水通路を備え、シリンダ列方向に沿って冷却水を流すことによってシリンダを冷却する内燃機関の冷却構造を前提とする。この内燃機関の冷却構造に対し、互いに隣り合うシリンダボア同士の境界部分近傍における冷却水通路の一部を、その冷却水通路におけるシリンダ軸線方向のクランク側から燃焼室側に向けて冷却水を流通させる分岐水路として形成している。つまり、上記サイアミーズ構造の内燃機関の場合にあっては、シリンダボア同士の境界部分である上記サイアミーズ部近傍においては、その下端近傍位置から上端に向けて冷却水を流通させることによってサイアミ
ーズ部を冷却するようにしている。
この特定事項により、燃焼室から離れた位置を流れることで比較的低温度である冷却水通路の下端部分(クランク側)の冷却水をサイアミーズ部近傍に流すことができ、このサイアミーズ部を効果的に冷却できる。また、このサイアミーズ部を冷却するための冷却水を流す分岐水路は、シリンダボア同士の境界部分近傍における冷却水通路の一部として形成されており、その流路断面積は比較的小さくなっている。このため、この分岐水路には高い流速で冷却水を流すことができ、サイアミーズ部の冷却効果を高めることができる。このように、本解決手段によれば、サイアミーズ部を横断する冷却水通路を形成することなく、また、冷却水通路の下端近傍位置を流れている比較的低温度の冷却水をサイアミーズ部の上端に向けて流すことができるため、シリンダブロック全長の短縮化を図りながらも、シリンダブロックの上端部分(燃焼室側)を効率良く冷却することが可能になりシリンダブロック全体を均一に冷却することができる。
上記各水路の構成としてより具体的には以下のものが掲げられる。つまり、冷却水通路を、シリンダ列方向に沿って延びる仕切部材により、シリンダボアの燃焼室側部分(直列エンジンの場合には上側部分)をシリンダ列方向に沿って冷却水を流す燃焼室側水路と、シリンダボアのクランク側部分(直列エンジンの場合には下側部分)をシリンダ列方向に沿って冷却水を流すクランク側水路とに区画する一方、分岐水路を上記クランク側水路に連通して形成している。
このように各水路を形成するために冷却水通路内には水路形成部材が配設されている。そして、上記燃焼室側水路は、水路形成部材と冷却水通路におけるシリンダボア側の側壁との間で形成されている一方、クランク側水路は、水路形成部材と冷却水通路におけるシリンダボア側とは反対側の側壁との間で形成されている。
この特定事項によれば、燃焼室側水路を流れる冷却水は、シリンダボア側の側壁に直接的に接触されてシリンダボアを冷却する。このシリンダボアの燃焼室側部分は燃焼室が近いため比較的高温度になっており、冷却水との温度差を大きく取ることができて各気筒それぞれにおいて効果的に冷却が行われる。一方、クランク側水路を流れる冷却水は、シリンダボア側の側壁から遮熱された状態で流れるため、このクランク側水路を流れている間の温度上昇は僅かである。つまり、このクランク側水路から分岐水路に導入される冷却水の温度を低く維持することができ、サイアミーズ部を効果的に冷却することが可能になる。
尚、上述した各解決手段が適用される内燃機関として具体的にはサイアミーズ構造のシリンダブロックを備えた内燃機関が掲げられる。このサイアミーズ構造のシリンダブロックを備えた内燃機関は、一般的にシリンダボア同士の間(サイアミーズ部)には冷却水路が形成されないため、このサイアミーズ部での温度上昇が懸念されるものであった。特に、燃焼室からの熱を直接受ける上端部(燃焼室側部分)周辺にあってはかなり高温になることが懸念されていた。このような内燃機関に上述した解決手段を適用することにより、サイアミーズ部、特にその上端部周辺での温度上昇が緩和でき、熱歪み等の不具合を回避することが可能となる。
尚、上記冷却構造を得るために冷却水通路内に配設される水路形成部材も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、多気筒内燃機関のシリンダボアの外周囲を囲むように形成された冷却水通路の内部に配設されて、この冷却水通路内に複数の水路を区画形成するための水路形成部材であって、シリンダボアの燃焼室側部分をシリンダ列方向に沿って冷却水を流す燃焼室側水路を形成する燃焼室側水路形成部と、シリンダボアのクランク側部分をシリンダ列方向に沿って冷却水を流すクランク側水路を形成するクランク側水路形成部
と、このクランク側水路に連通し且つ互いに隣り合うシリンダボア同士の境界部分において冷却水通路のクランク側位置から燃焼室側に向けて冷却水を流通させる分岐水路を形成する分岐水路形成部とを備えたものである。
本発明では、燃焼室から離れた位置を流れることで比較的低温度である冷却水をシリンダボア間の燃焼室近傍付近に流すことができ、サイアミーズ構造の内燃機関にあっては、そのサイアミーズ部を効果的に冷却することができる。また、このサイアミーズ部を冷却するための冷却水を流す分岐水路は、シリンダボア同士の境界部分近傍における冷却水通路の一部として形成されており、その流路断面積は比較的小さくなっているため、この分岐水路には高い流速で冷却水を流すことができ、サイアミーズ部の冷却効果を高めることができて、シリンダブロックを均一に冷却することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、サイアミーズ構造で成る自動車用直列4気筒ガソリンエンジンに本発明を適用した場合について説明する。
−シリンダブロックの構成−
図1は、本実施形態に係る直列4気筒エンジンの各シリンダボア4,4,…及びその周辺部を示すシリンダブロック1の平面図であって、シリンダ列とウォータジャケット(冷却水通路)6の配置状態とを示している(シリンダブロック1の外縁形状については省略している)。図2は、本実施形態の特徴とする部材であって上記ウォータジャケット6内部に装着されるジャケットパーティション(水路形成部材)12を示す側面図である。図3は、図2におけるIII矢視図である。ここでは、図1において左端に位置する気筒を第
1番気筒♯1とし、その右側に位置する気筒を第2番気筒♯2、更に、その右側に位置する気筒を第3番気筒♯3、そして、右端に位置する気筒を第4番気筒♯4として説明する。また、図1における下側を吸気側とし、上側を排気側として説明する。気筒番号や吸排気の形態はこれに限るものではない。
本実施形態に係る直列4気筒エンジンの構成部材であるシリンダブロック1は、アルミニウム合金製であって、図1に示すように、直列状態で配置された4個のシリンダバレル2,2,…が一体成形されて成るサイアミーズシリンダバレル3を備えている。そして、各シリンダバレル2,2,…の内面にはシリンダボア4の内面を形成するシリンダライナ5がそれぞれ鋳込まれている(図1におけるIV-IV線に沿った断面図である図4参照)。
また、本実施形態に係るシリンダブロック1は、オープンデッキ型に構成されている。つまり、シリンダブロック1の頂面(シリンダヘッド10(図4参照)の組み付け面)にウォータジャケット6が開放されていると共に、このウォータジャケット6が、上記サイアミーズシリンダバレル3の略全周囲を囲むようにシリンダブロック1の外壁とサイアミーズシリンダバレル3との間に形成されている。
つまり、このウォータジャケット6は、図1の如く、各シリンダバレル2,2,…の外周面である円筒面形状に沿って延びるメインジャケット領域Aと、互いに隣り合うシリンダバレル2,2同士の間に形成されて冷却水の流れ方向が変化するサイアミーズジャケット領域B(平面視において略V字状の凹部で形成された領域)とを備えた構成となっている。
また、ウォータジャケット6には、図示しないラジエータからの冷却水が導入される冷却水入口通路61がシリンダ列方向の一端側(図1における左端側)、つまり、第1番気
筒♯1の近傍に形成されている。そして、ウォータジャケット6における冷却水の主な流れとしては、この冷却水入口通路61から導入された冷却水が各シリンダバレル2,2,…の配列方向に沿ってサイアミーズシリンダバレル3の片側(図1における下側である吸気側)を第1番気筒♯1から第4番気筒♯4に向かって流れ、この第4番気筒♯4の外周囲に沿って流れ方向が反転した後、再び、各シリンダバレル2,2,…の配列方向に沿ってサイアミーズシリンダバレル3の他方の片側(図1における上側である排気側)を第1番気筒♯1に向かって流れるようになっている(その他の流れ(分岐流)については後述する)。そして、この第1番気筒♯1の周囲に戻った冷却水は、この第1番気筒♯1の近傍に形成された出口8,9からシリンダヘッド10に向かって導出されることになる。シリンダブロック1とシリンダヘッド10との間にはガスケット11(図4参照)が介在されており、上記出口8,9は、このガスケット11及びシリンダヘッド10にそれぞれ形成されていて、シリンダブロック1からシリンダヘッド10に向かって冷却水の導入が可能となっている。
−ジャケットパーティション12の構成−
次に、上記ウォータジャケット6の内部に装着されるジャケットパーティション12(以下、単にパーティションと呼ぶ)について上記図1〜図3及び図4〜図7を用いて説明する。尚、図4は図1におけるIV-IV線に沿った断面図、図5は図1におけるV−V線に
沿った断面図、図6は図1におけるVI-VI線に沿った断面図であり、図7は図6におけるVII-VII線に対応した位置の断面図である。
これら図に示すように、パーティション12は、耐熱性を有する合成樹脂により一体成形されていると共に、ウォータジャケット6の全周囲に亘って嵌め込まれて、このウォータジャケット6の内部に複数の水路を区画形成している。以下、このパーティション12の形状及びこのパーティション12により区画形成される水路について説明する。
パーティション12は、その高さ寸法(図2における寸法H)がウォータジャケット6の高さ寸法に対して略一致して設定されている。このため、図5及び図6に示すように、このパーティション12をウォータジャケット6の内部に挿入した状態で上記ガスケット11及びシリンダヘッド10をシリンダブロック1に組み付けると、ウォータジャケット6の底部にパーティション12の下端19が、ガスケット11の下面にパーティション12の上端20がそれぞれ当接した状態で高さ方向に略位置決めができる状態となる。
そして、このパーティション12は、その主要部として、上下方向の中央部よりも上側のアッパ部(上側水路形成部)27と、下側のロア部(下側水路形成部)28とを備えていると共に、このアッパ部27の下端とロア部28の上端との境界部分で水平方向に延びる隔壁21を備えている。これにより、ウォータジャケット6の内部には、上記隔壁21よりも上側でアッパ部27とウォータジャケット外壁との間に形成される上側水路(燃焼室側水路)26と、上記隔壁21よりも下側でロア部28とウォータジャケット内壁との間に形成される下側水路(クランク側水路)24とがウォータジャケット6の略全周囲に亘って形成されている。尚、上記冷却水入口通路61の周辺にあっては隔壁21が形成されておらず、この冷却水入口通路61に導入された冷却水が、第1番気筒♯1のところで上側水路26及び下側水路24に分流される構成となっている。この各水路24,26に分流された冷却水は互いに合流されることなく、後述する経路を経てそれぞれ出口8,9からシリンダヘッド10のウォータジャケットに流れ込むようになっている(詳しくは後述する)。
また、この冷却水入口通路61と上記出口9との間には仕切部35が上下方向の全体に亘って形成されており、この仕切部35の外周部はウォータジャケット6の外壁の内面(以下、外壁という)6aに当接している。これにより、冷却水入口通路61から導入され
た冷却水が上記出口8,9に短絡することなしに上記上側水路26及び下側水路24の全体に亘って流通するようになっている。
図2に示すように、上側水路26は、隔壁21によって下側水路24から隔離された状態のままガスケット11及びシリンダヘッド10に亘って形成された一方の出口8に連通している。つまり、冷却水入口通路61から上側水路26に分流された冷却水は、図2及び図3に矢印Uで示すように、第1気筒♯1の吸気側→第2気筒♯2の吸気側→第3気筒♯3の吸気側→第4気筒♯4の吸気側及び排気側→第3気筒♯3の排気側→第2気筒♯2の排気側→第1気筒♯1の排気側の順に流れて出口8からシリンダヘッド10のウォータジャケットに導出されるようになっている。
同様に、下側水路24は、隔壁21によって上側水路26から隔離された状態のままガスケット11及びシリンダヘッド10に亘って形成された他方の出口9に連通している。つまり、冷却水入口通路61から下側水路24に分流された冷却水の大部分は、図2及び図3に矢印Lで示すように、第1気筒♯1の吸気側→第2気筒♯2の吸気側→第3気筒♯3の吸気側→第4気筒♯4の吸気側及び排気側→第3気筒♯3の排気側→第2気筒♯2の排気側→第1気筒♯1の排気側の順に流れて出口9からシリンダヘッド10のウォータジャケットに導出されるようになっている。尚、この下側水路24から分流された冷却水の一部は、後述するようにサイアミーズ部13を冷却するための専用の冷却水として更に分流されるようになっている(図2における矢印D参照)。
以下、このパーティション12により区画形成される水路の各部の断面形状について説明する。
<冷却水入口通路61の近傍の断面形状>
上記冷却水入口通路61の近傍における水路の断面形状では、図4に示すように、パーティション12の上側部分に比較的大型の開口29が形成されており、この開口29によって第1番気筒♯1のシリンダバレル2の吸気側外面の上側部分(燃焼室に近い部分)が冷却できるようになっている。また、この部分における段部62は他の部分におけるジャケット底に相当する部分であり、冷却水入口通路61がジャケット底よりも低い場合にパーティション12の下側部分が流れを妨げないように、その下端19はこの段部62に対向している。更に、パーティション12は、その内面が第1番気筒♯1のシリンダバレル2の下側部分の外面に当接または近接しており、このパーティション12によってシリンダバレル2の下側部分が冷却されることを防いでいる。
<メインジャケット領域Aの断面形状>
メインジャケット領域Aの断面形状では、図5に示すように、上述した如く、ウォータジャケット6の内部がパーティション12の隔壁(仕切部材)21によって上側水路26と下側水路24とに区画されている。この部分での特徴の一つとして、パーティション12における隔壁21よりも上側のアッパ部27は、その外面がウォータジャケット6の外壁面6aに当接または近接しており、これによって、アッパ部27の内面27aとシリンダバレル2の外面2aとの間で上記上側水路26が形成されている。つまり、この部分では、この上側水路26を流れる冷却水がシリンダバレル2に直接接触してその外面2aの上側部分(燃焼室に近い部分)を冷却する構成となっている。一方、この部分におけるもう一つの特徴として、パーティション12における隔壁21よりも下側のロア部28は、その内面がシリンダバレル2の外面に当接または近接しており、これによって、ロア部28の外面28aとウォータジャケット6の外壁面6aとの間で上記下側水路24が形成されている。つまり、この部分では、この下側水路24を流れる冷却水がシリンダバレル2に直接接触することなく、シリンダバレル2から遮熱された状態でウォータジャケット6を流れていく構成となっている。
<サイアミーズジャケット領域Bの断面形状>
サイアミーズジャケット領域Bの断面形状では、図6及び図7に示すように、ウォータジャケット6の内部がパーティション12の隔壁21によって上側水路26と下側水路24とに区画されているばかりでなく、このパーティション12とサイアミーズ部13との間で鉛直方向に延びるサイアミーズ部冷却専用のサイアミーズ水路(分岐流路)16が形成されている。以下、これら水路について説明する。
パーティション12における隔壁21よりも上側のアッパ部27は、ウォータジャケット6の幅方向(図6における左右方向)の中央部に位置しており、これによって、アッパ部27の外面27bとウォータジャケット6の外壁面6aとの間で上記上側水路26が形成されている。つまり、この部分では、この上側水路26を流れる冷却水がサイアミーズ部13に直接接触することなしにウォータジャケット6を流れていく構成となっている。
一方、パーティション12における隔壁21下側のロア部28も、ウォータジャケット6の幅方向(図6における左右方向)の中央部に位置しており、これによって、ロア部28の外面28aとウォータジャケット6の外壁面6aとの間で上記下側水路24が形成されている。つまり、この部分では、上述したメインジャケット領域Aにおける下側水路24と同様に、この下側水路24を流れる冷却水がシリンダバレル2に直接接触することなしにウォータジャケット6を流れていく構成となっている。また、上記アッパ部27とロア部28とは略面一状態で成形されており、その外側に上記上側水路26及び下側水路24をそれぞれ形成していると共に、その内側にはサイアミーズ部13との間で鉛直方向に延びる上記サイアミーズ水路16を形成している。より具体的には、図7にも示すように、メインジャケット領域Aにおいて外面がウォータジャケット6の外壁面6aに当接していたアッパ部27が、ヘッドボルトボス22付近において切り欠かれて上記サイアミーズ水路16を形成するためのパーティション壁(分岐流路形成部)15として形成されている。この形状により、パーティション12を樹脂成形するのに支障を来すことのない形状で(成形時の脱型を可能とする形状で)、上記サイアミーズシリンダバレル3の外周を周回する冷却水の流れと、この流れ方向に直交する方向の流れであるサイアミーズ水路16を上方に向かう冷却水の流れとを仕切るパーティション壁15の形成が可能になる。
そして、このサイアミーズジャケット領域Bの最も特徴とするところは、上記ロア部28の下端近傍位置に、水平方向に貫通して上記下側水路24とサイアミーズ水路16とを連通する冷却水分流開口25が形成されている点にある。つまり、このサイアミーズジャケット領域Bおいては、上記メインジャケット領域Aの下側水路24を流れてきた冷却水の一部が冷却水分流開口25からサイアミーズ水路16に流れ込み、このサイアミーズ水路16を鉛直上方に流れる構成となっている(図2,6,7における矢印D参照)。上述した如く、メインジャケット領域Aにあっては、下側水路24の冷却水はシリンダバレル2に直接接触することなく流れてきているため、比較的温度は低くなっており(上側水路26を流れている冷却水よりも大幅に低いものである)、この比較的低温度の冷却水が冷却水分流開口25を経てサイアミーズ水路16に導入される構成となっている。また、このサイアミーズ水路16の上端に対応して上記ガスケット11には水孔18が形成されており、サイアミーズ水路16の上端に達した冷却水がこの水孔18を経てシリンダヘッド10のウォータジャケットに導出されるようになっている。更に、このサイアミーズ水路16の平面視における断面形状(流路断面形状)は、その下端から上端に亘って略均一な断面積が得られる形状となっている。このため、冷却水分流開口25からサイアミーズ水路16に流れ込んだ冷却水は、サイアミーズ水路16内での流速が高く維持されたまま、その上端からシリンダヘッド10のウォータジャケットに導出されることになる。尚、このサイアミーズ水路16の平面視における断面積は、上記ガスケット11の水孔18の断面積よりも僅かに大きく設計されている。
−実施形態の効果−
次に、従来のウォータジャケットにおける冷却水の流れと、本実施形態における冷却水の流れとを比較しながら本実施形態の効果について説明する。図8は従来のウォータジャケットのサイアミーズ部周辺を示す横断面図(図7に相当する図)、図9は従来のウォータジャケットのサイアミーズ部周辺を示す縦断面図(図6に相当する図)である。一方、図10は本実施形態に係るウォータジャケットのサイアミーズ部13の周辺を示す横断面図、図11は本実施形態に係るウォータジャケットのサイアミーズ部13の周辺を示す縦断面図である。
先ず、従来のウォータジャケットaにあっては、図9における領域Iでの冷却水の流速が高くなっている。この領域Iは、ウォータジャケットaの外側の領域であり、しかも高さ位置の低い(ウォータジャケットの深い)領域となっている。このため、シリンダバレルbの全体を均一に冷却すること、特に、燃焼室に近いシリンダバレルbの上端部分を効果的に冷却することは困難である。また、ガスケットcに形成される水孔dの開口面積を小さくすることによってこの部分での流速を高めることは可能である(図9における領域II)。しかしながら、この流速の高い領域IIをシリンダバレルbの上端部分の広範囲にまで広げることは困難であり、この手段を用いてもシリンダバレルbの全体を均一に冷却することは難しい。
これに対し、本実施形態のものにあっては、サイアミーズ水路16の下端から上端に亘って均一且つ高い流速で冷却水を流すことができる。しかも、この冷却水は、サイアミーズ部13の極近傍を流れている。更には、このサイアミーズ水路16に流れ込む冷却水は、シリンダバレル2から遮熱された状態で下側水路24を流れてきた比較的温度の低いものである。このため、特に、燃焼室に近くて高温度になりやすいシリンダバレル2の上端部分を効果的に冷却することが可能であり、サイアミーズシリンダバレル3の全体を均一に冷却することができる。
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、自動車用直列4気筒ガソリンエンジンに本発明を適用した場合について説明したが、エンジンとしては自動車用に限らず、その他の用途に使用されるものに対しても本発明は適用可能である。また、気筒数は4気筒に限らず、エンジン形式も直列型に限らず、V型や水平対向型等にも適用可能である。
また、上記実施形態では、ジャケットパーティション12を一体成形品としたが、複数の部材が組み合わされてジャケットパーティション12を構成する組立部品で構成してもよい。
実施形態に係るエンジンの各シリンダボア及びその周辺部を示すシリンダブロックの平面図である。 ジャケットパーティションを示す側面図である。 図2におけるIII矢視図である。 図1におけるIV-IV線に沿った断面図である。 図1におけるV−V線に沿った断面図である。 図1におけるVI-VI線に沿った断面図である。 図6におけるVII-VII線に対応した位置の断面図である。 従来のウォータジャケットのサイアミーズ部周辺を示す横断面図である。 従来のウォータジャケットのサイアミーズ部周辺を示す縦断面図である。 実施形態に係るウォータジャケットのサイアミーズ部周辺を示す横断面図である。 実施形態に係るウォータジャケットのサイアミーズ部周辺を示す縦断面図である。 従来例におけるサイアミーズ部周辺の温度分布の一例を示す図である。 従来例におけるウォータジャケット内の冷却水流速分布の一例を示す図である。
符号の説明
1 シリンダブロック
4 シリンダボア
6 ウォータジャケット(冷却水通路)
12 ジャケットパーティション(水路形成部材)
15 パーティション壁(分岐流路形成部)
16 サイアミーズ水路(分岐流路)
21 隔壁(仕切部材)
24 下側水路(クランク側水路)
26 上側水路(燃焼室側水路)
27 アッパ部(上側水路形成部)
28 ロア部(下側水路形成部)

Claims (5)

  1. 多気筒内燃機関のシリンダボアの外周囲を囲むように形成された冷却水通路を備え、シリンダ列方向に沿って冷却水を流すことによってシリンダを冷却する内燃機関の冷却構造において、
    互いに隣り合うシリンダボア同士の境界部分近傍における冷却水通路の一部は、その冷却水通路におけるシリンダ軸線方向のクランク側から燃焼室側に向けて冷却水を流通させる分岐水路として形成されていることを特徴とする内燃機関の冷却構造。
  2. 上記請求項1記載の内燃機関の冷却構造において、
    冷却水通路は、シリンダ列方向に沿って延びる仕切部材により、シリンダボアの燃焼室側部分をシリンダ列方向に沿って冷却水を流す燃焼室側水路と、シリンダボアのクランク側部分をシリンダ列方向に沿って冷却水を流すクランク側水路とに区画されている一方、
    分岐水路は上記クランク側水路に連通して形成されていることを特徴とする内燃機関の冷却構造。
  3. 上記請求項2記載の内燃機関の冷却構造において、
    燃焼室側水路、クランク側水路及び分岐水路は、冷却水通路内に配設された水路形成部材によって区画形成されており、
    上記燃焼室側水路は、水路形成部材と冷却水通路におけるシリンダボア側の側壁との間で形成されている一方、クランク側水路は、水路形成部材と冷却水通路におけるシリンダボア側とは反対側の側壁との間で形成されていることを特徴とする内燃機関の冷却構造。
  4. 上記請求項1、2または3記載の内燃機関の冷却構造において、
    サイアミーズ構造のシリンダブロックを備えた内燃機関に適用されていることを特徴とする内燃機関の冷却構造。
  5. 多気筒内燃機関のシリンダボアの外周囲を囲むように形成された冷却水通路の内部に配設されて、この冷却水通路内に複数の水路を区画形成するための水路形成部材であって、
    シリンダボアの燃焼室側部分をシリンダ列方向に沿って冷却水を流す燃焼室側水路を形成する燃焼室側水路形成部と、シリンダボアのクランク側部分をシリンダ列方向に沿って冷却水を流すクランク側水路を形成するクランク側水路形成部と、このクランク側水路に連通し且つ互いに隣り合うシリンダボア同士の境界部分において冷却水通路のクランク側位置から燃焼室側に向けて冷却水を流通させる分岐水路を形成する分岐水路形成部とを備えていることを特徴とする水路形成部材。
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