JP2006210102A - 光電変換装置およびそれを用いた光発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 太陽電池、光センサー等に好適に使用でき、長期信頼性および光電変換効率に優れた光電変換装置を提供すること。
【解決手段】 基板1と、基板1の一主面に形成された電極層2と、電極層2上に形成された、光励起体4を含有する多孔質の電子輸送層3と、電子輸送層3上に形成された正孔輸送層7と、正孔輸送層7上に形成された対向電極層6とを具備しており、光励起体4が、導電性有機配位子が付着した無機半導体ナノ粒子から成ることにより、信頼性かつ光電変換効率の優れた光電変換装置および光発電装置が作製できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板1と、基板1の一主面に形成された電極層2と、電極層2上に形成された、光励起体4を含有する多孔質の電子輸送層3と、電子輸送層3上に形成された正孔輸送層7と、正孔輸送層7上に形成された対向電極層6とを具備しており、光励起体4が、導電性有機配位子が付着した無機半導体ナノ粒子から成ることにより、信頼性かつ光電変換効率の優れた光電変換装置および光発電装置が作製できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、太陽電池、光センサー、光電変換原理に基づく水素発生装置等に好適に使用できる光電変換装置に関するものである。
近年、開発が盛んとなっている低コスト型太陽電池の一種として、色素増感型太陽電池が挙げられる。初期に発表された色素増感型太陽電池は、光励起体となるルテニウム錯体から成る増感色素を、電子輸送層となる酸化チタンから成る多孔質層に担持させたものであり、キャリアの励起と輸送を異なる部位において動作させるタイプの太陽電池である(例えば、下記の特許文献1を参照)。このタイプの太陽電池は、使用する材料が安価であること、使用する材料を高純度に精製することなく用いることができること、製造過程で真空装置を使用することが殆どないこと、低温プロセスであることから、製造コストが安いことが特徴である。
色素増感型太陽電池に使用される金属錯体色素としては、例えば、ルテニウムを配位中心とし、チオシアン酸イオン、1,10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン誘導体、2,2’−ビピリジルおよび2,2’−ビピリジル誘導体等を配位子とするイソチオシアネート錯体、チオシアネート錯体、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素等が知られている。また、金属錯体色素の他に有機色素も使用される場合があり、この有機色素としては、キサンテン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フェニルキサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、ロダシアニン系色素等が知られている。
しかしながら、上記の金属錯体色素および有機色素は、光照射中に電解質または半導体電極中に発生する活性酸素種、例えば、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、原子状酸素、オゾン、スーパーオキシドアニオン、過酸化物アニオン、酸素アニオン等により、酸化分解される、または紫外光の吸収によって色素自体が光分解されるという問題があった。
このため、耐候性に関して大きな不安を抱えており、現在主流となっているバルクSi太陽電池に比して、信頼性の面において大きな遅れをとっている。
一方、上記の信頼性を向上させる目的で、光励起体となる色素に無機半導体を含む無機ナノ粒子を用いる試みが成されている。例えば、CdS、PbS、Ag2S、Sb2S3、Bi2S3等のナノ粒子を酸化チタンの多孔質層に形成する光電変換装置について検討が行われている(例えば、下記の非特許文献1、2を参照)。さらに、無機ナノ粒子の溶媒への溶解性やポリマーへの分散性を向上させる目的で、アルキルチオール基やポリアルキレングリコール残基等、種々の配位子を付加する試みも検討されている(例えば、下記の特許文献2、3を参照)。
米国特許第4927721号明細書
特開2003−25299号公報
特開2003−64282号公報
ラルフ・ボーゲル(Ralf Vogel)等著、「センシタイゼーション・オブ・ハイリィ・ポーラス・ポリクリスタライン・TiO2・エレクトロード・バイ・クォンタム・サイズド・CdS(Sensitization of highly porus polycrystalline TiO2 electrodes by quantum sized CdS)」、(独国)、ボリューム(Volume) 174、ケミカル・フィジックス・レターズ(CHEMICAL PHYSICS LETTERS)、(1990年)、p.241−246
ラルフ・ボーゲル(Ralf Vogel)等著、「クォンタム−サイズド・PbS,CdS,Ag2S,Sb2S,アンド・Bi2S3・パーティクルズ・アズ・センシタイザーズ・フォー・バリアス・ナノポーラス・ワイド−バンドギャップ・セミコンダクターズ(Quantum−sized PbS,CdS,Ag2S,Sb2S,and Bi2S3 Particles as Sensitizers for Various Nanoporus Wide−Bandgap Semiconductors)」、(独国)、ボリューム(Volume) 98、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)、(1994年)、p.3183−3188
しかしながら、上述の光励起体となる色素に無機半導体を含む無機ナノ粒子を用いる従来例においては、無機材料を用いることによって、金属錯体色素または有機色素に比して耐久性は向上したものの、光電変換効率が低いといった問題を有していた。
すなわち、非特許文献1,2に記載の光電変換装置では、光励起体となるナノ粒子を液相成長により酸化チタン層上に形成しているが、励起された電子および正孔がナノ粒子内またはナノ粒子表面で再結合し消滅するため、酸化チタン層へのスムーズな電子注入が実現されていない。従って、極めて小さな光電流しか得られていない。
また、特許文献2に記載の半導体ナノ粒子では、半導体ナノ粒子にアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基等の官能基を有する置換アルキルチオールを添加することを特徴としているが、置換アルキルチオール自体には導電性は無いかまたは極めて低いことから、半導体ナノ粒子内で発生したキャリアは基本的に半導体ナノ粒子内に閉じ込められる状態となる。従って、蛍光体等の用途には向くが、キャリアの移動が必須となる光電変換装置には応用が困難である。
また、特許文献3に記載の半導体超微粒子では、半導体結晶から成る半導体超微粒子の表面にポリアルキレングリコール残基がアミノ基等を介して結合されてなることを特徴としているが、上記特許文献2と同様に、ポリアルキレングリコール残基が導電性を有していないことに加え分子長が長大であるために、半導体超微粒子が酸化チタン層の細孔内に侵入できず、半導体超微粒子が酸化チタン層に充分に担持されないといった問題が生じる。その結果、光電変換素子としては小さな光電流しか得られない。
したがって、本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、太陽電池、光センサー等に好適に使用でき、長期信頼性および光電変換効率に優れた光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明の光電変換装置は、基板と、該基板の一主面に形成された電極層と、該電極層上に形成された、光励起体を含有する多孔質の電子輸送層と、該電子輸送層上に形成された正孔輸送層と、該正孔輸送層上に形成された対向電極層とを具備しており、前記光励起体は、導電性有機配位子が付着した無機半導体ナノ粒子から成ることを特徴とする。
本発明の光電変換装置は好ましくは、前記導電性有機配位子はπ結合を有していることを特徴とする。
また、本発明の光電変換装置は好ましくは、前記導電性有機配位子はチオフェンまたはチオフェン誘導体から成ることを特徴とする。
本発明の光発電装置は、上記本発明の光電変換装置を発電手段として用い、該発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成したことを特徴とする。
本発明の光電変換装置は、基板と、基板の一主面に形成された電極層と、電極層上に形成された、光励起体を含有する多孔質の電子輸送層と、電子輸送層上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層上に形成された対向電極層とを具備しており、光励起体は、導電性有機配位子が付着した無機半導体ナノ粒子から成ることから、光励起体から電子輸送層および正孔輸送層へのキャリアの注入が、無機半導体ナノ粒子に付着した導電性有機配位子を介して効果的に行なわれるため、キャリアの注入量が大幅に増大し、光電変換効率が大幅に向上する。また、光励起体における光励起部の主体が半導体材料の無機半導体ナノ粒子であることにより、従来の金属錯体色素、有機色素等に比べて長期信頼性に優れた光電変換装置とすることが可能となる。
本発明の光電変換装置は好ましくは、導電性有機配位子はπ結合を有していることから、これにより電子が非局在化して導電性を有する有機配位子となる。
また、本発明の光電変換装置は好ましくは、導電性有機配位子はチオフェンまたはチオフェン誘導体から成ることから、チオフェンが電子輸送層の多孔質細孔内へ容易に拡散し、電子輸送層の膜厚方向に導電性有機配位子を均一形成することが可能となる。
本発明の光発電装置は、上記本発明の光電変換装置を発電手段として用い、発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成したことから、本発明の光電変換装置を用いているため、上記本発明の光電変換装置の作用効果を利用した、光電変換効率が高く長期信頼性に優れた光発電装置となる。
本発明の光電変換装置の実施の形態について以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の光電変換装置の実施の形態を示す断面図であり、1は基板、2は電極層、3は電子輸送層、4は光励起体、5は対向基板、6は対向電極層、7は正孔輸送層、8は封止材である。
まず、基板1は電子輸送層3等の支持体としての機能を有するものであればよく、例えば透明なガラス基板、ガラス基板表面にテクスチャー構造を形成して光の反射を防止したもの、半透明ガラス基板、透明プラスチック基板、透明プラスチック膜(透明プラスチックシート)、無機透明結晶体などの光を透過する透光性材料から成る基板、または金属基板、金属フィルム、セラミックス等の有色材料から成る基板を用いることができる。
電極層2は低抵抗材料から成り、例えば錫酸化物、インジウム酸化物またはその複合酸化物から成る。より具体的には、F(フッ素)またはSb(アンチモン)をドープしたSnO2、SnO2,Mn,MoをドープしたIn2O3、In4Sn3O12のようなIn2O3−SnO2複合酸化物が挙げられる。錫酸化物、インジウム酸化物またはその複合酸化物は、透明導電性材料の中でも、可視光域における光透過率が高く、低抵抗のものが得られやすいために、光電変換装置の受光面側の電極層の材料として特に好適に用いられる。また、電極層2のシート抵抗は20Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下であり、これを達成するために、平面視において網目状のパターンとされた金属層等からなる取り出し電極を付加形成してもよい。取り出し電極の材料としては、Ag、Al、Cu、Ti、Ni、Fe、Zn、Mo、Wまたはそれらの1種以上の化合物を用いることができる。
この電極層2の形成は、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法等の真空製膜技術を用いて行なえる他、スプレー熱分解法、ペースト法、ディップコート法等によっても容易に行なうことが可能である。
また、基板1が充分に低抵抗な材料から成る場合、電極層2を省いて基板1に電極機能を持たせることできる。
電子輸送層3は、In2O3、SnO2、WO3、ZnO、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Ta2O5、Ag2O、MnO2、Cu2O3、Fe2O3、V2O5、Cr2O3、NiO、SrTiO3、K4NbO17等から成る。また、これらの材料に、バンドギャップ調整材として、あるいは電荷輸送特性を向上させる目的で、微量の不純物をドープしたものを用いてもよい。さらに、上記の材料を複合して用いてもよい。特に、上記材料の中では、TiO2(酸化チタン)またはZnO(酸化亜鉛)を用いることが好ましい。これれは、電子輸送層3として利用される金属酸化物の中において、特にキャリアの輸送特性に優れ、製造プロセスが簡易であり、大面積製膜が容易であるといった特徴を有しているからである。
また、電子輸送特性が極度に低下しないものであれば、Si、Ge等の半導体、CdSe、CdS、InP、Bi2S3、PbS、ZnS、CuInS2、CuInSe2等の化合物半導体やこれらに不純物を適宜ドープしたものを電子輸送層3として用いてもよい。
なお、電極層2および電子輸送層3の間に、緻密な層状の酸化物半導体層を挿入形成してもよい。これによって、光電変換装置のリーク電流が低減され開放電圧値が向上する。
光励起体4は、光照射によってキャリアが励起される部位である。本発明では、光励起体4は、無機半導体ナノ粒子および導電性有機配位子とから成る。無機半導体ナノ粒子は、例えば、Si、Ge等の半導体、CdSe、CdS、InP、Bi2S3、PbS、ZnS、InN、CuInS2、CuInSe2、GaAs等の化合物半導体やこれらに不純物を適宜ドープしたものを材料として用いることができる。電子輸送層3としてZnOやTiO2を用いる場合、バンドマッチング上、無機半導体ナノ粒子としてCdSe、CdS、InP、CuInS2、CuInSe2を特に好適に用いることができる。なお、無機半導体ナノ粒子は、量子サイズ効果を発現し得るナノ粒子であることが好ましく、ナノ粒子の半径は有効ボーア半径以下の値となるものが良い。上記の材料では、20nm以下の粒径とすることが好ましい。これにより、無機半導体ナノ粒子における吸収光量が増大し、結果として光電変換装置の短絡電流値が向上する。また、無機半導体ナノ粒子の粒径の下限は、1分子の大きさ以上、すなわち1〜2nm程度以上となる。
無機半導体ナノ粒子の製法としては、大別して気相法と液相法がある。気相法としては、蒸発凝縮法や気相反応法があり、前者の蒸発凝縮法としては抵抗加熱法、高周波誘導加熱法、プラズマ加熱法、電子ビーム加熱法、レーザビーム加熱法、スパッタリング法を用いることができる。後者の気相反応法としては、MOCVD法、プラズマCVD法、電気炉法、化学炎法、レーザ法等を用いることができる。一方、液相法としては、コロイド法、均一沈殿法、アルコキシド法、水熱合成法、およびマイクロエマルジョン法等の化学沈殿法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、および噴霧熱分解法等の溶媒蒸発法がある。無機半導体ナノ粒子の粒径制御に優れた手法としては、逆ミセル法やホットソープ法があり、マイクロセルやマイクロチューブを反応場とした製法も好適に用いることができる。
一方、無機半導体ナノ粒子に付着する導電性有機配位子は、それ自体が導電性を有する。これにより、無機半導体ナノ粒子内で形成され表面に拡散したキャリアを、導電性有機配位子をパスとして円滑に電子輸送層3または正孔輸送層7へと効率的に注入することが可能となる。また、導電性有機配位子内で生成したキャリアも、電子輸送層3または正孔輸送層7へ伝送される場合には、発電キャリアとして寄与し、また、そのキャリアが無機半導体ナノ粒子内に注入される場合には、同部の光励起状態を安定化させ、無機半導体ナノ粒子から電子輸送層3または正孔輸送層7へのキャリア注入効率向上と、無機半導体ナノ粒子自体の化学変化の抑止に寄与することが期待できる。
また、導電性有機配位子内にはπ結合(導電性有機配位子の構成原子の軌道電子のπ型結合)が存在していることが好ましく、これにより電子が非局在化して導電性を有するようになる。さらに共役化した場合には、光吸収応答特性やひずみに関する順応性が向上する。高分子から成る導電性有機配位子を用いる場合にも、π共役電子系では炭素原子のp軌道のうち、高分子面に垂直方向を向いた軌道が分子鎖方向に重なりを持つことにより、高分子全体に共役した電子状態が形成され、導電性を保持することが可能となる。また、高い導電性を得るためにはドーピングを施すことも重要となる。
上記の導電性有機配位子として、具体的にはチオフェン、ビーチオフェン、ターチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)等のポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)等のポリ(3−アルコキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等のチオフェン誘導体から成ることが好ましい。また、上記チオフェン誘導体にカチオンまたはアニオンをドープしたものを用いてもよく、例えば、無機酸、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基を含有する有機酸性化合物、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン等をドープすると、導電性が向上し好ましい。さらに、キラルなチオフェン誘導体を少なくとも一種含むように複数種のチオフェン誘導体を混合して用いると、光学応答性が向上して好ましい。
導電性有機配位子を無機半導体ナノ粒子に付着形成するには、無機半導体ナノ粒子自体の形成時に導電性有機配位子の付加または置換処理を施すか、電子輸送層3上に無機半導体ナノ粒子を形成した後に導電性有機配位子を含む溶液を用いて電解重合させる等の手法が挙げられる。特に、後者の手法を用いて形成する場合、導電性有機配位子としてチオフェン誘導体を用いることが特に好ましい。これは、チオフェンモノマーを出発原料として電解重合する際に、チオフェンが電子輸送層3の多孔質細孔内へ容易に拡散し、結果として電子輸送層3の膜厚方向に導電性有機配位子を均一形成することが可能であるからである。
光励起体4は以上の方法によって形成され、主として無機半導体ナノ粒子内で励起されたキャリアを、導電性有機配位子を通してキャリア輸送部へと注入することにより、効率的なキャリア収集が可能となる。その結果、光電変換装置において、比較的高い開放電圧と短絡電流値を安定して得ることが可能となる。
対向基板5は、対向電極層6等の支持体としての機能を有するものであればよく、例えばガラス基板、プラスチック基板、プラスチック膜(プラスチックシート)、無機物透明結晶体などの透光性材料から成る基板やシート、または金属基板、金属フィルム、セラミック基板等の有色材料から成る基板やシートを用いることができる。
対向電極層6は、高い導電性を有する材料から成ることが好ましく、金属や透明導電層が好適に用いられる。具体的には、金属ではAg、Al、Cu、Ti、Ni、Fe、Zn、Mo、Wまたはそれらの1種以上の化合物、透明導電層ではFまたはSbをドープしたSnO2、SnO2,Mn,MoをドープしたIn2O3、In4Sn3O12のようなIn2O3−SnO2複合酸化物が挙げられる。
また、電解液を正孔輸送層7として用いる場合、電解液中のレドックスイオンの還元反応を充分な速度で行わせるために、対向電極層6上に白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等の触媒層を形成することが好ましい。
なお、対向電極層6のシート抵抗は20Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下であり、これを達成するために、平面視において網目状のパターンとされた金属層からなる取り出し電極を付加形成してもよい。取り出し電極の材料としては、Ag、Al、Cu、Ti、Ni、Fe、Zn、Mo、Wまたはそれらの1種以上の化合物を用いることができる。
また、対向基板5が充分に低抵抗な材料から成る場合、対向電極層6を省いて対向基板5に電極機能を持たせることもできる。
正孔輸送層7は、電解液から成る場合、例えば塩化カリウムまたは水酸化ナトリウムと硫化ナトリウム、または硫黄を含有する材料を水溶液としたものが用いられる。他には、アセトニトリルまたはメトキシプロピオニトリルなどに、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素などを混合し調製したものを用いることができる。
上記のものに代わる正孔輸送層7の材料としては、透明導電性酸化物、ゲル電解質や固体電解質などの電解質、有機正孔輸送剤、極薄膜金属などが挙げられる。
透明導電性酸化物としては、CuI、Cu2O、CuS、CuInSe、CuInS、CuSCN、CoO、NiO、FeO、MoO2およびCr2O3等が挙げられる。
ゲル電解質は、大別して化学ゲルと物理ゲルに分けられる。化学ゲルは、架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものであり、物理ゲルは、物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものである。ゲル電解質としては、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはそれらの混合物に対し、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのホストポリマーを混入して重合させたゲル電解質が好ましい。
なお、ゲル電解質や固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆体を酸化物半導体層に含有させ、加熱、紫外線照射、電子線照射などの手段で二次元、三次元の架橋反応をおこさせることによってゲル化または固体化できる。
イオン伝導性の固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドもしくはポリエチレンなどの高分子鎖にスルホンイミダゾリウム塩、テトラシアノキノジメタン塩、ジシアノキノジイミン塩などの塩をもつ固体電解質が好ましい。ヨウ化物の溶融塩としてはイミダゾリウム塩、第4級アンモニウム塩、イソオキサゾリジニウム塩、イソチアゾリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩などのヨウ化物を用いることができる。
上述のヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1,メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。
有機正孔輸送剤としては、トリフェニルジアミンやOMeTAD(2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenyl−amine)9,9’−spirrrobifluorene)などが挙げられる。イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩およびピリジニウム塩等の溶融塩電解質や、LiI、NaI、KIおよびCaI2とI2の混合物、またはLiBr、NaBr、KBrおよびCaBr2とBr2の混合物をアルコール類、ニトリル化合物、カーボネート化合物に溶解させた電解液、有機ポリシランが好適に用いられる。
封止材8は、正孔輸送層7材料に対する腐食耐性、吸湿防止機能を有し充分な接着強度を有するものがよく、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、UV硬化樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂またはその複合物などを用いることができる。
本発明の光発電装置は、上記本発明の光電変換装置を発電手段として用い、その発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成したものであり、本発明の光電変換装置を用いているため、上記本発明の光電変換装置の作用効果を利用した、光電変換効率が高く長期信頼性に優れた光発電装置となる。本発明の光発電装置は、従来のシリコンを用いた太陽電池よりも低コストで小型軽量のものであり、家屋等の建築物の屋根や壁に設置される太陽電池、家屋等の建築物内の壁等に設置される光電変換装置、屋内外で使用可能な携帯機器用電源、自動車部品の小型電源、ウェアラブル電源等として用いることができる。
まず、基板1となる厚さ1.1mmのガラス基板上に、電極層2となるフッ素ドープ酸化錫が熱CVD法によって形成されたものを用いて、以下のように光電変換装置の作製を行った。電極層2のシート抵抗は約10Ω/□であった。
次に、同基板1上に電子輸送層3となるTiO2層を部分的に形成した。具体的には、基板1上に形成した電極層2上に、ゾルゲル法で作製した平均粒径約10nmのTiO2を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布し、室温で予備乾燥させた後、マッフル炉内で450℃、30分の焼結熱処理を行なった。更に、焼結形成されたTiO2層上に、平均粒径約20〜100nmのTiO2のペーストを、上記のペースト量の20%程度の分量でスクリーン印刷法により塗布し、同じく室温で予備乾燥させた後、マッフル炉内で450℃、30分の焼結熱処理を行なった。このとき、焼結後のTiO2層の合計の膜厚は約10μmであり、多孔質状であった。この後、基板1全体を0.1mol/lの四塩化チタン溶液に12時間浸漬した後、再度マッフル炉内で450℃、30分の熱処理を行なった。
次に、電子輸送層3上に光励起体4の無機半導体ナノ粒子部分となるCdSe(セレン化カドミウム)ナノ粒子の形成を行なった。まず、K2SO3(亜硫酸カリウム)およびSe(セレン)をそれぞれ75mmol/lとなるように脱イオン水に溶解させたものを準備した。この水溶液と、75mmol/lのCdSO4(硫酸カドミウム)水溶液と、150mmol/lのニトリロ三酢酸三ナトリウム水溶液とを混合し、これに上記の工程で作製した基板1を24時間浸漬した。
次に、光励起体4の導電性有機配位子部分となるチオフェンおよびチオフェン誘導体を形成すべく、チオフェンモノマーを0.01〜2mol/l、支持電解質として過塩素酸リチウムを0.1mol/lの濃度となるようにアセトニトリルに溶解させ、同溶液中で基板1を作用極側、電解槽中の棒状の白金電極(図示せず)を対極側として電解槽中で電解重合を行なった。このとき、電解重合時の電位差は0.1〜2Vと設定し、処理後には脱イオン水およびエタノールで洗浄し、常温で乾燥させた。
次に、対向基板5となるガラス基板上に対向電極層6となるフッ素ドープ酸化錫およびPt層をパターン形成したものと、上記光励起体4まで形成した基板1とを、それらの周縁部に封止材8となる熱可塑性エポキシ樹脂を塗布し対向配置させ、対向基板5に形成された電解液の注入孔(不図示)を塞がないようにして、封止材8の部位を局部的に加熱することにより基板1および対向基板5の周囲を封止した。
引き続き、対向基板5に設けた注入孔より、正孔輸送層7となる0.5mol/lのKCl(塩化カリウム)水溶液、および0.1mol/lのNa2S(硫化ナトリウム)水溶液を混合したものを注入した。最後に、電解液の注入孔をエポキシ樹脂により封止した。
以上によって作製した光電変換装置について、入射光強度が100mW/cm2に調整された擬似太陽光、すなわちキセノンランプを光源として、紫外線および赤外線をフィルタでカットして、地上にて計測される太陽光スペクトルに近似させた光を照射し、特性評価を行なった。また、比較例(従来例)1として、上記の実施例1において導電性有機配位子の作製工程をすべて省いた光電変換装置についても同様の評価を行なった。
その結果、本発明の実施例1の光電変換装置の光電変換効率は2.18%であり、比較例1の1.25%を大きく上回る特性が実現された。また、分光感度特性(図2のIPCE:Incident Photons to Current conversion Efficiency;入射単色光あたりの光電変換効率)においても、本発明の実施例1では、短波長領域を除く可視光領域において比較例1を上回る結果が得られた。これらの結果より、無機半導体ナノ粒子と導電性有機配位子とによって光励起体を構成することにより、効率的に励起キャリアが電極層2に収集されたことを示している。
実施例1と同様にして、基板1上に電極層2を形成し、電極層2上に電子輸送層3となるTiO2層を形成した。さらに、電子輸送層3上に、光励起体4の無機半導体ナノ粒子部分となるCuInS2(硫化インジウム銅)ナノ粒子の形成を行なった。まず、15mmol/lのCuSO4(硫酸銅)水溶液、10mmol/lのIn2(SO4)3(硫酸インジウム)水溶液、および350mmol/lのNa2S2O3(チオ硫酸ナトリウム)水溶液を混合し、これに電子輸送層3まで形成した基板1を48時間浸漬した。その後、マッフル炉にて400℃、1時間の熱処理を行なった。
次いで、光励起体4の導電性有機配位子部分となるチオフェン誘導体を形成すべく、3−メチルチオフェンモノマーを0.1〜1mol/l、支持電解質として過塩素酸テトラエチルアンモニウムを0.1mol/lの濃度となるようにニトロベンゼンに溶解させ、同溶液中で基板1を作用極側、白金電極(図示せず)を対極側として電解重合を行なった。このとき、電解重合時の電位差は0.1〜2Vと設定し、処理後には脱イオン水およびエタノールで洗浄し、常温で乾燥させた。
次に、上記実施例1に従って光電変換装置を作製し、入射光強度が100mW/cm2に調整された擬似太陽光を照射し、特性評価を行なった。また、比較例(従来例)2として、上記実施例2において導電性有機配位子の作製工程をすべて省いた光電変換装置を作製し、同様にその評価を行なった。その結果、本発明の実施例2の光電変換装置の光電変換効率は1.86%であり、比較例2の0.59%を上回る特性が実現された。
1:基板
2:電極層
3:電子輸送層
4:光励起体
5:対向基板
6:対向電極層
7:正孔輸送層
8:封止材
2:電極層
3:電子輸送層
4:光励起体
5:対向基板
6:対向電極層
7:正孔輸送層
8:封止材
Claims (4)
- 基板と、該基板の一主面に形成された電極層と、該電極層上に形成された、光励起体を含有する多孔質の電子輸送層と、該電子輸送層上に形成された正孔輸送層と、該正孔輸送層上に形成された対向電極層とを具備しており、前記光励起体は、導電性有機配位子が付着した無機半導体ナノ粒子から成ることを特徴とする光電変換装置。
- 前記導電性有機配位子はπ結合を有していることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
- 前記導電性有機配位子はチオフェンまたはチオフェン誘導体から成ることを特徴とする請求項2記載の光電変換装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光電変換装置を発電手段として用い、該発電手段の発電電力を負荷へ供給するように成したことを特徴とする光発電装置。
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