JP2006228917A - InP系受光素子とInP系受光素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 InP系の受光素子の反射防止膜はSiN、SiONなどであるが、これは樹脂で包囲される表面実装型の光モジュールの要素としての受光素子の反射防止膜としては適当でない。樹脂と接触する受光面にふさわしい反射防止膜を与えることが目的である。
【解決手段】 TiOとSiONを組み合わせた2層の反射防止膜を、InP系受光素子の受光面に形成する。樹脂の屈折率hを1.2〜1.6とし、樹脂・TiO・SiON・InPというように屈折率が一部反転する甲型の場合は、TiOの厚みを光波長で割った値は0.078〜0.040、SiONの厚みを光波長で割った値は0.022〜0.067とする。樹脂・SiON・TiO・InPというように屈折率が昇順に並ぶ乙型の場合は、SiONの厚みを光波長で割った値は0.094〜0.036、TiOの厚みを光波長で割った値は0.057〜0.094とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、樹脂封止するInP系受光素子における反射防止膜の構造に関する。InP系半導体受光素子はn型InP基板の上にn−InPバッファ層、InGaAs(又はInGaAsP)受光層(光吸収層ともいう)、n−InP窓層などをエピタキシャル成長させてマスクをしてp型不純物を拡散して素子の上方中央部にp領域をつくり受光層の内部にpn接合を形成しn型基板にn電極を、p領域にp電極を付けたものである。n電極(カソード)とp電極(アノード)の間に逆バイアスを掛けて受光層へ光を入射させるようにしている。光が受光層へ入ると電子正孔対ができてそれがpn接合を越えるときに電流が流れて光を検出することができるようになっている。
光が入る側の電極はリング状とかドット状になっており光ができるだけ効率よく入射するようになっている。波長によってすこし変わるが光通信用の波長において、InPの屈折率は高くて3.3程度もある。Siも屈折率は3.4程度である。大気の屈折率は1であり屈折率の差が大きい。そのため界面での光の反射が著しい。
そこで反射防止膜を受光素子の入射側に付けることが多い。反射防止膜というのは素子と外界の境界面で光が反射するのを防ぐための薄膜である。本発明は樹脂で被覆されるInP系受光素子の反射防止膜に関する。
特開平5ー82827反射防止膜形成
S. Sakai、M.Umeno,T.Aoki、M.Tobe,& Y.Amemiya,"InGaAsP/InP Photodiodes Antireflectively Coated with InP Native Oxide",IEEE J.of Quantum Electronics。Vol.15,No.10,p1077(1979)
非特許文献1はInPそのものを陽極酸化しそれを反射防止膜としたInP基板上のInGaAsPフォトダイオードを提案している。陽極酸化したInPOxはアニールの時間と温度によって屈折率と膜厚が変化するが、光通信波長での屈折率が1.5の程度であり、かなり反射損失を減少させることができたと述べている。最少の反射損失は6%であったと主張している。
それは初期のものでありその後は透明の薄膜(SiO、SiN、SiON)を付けることによって反射防止膜とすることが多いようである。透明であって中間の屈折率をもっており膜として安定でInPとの密着性が良ければ反射防止膜として適しているといえる。
SiOは屈折率が1.44の程度であるからこれも反射防止膜として使う事ができる。SiONは屈折率が1.8であるからより反射損失を減らすことができる。これらの膜はpn接合を保護し暗電流を減らすという作用もある。
特許文献1は半絶縁性のInP基板の上にn−InP層、n−InGaAs光吸収層、n−InP窓層を設け、素子一単位の一部分にp型不純物をInP窓層からマスクを通して拡散してp領域を形成し、素子の中間部においてn−InP窓層、InGaAs光吸収層、n−InP層までを除去して素子を二分し2つのメサをつくり、第1のメサにp領域の上に反射防止膜をつけ、p領域の一部に接合し第2のメサにいたるp電極を形成し、第1メサのn−InP窓層の上にn電極を形成したものである。これは第1メサのみがp領域をもちその上にSiNの反射防止膜が設けられる。このSiN(窒化シリコン)は反射防止膜であって同時にパッシベーション膜となっている。
特許文献1はそのような2メサの素子はSiNが反射防止膜だけでなく二つのメサを覆うようになり面積が広いから、λ/4の厚さのSiN膜であると200nm程度の厚みしかなく薄すぎて静電容量が大きくなり応答動作が遅くなるということを問題にしている。それでSiN膜を1/4波長ではなくて、より厚く(2n+1)/4波長(nは整数)にしたというのが特許文献1の発明である。たとえばn=2とすれば1000nm厚みのSiN膜を反射防止膜兼用パッシベーション膜とすることができる、というわけである。
金属カンパッケージの中にフォトダイオードを実装し窒素などを入れで封止したタイプの受光素子がよく使われてきた。金属パッケージは封止が完全で水分などの汚染がなく電磁ノイズにも強いという長所がある。その場合は受光素子の外界は気体(窒素、不活性ガス)であり、屈折率は1なので、反射防止膜はSiNの1/4波長膜でよい。ところが金属パッケージタイプのものは容積が大きくコスト高であるという欠点がある。そこで光通信デバイス分野では低コスト化、集積化を目的として、樹脂封止による表面実装やポリイミド導波路などの樹脂と受光素子との光学的な接続の試みが行われている。
その場合はフォトダイオードの外界は空気でなく樹脂となる。従来例として説明したInP陽極酸化膜、SiO、SiN、SiONの反射防止膜は空気(n=1)とInP(n=3.3)との界面を前提として設計・成膜されたものである。表面実装受光素子でもSiO、SiN、SiONなどInP系受光素子の反射防止膜として使うようである。それは反射防止膜として十分な実績もあって信頼性も高いからである。
しかし実際には問題がある。それらSiO、SiN、SiONなどをそのまま表面実装型光受信モジュールの受光素子の反射防止膜に使用すると樹脂/半導体界面で反射がおこり、信号光を十分に取り込めず光学的な損失を生じる。
従来から広く使われている反射防止膜である、SiN、SiONは入射側の媒質が気体(空気、窒素、Arなどを含む)であり、樹脂中に封止する場合に適合する屈折率が得られない。
図12によって外界が樹脂である場合の反射の問題を説明する。中間層の屈折率がm、厚みがdでありその下に半導体層がありその屈折率がnである。上部にあるのは気体でなくて樹脂であって屈折率は1でない。樹脂によって屈折率は異なるが、封止に良く使われる透明樹脂の屈折率hは大体1.4〜1.9程度の値をもつ。本発明はどのような屈折率の樹脂にも適用できる。しかし一般の値で説明すると具体性を欠き直観性が乏しいので以後一つの例によって説明する。樹脂の屈折率はたとえばh=1.46であるとする。
図12のように、垂直入射の場合、第1境界での反射振幅は、r=(h−m)/(h+m)となる(左側の図)。第1境界を透過する光の振幅はq=2h/(h+m)であり、第2境界での反射の振幅はr=(m−n)/(m+n)である。それが第1境界へ戻ったときの透過振幅はq=2m/(h+m)である(右側の図)。中間層(反射防止膜)の厚みdによる位相の変化がありこれにexp(2jkd)がかかる。第2境界で反射され中間層を通ってきた光と第1境界で反射された光が打ち消し合えば反射は完全に防止できる。その条件は、
+qexp(2jkd)=0 (1)
ということである。具体的に書き下すと、
(h−m)/(h+m)+{2h/(h+m)}{(m−n)/(m+n)}{2m/(h+m)}exp(2jkd)=0 (2)
ということである。4hm/(h+m)を1とみなす近似をすると、この式は
(h−m)/(h+m)+(m−n)/(m+n)exp(2jkd)=0 (2)’
図13はこの式の関係を表す。これは複素平面での点Oを中心とする円である。矢印OF,OSは第1境界、第2境界での反射である。第1境界での反射の長さは(−h+m)/(h+m)でこれは正の値である。この例で反射振幅の値は大抵負であるが複素平面上に負数で表現すると直感性に欠ける。マイナスを掛けて正の数にして複素平面に表すことにする。
Fは中間層を表す。φは第2境界での反射光の位相遅れであってφ=2kd=4πmd/λである。(2)は複素数の式なので実数部と虚数部がともに0になる。完全に反射光が打ち消すというのは第2境界での反射光OS(Sは半導体からの反射という意味)が、丁度180度(φ=π)の方向をむき長さ(−m+n)/(m+n)が先ほどの(−h+m)/(h+m)に等しければ良いということである。
exp(2jdk)=−1というのはdm=λ/4という4分の1波長条件である。それは最適の厚みdを決定するものであるが材質を決めるものではない。反射防止膜と言えば4分の1波長という通念があり、材質に対する十分な省察がなされていないと本発明者は考える。
4分の1波長条件を離れて材料を決定することができる。exp(2jdk)=−1とおいて(2)式は、
(h−m)(m+n)=4hm(n−m) (3)
となる。nを与えると厳密なmの値を求めることができる。3次方程式だから一般解を簡単に示すことはできない。先ほどと同じように(2)式において、4hm/(h+m)を1とみなす近似をすると、exp(2jdk)=−1という4分の1波長(λ/4)条件を仮定して、
(hーm)/(h+m)=(m−n)/(m+n) (4)
ということになる。この解は
m=(hn)1/2 (5)
である。下地の半導体屈折率nと、包囲媒質である樹脂屈折率hの積の平方根がmの最適解だということである。これが材料を決めるための式となる。従来の金属パッケージに封入された受光素子の場合はhが1になっていたのであるが、樹脂で囲まれた表面実装型の場合は1でなく樹脂の屈折率hがはいる。
たとえば、InPの屈折率を3.3とし、樹脂の屈折率を1.46とすると、最適の中間層の屈折率は
m=2.19 (6)
となる。InPの陽極酸化膜は屈折率が1.5で、SiOは1.4であった。これまで用いられたInP系受光素子の反射防止膜材料で屈折率のもっとも大きいSiONでも1.8であった。いずれにしても2より小さくて不適当だということがわかる。
樹脂によって包囲された受光素子はこれまでの気体に接触する受光素子とは異なるもっと高い屈折率の反射防止膜を要求しているのである。ぴったり2.19の屈折率の材料があればよいのである。が、それがない。最適屈折率でない材料で反射防止膜を作る必要がある。
mが最適の値からずれるとどのように最小反射損失Qbが生じるのか?それは(2)式において、4hm/(h+m)を1とみなす近似をして、(4)式の不平衡分となるので、
Qb=|(h−m)/(h+m)−(m−n)/(m+n)| (7)
というようになる。図14はそのような損失を図示している。外側の円の半径は前項の−(hーm)/(h+m)であり、内側の打点円の半径は後項の−(m−n)/(m+n)ある。複素数OKが合成の反射光である。φによって合成反射光OKはいろいろな大きさ、位相をとる。位相差がπのときに反射損失は最小値をとる。半径の差Qbが反射損失の最小値であって、厚みが4分の1波長条件(d=λ/4m)を満足する厚みの場合の値である。厚みがそれからずれるともっと大きくなる。”b”というのはdm=λ/4条件をみたしている最小値という意味である。
例えばh=1.46、n=3.31として、SiONの場合のm=1.80を採用したとしても(h−m)/(h+m)=−0.104、(m−n)/(m+n)=−0.295だから、その差は0.191であり、二乗して、
Qb(m=1.8)=0.036 (8)
となって、3.6%程度の反射損が残る。 それは図10の反射率のグラフでSiN膜の反射損失の最小値(1550nm)が3%強ということに対応する。
樹脂接触InP系受光素子の反射防止膜を作るためにはもっと高い屈折率の材料が必要である。先ほどの例で樹脂屈折率がh=1.46でmの最適値が2.19であると言うことを述べた。本発明は空気(窒素など)でなく樹脂によって覆われている受光素子の入射窓に最適の反射防止膜として、TiO/SiONの2重膜を提案する。光通信用光の波長に対してTiOは透明でありそのの屈折率は2.32である。それは最適値である2.19よりも大きい。そこでSiON(1.80)と組み合わせれば実効的に2.19の屈折率を実現する可能性がある。TiOが反射防止膜として使用されたことはない。新規の材料である。
二つの中間層を設けると境界の数が一つ増える。反射は3箇所で起こる。2層にするので自由度が増える。その増えた自由度が本発明を成り立たせる。厚みと順序が自由度である。順序に関して甲型と乙型を区別することができる。上から並べると次のようになる。
甲型:樹脂+TiO+SiON+InP
乙型:樹脂+SiON+TiO+InP
乙型というのは屈折率が小さいものから順に大きいものへと変化して行くものである。甲型は屈折率の順序が途中で反転しているものである。
甲型:屈折率の順 1.46、2.32、1.80、3.3
乙型:屈折率の順 1.46、1.80、2.32、3.3
そのような具体的な話は後にして、ここではより一般的に述べる。図15のように中間層を2層にするので上の中間層を上層と呼び、下の中間層を下層と呼ぶことにする。環境は樹脂Rである。その屈折率をhと書く。上層Eは屈折率をg、厚みをfとする。下層Fは屈折率をm、厚みをdとする。一番下にある半導体Sは屈折率をnとする。樹脂Rと上層Eの境を第1境界という。上層Eと下層Fの境を第2境界という。下層Fと半導体Sの境を第3境界という。入射光の振幅を1とする。
第1境界での反射光の振幅は(h−g)/(h+g)である。これは負の値であり位相が180度変わるということである。先述のように負数では直感性にかけるから複素数図ではマイナス”−”をつけて正の値として考える。
第1境界を通り抜けるのに2h/(h+g)の振幅変化があり、上から下へ上層Eを通り抜けるのでexp(jk’f)の波動の変化があり、第2境界での反射によって(g−m)/(g+m)の振幅変化があり、上層Eを下から上へ通り抜けるのでexp(jk’f)の変化があり、第1境界を通過するときに2g/(h+g)の変動がある。k’=2πg/λである。
だから第2境界の反射光振幅は{2h/(h+g)}{(g−m)/(g+m)}{2g/(h+g)}exp(2jk’f)である。4hg/(h+g)を1とみなす近似をすると、第2境界の反射振幅は{(g−m)/(g+m)}exp(2jk’f))と近似される。2k’f=4πgf/λ=θと書くと、{(g−m)/(g+m)}exp(θ)である。
同じようにして第3境界での反射光の振幅は、{2h/(h+g)}{(2g/(g+m)}{(m−n)/(m+n)}{2m/(g+m)}{2g/(h+g)}exp(2jk’f+2jkd)である(k=2πm/λ)である。2kd=4πmd/λ=φとおく。これも4hg/(h+g)、4gm/(g+m)を1とみなす近似をすると、第3境界での反射振幅は{(m−n)/(m+n)}exp(φ+θ)と近似される。ここまで説明したものはいずれも1回の反射で外部へ出て行くものである。
その他にも上層での多重反射、下層での多重反射があるが、1回反射の和が0であれば、多重反射の和も0である。だから第1境界での反射E、第2境界での反射F、第3境界での反射Sの和が0という条件を課すことにする。それは
(h−g)/(h+g)+{2h/(h+g)}{(g−m)/(g+m)}{2g/(h+g)}exp(2jk’f)+{2h/(h+g)}{(2g/(g+m)){(m−n)/(m+n)}{2m/(g+m)}{2g/(h+g)}exp(2jk’f+2jkd)=0 (9)
という式になる。これは自由度が先ほどのものより増えており、厚みf、dが自由パラメータとなる。これは厳密式であるが複雑で直観性に欠けるので先ほどの4hg/(h+g)、4gm/(g+m)を1とみなす近似をし、φ=2k’f、θ=2kdとすると、
(h−g)/(h+g)+{(g−m)/(g+m)}exp(φ)+{(m−n)/(m+n)}exp(φ+θ)=0 (10)
となる。3つの項は負の係数であるがそれでは表現しにくいのでーをつけて正の値にして、図16、図17に複素数として表している。1項目をOEで、2項目をOFで、3項目をOSで表現している。図16は分かりやすく係数が全て等しくて位相角θ、φが120度(2π/3)である例を図示している。これは理解を容易にするための架空の解である。それは
上層屈折率 g g=h2/31/3 (11)
下層屈折率 m m=h1/32/3 (12)
という屈折率の解をもつ。厚みは
上層厚み f f=λ/6g=λh−2/3−1/3/6 (13)
下層厚み d d=λ/6m=λh−1/3−2/3/6 (14)
ということである。f、dともに6分の1波長の実効厚みをもつことになる。
しかし(11)、(12)のような都合の良い屈折率の材料はなかなか存在しないものである。たとえばh=1.46(樹脂)、n=3.3(InP)とすると、
上層屈折率 g g=1.91 (15)
下層屈折率 m m=2.50 (16)
となる。これは机上の空論、架空の解である。そのような屈折率の材料がないからである。であるが、図16の複素数ダイアグラムを使って理解しやすい典型解であるのではじめに説明した。
より一般的には図17のように成れば良いのである。OEが(16)の1項にあたり、第1境界での反射で(−h+g)/(h+g)の大きさをもつ。OFが(16)の2項に当たり、第2境界での反射での大きさをもち、位相角θは4πgf/λである。OSが(16)の3項に当たり、第3境界での反射で(−m+n)/(m+n)の大きさをもつ。3つの振幅(−h+g)/(h+g)、(−g+m)/(g+m)、(−m+n)/(m+n)の大小関係はh、g、m、nの値によってさまざまである。ここでは第1項を大きく書いているが実際には、2項、3項の方が大きいこともある。第3境界反射光の位相角はθ+φで、φ=4πmd/λである。位相も含めてこれら3項の合計が0であればよいのだから、係数自体が全て等しくなくて良いのである。図17に示すように
OF+OS=OW=−OE (17)
であればよいのである。Wは基礎円Uの180度の点である。そのようになるにはどうすればよいのか?というと、φ、θは自由変数だから、
|OF|+|OS|≧|OE| (18)

であればよいのである。|OF|と|OS|の和に下限がある。|OF|、|OS|に上限は存在しない。無限大であってもよい。その場合、θはπ/4に、φはπに収束する。下限を与える(18)式は
(−g+m)/(g+m)+(−m+n)/(m+n)≧(−h+g)/(h+g) (19)
というように書くことができる。それはh(樹脂屈折率)、n(半導体屈折率)を既知として、上層、下層の屈折率g、mに制限を与えるものである。
−3mg−ng+hm−gm−mgh+ngh+3mnh+mng≧0
(20)
ということである。パラメータが4つあるのでそれぞれに対する条件となっている。h、nを既知として、g、mに限定を与えるが、g、mも材料を決めるときまるのであるから、これは反射損失を0にできるかどうかの判別式と考えることもできる。甲型と乙型について具体的に計算をしてみよう。
(乙型) たとえば、h=1.46、g=1.80、m=2.32、n=3.31とすると
|OE|=(−h+g)/(h+g)=0.104 (21)
|OF|=(−g+m)/(g+m)=0.126 (22)
|OS|=(−m+n)/(m+n)=0.175 (23)
となるが、これは(24)式|OF|+|OS|≧|OE|を満足する。
(甲型) あるいは、h=1.46、g=2.32、m=1.80、n=3.31とすると
|OE|=(−h+g)/(h+g)=0.228 (24)
|OF|=−(−g+m)/(g+m)=0.126 (25)
|OS|=(−m+n)/(m+n)=0.295 (26)
となるが、これは(18)式|OF|+|OS|≧|OE|を満足する。g>mであるから|OF|の式に負号がつく。
(19)、(20)が4つの層の屈折率h,g,m,nの選択が反射を完全に0にできるかどうかを判定する式であることがわかった。樹脂が1.46、InPが3.31の屈折率を持つ場合、SiON(1.80)とTiO(2.32)は,乙型(屈折率が昇順:SiONが上層、TiOが下層)でくみあわせても、甲型(屈折率順が途中反転:TiOが上層、SiONが下層)でくみあわせても、反射を完全に0とすることができる。
屈折率が決まるから、反射損失が0という条件で位相角θ、φも一義的に決まる。乙型の場合と甲型の場合で位相角が異なる。
[甲型の場合(樹脂:TiO:SiON:InP)の設計]
甲型の場合屈折率が一部反転してあるから、図18に示すように、θ+φがπを越えないようになる。つまり膜厚をより薄くできるということである。甲型の場合、上から順に樹脂;TiO;SiON;InPというように並ぶということで図20のような層構造となる。屈折率の順は、1.46、2.32、1.80、3.31ということである。図19から、
|OE|−|OF|cosθ+|OS|cos(θ+φ)=0 (27)
−|OF|sinθ+|OS|sin(θ+φ)=0 (28)
となる。|OF|に負号がついていることに注意すべきである。上層(g,f:TiO)のほうが下層(m,d:SiON)より屈折率が大きい(g>m)ので(g−m)/(g+m)が負にならず正になる。それはθの位相を180゜進めたのと同じような作用がある。だから上のような式となるのである。180゜位相を進めるので全体としての膜厚を減らすことができる。
甲1.[甲型の場合(樹脂:TiO:SiON:InP)の近似解]
甲型の場合、近似値は(24)〜(26)で、
|OE|=0.228、|OF|=0.126、|OS|=0.295であることが分かっているので、
0.228−0.126cosθ+0.295cos(θ+φ)=0 (29)
−0.126sinθ+0.295sin(θ+φ)=0 (30)
となる。これらの式から
θ=109゜=1.902 (31)
φ=47゜=0.82 (32)
と計算される。これは甲型の場合(図20)である。θ+φ=156゜であって、180゜を越えない。角度θ、φが決まると、上層(TiO)の厚みf,下層(SiON)の厚みdが決定される。
4πgf/λ=1.902 (33)
4πmd/λ=0.82 (34)
g=2.32、m=1.80であるから、
f/λ=0.065 (35)
d/λ=0.036 (36)
となる。これは上層の厚み/波長の比が0.065であり、下層の厚み/波長比が0.036だということである。どのような波長λでも反射光を0にする厚みを求めることができる。反対に波長λを決めなければ厚みが決まらない。例えばλ=1550nmとすれば、上層厚みf,下層厚みdは
f=100nm (37)
d= 56nm (38)
というようになる。これは乙型(図19)の場合でInPの上にSiON(56nm)、その上にTiO(100nm)、その上に樹脂があるという構造となっている。
甲2.[甲型(樹脂:TiO:SiON:InP)の厳密解]
甲型に関する上の計算は、近似的な計算である。境界層における減衰を無視し透過率を1とみなす近似をしている。より厳密には境界層での透過減衰も考慮する必要がある。第1境界での透過減衰は4hg/(h+g)=0.9482であり、第2境界での透過減衰は4mg/(g+m)=0.9126となる。屈折率の順が逆転しているので透過減衰は乙型より大きくなる。甲型の場合、近似値を与える(24)〜(26)のかわりに
|OE|=0.228 (39)
|OF|=0.126×0.9482=0.119 (40)
|OS|=0.295×0.9482×0.9126=0.255 (41)
が厳密な値である。これを用いると前述の(27)、(28)式は
0.228−0.119cosθ+0.255cos(θ+φ)=0 (42)
−0.119sinθ+0.255sin(θ+φ)=0 (43)
となる。これらの式から
θ=88.8゜=1.550 (44)
φ=63.4゜=1.106 (45)
と計算される。これは甲型の場合(図21)である。図23に比率を正しく表現した複素平面での大きさをしめす。θ+φ=152゜であって180゜に満たない。図23に比率を正しく表現した複素平面での大きさをしめす。つまり膜厚が薄くなる。それは甲型の特長である。角度θ、φがきまると、上層(TiO)の厚みg,下層(SiON)の厚みdが決定される。
4πgf/λ=1.550 (46)
4πmd/λ=1.106 (47)
g=2.32(TiO)、m=1.80(SiON)であるから、最適厳密解が
f/λ=0.053 (48)
d/λ=0.049 (49)
となる。これは上層(TiO)の厚み/波長の比が0.053であり、下層(SiON)の厚み/波長比が0.049だということである。甲型においてもどのような波長λでも反射光を0にする厚みを求めることができる。反対に波長λを決めなければ厚みが決まらない。例えばλ=1550nmとすれば、上層厚みf,下層厚みdの最適厳密解は
f=82nm(上層:TiO) (50)
d=76nm (下層:SiON) (51)
というようになる。これは甲型(図20)の場合でInPの上にSiON(76nm)、その上にTiO(82nm)、その上に樹脂(h=1.46)があるという構造となっている。これは厳密解である。先ほどの近似解とは違う。
実際の製造の際はやむをえない製造誤差もあるので、厳密解と先ほどの近似解の差を厳密解の両側に配分した領域にいれるようにすればよい。そうなればほぼ100%に近い無反射の反射防止膜を実現できる。
100%無反射に近い条件
(甲型) f/λ(TiO)=0.041〜0.065 (52)
d/λ(SiON)=0.036〜0.062 (53)
特にλ=1550nmの場合では、厚みの100%無反射に近い条件
f(TiO)=64〜100nm (54)
d(SiON)=56〜96nm
(55)
甲3.[甲型(樹脂:TiO:SiON:InP)の樹脂屈折率を変えた場合]
全て材料が全部一義的に決まっているわけではない。SiON、TiO、InPは決まっているが、樹脂はさまざまである。透明の樹脂といっても屈折率が1.46以外の樹脂も存在する。本発明はそのような樹脂にも適用できる。乙型の場合と同様に、樹脂の屈折率は1.2から1.6に限定する。
1.2≦h≦1.6 (56)
の透明樹脂を想定するということである。その場合にも、hが分かればf/λ、d/λを計算でき、λを決めるとf、dを計算することができる。ここではhが未知のパラメータとして計算をする。−(h−g)/(h+g)=sとおくことにする。g=2.32(TiO)、h=1.46であればsは0.228であったが、hが未知であるから、sは決まらない。h→1.2の極限でs→0.3182となり、h→1.6の極限でs→0.184となる。だからsの範囲は
0.184≦s≦0.318 (57)
である。透過減衰もわからないのであるが、厳密式の第2項以下は以前の透過減衰を採用して式は
s−0.119cosθ+0.255cos(θ+φ)=0 (58)
−0.119sinθ+0.255sin(θ+φ)=0 (59)
となる。この形からsが0.136以下で解がないことは明白である。
cosθ=(0.0509−s)/0.238s (60)
である。θが求まるので
sin(θ+φ)=+0.467sinθ (61)
からθ+φが計算され、φがわかる。例えば
(1)h=1.2(s=0.318)では
θ=131゜、φ=28゜、f/λ=0.078、d/λ=0.022
λ=1550nmの時 f=121nm、d=34nm
(2)h=1.3(s=0.282)では
θ=115゜、φ=40゜、f/λ=0.069、d/λ=0.031
λ=1550nmの時 f=107nm、d=48nm
(3)h=1.4(s=0.247)では
θ=100゜、φ=53゜、f/λ=0.060、d/λ=0.041
λ=1550nmの時 f=93nm、d=64nm
(4)h=1.5(s=0.215)では
θ=85゜、φ=68゜、f/λ=0.051、d/λ=0.052
λ=1550nmの時 f=79nm、d=81nm
(5)h=1.6(s=0.184)では
θ=67゜、φ=87゜、f/λ=0.040、d/λ=0.067
λ=1550nmの時 f=62nm、d=104nm
となる。これで1.2〜1.6での厳密解がいくつかわかった。hがわかれば厳密解はすぐに計算できる。
Figure 2006228917
範囲外についても計算しよう。範囲外の1.1と1.7のhについて考える。
(6)h=1.1(s=0.356)では
θ=154゜、φ=15゜、f/λ=0.092、d/λ=0.011
λ=1550nmの時 f=143nm、d=17nm
SiONの厚みdが薄すぎて意味がない。
(7)h=1.7(s=0.1542)では、sが小さすぎて解がない。
これらの結果から完全無反射という条件を入れて、甲型(樹脂/TiO/SiON/InPの組み合わせ)の場合、h=1.2〜1.6で、
θ=131゜〜67゜、
φ=28゜〜87゜、
f/λ=0.078〜0.040(TiO
d/λ=0.022〜0.067(SiON)
であり、λ=1550nmの場合は、
f=121nm〜62nm(TiO
d=34nm〜104nm(SiON)
であることがわかる。
[乙型の場合(樹脂:SiON:TiO:InP)の設計]
乙型の場合屈折率が昇順であるから、図17に示すように、θ+φがかならずπを越える。つまり膜厚がより厚くなる。屈折率が昇順ということは、上から順に樹脂;SiON;TiO;InPというように並ぶということで図19のような層構造となる。屈折率の順は、1.46、1.80、2.32、3.3ということである。図17から、
|OE|+|OF|cosθ+|OS|cos(θ+φ)=0 (62)
|OF|sinθ+|OS|sin(θ+φ)=0 (63)
となる。ここからθ、φを計算できる。
乙1.[乙型(樹脂:SiON:TiO:InP)の近似解]
乙型の場合、近似値を与える(21)〜(23)で、|OE|=0.104、|OF|=0.126、|OS|=0.175であることが分かっているので、
0.104+0.126cosθ+0.175cos(θ+φ)=0 (64)
0.126sinθ+0.175sin(θ+φ)=0 (65)
となる。これらの式から
θ=81.3゜=1.419 (66)
φ=144.1゜=2.515 (67)
と計算される。これは乙型の場合(図20)である。θ+φ=225゜であって180゜を越える。つまり膜厚が大きくなる。角度θ、φがきまると、上層(SiON)の厚みg,下層(TiO)の厚みdが決定される。
4πgf/λ=1.419 (68)
4πmd/λ=2.515 (69)
g=1.80、m=2.32であるから、
f/λ=0.0627 (70)
d/λ=0.0862 (71)
となる。これは上層の厚み/波長の比が0.0627であり、下層の厚み/波長比が0.0862だということである。どのような波長λでも反射光を0にする厚みをもとめることができる。反対に波長λを決めなければ厚みが決まらない。例えばλ=1550nmとすれば、上層厚みf,下層厚みdは
f=97nm (72)
d=134nm (73)
というようになる。これは乙型(図20)の場合でInPの上にTiO(134nm)、その上にSiON(97nm)、その上に樹脂があるという構造となっている。
乙2.[乙型(樹脂:SiON:TiO:InP)の厳密解]
上の計算は、近似的な計算である。境界層における減衰を無視し透過率を1とみなす近似をしている。より厳密には境界層での透過減衰も考慮する必要がある。第1境界での透過減衰は4hg/(h+g)=0.9891であり、第2境界での透過減衰は4mg/(g+m)=0.9841となる。屈折率が昇順で滑らかに変化しているので透過減衰が僅かなのである。乙型の場合、近似値を与える(21)〜(23)のかわりに
|OE|=0.104、 (74)
|OF|=0.126×0.9891=0.124 (75)
|OS|=0.175×0.9891×0.9841=0.170 (76)
が厳密な値である。これを用いると前述の(27)、(28)式は
0.104+0.124cosθ+0.170cos(θ+φ)=0 (77)
0.124sinθ+0.170sin(θ+φ)=0 (78)
となる。これらの式から
θ=84.0゜=1.465 (79)
φ=142.6゜=2.489 (80)
と計算される。これは乙型の場合(図19)である。図21に正確な比率を表している。θ+φ=226.6゜であって180゜を越える。つまり膜厚が大きくなる。角度θ、φがきまると、上層(SiON)の厚みg,下層(TiO)の厚みdが決定される。
4πgf/λ=1.465 (81)
4πmd/λ=2.489 (82)
この様な計算が以後なんどもでるが、ラジアンになおさず角度で計算するばあいは、4πを720度として計算すれば良い。g=1.80、m=2.32であるから、最適厳密解が
f/λ=0.0648 (83)
d/λ=0.0853 (84)
となる。これは上層の厚み/波長の比が0.0648であり、下層の厚み/波長比が0.0853だということである。どのような波長λでも反射光を0にする厚みをもとめることができる。反対に波長λをきめなければ厚みが決まらない。例えばλ=1550nmとすれば、上層厚みf、下層厚みdの最適厳密解は
f=100nm (85)
d=132nm (86)
というようになる。これは乙型(図19)の場合でInPの上にTiO(132nm)、その上にSiON(100nm)、その上に樹脂があるという構造となっている。これは厳密解である。先ほどの近似解とは違う。
実際の製造の際はやむをえない製造誤差もあるので、厳密解と先ほどの近似解の差を厳密解の両側に配分した領域に入れるようにすればよい。そうなればほぼ100%に近い無反射の反射防止膜を実現できる。100%無反射に近い条件は
f/λ=0.0627〜0.0669 (87)
d/λ=0.0843〜0.0862 (88)
特に、光の波長がλ=1550nmの場合。厚みの100%無反射に近い条件は以下のようになる。
f=97〜103nm (89)
d=130〜134nm (90)
乙3.[乙型(樹脂:SiON:TiO:InP)の樹脂屈折率を変えた場合]
全て材料が全部一義的に決まっているわけではない。SiON、TiO、InPは決まっている。が、樹脂はさまざまである。透明の樹脂といっても屈折率が1.46以外の樹脂も存在する。本発明はそのような樹脂にも適用できる。屈折率が1.80の樹脂は存在するかもしれないが、SiONの屈折率1.80と一致するから、SiONを反射防止膜とすることに意味がなくなる。1.80を越える屈折率の樹脂も存在するが、それより屈折率の小さいSiONは反射防止膜にならない。だから本発明の適用できる樹脂は屈折率が1.80未満である。
また屈折率が1の樹脂だとこれまでの気体封止(真空、窒素)のものと変わらないので本発明が適用される余地がない。ということは屈折率hが1<h<1.8というのが前提となる。hが1に近いとこれまでのSiN単層を使えばよいし、hが1.8に近いとSiONの使用は適切でない。
であるから要求されるhの範囲としては1.4を中心としてh=1.2〜1.6程度と考えられる。
1.2≦h≦1.6 (91)
の透明樹脂を想定するということである。その場合にも、hが分かればf/λ、d/λを計算でき、λを決めるとf、dを計算することができる。ここではhが未知のパラメータとして計算をする。−(h−g)/(h+g)=sとおくことにする。g=1.80、h=1.46であればsは0.104であったが、hが未知であるから、sは決まらない。h→1.2の極限でs→0.2となり、h→1.6の極限でs→0.0588となる。だからsの範囲は
0.0588≦s≦0.2 (92)
である。透過減衰もわからないのであるが、厳密式の第2項以下は以前の透過減衰を採用して式は
s+0.124cosθ+0.170cos(θ+φ)=0 (93)
0.124sinθ+0.170sin(θ+φ)=0 (94)
となる。この形からsが0.046以下で解がないことは明白である。
cosθ=(0.0135−s)/0.248s (95)
である。θが求まるので
sin(θ+φ)=−0.729sinθ (96)
からθ+φが計算され、φがわかる。例えば
(1)h=1.2(s=0.20)では
θ=122゜、φ=96゜、f/λ=0.094、d/λ=0.0575
特にλ=1550nmの時 f=149nm、d=89nm
(2)h=1.3(s=0.1613)では
θ=108゜、φ=116゜、f/λ=0.083、d/λ=0.069
特にλ=1550nmの時 f=128nm、d=108nm
(3)h=1.4(s=0.125)では
θ=93.9゜、φ=132゜、f/λ=0.072、d/λ=0.079
特にλ=1550nmの時 f=112nm、d=122nm
(4)h=1.5(s=0.091)では
θ=76.6゜、φ=148.5゜、f/λ=0.059、d/λ=0.089
特にλ=1550nmの時 f=91nm、d=138nm
(5)h=1.6(s=0.0588)では
θ=46.5゜、φ=165゜、f/λ=0.036、d/λ=0.098
特にλ=1550nmの時 f=56nm、d=153nm
Figure 2006228917
となる。これで1.2〜1.6での厳密解がいくつかわかった。hがわかれば厳密解はすぐに計算できる。
範囲外についても計算しよう。範囲外の1.1と1.7のhについて考える。
(6)h=1.1(s=0.241)では
θ=138゜、φ=71゜、f/λ=0.106、d/λ=0.043
特にλ=1550nmの時 f=329nm、d=132nm
(7)h=1.7(s=0.0286)では、sが小さすぎて解がない。
これらの結果から完全無反射という条件をいれて、乙型(樹脂/SiON/TiO/InPの組み合わせ)の場合、h=1.2〜1.6で、
θ=122゜〜46.5゜、
φ=96゜〜165゜、
f/λ(SiON)=0.094〜0.036、
d/λ(TiO)=0.057〜0.094
であり、λ=1550nmの場合は、
f=145nm〜55nm、
d=89nm〜153nm
であることがわかる。
これまで外界が空気(窒素)である場合の反射防止膜はよく知られていた。SiN、SiOなどのλ/4膜である。
表面実装型のモジュールは低コストであるからこれからの展開が期待され有望である。表面実装モジュールは、Siベンチの上に水平導波路を設け水平導波路の端にPDやLDを設け導波路の反対側に光ファイバを取り付けるものである。その場合PDの外界が、屈折率が1の物質(空気、窒素、Ar、真空など)ではなく、屈折率が1より大きい樹脂である。これまでのSiNなどのλ/4膜が樹脂環境でも使えると思われてきた。
反射防止膜が4分の一波長(λ/4)の厚みを持つものだ、という条件だけだと、外界の環境が真空であっても、樹脂であっても波長λは不変だから材料と厚みは同じでよいと漠然と考えられていたのであろう。だから表面実装モジュールの提案は多々あるが受光素子の反射防止膜は従来通りSiO、SiN、SiONのλ/4の単層膜が用いられてきた。
本発明者はそうでないと思う。そうではなくて樹脂を伝搬してきた光を反射しないような特別の反射防止膜がPDの入射部に必要であると考える。反射防止膜といえばλ/4と合点するが、反射防止膜にはもう一つの条件が必要である。それは簡単には表現できないが、これまでの説明でわかるように、ある近似のもとで、中間層の屈折率が、外界屈折率と半導体屈折率の積の平方根に等しくあるべきだというものである。樹脂包囲の受光素子の場合それを考慮しなければならない。
本発明の樹脂で覆われたInP系受光素子の反射防止膜は、SiONとTiOの2層からなる。InPに接触する下層(第1層)を、SiONとし、樹脂に接触する上層(第2層)をTiOとすることができる(甲型)。あるいはその反対でInPに接触する下層(第1層)をTiOとし、樹脂に接触する上層(第2層)をSiONとすることもできる(乙型)。光学的な性質(屈折率)が適当な範囲にあるので、膜厚を適切に選ぶことによって反射を完全に0に下げることができる。完全に0にしなくてもよい場合もあるがその場合でも膜厚選択の自由度が高いという利点がある。理論的に反射を完全に0にできるの組み合わせであって、これ以外のものが見いだされていないのであるから、膜厚の公差(許容誤差)が大きくなる。だから反射防止膜の製造が容易になる。
何れにしても、一方の層は、従来から広く使用されているPCVD法によるSiON膜を用いるので、表面再結合を抑制し、受光素子性能の指標である暗電流を低減することができる。電子ビーム蒸着(イオンアシスト電子ビーム蒸着)によるTiO層をもう一方の反射防止膜として被覆する。これが好適な屈折率を持っているので樹脂封止型の受光素子であっても高い反射率の反射防止膜とすることができる。甲型の場合は、下層(第1層)のSiONは、TiO層電子ビーム蒸着で形成した場合にInP結晶の表面が直接に損傷を受けるのを防ぐ作用もある。
本発明は、従来から用いられるSiON膜と適当な屈折率と堅牢さをもつTiO層を重ねて反射防止膜を形成するようにし樹脂によって囲まれた受光素子に最適の反射防止膜を与えることができる。
[実施例1(甲型:樹脂/TiO/SiON/InP:上面入射型:図1〜図7)]
図1〜図7によって本発明の甲型に掛かる受光素子の製造工程の一例を述べる。図1はn−InP基板の上にエピ層を成長させたエピタキシャルウエハの素子1単位に相当する部分の断面を示す。n−InP基板2の上に、n−InPバッファ層3、n−InGaAs受光層(光吸収層)4、n−InP窓層5がエピタキシャル成長によって形成されている。その状態のものをエピウエハという。
図2はn−InP窓層5の上にSiN膜6をCVD、スパッタリングなどで形成し、フォトリソグラフィによって中央のSiN膜を除去し中央に開口部を開けた状態を示す。SiN膜6を選択マスクとして亜鉛を上方から熱拡散すると開口部からZnが入りn−InGaAs受光層の半ばまで伸びるp領域7ができる。pn接合20がn−InGaAs受光層4の中間にできる。受光層の中央部はp−InGaAs受光層7aとなり、窓層の中央部はp−InP窓層7bとなる。その両方を合わせp領域7と表現している。熱によって亜鉛をInP、InGaAs層へ拡散させるからpn接合20はマスクの下側まで回り込みpn接合の端22はSiN膜6によって保護される。
その上にSiON反射防止膜(第1層)8をPCVD(プラズマCVD)で形成する。これは光通信領域の波長λに対し屈折率がn=1.80である。厚みはd=60.46μmである。図3にその様子を示す。素子の周辺部では下からn−InP基板2、n−InPバッファ層3、n−InGaAs受光層4、n−InP窓層5、SiN膜6、SiON膜8となっている。素子の中央部ではn−InP基板2、n−InPバッファ層3、n−InGaAs受光層4、pn接合20、p−InGaAs受光層7a、p−InP窓層7b、SiON膜8となっている。
SiON膜8は反射防止膜の第1層であって、さらにその上に第2層であるTiO膜9を電子ビーム蒸着(EB)によって形成する。融点の高い酸化物であるからWボートを使った抵抗加熱蒸着ではTiO膜9の光通信波長λに対する屈折率はn=2.32である。ここでは厚みはd=94.41nmとしている。
それを図4に示す。SiON/TiOの二重層が反射防止膜を構成する。それは外界が樹脂の場合に適する二重反射防止膜である。外界が空気(屈折率1)の場合はSiNあるいはSiOの単層でよいのであるが、接触するものが樹脂の(屈折率が1より大きい)場合は本発明の二重反射防止膜がいっそう適している。
p電極をつけるための工程が続く。レジスト25を上面に塗布しベーキングする。マスクを使うリソグラフィによってレジスト25のp電極を設けるべき部分を除去して開口部26を開ける。それが図5に示した状態である。
バッファードフッ酸(Buffered HF)によってエッチングする。TiO層9、SiON層8はバッファードフッ酸によって溶けるので、開口部26の部分に、p−InP窓層7bにいたる穴が開く。バッファードフッ酸というのはフッ酸(HF)にフッ化アンモニウム(NHF)を加えて作用を軽減した酸である。フッ化アンモニウムの比率を増やすとエッチングレートを遅くすることができる。たとえばHF:NHF:HO=1:10:30という比率のものを用いることができる。フッ化アンモニウムの比率は自在に加減することができる。フッ化アンモニウムを含まないフッ酸(HF)によっても、TiO/SiONを除去することはできる。しかしエッチング速度が速すぎ制御が難しいのでバッファードフッ酸のほうが使いやすい。
開口部26にp−InPにオーミック接合するp電極を設ける。p電極になる材料で上面全体を被覆する。それにレジストを塗布してマスクを用いて露光しレジストの一部を残しp電極の材料をエッチングする。マスクで保護されたp−InP窓層7bに接触する部分のp電極27が残る。それが図6に示す状態である。p電極27はこの例ではドット状であるが、リング状(円環状)であることもできる。
その後n−InP基板2の裏面にn電極30を形成する。図7に示すとおりである。上方のp領域側が入射側となる。光は、樹脂・TiO・SiONを通ってp−InP窓層に入射する。TiO/SiONのため無反射でInP素子に入ってくる。
[実施例2(甲型:樹脂/TiO/SiON/InP:裏面入射型:図8〜図9)]
上に示した実施例は甲型の上面入射型のものである。だから、p電極側に反射防止膜を設けている。反射防止膜は光が入射する側に設けるものであってp電極側とは限らない。
裏面入射型の受光素子の場合は、2層のSiON/TiO二重反射防止膜をn−InP基板2の裏面に設ける。n電極はその外周にリング状のものを形成する。上面のp領域の全体に広いp電極を設ける。
図8はそのような裏面入射型の受光素子の例を示す。n−InP基板2、n−InPバッファ層3、n−InGaAs受光層4、n−InP窓層5をもつエピタキシャル層にマスク6を介して亜鉛を拡散して中央部にp領域7を設ける。p領域7の上全面に広いp電極37を形成する。上面の加工はそれで終わりである。n−InP基板2の下面に、n電極40を全面被覆してリソグラフィらによって中央部を選択的に除去する。n電極の除去された中央の開口部に、PCVD法によってSiON膜28を設けさらにイオンアシストEB蒸着でTiO膜29を形成する。そしてn電極の上に乗っている部分のSiON、TiOを除去する。そうして図9のような裏面入射型のInGaAs受光素子を得る。
図10にSiON膜、TiO膜、TiO/SiON膜を反射防止膜として採用した場合の波長λに対する反射率変化のグラフを示す。
図11はその概略の構成図であり、下層はInP窓層/InGaAs受光層/InPバッファ層/InP基板よりなる半導体Sである。反射防止膜Fがその上に形成され、さらに樹脂Rが上に乗っているというようなRFS構造をもつ。上面入射型の実施例1でも、裏面入射型の実施例2でも同様である。
図10において、横軸は光の波長λである。縦軸は反射率(%)である。いずれも1550nmの波長で反射率が最少になるように膜厚が設計されている。
(1)SiON 215nm
(2)TiO
167nm
(3)TiO/SiON 94.41nm/60.46nm
そのうち(3)が本発明(甲型)の実施例1、2なのであるが、これは先述の膜厚の範囲に入っている。
SiON一層の反射防止膜の場合は、1200nmで反射率が5.7%あり、1300nmで4.3%に下がる。しかし1550nmでも反射率が0にならず3.3%程度である。1650nmで3.4%である。これがSiON反射防止膜の最少の反射率である。
TiO単層の場合はより小さくて1200nmで3.4%、1300nmで1.8%に下がる。1550nmで0.5%の反射率がある。1650nmで0.6%の反射率がある。
本発明のTiO/SiONの2層よりなる反射防止膜の場合は1200nmで4%、1300nmで1.7%である。1550nmでは0%に落ちている。反射率が0であるから反射防止膜として好ましいものである。1650nmでは0.2%である。本発明の二重膜反射防止膜が優れていると言うことが分かる。
これは1550nmの光にしか使えないということではない。1550nmを基準波長として厚みを設計するからそのようなグラフになるのであり、他の波長で反射率を極小にするように設計することもできる。たとえば1300nmで反射率を0にするように厚みを決めることが可能である。また1650nmで反射率を0にするように厚みを決めることもできる。本発明で決まるのは、完全無反射の条件を与える厚み波長比(f/λ、d/λ)である。これがきまるのでどのような波長に対しても一義的に反射防止膜2重膜の厚みを与えることができる。
[実施例3(乙型:樹脂/SiON/TiO/InP:上面入射型:図24)]
InP半導体層の上に屈折率の高いTiOを形成しその上に屈折率の低いSiONを形成するという乙型の反射防止膜を設けたInP系の受光素子も可能である。図24に乙型の反射防止膜を持つ上面入射型のInGaAs受光素子を示す。n−InP基板2、n−InPバッファ層3、n−InGaAs受光層4、n−InP窓層5をもつエピタキシャル層にSiNマスク6を介して亜鉛を拡散して中央部にp領域7を設ける。
次にTiO膜9をEB蒸着法によって、InP窓層とSiN膜6の上につける。さらにTiO膜9の上にPCVDによってSiON8を形成する。レジストを塗布し一部に穴を開けてp電極27をつける。n−InP基板の底面全体にn電極30を形成する。それは上面入射型でSiON/TiOの二重反射防止膜をもった受光素子である。屈折率が順にならぶ乙型の反射防止膜である。実施例1、2とはSiONとTiOの順序が違う。
[実施例4(乙型:樹脂/SiON/TiO/InP:裏面入射型:図25)]
図25に乙型の反射防止膜を持つ裏面入射型のInGaAs受光素子をしめす。n−InP基板2、n−InPバッファ層3、n−InGaAs受光層4、n−InP窓層5をもつエピタキシャル層にSiNマスク6を介して亜鉛を拡散して中央部にp領域7を設ける。p型領域7の上の全体にp電極37を設ける。TiO膜9をEB蒸着法によって、n−InP基板2の裏面につける。さらにTiO膜9の上にPCVDによってSiON膜8を形成する。レジストを塗布し一部のSiON/TiOを除去しリング状のn電極40をn−InP基板2の底面に設ける。これは裏面入射型でSiON/TiOの二重反射防止膜をもった受光素子である。屈折率が順に並ぶ乙型の反射防止膜である。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させた状態の1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させその上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散している状態を示す1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させその上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りその上面を反射防止膜の第1層(下層)であるSiON層で被覆した状態を示す1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させその上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りその上面をSiON層で被覆しさらにTiO層で重ねて被覆した状態を示す(甲型)1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させその上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りその上面をSiON層で被覆しさらにTiO層で重ねて被覆しレジストを塗布しリソグラフィによって一部に穴を開けた状態を示す(甲型)1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させその上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りその上面をSiON層で被覆しさらにTiO層で重ねて被覆しレジストを塗布しリソグラフィによって一部に穴を開けその穴からTiOとSiONをエッチングしてInP窓層にいたる穴を穿ちそこへp電極を形成した状態を示す(甲型)1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させその上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りその上面をSiON層で被覆しさらにTiO層で重ねて被覆しレジストを塗布しリソグラフィによって一部に穴を開けその穴からTiOとSiONをエッチングしてInP窓層にいたる穴を穿ちそこへp電極を形成し、n−InP基板の裏面全面にn電極を形成した甲型上面入射型受光素子の1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させInP窓層の上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りp型領域の上面全面にp電極をもうけ、n−InP基板裏面をSiON層で被覆しさらにTiO層で重ねて被覆した状態を示す(甲型)1素子分の断面図。
n−InP基板の上にn−InPバッファ層、n−InGaAs受光層、n−InP窓層をエピタキシャル成長させInP窓層の上にSiN膜を設けSiN膜中央部に開口部を穿ち開口部を通し亜鉛拡散してp型領域を作りp型領域の上面全面にp電極を設け、n−InP基板裏面をSiON層で被覆しさらにTiO層で重ねて被覆しSiON/TiOの一部をフォトリソグラフィによって去し除去した部分にn電極を形成した甲型裏面入射型受光素子の1素子分の断面図。
InP半導体の上にSiON単層、TiO単層、TiO/SiON二重層を形成し屈折率1.46の樹脂で覆ったときの反射損失の波長依存性を示すグラフ。横軸は波長、縦軸は反射損失である。厚みは1550nmの光で損失が最小になるように決めてある。SiON単層は反射防止膜として実績があるが、TiO単層は反射防止膜として用いられたことはない。TiO/SiON二重層反射防止膜をもつ素子(甲型)が本発明の実施例1、2にあたる。
InP系半導体Sの上に反射防止膜Fがありその外側に樹脂Rが接触しているという本発明が対象にする構造を略示するための概略構成図。
表面実装型モジュールの内部に設けられ樹脂Rで入射側が包囲された受光素子において、屈折率nの半導体Sの上に屈折率m、厚みdの中間層が設けられ、1以上の屈折率hをもつ樹脂Rに接触しているときにおいて、第1境界での反射振幅(h−m)/(h+m)、第1境界での透過係数2h/(m+h)、第2境界での反射(m−n)/(m+n)、第1境界での透過係数2m/(m+h)を示すための光学系構成図。
複素平面上に樹脂・中間層の第1境界での反射振幅(h−m)/(h+m)の絶対値を半径とする円を書き、実軸上に第1境界での反射振幅に負号をつけたものをとり、中間層・半導体の第2境界での反射と、第1境界での反射が丁度打ち消しあうためには、ある近似のもとで、第2境界での反射振幅(−m+n)/(m+n)が第1境界での反射振幅(−h+m)/(h+m)に等しく、厚みdを往復することにより位相の遅れ4πmd/λが丁度180度(π)であるときに打ち消し合うということを示すための反射複素平面図。
複素平面上に樹脂・中間層の第1境界での反射振幅(h−m)/(h+m)の絶対値を半径とする円を書き、実軸上に第1境界での反射振幅に負号をつけたものをとり、中間層の厚みdを往復することによる位相の遅れ4πmd/λの方向に引いた中間層・半導体の第2境界での反射振幅の絶対値(−m+n)/(m+n)に等しい長さ矢印をひきその合計OKが0でないかぎり反射は0でなく、位相角をλ/4にしたところで、反射振幅の差の分だけ反射損失が残ることを説明するための反射複素平面図。
中間層が上層と下層にわかれ、樹脂・上層・下層・半導体という構造をもち、表面実装型モジュールの内部に設けられ樹脂Rで入射側が包囲された受光素子において、屈折率nの半導体Sの上に屈折率m、厚みdの下層Fが設けられ、その上に屈折率g、厚みfの上層Eが設けられ、上層Eが1以上の屈折率hをもつ樹脂Rに接触しているときにおいて、第1境界での反射振幅(h−g)/(h+g)、第1境界での透過係数2h/(h+g)、第2境界での反射(g−m)/(g+m)、戻り光の第1境界での透過係数2g/(h+g)、第2境界での透過係数2g/(g+m)、第3境界での反射(m−n)/(m+n)、戻り光の第2境界での透過2m/(g+m)を示すための光学系構成図。
中間層が上層と下層にわかれ、樹脂・上層・下層・半導体という構造をもち、表面実装型モジュールの内部に設けられ樹脂Rで入射側が包囲された受光素子において、透過係数の積を1とみなす近似において、第1境界での反射振幅絶対値|OE|=(−h+g)/(h+g)と第2境界での反射振幅絶対値|OF|=(−g+m)/(g+m)と第3境界での反射振幅絶対値|OS|=(−m+n)/(m+n)が等しく、厚みgを往復するときの位相変化θ、厚みdを往復するときの位相変化φが120度であれば、3つの反射損失が打ち消して反射損が0になることを説明する架空の反射関係を示す反射複素平面図。
中間層が上層と下層にわかれ、屈折率が昇順にならぶ(乙型)よう樹脂・上層・下層・半導体という構造をもち、表面実装型モジュールの内部に設けられ樹脂Rで入射側が包囲された受光素子において、透過係数の積を1とみなす近似において、第1境界での反射振幅絶対値OE=(−h+g)/(h+g)と、第2境界での反射振幅絶対値に位相角θの複素指数を掛けたOF=(−g+m)/(g+m)exp(jθ)と、第3境界での反射振幅絶対値に位相角φの複素指数を掛けたOS=(−m+n)/(m+n)exp(jθ+jφ)の和が0であれば、3つの反射損失が打ち消して反射損が0になることを説明するための反射複素平面図。
中間層が上層と下層にわかれ、上層の屈折率gが下層の屈折率mよりも大きいように並ぶ(甲型)樹脂・上層・下層・半導体という構造をもち、表面実装型モジュールの内部に設けられ樹脂Rで入射側が包囲された受光素子において、透過係数の積を1とみなす近似において、第1境界での反射振幅絶対値OE=(−h+g)/(h+g)と、第2境界での反射振幅絶対値に位相角θの複素指数を掛けた−OF=(−g+m)/(g+m)exp(jθ)=−(−g+m)/(g+m)exp(jθ+jπ)と、第3境界での反射振幅絶対値に位相角φの複素指数を掛けたOS=(−m+n)/(m+n)exp(jθ+jφ)の和が0であれば、3つの反射損失が打ち消して反射損が0になることを説明するための反射複素平面図。
下層に屈折率2.32のTiOが、上層に屈折率が1.80のSiONが設けられ全体として屈折率が昇順で並ぶ本発明の乙型の反射防止膜構造を示す構成図。
下層に屈折率が1.80のSiONが、上層に屈折率2.32のTiOが設けられ屈折率順序が一部反転している本発明の甲型の反射防止膜構造を示す構成図。
樹脂・SiON・TiO・InPというように屈折率が昇順に並ぶ乙型の反射防止膜において第1、2、3境界での反射振幅の大きさ0.104、0.124、0.170を動径成分としてもつ複素数の和が0になるように位相角θ、φをきめたときの乙型厳密解を図示した複素平面図。θ=84.0゜、φ=142.6゜である。
樹脂・TiO・SiON・InPというように屈折率が一部逆転する甲型の反射防止膜において第1、2、3境界での反射振幅の大きさ0.228、−0.119、0.255を動径成分としてもつ複素数の和が0になるように位相角θ、φを決めたときの乙型厳密解を図示した複素平面図。θ=88.8゜、φ=63.4゜である。
樹脂・SiON・TiO・InPというように屈折率が昇順に並ぶ乙型の反射防止膜をp型領域の上にもつ上面入射型のInP系受光素子を示す断面図。
樹脂・SiON・TiO・InPというように屈折率が昇順にならぶ乙型の反射防止膜をn−InP基板の裏面にもつ裏面入射型のInP系受光素子を示す断面図。
符号の説明
2 n−InP基板
3 n−InPバッファ層
4 n−InGaAs受光層
5 n−InP窓層
6 SiN膜
7 p型領域
7a p−InGaAs受光層
7b p−InP窓層
8 SiON膜
9 TiO
20 pn接合
22 pn接合の端部
25 レジスト
26 開口部
27 p電極
28 SiON膜
29 TiO
30 n電極
37 p電極
40 n電極

Claims (12)

  1. 屈折率hが1.2〜1.6の樹脂によって光入射面が覆われ、InP基板、InGaAs受光層又はInGaAsP受光層、pn接合、p電極、n電極を含むInP系受光素子であって、光が入射する側のInP層の上にSiON膜を設けその上にTiO2膜を設けた二層反射防止膜を有し、TiO2膜厚を光波長λで割った値が0.040〜0.078、SiON膜厚を光波長λで割った値が0.022〜0.067であることを特徴とするInP系受光素子。
  2. 入射する光の波長が1550nmであって、TiO膜厚が121nm〜62nmであり、SiON膜厚が34nm〜104nmであることを特徴とする請求項1に記載のInP系受光素子。
  3. 樹脂の屈折率がh=1.46であって、TiO膜厚を光の波長で割った値が0.041〜0.065であって、SiON膜厚を光の波長λで割った値が0.036〜0.062であることを特徴とする請求項1に記載のInP系受光素子。
  4. 樹脂の屈折率がh=1.46で、光の波長が1550nmであって、TiO膜厚が64nm〜100nmであって、SiON膜厚が56nm〜96nmである事を特徴とする請求項3に記載のInP系受光素子。
  5. 樹脂屈折率がh=1.46であり、光の波長が1550nmであって、TiO膜厚が82nmであって、SiON膜厚が76nmである事を特徴とする請求項4に記載のInP系受光素子。
  6. 屈折率hが1.2〜1.6の樹脂によって光入射面が覆われ、InP基板、InGaAs受光層又はInGaAsP受光層、pn接合、p電極、n電極を含むInP系受光素子であって、光が入射する側のInP層の上にTiOを設けその上にSiONを設けた二層反射防止膜を有し、SiON膜厚を光波長λで割った値が0.036〜0.094、TiO膜厚を光波長λで割った値が0.057〜0.094であることを特徴とするInP系受光素子。
  7. 入射する光の波長が1550nmであって、SiON膜厚が146nm〜56nmであり、TiO膜厚が88nm〜146nmであることを特徴とする請求項6に記載のInP系受光素子。
  8. 樹脂の屈折率がh=1.46であって、SiON膜厚を光の波長で割った値が0.0627〜0.0669であって、TiO膜厚を光の波長λで割った値が0.0843〜0.0862であることを特徴とする請求項6に記載のInP系受光素子。
  9. 光の波長が1550nmであって、SiON膜厚が97nm〜103nmであって、TiO膜厚が130nm〜134nmである事を特徴とする請求項8に記載のInP系受光素子。
  10. 樹脂屈折率がh=1.46であり、光の波長が1550nmであって、SiON膜厚が100nmであって、TiO膜厚が132nmである事を特徴とする請求項9に記載のInP系受光素子。
  11. 屈折率hが1.2〜1.6の樹脂によって光入射面が覆われ、InP基板、InGaAs受光層又はInGaAsP受光層、pn接合、p電極、n電極を含むInP系受光素子の製造方法であって、光が入射する側のInP層の上にプラズマCVD法によって波長λの0.022〜0.067倍の膜厚のSiON層を形成し、その上にイオンアシスト電子ビーム法によって波長λの0.078〜0.040倍の膜厚のTiO層を形成することを特徴とするInP系受光素子の製造方法。
  12. 屈折率hが1.2〜1.6の樹脂によって光入射面が覆われ、InP基板、InGaAs受光層又はInGaAsP受光層、pn接合、p電極、n電極を含むInP系受光素子の製造方法であって、光が入射する側のInP層の上にイオンアシスト電子ビーム法によって波長λの0.057〜0.094倍の膜厚のTiO層を形成し、その上にプラズマCVD法によって波長λの0.094〜0.036倍の膜厚のSiON層を形成することを特徴とするInP系受光素子の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018066888A (ja) * 2016-10-20 2018-04-26 住友電気工業株式会社 光モジュール
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JP2024094260A (ja) * 2022-12-27 2024-07-09 台亞半導體股▲フン▼有限公司 フォトダイオードの構造

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