JP2006241993A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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石川  雅之
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Abstract

【課題】油溜りの油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部に戻すことのできるスクロール型圧縮機を提供すること。
【解決手段】固定スクロール11をスクロール側ハウジング31に内設する。これにより、ハウジング30内は、油溜り38を有する高圧部5と低圧部6とに仕切られる。また、固定スクロール11に、油溜り38に開口した油溜り連通部71と、低圧部6内の吸入室28に開口した吸入室連通部72とを形成する。また、スクロール側ハウジング31の内周面33に、油溜り連通部71から、吸入室連通部72にかけて溝部73を形成する。これにより、油溜り38内の潤滑油39は、油溜り連通部71から、圧力が低減されつつ溝部73を通り、吸入室連通部72を通って吸入室28に供給される。この結果、油溜り38の油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部6に戻すことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スクロール型圧縮機に関するものである。特に、この発明は、油溜りに溜まった油を、減圧しながら低圧部に戻すことのできるスクロール型圧縮機に関するものである。
スクロール型圧縮機では、摺動部などの潤滑のため、冷媒ガスに潤滑油をミスト状にして含有し、この冷媒ガスを循環させることにより各部を潤滑しているが、スクロール型圧縮機から吐出した冷媒ガスに多量の潤滑油が含まれている場合、熱交換の効率が低下する。このため、従来のスクロール型圧縮機では、スクロール型圧縮機内で圧縮された冷媒ガスが位置する部分である高圧部内にオイルセパレータを設け、冷媒ガスから潤滑油を分離している。分離した潤滑油は高圧部内の油溜りに溜まるが、油溜り内の油の量が多くなると、せっかく分離した油が冷媒ガスとともに吐出されてしまうため、従来のスクロール型圧縮機では、高圧部と低圧部との間のシールに利用したり、油溜りに溜まった油を低圧側に戻したりしているものがある。
例えば、特許文献1では、固定スクロールの外周に油溝を形成し、この油溝内に油溜り内の油を給油して、この油によって高圧部と低圧部との間をシールしている。また、特許文献2では、固定スクロールに高圧部と吸入室とを連通する絞り通路を設けることにより、油溜りに溜まった油を吸入室側に流している。また、特許文献3では、固定スクロールに高圧部と吸入室とを連通する孔に螺旋溝を設け、この孔に柱状部材を挿入することにより、この螺旋溝が高圧部と吸入室とを連通する通路になる。これにより、油溜りに溜まった油を吸入室側に流している。これらの結果、油溜りに溜まった油が低圧部に漏れるのを抑制できる、或いは、油溜りから吸入室に流れる油の量を抑制しつつ流すことができる。
特開平5−223066号公報 特開平9−32778号公報 特開2002−39067号公報
しかしながら、特許文献1に記載したスクロール型圧縮機では、油溜りに溜まった油をシール用の油として用いているのみで油を高圧部外に排出してないので、運転時間が長くなるに従って高圧部内に油が充填してしまう虞がある。また、特許文献2に記載したスクロール型圧縮機では、高圧部と吸入室との差圧を絞り通路で低減する必要があるので、高圧部の圧力が高い場合、絞り通路の長さが短いと差圧が低減できない虞があり、また、差圧を低減するためには固定スクロールを大形化する必要がある。また、特許文献3に記載したスクロール型圧縮機では、高圧部と吸入室とを連通する孔に柱状部材を挿入する必要があるので、部品点数が多くなってしまう。これらのように、従来のスクロール型圧縮機では、油溜りに溜まった油を確実に減圧しながら低圧部に戻すのが困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、油溜りの油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部に戻すことのできるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るスクロール型圧縮機は、公転軸を中心として公転旋回運動をする旋回スクロールと、前記旋回スクロールと噛合する固定スクロールと、前記固定スクロールが密着固定して内設されるハウジングと、前記ハウジングに形成される吸入口と、前記ハウジングと前記固定スクロールとによって区画される高圧部と、前記吸入口と前記固定スクロールとの間に形成され、前記固定スクロールによって前記高圧部と仕切られた低圧部と、前記高圧部内に位置する油溜りと、前記油溜りと前記低圧部とを連通すると共に、少なくとも一部が前記固定スクロールと前記ハウジングとが密着固定している部分における双方の面のうちいずれか一方の面に形成された溝部により形成されている給油通路と、を具備していることを特徴とする。
この発明では、油溜りと低圧部とを連通する給油通路の一部が、固定スクロールとハウジングとが密着固定している部分における双方の面のうちいずれか一方の面に形成された溝部によって形成されている。これにより、部品点数を増やすことなく油溜りと低圧部とを給油通路で連通することができる。また、給油通路が固定スクロールの外側を通って油溜りと低圧部とを連通しているため、給油通路の全長が長くなる。高圧部内の冷媒ガスは高圧になっているが、このように給油通路は全長が長いため、油溜りの油が給油通路内を流れる際の圧力損失が大きくなっており、給油通路内を通る油が低圧部に戻される際には、圧力が低くなっている。これらの結果、油溜りの油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部に戻すことができる。
また、この発明に係るスクロール型圧縮機は、前記溝部は、前記公転軸が中心となる螺旋状の形状で形成されていることを特徴とする。
この発明では、溝部が螺旋状の形状で形成されているので、給油通路の全長は、より確実に長くなる。これにより、油溜り内の油が給油通路内を流れる際の圧力損失を、より確実に大きくすることができる。この結果、油溜りの油を、より確実に減圧しながら低圧部に戻すことができる。
また、この発明に係るスクロール型圧縮機は、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとにより前記低圧部の一部である吸入室が区画されており、前記給油通路は、前記油溜りと前記吸入室とを連通していることを特徴とする。
この発明では、給油通路を、油溜りと吸入室とが連通するように形成し、油溜り内の油を吸入室に戻している。これにより、スクロール型圧縮機の運転時に実際に冷媒ガスを圧縮する部分、つまり、旋回スクロールと固定スクロールとの摺動部分に、より確実に給油をすることができる。従って、スクロール型圧縮機の運転時の抵抗を低減できる。この結果、スクロール型圧縮機の運転効率の向上を図ることができる。
また、この発明に係るスクロール型圧縮機は、前記旋回スクロールは、前記旋回スクロールの公転旋回運動によって前記公転軸の軸方向に作用するスラスト力を受けると共に前記低圧部内に位置するスラスト軸受に支持されており、前記給油通路は、前記油溜りと前記スラスト軸受とを連通していることを特徴とする。
この発明では、給油通路を、油溜りとスラスト軸受とが連通するように形成し、油溜り内の油をスラスト軸受に給油している。スラスト軸受は、当該スラスト軸受に形成されるスラスト面と旋回スクロールとが接することにより旋回スクロールのスラスト力を受けているが、旋回スクロールが公転旋回運動をする際には、旋回スクロールとスラスト面は互いに摺動する。このため、この部分に油溜りの油を給油することにより、旋回スクロールが公転旋回運動をする際の抵抗を低減することができる。この結果、スクロール型圧縮機の運転効率の向上を図ることができる。
また、この発明に係るスクロール型圧縮機は、前記給油通路は、前記油溜りと前記吸入口とを連通していることを特徴とする。
この発明では、給油通路を、油溜りと吸入口とが連通するように形成し、油溜り内の油を吸入口から低圧部に戻している。このため、吸入口から吸入される冷媒ガスに、油溜りから戻された油を含有させることができるので、スクロール型圧縮機の運転時にこの冷媒ガスが通過する部分における各摺動部に油を給油することができる。これにより、スクロール型圧縮機の運転時の抵抗を低減できる。この結果、スクロール型圧縮機の運転効率の向上を図ることができる。
本発明にかかるスクロール型圧縮機は、油溜りの油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部に戻すことができる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかるスクロール型圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係るスクロール型圧縮機の断面図である。同図に示すスクロール型圧縮機1は、スクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング32とからなるハウジング30内に、圧縮機構10やモータ40などが配設されている。ハウジング30は、スクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング32とからなり、スクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング32とは、共に一端が閉止された略円筒形の形状で形成されている。このスクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング32とは、双方の略円筒形の閉止されている側の端部の反対側の端部、つまり、開口されている側の端部がスクリューなどの連結部材(図示省略)によって連結される。前記ハウジング30は、このようにスクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング32とが連結されることにより、両端が閉止された略円筒形の形状となって形成されている。また、このハウジング30には、吸入口35と吐出口36とが形成されており、モータ側ハウジング32には吸入口35が形成され、スクロール側ハウジング31には吐出口36が形成されている。これらの吸入口35及び吐出口36は、当該スクロール型圧縮機1の外部の冷媒ガス経路(図示省略)に接続されている。
前記モータ40は、ハウジング30におけるモータ側ハウジング32側の内部に配設されている。このモータ40は、ロータ41とステータ43とにより構成されており、さらに、ロータ41は、回転軸42を有している。またロータ41は、この回転軸42の軸方向がハウジング30の形状である略円筒形の中心軸とほぼ一致する向き、及び位置でハウジング30内に設けられている。また、回転軸42は、一端がモータ側ハウジング32の閉止側に設けられたサブベアリング51に支持されており、他端がモータ側ハウジング32におけるスクロール側ハウジング31側の端部に設けられたミドルハウジング52に内設されたベアリング50によって支持されている。回転軸42は、これらのサブベアリング51及びベアリング50により、回転可能に支持されており、即ち、ロータ41は、これらのサブベアリング51及びベアリング50により、回転可能に支持されている。前記ステータ43は、このように回転可能に支持されたロータ41の外周方向に設けられており、モータ側ハウジング32に固定されている。
前記ロータ41におけるベアリング50側の端部には、前記圧縮機構10が位置しており、圧縮機構10は、スクロール側ハウジング31に内設されている。この圧縮機構10は、固定スクロール11と旋回スクロール21とから形成されており、旋回スクロール21はモータ40側、固定スクロール11は、スクロール側ハウジング31の閉止されている側に位置している。
前記回転軸42の旋回スクロール21側の端部には、回転軸42と平行で、且つ、回転軸42の中心軸から偏った位置に中心軸が位置している、即ち、回転軸42に対して偏心している円筒形状のピンである偏心駆動ピン53が設けられている。この偏心駆動ピン53は、ドライブブッシュ54に回転可能に接続されている。また、旋回スクロール21は、モータ40側に突出すると共に内側に円筒形の空洞部が形成されたボス23を有しており、前記ドライブブッシュ54は、旋回軸受55を介して回転自在に当該ボス23の内側に嵌装されている。また、旋回スクロール21には、モータ40側の面で、且つ、ボス23よりも外側、つまり、スクロール側ハウジング31寄りの部分に、モータ40側に突出したピンである自転阻止ピン24が複数配設されている。この自転阻止ピン24は、スクロール側ハウジング31の内側に固定されると共に、旋回スクロール21の自転を阻止するため、スラスト軸受60に設けられた自転阻止リング61に挿入されている。これらの構造により、旋回スクロール21は自転が阻止され、回転軸42の中心軸を公転軸80として公転旋回運動可能に設けられている。
前記固定スクロール11は、外部の形状が、スクロール側ハウジング31の内部の形状、つまり、スクロール側ハウジング31の内径とほぼ同じ径となる円筒形の形状で形成されており、スクロール側ハウジング31の内部に焼嵌めされている。これにより、固定スクロール11は、スクロール側ハウジング31の内部に密着固定されている。なお、固定スクロール11をスクロール側ハウジング31に密着固定する方法は、焼嵌め以外に圧入など、固定スクロール11をスクロール側ハウジング31に密着固定して内設できる方法であれば、焼嵌め以外の方法でよい。
このように配置される固定スクロール11と旋回スクロール21とには、共に渦巻状ラップが設けられており、固定スクロール11には、固定側渦巻状ラップ12が当該固定スクロール11における旋回スクロール21側の面に立設され、旋回スクロール21には、旋回側渦巻状ラップ22が当該旋回スクロール21における固定スクロール11側に立設されている。これにより、固定側渦巻状ラップ12と旋回側渦巻状ラップ22とは、固定スクロール11と旋回スクロール21とにおいて互いに対向する面に形成されており、また、このように対向する面に形成された固定側渦巻状ラップ12と旋回側渦巻状ラップ22とは、噛合している。また、固定スクロール11と旋回スクロール21との間に位置し、固定スクロール11と旋回スクロール21とによって区画される空間は吸入室28として形成されている。
スクロール側ハウジング31における閉止している側の端部付近の内部は、固定スクロール11が焼嵌めされている部分の内径よりも内径が小さくなっている。この部分は、固定スクロール11がスクロール側ハウジング31の内部に焼嵌めされて密着固定されることにより、ハウジング30内におけるモータ40側の部分と仕切られている。つまり、スクロール側ハウジング31において閉止している側の端部側の内部に位置し、当該スクロール側ハウジング31と固定スクロール11とによって区画された部分は高圧部5として形成されており、ハウジング30の内部において固定スクロール11よりもモータ40側に位置している部分は低圧部6として形成されている。前記吸入室28は、低圧部6の一部として形成されている。また、モータ側ハウジング32に形成された吸入口35は低圧部6に開口しており、スクロール側ハウジング31に形成された吐出口36は高圧部5に開口している。
前記固定スクロール11には、吸入室28と高圧部5とを連通する孔である吐出ポート13が形成されている。また、当該吐出ポート13の高圧部5側の面には、吐出ポート13を開閉する吐出弁14が設けられている。さらに、当該スクロール型圧縮機1の運転時における向きは、前記公転軸80、或いはハウジング30の形状である円筒形の中心軸が水平になる向きになっており、スクロール型圧縮機1の運転時における状態の高圧部5の下方側は油溜り38となっている。固定スクロール11には、この油溜り38に開口した油溜り連通部71が形成されている。この油溜り連通部71は、一端が固定スクロール11の高圧部5に面している側の面における下方側の位置で油溜り38に開口し、他端が当該固定スクロール11の外周面15に開口した孔となって形成されている。さらに詳細には、油溜り連通部71は、油溜り38に対して開口した部分から所定の長さでモータ40方向に公転軸80と平行な向きで形成され、さらに、この方向に形成された端部から、公転軸80と直交する向きで固定スクロール11の外周面15に向けて形成され、外周面15に開口している。
また、当該固定スクロール11には、前記公転軸80の形成方向における位置が前記吸入室28と同じになる位置に、外周面15から吸入室28にかけて形成された吸入室連通部72が形成されている。この吸入室連通部72は、一端が外周面15に開口され、他端が吸入室28に開口された孔となって形成されており、公転軸80に直交する向きで形成されている。このように油溜り連通部71と吸入室連通部72とが形成される固定スクロール11が密着固定されるスクロール側ハウジング31の内周面33には、油溜り連通部71が固定スクロール11の外周面15に開口している部分に対向する部分から、吸入室連通部72が外周面15に開口している部分に対向する部分にかけて形成された溝部73が形成されている。これらの油溜り連通部71、吸入室連通部72及び溝部73は、給油通路70として形成されている。
図2は、図1に示したスクロール側ハウジングの断面図である。給油通路70の一部となる溝部73は、油溜り連通部71の孔の径と同程度の溝幅及び溝深さで形成されており、スクロール側ハウジング31の内周面33に、前記公転軸80を中心とした螺旋状の形状で形成されている。つまり、溝部73は、スクロール側ハウジング31の内周面33において、当該内周面33の周方向に進みつつ公転軸80の形成方向に進むように形成されており、前記油溜り連通部71が外周面15に開口している部分に対向する位置から、吸入室連通部72が外周面15に開口している部分に対向する位置にかけて形成されている。また、このように形成される溝部73は、固定スクロール11がスクロール側ハウジング31に焼嵌めされることにより密着固定されているので、当該溝部73と固定スクロール11の外周面15とによって形成される空間は通路として形成されており、これにより、溝部73は給油通路70の一部として形成されている。
この実施例1に係るスクロール型圧縮機1は以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。前記スクロール型圧縮機1を運転すると、モータ40のロータ41が回転をする。ロータ41の回転により、当該ロータ41が有する回転軸42が回転をすると、回転軸42に対して偏心した偏心駆動ピン53が公転軸80を中心として公転運動をする。これにより、この偏心駆動ピン53にドライブブッシュ54及び旋回軸受55を介して接続されている旋回スクロール21は、公転旋回運動をする。その際に、旋回スクロール21は、自転阻止ピン24がスラスト軸受60に設けられた自転阻止リング61に挿入されているので、自転することなく公転軸80を中心として公転旋回運動をする。
旋回スクロール21が、このように公転旋回運動をすると、旋回スクロール21に形成されている旋回側渦巻状ラップ22と固定スクロール11に形成されている固定側渦巻状ラップ12との相対的な位置が変化する。この変化により、旋回スクロール21と固定スクロール11とによって区画されている吸入室28の形状が変化し、吸入室28上の各部の容積が変化する。この吸入室28の容積変化により、低圧部6は吸入口35が接続されている冷媒ガス経路に対して負圧になり、冷媒ガス経路内の冷媒ガスが吸入口35から低圧部6に吸入される。
吸入口35から低圧部6内に吸入された冷媒ガスは、吸入室28に吸入される。吸入室28に吸入された冷媒ガスは、吸入室28の容積変化により圧縮され、圧力が高くなった状態で固定スクロール11に形成された吐出ポート13から高圧部5に吐出される。その際に、吐出ポート13の高圧部5側には吐出弁14が設けられているが、この吐出弁14は、吸入室28内における吐出ポート13付近の冷媒ガスの圧力が、高圧部5内の冷媒ガスの圧力よりも高くなった場合にのみ開く。これにより、高圧部5側の冷媒ガスが吸入室28側に逆流することがなく、前記モータ40を回転させることにより、冷媒ガスは低圧部6側から高圧部5側に送られる。圧縮され圧力が高い状態で高圧部5に送られた冷媒ガスは、高圧部5に開口された吐出口36から外部の冷媒ガス経路に吐出される。
冷媒ガスは、当該スクロール型圧縮機1の運転時には、このように吸入口35から吸入され、圧縮された状態で吐出口36から冷媒ガス経路に吐出される。その際に、この冷媒ガスには、スクロール型圧縮機1の各部を潤滑する潤滑油がミスト状の状態で含有されている。この潤滑油によって、スクロール型圧縮機1内の各摺動部は潤滑される。また、この潤滑油は、固定スクロール11と旋回スクロール21とによって冷媒ガスが圧縮され、吐出ポート13から高圧部5に吐出された後に、高圧部5内で分離し、高圧部5の下方に位置する油溜り38に溜まる。
油溜り38に溜まった潤滑油39は、油溜り38に開口された油溜り連通部71に流れる。この油溜り連通部71は給油通路70の一部として形成されており、給油通路70の一端は、高圧部5に形成された油溜り38に開口され、他端は低圧部6の一部である吸入室28に開口されている。このため、給油通路70は、吸入室28側の端部付近の圧力よりも、油溜り38側の端部付近の圧力の方が高くなっており、これにより、油溜り連通部71の油溜り38に開口している部分から油溜り連通部71内に流れた潤滑油39は、高圧で油溜り連通部71内に流入する。
高圧の潤滑油が流入した油溜り連通部71は、スクロール側ハウジング31の内周面33に形成された溝部73に開口しているため、油溜り連通部71内の潤滑油39は溝部73に流入する。この溝部73は、他端が吸入室連通部72に対向するように形成されているため、溝部73に流入した潤滑油39は、吸入室連通部72の方向に流れる。その際に、当該溝部73は、スクロール側ハウジング31の内周面33に螺旋状の形状で形成されているため、油溜り連通部71側の端部から吸入室連通部72側の端部までの長さが長くなっている。このため、圧力が高い状態で油溜り連通部71に流入し、さらに溝部73に流入した潤滑油39は、溝部73の油溜り連通部71側の端部から吸入室連通部72側の端部に流れるまでの間に、圧力が低くなる。つまり、溝部73の長さが長いため、潤滑油39の流路が長くなっており、流路が長いことに起因する圧力損失によって潤滑油39の圧力は低くなる。溝部73を通る際に圧力が低くなった潤滑油は、吸入室連通部72側の端部から吸入室連通部72内に流入する。
この吸入室連通部72は、吸入室28に開口しているため、吸入室連通部72内に低い圧力で流入された潤滑油39は、吸入室28に吐出される。吸入室28に吐出された潤滑油39は、再びミスト状になって冷媒ガスに含有され、旋回スクロール21に設けられた旋回側渦巻状ラップ22と固定スクロール11に設けられた固定側渦巻状ラップ12との摺動部分などを潤滑する。
以上のスクロール型圧縮機1は、スクロール側ハウジング31の内周面33に溝部73を形成し、固定スクロール11をスクロール側ハウジング31に焼嵌めすることにより、固定スクロール11をスクロール側ハウジング31に密着固定している。これにより、前記溝部73は、当該溝部73と固定スクロール11の外周面15とによって通路として形成される。また、この溝部73の一端に油溜り連通部71を開口し、他端に吸入室連通部72を開口することにより、溝部73は給油通路70の一部として形成される。これにより、部品点数を増やすことなく給油通路70を形成することができ、油溜り38と低圧部6とを給油通路70で連通することができる。また、給油通路70の一部である溝部73は、固定スクロール11の外周面15の外側に形成されているため、全長が長くなっており、これにより、給油通路70の圧力損失は大きくなっている。このため、圧力が高い油溜り38内の潤滑油39が給油通路70内を通って吸入室28に戻るまでの間に圧力は低減し、圧力が高い油溜り38内の潤滑油39が吸入室28に戻る際には、圧力は低くなっている。これらの結果、油溜り38の油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部6に戻すことができる。
また、前記溝部73は、公転軸80が中心となる螺旋状の形状で形成されているため、溝部の全長は長くなり、これにより、給油通路70全体の長さは、より確実に長くなっている。従って、油溜り38内の潤滑油39が給油通路70内を流れる際の圧力損失を、より確実に大きくすることができる。この結果、油溜り38の油を、より確実に減圧しながら低圧部6に戻すことができる。
また、給油通路70を、油溜り38と吸入室28とを連通するように形成しているので、高圧部5に位置する油溜り38に溜まった潤滑油39を、吸入室28に戻すことができる。これにより、当該スクロール型圧縮機1の運転時に実際に冷媒ガスを圧縮する部分である、旋回スクロール21に設けられた旋回側渦巻状ラップ22と固定スクロール11に設けられた固定側渦巻状ラップ12などの摺動部分に、より確実に給油をすることができる。従って、スクロール型圧縮機1の運転時の摺動抵抗を低減できる。この結果、スクロール型圧縮機1の運転効率の向上を図ることができる。
また、油溜り38は高圧部5に位置しており、油溜り38内の潤滑油39の圧力は高くなっているため、給油通路70を流れる潤滑油39が低圧部6に戻るまでに潤滑油39の圧力を低くする必要があるが、圧力を低くするために、溝部73の全長を長くすることにより給油通路70の全長を長くして圧力損失を大きくしている。このように、圧力損失を大きくする際に、給油通路70を細くするのではなく全長を長くしているので、給油通路70の断面積を大きくすることができる。これにより、給油通路70内に異物が詰まるようなことを低減できる。この結果、油溜り38の油を、より確実に低圧部6に戻すことができる。
本実施例に係るスクロール型圧縮機は、実施例1に係るスクロール型圧縮機と略同様の構成であるが、給油通路がスラスト面に開口している点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。図3は、本発明の実施例2に係るスクロール型圧縮機90の断面図である。図4は、図3に示したスクロール側ハウジングの断面図である。ここで、スクロール型圧縮機90は、図1と同様に自転阻止ピン及び自転阻止リングからなる自転を防止する機構を設けているが、その設置角度が異なるため、図3では不図示としている。また、旋回スクロール21のモータ40側には、スクロール側ハウジング31に固定されたスラスト軸受91が設けられている。このスラスト軸受91は、公転軸80に直交すると共に旋回スクロール21に対向する側の面がスラスト面92として形成されている。このスラスト面92は、旋回スクロール21のモータ40側の面に摺動可能に接触している。また、このスラスト軸受91は、低圧部6内に位置している。
実施例2に係るスクロール型圧縮機90に形成される給油通路70は、実施例1に係るスクロール型圧縮機1に形成される給油通路70と異なり、油溜り38とスラスト軸受91とを連通している。具体的には、油溜り連通部71は、一端が油溜り38に開口され、他端が固定スクロール11の外周面15に開口した孔として形成されている。また、スラスト軸受91には、スラスト面92から当該スラスト軸受91の外周面にかけて形成された孔であるスラスト軸受連通部93が形成されている。このスラスト軸受連通部93は、スラスト面92に開口され、モータ40の形成方向に公転軸80と平行な方向に形成される孔が、スラスト軸受91の途中で外周面方向、或いはスクロール側ハウジング31方向に折れ曲がり、スラスト軸受91の外周面に開口している。
また、スクロール側ハウジング31の内周面33において、油溜り連通部71が固定スクロール11の外周面15に開口している部分に対向する部分から、スラスト軸受連通部93がスラスト軸受91の外周面に開口している部分に対向する部分にかけて、公転軸80が中心となる螺旋状の形状で溝部73が形成されている。溝部73の一端が近傍に位置するスラスト軸受91は、吸入室28よりもモータ40寄りに位置しているため、実施例2に係るスクロール型圧縮機90に形成される溝部73は、実施例1に係るスクロール型圧縮機1に形成される溝部73よりも、全長が長くなっている。
この実施例2に係るスクロール型圧縮機90は以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。当該スクロール型圧縮機90を運転すると、自転阻止ピン24及び自転阻止リング61(図1参照)によって自転が阻止され、公転軸80を中心として公転旋回運動をする。旋回スクロール21が公転旋回運動をすると、当該旋回スクロール21と固定スクロール11とによって区画される吸入室28内の圧力が上昇し、この圧力は旋回スクロール21をモータ40方向に押す力として作用する。
旋回スクロール21のモータ40側にはスラスト軸受91が位置しており、旋回スクロール21がモータ40方向に押される力は、スラスト軸受91のスラスト面92が旋回スクロール21に接触することにより、スラスト軸受91で受けている。また、旋回スクロール21は公転旋回運動をしているので、旋回スクロール21とスラスト面92とは、摺動しつつ接触している。
このように旋回スクロール21に摺動しつつ接触しているスラスト面92には、給油通路70の一部として形成されているスラスト軸受連通部93が開口している。給油通路70の他端は、油溜り38に開口されており、給油通路70は油溜り38からスラスト面92にかけて形成されているため、油溜り38内の潤滑油39は、給油通路70を通ってスラスト面92に戻される。
以上のスクロール型圧縮機90は、給油通路70が油溜り38とスラスト面92とを連通するように形成されており、油溜り38は高圧部5に位置し、スラスト面92が形成されるスラスト軸受91は低圧部6内に位置している。これにより、油溜り38内の潤滑油39は給油通路70内に流入し、給油通路70の一部であるスラスト軸受連通部93からスラスト面92に戻され、スラスト面92に供給される。また、このスラスト面92は、スクロール型圧縮機90の運転時に公転旋回運動をする旋回スクロール21に接触し、旋回スクロール21はスラスト面92に対して摺動する。このため、スラスト面92に油溜り38内の潤滑油39を供給することにより、旋回スクロール21が公転旋回運動をする際の抵抗を低減することができる。この結果、スクロール型圧縮機90の運転効率の向上を図ることができる。
図5は、実施例1の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。なお、実施例1に係るスクロール型圧縮機1では、給油通路70は油溜り38と吸入室28とを連通しており、実施例2に係るスクロール型圧縮機90では、油溜り38とスラスト軸受91とを連通しているが、給油通路70は油溜り38からこれら以外の部分に連通させてもよい。例えば、図5に示すように、給油通路70は、油溜り38と吸入口35とを連通させてもよい。具体的には、一端が固定スクロール11の外周面15に開口する吸入口連通部100を給油通路70の一部として形成し、当該吸入口連通部100の他端を吸入口35に開口する。この吸入口連通部100は、固定スクロール11、ミドルハウジング52及びモータ側ハウジング32にかけて連続した孔によって形成されており、一端が固定スクロール11の外周面15、他端が吸入口35に開口している。スクロール側ハウジング31の内周面33に形成される溝部73の一端を、この吸入口連通部100における固定スクロール11の外周面15に開口している部分に対向した位置に形成することにより、給油通路70を、油溜り38と吸入口35とが連通するように形成することができる。
これにより、油溜り38内の潤滑油39を吸入口35に戻すことができ、吸入口35から低圧部6内に吸入される冷媒ガスに、油溜りから戻された潤滑油39を含有させることができる。このため、スクロール型圧縮機1の運転時に、この冷媒ガスが通過する部分における各摺動部や軸受に潤滑油を給油することができる。これにより、スクロール型圧縮機1の運転時の抵抗を低減できる。この結果、スクロール型圧縮機1の運転効率の向上を図ることができる。
図6は、実施例2の変形例に係るスクロール型圧縮機が有するスクロール側ハウジングの断面図である。図7は、図6のA−A断面図である。図8は、図6のB−B断面図である。また、スクロール側ハウジング31の内周面33に形成される溝部73は、螺旋状以外の形状で形成されていてもよい。例えば、図6〜8に示すように、スクロール側ハウジング31の内周面33に、公転軸80が中心となり、内周面33の一周にかけて形成された溝であるリング状溝部105を複数形成し、このリング状溝部105同士を、内周面33に形成される連結溝部106によって接続し、連通させてもよい。これらのリング状溝部105及び連結溝部106は、給油通路70の一部として形成されており、前記油戻り連通部71(図3参照)やスラスト軸受連通部93(図3参照)の形状である孔の径と同程度の溝幅及び溝深さで形成されている。さらに、複数形成されるリング状溝部105のうち、最も高圧部5側に位置するリング状溝部105は、公転軸80方向における位置が、油溜り連通部71の公転軸80方向における位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。また、複数形成されるリング状溝部105のうち、最もモータ40(図3参照)側に位置するリング状溝部105は、公転軸80方向における位置が、スラスト軸受連通部93の公転軸80方向における位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。
これらにより、油溜り38(図3参照)とスラスト軸受91(図3参照)とは給油通路70によって連通され、油溜り38内の潤滑油39をスラスト軸受91のスラスト面92(図3参照)に供給することができる。さらに、最もモータ40側に位置するリング状溝部105の公転軸80方向における位置と、スラスト軸受連通部93の公転軸80方向における位置とが、ほぼ同じ位置になるように形成されているため、スラスト軸受連通部93を、当該スラスト軸受91の周方向において複数設けることにより、スラスト面92の周方向における複数の位置から潤滑油を供給することができる。従って、旋回スクロール21(図3参照)の公転旋回運動時のスラスト面92と旋回スクロール21との摺動抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、スクロール型圧縮機90の運転効率の向上を図ることができる。
なお、このようにスクロール側ハウジング31の内周面33に形成される溝部73をリング状溝部105と連結溝部106とによって形成する場合には、給油通路70が油溜り38とスラスト軸受91とを連通する以外でもよく、油溜り38と吸入室28とを連通したり、油溜り38と吸入口35とを連通したりしてもよい。
図9は、実施例1の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。図10は、図9に示した固定スクロールの外形図である。また、実施例1に係るスクロール型圧縮機1では、油溜り連通部71と吸入室連通部72と接続する溝部73は、スクロール側ハウジング31の内周面33に形成されているが、油溜り連通部71と吸入室連通部72と接続する溝部は、固定スクロール11の外周面15に形成してもよい。例えば、図9及び図10に示すように、固定スクロール11の外周面15に、溝幅及び溝深さが油溜り連通部71や吸入室連通部72の形状である孔の径とほぼ同じ大きさとなる溝である固定スクロール溝部110を形成してもよい。この固定スクロール溝部110は、油溜り連通部71の外周面15側の端部から吸入室連通部72の外周面15側の端部にかけて形成されており、これらの端部間を、公転軸80を中心とした螺旋状の形状で接続するように形成している。
このように、油溜り連通部71と吸入室連通部72とを接続する溝部73として固定スクロール溝部110を固定スクロール11の外周面15に形成した場合でも、固定スクロール11の外周面15はスクロール側ハウジング31の内周面33に密着固定されているので、当該固定スクロール溝部110内を潤滑油39の通路として用いることができる。これにより、給油通路70の一部を、固定スクロール11の外周面15に位置する固定スクロール溝部110により形成することができる。このように、給油通路70を、全て固定スクロール11に形成することにより、各通路同士の位置合わせを行なう必要がなくなる。従って、異なる部品に形成された通路同士の位置合わせのバラツキに起因する圧力損失のバラツキを抑制できる。この結果、油溜り38内の油を、より確実に低圧部6に供給することができる。
なお、このように、給油通路70の一部を固定スクロール11の外周面15に形成された固定スクロール溝部110によって形成する場合には、給油通路70が油溜り38と吸入室28とを連通する以外でもよく、油溜り38とスラスト軸受91とを連通したり、油溜り38と吸入口35とを連通したりしてもよい。
図11は、実施例1の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。また、実施例1に係るスクロール型圧縮機1では、螺旋状の溝部73を有する給油通路70によって油溜り38と吸入室28とを連通しているが、給油通路70はその他の形状で、油溜り38と吸入室28以外の部分を連通していてもよい。例えば、図11に示すように、給油通路70の一部は、スラスト軸受60及び固定スクロール11に形成され、前記自転阻止リング61に開口した自転阻止リング連通部117により形成されていてもよい。この自転阻止リング連通部117は、スラスト軸受60に形成された自転阻止リング61の数と同数で形成されている。さらに、自転阻止リング連通部117と油溜り連通部71とは、固定スクロール11の外周面15に形成された固定スクロールリング状溝部115及び固定スクロール連結溝部116によって接続されていてもよい。
このうち、固定スクロールリング状溝部115は、固定スクロール11の外周面15に、公転軸80が中心となり、外周面15の一周にかけて形成された溝により形成されており、この固定スクロールリング状溝部115は複数形成されている。また、固定スクロール連結溝部116は、固定スクロール11の外周面15に形成されており、固定スクロールリング状溝部115同士を接続する溝により形成されている。さらに、複数の固定スクロールリング状溝部115のうち、最も高圧部5側位置する固定スクロールリング状溝部115は、公転軸80方向における位置が、油溜り連通部71の公転軸80方向における位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。また、複数形成される固定スクロールリング状溝部115のうち、最もモータ40側に位置する固定スクロールリング状溝部115は、公転軸80方向における位置が、自転阻止リング連通部117の公転軸80方向における位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。
これらにより、油溜り38と自転阻止リング連通部117とは給油通路70によって連通され、油溜り38内の潤滑油39を自転阻止リング61内に供給することができる。自転阻止リング61には自転阻止ピン24が挿入されており、旋回スクロール21が公転旋回運動をする際には、自転阻止ピン24は自転阻止リング61内を摺動する。このため、給油通路70によって油溜り38内の潤滑油39を自転阻止リング61内に供給することにより、自転阻止ピン24が自転阻止リング61内を摺動する際の抵抗を抑制できる。また、自転阻止リング連通部117を自転阻止リング61と同数形成しているので、全ての自転阻止リング61に油溜り38内の潤滑油39を供給することができ、旋回スクロール21が公転旋回運動をする際の摺動抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、スクロール型圧縮機1の運転効率の向上を図ることができる。
なお、このように固定スクロール11の外周面15に形成される溝部を固定スクロールリング状溝部115と固定スクロール連結溝部116とによって形成する場合には、給油通路70が油溜り38と自転阻止リング61とを連通する以外でもよく、油溜り38と吸入室28とを連通したり、油溜り38と吸入口35とを連通したり、油溜り38とスラスト軸受91とを連通したりしてもよい。また、自転阻止リング連通部117を形成する場合には、当該自転阻止リング連通部117と油溜り38とを接続する溝部は、螺旋状の形状で形成されていてもよく、また、スクロール側ハウジング31の内周面33に形成されていてもよい。
図12は、実施例2の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。また、実施例2に係るスクロール型圧縮機90では、スラスト軸受91にスラスト軸受連通部93を形成することにより、油溜り38内の潤滑油39をスラスト面92に供給しているが、油溜り38内の潤滑油39をスラスト面92に供給する場合には、スラスト軸受91にスラスト軸受連通部93を形成する以外の方法により行ってもよい。例えば、図12に示すように、スラスト軸受91の近傍に開口したスラスト面連通部120を、固定スクロール11に形成してもよい。このスラスト面連通部120は、スラスト軸受91よりも高圧部5側に位置しており、固定スクロール11の外周面15から公転軸80の方向に向かって形成されている。また、当該スラスト面連通部120は、スラスト面92に油溜り38からの潤滑油39を供給できるように、スラスト面連通部120における外周面15側よりも、公転軸80側の方がスラスト面92に近くなるように、公転軸80の直交方向に対して斜め方向に形成されている。また、油溜り連通部71もスラスト面連通部120と同様に、公転軸80の直交方向に対して斜め方向に形成してもよい。これらのように形成されるスラスト面連通部120及び油溜り連通部71は、スクロール側ハウジング31の内周面33に螺旋状の形状で形成された溝部73によって接続されている。
これらにより、油溜り38とスラスト面92とは給油通路70によって連通され、油溜り38内の潤滑油39をスラスト面92に供給することができる。このように、油溜り38内の潤滑油39をスラスト面連通部120からスラスト面92に供給することにより、潤滑油39はスラスト面92の正面から供給されることになるため、スラスト面92に対してより確実に潤滑油39を供給することができる。これにより、旋回スクロール21が公転旋回運動をする際の旋回スクロール21とスラスト面92との摺動抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、スクロール型圧縮機90の運転効率の向上を図ることができる。また、油溜り連通部71を、公転軸80と直交する方向に対して斜め方向に形成することにより、油溜り連通部71を、より容易に形成することができる。この結果、より容易に、油溜り38の油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部に戻すことができる。
また、上述したように、高圧部5に位置する油溜り38の潤滑油39を低圧部6に戻す場合には、給油通路70が低圧部6に開口する部分は、上述した部分以外の部分でもよく、また、その形状は、上述した形状以外の形状で形成されていてもよい。少なくとも、給油通路70の油溜り38側の端部の反対側の端部は、低圧部6に開口されており、また、給油通路70の一部はスクロール側ハウジング31の内周面33、或いは固定スクロール11の外周面15に形成されていればよい。これにより、部品点数を増やすことなく給油通路70を形成できると共に、給油通路70の全長を長くすることができ、これにより給油通路70内を流れる潤滑油39の圧力損失を大きくすることができる。この結果、油溜り38の油を、部品点数を増やすことなくより確実に減圧しながら低圧部6に戻すことができる。
以上のように、本発明にかかるスクロール型圧縮機は、冷媒ガスに潤滑油を含有しているスクロール型圧縮機に有用であり、特に、高圧部に油溜りが位置しているスクロール型圧縮機に適している。
本発明の実施例1に係るスクロール型圧縮機の断面図である。 図1に示したスクロール側ハウジングの断面図である。 本発明の実施例2に係るスクロール型圧縮機の断面図である。 図3に示したスクロール側ハウジングの断面図である。 実施例1の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。 実施例2の変形例に係るスクロール型圧縮機が有するスクロール側ハウジングの断面図である。 図6のA−A断面図である。 図6のB−B断面図である。 実施例1の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。 図9に示した固定スクロールの外形図である。 実施例1の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。 実施例2の変形例に係るスクロール型圧縮機の断面図である。
符号の説明
1 スクロール型圧縮機
5 高圧部
6 低圧部
10 圧縮機構
11 固定スクロール
12 固定側渦巻状ラップ
13 吐出ポート
14 吐出弁
15 外周面
21 旋回スクロール
22 旋回側渦巻状ラップ
23 ボス
24 自転阻止ピン
28 吸入室
30 ハウジング
31 スクロール側ハウジング
32 モータ側ハウジング
33 内周面
35 吸入口
36 吐出口
38 油溜り
39 潤滑油
40 モータ
41 ロータ
42 回転軸
43 ステータ
50 ベアリング
51 サブベアリング
52 ミドルハウンジング
53 偏心駆動ピン
54 ドライブブッシュ
55 旋回軸受
60 スラスト軸受
61 自転阻止リング
70 給油通路
71 油溜り連通部
72 吸入室連通部
73 溝部
80 公転軸
90 スクロール型圧縮機
91 スラスト軸受
92 スラスト面
93 スラスト軸受連通部
95 バランスウェイト
100 吸入口連通部
105 リング状溝部
106 連結溝部
110 固定スクロール溝部
115 固定スクロールリング状溝部
116 固定スクロール連結溝部
117 自転阻止リング連通部
120 スラスト面連通部

Claims (5)

  1. 公転軸を中心として公転旋回運動をする旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールと噛合する固定スクロールと、
    前記固定スクロールが密着固定して内設されるハウジングと、
    前記ハウジングに形成される吸入口と、
    前記ハウジングと前記固定スクロールとによって区画される高圧部と、
    前記吸入口と前記固定スクロールとの間に形成され、前記固定スクロールによって前記高圧部と仕切られた低圧部と、
    前記高圧部内に位置する油溜りと、
    前記油溜りと前記低圧部とを連通すると共に、少なくとも一部が前記固定スクロールと前記ハウジングとが密着固定している部分における双方の面のうちいずれか一方の面に形成された溝部により形成されている給油通路と、
    を具備していることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 前記溝部は、前記公転軸が中心となる螺旋状の形状で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記旋回スクロールと前記固定スクロールとにより前記低圧部の一部である吸入室が区画されており、
    前記給油通路は、前記油溜りと前記吸入室とを連通していることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール型圧縮機。
  4. 前記旋回スクロールは、前記旋回スクロールの公転旋回運動によって前記公転軸の軸方向に作用するスラスト力を受けると共に前記低圧部内に位置するスラスト軸受に支持されており、
    前記給油通路は、前記油溜りと前記スラスト軸受とを連通していることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記給油通路は、前記油溜りと前記吸入口とを連通していることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール型圧縮機。
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