JP2006250042A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、内燃機関の制御装置に関し、弁体の開弁特性の変更を利用した吸入空気量制御を行う内燃機関の制御装置において、開弁期間中であっても、弁体の開弁特性を高応答に変更可能としつつ、実吸入空気量の目標制御ずれを好適に抑制することを目的とする。
【解決手段】 吸気弁を駆動するための動弁装置として、カム軸を回転駆動および揺動駆動するモータを有し、当該モータにより実現されるカム軸の動作の態様に応じて弁体の開弁特性が変化する可変動弁装置を備える。開弁期間中のリフトカーブの変更要求が動弁系の応答能力を超えるものであった場合には、図5(B)に示すアクセル開度に対応する目標吸入空気量Gabaseを目標リフトカーブの決定のための基礎とするのではなく、その目標吸入空気量に本発明の目標吸気量なまし処理を施した最終目標吸入空気量Gafinal(図5(C)参照)を基礎として用いる。
【選択図】 図5

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、内燃機関の運転状態に応じて、弁体の開弁特性を高応答に変更可能な可変動弁装置を備えた内燃機関に用いるうえで好適な内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、吸気弁または排気弁として機能する弁体の開弁特性(リフト量、開きタイミング、閉じタイミング等)を変更する可変動弁装置を備える内燃機関の制御装置が開示されている。この可変動弁装置は、カム軸を回転駆動および揺動駆動する電動モータを備えている。この可変動弁装置では、閉弁期間中の電動モータの回転速度を増減させることとすれば、位相を変更することができ、逆に、開弁期間中の電動モータの回転速度を増減させることとすれば、作用角を変更することができる。また、開弁期間中に最大リフト量に達する前に電動モータの回転方向を逆転させることとすれば、弁体のリフト量が最大リフト量より小さくなるように制御することもできる。このように、上記従来の内燃機関の制御装置によれば、弁体の開弁特性を高い自由度で変更することができる。また、上記従来の装置によれば、カム軸を電動モータで駆動させているため、開弁期間中であっても開弁特性を高応答に変更させることが可能である。
特開2004−183612号公報
上述したように、上記従来の内燃機関の制御装置によれば、開弁期間中であっても、運転状態に応じて、弁体の開弁特性を即座に変更させることが可能である。しかしながら、急激なアクセル開度等の変化によって、過渡的に動弁系の応答能力を超えるような開弁特性の変更の要求があった場合には、目標開弁特性に対する実開弁特性の追従遅れが生じ、機関の性能上望ましい開弁特性から大きく外れてしまうことが起こり得る。また、このような追従遅れが生ずると、吸入空気量を目標値に制御することができなくなる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、弁体の開弁特性の変更を利用した吸入空気量制御を行う内燃機関の制御装置において、開弁期間中であっても、弁体の開弁特性を高応答に変更可能としつつ、実吸入空気量の目標制御ずれを好適に抑制し得る内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、弁体の開弁特性を変更可能な可変動弁装置を備え、内燃機関の運転状態に応じて当該弁体の目標開弁特性を変更する制御を行う内燃機関の制御装置であって、
弁体の開弁期間中に運転状態の変化を検出する運転状態変化検出手段と、
当該運転状態の変化に応じた目標開弁特性に関する要求値を所定の応答許容値と比較する応答性判定手段と、
前記要求値が前記応答許容値より大きい場合に、当該応答許容値に基づいて前記要求値に修正を施す開弁特性修正手段と、
前記要求値修正手段により修正された修正後要求値に従って制御するように前記可変動弁装置に指示する開弁特性指令手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記修正後要求値に基づいて、開弁期間中に筒内に供給された実吸入空気量を推定する吸気量推定手段を更に備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記可変動弁装置は、カム軸を駆動するモータを備え、
前記応答許容値は、前記モータの応答性能値に基づいて定められていることを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、前記応答許容値は、弁体の実リフト量の変化量に基づいて定められていることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、前記開弁特性修正手段は、
運転状態に基づいて目標吸入空気量のベース値を取得する目標吸気量取得手段と、
前記要求値が前記応答許容値より大きい場合に、前記応答許容値に基づいて前記ベース値を修正する目標吸気量修正手段と、
前記目標吸気量修正手段により修正された修正後目標吸気量に基づいて、前記要求値を修正する要求値修正手段と、を含むことを特徴とする。
第1の発明によれば、目標開弁特性に関する要求値が応答許容値より大きい場合には、当該応答許容値に基づいて要求値が修正される。このため、本発明によれば、開弁期間中に動弁系の応答能力を開弁特性の変更要求があった場合であっても、可変動弁装置の応答性を考慮した目標開弁特性に関する要求値を得ることができ、実吸入空気量の目標制御ずれを好適に抑制することができる。
第2の発明によれば、開弁期間中の開弁特性の変更を反映した実吸入空気量を正確に推定することができる。このため、本発明によれば、開弁期間中に動弁系の応答能力を開弁特性の変更要求があった場合であっても、可変動弁装置の応答性を考慮した内燃機関の制御を実現することができる。
第3の発明によれば、カム軸を駆動するモータの応答性能値と関連づけて、応答許容値を正確に設定することができる。
第4の発明によれば、応答許容値が弁体の実リフト量の変化量または実リフト速度に基づいて設定される。モータの応答性能値は、弁体の実リフト量の変化量や、その微分値である実リフト速度に影響を受ける。このため、本発明によれば、応答許容値をより適切に定めることができる。
第5の発明によれば、目標開弁特性に関する要求値が応答許容値より大きい場合には、可変動弁装置の応答性を考慮して、目標吸入空気量(ベース値)が修正される。このため、本発明によれば、修正後の目標吸入空気量に基づき、目標開弁特性に関する上記要求値を当該応答性を考慮した値に正確に修正することができる。
実施の形態1.
[可変動弁装置の構成]
以下、図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1の可変動弁装置10の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の可変動弁装置10の構成を示す斜視図である。図1に示す可変動弁装置10は、内燃機関の弁体を駆動するための装置である。ここでは、内燃機関は、筒内直接燃料噴射式の直列4気筒型エンジンとして構成されているものとする。図1において、#1〜#4は、それぞれ内燃機関の第1気筒〜第4気筒を表している。内燃機関における爆発順序は、一般的な内燃機関と同様に、#1→#3→#4→#2であるものとする。尚、本実施形態では、可変動弁装置10が各気筒の吸気弁を駆動する装置として機能するものとし、図1においては排気弁側の構成についてはその図示を省略している。しかし、可変動弁装置10は、吸気弁に代えて、或いは吸気弁に加え、各気筒の排気弁を駆動する装置として構成されていてもよい。
図1に示す構成は、吸気弁として機能する2つの弁体12を気筒毎に備えている。弁体12には、それぞれ弁軸14が固定されている。弁軸14の上端部には、バルブリフター16が取り付けられている。弁軸14には、図示しないバルブスプリングの付勢力が作用しており、弁体12は、その付勢力によって閉弁方向に付勢されている。
それぞれのバルブリフター16の上部には、対応するカム18または20が配置されている。図1に示すように、ここでは、#1および#4気筒に配置されたバルブリフター16に対応するカムを、カム18と称し、#2および#3気筒に配置されたバルブリフター16に対応するカムを、カム20と称して区別している。#1気筒および#4気筒に対応するカム18は、カム軸22に固定されている。#2および#3気筒に対応するカム20は、カム軸22とは互いに回転可能であって、かつ、当該カム軸22と同軸上に配置されたカム軸24に固定されている。つまり、図1に示す構成では、爆発時期が360°CAだけ異なる気筒毎にカム軸が共用されている。そして、それらのカム軸、すなわち、#1および#4気筒に対応するカム軸22と、#2および#3気筒に対応するカム軸24とは、互いに独立して周方向に回転動作または揺動動作が可能となるように構成されている。尚、カム軸22およびカム軸24は、図示しないシリンダヘッド等の支持部材によって回転可能に支持されている。
一方のカム軸22には、第1のドリブンギヤ26が同軸上に固定されている。第1のドリブンギヤ26には、第1の出力ギヤ28が噛み合わされている。第1の出力ギヤ28は、第1のモータ30の出力軸と同軸上に固定されている。このような構成によれば、第1のモータ30のトルクを、これらのギヤ26および28を介してカム軸22に伝達することができる。
他方のカム軸24には、第2のドリブンギヤ32が同軸上に固定されている。第2のドリブンギヤ32には、中間ギヤ34を介して、第2の出力ギヤ36が噛み合わされている。第2の出力ギヤ36は、第2のモータ38の出力軸と同軸上に固定されている。このような構成によれば、第2のモータ38のトルクを、これらのギヤ32、34、および36を介してカム軸24に伝達することができる。
図2は、図1に示すカム軸22の詳細な構成を説明するために、カム軸22をその軸方向から見た図である。上述したように、カム軸22には、カム18(#1)とカム18(#4)とが固定されている。図2に示すように、#1気筒用のカム18(#1)は、プロフィールの異なる2つのカム面18a、18bを有している。一方のカム面である非作用面18aは、カム軸22の中心からの距離が一定となるように形成されている。他方のカム面である作用面18bは、カム軸22の中心からの距離が次第に大きくなり、頂部18cを越えた後に当該距離が次第に小さくなるように形成されている。また、#4気筒用のカム18(#4)についても、カム18(#1)と同様の非作用面18aと作用面18bを有している。そして、カム18(#1)の頂部18cとカム18(#4)の頂部18cとは、カム軸22の周方向に互いに180°ずれるようにして配置されている。ここでは、その詳細な説明を省略するが、#2気筒と#3気筒に対応するカム軸24においても、カム20(#2)とカム20(#3)とは、カム軸22の場合と同様に構成されているものとする。
図1に示すシステムは、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、クランク角センサやカム角センサ等の図示を省略する各種センサや、第1のモータ30、第2のモータ38等の各種アクチュエータが接続されている。ECU40は、それらのセンサ出力に基づいて、カム軸22等が一方向に連続的に駆動されるように、第1のモータ30等に駆動指令を与えることにより、カム軸22等を回転動作させることができる。また、ECU40は、弁体12の開弁期間中に第1のモータ30等の回転方向が逆転するように、第1のモータ30等に駆動指令を与えることにより、カム軸22等を揺動動作させることができる。
[可変動弁装置の動作]
次に、図3を参照して、本実施形態の可変動弁装置10の動作を説明する。ここでは、第1のモータ30によりカム軸22を駆動する場合を例に挙げて説明する。
以上のように構成された本実施形態の可変動弁装置10によれば、第1のモータ30によって、カム軸22を内燃機関のクランク軸の回転速度の半分の速度(以下、「基本速度」と称する)で一方向に連続的に駆動することにより、クランク軸からの動力でカム軸を駆動する一般的な機械式の動弁装置と同様に、クランク軸の回転と同期して弁体12を開閉駆動することができる。
また、可変動弁装置10によれば、第1のモータ30によって、上記基本速度に依らずにクランク軸に対するカム軸22の位相を相対的に変化させることで、弁体12の開弁特性を以下の図3に示す例のように、様々に変化させることが可能である。尚、本明細書中においては、弁体12の「開弁特性」とは、弁体12のリフト量(最大リフト量)、開きタイミング、閉じタイミング、およびリフト速度を総称する表現であり、更に、それらによって定まるパラメータ、すなわち、開きタイミングと閉じタイミングが決まることで定まる作用角、および、作用角が一定のまま開きタイミング(または閉じタイミング)が決まることで定まる位相をも含むものをいう。
図3は、図1に示す可変動弁装置10により実現される弁体12の開弁特性の変更の具体例である。より具体的には、図3中に実線で示す波形は、カム軸22を基本速度で連続回転させた場合に得られるリフトカーブを示し、図3中に二点鎖線で示す波形は、第1のモータ30によってカム軸22の動作が変更された後のリフトカーブを示している。尚、図3中のリフトカーブの横軸はクランク角である。
先ず、図3(A)に示す「位相」の変更動作を説明する。弁体12の閉弁期間中にカム軸22の駆動速度が基本速度より速められると、クランク軸に対するカム軸22の位相が相対的に進角側に変化する。このため、図3(A)に示す位相の変更が可能となる。また、弁体12の閉弁中に上記駆動速度を基本速度より減速させれば、上記位相を遅角側に変更することができる。
図3(B)に示す「作用角」の変更は、弁体12の開弁期間中のカム軸22の駆動速度を基本速度より速くすることにより実現することができる。また、開弁期間中の当該駆動速度を基本速度より遅くすることとすれば、実線で示す基本波形に比して作用角を大きくすることも可能である。
次に、図3(C)に示す「作用角&リフト量」の変更動作を説明する。この変更動作は、弁体12のリフト量を、最大リフト量、すなわち、カム18の頂部18cがバルブリフター16と接する位置で得られるリフト量よりも小さく制限した例である。この変更動作は、カム18を回転駆動するのではなく、カム18が弁体12を押し下げていく途中で第1のモータ30を停止させ、その後に第1のモータ30を逆方向に回転させることにより実現することができる。この際、カム18の揺動量を適宜に変更することで、弁体12のリフト量を適当に選択することが可能となる。
そして、カム軸22を揺動動作させる際に、第1のモータ30の駆動速度を適当に調整することにより、図3(D)に示すように、作用角を変化させることなく、「リフト量」のみを変化させることもできる。また、弁体12の開弁期間中のカム軸22の駆動速度を、開弁初期には基本速度よりも速くし、その後は基本速度よりも遅くすることにより、図3(E)に示すように、作用角およびリフト量を変化させることなく、「リフト速度」を変化させることもできる。更に、カム18が弁体12を押し下げていく途中で第1のモータ30を一時的に停止させることとすれば、その停止期間中のリフト量を一定値に維持することも可能である。
上記の態様以外にも、それぞれの変更動作を適宜に組み合わせたり、弁体12の開弁動作を休止させることも可能である。以上のように、本実施形態の可変動弁装置10によれば、第1のモータ30によって、カム18の駆動速度、駆動量、および駆動方向を適宜制御することにより、カム18の揺動動作を様々に変化させることができ、これにより、弁体12の開弁特性を高い自由度で変更することができる。
[実施の形態1の特徴部分]
図4は、動弁系の応答能力についての配慮なしに、吸気弁の開弁期間中にアクセル要求の変化に基づく目標開弁特性の変更がなされた場合の動作を説明するための図である。また、図5は、吸気弁の開弁期間中のアクセル要求の変化に基づく目標開弁特性の変更に対して、動弁系の応答能力についての配慮がなされた本実施形態のシステムの特徴的動作を説明するための図である。
上述した可変動弁装置10を備える本実施形態のシステムでは、ECU40は、アクセル開度およびエンジン回転数(運転状態)に基づいて、機関の要求トルク(目標吸入空気量)を決定する。そして、ECU40は、そのような目標吸入空気量に対応した目標リフトカーブに関する要求値を可変動弁装置10に指示することとしている。可変動弁装置10によれば、上記の如く、カム軸22等を第1のモータ30等で駆動しているため、開弁期間中であっても、アクセル開度の変化に応じて変更された目標吸入空気量に対応するリフトカーブに高応答に変更することが可能である。
ところで、可変動弁装置10では、アクセル開度の変化の度合いによっては、図4に示すように、動弁系の応答能力を超えたリフトカーブの変更が過渡的に要求されることがある。図4(C)に示す目標リフトカーブ(太線で示す)は、時刻t2およびt3において、それぞれ動弁系の応答能力を超えるリフトカーブの変更が出された場合の一例を示している。より具体的には、時刻t2において、目標吸入空気量Ga1に対応するリフトカーブ(破線)から目標吸入空気量Ga2に対応するリフトカーブ(破線で示す)に変更され、更に、時刻t3において、その目標吸入空気量Ga2に対応するリフトカーブから目標吸入空気量Ga3に対応するリフトカーブ(破線で示す)に変更されている。
上記のように、動弁系の応答能力を超えたリフトカーブの変更が過渡的に要求された場合には、吸気弁の実際のリフトカーブ(細線で示す)は、図4(C)に示すように、目標リフトカーブに対する追従遅れが生じたものとなり、実リフトカーブが内燃機関の性能上望ましいリフトカーブから大きく外れてしまうことが起こり得る。以上のように、動弁系の応答能力を考慮することなく、開弁期間中の吸気弁のリフトカーブを変更させようとすると、実吸入空気量を目標値に制御することができなくなる場合が生ずる。
そこで、本実施形態のシステムでは、開弁期間中に、アクセル開度等の運転状態の変化に伴って、動弁系の応答許容値より大きなリフトカーブの変更要求が出された場合には、当該運転状態に応じて決定される目標リフトカーブに修正を施した値を、目標リフトカーブ(目標開弁特性)として用いることとした。より具体的には、動弁系の応答能力を超えるリフトカーブの変更要求があった場合には、図5(B)に示すアクセル開度に対応する目標吸入空気量(ベース値Gabase)を目標リフトカーブの決定のための基礎とするのではなく、その目標吸入空気量に後述する目標吸気量なまし処理を施した最終目標吸入空気量Gafinal(図5(C)参照)を基礎とすることとした。このような手法によれば、開弁期間中に動弁系の応答能力を超えるリフトカーブの変更要求があった場合に、図5(D)に示すように、実リフトカーブが目標リフトカーブから大きく外れてしまうことがなく、上記最終吸入空気量に対応する目標リフトカーブとなるような実リフトカーブを得ることができる。
以下、図6乃至図10を参照して、実施の形態1における具体的な処理について説明する。
図6は、本実施形態における目標吸気量なまし処理を実現するために、ECU40が実行するルーチンのフローチャートである。尚、本ルーチンは、例えば100μ秒毎に周期的に実行されるものとする。
図6に示すルーチンでは、先ず、目標吸気量なまし量kの初期値k1が設定される(ステップ100)。この初期値k1は、アクセル開度等に対応した目標吸入空気量(ベース値Gabase)を、動弁系の応答能力を許容レベルに収める目標吸入空気量(最終値Gafinal)にまで確実に修正できるような値として、ECU40に予め記憶されたものである。
次に、目標吸気量なまし量kに基づき、最終値Gafinalが算出される(ステップ102)。具体的には、本ステップ102で使用されるベース値Gabaseは、本ルーチンと並行して実行されている後述の図9に示すルーチンのステップ202において、所定のタイミングで取得されるものである。最終値Gafinalは、最新のベース値Gabase(n)と前回のベース値Gabase(n-1)と上記目標吸気量なまし量kを用いて、例えば次式により算出することができる。
Gafinal=Gabase(n)・k+Gabase(n-1)・(1-k) ・・・(1)
上記(1)式によれば、例えば、目標吸入空気量がGa1からGa2に変化する場合(図5参照)では、最終値Gafinalを、Ga2・kとGa1・(1-k)との和として算出することができる。このような算出式によれば、目標吸気量なまし量kを1に近づけるほど、最終値Gafinalを最新のベース値Gabase(n)により近い値となるように修正することができる。
次に、上記ステップ102において算出された最終値Gafinalに基づいて、目標リフトカーブが算出される(ステップ104)。具体的には、目標リフトカーブは、上記ステップ102において算出された目標吸入空気量(最終値Gafinal)に基づいて、ECU40が記憶する図7に示すマップを参照して算出される。図7は、エンジン回転数がある一定値の場合における目標リフトカーブ取得用マップの一例を示している。
図7(A)に示すマップでは、目標吸入空気量が大きいほどリフト量(最大リフト値)が大きくなるように設定されている。また、目標吸入空気量が大きいほど、開きタイミングがより進角側となるように(図7(B)に示すマップ参照)、閉じタイミングがより遅角側となるように(図7(B)に示すマップ参照)、それぞれ設定されている。このようなマップによれば、目標吸入空気量に対応するリフト量(最大リフト値)、開きタイミング、および閉じタイミングを得ることができ、これらのパラメータに基づいて、目標リフトカーブを取得することができる。
次に、上記ステップ104において取得された目標リフトカーブに基づいて、目標カム角度θが算出される(ステップ106)。図8は、図1に示す可変動弁装置10における目標リフトカーブとカム角θとの関係を示す図である。尚、図8は、第1のモータ30によってカム軸22を揺動動作させた場合を示している。また、太線で表した波形は小リフト時の動作を、細線で表した波形は大リフト時の動作を、それぞれ示している。上述した可変動弁装置10によれば、図8に示すように、カム角(モータ角)θが大きく制御されていくほど、リフト量も大きくなる。このように、リフトカーブとカム角θとは、一対一に対応している。従って、上記ステップ106において算出された目標リフトカーブを用いて必要な目標カム角θを算出することができる。
次に、上記ステップ106において算出された目標カム角θに基づいて、必要加減速トルク(モータの必要トルク)trq_aclが算出される(ステップ108)。必要加減速トルクtrq_aclは、目標カム角θの変化量dθを2回微分したカム角加速度d2θ/dt2と駆動系のイナーシャIとを用いて、次式により算出することができる。
trq_acl=I・d2θ/dt2 (2)
次に、上記ステップ108において算出された必要加減速トルクtrq_aclが所定のしきい値trq_acl_thより大きいか否かが判別される(ステップ110)。このしきい値(応答許容値)trq_acl_thは、動弁系の許容最大応答能力に対応する必要加減速トルクとして、ECU40に予め記憶されたものである。本ステップ110の比較を行うことにより、上記ステップ108において算出された必要加減速トルクtrq_aclが動弁系の応答許容値より大きいか否かを判断することができる。このように、本ステップ110では、当該応答許容値を、第1のモータ30等の応答性能値である必要加減速トルクtrq_aclに基づいて設定している。このような設定によれば、応答許容値をモータの応答性能値と関連づけて正確に決定することができる。また、第1のモータ30等によりカム軸22等を駆動している可変動弁装置10では、モータの応答性能値は、実リフト量の変化量や、その微分値である実リフト速度に影響を受ける。本ステップ110では、リフト量と相関があるカム角θの変化量dθの2回微分値d2θ/dt2を含む必要加減速トルクtrq_aclに基づきモータの応答性能値を定めているため、実リフト量の変化量または実リフト速度に基づいて当該応答性能値をより適切に定めることができる。
上記ステップ110において、必要加減速トルクtrq_acl>しきい値trq_acl_thが不成立であると判定された場合、すなわち、必要加減速トルクtrq_aclがしきい値trq_acl_thに対して余裕があると認められた場合には、次いで、目標吸気量なまし量k=1であるか否かが判別され(ステップ112)、目標吸気量なまし量k=1でないと判定された場合には、目標吸気量なまし量kが変更、より具体的には、より大きな値に更新される(ステップ114)。
一方、上記ステップ110において、必要加減速トルクtrq_acl>しきい値trq_acl_thが成立すると判定された場合、すなわち、必要加減速トルクtrq_aclがモータの応答性能値の上限値に達したと判断された場合には、必要加減速トルクtrq_aclを大きくする更新を行うことなく、上記ステップ106において算出された目標カム角度θが第1のモータ30等に指令される(ステップ116)。また、上記ステップ112において、目標吸気量なまし量k=1であると判定された場合にも、直ちに目標カム角度θが第1のモータ30等に指令される。
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、必要加減速トルクtrq_acl>しきい値trq_acl_thが不成立である間は、上記ステップ102〜114の処理が繰り返し実行される。その結果、目標吸気量なまし量kの増加に伴って最終値Gafinalがより大きくなり、よりリフト量が大きい目標リフトカーブが選択され、更に、目標カム角度θおよび必要加減速トルクtrq_aclがより大きな値に更新されていく。このため、上記ルーチンの処理によれば、動弁系の応答能力を超えたリフトカーブの変更が過渡的に要求された場合であっても、常に第1のモータ30等が発生させ得る最大トルクに対応した目標カム角度θの値を第1のモータ30等に指令することができる。
次に、図9および図10を参照して、開弁期間中におけるアクセル開度等の運転状態の変化を検出し、かつ、当該開弁期間中におけるリフトカーブの変更に伴う実吸入空気量の変化を反映した燃料噴射量を算出するために、ECU40が実行する具体的な処理について説明する。
図9は、上記の機能を実現するために、ECU40が実行するルーチンのフローチャートである。尚、本ルーチンは、上述した図6に示すルーチンと並行して、例えば100μ秒毎に周期的に実行されるものとする。
図9に示すルーチンでは、先ず、目標リフトカーブ計算タイミングが到来したか否かが判別される(ステップ200)。ECU40には、上述した図5における時刻t1〜t3のように、本実施形態の内燃機関において想定する吸気弁の開きタイミングの最進角値より手前のタイミング(t1)や、開弁期間中の所定のタイミングとなるように設定された目標リフトカーブの計算タイミング(t2、t3)が記憶されている。
上記ステップ200において、目標リフトカーブ計算タイミングが到来したと判定された場合には、アクセル開度およびエンジン回転数に基づいて、目標吸入空気量(ベース値Gabase)が算出される(ステップ202)。本ステップ202で算出されたベース値Gabaseは、上記の如く、図6における上記ステップ102において用いられる。次いで、Ga取得フラグが1にセットされる(ステップ204)。
図9に示すルーチンでは、上記ステップ204の処理が実行された後に、或いは、目標リフトカーブ計算タイミングではないと判定され、かつGa取得フラグが1にセットされている場合には(ステップ206)、図6のルーチンによる目標吸気量なまし処理を反映させた後の目標吸入空気量(最終値Gafinal)が取得される(ステップ208)。すなわち、本ステップ208では、図6のルーチンの終了時に確定した最終値Gafinalが、ECU40の処理サイクル毎に取得され、ECU40が備えるRAMに格納される。その結果、そのRAMには、ECU40の処理サイクル毎に上記最終値Gafinalのデータが蓄積されていく。
次に、吸気弁が閉弁状態にあるか否かが判別され(ステップ210)、その結果、吸気弁が閉弁状態にあると判定された場合には、Ga取得フラグが0にリセットされる(ステップ212)。
吸気弁が閉弁状態となると、以後、上記ステップ200および206の判定が不成立となる。この場合に、所定の燃料噴射量の計算開始タイミングが到来したと判定されると(ステップ214)、開弁期間中の推定吸入空気量Gatotalが算出される(ステップ216)。
図10は、図9に示すルーチン中で用いられる推定吸入空気量Gatotalの算出方法を説明するための図である。上記ステップ208の処理が実行された結果、ECU40のRAMには、図9(A)に示すような開弁期間(リフト期間)に対応した最終値Gafinalのデータが保存されている。本ステップ216では、リフト期間中の最終値Gafinalの時間平均値から推定吸入空気量Gatotalが算出される。このため、開弁期間中のリフトカーブの変更を反映した実吸入空気量を正確に推定することができる。
図9に示すルーチンでは、次に、上記ステップ216において算出された推定吸入空気量Gatotalと、過渡吸気量とに基づいて、燃料噴射量が算出される(ステップ218)。具体的には、本ステップ218において算出される燃料噴射量は、基本噴射量(定常分)に補正噴射量(過渡分)に相当する量の修正を施したものとして算出されるものである。先ず、基本噴射量は、上記推定吸入空気量Gatotalに応じて決定されるものであり、ECU40が記憶している図11に示すマップを参照して取得される。図11に示すマップでは、推定吸入空気量Gatotalが大きくなるほど、基本噴射量も大きくなるように設定されている。
また、もう一方の補正噴射量は、ECU40が記憶している図12(D)に示すマップを参照して取得される。図12は、図9に示すルーチンにおける補正噴射量(過渡分)の取得手法を説明するための図である。尚、図12は、スロットル開度が一定である場合の特性を示している。図12(A)に示すように、リフトカーブがより大きな最大リフト量を有するものに変更されると、図12(B)に示すように、吸気管負圧が大きくなるように変化し、吸気管負圧は、所定時間後に変更後のリフトカーブに応じた値に安定する。この吸気管負圧の変化に伴って、図12(C)に示すように、過渡吸気量は、リフトカーブ変更直後に瞬間的に高くなり、その後安定するという傾向を示す。図12(D)に示す補正噴射量のマップによれば、補正噴射量は、リフトカーブの変更直後に最も多量となり、その後の経過時間に応じて減少するように設定されている。このため、図12(D)に示すマップによれば、リフトカーブ変更時の補正噴射量を過渡吸気量との関係に基づいて正確に決定することができる。
図9に示すルーチンでは、上記ステップ218において燃料噴射量が算出されると、次いで、RAMに蓄積された最終値Gafinalのデータがクリアされる(ステップ220)。
上記図9に示すルーチンによれば、開弁期間中にアクセル開度の変化等の運転状態の変化を検出し、当該開弁期間中におけるリフトカーブの変更に伴う実吸入空気量の変化を反映した燃料噴射量を算出することができる。
以上説明した通り、上記図6および図9のルーチンを用いた本実施形態のシステムによれば、開弁期間中の運転状態の変化に基づいて、可変動弁装置10の応答性を考慮した目標リフトカーブを得ることができる。このため、当該開弁期間中に動弁系の応答能力を超えるリフトカーブの変更要求があった場合であっても、実リフトカーブが目標リフトカーブから大きく外れてしまうことがなく、実吸入空気量の目標制御ずれを好適に抑制することができる。
尚、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ200および202の処理を実行することにより前記第1の発明における「運転状態変化検出手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「応答性判定手段」が、上記ステップ100〜114の処理を実行することにより前記第1の発明における「開弁特性修正手段」が、上記ステップ116の処理を実行することにより前記第1の発明における「開弁特性指令手段」が、それぞれ実現されている。また、目標カム角θが前記第1の発明における「目標開弁特性に関する要求値」に、図6のルーチンの処理の実行後に確定した目標カム角θが前記第1の発明における「修正後要求値」に、それぞれ相当している。
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が上記ステップ216の処理を実行することにより、前記第2の発明における「吸気量推定手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ202の処理を実行することにより前記第5の発明における「目標吸気量取得手段」が、上記ステップ102、104、および110〜114の処理を実行することにより前記第5の発明における「目標吸気量修正手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第5の発明における「要求値修正手段」が、それぞれ実現されている。また、最終値Gafinalが前記第5の発明における「修正後目標吸気量」に相当している。
本発明の実施の形態1の可変動弁装置の構成を示す斜視図である。 図1に示すカム軸の詳細な構成を説明するために、カム軸をその軸方向から見た図である。 図1に示す可変動弁装置により実現される弁体の開弁特性の変更の具体例である。 動弁系の応答能力についての配慮なしに、吸気弁の開弁期間中にアクセル要求の変化に基づく目標開弁特性の変更がなされた場合の動作を説明するための図である。 吸気弁の開弁期間中のアクセル要求の変化に基づく目標開弁特性の変更に対して、動弁系の応答能力についての配慮がなされた本実施形態のシステムの特徴的動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において、目標吸気量なまし処理を実現するために実行されるルーチンのフローチャートである。 図6に示すルーチン中で参照される目標リフトカーブ取得用マップである。 図1に示す可変動弁装置における目標リフトカーブとカム角θとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において、開弁期間中におけるリフトカーブの変更に伴う実吸入空気量の変化を反映した燃料噴射量を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。 図9に示すルーチン中で用いられる推定吸入空気量Gatotalの算出方法を説明するための図である。 図9に示すルーチン中で参照される基本噴射量取得用マップである。 図9に示すルーチンにおける補正噴射量(過渡分)の取得手法を説明するための図である。
符号の説明
10 可変動弁装置
12 弁体
16 バルブリフター
18、20 カム
22、24 カム軸
30 第1のモータ
38 第2のモータ
40 ECU(Electronic Control Unit)

Claims (5)

  1. 弁体の開弁特性を変更可能な可変動弁装置を備え、内燃機関の運転状態に応じて当該弁体の目標開弁特性を変更する制御を行う内燃機関の制御装置であって、
    弁体の開弁期間中に運転状態の変化を検出する運転状態変化検出手段と、
    当該運転状態の変化に応じた目標開弁特性に関する要求値を所定の応答許容値と比較する応答性判定手段と、
    前記要求値が前記応答許容値より大きい場合に、当該応答許容値に基づいて前記要求値に修正を施す開弁特性修正手段と、
    前記要求値修正手段により修正された修正後要求値に従って制御するように前記可変動弁装置に指示する開弁特性指令手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記修正後要求値に基づいて、開弁期間中に筒内に供給された実吸入空気量を推定する吸気量推定手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記可変動弁装置は、カム軸を駆動するモータを備え、
    前記応答許容値は、前記モータの応答性能値に基づいて定められていることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記応答許容値は、弁体の実リフト量の変化量または実リフト速度に基づいて定められていることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記開弁特性修正手段は、
    運転状態に基づいて目標吸入空気量のベース値を取得する目標吸気量取得手段と、
    前記要求値が前記応答許容値より大きい場合に、前記応答許容値に基づいて前記ベース値を修正する目標吸気量修正手段と、
    前記目標吸気量修正手段により修正された修正後目標吸気量に基づいて、前記要求値を修正する要求値修正手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
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