JP2006300565A - 流速計測素子及びマイクロ流路デバイス - Google Patents

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Chie Fukuda
智恵 福田
Tetsuya Hattori
哲也 服部
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Abstract

【課題】 機械的強度に優れた構造を有する流速計測素子及びマイクロ流路デバイスを提供する。
【解決手段】 流速計測素子10は、流体a及び流体a中に含まれるトレーサbが流れるマイクロ流路9と、マイクロ流路9の第1部分11に光学的に結合された光導波路15と、第1部分11より下流に位置する第2部分13に光学的に結合された光導波路17と、第1部分11を介して光導波路15に光学的に結合された光導波路19と、第2部分13を介して光導波路17に光学的に結合された光導波路21と、光導波路15及び光導波路17に光学的に結合された光源23と、光導波路19及び光導波路21に光学的に結合された光検出部26とを備える。マイクロ流路9、光導波路15、光導波路17、光導波路19及び光導波路21は、基板29に設けられている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、流速計測素子及びマイクロ流路デバイスに関する。
特許文献1に記載されているように、マイクロ流路中に棒状又は板状の歪曲部材が設置された流速計測素子が知られている。この流速計測素子では、歪曲部材が流体からの作用力を受けて歪曲する。マイクロ流路を流れる流体の速度は、歪曲部材の歪曲度を検出することによって計測される。
特開2002−156254号公報
しかしながら、上記流速計測素子を用いて例えば粒子状の異物が混入した流体の速度を計測する場合には、当該異物が歪曲部材に接触することによって歪曲部材が破壊されるおそれがある。特に、マイクロ流路の幅は非常に狭いので、異物が歪曲部材を破壊してしまう可能性は極めて高い。歪曲部材が破壊されてしまうと、もはや流体の速度を計測することができない。
そこで本発明は、機械的強度に優れた構造を有する流速計測素子及びマイクロ流路デバイスを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の流速計測素子は、流体及び前記流体中に含まれるトレーサが流れるマイクロ流路と、前記マイクロ流路の第1部分に光学的に結合された一端を有する第1の光導波路と、前記第1部分より下流に位置する前記マイクロ流路の第2部分に光学的に結合された一端を有する第2の光導波路と、前記第1部分を介して前記第1の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第3の光導波路と、前記第2部分を介して前記第2の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第4の光導波路と、前記第1の光導波路の他端及び前記第2の光導波路の他端に光学的に結合された光源と、前記第3の光導波路の他端及び前記第4の光導波路の他端に光学的に結合された光検出部とを備え、前記マイクロ流路、前記第1の光導波路、前記第2の光導波路、前記第3の光導波路及び前記第4の光導波路が、基板に設けられている。
本発明の流速計測素子によれば、光源から第1の光導波路の他端に入射される光は、第1の光導波路を通って第1の光導波路の一端からマイクロ流路の第1部分に供給される。また、光源から第2の光導波路の他端に入射される光は、第2の光導波路を通って第2の光導波路の一端からマイクロ流路の第2部分に供給される。第1部分を通過した光は第3の光導波路の一端に入射され、第3の光導波路を通る。第3の光導波路の他端から出射される光は、光検出部に到達する。また、第2部分を通過した光は第4の光導波路の一端に入射され、第4の光導波路を通る。第4の光導波路の他端から出射される光は、光検出部に到達する。トレーサは、流体と共に、第1部分を通過した後に第2部分を通過する。
ここで、第3の光導波路の他端から出射され光検出部に到達する光の光量は、トレーサが第1部分を通過することにより変化する。また、第4の光導波路の他端から出射され光検出部に到達する光の光量は、トレーサが第2部分を通過することにより変化する。よって、光検出部に到達する光の光量が変化する時刻の差と、第1部分と第2部分との間の距離とを用いて、流体の流速を算出することができる。
本発明の流速計測素子では上述のように流体の流速を計測できるので、マイクロ流路内に流速を計測するための構造物を設ける必要がない。したがって、本発明の流速計測素子は、機械的強度に優れた構造を有する。
前記光検出部は、前記第3の光導波路の前記他端に光学的に結合された第1の光検出器と、前記第4の光導波路の前記他端に光学的に結合された第2の光検出器とを備えることが好ましい。この場合、第3の光導波路の他端から出射される光と第4の光導波路の他端から出射される光とを別々に検出できる。したがって、第1部分と第2部分との間の距離が短い場合であっても流体の流速を高精度に算出することができる。
前記第1の光導波路の前記他端と前記第2の光導波路の前記他端とは光学的に結合していることが好ましい。この場合、第1の光導波路及び第2の光導波路に一つの光源から光を供給することができるので、流体計測素子の部品点数を削減することができる。
また、前記第1部分と前記光検出部との間の光路長と、前記第2部分と前記光検出部との間の光路長とが略同じであることが好ましい。これにより、流体の流速を容易に算出することができる。
また、前記基板が石英ガラスから構成されることが好ましい。この場合、基板の耐薬品性が向上するので、比較的幅広い種類の流体の流速を計測することができる。
また、前記トレーサが、石英ガラスから構成される粒子であることが好ましい。この場合、トレーサの耐薬品性が向上するので、比較的幅広い種類の流体の流速を計測することができる。
また、前記光源及び前記光検出部が、前記基板に設けられていることが好ましい。この場合、光源と第1の光導波路の他端及び第2の光導波路の他端との光軸合わせが容易になると共に、光検出部と第3の光導波路の他端及び第4の光導波路の他端との光軸合わせが容易になる。
本発明のマイクロ流路デバイスは、流体の速度を計測する流速計測素子に用いられるマイクロ流路デバイスであって、前記流体及び前記流体中に含まれるトレーサが流れるマイクロ流路と、前記マイクロ流路の第1部分に光学的に結合された一端を有する第1の光導波路と、前記第1部分より下流に位置する前記マイクロ流路の第2部分に光学的に結合された一端を有する第2の光導波路と、前記第1部分を介して前記第1の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第3の光導波路と、前記第2部分を介して前記第2の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第4の光導波路とを有する基板を備える。
本発明のマイクロ流路デバイスでは、光を第1の光導波路に供給すると、当該光は第1の光導波路を通って第1の光導波路の一端から出射され、マイクロ流路の第1部分に供給される。第1部分を通過した光は第3の光導波路の一端に入射され、第3の光導波路を通る。また、光を第2の光導波路に供給すると、当該光は第2の光導波路を通って第2の光導波路の一端から出射され、マイクロ流路の第2部分に供給される。第2部分を通過した光は第4の光導波路の一端に入射され、第4の光導波路を通る。トレーサは、流体と共に、第1部分を通過した後に第2部分を通過する。
ここで、第3の光導波路から出射される光を検出すると、検出される光の光量は、トレーサが第1部分を通過することにより変化する。また、第4の光導波路から出射される光を検出すると、検出される光の光量は、トレーサが第2部分を通過することにより変化する。よって、検出される光の光量が変化する時刻の差と、第1部分と第2部分との間の距離とを用いて、流体の流速を算出することができる。
本発明のマイクロ流路デバイスでは、マイクロ流路内に流速を計測するための構造物を設ける必要がない。したがって、本発明のマイクロ流路デバイスは、機械的強度に優れた構造を有する。
本発明によれば、機械的強度に優れた構造を有する流速計測素子及びマイクロ流路デバイスが提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るマイクロ流路デバイスを有する流速計測素子を備えた流速計測システムの概略を示す概念図である。図2は、第1実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。
図1に示される流速計測システム1は、流体aが流れる主配管3と、主配管3に取り付けられた分岐5,5と、分岐5,5間を接続する配管7と、配管7に接続された流速計測素子10とを備える。配管7には微量の流体aが流れる。流速計測素子10を用いると、配管7を流れる流体aの流速を計測することができる。
流体aとしては、例えば水溶液、有機溶媒、酸性溶液、アルカリ性溶液等の液体、酸性ガス、アルカリ性ガス等の気体、気液混合物、又は、粉末が混入した気体若しくは液体等が挙げられる。一実施例において、流体aはエタノールである。
流速計測素子10は、流体a及び流体a中に含まれるトレーサ(又はマーカ)bが流れるマイクロ流路9を含む基板29を有するマイクロ流路デバイス33と、マイクロ流路デバイス33に光学的に結合された光源23と、マイクロ流路デバイス33に光学的に結合された光検出部26とを備える。流速計測素子10は、流体a中にトレーサbを供給するトレーサ供給源31を更に備えることが好ましい。配管7とマイクロ流路9とは、例えばエポキシ系の紫外線硬化型接着剤で両者を接着固定することによって接続される。ここで、配管7は端面が研磨された石英ガラス管であることが好ましく、マイクロ流路9の端面も研磨されていることが好ましい。
配管7には、流速計測素子10より下流に配置されたバルブ37が接続されていることが好ましい。また、配管7には、バルブ37より下流に配置されトレーサbを除去するトレーサ除去器39が接続されることが好ましい。トレーサ除去器39を用いることにより、流体aを主配管3に還流させることができる。トレーサ除去器39としては、例えば、ろ過フィルタ又は磁石等が挙げられる。なお、バルブ37を閉めることにより、流体aを回収しないとしてもよい。この場合、配管7を流れる流体a及びトレーサbは廃棄される。
基板29には、第1の光導波路15、第2の光導波路17、第3の光導波路19及び第4の光導波路21が設けられている。光導波路15の一端15aは、マイクロ流路9の第1部分11に光学的に結合されている。光導波路17の一端17aは、第1部分11より下流に位置するマイクロ流路9の第2部分13に光学的に結合されている。光導波路19の一端19aは、第1部分11を介して光導波路15の一端15aに光学的に結合されている。光導波路21の一端21aは、第2部分13を介して光導波路17の一端17aに光学的に結合されている。
光導波路15の他端15b及び光導波路17の他端17bには、光源23が光学的に結合されている。本実施形態において、光導波路15の他端15bと光導波路17の他端17bとは光学的に結合されている。また、本実施形態では、光導波路15の他端15b及び光導波路17の他端17bと光源23との間に、基板29に設けられた光導波路35が配置されている。したがって、光導波路15、光導波路17及び光導波路35によって、例えばY分岐光導波路といった分岐光導波路が構成される。本実施形態では、光源23は、例えば光ファイバ41を介して光導波路35に光学的に結合される。光源23は、例えば波長1.55μmの半導体レーザ(LD)である。
本実施形態において、光検出部26は、光導波路19の他端19bに光学的に結合された第1の光検出器25と、光導波路21の他端21bに光学的に結合された第2の光検出器27とを備える。光検出器25は、例えば光ファイバ43を介して光導波路19の他端19bに光学的に結合される。光検出器27は、例えば光ファイバ45を介して光導波路21の他端21bに光学的に結合される。光検出器25,27は、例えばフォトダイオード(PD)である。光検出器25,27には、光検出器25,27からの信号を受けるコンピュータ等の制御装置47が接続されることが好ましい。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33を備えた流速計測素子10によれば、光源23から光導波路15の他端15bに出射された光L1は、光導波路15を通って光導波路15の一端15aからマイクロ流路9の第1部分11に供給される。また、光源23から光導波路17の他端17bに出射された光L1は、光導波路17を通って光導波路17の一端17aからマイクロ流路9の第2部分13に供給される。第1部分11に供給された光L1は、第1部分11を通過する。第1部分11を通過した光L2は、光導波路19の一端19aに入射する。光導波路19の他端19bから出射された光L2は光検出器25に到達する。第2部分13に供給された光L1は、第2部分13を通過する。第2部分13を通過した光L3は、光導波路21の一端21aに入射する。光導波路21の他端21bから出射された光L3は光検出器27に到達する。一方、トレーサbは、流体aと共に、第1部分11を通過した後に第2部分13を通過する。
光検出器25に到達する光L2の光量(強度)は、トレーサbが第1部分11を通過することにより変化する。また、光検出器27に到達する光L3の光量(強度)は、トレーサbが第2部分13を通過することにより変化する。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33を備えた流速計測素子10では、光検出器25に到達する光L2の光量が変化する時刻tと光検出器27に到達する光L3の光量が変化する時刻tとの差Δt(=t−t)と、第1部分11と第2部分13との間の距離dとを用いて、トレーサbの移動速度を算出することができる。トレーサbの移動速度とマイクロ流路9を流れる流体aの流速との関係、及び、マイクロ流路9を流れる流体aの流速と配管7を流れる流体aの流速との関係を予め導出しておくことにより、トレーサbの移動速度から配管7を流れる流体aの流速を算出することができる。さらに、配管7を流れる流体aの流速と主配管3を流れる流体aの流速との関係を予め導出しておくことにより、主配管3を流れる流体aの流速を算出することができる。
第1部分11と光検出器25との間の光路長d1と、第2部分13と光検出器27との間の光路長d2とが略同じである場合には、トレーサbの移動速度はd/Δtとなる。したがって、流体aの流速を容易に算出することができる。
なお、「略同じ」とは、例えば、d1とd2との差が4mm以下の範囲内であることを意味する。
また、本実施形態では、光検出部26が光検出器25及び光検出器27を備えるので、光導波路19の他端19bから出射される光L2と光導波路21の他端21bから出射される光L3とを別々に検出できる。したがって、第1部分11と第2部分13との間の距離dが短い場合であっても、光L2と光L3とが互いに干渉しないので、流体aの流速を高精度に算出することができる。
また、本実施形態では、光導波路15の他端15bと光導波路17の他端17bとが光学的に結合しているので、光導波路15及び光導波路17に一つの光源23から光L1を供給できる。したがって、流速計測素子10の部品点数を削減することができる。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33を備えた流速計測素子10では上述のように流体aの流速を計測できるので、マイクロ流路9内に流速を計測するための構造物を設ける必要がない。したがって、マイクロ流路デバイス33及び流速計測素子10は、機械的強度に優れた構造を有する。さらに、例えば流体aの純度が低いことにより流体aに粒子状の異物が混入していても、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33を備えた流速計測素子10は破壊されない。
トレーサbは石英ガラスから構成される粒子であることが好ましい。トレーサbは、平均粒径が5〜10μmの粒子であることが好ましい。トレーサbが石英ガラスから構成される粒子である場合、トレーサbの耐薬品性が向上するので、比較的幅広い種類の流体aの流速を計測することができる。また、トレーサbが第1部分11を通過する時、第1部分11に供給される光L1はトレーサbによって散乱される。このため、光導波路19の他端19bから出射され光検出器25に到達する光L2の光量は低下する。同様に、トレーサbが第2部分13を通過する時、第2部分13に供給される光L1はトレーサbによって散乱される。このため、光導波路21の他端21bから出射され光検出器27に到達する光L3の光量は低下する。
また、トレーサbは色素が添加された石英ガラス球であってもよい。色素としては、例えば、Er3+、Nd3+等が挙げられる。Er3+は、波長0.5μm、0.65μm、1.55μmの光を吸収するので、波長0.5μm、0.65μm、1.55μmの光源23を使用する場合に好適に用いられる。Nd3+は、波長0.8μmの光源23を使用する場合に好適に用いられる。トレーサbに色素が添加されている場合には、トレーサbによって光L1が散乱及び吸収されるので、光検出器25,27に到達する光L2,L3の光量は更に低下する。よって、色素が添加されていない石英ガラス球に比べて高感度で計測できる。
また、トレーサbは鉄粉等の金属粒子であってもよい。この場合、トレーサbによって光L1が散乱されるので、光検出器25,27に到達する光L2,L3の光量は低下する。トレーサbが例えば磁性材料からなる粒子である場合、トレーサ除去器39として磁石を用いることが好ましい。
また、トレーサbは例えばポリスチレン等の樹脂から構成される粒子であってもよい。この場合、トレーサbによって光L1が散乱されるので、光検出器25,27に到達する光L2,L3の光量は低下する。トレーサbが例えばポリスチレン等の樹脂から構成される粒子である場合、粒径が揃ったトレーサbを準備することができる。
また、トレーサbは蛍光体であってもよい。この場合、光L1がトレーサbに照射されると、トレーサbから蛍光が放出され、当該蛍光が光L2,L3として光導波路19の一端19a及び光導波路21の一端21aに入射される。このため、光検出器25,27に到達する光L2,L3の光量は増加する。
基板29は石英ガラスから構成されることが好ましい。この場合、基板29の耐薬品性が向上するので、比較的幅広い種類の流体aの流速を計測することができる。なお、基板29は、例えばソーダライムガラス等のガラスから構成されるとしてもよい。
図3は、第1実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子のマイクロ流路及び光導波路を模式的に示す斜視図である。図3に示されるように、マイクロ流路9は、例えば断面が30μm×30μmの正方形となる空洞である。マイクロ流路9の径は、5μm以上120μm以下であることが好ましい。なお、「マイクロ流路の径」とは、マイクロ流路の断面積と同じ断面積を有する円の直径を意味する。流体aは例えば層流となってマイクロ流路9を流れる。マイクロ流路9は、溝が形成された基板上にカバー板を張り合わせることにより好適に形成される。
また、図3に示されるように、光導波路15、17,19,21,35は、例えばコアの断面が7.5μm×7.5μmの正方形となる形状を有する。光導波路15、17,19,21,35において、コアとクラッドとの比屈折率差Δは例えば0.45%である。光導波路15、17,19,21の一端15a,17a,19a,21aは、いずれもマイクロ流路9の深さ方向において略中間に配置されることが好ましい。この場合、高感度にトレーサbを検知することができる。これは、流体aの流れが層流であると、トレーサbはマイクロ流路9の深さ方向において中間に位置する確率が高いからである。具体的には、例えば、光導波路15、17,19,21の端面の重心位置が、マイクロ流路9の下面からの距離及び上面からの距離がいずれもz1となるように配置されることが好ましい。一実施例において、z1は15μmである。
以下、図4を参照して、流速計測素子10を用いた流体aの流速計測方法の具体例について詳細に説明するが、流体aの流速計測方法はこれらに限定されない。図4(a)及び図4(b)は、光源23が半導体レーザである場合におけるレーザ光の出力値P、及び、光検出器25,27にそれぞれ到達する光L2,L3の光量Iと、時刻tとの関係を模式的に示すグラフである。縦軸は出力値P及び光量Iを示す。横軸は時刻tを示す。
図4(a)に示される波形S1は、出力値Pの経時変化を示す。波形S1では、出力値Pが時刻tにかかわらず一定値Pである。これは、レーザ光を連続発振(CW発振)させているからである。
波形U1は、光検出器25に到達する光L2の光量Iの経時変化を示す。波形U2は、光検出器27に到達する光L3の光量Iの経時変化を示す。トレーサbを流体a中に供給しない時には、光検出器25,27にそれぞれ到達する光L2,L3の光量Iは、いずれも一定値Iである。
また、波形U1に示されるように、トレーサbがマイクロ流路9の第1部分11に到達する時刻tから所定時間Δt経過した後の時刻tにおいて、光検出器25に到達する光L2の光量Iは一定値Iから低下する。この所定時間Δtは、光L2が光路長d1を通過するのに要する時間である。時刻tとしては、例えば波形U1のピーク等を用いることができる。
同様に、波形U2に示されるように、トレーサbがマイクロ流路9の第2部分13に到達する時刻tから所定時間Δt経過した後の時刻tにおいて、光検出器27に到達する光L3の光量Iは一定値Iから低下する。この所定時間Δtは、光L3が光路長d2を通過するのに要する時間である。時刻tとしては、例えば波形U2のピーク等を用いることができる。
波形U1,U2は、例えば別々の画像として制御装置47の記憶部に記録される。制御装置47のディスプレイ上では波形U1,U2が例えば同時に表示される。制御装置47では、時刻tと時刻tと差Δt(=t−t)と、第1部分11と第2部分13との間の距離dとを用いて、流体aの流速が算出される。流体aの流速を計測する前にキャリブレーションを実施すると、計測精度が向上する。
時刻t,tは、波形U1,U2から、例えば相互相関法を用いて算出されることが好ましい。これにより、流体a中にノイズ源又は多数の粒子が存在することによって波形U1,U2にノイズが混在している場合においても、時刻t,tが算出される。その結果、流体aの流速は高精度に算出される。
図4(b)に示される波形S2は、出力値Pの経時変化を示す。波形S2は、パルス幅Δtの連続パルス波形である。波形S2では、出力値Pの最大値がP、最小値がPである。これは、レーザ光をパルス発振させているからである。
パルス幅Δtは、時刻t,tがパルス幅Δt内に位置するように設定されることが好ましい。これにより、波形U1,U2に常に混在してしまうノイズを除去することができるので、レーザ光を連続発振させる場合に比べて流体aの速度を高精度に計測することができる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。図5に示される流速計測素子10aは、マイクロ流路9、光導波路15、光導波路17、光導波路19及び光導波路21を含む基板29を有するマイクロ流路デバイス33aとを備える。流速計測素子10aは、トレーサ供給源31を更に備えることが好ましい。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33aを備えた流速計測素子10aでは、光源23及び光検出部26が、基板29に設けられている。このため、光導波路35と光源23とを光学的に結合する光ファイバ41、光導波路19と光検出器25とを光学的に結合する光ファイバ43、及び、光導波路21と光検出器27とを光学的に結合する光ファイバ45が不要になる。よって、光源23と光導波路35との光軸合わせ、光検出器25と光導波路19との光軸合わせ、及び、光検出器27と光導波路21との光軸合わせがいずれも容易になる。したがって、流速計測素子10aの機械的強度は更に向上するので壊れ難くなる。また、流速計測素子10aを小型化できる。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33aを備えた流速計測素子10aを用いると、第1実施形態と同様に流体aの流速を計測できる。したがって、マイクロ流路デバイス33a及び流速計測素子10aは、機械的強度に優れた構造を有する。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。図6に示される流速計測素子10bは、マイクロ流路9、光導波路14(第1の光導波路)、光導波路16(第2の光導波路)、光導波路19及び光導波路21を含む基板29を有するマイクロ流路デバイス33bとを備える。流速計測素子10bは、トレーサ供給源31を更に備えることが好ましい。
光導波路14の一端14aは、第1部分11に光学的に結合されている。光導波路14の他端14bは、光源素子22に光学的に結合されている。光導波路16の一端16aは、第2部分13に光学的に結合されている。光導波路16の他端16bは、光源素子24に光学的に結合されている。光源素子22及び光源素子24は光源23bを構成する。光源素子22,24としては、光源23と同様のものが挙げられる。光導波路14及び光導波路16の作製は、光導波路15及び光導波路17の作製に比べて容易である。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33bを備えた流速計測素子10bでは、光源23b及び光検出部26が、基板29に設けられている。よって、光源素子22と光導波路14の他端14bとの光軸合わせ、光源素子24と光導波路16の他端16bとの光軸合わせ、光検出器25と光導波路19との光軸合わせ、及び、光検出器27と光導波路21との光軸合わせがいずれも容易になる。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33bを備えた流速計測素子10bを用いると、第1実施形態と同様に流体aの流速を計測できる。したがって、マイクロ流路デバイス33b及び流速計測素子10bは、機械的強度に優れた構造を有する。
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。図7に示される流速計測素子10cは、マイクロ流路9、光導波路14、光導波路16、光導波路18(第3の光導波路)、光導波路20(第4の光導波路)及び光導波路36を含む基板29を有するマイクロ流路デバイス33cとを備える。流速計測素子10cは、トレーサ供給源31を更に備えることが好ましい。
光導波路18の一端18aは、第1部分11を介して光導波路14の一端14aに光学的に結合されている。光導波路20の一端20aは、第2部分13を介して光導波路16の一端16aに光学的に結合されている。光導波路18の他端18bと光導波路20の他端20bとは光学的に結合されているので、光導波路18の他端18b及び光導波路20の他端20bから出射された光は一つの光検出部26cに到達する。したがって、流速計測素子10cの部品点数を削減することができる。
光導波路18の他端18b及び光導波路20の他端20bは、光導波路36を介して光検出部26cに光学的に結合されている。したがって、光導波路18、光導波路20及び光導波路36は分岐光導波路を構成している。光検出部26cとしては、光検出器25又は光検出器27と同様のものが好適に用いられる。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33cを備えた流速計測素子10cでは、光源23b及び光検出部26cが、基板29に設けられている。よって、光源素子22と光導波路14の他端14bとの光軸合わせ、光源素子24と光導波路16の他端16bとの光軸合わせ、及び、光検出部26cと光導波路36との光軸合わせがいずれも容易になる。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33cを備えた流速計測素子10cを用いると、第1実施形態と同様に流体aの流速を計測できる。したがって、マイクロ流路デバイス33c及び流速計測素子10cは、機械的強度に優れた構造を有する。
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。図8に示される流速計測素子10cは、マイクロ流路9、光導波路15、光導波路17、光導波路18、光導波路20及び光導波路36を含む基板29を有するマイクロ流路デバイス33dとを備える。流速計測素子10cは、トレーサ供給源31を更に備えることが好ましい。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33dを備えた流速計測素子10dでは、光源23及び光検出部26cが、基板29に設けられている。よって、光源23と光導波路35との光軸合わせ、及び、光検出部26cと光導波路36との光軸合わせがいずれも容易になる。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス33dを備えた流速計測素子10dを用いると、第1実施形態と同様に流体aの流速を計測できる。したがって、マイクロ流路デバイス33d及び流速計測素子10dは、機械的強度に優れた構造を有する。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されない。
例えば、第2実施形態において、光源23及び光検出部26のうち少なくとも一方が基板29に設けられていないとしてもよい。また、第3実施形態において、光源23b及び光検出部26のうち少なくとも一方が基板29に設けられていないとしてもよい。また、第4実施形態において、光源23b及び光検出部26cのうち少なくとも一方が基板29に設けられていないとしてもよい。また、第5実施形態において、光源23及び光検出部26cのうち少なくとも一方が基板29に設けられていないとしてもよい。
第1実施形態に係るマイクロ流路デバイスを有する流速計測素子を備えた流速計測システムの概略を示す概念図である。 第1実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。 第1実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子のマイクロ流路及び光導波路を模式的に示す斜視図である。 図4(a)及び図4(b)は、光源が半導体レーザである場合におけるレーザ光の出力値P、及び、光検出器に到達する光の光量Iと、時刻tとの関係を模式的に示すグラフである。 第2実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。 第3実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。 第4実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。 第5実施形態に係るマイクロ流路デバイスを備えた流速計測素子を模式的に示す平面図である。
符号の説明
9…マイクロ流路、10,10a,10b,10c,10d…流速計測素子、11…マイクロ流路の第1部分、13…マイクロ流路の第2部分、14,15…第1の光導波路、14a,15a…第1の光導波路の一端、14b,15b…第1の光導波路の他端、16,17…第2の光導波路、16a,17a…第2の光導波路の一端、16b,17b…第2の光導波路の他端、18,19…第3の光導波路、18a,19a…第3の光導波路の一端、18b,19b…第3の光導波路の他端、20,21…第4の光導波路、20a,21a…第4の光導波路の一端、20b,21b…第4の光導波路の他端、23,23b…光源、25…第1の光検出器、26,26c…光検出部、27…第2の光検出器、29…基板、31…トレーサ供給源、33,33a,33b,33c,33d…マイクロ流路デバイス、a…流体、b…トレーサ。

Claims (8)

  1. 流体及び前記流体中に含まれるトレーサが流れるマイクロ流路と、
    前記マイクロ流路の第1部分に光学的に結合された一端を有する第1の光導波路と、
    前記第1部分より下流に位置する前記マイクロ流路の第2部分に光学的に結合された一端を有する第2の光導波路と、
    前記第1部分を介して前記第1の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第3の光導波路と、
    前記第2部分を介して前記第2の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第4の光導波路と、
    前記第1の光導波路の他端及び前記第2の光導波路の他端に光学的に結合された光源と、
    前記第3の光導波路の他端及び前記第4の光導波路の他端に光学的に結合された光検出部と、
    を備え、
    前記マイクロ流路、前記第1の光導波路、前記第2の光導波路、前記第3の光導波路及び前記第4の光導波路が、基板に設けられている、流速計測素子。
  2. 前記光検出部は、前記第3の光導波路の前記他端に光学的に結合された第1の光検出器と、前記第4の光導波路の前記他端に光学的に結合された第2の光検出器と、を備える、請求項1に記載の流速計測素子。
  3. 前記第1の光導波路の前記他端と前記第2の光導波路の前記他端とは光学的に結合している、請求項1又は2に記載の流速計測素子。
  4. 前記第1部分と前記光検出部との間の光路長と、前記第2部分と前記光検出部との間の光路長とが略同じである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流速計測素子。
  5. 前記基板が石英ガラスから構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流速計測素子。
  6. 前記トレーサが、石英ガラスから構成される粒子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の流速計測素子。
  7. 前記光源及び前記光検出部が、前記基板に設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流速計測素子。
  8. 流体の速度を計測する流速計測素子に用いられるマイクロ流路デバイスであって、
    前記流体及び前記流体中に含まれるトレーサが流れるマイクロ流路と、
    前記マイクロ流路の第1部分に光学的に結合された一端を有する第1の光導波路と、
    前記第1部分より下流に位置する前記マイクロ流路の第2部分に光学的に結合された一端を有する第2の光導波路と、
    前記第1部分を介して前記第1の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第3の光導波路と、
    前記第2部分を介して前記第2の光導波路の前記一端に光学的に結合された一端を有する第4の光導波路と、
    を有する基板を備える、マイクロ流路デバイス。
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