JP2006321696A - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来よりも傾斜角度の小さい傾斜基板上に、3C構造を生じさせずにエピタキシャル層を成長することが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 珪素の水素化ガスと炭化水素ガスをキャリアガスと共に加熱したSiC基板5上に供給し、熱分解反応により単結晶を成長させるCVD法による炭化珪素単結晶の製造方法において、上記SiC基板5として、(0001)面から小さい傾斜角度で傾斜したSiC単結晶基板を用い、このSiC単結晶基板上に、珪素の水素化ガス、炭化水素ガス及びキャリアガスと共に、HClガスを同時に供給する。傾斜角度は、4HのSiC単結晶基板の場合、0.5〜7.0°の範囲、6HのSiC単結晶基板場合、0.5〜2.5°の範囲とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CVD法による半導体デバイス用炭化珪素単結晶の製造法に関わるものである。
炭化珪素(SiC)は酸やアルカリに対する耐薬品性に優れると共に、高エネルギー線に対する耐性も高く、耐久性に優れた半導体材料である。また絶縁破壊電圧が高く、高温でも半導体としての性質を失わないため、パワーデバイスや高温デバイスの材料としても期待されている。
SiCには、およそ250種の結晶形があることが知られている。代表的には3C、4H、6H、15R等の結晶形(数字は<0001>軸方向のSi−C対の繰り返し周期を示し、Cは立方晶、Hは六方晶、Rは菱面体晶系を示す。)が存在する。このうち3C構造のSiC(3C−SiC)は高温あるいは放射線の照射される環境下で作動する能動素子に適すると考えられている。また6H構造のSiC(6H−SiC)は禁制帯幅が約2.9eVであり、青色発光素子として用いられている。4H構造のSiC(4H−SiC)は、約3.2eVと6H−SiCよりも広い禁制帯幅をもつため、青色から紫色の発光ダイオードや、その他の結晶形のSiCとのヘテロ接合デバイスに用途が考えられている。
半導体材料としてのSiC結晶の形成方法としては、改良レーリー法(昇華法)により得られた六方晶(6Hもしくは4H)SiC基板の(0001)Si面上に、CVD法(化学的気相成長法)によりエピタキシャル成長を行うことが一般的である。
例えば、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法)を用いて次のようにn型発光層を形成することが知られている(特許文献1参照)。すなわち、まず、(11−20)面に切り出した6H−SiC結晶基板11を、MOCVD装置に入れ高温で表面処理を行う。次いで、基板温度を成長温度(1500℃)まで降下した後、キャリアガスで希釈したシリコン(Si)の原料であるシラン(SiH4)と炭素(C)の原料であるプロパン(C38)ガスとを交互に導入する。その切替えの途中で塩化水素(HCl)ガスを導入し、余分のSi、Cを除去する。このようにすることにより、1原子ずつ成長を行うことができる。この成長を行うとき、SiC層の1層ごと交互に不純物添加を行う層と行わない層とを交互に成長させ、超格子構造のn型発光層12を形成する。不純物としては、導電型決定には窒素(N)を、発光中心として窒素の量を上回らない程度アルミニウム(Al)を導入する。
しかしCVD法によるエピタキシャル成長の場合、部分的に立方晶(3C構造)のSiCが形成されるという問題があった。この3C構造が発生すると6H構造もしくは4H構造との境界に結晶欠陥が生じ、電圧印加時に電流のリーク経路となりデバイスの耐圧を著しく下げる原因となってしまう。そのためこの立方晶(3C構造)の発生を抑止するには1800℃以上の高温で成長しなくてはならなかった。
この3C構造の発生程度は、ノマルスキー顕微鏡により評価できる。境界部に発生した欠陥は容易に観察できるためである。エピタキシャル層中に3C構造が発生した4H−SiCエピタキシャル基板の表面写真を図7に示す。
その後、京大の松波らによって、(0001)面から[11−20]方向に傾斜をつけた基板上に成長するステップ制御エピタキシー法が発見され、1500℃程度まで温度を下げて成長できることが見出された。6H−SiCで最適な傾斜角度は3.5°であるが、4H−SiCでは8°とより大きい傾斜角が必要になる。
この技術の発見で、SiCのCVD成長をより現実的な温度で行うことが可能になり、SiC電子デバイスの開発もより促進されるようになり、様々なデバイスが提案されるようになった。その中でも唯一、SiCデバイスとしてすでに実用化され、市場に出ているのがショットキーバリアーダイオードである。
このショットキーバリアーダイオードのデバイス構造は、図8に示すように、n+型SiC基板31上にn-型エピタキシャル層32を成長し、n-側にショットキー電極33、n+側にオーミック電極34を形成している比較的単純な構造である。またショットキー電極33の周りは、電流のリークを抑止するためBを注入してボロン注入領域35とし、表面をSiO2パッシベート膜36で保護している。
現在市販されているものは600V耐圧と1.3kV耐圧の二種類である。しかし最近になり、電流リークの大きな原因であるマイクロパイプ欠陥(中空貫通欠陥)をなくす成長技術も報告され、将来的にはより高耐圧の仕様も市販されるようになると予想される。また基板欠陥の低減と共に、将来的にはJFET(接合型電界効果トランジスタ)などへの展開が考えられ、SiC電子デバイスの市場は今後拡大していくものと予想される。
特開平5−7016号公報(段落番号0016、0017)
しかしながら、(0001)面から[11−20]方向にある角度傾いた傾斜基板(off−axis基板)は、(0001)面に平行な基板(on−axis基板)に比べて歩留りが低く、このため高価である。さらに傾斜が大きいほど歩留りが低くなり、高価になる傾向にある。特にショットキーバリアーダイオードやその他の縦型デバイスには、c軸方向の移動度が高い4H−SiC基板が用いられる。そのため傾斜基板の使用による、デバイスのコストへの影響は無視できないものがある。
また傾斜基板上にSiCをCVD成長すると、傾斜方向の基板エッジ部に、エピタキシャル層が傾斜角度分だけ傾いて成長される現象が度々起こる。図9において、傾斜基板であるn+SiC基板31上にn-SiCエピタキシャル層32を形成した場合に、n-SiCエピタキシャル層32が基板エッジ部37で基板傾斜角度θ分だけ傾いて成長する様子を示す。成長条件により、頻度や傾いて成長される領域38は異なるが、傾斜角度θが大きいほどデバイス作製に使えなくなる領域(傾いて成長される領域38)が大きくなる。その分、一枚のエピタキシャル基板から取得できるデバイス取得歩留りが低減することになる。
ところで、従来のCVD法の場合、使用する傾斜基板(off−axis基板)の最適な傾斜角度は、6H−SiCで3.5°、4H−SiCで8°であり、比較的大きい。ここで、従来よりも傾斜の小さいSiC基板上に3C構造を生じさせずにエピタキシャル層を成長することができれば、従来のように傾斜角度の大きい傾斜基板を使用する必要がなくなることから、基板にかかるコストを低減することができ、さらにはエッジ部で発生する上記問題も低減されて、一枚のエピタキシャル基板から取得できるデバイス取得歩留りが向上する。
そこで、本発明の目的は、従来よりも傾斜角度の小さい傾斜基板上に、3C構造を生じさせずにエピタキシャル層を成長することが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、従来よりも傾斜の小さい基板上に、Si原料、C原料およびキャリアガスと同時にHClガスを供給するCVD法にて、SiCエピタキシャル層を成長する。
本発明は、具体的には次のように構成したものである。
請求項1の発明に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、珪素の水素化ガスと炭化水素ガスをキャリアガスと共に加熱したSiC基板上に供給し、熱分解反応により単結晶を成長させるCVD法による炭化珪素単結晶の製造方法において、上記SiC基板として、(0001)面から小さい傾斜角度で傾斜したSiC単結晶基板を用い、このSiC単結晶基板上に、珪素の水素化ガス、炭化水素ガス及びキャリアガスと共に、HClガスを同時に供給することを特徴とする。
この特徴によれば、HClガスを同時に供給することで、HClのエッチング作用が営まれ、表面にステップが現れ、強制的にテラスを狭めてキンクを形成するため、3C構造の核の発生が抑止される。このため、例えば、(0001)面から[11−20]方向に従来よりも小さい傾斜角度で傾いた傾斜基板(off−axis基板)を用いて、SiCエピタキシャル層を成長することができる。
請求項2の発明に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、珪素の水素化ガスと炭化水素ガスをキャリアガスと共に加熱したSiC基板上に供給し、熱分解反応により単結晶を成長させるCVD法による炭化珪素単結晶の製造方法において、上記SiC基板として、(0001)面から小さい傾斜角度で傾斜したSiC単結晶基板を用い、このSiC単結晶基板上に、先にキャリアガスとHClガスを供給し、その後に珪素の水素化ガスと炭化水素ガスを供給することを特徴とする。
これは加熱したSiC基板上に珪素の水素化ガスと炭化水素ガスを供給する前に、キャリアガスとHClガスを先に供給(導入)し、かつ上記SiC基板として傾斜の小さいSiC単結晶基板を用いる形態の炭化珪素単結晶の製造方法である。作用効果は請求項1の場合と同じである。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、上記SiC基板として、(0001)面から0.5°〜7.0°の範囲で傾斜させた4H構造のSiC単結晶基板、もしくは(0001)面から0.5°〜2.5°の範囲で傾斜させた6H構造のSiC単結晶基板を用いることを特徴とする。
このようにSiC単結晶基板の傾斜角度を、4H構造のSiC単結晶基板で0.5°〜7.0°、6H構造のSiC単結晶基板で0.5°〜2.5°の範囲としたのは、この範囲を外れると、平坦性の悪化及び欠陥数の増大が認められ、実用上問題が生じるからである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、キャリアガスとしてH2ガス、またはHeとH2の混合ガス、またはArとH2の混合ガスのいずれかを用いることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、HClガスの流量をキャリアガス流量の0.1〜5.0%に設定することを特徴とする。
HCl流量は、成長中のエピタキシャル表面にステップを発生させるだけの量が必要である。しかしHCl流量が多すぎると、エピタキシャル層のエッチングが過剰に進み、その分、製膜速度は低下してしまう。従って最適なHCl流量が存在し、これは使用する装置や成長条件により異なるが、HClガスの流量は大体キャリアガス流量の0.1〜5.0%が良い。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、珪素の水素化ガスとして、Si26、SiH4-xClx(X=1、2、3、4)、Si26-xClx(X=1、2、3、4、5、6)のいずれかを用い、炭化水素ガスとしてCH4、C26、C(CH34のいずれかを用いることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、成長速度を20μm/hour以下とすることを特徴とする。
この成長速度によれば、確実にSiC単結晶をエピタキシャル成長することができる。
<発明の要点>
従来の傾斜基板を用いたSiCのCVD成長の様子は、図5のように表すことができる。平坦に研磨された表面でも、基板表面には階段状にステップが無数に存在している。ここでステップの上面をテラス21、側面をキンク22と称す。SiCがエピタキシャル成長をするとき、反応種はテラス21の表面に付着し、表面上でランダムウォーク23を起こす。そして最終的には再蒸発24により気化するか、キンク22に達して結晶(原料付着25)として取り込まれることになる。
これを巨視的に見るとステップが傾斜方向に流れるように成長していく様子が観測される。このような成長をステップフロー成長といい、これが理想的に行われると、下地の結晶形やポリタイプを完全に引き継ぐようになる。
このとき傾斜角が小さいほどテラス21は広くなり、キンク22は少なくなる。理想的に研磨されたon−Axis基板では無限に広いテラスを持ち、キンクは存在しないことになる。テラス21が広くてキンク22が少ないと、反応種はキンク22に届く前にテラス21上に核を形成してしまう。この核がそのまま成長を続けていくと3C構造になると言われている。
本発明の特徴は、SiC成長と同時にHClを導入することにある。このHClの役割は、次の二点にある。
(1)基板上からの再蒸発の促進、それによりテラス上に発生した成長核の除去。
(2)SiC基板表面のエッチングにより、強制的なステップの形成。
水素雰囲気中である程度以上の温度があれば、SiCはHClによってエッチングされる。特にSiC基板においてはHClのエッチングにより、幅が数十ナノメートルオーダーのステップが表面に現れることが認められている(図6参照)。そのため従来よりも少ない傾斜角でも、強制的にテラスを狭めてキンクを形成するため、ステップフロー成長が促進され、3C構造の核の発生を抑止することが可能になる。
本発明による炭化珪素単結晶の製造方法によれば、従来のように傾斜角の大きい傾斜基板を用いることなく、より小さな傾斜角度のSiC単結晶基板を用いて、良質なSiC単結晶薄膜の成長が可能になるため、より低価格でかつデバイス歩留りの高いSiCエピタキシャルウェハを製造することが可能になる。これによりSiCデバイスの開発促進、さらにはエンドユーザーへの展開の促進を実現することができる。
以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
<CVD装置>
図1は本発明の製造方法で用いたSiC製造用CVD装置のリアクター(CVD炉)の構造を示した概略図である。
このCVD炉は、直径5.08cm(2インチ)の基板が1チャージ可能な、高周波誘導加熱によるホットウォール式の横型(基板水平設置型)炉である。円筒形の石英外周管1の中に、グラファイト製断熱材2で包まれた円筒形のサセプタ3を設置してある。このサセプタ3もグラファイト製であるが、表面にはSiCコートを施してある。サセプタ3の外観は円筒形であるが、中は方形にくりぬいて、軸方向に沿った通路4を形成してあり、この中にSiC基板5を設置するようになっている。
加熱は、断熱材2とサセプタ3からなるホットウォール部を覆って石英外周管1の周囲に巻回した高周波誘導コイル6を用い、高周波誘導法によって行われる。高周波誘導コイル6は、サセプタ3のうちのSiC基板を保持している部分(基板ホルダー部3a)を加熱する。
温度測定は、パイロメーターで石英外周管1内の温度を加熱時の輻射光より測定する方式であり、サセプタ3のうちのSiC基板を保持している部分(基板ホルダー部3a)の温度を下流から測定している。この測定した温度を、高周波誘導コイル6の高周波発生機にフィードバックして、石英外周管1内の温度を制御している。また石英外周管1は空冷式になっており、成長時は常時ファンにて冷やされるようになっている。
排気はドライポンプにて行っており、ポンプの後ろで除害塔に流れ込み、排気ガスが除害された後、希釈用N2と混合されて大気放出される。またリアクターとポンプの間にはフィルターがあり、パーティクルなどをトラップするようになっている。
<成長条件>
石英外周管1の原料導入口からサセプタ3の通路4内に、珪素の水素化ガス(Si原料ガス)としてSiH4ガス、炭化水素ガス(C原料ガス)としてC38ガス、キャリアガスとしてH2ガスを用い、これらとHClガスを同時に石英外周管1内に導入した。すなわち、Si原料にはSiH4を、C原料としてC38を、キャリアガスとしてH2を用いており、それらにHClを混合させて成長を行った。
SiCエピタキシャル成長時には、基板ホルダー部3aの温度は1500℃に設定した。圧力は約13332Pa(100Torr)で行った。SiC基板5には、(0001)面から[11−20]方向に2°傾斜した4H−SiC基板、及び(0001)面から[11−20]方向に3°傾斜した4H−SiC基板を用い、そのSi面上に成長を行った。また成長前のSiC基板5にはRCA洗浄を施し、表面の酸化膜を除去した。
成長シーケンスを図2に示す。最初は基板ホルダー部3aを成長温度の1550℃(T1)まで、H2ガスのみを流しながら昇温する(図2の時刻a)。
水素雰囲気で成長温度1550℃(T1)まで上げた後、HClガスの導入を開始することにより、SiC表面を軽くエッチングしてステップを出す(HCl処理:図2の時刻a〜c)。
そのHCl処理が終了する前後(図2の時刻b、c)から、C38ガス、SiH4ガスの順に炉内に加えていって、SiCエピタキシャル層の成長を行う(SiC成長処理:図2の時刻c〜d)。このSiCエピタキシャル層の成長時のSiH4ガス、C38ガスの量は、8°傾斜の基板上での成長で8μm/hourを実現する量を導入し、HCl流量は50sccm導入した。成長したエピタキシャル層の膜厚は20μmである。
所定のSiCエピタキシャル層の成長後、降温を開始する(図2の時刻e)。流すH2ガスの流量は昇温から昇温(図2の時刻a〜e)まで、一貫して20.0slmに固定し、表面処理時のHClガスの流量は100sccmで行った。
<エピタキシャル層>
図3に、(0001)面から[11−20]方向に2°傾斜した4H−SiC基板上に成長したときの、SiCエピタキシャル層の表面の写真を、また図4に、同じく(0001)面から[11−20]方向に3°傾斜した4H−SiC基板上に成長したときの、SiCエピタキシャル層の表面の写真を示す。表面は平坦で、線状に連続する欠陥はみられないことより、このSiCのエピタキシャル層中に3C構造は発生していないとわかる。
なお、この図3、図4に表面を示すSiCエピタキシャル層は、2つともSi面上に成長を行っている。またSiC成長時のSiH4ガスとC38ガスの量は、8°傾斜の基板上への成長で8μm/hourを実現する量を導入し、HCl流量は50sccm導入した。成長したエピタキシャル層膜厚は20μmである。
<最適条件について>
上記実施例にて定めた成長温度、圧力、C/Si比は、本発明者において一番実績のある条件として示したものである。エピタキシャル層の品質に影響がないならばこれと異なる条件でも問題はない。
しかし基板傾斜角に対しては、最適な成長条件が存在する。用いる傾斜基板の仕様は、コストと装置で実現可能な成長条件との兼ね合いで、できるだけ小さな傾斜角度になるように決めなくてはならない。SiC基板は傾斜が小さいほど歩留りが良くなり、廉価に提供されるからである。
本発明者の実験によれば、4H形のSiC単結晶基板を用いる場合には、できるだけ小さな傾斜角度として(0001)面から0.5°〜7.0°の傾斜角度の範囲に定めるのであれば、従来の傾斜角度(8°)より小さな傾斜角度(0.5°〜7.0°)でありながら、平坦性の悪化や欠陥数の増大を伴わず、実用上問題のないSiC単結晶を得ることができることが分かった。
また、6H形のSiC単結晶基板を用いる場合には、できるだけ小さな傾斜角度として(0001)面から0.5°〜2.5°の傾斜角度の範囲に定めるのであれば、従来の傾斜角度(3.5°)より小さな傾斜角度(0.5°〜2.5°)でありながら、平坦性の悪化や欠陥数の増大を伴わず、実用上問題のないSiC単結晶を得ることができることが分かった。
さらにHCl流量は、成長中のエピタキシャル表面にステップを発生させるだけの量が必要である。しかしHCl流量が多すぎると、エピタキシャル層のエッチングが過剰に進み、その分、製膜速度は低下してしまう。従って最適なHCl流量が存在する。これは使用する装置や成長条件により異なるが、HClガスの流量は大体キャリアガス流量の0.1〜5.0%が良い。
また確実にSiC単結晶をエピタキシャル成長するためには、成長速度を20μm/hour以下とするのが好ましいことが分かった。
<他の実施例、変形例>
上記実施例では、SiC単結晶基板上に、先にキャリアガスとHClガスを供給し、その後に珪素の水素化ガスと炭化水素ガスを供給する形態としたが、SiC単結晶基板上に、珪素の水素化ガス、炭化水素ガス及びキャリアガスと共に、HClガスを同時に(例えば図2のa点にて)供給する形態とすることもでき、これによっても本発明所期の作用効果を同様に得ることができる。
また上記実施例では、用いた基板が4H−SiC基板であるため、その傾斜角度を2°と3°に設定したが、6H−SiC基板を用いるのであれば、傾斜角度はより小さくすることが可能である。
更にまた上記実施例では、傾斜方向が[11−20]のSiC基板を用いたが、成長条件を最適化すれば他の方向に傾斜した基板を用いることも可能である。
本発明の製造方法で使用した基板水平設置型のSiC製造用CVD炉の構造を示したもので、(a)は側方から示した概略図、(b)はその断面略図である。 本発明の製造方法に係るCVD法によるSiCの成長シーケンスを示した図である。 本発明の製造方法により2°傾斜基板上に成長したSiCエピタキシャル層の表面を示す図面代用写真である。 本発明の製造方法により3°傾斜基板上に成長したSiCエピタキシャル層の表面を示す図面代用写真である。 傾斜基板上のエピタキシャル成長の進行状態を示す図である。 高温HClエッチングによりSiC上に発生するステップを示す図面代用写真である。 3C構造が発生したSiCエピタキシャル層の表面を示す図面代用写真である。 従来のCVD法を用いて得られるSiCショットキーバリアーダイオードの構造を示した図である。 傾斜基板の使用により、エッジ部で傾いて成長するエピタキシャル層の模式図である。
符号の説明
1 石英外周管
2 断熱材(グラファイト製)
3 サセプタ(グラファイト製)
3a 基板ホルダー
4 通路
5 SiC基板
6 高周波誘導コイル
21 テラス
22 キンク
23 ランダムウォーク
24 再蒸発
25 原料付着
31 n+型SiC基板
32 n-型エピタキシャル層
33 ショットキー電極
34 オーミック電極
35 ボロン注入領域
36 SiO2パッシベート膜
37 基板エッジ部
38 傾いて成長される領域

Claims (7)

  1. 珪素の水素化ガスと炭化水素ガスをキャリアガスと共に加熱したSiC基板上に供給し、熱分解反応により単結晶を成長させるCVD法による炭化珪素単結晶の製造方法において、
    上記SiC基板として、(0001)面から小さい傾斜角度で傾斜したSiC単結晶基板を用い、このSiC単結晶基板上に、珪素の水素化ガス、炭化水素ガス及びキャリアガスと共に、HClガスを同時に供給することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 珪素の水素化ガスと炭化水素ガスをキャリアガスと共に加熱したSiC基板上に供給し、熱分解反応により単結晶を成長させるCVD法による炭化珪素単結晶の製造方法において、
    上記SiC基板として、(0001)面から小さい傾斜角度で傾斜したSiC単結晶基板を用い、このSiC単結晶基板上に、先にキャリアガスとHClガスを供給し、その後に珪素の水素化ガスと炭化水素ガスを供給することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
    上記SiC基板として、(0001)面から0.5°〜7.0°の範囲で傾斜させた4H構造のSiC単結晶基板、もしくは(0001)面から0.5°〜2.5°の範囲で傾斜させた6H構造のSiC単結晶基板を用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
    キャリアガスとしてH2ガス、またはHeとH2の混合ガス、またはArとH2の混合ガスのいずれかを用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
    HClガスの流量をキャリアガス流量の0.1〜5.0%に設定することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
    珪素の水素化ガスとして、Si26、SiH4-xClx(X=1、2、3、4)、Si26-xClx(X=1、2、3、4、5、6)のいずれかを用い、炭化水素ガスとしてCH4、C26、C(CH34のいずれかを用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において、
    成長速度を20μm/hour以下とすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
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