(実施の形態1)
本発明の発光素子用材料の評価方法の一態様について説明する。
評価には、図2のような、発光素子用材料からなる膜202が成膜された基板201を用いればよい。基板201としては、石英、及びガラス等の300nm以上の波長の光を透過する材質のものを用いればよい。また、発光素子用材料を溶かした溶液203を試料として用いても構わない。この場合、発光素子用材料を溶かす溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム等を用いることが好ましい。
光化学安定性についての測定方法について図1を参照して説明する。先ず、試料に光を照射して吸収スペクトルを測定し、初期状態での紫外線領域における任意の波長の吸収強度を読み取る(吸収強度測定101a)。次に、300nm以下(好ましくは320nm以下)の短波長の光を除いた光を、一定時間(Δt1)、照射し(ストレス印加102a)、その後、再び吸収強度測定101bを行う。このように吸収強度測定とストレス印加とを繰り返し、ストレスを印加した時間の積算時間(Δt1+Δt2+・・・+Δtn+・・・)に対して、吸収強度をプロットし、光照射によるストレスの蓄積に伴って吸収強度がどのように変化するかを調べる。なお、ストレスを印加する時間(1ステップにおける印加時間および積算時間の両方とも)について特に限定はない。
ここで、ストレスとして照射する光は、短波長の光を除いた光であって、発光素子用材料として用いる化合物において、特に励起に係る骨格に因って吸収される波長成分を含む光であることが好ましい。例えば、発光素子用材料がアントラセン誘導体であり、アントラセン骨格に由来して励起する場合は、アントラセン骨格によって吸収される320nm〜420nmの波長帯域の光を含む光をストレスとして照射することが好ましい。
以上のようにして光化学安定性について調べた結果、ストレスを印加した時間の積算時間の増加に伴う吸収強度の変化が少なければ、発光素子用材料は光化学的に安定である、つまり励起状態と基底状態との繰り返しに耐性があり、ホスト材料またはゲスト材料として適していると言える。逆に、ストレスを印加した時間の積算時間の増加に伴う吸収強度の変化が大きければ、光化学的に不安定であり、ホスト材料またはゲスト材料として不適だと言える。
以上のように発光素子用材料の光化学安定性について評価することによって、その発光素子用材料がホスト材料またはゲスト材料として適しているか否かについて調べることができる。つまり、発光素子用材料を用いて発光素子を作製し、さらにその発光素子の劣化特性について調べる手間を掛けずに、その発光素子用材料がホスト材料またはゲスト材料として適しているか否かについて検討することができる。
(実施の形態2)
本形態では、実施の形態1で説明した評価方法を用いてホスト材料またはゲスト材料として適しているとされた発光素子用材料を用いて作製される発光素子の態様について図3を用いて説明する。
図3には、第1の電極301と第2の電極302との間に発光層313を有する発光素子が表されている。そして、発光層313には、本発明の発光素子用材料の評価方法を用いて光化学安定性について評価する工程を経て製造された発光素子用材料が含まれている。
このような発光素子において、第1の電極301側から注入された正孔と、第2の電極302側から注入された電子とは、発光層313において再結合する。そして、ゲストは励起状態となる。そして、励起状態の本発明のゲストは基底状態に戻るときに発光する。なお、ゲストは、キャリアの再結合によって直接的に励起状態となる場合と、キャリアの再結合によって励起状態になったホストからゲストへ励起エネルギーが移動することによって間接的に励起状態となる場合とがある。
ここで、ホストは、発光層313に含まれる主成分であり、ゲストよりもエネルギーギャップの大きい化合物である。ゲストは、ホストからなる層に分散された状態で発光層313に含まれ、発光素子を駆動させたときに優先的に発光する化合物である。なお、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップを言う。このようにホストとゲストとを含む発光層は、一つの処理室内に設けた複数の蒸着源から同時に材料を蒸着させることによって形成することができる。このとき、発光層の形成に用いられる材料を、発光素子におけるそれぞれの機能に対応させてゲスト材料若しくはホスト材料という。
また、第1の電極301と第2の電極302とについて特に限定はなく、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いて形成することができる。また、アルミニウムの他、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等も第1の電極301を形成するのに用いることができる。
なお、第1の電極301及び第2の電極302の形成方法について特に限定はなく、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。
なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極301と第2の電極302のいずれか一または両方は、インジウム錫酸化物等を用いて、若しくは銀、アルミニウム等を数nm〜数十nmの厚さとなるように成膜して、可視光が透過できるように、形成することが好ましい。
また、第1の電極301と発光層313との間には、図3に示すように、正孔輸送層312を設けてもよい。ここで、正孔輸送層とは、第1の電極301側から注入された正孔を発光層313へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層312を設けることによって、第1の電極301と発光層313との距離を離すことができ、その結果、第1の電極301に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。
なお、正孔輸送性の高い物質とは、電子よりも正孔の移動度が高く、電子の移動度に対する正孔の移動度の比の値(=正孔移動度/電子移動度)が100よりも大きい物質をいう。
正孔輸送層312を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。
また、正孔輸送層312は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
また、第2の電極302と発光層313との間には、図3に示すように、電子輸送層314を有していてもよい。ここで、電子輸送層とは、第2の電極302から注入された電子を発光層313へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層314を設けることによって、第2の電極302と発光層313との距離を離すことができ、その結果、第2の電極302に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、電子輸送性の高い物質とは、正孔よりも電子の移動度が高く、正孔の移動度に対する電子の移動度の比の値(=電子移動度/正孔移動度)が100よりも大きい物質をいう。
電子輸送層314を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等が挙げられる。
また、電子輸送層314は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
なお、正孔輸送層312と電子輸送層314とは、それぞれ、先に記載した物質の他、バイポーラ性の物質を用いて形成してもよい。バイポーラ性の物質とは、電子または正孔のいずれか一方のキャリアの移動度と他方のキャリアの移動度とを比較したときに、一方のキャリアの移動度に対する他方のキャリアの移動度の比の値が100以下、好ましくは10以下である物質をいう。
バイポーラ性の物質として、例えば、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)等が挙げられる。バイポーラ性の物質の中でも特に、正孔及び電子の移動度が1×10−6cm2/Vs以上の物質を用いることが好ましい。また同一のバイポーラ性の物質を用いて、正孔輸送層312と電子輸送層314とを形成しても構わない。
さらに、第1の電極301と正孔輸送層312との間には、図3に示すように、正孔注入層311を有していてもよい。正孔注入層311は、第1の電極301から正孔輸送層312へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。正孔注入層311を設けることによって、第1の電極301と正孔輸送層312との間のイオン化ポテンシャルの差が緩和され、正孔が注入され易くなる。正孔注入層311は、正孔輸送層312を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが小さく、第1の電極301を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが大きい物質、または正孔輸送層312と第1の電極301との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。
正孔注入層311を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等が挙げられる。
つまり、正孔注入層311におけるイオン化ポテンシャルが正孔輸送層312におけるイオン化ポテンシャルよりも相対的に小さくなるような物質を、正孔輸送性を有する物質の中から選択することによって、正孔注入層311を形成することができる。なお、正孔注入層311を設ける場合、第1の電極301は、インジウム錫酸化物等の仕事関数の高い物質を用いて形成することが好ましい。
また、第2の電極302と電子輸送層314との間には、図3に示すように、電子注入層315を有していてもよい。ここで、電子注入層315は、第2の電極302から電子輸送層314へ電子の注入を補助する機能を有する層である。電子注入層315を設けることによって、第2の電極302と電子輸送層314との間の電子親和力の差が緩和され、電子が注入され易くなる。電子注入層315は、電子輸送層314を形成している物質よりも電子親和力が大きく第2の電極302を形成している物質よりも電子親和力が小さい物質、または電子輸送層314と第2の電極302との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。
電子注入層315を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物等の無機物が挙げられる。また、無機物の他、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の電子輸送層314を形成するのに用いることのできる物質も、これらの物質の中から、電子輸送層314の形成に用いる物質よりも電子親和力が大きい物質を選択することによって、電子注入層315を形成する物質として用いることができる。
つまり、電子注入層315における電子親和力が電子輸送層314における電子親和力よりも相対的に大きくなるような物質を、電子輸送性を有する物質の中から選択することによって、電子注入層315を形成することができる。なお、電子注入層315を設ける場合、第1の電極301は、アルミニウム等の仕事関数の低い物質を用いて形成することが好ましい。
以上に述べた本発明の発光素子において、正孔注入層311、正孔輸送層312、発光層313、電子輸送層314、電子注入層315は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成しても構わない。また、第1の電極301または第2の電極302についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成しても構わない。
また、正孔注入層311に換えて正孔発生層を設けてもよいし、または電子注入層315に換えて電子発生層を設けてもよい。
ここで、正孔発生層とは、正孔を発生する層である。電子よりも正孔の移動度が高い物質及びバイポーラ性の物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、これらの物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによって正孔発生層を形成することができる。ここで、電子よりも正孔の移動度が高い物質としては、正孔輸送層312を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、バイポーラ性の物質についても、TPAQn等のバイポーラ性の物質を用いることができる。また、電子よりも正孔の移動度が高い物質及びバイポーラ性の物質の中でも特にトリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることが好ましい。トリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることによって、正孔をより発生し易くなる。また、電子受容性を示す物質としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、レニウム酸化物等の金属酸化物を用いることが好ましい。
また、電子発生層とは、電子を発生する層である。正孔よりも電子の移動度が高い物質及びバイポーラ性の物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、これらの物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによって電子発生層を形成することができる。ここで、正孔よりも電子の移動度が高い物質としては電子輸送層314を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、バイポーラ性の物質についても、TPAQn等の先に記載したバイポーラ性の物質を用いることができる。また、電子供与性を示す物質としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選ばれた物質、具体的にはリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)等を用いることができる。また、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物等、具体的にはリチウム酸化物(Li2O)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(Na2O)、カリウム酸化物(K2O)、マグネシウム酸化物(MgO)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等から選ばれた物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、実施の形態1に記載したような光化学安定性について評価する工程を経て製造された材料を用いて作製されているため、発光時間の経過に伴った輝度の変化が少なく良好に動作するものである。
(実施の形態3)
実施の形態2において説明した本発明の発光素子は発光時間の経過に伴った輝度の変化が少ないため、本発明の発光素子を用いることによって、長期間に渡り、良好な表示画像等を提供することができる発光装置を得ることができる。
本形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図4〜7を用いて説明する。
図4は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図4において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。
そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
図5は、一画素を動作するための回路を表した図である。図5に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。
また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。
また、第1のトランジスタの第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。
なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図6の上面図に表すように配置することができる。図6において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
次に、駆動方法について説明する。図7は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図7において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
1フレームは、図7に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=23:22:21:20=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。
以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次の(またはフレーム)の書込期間に移行する。これによって、サブフレーム504の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
なお、本形態では、サブフレーム501乃至504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はない。例えば、保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
ここで、書込期間および消去期間における、図5で示す回路の動作について説明する。
まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。
なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は、互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。そして、その電流値に依存して発光素子903は発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。
ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。
例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線とソース信号線駆動回路915とを接続させる共に、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込の為の信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。その為に、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からn+1行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタに信号をオンする共に、電源916から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、他の行の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
なお、本形態では、n行目の消去期間とn+1行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、n−1行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設けるときおいて、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
(実施の形態4)
本発明の発光素子を含む発光装置の断面図の一態様について、図8を用いて説明する。
図8において、点線で囲まれているのは、本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。発光素子12は、第1の電極13と第2の電極14との間に発光層15を有する本発明の発光素子である。発光層15は、実施の形態1に示した方法で評価された発光素子用材料を用いて形成されている。トランジスタ11のドレインと第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によって電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板10上に設けられている。
なお、図8に示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス半導体等でもよい。
なお、セミアモルファス半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。
セミアモルファスシリコンは、珪素の化合物の気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素の化合物の気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪素の化合物のをH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲とする。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲とする。電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzとする。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃とする。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜16は、図8(A)、(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、16bはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基として水素またはアルキル基等の有機基を含む化合物)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜16は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層18は、無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図8(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16のみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図8(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであってもよい。図8(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。19aはアクリルやシロキサン、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜19は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図8(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極14のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図8(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図8(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13が陽極として機能し、第2の電極14が陰極として機能する構成であってもよいし、或いは第1の電極13が陰極として機能し、第2の電極14が陽極として機能する構成であってもよい。但し、前者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタである。
(実施の形態5)
本発明の発光装置を実装することによって、長期間に渡って良好な表示を行うことができ、表示画像の乱れに起因した情報の誤認が少ない電子機器を得ることができる。
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施例を図9に示す。
図9(A)は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでパーソナルコンピュータを完成できる。
図9(B)は、本発明を適用して作製した携帯電話であり、本体5552には表示部5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5553等によって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むこと携帯電話を完成できる。
図9(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐体5532、スピーカー5533などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでテレビ受像機を完成できる。
以上のように、本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに適している。
なお、本形態では、上記に示した電子機器の他、ナビゲイション装置、カメラ、或いは照明機器等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構わない。
本発明の発光素子用材料の評価方法を用いて、発光素子用材料を評価した実施例について説明する。
本実施例では、6種類の発光素子用材料、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、クマリン6、9,10−ビス{4−[N−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−N−フェニル]アミノフェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:DPABPA)、9,10−ビス{4−[N−(N−フェニル−3−カルバゾリル)−N−フェニル]アミノフェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABPA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)のそれぞれについて評価した。
[t−BuDNA]
試料(1)は、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンからなる膜が成膜された石英基板である。以下、試料の作製方法及び測定方法について具体的に説明する。
石英基板上に2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)を抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、試料(1)を作製した。膜厚は250nmとなるようにした。この基板を、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプ(入江株式会社製、400W水銀ランプ、H−400P)からの光を、ガラスフィルターを通して照射した。ランプから石英基板までの距離は20cmとなるようにした。
ガラスフィルターの紫外−可視光吸収スペクトルを図10に示す。図10から、本実験では、320nmよりも小さい波長の光は除かれ、320nmよりも長波長の光が試料(1)に照射されていることになる。
この高圧水銀ランプ光を、一定時間、試料(1)に照射した後、t−BuDNA単層膜の吸収スペクトルを測定する処理を繰り返し、t−BuDNA単層膜の吸収スペクトルの経時変化をモニターした。結果を図11に示す。図11において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)である。図11において、320nm〜420nmあたりに観測される吸収は、アントラセン骨格に基づく吸収である。この吸収の強度は、光照射時間が蓄積されると共に、徐々に小さくなっており、アントラセン骨格が消失していることが示唆される。
また、400nmの波長成分に対する吸収強度の経時変化をプロット(×印)した図が図12である。図12において、横軸は時間(min)、縦軸は初期状態での吸収強度に対する各時間での吸収強度の相対値(任意単位)である。図12より、本実験では100分間の光照射によって、アントラセン骨格に由来した吸収の約80%が失われていることが分かる。このことから、t−BuDNAは光化学的に不安定であり、t−BuDNAが励起状態になった場合、分解などの副反応をすることが示唆される。
なお、図11では、ストレスを印加した積算時間が、それぞれ、0min(初期状態:光照射のストレスを未だ与えていない状態)、45min、75min、105minであるときの吸収スペクトルが示されているが、図12では、この他の時間における吸収強度についても示されている。
また、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定により、t−BuDNAの電気化学的安定性について調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。酸化反応特性については、基準電極に対する作用電極の電位を、低い電位から高い電位へ変化させた後、高い電位から低い電位まで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。還元反応特性については、基準電極に対する作用電極の電位を高い電位から低い電位まで変化させた後、低い電位から高い電位まで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。
t−BuDNAの酸化反応特性を図13(A)に示す。また、t−BuDNAの還元反応特性を図13(B)に示す。図13(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流の大きさを表す。
[Alq]
試料(2)は、Alqからなる膜が成膜された石英基板である。t−BuDNAに換えてAlqを用い、試料(1)と同様の方法によって試料(2)を作製した。そして、試料(2)についても、試料(1)と同様の方法により、光化学安定性について調べた。図14は、試料(2)について吸収スペクトルの経時変化をモニターした結果である。
図14から、試料(2)においては、光照射時間の経過に伴った吸収スペクトルの形状の変化が殆ど見られず、Alqが光化学的に非常に安定であることが分かる。なお、図14では、ストレスを印加した積算時間が、それぞれ、0min、5min、10min、20min、50min、80min、110minであるときの吸収スペクトル(計7本の吸収スペクトル)が示されているが、これらの吸収スペクトルは重なって一本のスペクトルのようにみえる。
また、図12に、試料(2)の吸収スペクトルを基に400nmの波長成分に対する吸収強度の経時変化をプロット(○印)した。
また、Alqの電気化学的安定性についても調べた。Alqの酸化反応特性を図15(A)に示す。また、Alqの還元反応特性を図15(B)に示す。図15(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流の大きさを表す。
[クマリン6]
試料(3)は、クマリン6からなる膜が成膜された石英基板である。 t−BuDNAに換えてクマリン6を用い、試料(1)と同様の方法によって試料(3)を作製した。そして、試料(3)についても、試料(1)と同様の方法により、光化学安定性について調べた。そして、400nmの波長成分に対する吸収強度の経時変化を図12にプロット(黒色の丸印)した。
また、クマリン6の電気化学的安定性についても調べた。クマリン6の酸化反応特性を図16(A)に示す。また、クマリン6の還元反応特性を図16(B)に示す。図16(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流の大きさを表す。
[DPABPA]
試料(4)は、DPABPAからなる膜が成膜された石英基板である。t−BuDNAに換えてDPABPAを用い、試料(1)と同様の方法によって試料(4)を作製した。そして、試料(4)についても、試料(1)と同様の方法により、光化学安定性について調べた。そして、400nmの波長成分に対する吸収強度の経時変化を図12にプロット(黒色の三角印)した。
また、DPABPAの電気化学的安定性についても調べた。DPABPAの酸化反応特性を図17(A)に示す。また、DPABPAの還元反応特性を図17(B)に示す。図17(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流の大きさを表す。
[PCABPA]
試料(5)は、PCABPAからなる膜が成膜された石英基板である。t−BuDNAに換えてPCABPAを用い、試料(1)と同様の方法によって試料(5)を作製した。そして、試料(5)についても、試料(1)と同様の方法により、光化学安定性について調べた。そして、400nmの波長成分に対する吸収強度の経時変化を図12にプロット(□印)した。
また、PCABPAの電気化学的安定性についても調べた。PCABPAの酸化反応特性を図18(A)に示す。また、PCABPAの還元反応特性を図18(B)に示す。図18(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流の大きさを表す。
[CzPA]
試料(6)は、CzPAからなる膜が成膜された石英基板である。t−BuDNAに換えてCzPAを用い、試料(1)と同様の方法によって試料(6)を作製した。そして、試料(6)についても、試料(1)と同様の方法により、光化学安定性について調べた。そして、400nmの波長成分に対する吸収強度の経時変化を図12にプロット(*印)した。
また、CzPAの電気化学的安定性についても調べた。CzPAの酸化反応特性を図19(A)に示す。また、CzPAの還元反応特性を図19(B)に示す。図19(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流の大きさを表す。
以上のように、それぞれの発光素子用材料について光化学安定性及び電気化学安定性について測定した結果、次のようなことが分かった。図12より、t−BuDNAは他の物質よりも吸収強度の低下が大きく、光化学安定性に関しては評価に用いた他の発光素子用材料よりも劣ることが分かった。また、図13、15〜19より、何れの発光素子用材料についても、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらずCV曲線のピーク位置の変化が殆どみられなかった。つまり、評価した何れの発光素子用材料においても電気化学安定性は高いことが分かった。
本実施例では、CzPAとt−BuDNAをそれぞれホスト材料として用いた発光素子について、これらの光化学安定性についても言及しながら説明する。
CzPAをホスト材料として用いた発光素子(1)と、t−BuDNAをホスト材料として用いた発光素子(2)と、を作製した。発光素子(1)、(2)はそれぞれホスト材料が異なるが、その他の構造については同様である。
先ず、ガラス基板上に作製した発光素子(1)、(2)の作製方法について説明する。ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)を110nmの厚さとなるように成膜し、第1の電極を形成した。成膜にはスパッタリング法を用いた。また、第1の電極の形状は、2mm×2mmの正方形となるようにした。
次に、第1の電極の表面を多孔質の樹脂(代表的にはPVA(ポリビニルアルコール)製、ナイロン製など)で基板表面を洗浄した後、200℃で1時間熱処理を行い、その後さらに第1の電極に対しUVオゾン処理を370秒行った。
次に、第1の電極上に正孔注入層として、4,4’−ビス〔N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(以下、DNTPDと記す)からなる層を50nmの厚さとなるように形成した。続いて、正孔注入層の上に正孔輸送層としてNPBからなる層を10nmの厚さとなるように形成した。そして、正孔輸送層の上に、発光層として、ホスト材料(発光素子(1)の場合はCzPA、発光素子(2)の場合はt−BuDNA)とDPABPAとを含む層とを40nmの厚さとなるように形成した。ここで、DPABPAはゲスト材料として用いられている。CzPAとDPABPAの重量比はCzPA:DPABPA=1:0.05となるようにした。また、t−BuDNAとDPABPAの重量比はt−BuDNA:DPABPA=1:0.05となるようにした。
次に、発光層の上に、電子輸送層としてAlqからなる層を20nmの厚さとなるように形成し、続いて電子輸送層の上に電子注入層としてフッ化カルシウムからなる層を1nmの厚さとなるように形成した。そして、電子注入層の上にAlを200nmの厚さとなるように成膜して第2の電極を形成した。
なお、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、第2の電極は、いずれも真空蒸着法を用いて形成した。
以上のようにして作製した発光素子(1)、(2)を駆動させ、発光開始電圧、500cd/m2の輝度で発光させた際に印加した電圧、500cd/m2の輝度で発光させたときの色度、500cd/m2の輝度で発光させたときの電流効率について調べた。結果を表1に示す。なお、発光開始とは、1cd/m2以上の輝度で発光し始めるときを指し、この時に印加した電圧を発光開始電圧という。
以上の結果から発光素子(1)、(2)のいずれも、効率良く、青色の発光を呈することが分かる。
次に、発光素子(1)、(2)の信頼性試験を行った。本実施例において信頼性とは、発光時間の経過に伴った輝度低下の度合い(素子の輝度劣化特性)を指す。信頼性試験は次のようにして行った。初期状態において500cd/m2の輝度で発光させたときに発光素子に流れている電流と同じ値の電流を一定時間流し続け、或時間が経過する毎に輝度を測定する。図20に、信頼性試験によって得られた結果を示す。図20において、横軸は発光時間(hour)、縦軸はそれぞれの時間における輝度の初期輝度に対する相対値(任意単位)を表す。
図20から、発光素子(1)の方が発光素子(2)よりも発光時間の経過に伴った輝度低下の度合いが少なく、信頼性が高いことが分かる。
また、ゲスト材料がPCABPAであるという点で発光素子(1)と異なるがその他の構成については発光素子(1)と同様である発光素子(3)、及びゲスト材料がPCABPAであるという点で発光素子(2)と異なるがその他の構成については発光素子(2)と同様である発光素子(4)の初期特性及び信頼性について調べた。
なお、CzPAとPCABPAの重量比はCzPA:PCABPA=1:0.05、t−BuDNAとPCABPAの重量比はt−BuDNA:PCABPA=1:0.05となるようにした。信頼性は、初期状態において500cd/m2の輝度で発光させたときに発光素子に流れている電流と同じ値の電流を一定時間流し続け、或時間が経過する毎に輝度を測定することによって評価した。
表2は、発光素子(3)、(4)の初期特性について調べた結果である。また図21は、発光素子(3)、(4)の信頼性について調べた結果である。 図21から、発光素子(3)の方が発光素子(4)よりも発光時間の経過に伴った輝度低下の度合いが少なく、信頼性が高いことが分かる。
また、ゲスト材料が2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)であるという点で発光素子(1)と異なるがその他の構成については発光素子(1)と同様である発光素子(5)、及びゲスト材料がTBPであるという点で発光素子(2)と異なるがその他の構成については発光素子(2)と同様である発光素子(6)の初期特性及び信頼性について調べた。
なお、CzPAとTBPの重量比はCzPA:TBP=1:0.05、t−BuDNAとTBPの重量比はt−BuDNA:TBP=1:0.05となるようにした。信頼性は、初期状態において500cd/m2の輝度で発光させたときに発光素子に流れている電流と同じ値の電流を一定時間流し続け、或時間が経過する毎に輝度を測定することによって評価した。
表3は、発光素子(5)、(6)の初期特性について調べた結果である。また図22は、発光素子(5)、(6)の信頼性について調べた結果である。 図22から、発光素子(5)の方が発光素子(6)よりも発光時間の経過に伴った輝度低下の度合いが少なく、信頼性が高いことが分かる。
また、ゲスト材料がクマリン6、ホスト材料がAlqであるという点で発光素子(1)と異なるがその他の構成については発光素子(1)と同様である発光素子(7)の初期特性及び信頼性について調べた。なお、Alqとクマリン6の重量比はAlq:クマリン6=1:0.02となるようにした。信頼性は、初期状態において1000cd/m2の輝度で発光させたときに発光素子に流れている電流と同じ値の電流を一定時間流し続け、所定の時間が経過する毎に輝度を測定することによって評価した。表4は、発光素子(7)の初期特性について調べた結果である。また図23は、発光素子(7)の信頼性について調べた結果である。
発光素子(1)〜(6)のそれぞれに用いたホスト材料の光化学安定性と、発光素子(1)〜(6)の信頼性との関係を図24にプロットした。横軸は、100分間、光を照射した後の吸収強度(任意単位:初期状態における吸収強度に対する相対値)であり、縦軸は、100時間、発光させた後の輝度(任意単位:初期輝度に対する相対値)を表す。なお、100分間、光を照射後の吸収強度については図12を基にして求めた。また、100時間、発光させた後の輝度については図20〜23を基にして求めた。
図24から、光安定性の高い発光素子用材料をホスト材料として用いた発光素子の方が、発光時間の蓄積に伴った輝度の低下が少ないことが分かる。また、CzPAのような、100時間の光照射後における吸収強度の低下率が20%以下のアントラセン誘導体をホスト材料として用いることで、発光時間の蓄積に伴った輝度低下の少ない良好な発光素子を作製できることが分かった。