JP2006333445A - 極座標変調回路、集積回路および無線装置 - Google Patents

極座標変調回路、集積回路および無線装置 Download PDF

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Abstract

【課題】補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減するとともに、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することが可能な極座標変調回路を提供する。
【解決手段】増幅器の歪補償のもととなる、入力高周波信号の所定入力振幅における、制御電圧入力後の定常状態での制御電圧に対する出力信号特性を、所定の直流オフセット電圧を加算するためのデータを格納するオフセット記憶部101aと所定の係数を乗算するためのデータを格納する係数記憶部102に分割して記憶することで、補償精度を確保しながら、歪補償に係る回路規模を低減することができる。
【選択図】図1A

Description

本発明は、増幅器の出力信号の歪を補償する歪補償回路を含む極座標変調回路及びこれを備える集積回路、無線装置に関する。
近年の携帯電話サービスでは、音声通話に加えてデータ通信に対する需要が拡大していることから、通信速度の向上が重要である。例えば、主に、ヨーロッパ、アジア地域にて普及しているGSM(Global System for Mobile communications)システムにおいては、従来、搬送波の位相を送信データに応じてシフトするGMSK変調にて音声通話が行われてきた。さらに、搬送波の位相及び振幅を送信データに応じてシフトすることで、GMSK変調に対して1シンボル当たりのビット情報を3倍に高めた、3π/8rotating8−PSK変調(以下8−PSK変調と略す)にてデータ通信も行うEDGE(Enhanced Data rates for GSM Evolution)方式が提案されている。
8−PSK変調のように振幅変動を伴う線形変調方式では、無線機送信部の電力増幅器(PA:Power Amplifier)に対する線形性の要求が厳しい。また、一般的に、電力増幅器の線形領域での電力効率は、飽和領域での電力効率に比べて低い。したがって、線形変調方式に、従来の直交変調方式を適用すると、高効率の実現が困難であった。
(極座標変調方式による高効率化)
そこで、送信信号を定振幅位相信号と振幅信号とに分離して、定振幅位相信号をもとに位相変調器にて位相変調をかけ、電力増幅器が飽和動作をするレベルの定振幅位相変調信号を入力するとともに、電力増幅器の制御電圧を高速に駆動することで、振幅変調を合成する方式が知られている。この方式は、EER法(Envelope Elimination and Restoration)、polar modulation方式(ポーラー変調方式、あるいは極座標変調方式)などと呼ばれ、線形変調方式にて電力増幅器の高効率化を実現する方式である(例えば、非特許文献1参照)。なお、以下では、直交変調方式と異なる変調方式であることを明確にするため、極座標変調方式と呼ぶ。
図10はEDGE方式で用いられる8−PSK変調信号を、IQ直交座標上にプロットした図である。また、図11は前記8−PSK変調信号の振幅成分に関して、GSMの1タイムスロット(577[μs])中200〜400[μs]部分を抽出してプロットした図である。図11において、横軸は当該タイムスロットの開始からの経過時間、縦軸は振幅信号の振幅である。
図11のような2[μs]以内に振幅の極大値−極小値の変極点が存在する振幅信号を表現するためには、電力増幅器の制御電圧を高速に駆動した場合の、出力応答性を向上するための歪補償技術が必須である。
(極座標変調方式における歪補償:プリディストーション方式)
極座標変調方式での電力増幅器の出力応答性を向上するための歪補償技術の従来例としては、所定入力高周波信号振幅に対する事前に取得した所定の飽和動作型電力増幅器における出力信号振幅、通過位相の対制御電圧特性をメモリに蓄積しておき、前記メモリを参照してプリディストーション方式の歪補償を実施するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1に記載されたプリディストーション方式の歪補償を適用した従来の極座標変調装置を示すブロック図である。図12に示すように、この極座標変調装置は、電力増幅器1100と、極座標変換手段1101と、メモリ1102と、振幅情報補正手段1103及び振幅変調手段1104を有する振幅コントローラ1105と、位相情報補正手段1106及び位相変調手段1107を有する位相変調信号発生器1108とを備える。
極座標変換手段1101は、図示しないベースバンド信号生成部より入力されたIQ信号を、振幅信号r(t)と定振幅の位相信号θ(t)とに分離する。特許文献1には記載されていないが、r(t)は最大値が1となるように正規化を実施してもよい。
メモリ1102は、所定入力高周波信号振幅での電力増幅器1100の、入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM:Amplitude Modulation to Amplitude Modulation conversion)及び通過位相特性(AM−PM:Amplitude Modulation to Phase Modulation conversion)の正特性を格納する。そして、入力振幅信号r(t)に応じて電力増幅器1100の逆特性となる振幅補正信号、位相補正信号を出力する。ここで、逆特性とは正特性の逆関数を所定の定数倍したものである。
振幅情報補正手段1103は、メモリ1102から出力された振幅補正信号をもとに、入力振幅信号r(t)に対する補正を行う。振幅変調手段1104は、振幅情報補正手段1103からの出力信号をもとに、電力増幅器1100の制御電圧を高速に駆動する。
位相情報補正手段1106は、メモリ1102から出力された位相補正信号をもとに、入力位相信号に対する補正を実施する。位相変調手段1107は、位相情報補正手段1106からの出力信号をもとに、位相変調を行う。
このようにして、電力増幅器の入力制御信号に対する出力特性の逆特性を考慮して、予め歪ませた振幅変調信号及び位相変調信号は、電力増幅器にて発生する実際の振幅圧縮(AM−AM歪)、クロス変調(AM−PM歪)の影響を受けて所望の出力振幅、位相となる。これにより、入力制御電圧に対する出力応答性(線形性)を向上させることができる。
(極座標変調方式におけるAM−AM特性:原点を通過しない)
特許文献1では開示されていないが、メモリ1102に格納される特性の一例を説明する。メモリ1102に格納されるAM−AM特性補償用のデータは、入力高周波信号振幅が一定の条件下での、入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)をもとに作成される。ここで、本データは、制御信号を入力した後、出力信号振幅が安定化した時点でのデータである。本AM−AM特性は、電力増幅器を構成するデバイス構造によっては、線形領域を延長しても原点を通過しない曲線、すなわち、図13の実線にて示すような曲線となる。
図13において、横軸は電力増幅器1100に印加する制御電圧、縦軸は電力増幅器1100からの出力電圧である。また、図中の実線で示す曲線(A)は、所定の制御電圧を印加した場合の基本波周波数の出力電圧特性を表す。また、図中の点線で示す直線(A)は、前記曲線のうち線形領域を延長した特性を表す。
したがって、AM−AM特性補償用にメモリ1102に格納するデータは、図13の実線で示す曲線(A)を所定間隔にてサンプリングした点(縦軸に対して垂直な直線と前記曲線との交点)となる。
次に、プリディストーション方式の歪補償(AM−AM特性)を適用した極座標変調装置における歪補償処理の一例を図14に示す。図14は、図11に示す振幅信号を例とし、図13のような入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の逆特性、すなわち、電力増幅器1100の出力にて振幅信号を表現する場合に、電力増幅器1100へ印加する制御電圧を求める場合に用いる制御電圧と振幅信号との関係を示す図である。
図14において、横軸は電力増幅器1100に印加する制御電圧、縦軸は電力増幅器1100からの出力電圧である。また、図中の実線で示す曲線(A)は、所定の制御電圧を印加した場合の基本波周波数の出力電圧特性を表す。また、図中の点線で示す直線(A)は前記曲線のうち線形領域を延長した特性を表す。
図13または図14の入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)に対して、メモリに格納する際のデータのサンプリング間隔が狭い場合には、精度よく振幅信号を表現できる。すなわち、補償精度を確保できる。しかし、メモリに格納するデータ容量が増大する。一方、メモリに格納する際のデータサンプリング間隔が広い場合には、メモリに格納するデータ容量を低減できるものの、補償精度が低下する。
よって、プリディストーション方式の歪補償では、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することが重要である。また、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することも重要である。
(直交変調方式における歪補償1:線形領域のサンプリング間隔を広く設定)
直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償(AM−AM特性)に関して、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減する方法の第一の従来例は、電力増幅器の特性が線形となる領域に対しては、補償データのサンプリング間隔を広く、一方、非線形となる領域に対しては、補償データのサンプリング間隔を狭く設定する。それとともに、入力信号とメモリデータにアクセスするアドレスとの変換処理を行う(例えば、特許文献2参照)。
図15は、特許文献2に記載された直交変調方式における従来のプリディストーション方式の歪補償回路を示すブロック図である。図15に示すように、歪補償回路1400は、振幅成分抽出回路1401と、メモリ1402と、補正手段1403と、アドレス算出回路1404とを備える。
(直交変調方式におけるAM−AM特性:原点を通過)
振幅抽出回路1401は、図示しないベースバンド信号生成部により入力されたIQ信号から変調信号の振幅成分(振幅値(a))を抽出する。メモリ1402は、図16の実線及び点線に示すような、制御電圧が一定の条件下での、電力増幅器の入力高周波信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)及び通過位相特性(AM−PM)の正特性を格納する。そして、メモリ1402は、アドレス算出回路1404より出力されるアドレス値(b)に応じて、電力増幅器の逆特性となる補正信号を出力する。
ここで、図16において、横軸は入力高周波信号の振幅、縦軸(左)は出力信号の振幅、縦軸(右)は入力高周波信号を基準とした出力信号の位相回転量(通過位相)である。なお、一般的に、入力高周波信号に対する出力信号振幅特性の線形領域では、通過位相の変化量は小さく、非線形領域では通過位相の変化量は大きい。
補正手段1403は、前記補正信号にもとづき、図示しないベースバンド信号生成部より入力されたIQ信号に対して補正を行う。アドレス算出回路1404は、メモリ1402に格納されているデータへアクセスする際の参照値となるアドレス値(b)を、振幅成分抽出回路1401より出力される振幅値(a)から求める。
直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償では、通常、補正手段1403として複素乗算を行う乗算回路が用いられる。そして、図示しないベースバンド信号生成部より入力されたIQ信号に対して、電力増幅器の逆特性となる補正信号を乗算する。
よって、図16の実線で示す電力増幅器の入力高周波信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)のように特性曲線が原点を通る場合に、傾きが一定となる線形領域については、振幅成分に対して乗算すべき係数は一定であるとともに、通過位相特性(AM−PM)の変化量も少ない。このため、メモリ1402に格納する補正データのサンプリング間隔を、非線形領域でのサンプリング間隔に比べて広げても補償精度を確保できる。
メモリ1402では、上記の関係を利用して、線形領域ではサンプリング間隔を広げ、非線形領域ではサンプリング間隔を狭めて、補正データを格納している。アドレス算出回路1404では、メモリ1402に格納するデータのサンプリング間隔が一定でないことを補うため、サンプリング間隔の変換を行う。
上記変換動作を、特許文献2に記載された図17、図18を用いて説明する。図17は、特許文献2に記載されたアドレス算出回路1404におけるサンプリング間隔の変換動作を示す図である。
図17において、左の列は振幅成分抽出回路1401から出力される振幅値(a)であり、一定間隔でサンプリングした値である。また、右の列はメモリ1402へ出力するアドレス値(b)であり、複数の振幅値(a)をまとめて一つのアドレス値(b)としている。
図18は、メモリ1402に格納される補正信号の一例を示す図である。図18において、左の列はアドレス算出回路1404より出力されるアドレス値(b)、右の列は補正手段1403へ出力する補正信号である。
図17に示すように、振幅値(a)とアドレス値(b)との対応関係をテーブルとして保持しておくことや、定式化すること、あるいは条件判定処理を行うことで、サンプリング間隔の変換が可能となる。図18に示すように、メモリ1402に格納する補償データ量は、線形領域、非線形領域とも一定間隔にサンプリングした場合よりも少なくなる。
(直交変調方式における歪補償2:近似関数との差分をメモリに格納)
また、直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償(AM−AM特性)に関して、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減する方法の第二の従来例としては、電力増幅器の入力高周波信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)において、一次関数近似できる部分は近似し、前記近似関数と元の特性との差分をメモリに格納するものがあった(例えば、特許文献3参照)。
図19は、特許文献3に記載された直交変調方式における従来のプリディストーション方式の歪補償回路を示すブロック図である。図19に示すように、この歪補償回路は、極座標変換手段1101と、振幅情報補正手段としての加算回路1103と、位相情報補正手段1106と、近似関数加算部1801と、メモリ1802とを備える。なお、図示しないが、加算回路1103からの出力振幅信号と、位相補正手段1106からの出力位相信号を合成して、再度IQ信号の形式に変換する構成となっており、前記再変換後のIQ信号は、図示しない直交変調器に入力される。よって、メモリ1802に格納するデータは、図15に示すメモリ1402と同様に、制御電圧が一定の条件下での、電力増幅器の入力高周波信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)及び通過位相特性(AM−PM)の正特性である。
ここで、近似関数加算部1801における入力信号r(t)と出力信号r2(t)の関係は、r2(t)=A×r(t)+Bで表される。
なお、特許文献1に記載されたプリディストーション方式の歪補償を適用した従来の極座標変調装置について説明した図12と重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図20は、特許文献3に記載された近似関数加算部1801とメモリ1802との役割を示す図である。図20において、横軸は入力高周波信号の振幅、縦軸は出力信号の振幅である。また、図20中の実線は、制御電圧が一定の条件下での、電力増幅器の入力高周波信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の逆特性を示す。また、点線は、一次関数(y=Ax+B、B=0)にて表現され、近似関数加算部1801にて加算する近似関数である。また、メモリ1802は、AM−AMの逆特性と近似関数との誤差を格納する。
このように、近似関数加算部1801での一次関数近似と、メモリ1802への所望特性と前記近似関数との差分データの格納を併用することで、近似関数にて表現可能な線形領域でのメモリ1802に格納する補償データを削減することができる。このため、メモリ1802に線形領域を含む全領域の補正データを格納する場合と比べ、メモリ1802に格納するデータ容量を低減することが可能である。
特表2004−501527号公報(第10図) 特開2002−135349号公報(第1図、第2図) 特開2000−201099号公報(第1図、第3図a,b) Kenington, Peter B、"High−Linearity RF Amplifier Design"、Artech House Pulishers (第427頁、第7.1図)
このように、直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償(AM−AM特性)では、補償データのもととなるAM−AM特性の線形領域を延長すると、既に説明したように、原点を通過する。一方、極座標変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償(AM−AM特性)では、補償データのもととなるAM−AM特性の線形領域を延長しても、既に説明したように、原点を通過せず、オフセット成分を有する。
したがって、直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償(AM−AM特性)を、極座標変調方式に適用するには、前記オフセット成分の補正が重要である。さらに、プリディストーション方式の歪補償では、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することと、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することが重要である。
特許文献2で示される、直交変調方式における前記第一の従来のプリディストーション方式の歪補償回路は、電力増幅器のAM−AM特性のうち、線形領域に対しては補償データのサンプリング間隔を広く、一方、非線形領域に対しては、補償データのサンプリング間隔を狭く設定する。これにより、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量の低減を実現していた。
しかしながら、サンプリング間隔の変換を行う際に、テーブルを用いる方法、定式化する方法、閾値判定を行う方法のいずれの処理を行っても、メモリ以外の歪補償に係る回路規模が増大する可能性がある。また、極座標変調方式を想定していないため、前記オフセット電圧の補正方法についての記述がない。よって、極座標変調方式に適用するのは困難である。
次に、特許文献3で示される、直交変調方式における前記第二の従来のプリディストーション方式の歪補償回路は、電力増幅器の線形領域を表現する一次関数近似を、線形領域、非線形領域の全領域に対して適用する。そして、非線形領域についてのみ、近似一次関数からの誤差補正用差分値データをメモリに格納して入力信号に加算する。これにより、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量の低減を実現していた。
本従来例では、極座標変調方式を想定していないため、前記オフセット電圧の補正方法についての記述はないが、オフセット電圧をもった曲線に対して、最適な近似関数を用意することで、メモリの増大を抑制することができる。
しかしながら、極座標変調方式においては、AM−AM特性における前記オフセット電圧の影響で前記近似関数は切片(B)が0でない一次関数となり、前記差分値データの加算処理が必要である。このため、AM−AM特性補償部の演算処理数として、少なくとも加算処理2回と乗算処理1回が必要となり、演算処理に係る回路規模が大きくなる。
すなわち、図19に示すように、近似関数加算部1801において、入力信号をr(t)、出力信号をr2(t)、傾きをA、切片をB(≠0)とすると、近似関数加算部1801に格納する近似関数r2(t)=A×r(t)+Bは切片(B)が0でない一次関数であるため、入力された信号(r(t))に対して傾きAを乗算する処理を行い、さらに切片Bの加算処理を行うことになる。また、メモリ1802に格納する前記差分値データの加算処理を行うことが必要となり、処理負荷が大きくなる。
さらに、特許文献1で示される、プリディストーション方式の歪補償を適用した従来の極座標変調装置は、具体的な歪補償の方法、及び、メモリに格納するデータ容量の低減方法を開示していない。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、極座標変調方式において、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することと、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することが可能なプリディストーション方式の歪補償回路を含む極座標変調回路、集積回路および無線装置を提供することを目的とする。
本発明の極座標変調回路は、送信データより生成したベースバンド直交信号のうち少なくとも位相成分を有する信号をもとに位相変調信号を生成する位相変調部と、所定の入力高周波信号振幅値及び所定の制御電圧値にて駆動された増幅器の定常状態での制御電圧に対する出力信号特性(AM−AM特性)の直流オフセットを記憶するオフセット記憶部と、前記出力信号特性の係数を記憶する係数記憶部と、前記ベースバンド直交信号の振幅成分に対して、前記オフセット記憶部に格納した前記直流オフセットを加算又は減算する第1の演算回路と、前記第1の演算回路からの出力信号に対して、前記係数記憶部に格納した前記係数を乗算又は除算する第2の演算回路と、前記第2の演算回路の出力信号をもとに振幅変調信号を生成する振幅変調部と、前記位相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を制御信号として入力することで、歪を補正した送信データを合成する増幅部と、を含む。
上記構成によれば、オフセット記憶部に記憶する直流オフセットを加算又は減算する処理1回と、係数記憶部に記憶する係数を乗算又は除算する処理1回で増幅部の出力信号の歪を補償することができる為、補償精度を確保しながら、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、送信データより生成したベースバンド直交信号のうち少なくとも位相成分を有する信号をもとに位相変調信号を生成する位相変調部と、所定の入力高周波信号振幅値及び所定の制御電圧値にて駆動された増幅器の定常状態での制御電圧に対する出力信号特性(AM−AM特性)の直流オフセットを記憶するオフセット記憶部と、前記出力信号特性の係数を記憶する係数記憶部と、前記ベースバンド直交信号の振幅成分に対して、前記係数記憶部に格納した前記係数を乗算又は除算する第1の演算回路と、前記第1の演算回路からの出力信号に対して、前記オフセット記憶部に格納した前記直流オフセットを加算又は減算する第2の演算回路と、前記第2の演算回路の出力信号をもとに振幅変調信号を生成する振幅変調部と、前記位相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を制御信号として入力することで、歪を補正した送信データを合成する増幅部と、を含む。
上記構成によれば、直流オフセットを加算又は減算する処理1回と、係数を乗算又は除算する処理1回で増幅部の出力信号の歪を補償することができ、補償精度を確保しながら、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、前記係数記憶部が、切片を前記直流オフセットとして固定して近似した複数の一次関数の各傾きを係数として記憶するものである。
上記構成によれば、所望の出力レベルに応じて、係数記憶部に格納した定常特性での歪補償に対して、一次関数の傾きを調整することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、前記ベースバンド直交信号の振幅に対応する係数が記憶された前記係数記憶部のアドレスを指定するアドレス信号を生成するアドレス生成回路を備え、前記アドレス生成回路が、前記ベースバンド直交信号の振幅が前記出力信号特性の線形領域を示す場合は、固定のアドレスを指定するものである。
上記構成によれば、線形領域を表現するための補償データ(係数)が1ポイントで済むため、係数記憶部に効率よくデータを格納することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、前記オフセット記憶部が、傾きを前記係数として固定して近似した複数の一次関数の各切片を直流オフセットとして記憶するものである。
上記構成によれば、オフセット記憶部に格納した定常特性での歪補償に対して、一次関数の切片を調整することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、前記ベースバンド直交信号の振幅に対応する直流オフセットが記憶された前記オフセット記憶部のアドレスを指定するアドレス信号を生成するアドレス生成回路を備え、前記アドレス生成回路が、前記ベースバンド直交信号の振幅が前記出力信号特性の線形領域を示す場合は、固定のアドレスを指定するものである。
上記構成によれば、線形領域を表現するための補償データ(直流オフセット)が1ポイントで済むため、オフセット記憶部に効率よくデータを格納することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、前記係数記憶部に格納した前記係数を調整することにより、前記増幅部の振幅変調動作に起因する過渡応答を補償する過渡特性補償回路を備えるものである。また、前記過渡特性補償回路は、前記係数記憶部に格納した前記係数に所定値を乗算する乗算回路を備えるものである。また、前記過渡特性補償回路は、前記振幅変調部への入力信号に所定値を乗算する乗算回路を備えるものである。
上記構成によれば、振幅変調動作状態にある増幅部の歪補償精度を向上することができる。
また、本発明の極座標変調回路の前記過渡特性補償回路は、前記増幅部の送信出力電力に応じて、前記乗算回路にて乗算する所定値を切替えるものである。また、前記過渡特性補償回路は、前記振幅変調信号の実効値に応じて、前記乗算回路にて乗算する所定値を切替えるものである
上記構成によれば、送信電力を変更した場合にも、増幅部の歪補償精度を維持することができる。
また、本発明の極座標変調回路の前記過渡特性補償回路は、前記振幅変調部への入力信号に所定値を乗算するマルチプライング・デジタル・アナログ変換回路を備えるものである。
上記構成によれば、回路規模を低減することができる。
また、本発明の極座標変調回路の前記過渡特性補償回路は、前記増幅部の送信出力電力に応じて、前記マルチプライング・デジタル・アナログ変換回路の基準電位を切替えるものである。
上記構成によれば、送信電力を変更した場合にも、増幅部の歪補償精度を維持することができる。
また、本発明の極座標変調回路は、環境状態を検出する環境状態検出部と、前記環境状態検出部より出力される検出信号に応じて、前記直流オフセットあるいは前記係数を調整する環境状態補償回路とを備えるものである。また、前記環境状態補償回路は、前記環境状態ごとに、前記オフセット記憶部に格納する直流オフセット、前記係数記憶部に格納する係数、前記過渡特性補償回路にて乗算する係数、あるいは前記マルチプライング・デジタル・アナログ変換回路に供給する基準電位を保持するデータテーブルを備えるものである。
上記構成によれば、環境温度等の環境状態変化時にも増幅部の歪補償精度を維持することができる。
また、本発明の極座標変調回路の前記環境状態補償回路は、前記環境状態検出部より出力される検出信号に応じて、前記データテーブルに保持された直流オフセット、前記係数、前記乗算係数、あるいは前記基準を切替えるものである。
上記構成によれば、環境状態変化時にも増幅部の歪補償精度を維持することができる。
また、本発明の極座標変調回路の前記環境状態検出部は、前記増幅部の消費電流を検出するものである。
上記構成によれば、増幅部の消費電流の変化を簡単に検出することができる。
また、本発明の極座標変調回路の前記環境状態検出部は、環境温度を検出するものである。
上記構成によれば、環境温度の変化を簡単に検出することができる。
また、本発明の集積回路は、本発明の極座標変調回路を備える。
上記構成によれば、無線部送信系を低コストで実現できる。
さらに、本発明の無線装置は、本発明の極座標変調回路、あるいは、本発明の集積回路を備える。
上記構成によれば、高効率な送信機を実現できる。
本発明によれば、オフセット記憶部に記憶する直流オフセットを加算又は減算する処理1回と、係数記憶部に記憶する係数を乗算又は除算する処理1回とで、増幅部の出力信号の歪を補償することができる為、補償精度を確保しながら、歪補償に係る回路を含む極座標変調回路の規模の増大を抑制することができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態は、従来技術を組み合わせても解決できなかった極座標変調方式において、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することと、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することが可能なプリディストーション方式の歪補償回路を含む極座標変調回路について説明するものである。
図1Aは、本発明の第1の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図である。図1Aに示すように、本発明の第1の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路100と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
また、AM−AM特性補償回路100は、オフセット補償回路101と、係数記憶部102と、アドレス生成回路103と、乗算回路105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。歪補償処理の詳細は後述する。
極座標変換手段104は、図示しないベースバンド信号生成部より入力されたIQ信号を振幅信号r(t)と定振幅の位相信号θ(t)とに分離する。なお、r(t)は最大値が1となるように正規化を実施してもよい。
振幅変調手段106は、AM−AM特性補償回路100からの出力信号をもとに、電力増幅器108の制御電圧を高速に駆動する。位相変調手段107は、極座標変換手段104からの出力信号をもとに位相変調を行う。電力増幅器108は、位相変調手段107の出力を入力高周波信号、振幅変調手段106の出力を制御電圧として、高速に駆動されるものである。
オフセット補償回路101は、オフセット記憶部101aと、加算回路101bとを備え、極座標変換手段104より出力されるベースバンド信号の振幅信号r(t)に対して、オフセット記憶部101aに記憶された所定の直流オフセット電圧を第一の振幅補正信号として印加する。
係数記憶部102は、所定入力高周波信号振幅での電力増幅器108の入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の正特性を表す係数を格納する。そして、アドレス生成回路103からの出力信号に応じて、電力増幅器108の逆特性となる第二の振幅補正信号を出力する。ここで、逆特性とは正特性の逆関数を所定の定数倍したものである。また、前記係数の詳細は後述する。
アドレス生成回路103は、極座標変換手段104から出力された振幅信号r(t)に対して、あらかじめ設定する閾値(Th1)を基準として、出力するアドレスを切り替える。前記アドレスの切り替え方法の詳細は後述する。
乗算回路105は、係数記憶部102より出力される第二の振幅補正信号をもとに、オフセット補償回路101からの出力信号に対する補正を行う。振幅変調手段106は、乗算回路105からの出力信号をもとに、電力増幅器108の制御電圧を高速に駆動する。
位相変調手段107は、極座標変換手段104から出力されるベースバンド信号の位相信号をもとに、位相変調を行う。この位相変調手段として、例えば、フラクショナルN・PLL方式と呼ばれる位相変調手段のほか、位相情報θ(t)を定振幅の直交座標に変換する直交座標変換手段をさらに具備する場合には、直交変調手段、あるいは、オフセットPLL方式と呼ばれる位相変調手段を含む場合もある。
なお、本発明の第1の実施形態の極座標変調回路を送信装置に用いる場合には、振幅変調手段106の前段、及び、位相変調手段107の前段に、図示しないデジタル−アナログ変換回路(以下DAコンバータと略す)を配置する。
(AM−AM特性補償回路100の歪補償処理)
次に、AM−AM特性補償回路100について、その歪補償処理を詳述する。電力増幅器108の入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の正特性は、図2のグラフであるとする。図2において、横軸は電力増幅器108に印加する制御電圧(x)、縦軸は電力増幅器108からの出力電圧(y)であり、図中の実線で示す曲線は所定の制御電圧を印加した場合の定常状態における基本波周波数の出力電圧特性を示す。ここで、図2の実線の特性を、式(1)のように表現する。
なお、本特性は図13、図14に示す実線の特性と同一であり、また、振幅信号を表現する際に、電力増幅器108へ印加する制御電圧を求める、つまり、電力増幅器に印加される制御電圧と出力される振幅信号との関係は、図14と同一である。図中の点線で示す直線(A)は前記曲線のうち線形領域を延長した特性を示し、式(2)で表現できるものとする。また、図中の点線で示す直線(B)は、前記直線(A)の出力電圧(y)軸切片b[0]とAM−AM正特性を所定間隔にてサンプリングした点(サンプリング点n、nは制御電圧の低い順に0〜N−1、メモリに格納するデータポイント数をN)とを結ぶ直線であり式(3)で表現する。すなわち、直線(A)と直線(B)は、出力電圧(y)軸切片b[0]は共通で、傾きが異なる直線(n≦N−2)を示す。
ここで、本発明の第1の実施形態では、電力増幅器108の出力レベルの設定にあたって、極座標変換手段104にて最大出力設定時の振幅信号r(t)の最大値が1となるように正規化するとともに、出力レベルの低減時には出力レベルごとに、1未満の定数を乗算する。よって、図2で示す出力電圧軸も最大値が1となるように正規化しておく。また、図2中の記号Th1は、アドレス生成回路103にて振幅信号に対して設定される閾値であり、出力電圧軸上のAM−AM特性の線形領域、非線形領域の境界線を示す。
まず、図2において、図11に示す振幅信号を例とし、入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の逆特性、すなわち、AM−AM特性補償用のデータを求める動作を考える。
図2の例では、振幅成分が式(2)で表現できる直線(A)から外れる領域があるが、仮に振幅成分が式(2)で表現できる領域(r(t)≧Th1)にある場合を考える。この時、式(2)の逆関数は式(4)で表現できる。
ここで、図1Aとの対応関係を考えると、極座標変換手段104より出力される振幅信号r(t)がyであり、オフセット補償回路101にてオフセット記憶部101aに格納したデータ(−b[0])を加算し、乗算回路105にて係数記憶部102より出力される第二の振幅補正信号(1/a[0])を乗算することで、振幅変調手段106に出力される信号としてxを得ることができる。
すなわち、振幅信号に対してオフセット電圧を加算するオフセット補償回路101と、傾きを格納する係数記憶部102と、オフセット補償回路101からの出力信号に対して所定値を乗算する乗算回路105の作用によって、図2の実線にて示されるAM−AM特性のうち、直線(A)にて表現できる領域についてのAM−AM特性補償が行われる。
次に、振幅成分が式(2)では表現できない領域にある場合、すなわち、非線形領域(r(t)<Th1)を含む場合を考える。この時、式(3)の逆関数は式(5)で表現できる。
(直線の傾きを係数記憶部102に格納)
まず、非線形領域の補償処理方法に関して、本発明の第1の実施形態におけるAM−AM特性補償回路100と、特許文献3で示す従来のプリディストーション方式の歪補償回路との違いを説明する。この違いは、前記特許文献3で示す歪補償回路が、線形領域を表現する直線と非線形領域からの差分値をメモリ1802に格納するのに対して、本発明の第1の実施形態におけるAM−AM特性補償回路100は、非線形領域を、線形領域とは異なる所定の直線で表現し、前記所定の直線の傾きを係数記憶部102に格納する点である。
ここで、サンプリング点n(以下、アドレス番号nと呼ぶ)に対する格納データをD[n](ただし、n=N−1は線形領域を表現するために使用し、n=0〜N−2)とする。n=0〜N−2に対するサンプリング間隔は一定である。
特許文献3で示す歪補償回路は、線形領域を表現する直線と非線形領域からの差分値とをメモリに格納するため、アドレス番号nに対する格納データD[n]は式(6)で表せる。
一方、本発明の第1の実施形態におけるAM−AM特性補償回路100では、非線形領域を、線形領域とは異なる所定の直線で表現し、前記所定の直線の傾きを係数記憶部102に格納するため、アドレス番号nに対する格納データD[n]は式(7)で表せる。
(アドレス生成回路103におけるアドレスの切り替え方法)
次に、アドレス生成回路103におけるアドレスの切り替え方法を説明する。図3は、アドレス生成回路103での処理フローを示す。極座標変換手段104より出力される振幅信号r(t)が閾値(Th1)以上の場合には、アドレスn=N−1を出力する。
一方、振幅信号r(t)が閾値未満の場合には、振幅信号r(t)を一定間隔のサンプリング間隔にて区切ったアドレス番号に当てはめ、当該アドレスn(n=0〜N−2)を出力する(振幅信号に応じたアドレスnを出力)。
ここで、アドレス番号(n−2)に対応する振幅信号をr(n−2)、アドレス番号(n−1)に対応する振幅信号をr(n−1)とすると、式(8)にて示す条件の場合、線形領域を表現するための補償データが1ポイントで済むため、係数記憶部102にデータを格納する場合の効率が最もよい。
ここまで説明してきたように、本発明の第1の実施形態におけるAM−AM特性補償回路100は、線形領域、非線形領域ともに等サンプリング間隔にて補償データを取得する場合に比べ補償データ量を低減できるという、特許文献2あるいは特許文献3と同様な効果に加え、線形領域を表現するために係数記憶部102に格納する補償データは1ポイントでよく、回路規模をさらに削減できるという効果も有する。
また、オフセット補償回路101によるオフセット電圧の加算と、式(7)の形式にて補償データを係数記憶部102に格納することで、演算処理としては、加算処理1回、乗算処理1回となり、極座標変調方式に特許文献3で示す歪補償回路を適用した場合の演算処理(加算処理2回と乗算処理1回)と比べ、演算処理数を低減できるという効果も有する。
ここで、送信データに対するリアルタイム処理が必要な歪補償処理において、演算処理の増加、すなわち、演算時間の増大は、高速データ伝送が主流となってきている携帯電話サービス、あるいは、無線LAN(Local Area Network)システムへの適用を困難とする。このため、演算処理は極力少ない方が好ましく、本発明のAM−AM特性補償回路100が有効である。
(係数記憶部102に格納するデータ形式の意義)
次に、本発明の第1の実施形態において、係数記憶部102に格納するデータ形式を、特許文献3にあるように非線形領域の直線に対する差分データではなく、必要な領域全てを直線で表現し、その傾きとしていることの意義を説明する。
極座標変調方式のように、電力増幅器の制御電圧を高速に駆動して、電力増幅器にて振幅変調をかける場合(以下、振幅変調動作と呼ぶ)、制御電圧を印加してから所望の出力レベルに達するまでに示す過渡応答特性のため、所望出力レベルを得ることが困難である。図4は、電力増幅器が飽和動作するレベルの入力高周波信号振幅を与えた状態にて、出力信号振幅の制御電圧に対するステップ応答特性を示す図である。図4において、横軸は電力増幅器に制御信号を入力した時点からの経過時間、縦軸は電力増幅器の出力信号振幅を示す。
図4に示すように、電力増幅器に供給する制御電圧を0vから所定レベルに変化させると、電力増幅器が飽和動作するレベルの入力高周波信号を与えた状態では、出力振幅が安定する定常状態になる前に、過渡応答特性を示す。ここで、図4の例では、2通りの制御電圧値(定常状態)に対するステップ応答特性を示している。なお、前記ステップ応答特性取得中の入力高周波信号振幅は、一定値である。この過渡応答特性を補償するため、図5Aに示す極座標変調装置が有効である。
(傾きを調整して過渡応答特性を補償)
図5Aは、極座標変調回路の概略構成の一例を示す図である。図5Aに示すように、極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路500と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
また、AM−AM特性補償回路500は、過渡特性補償回路501と、メモリ502と、振幅情報補正手段105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。歪補償処理の詳細は後述する。なお、特許文献1に記載されたプリディストーション方式の歪補償を適用した極座標変調装置について説明した図1と重複する部分については、同一の符号を付す。
メモリ502は、所定入力高周波信号振幅における電力増幅器108への入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM:Amplitude Modulation to Amplitude Modulation conversion)の正特性を格納する。そして、入力振幅信号r(t)に応じて、電力増幅器108の逆特性となる振幅補正信号、位相補正信号を出力する。ここで、逆特性とは正特性の逆関数を所定の定数倍したものである。メモリ502に格納されるデータは、図2、図13、図14のような定常特性でのデータであるため、電力増幅器のステップ応答特性が図4に示す過渡応答を示す領域では、正確な出力レベルの設定は難しい。
しかし、事前にステップ応答を取得しておき、図4中の高出力振幅時には、過渡応答期間には設定レベルよりも高レベルになるため、その分、制御電圧を低減しておけば、所定のレベルを出力することが可能である。また、図4中の低出力振幅時には、過渡応答期間に設定レベルを超過することがないため、その分、制御電圧を増加させておけば、所定のレベルを出力することが可能である。
すなわち、所望の出力レベルに応じて、メモリ502に格納した定常特性での歪補償に対して、AM−AM特性の傾きを調整することで、電力増幅器の振幅変調動作に起因する過渡応答を精度よく補償できることが、本願発明者の検討の過程で分かった。
よって、図5Aに示す、過渡特性補償回路501は、AM−AM特性の傾きを調整するため、電力増幅器の出力レベルに応じて、所定の定数を乗算する乗算回路で構成される。なお、極座標変調方式においては、振幅変調信号の振幅制御によって、電力増幅器の出力レベル制御を行うため、電力増幅器の出力レベルの替わりに、例えば、振幅信号の実効値に応じて、所定乗数を乗算してもよい。
ここで、係数記憶部102に格納するデータ形式を、特許文献3にあるように、非線形領域の直線に対する差分データではなく、必要な領域全てを直線で表現し、その傾きとしていることで、過渡応答を補償するための定数を含めて係数として与えれば、過渡応答特性を補償する機能を取り込むことが可能となる。
なお、本発明の第1の実施形態では、係数記憶部102は、所定入力高周波信号振幅における電力増幅器108への入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の正特性を表す係数を格納し、入力振幅信号r(t)に応じて電力増幅器108の逆特性となる振幅補正信号を出力するとしたが、あらかじめ、前記逆特性を求めておき、係数記憶部102に格納するデータを前記逆特性としてもよいことは言うまでもない。
また、本発明の第1の実施形態では、オフセット補償回路101にて−b[0]を加算するとしたが、+b[0]を減算しても等価であることは言うまでもない。
さらに、本発明の第1の実施形態では、係数記憶部102より第二の振幅補正信号として1/a[(N−1)−n]を出力し、乗算回路105にて乗算することとしたが、乗算回路105の代わりに除算回路を具備し、係数記憶部102より第二の振幅補正信号としてa[(N−1)−n]を出力し、振幅情報補正手段にて除算しても等価であることは言うまでもない。
また、図1Aに示す加算回路101bと乗算回路105との順番を入れ替えて、図1Bに示す構成としても同様の効果が得られる。
ここで、本発明の第1の実施形態にて開示された歪補償回路としてのAM−AM特性補償回路100、あるいは極座標変調回路は、例えば、シリコン半導体基板上にて実現可能な回路であり、集積回路として実装可能である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態にて、図5Aを用いて説明した電力増幅器の振幅変調動作に起因する過渡特性を、補償可能な極座標変調回路の他の例について説明するものである。
図5Bは、本発明の第2の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図である。図5Bに示すように、本発明の第2の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路2000と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
AM−AM特性補償回路2000は、オフセット補償回路101と、係数記憶部102と、アドレス生成回路103と、過渡特性補償回路2001と、乗算回路105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。なお、本発明の第1の実施形態の図1Aを用いて説明したものと重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
過渡特性補償回路2001は、係数記憶部102より出力される第二の振幅補正信号に対して、電力増幅器の出力レベルに応じて、所定の定数(coeff1)を乗算する乗算回路2002で構成され、所定の定数乗算後の第三の振幅補正信号を乗算回路105に対して出力する。ここで、前記所定の定数は、本発明の第1の実施形態にて、過渡特性補償回路501に関して説明したものと同様な考え方で設定するものである。
以上のように構成することで、本発明の第2の実施形態の極座標変調回路は、従来技術を組み合わせても解決できなかった、極座標変調方式において、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することと、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することとが可能となる。
次に、図5Bに示す極座標変調回路と同様な効果を示す極座標変調回路の他の例について説明する。図5Cは、本発明の第2の実施形態における極座標変調回路の概略構成の他の例を示す図である。図5Cに示すように、本発明の第2の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路2100と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
AM−AM特性補償回路2100は、オフセット補償回路101と、係数記憶部102と、アドレス生成回路103と、過渡特性補償回路2101と、乗算回路105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。なお、図5Bと重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
過渡特性補償回路2101は、乗算回路105より出力される振幅補正処理実施後の振幅信号に対して、電力増幅器の出力レベルに応じて所定の定数(coeff1)を乗算する乗算回路2102で構成され、所定の定数乗算後の振幅信号を振幅変調手段106に対して出力する。ここで、前記所定の定数は、本発明の第1の実施形態にて、過渡特性補償回路501に関して説明したものと同様な考え方で設定するものである。
以上のように構成することで、本発明の第2の実施形態の極座標変調回路は、従来技術を組み合わせても解決できなかった、極座標変調方式において、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することと、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することが可能となる。
なお、本発明の第2の実施形態の極座標変調回路を送信装置に用いる場合には、振幅変調手段106の前段、及び、位相変調手段107の前段に、図示しないデジタル−アナログ変換回路(以下DAコンバータと略す)を配置する。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、本発明の第2の実施形態に示す極座標変調回路に対して、回路構成を簡略化した極座標変調回路について説明するものである。図5Dは、本発明の第3の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図である。図5Dに示すように、本発明の第3の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路2200と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
AM−AM特性補償回路2200は、オフセット補償回路101と、係数記憶部102と、アドレス生成回路103と、乗算回路105と、マルチプライングDAコンバータ(以下MDACと略す)2201と、を備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。なお、本発明の第2の実施形態の図5B、あるいは、図5Cを用いて説明したものと重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
MDAC2201は、乗算回路105より出力される振幅補正処理実施後の振幅信号に対して、電力増幅器の出力レベルに応じて入力される基準電位(Vref)をもとに、所定の定数を乗算し、所定の定数乗算後の振幅信号を振幅変調手段106に対して出力する。
すなわち、MDAC2201は、極座標変調回路を送信装置に用いる場合に配置するDAコンバータの機能を有するとともに、本発明の第2の実施形態にて図5Cを用いて説明した過渡特性補償回路2101と同様な動作を行うことで、本発明の第2の実施形態の極座標変調回路よりも、送信装置を構成する場合の回路構成を簡略化することができる。
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図である。図6に示すように、本発明の第4の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路600と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
また、AM−AM特性補償回路600は、オフセット補償回路601と、係数記憶部602と、アドレス生成回路103と、振幅情報補正手段としての乗算回路105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。歪補償処理の詳細は後述する。なお、本発明の第1の実施形態について説明した図1Aと重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
オフセット補償回路601は、オフセット記憶部601aと、加算回路101bとを備え、アドレス生成回路103からの出力信号をもとに直流オフセット電圧を選択する。そして、極座標変換手段104より出力されるベースバンド信号の振幅信号r(t)に対して、オフセット記憶部601aに記憶された所定の直流オフセット電圧を振幅補正信号として印加して出力する。
アドレス生成回路103は、極座標変換手段104から出力された振幅信号r(t)に対して、あらかじめ設定する閾値(Th1)を基準として、出力するアドレスを切り替える。前記アドレスの切り替え方法の詳細は後述する。
係数記憶部602は、所定入力高周波信号振幅における電力増幅器108への入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の正特性のうち、線形領域を一次関数にて表現した場合の傾きを格納し、逆数を所定の定数倍したものを補正信号として出力する。
乗算回路105は、係数記憶部602から出力された振幅補正信号をもとに、オフセット補償回路601からの出力信号に対する補正を行う。なお、本発明の第4の実施形態の極座標変調回路を送信装置に用いる場合には、振幅変調手段106の前段、及び、位相変調手段107の前段に、図示しないデジタル−アナログ変換回路(以下DAコンバータと略す)を配置する。
(AM−AM特性補償回路600の歪補償処理)
次に、AM−AM特性補償回路600について、その歪補償処理を詳述する。電力増幅器108の入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の正特性は、図7のグラフであるとする。図7において、横軸は電力増幅器108に印加する制御電圧(x)、縦軸は電力増幅器108からの出力電圧(y)である。また、図中の実線で示す曲線は所定の制御電圧を印加した場合の定常状態における基本波周波数の出力電圧特性を示す。
なお、本特性は図2、図13、図14に示す実線の特性と同一であり、また、振幅信号を表現する際に、電力増幅器108へ印加する制御電圧を求める、つまり、電力増幅器に印加される制御電圧と振幅信号との関係は、図14と同一である。図中の点線で示す直線(A)は前記曲線のうち線形領域を延長した特性を示し、本発明の第1の実施形態における式(2)で表現できるものとする。
また、図中の点線で示す直線(C)は、AM−AM正特性を所定間隔にてサンプリングした点(サンプリング点n、nは制御電圧の低い順に0〜N−1、メモリに格納するデータポイント数をN)を通り、前記直線(A)と同一の傾きを有する直線であり式(9)で表現する。すなわち、直線(A)と直線(C)は、傾きは共通で、出力電圧(y)軸切片b[n]が異なる直線(n≦N−2)を示す。
ここで、本発明の第4の実施形態では、本発明の第1の実施形態と同様に、電力増幅器108の出力レベルの設定にあたって、極座標変換手段104にて最大出力設定時の振幅信号r(t)の最大値が1となるように正規化するとともに、出力レベルの低減時には出力レベルごとに、1未満の定数を乗算する。よって、図7で示す出力電圧軸も最大値が1となるように正規化しておく。また、図7中の記号Th1は、アドレス生成回路103にて振幅信号に対して設定される閾値であり、出力電圧軸上のAM−AM特性の線形領域、非線形領域の境界線を示す。
まず、図7において、図11に示す振幅信号を例とし、入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の逆特性、すなわち、AM−AM特性補償用のデータを求める動作を考える。
図7の例では、振幅成分が本発明の第1の実施形態における式(2)にて表現できる直線(A)から外れる領域があるが、仮に振幅成分が式(2)で表現できる領域(r(t)≧Th1)にある場合を考える。この時、式(2)の逆関数は本発明の第1の実施形態における式(4)で表現できる。
ここで、図6との対応関係を考えると、極座標変換手段104より出力される振幅信号r(t)がyであり、オフセット補償回路601にてオフセット記憶部601aに格納したデータ(−b[0])を加算し、乗算回路105にて係数記憶部602より出力される振幅補正信号(1/a[0])を乗算することで、振幅変調手段106に出力される信号としてxを得ることができる。
すなわち、振幅信号に対してオフセット電圧を加算するオフセット補償回路601と、傾きを格納する係数記憶部602と、オフセット補償回路101からの出力信号に対して所定値を乗算する乗算回路105の作用によって、図7の実線にて示されるAM−AM特性のうち、直線(A)にて表現できる領域についてのAM−AM特性補償が行われる。
次に、振幅成分が式(2)では表現できない領域にある場合、すなわち、非線形領域(r(t)<Th1)を含む場合を考える。この時、式(9)の逆関数は式(10)で表現できる。
(直線の切片をオフセット記憶部601aに格納)
まず、非線形領域の補償処理方法に関して、本発明の第4の実施形態におけるAM−AM特性補償回路600と、特許文献3で示す従来のプリディストーション方式の歪補償回路との違いを説明する。この違いは、前記特許文献3で示す歪補償回路が、線形領域を表現する直線と非線形領域からの差分値とをメモリ1802に格納するのに対して、本発明の第4の実施形態におけるAM−AM特性補償回路600は、非線形領域を、線形領域とは異なる所定の直線で表現し、前記所定の直線の切片をオフセット記憶部601aに格納する点である。
また、本発明の第1の実施形態におけるAM−AM特性補償回路100は、非線形領域を、線形領域とは異なる所定の直線で表現し、前記所定の直線の傾きを係数記憶部102に格納するものであり、記憶部に格納するデータの種類が本発明の第4の実施形態と異なる。
ここで、サンプリング点n(以下、アドレス番号nと呼ぶ)に対する格納データをD[n](ただし、n=N−1は線形領域を表現するために使用し、n=0〜N−2)とする。n=0〜N−2に対するサンプリング間隔は一定である。
特許文献3で示す歪補償回路は線形領域を表現する直線と非線形領域からの差分値をメモリに格納するため、アドレス番号nに対する格納データD[n]は本発明の第1の実施形態における式(5)で表せる。
一方、本発明の第4の実施形態におけるAM−AM特性補償回路600では、非線形領域を、線形領域とは異なる所定の直線で表現し、前記所定の直線の切片をオフセット記憶部601aに格納するため、アドレス番号nに対する格納データD[n]は式(11)で表せる。
(アドレス生成回路103におけるアドレスの切り替え方法)
次に、アドレス生成回路103におけるアドレスの切り替え方法を説明する。図3は、アドレス生成回路103での処理フローを示す。極座標変換手段104より出力される振幅信号r(t)が閾値(Th1)以上の場合には、アドレスn=N−1を出力する。
一方、振幅信号r(t)が閾値未満の場合には、振幅信号r(t)を一定間隔のサンプリング間隔にて区切ったアドレス番号に当てはめ、当該アドレスn(n=0〜N−2)を出力する(振幅信号に応じたアドレスnを出力)。
ここで、アドレス番号(n−2)に対応する振幅信号をr(n−2)、アドレス番号(n−1)に対応する振幅信号をr(n−1)とすると、本発明の第1の実施形態における式(8)にて示す条件の場合、線形領域を表現するための補償データが1ポイントで済むため、オフセット記憶部601aにデータを格納する場合の効率が最もよい。
ここまで説明してきたように、本発明の第4の実施形態におけるAM−AM特性補償回路600は、線形領域、非線形領域ともに等サンプリング間隔にて補償データを取得する場合に比べ補償データ量を低減できるという、特許文献2あるいは特許文献3と同様な効果に加え、線形領域を表現するためにオフセット記憶部601aに格納する補償データは1ポイントでよく、回路規模をさらに削減できるという効果も有する。
また、オフセット補償回路601によるオフセット電圧の加算と、式(11)の形式にて補償データをオフセット記憶部601aに格納することで、演算処理としては、加算処理1回、乗算処理1回となり、極座標変調方式に特許文献3で示す歪補償回路を適用した場合の演算処理(加算処理2回と乗算処理1回)と比べ、演算処理数を低減できるという効果も有する。
ここで、送信データに対するリアルタイム処理が必要な歪補償処理において、演算処理の増加、すなわち、演算時間の増大は、高速データ伝送が主流となってきている携帯電話サービス、あるいは、無線LAN(Local Area Network)システムへの適用を困難とする。このため、演算処理は極力少ない方が好ましく、本発明のAM−AM特性補償回路600が有効である。
なお、本発明の第4の実施形態では、係数記憶部602は、所定入力高周波信号振幅での電力増幅器108の、入力制御信号に対する出力信号振幅特性(AM−AM)の正特性を表す係数を格納し、所定の定数倍した逆数を振幅補正信号として出力するとしたが、あらかじめ、前記所定の定数倍した逆数を求めておき、係数記憶部602に格納するデータを前記所定の定数倍した逆数としてもよいことは言うまでもない。
また、本発明の第4の実施形態では、オフセット補償回路601にて−b[(N−1)−n]を加算するとしたが、+b[(N−1)−n]を減算しても等価であることは言うまでもない。
さらに、本発明の第4の実施形態では、係数記憶部602より振幅補正信号として1/a[0]を出力し、乗算回路105にて乗算することとしたが、乗算回路105の代わりに除算回路を具備し、係数記憶部602より振幅補正信号としてa[0]を出力し、振幅情報補正手段にて除算しても等価であることは言うまでもない。
ここで、本発明の第4の実施形態にて開示された歪補償回路としてのAM−AM特性補償回路600、あるいは極座標変調回路は、例えば、シリコン半導体基板上にて実現可能な回路であり、集積回路として実装可能である。
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図である。図8に示すように、本発明の第5の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路800と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108とを備える。
また、AM−AM特性補償回路800は、オフセット補償回路801と、係数記憶部602と、アドレス生成回路103と、振幅情報補正手段としての乗算回路105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。歪補償処理は後述する。なお、本発明の第2の実施形態について説明した図6と重複する部分については、同一の符号を付す。
オフセット補償回路801は、オフセット記憶部801aと、加算回路101bとを備え、アドレス生成回路103からの出力信号をもとに直流オフセット電圧を選択する。そして、極座標変換手段104より出力されるベースバンド信号の振幅信号r(t)に対して、オフセット記憶部801aに記憶された所定の直流オフセット電圧を振幅補正信号として印加して出力する。
オフセット記憶部801aには、アドレス番号nに対する格納データD[n]として式(12)で示す形式のデータを格納する。(n=0〜N−1)
極座標変換手段104より出力された振幅信号r(t)をyとして、乗算回路105にて係数記憶部602に格納された係数a[0]の逆数1/a[0]を乗算する。その後、オフセット記憶部801aに格納された式(12)で表されるデータを加算する。オフセット補償回路801より振幅変調手段106に出力される信号をxとすると、式(10)で表される信号となり、これは、本発明の第2の実施形態におけるオフセット補償回路601より振幅変調手段106に出力される信号と同等となり、オフセット補償回路801によって、所望のAM−AM特性の補償が行われる。なお、その他の構成要素の作用及び効果については、本発明の第2の実施形態にて説明したものと同様であり、説明を省略する。
ここで、本発明の第5の実施形態にて開示された歪補償回路としてのAM−AM特性補償回路800、あるいは極座標変調回路は、例えば、シリコン半導体基板上にて実現可能な回路であり、集積回路として実装可能である。
なお、本発明の第1から第5の実施形態に示す極座標変調回路において、環境温度に応じたAM−AM特性の傾きの変化を表現するためには、オフセット記憶部に格納する直流オフセット電圧、係数記憶部に格納する係数、過渡特性補償回路にて乗算する係数、あるいは、MDACに供給する基準電位を、環境温度ごとにテーブルデータとして用意しておけばよい。そして、本発明の極座標変調回路を送信装置に用いた場合に、図示しない温度センサーからの温度情報、あるいは、前記温度情報と等価となる、例えば、電力増幅器の消費電流(コレクタ電流、ドレイン電流など)をモニターする回路からの消費電流情報に応じて、前記テーブルデータを適宜切替えることで、対温度特性を改善可能である。
(第6の実施形態)
図9は、本発明の第6の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図である。本実施形態の極座標変調回路は、環境状態に応じて直流オフセットあるいは係数を調整することにより、環境状態を補償することができる極座標変調回路である。
同図に示すように、本発明の第6の実施形態における極座標変調回路は、極座標変換手段104と、AM−AM特性補償回路2000と、振幅変調手段106と、位相変調手段107と、電力増幅器108と、環境温度または電力増幅器108の消費電流等を検出する環境状態検出部2300と、環境状態検出部2300の検出信号に応じて振幅補正信号を補償する環境状態補償回路2301とを備える。
AM−AM特性補償回路2000は、オフセット補償回路101と、係数記憶部102と、アドレス生成回路103と、過渡特性補償回路2001と、乗算回路105とを備え、振幅情報r(t)に対して所定の歪補償処理を行う。なお、本発明の第1の実施形態の図1Aを用いて説明したものと重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
過渡特性補償回路2001は、係数記憶部102より出力される第二の振幅補正信号に対して、環境状態補償回路2301からの補償信号に応じて、所定の定数を乗算する乗算回路2002で構成され、所定の定数乗算後の第三の振幅補正信号を乗算回路105に対して出力する。ここで、前記所定の定数は、例えば、温度変化時のAM−AM特性曲線の傾きの変化に対応して設定するものである。
以上のように構成することで、本発明の第6の実施形態の極座標変調回路は、従来技術を組み合わせても解決できなかった極座標変調方式において、補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減し、歪補償に係る回路規模の増大を抑制するとともに、環境状態の変化を補償することが可能となる。
なお、図9では、環境状態検出部2300での検出信号に応じて、係数を調整する回路構成を示しているが、例えば、オフセット記憶部101aには、温度変化時のAM−AM特性曲線のオフセット電圧の変化に対応したオフセット値を格納しておき、環境状態補償回路2301より出力される補償信号に応じて、振幅信号r(t)に対して所定のオフセット値を加算する構成とすることで、環境状態に応じて直流オフセットを調整することが可能である。
また、前記環境状態に応じた係数の調整と、前記環境状態に応じた直流オフセットの調整とを組み合わせることで、環境状態変動時の特性変化をさらに精度よく補償することが可能となる。
本発明の極座標変調回路は、極補償精度を確保しながら、メモリに格納するデータ容量を低減することと、歪補償に係る回路規模の増大を抑制することすることが可能な効果を有し、プリディストーション方式の歪補償回路を含む極座標変調回路等に有用である。
本発明の第1の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図(A) 本発明の第1の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図(B) 電力増幅器の入力制御信号に対する出力信号振幅特性の一例を示す図 アドレス生成回路の処理フローを示す図 電力増幅器が飽和動作するレベルの入力高周波信号振幅を与えた状態にて、出力信号振幅の制御電圧に対するステップ応答特性を示す図 本発明の第1の実施形態における極座標変調回路の概略構成の他の例を示す図 本発明の第2の実施形態における極座標変調回路の概略構成の例を示す図 本発明の第2の実施形態における極座標変調回路の概略構成の他の例を示す図 本発明の第3の実施形態における極座標変調回路の概略構成の例を示す図 本発明の第4の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図 電力増幅器の入力制御信号に対する出力信号振幅特性の一例を示す図 本発明の第5の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図 本発明の第6の実施形態における極座標変調回路の概略構成の例を示す図 従来のEDGE方式で用いられる8−PSK変調信号をIQ直交座標上にプロットした図 従来の8−PSK変調信号の振幅成分を示す図 従来のプリディストーション方式の歪補償を適用した極座標変調装置を示すブロック図 従来のプリディストーション方式の歪補償を適用した極座標変調装置における電力増幅器の入力制御信号に対する出力信号振幅特性の一例を示す図 従来のプリディストーション方式の歪補償を適用した極座標変調装置における電力増幅器へ印加される制御電圧と出力される振幅信号との関係を示す図 従来の直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償回路を示すブロック図 従来の直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償回路における電力増幅器の入力高周波信号に対する出力信号振幅特及び通過位相特性の一例を示す図 従来の直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償回路におけるアドレス算出回路におけるサンプリング間隔の変換動作を示す図 従来の直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償回路におけるメモリに格納される補正信号の一例を示す図 従来の直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償回路を示すブロック図 従来の直交変調方式におけるプリディストーション方式の歪補償回路における近似関数加算部とメモリの役割を示す図
符号の説明
100、500、600、800 AM−AM特性補償回路
101、601、801 オフセット補償回路
101a、601a、801a オフセット記憶部
101b 加算回路
102、602 係数記憶部
103 アドレス生成回路
104、1101 極座標変換手段
105、2002、2102 乗算回路
106、1104 振幅変調手段
107、1107 位相変調手段
108、1100 電力増幅器
501、2001、2101 過渡特性補償回路
502、1102、1402、1802 メモリ
1103 振幅情報補正手段
1105 振幅コントローラ
1106 位相情報補正手段
1108 位相変調信号発生器
1400 歪補償回路
1401 振幅成分抽出回路
1403 補正手段
1404 アドレス算出回路
1801 近似関数加算部
2000、2100、2200 AM−AM特性補償回路
2201 MDAC
2300 環境状態検出部
2301 環境状態補償回路

Claims (20)

  1. 送信データより生成したベースバンド直交信号のうち少なくとも位相成分を有する信号をもとに位相変調信号を生成する位相変調部と、
    所定の入力高周波信号振幅値及び所定の制御電圧値にて駆動された増幅器の定常状態での制御電圧に対する出力信号特性(AM−AM特性)の直流オフセットを記憶するオフセット記憶部と、
    前記出力信号特性の係数を記憶する係数記憶部と、
    前記ベースバンド直交信号の振幅成分に対して、前記オフセット記憶部に格納した前記直流オフセットを加算又は減算する第1の演算回路と、
    前記第1の演算回路からの出力信号に対して、前記係数記憶部に格納した前記係数を乗算又は除算する第2の演算回路と、
    前記第2の演算回路の出力信号をもとに振幅変調信号を生成する振幅変調部と、
    前記位相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を制御信号として入力することで、歪を補正した送信データを合成する増幅部と、
    を含む極座標変調回路。
  2. 送信データより生成したベースバンド直交信号のうち少なくとも位相成分を有する信号をもとに位相変調信号を生成する位相変調部と、
    所定の入力高周波信号振幅値及び所定の制御電圧値にて駆動された増幅器の定常状態での制御電圧に対する出力信号特性(AM−AM特性)の直流オフセットを記憶するオフセット記憶部と、
    前記出力信号特性の係数を記憶する係数記憶部と、
    前記ベースバンド直交信号の振幅成分に対して、前記係数記憶部に格納した前記係数を乗算又は除算する第1の演算回路と、
    前記第1の演算回路からの出力信号に対して、前記オフセット記憶部に格納した前記直流オフセットを加算又は減算する第2の演算回路と、
    前記第2の演算回路の出力信号をもとに振幅変調信号を生成する振幅変調部と、
    前記位相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を制御信号として入力することで、歪を補正した送信データを合成する増幅部と、
    を含む極座標変調回路。
  3. 請求項1又は2記載の極座標変調回路であって、
    前記係数記憶部は、切片を前記直流オフセットとして固定して近似した複数の一次関数の各傾きを係数として記憶する極座標変調回路。
  4. 請求項3記載の極座標変調回路であって、
    前記ベースバンド直交信号の振幅に対応する係数が記憶された前記係数記憶部のアドレスを指定するアドレス信号を生成するアドレス生成回路を備え、
    前記アドレス生成回路は、前記ベースバンド直交信号の振幅が前記出力信号特性の線形領域を示す場合は、固定のアドレスを指定する極座標変調回路。
  5. 請求項1又は2記載の極座標変調回路であって、
    前記オフセット記憶部は、傾きを前記係数として固定して近似した複数の一次関数の各切片を直流オフセットとして記憶する極座標変調回路。
  6. 請求項5記載の極座標変調回路であって、
    前記ベースバンド直交信号の振幅に対応する直流オフセットが記憶された前記オフセット記憶部のアドレスを指定するアドレス信号を生成するアドレス生成回路を備え、
    前記アドレス生成回路は、前記ベースバンド直交信号の振幅が前記出力信号特性の線形領域を示す場合は、固定のアドレスを指定する極座標変調回路。
  7. 請求項1又は2記載の極座標変調回路であって、
    前記係数記憶部に格納した前記係数を調整することにより、前記増幅部の振幅変調動作に起因する過渡応答を補償する過渡特性補償回路を備える極座標変調回路。
  8. 請求項7記載の極座標変調回路であって、
    前記過渡特性補償回路は、前記係数記憶部に格納した前記係数に所定値を乗算する乗算回路を備える極座標変調回路。
  9. 請求項7記載の極座標変調回路であって、
    前記過渡特性補償回路は、前記振幅変調部への入力信号に所定値を乗算する乗算回路を備える極座標変調回路。
  10. 請求項8または9記載の極座標変調回路であって、
    前記過渡特性補償回路は、前記増幅部の送信出力電力に応じて、前記乗算回路にて乗算する所定値を切替える極座標変調回路。
  11. 請求項8または9記載の極座標変調回路であって、
    前記過渡特性補償回路は、前記振幅変調信号の実効値に応じて、前記乗算回路にて乗算する所定値を切替える極座標変調回路。
  12. 請求項7記載の極座標変調回路であって、
    前記過渡特性補償回路は、前記振幅変調部への入力信号に所定値を乗算するマルチプライング・デジタル・アナログ変換回路を備える極座標変調回路。
  13. 請求項12記載の極座標変調回路であって、
    前記過渡特性補償回路は、前記増幅部の送信出力電力に応じて、前記マルチプライング・デジタル・アナログ変換回路の基準電位を切替える極座標変調回路。
  14. 請求項8又は9記載の極座標変調回路であって、
    環境状態を検出する環境状態検出部と、
    前記環境状態検出部より出力される検出信号に応じて、前記直流オフセットあるいは前記係数を調整する環境状態補償回路とを備える極座標変調回路。
  15. 請求項14記載の極座標変調回路であって、
    前記環境状態補償回路は、前記環境状態ごとに、前記オフセット記憶部に格納する直流オフセット、前記係数記憶部に格納する係数、前記過渡特性補償回路にて乗算する係数、あるいは前記マルチプライング・デジタル・アナログ変換回路に供給する基準電位を保持するデータテーブルを備える極座標変調回路。
  16. 請求項15記載の極座標変調回路であって、
    前記環境状態補償回路は、前記環境状態検出部より出力される検出信号に応じて、前記データテーブルに保持された直流オフセット、前記係数、前記乗算係数、あるいは前記基準電位を切替える極座標変調回路。
  17. 請求項14記載の極座標変調回路であって、
    前記環境状態検出部は、前記増幅部の消費電流を検出する極座標変調回路。
  18. 請求項14記載の極座標変調回路であって、
    前記環境状態検出部は、環境温度を検出する極座標変調回路。
  19. 請求項1ないし18のいずれか一項記載の極座標変調回路を備える集積回路。
  20. 請求項1ないし18のいずれか一項記載の極座標変調回路、あるいは、請求項19記載の集積回路を備える無線装置。
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