JP2006337545A - 塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ピンホール、気泡、表面のむらなどのない平滑な塗膜を短時間で容易に形成することができる塗膜被覆基体の製造方法を提供する。
【解決手段】 感光層形成材料と、下記式(1)で示す相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれる溶媒とを含む塗布液を塗布した塗膜6を、たとえば乾燥装置1を用いて、誘導加熱手段2によって基体5の温度を60℃以上150℃以下に加熱し、その後遠赤外線加熱手段3によって加熱し乾燥させることによって塗膜形成基体を製造する。
(相対蒸発速度)
=(酢酸n−ブチルが蒸発する時間)/(溶剤が蒸発する時間) …(1)
【選択図】 図1
Description
本発明は、塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に用いられる電子写真感光体(以後、単に感光体とも呼ぶ)は、中空円筒状の導電性基体の外周面に有機の感光層が塗布されて形成される。電子写真感光体の多くは、高性能化の要求に応じて開発が重ねられ、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層などが積層されて積層構造を有する。なお、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層との2層、または電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層の電荷発生/輸送層を含んで構成される層を感光層と呼ぶ。
電子写真感光体を用いる画像形成方法としては、以下のような感光体の光導電現象を利用した電子写真方式の画像形成方法が広く用いられている。まず感光体を暗所に置き、帯電手段によって感光体の表面を一様に帯電させた後、画像情報に対応する露光を行い、露光部の表面電荷を選択的に放電させる。これによって、感光体の非露光部のみに表面電荷が残存する状態となり、露光部の表面電荷量と非露光部の表面電荷量とに差異が生じ、静電潜像が形成される。次に、形成された静電潜像に、トナーと呼ばれる着色された荷電微粒子を静電引力などによって付着させ、可視像であるトナー像を形成する。形成されたトナー像を必要に応じて紙などの転写材上に転写し、定着させることによって画像を形成する。
以上の一連の電子写真プロセスを経て画像を形成する画像形成装置に用いられる感光体には、基本的な特性として、電気特性に優れること、たとえば、電荷保持能力に優れ、暗所での電荷の放電が少ないこと、光感度に優れ、光照射によって速やかに電荷を放電することなどが要求される。また感光体には、長期にわたって均質な画像を形成することができるように、繰返し使用がされても前述の電気特性が安定していること(繰返し安定性)、温度、湿度の変化があっても均質な画像を形成することができるように前述の電気特性が安定していること(環境安定性)なども求められる。繰返し安定性および環境安定性を高くするためには、稼動に伴う電気化学的な作用および機械的外力に対する耐久性を高めることが必要である。
稼動に伴う電気化学的な作用に対する耐久性には、たとえば、帯電時のコロナ放電によって発生するオゾン、NOx(窒素酸化物)などの活性物質の付着による表面層の劣化に対する耐久性がある。また機械的外力に対する耐久性には、紙などの転写材との摺擦によって転写時に発生する磨耗、傷などに対する耐磨耗性などがあり、これらは特に感光体の最表面層の表面状態によって決定される。たとえば、感光体の表面状態が平滑でなく、むらがある場合、転写時における摩擦力が表面層の一部で大きくなって表面損傷が発生するなどの問題が生じ、機械的外力に対する耐久性が低下する。また、たとえば感光体の表面層に空孔がある場合、帯電時に発生する活性物質が付着する表面積が増加して、電気化学的な作用に対する耐久性が低下する。したがって、感光体の表面層を平滑にすることが、繰返し安定性および環境安定性を向上させるためには不可欠である。
電子写真感光体は、有機機能性材料、バインダ樹脂などの感光層形成材料を溶媒に溶解または分散させた塗布液をスプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などによって導電性基体上に均一な厚さで塗布(以後、導電性基体上に塗布された塗布液を塗膜と呼ぶ)する塗布工程と、塗膜を乾燥させることによって塗膜に含まれる溶媒を除去する乾燥工程とを経て製造される。従来乾燥工程は、塗膜が形成された導電性基体をオーブン内に一定数装入し、溶媒の沸点以上の温度の熱風を吹き付けて乾燥させるバッチ式、塗膜が形成された導電性基体を複数のヒータが設置される熱処理炉内に通過させて乾燥させる連続式などによって行われる。
しかしながら、上記のように熱風、ヒータなどによって塗膜の乾燥を行うと、塗膜の表面において熱風、ヒータなどからの熱が直接当たる部分と間接的に当たる部分とが発生して塗膜表面に加熱むらが生じ、これによって乾燥後の塗膜の表面状態にもむらが生じる。また塗膜表面は、塗膜内部よりも先に乾燥されてしまうので、乾燥による硬化によって表面が非常に緻密な硬化膜になる。このような硬化膜の形成過程において、塗膜の粘度が塗膜表面付近で高くなり、加熱され気化された塗膜内部の溶媒のガスが塗膜表面から抜け難くなる。このことによって、塗膜表面および内部に気泡、ピンホールなどの欠陥を発生させたり、塗膜表面に、その上層に塗布する塗膜を剥離させやすくする塗膜のはじきなどの欠陥を生じさせたりすることがある。感光体の表面層にこのような欠陥があると、クラック、剥離などが生じやすくなり、電気化学的な作用および機械的外力に対する耐久性が低下するので、良好な繰返し安定性および環境安定性を得ることができない。
また、形成された塗膜の熱風、ヒータなどによる乾燥には、1時間から数時間の時間がかかり、生産効率が低下する。生産効率を向上させるために、生産ラインにおいて大型の連続乾燥炉、バッチ式オーブンなどを用いると、そのランニングコストおよびメンテナンスコストにも大きな費用がかかる。
このような問題を解決する方法として、塗膜材料そのものを直接的に加熱し、または導電性基体を加熱することによって塗膜内部を間接的に加熱し乾燥させる方法が提案されている(たとえば、特許文献1〜6参照)。特許文献1では、誘電加熱を用いて塗膜の構成材料分子を振動させて加熱し塗膜を乾燥する方法が開示されている。特許文献2〜4では、遠赤外ヒータを用いて塗膜の構成材料そのものに遠赤外線を吸収させて加熱し塗膜を乾燥する方法が開示されている。特許文献5では、金属製の導電性基体を誘導加熱法によって加熱し、導電性基体からの発熱によって塗膜を乾燥する方法が開示されている。特許文献6では、誘導加熱法と、必要に応じて用いられる誘導加熱法以外の方法とを組合わせて塗膜を乾燥させる方法が開示されている。
特許文献1〜6に開示される方法によれば、塗膜材料そのものを直接的に加熱し、または導電性基体を加熱することによって塗膜内部を間接的に加熱し乾燥させることができるので、加熱むらを少なくすることができ、乾燥後の塗膜表面のむらが低減される。またこれらの方法によれば、塗膜の内部から乾燥させることができ、塗膜表面から乾燥が進むことにより形成される硬化膜の発生を防止することができるので、塗膜内部についても充分に溶媒を除去して乾燥できるとともに、乾燥時間を短くすることができるとされる。
しかしながら、これらの乾燥方法には次のような問題がある。特許文献1に開示される誘電加熱を用いる方法では、金属製の導電性基体がアースされていないと、そのエッジ部分からスパークが発生し、気化した塗膜中の溶媒に引火し爆発する恐れがある。また、この方法によって加熱される物質は双極子のある誘電体のみであり、塗膜構成物質の固有の値である誘電正接tanδによってその加熱効率が決定されるので、塗布液の溶媒として使用する材料が限定されてしまう。
特許文献2〜4に開示される遠赤外線による加熱乾燥方法では、塗膜の構成分子そのものに遠赤外線を吸収させ加熱するので、塗膜については高い加熱効率を得られるけれども、金属製導電性基体には赤外線が吸収されず、金属製導電性基体は加熱されない。したがって、乾燥の初期段階において塗膜を加熱しても、塗膜下部から導電性基体に熱が伝導し、導電性基体に伝導した熱が外部に放出されるので、塗膜への加熱効率が低下し、乾燥に長時間を要する。特に、量産に対応した大型の連続乾燥炉を用いる場合、この放熱による加熱効率の低下が大きな問題となり、熱風による乾燥よりも乾燥に長時間を要することもある。
特許文献5に開示される誘導加熱法による乾燥方法では、金属製導電性基体を加熱し、導電性基体からの発熱によって塗膜を乾燥させるけれども、熱風、ヒータなどによる加熱方法と比べて加熱効率が非常に高く、塗膜の温度が急激に上昇してしまうことがあり、塗膜の温度の管理が難しいという問題がある。また、塗膜の温度が急激に上昇してしまうと、塗膜の温度が感光体の耐熱温度以上に上昇して感光体の電気特性が低下するという問題もある。
特許文献6に開示される誘導加熱法と必要に応じて用いられる誘導加熱法以外の方法とを組合わせる塗膜乾燥方法についても、塗膜の乾燥は誘導加熱法により行われるので、特許文献5に開示される方法と同様に温度管理が困難である。また、特にテトラヒドロフランなどの低沸点溶剤を塗膜の溶媒として含むものに誘導加熱法を用いる場合、短時間で塗膜表面が硬化してしまい、塗膜内部から加熱できるという誘導加熱法を用いることによる効果を発現できない恐れがある。
本発明の目的は、ピンホール、気泡、表面のむらなどのない平滑な塗膜を短時間で容易に形成することができる塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明は、金属製の基体上に塗膜形成材料と溶媒とを含む塗布液を塗布して形成される塗膜を有する塗膜被覆基体の製造方法において、
塗膜形成材料と溶媒とを含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
塗膜が形成される基体を誘導加熱法によって60℃以上150℃以下に加熱する誘導加熱工程と、
基体に形成される塗膜を遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させる遠赤外線加熱乾燥工程とを含み、
酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、
前記溶媒中には、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする塗膜被覆基体の製造方法である。
塗膜形成材料と溶媒とを含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
塗膜が形成される基体を誘導加熱法によって60℃以上150℃以下に加熱する誘導加熱工程と、
基体に形成される塗膜を遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させる遠赤外線加熱乾燥工程とを含み、
酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、
前記溶媒中には、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする塗膜被覆基体の製造方法である。
また本発明は、基体が円筒形状または円柱形状であり、
前記誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程は、
基体を軸線方向が水平方向に平行になるように保持し、基体を軸線周りに回転させながら行われることを特徴とする。
前記誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程は、
基体を軸線方向が水平方向に平行になるように保持し、基体を軸線周りに回転させながら行われることを特徴とする。
また本発明は、金属製の基体が導電性基体であり、
塗膜形成材料が感光層形成材料であり、
塗膜被覆基体が電子写真感光体であることを特徴とする前記塗膜被覆基体の製造方法に記載の電子写真感光体の製造方法である。
塗膜形成材料が感光層形成材料であり、
塗膜被覆基体が電子写真感光体であることを特徴とする前記塗膜被覆基体の製造方法に記載の電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、塗膜を形成する塗布液の溶媒中に、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれ、塗膜が形成される基体を誘導加熱法により60℃以上150℃以下に加熱し、その後基体に形成される塗膜を遠赤外線により加熱し乾燥させることによって塗膜被覆基体が製造される。遠赤外線加熱法で加熱する前に、誘導加熱法によって基体を加熱することにより、遠赤外線加熱乾燥工程中に塗膜から伝導した熱が基体から放出され、温度が低下するという問題を解消することができるので、塗膜の乾燥を短時間で行うことができる。また、誘導加熱法による加熱は、基体を予め定める温度まで高めるために行われ、塗膜を乾燥させるほど長時間に亘って行われるものではないので、誘導加熱工程中では加熱される塗膜の温度管理を行う必要がない。さらに、塗膜の乾燥は遠赤外線加熱により行われ、塗膜を内部から乾燥させることができるので、塗膜表面の硬化膜が形成されにくくなり、内部の溶媒についても充分に除去することができる。このことにより、ピンホール、気泡、表面のむらなどのない平滑な塗膜を有する塗膜被覆基体を短時間で容易に製造することができる。
また、塗布液中の溶媒として、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれるものを用いるので、塗布液中の溶媒の蒸発速度が緩やかになる。このことによって、塗布工程中、塗布工程から誘導加熱工程へ移るまでの間および誘導加熱工程から遠赤外線加熱乾燥工程へ移るまでの間に、塗膜表面が塗膜内部に比べて急速に乾燥されるのが防止され、塗膜表面での硬化膜の形成を防止することができる。
さらに、誘導加熱工程における基体の温度を60℃以上150℃以下とすることにより、充分に基体の温度を高めることができるとともに、温度に対する塗膜の安定性を保持することができる。
また本発明によれば、軸線が水平になるように保持される円筒形状または円柱形状の基体を軸線周りに回転させながら誘導加熱工程および赤外線加熱乾燥工程が行われるので、温度上昇によって粘度が低下し流動性が増加した塗布液が重力によって基体をつたって重力方向に垂れることを防止でき、円筒形状および円柱形状の基体の円周方向および軸方向の膜厚を均一にすることができる。さらに、円筒形状および円柱形状の基体を軸線周りに回転させることによって、遠赤外線による軸線周りの加熱を均一化し、乾燥後の塗膜表面のむらを低減することができる。
また本発明によれば、前記金属製の基体が導電性基体であり、塗膜形成材料が感光層形成材料であり、塗膜被覆基体が電子写真感光体であるので、感光層を形成する塗膜として、電気特性を損なうことなく、ピンホール、気泡、表面のむらなどのない平滑な塗膜を有する電子写真感光体を短時間で容易に形成することができる。
本発明の塗膜被覆基体の製造方法は、塗膜形成材料と溶媒とを含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、塗膜が形成される基体を誘導加熱法によって60℃以上150℃以下に加熱する誘導加熱工程と、基体に形成される塗膜を遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させる遠赤外線加熱乾燥工程とを含み、酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、前記溶媒中には相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする。
本発明の塗膜被覆基体の製造方法は、たとえば、感光層形成材料と溶媒とを含む塗布液を金属製の導電性基体上に塗布して形成される塗膜を乾燥させることによって、導電性基体上に感光層を形成する電子写真感光体(以後、単に感光体とも呼ぶ)の製造方法として用いることができる。以下、本発明の塗膜被覆基体の製造方法の実施の一形態である本発明の電子写真感光体の製造方法について説明する。
なお本発明において、導電性基体上に塗布された塗布液を塗膜と呼ぶ。また、有機機能性材料、バインダ樹脂などの感光層形成材料を溶解または分散しうる性質の液体全体を溶媒と呼び、溶媒を構成する1種または2種以上の物質を溶剤と呼ぶ。さらに、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層との2層、または電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層の電荷発生/輸送層を含んで構成される層を感光層と呼ぶ。
まず、本発明の電子写真感光体の製造方法に含まれる誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程を実施する乾燥装置の説明を行い、その後、該乾燥装置を用いる本発明の電子写真感光体の製造方法について説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の製造方法における誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程を実施するための乾燥装置1の構成を簡略化して示す側面図である。乾燥装置1は、誘導加熱によって、塗膜6が表面に形成される金属製の導電性基体5を加熱する誘導加熱手段2と、導電性基体5上に形成される塗膜6に遠赤外線を照射して加熱する遠赤外線加熱手段3と、導電性基体5上に形成される塗膜6に温風を供給するための送風ノズル4と、乾燥させるべき塗膜6が形成される円筒状の導電性基体5をその軸線周りに回転させる回転手段7とを含んで構成される。
なお、乾燥装置1には、装置全体の動作を制御する制御手段と、誘導加熱手段2により加熱される導電性基体の温度を検知し、検知した温度を制御手段に出力する基体温度検知手段と、遠赤外線加熱手段3により加熱される塗膜6の温度を検知し、検知した温度を制御手段に出力する塗膜温度検知手段と、導電性基体5を誘導加熱手段2の直上から遠赤外線加熱手段3の直下に移動させる移動手段とを備えるけれども、図示を省略する。制御手段は、中央処理装置(CPU)などによって実現され、遠赤外線加熱手段3および送風ノズル4を含む装置全体の動作を制御する。基体温度検知手段、塗膜温度検知手段による温度の検知は、たとえば、非接触の放射温度計などにより行われる。
導電性基体5は、たとえばアルミニウムなどの金属製円筒状導電性基体である。導電性基体5の表面には、後述する塗布工程において感光層形成材料が分散または溶解した溶媒が塗布され、塗膜6が形成される。導電性基体5は、軸線を水平方向に平行に保持され、不図示のモータを備える回転手段7により軸線周りに回転可能に支持される。導電性基体5は、誘導加熱工程においては誘導加熱手段2の直上に配置され、遠赤外線加熱乾燥工程においては遠赤外線加熱手段3の直下に配置されるように、移動可能に支持される。
導電性基体5の誘導加熱手段2の直上から遠赤外線加熱手段3の直下への移動は、不図示の移動手段により行われる。移動手段は、導電性基体5を軸線方向が水平方向となるように保持しつつ、軸線方向に直交する方向に導電性基体5を水平に移動させる。移動手段の動作は制御手段により制御される。制御手段は、たとえば、基体温度検知手段で温度検知される導電性基体5が、後述の誘導加熱手段2によって加熱され、その温度が予め定める温度に達すると、導電性基体5を遠赤外線加熱手段3の直下に配置されるように移動させる。
誘導加熱手段2は、平板型の誘導コイルと、不図示の出力電源とを含んで構成される。誘導加熱手段2は、不図示の出力電源から誘導コイルに電流を流し、該電流によって磁界を発生させる。このことにより、導電性基体5には誘導コイルによって発生した磁界を打ち消すように渦電流が流れる。誘導加熱手段2は、このようにして導電性基体5に電流を流し、該渦電流の抵抗発熱を利用して導電性基体5を加熱する。誘導加熱手段2による導電性基体5の加熱は、導電性基体5の材質、厚さなどによって決定される。
遠赤外線加熱手段3は、不図示の出力電源を備え、導電性基体5上に形成される塗膜6に遠赤外線を照射して塗膜6を加熱する。遠赤外線加熱手段3としては、たとえば、セラミックヒータ、シーズヒータ、ハロゲンランプヒータ、石英管ヒータなどを用いることができる。これらの中でも、寿命が長く、ヒータの形状を容易に変えることのできるセラミックヒータが特に好ましい。
また遠赤外線加熱手段3は、導電性基体5上に形成される塗膜6を均一に加熱するために、円筒形状の導電性基体5の軸線方向について、導電性基体5よりも長く設けられることが好ましい。導電性基体5の遠赤外線加熱手段3を臨む側の反対側には、不図示の反射板が設けられる。反射板は、加熱された塗膜6から放出される熱を反射し、反射熱を塗膜6の加熱に有効利用することができる。
送風ノズル4は、導電性基体5に塗布される塗膜6に対して気体を吹付けることに用いられる。送風ノズル4としては、たとえば、ブロワー、エアーシャワーなどが用いられる。送風ノズル4には、気体を濾過することによって清浄な気体を導電性基体5に供給する不図示のヘパフィルターが設けられる。ヘパフィルターは、送風ノズル4から導電性基体5に供給される気体中のほこり、ちりなどの異物を除去してこれらが塗膜6に付着するのを防止し、感光体として使用する際に発生する画像欠陥を防止する。
以下、このような乾燥装置1を用いて実施される本発明の電子写真感光体の製造方法を説明する。本発明の感光体の製造方法は、前述のように、塗布工程、誘導加熱工程、遠赤外線加熱乾燥工程を含む。
塗布工程では、感光層形成材料と溶媒とを含む塗布液を金属製の導電性基体5上に塗布して塗膜6を形成する。塗布工程は、公知の方法によって行うことができ、スプレー法、リングコート法、ロールコーティング法、ブレード法、浸漬法などを用いることができる。
金属製の導電性基体5としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料を用いることができる。また、導電性基体5の表面には、必要に応じて、感光体として使用した際に形成される画像の画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理を行ってもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、入射するレーザ光の波長が揃っているので、入射するレーザ光と電子写真感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥が発生することがある。導電性基体の表面に上記のような乱反射処理を行うことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
ここで、導電性基体5上に形成される感光層の塗膜6について、本発明の感光体の製造方法における誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程を行う場合、塗布工程で用いる塗布液の溶媒としては、酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率である該溶剤の相対蒸発速度、すなわち下記式(1)に示す相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれるものを用いる。
(相対蒸発速度)
=(酢酸n−ブチルが蒸発する時間)/(溶剤が蒸発する時間) …(1)
(相対蒸発速度)
=(酢酸n−ブチルが蒸発する時間)/(溶剤が蒸発する時間) …(1)
本発明の感光体の製造方法に含まれる誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程は、導電性基体上に形成されるすべての層について行われることが好ましいけれども、これらの工程に要するコストなどの面から、選択される1つ以上の層が行われればよい。誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程に供されない層には、本発明の方法に含まれる塗布工程の後、たとえば室温で1時間放置されてもよく、また乾燥炉へ装入されてもよい。
感光体の表面層の表面状態に厚みむらがあり平滑でない場合、電気化学的作用および機械的外力に対する耐久性が低下し、繰返し安定性および環境安定性が低下する恐れがある。また、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との2層で構成される場合、電荷輸送層は、通常電荷発生層よりも外面側に形成されるとともに、電荷発生層よりも厚く形成される。したがって、誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程は、電荷輸送層について行われることが最も好ましい。また、本発明の感光体の製造方法は、電荷発生層および/または電荷輸送層のみに限定されることなく、下引層、保護層の形成時にも用いることができる。
塗布液の溶媒に含まれる溶剤が、相対蒸発速度が1.7以上の蒸発速度が大きい溶剤のみである場合、乾燥の前工程として行われる誘導加熱工程での導電性基体への加熱によって、該導電性基体の熱が塗膜に導電して塗膜表面が乾燥硬化し、遠赤外線加熱乾燥工程を行っても塗膜内部に溶媒が残留してしまう。そこで、このように相対蒸発速度が1.7未満の蒸発速度が小さい溶剤を溶媒中に30重量%以上含有させることによって、塗膜表面を硬化させることなく、塗膜内部の溶媒を効率的に拡散気化させることが可能となる。またこのような溶媒が用いられると、塗布工程中および塗布工程から誘導加熱工程へ移るまでの間にも、塗膜表面が塗膜内部に比べて急速に乾燥することを防止でき、塗膜表面における硬化膜の形成を防止することができる。
相対蒸発速度が1.7未満の溶剤のさらに好適な含有量としては、乾燥工程に供する時間、溶剤の種類などによって適宜選択することができる。相対蒸発速度が1.7未満の溶剤の含有量が多いほど、塗膜表面の硬化膜の形成を防止することができるので良好である。しかしながら、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの極めて蒸発しにくい溶剤を使用すると、蒸発速度が小さくなりすぎる恐れがある。このような極めて蒸発速度が小さい溶剤を溶媒中に含有させる場合、短時間での乾燥を行うために、相対蒸発速度が大きい溶剤を溶媒中にある程度含有させることが好ましい。表1に代表的な溶剤の相対蒸発速度を示す。
次に、感光層の各層を形成するための感光層形成材料および塗布液について説明する。
電荷発生層は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。電荷発生物質としては、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などのアゾ系顔料、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどのトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシンなどのアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーンなどのチアジン系色素、カプリブルー、メルドラブルーなどのオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素などの種々の有機顔料、染料、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
電荷発生層は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。電荷発生物質としては、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などのアゾ系顔料、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどのトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシンなどのアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーンなどのチアジン系色素、カプリブルー、メルドラブルーなどのオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素などの種々の有機顔料、染料、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生物質を溶解または分散して得られる電荷発生層形成用塗布液、中でも結着剤であるバインダ樹脂を溶媒中に溶解または混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質を公知の方法によって分散して得られる塗布液を、導電性基体上または下引層上に塗布することによって形成される。
電荷発生層形成用塗布液に用いられるバインダ樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、およびこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる樹脂を用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。共重合体樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂としては、前述のものに限定されることなく、一般に用いられる公知の樹脂を使用することができる。
電荷発生物質およびバインダ樹脂を溶解または分散しうる溶媒に用いられる溶剤としては、たとえば、前記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤である1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロパノール、酢酸イソブチル、1,3−ジクロロプロパン、酢酸n−ブチル、n−プロパノール、キシレン、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、酢酸メチルアミル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−オクタノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソホロン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
また、上記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤に、相対蒸発速度が1.7以上の溶剤を混合して用いることもできる。このとき、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤は、溶媒中に30重量%以上含まれる。相対蒸発速度が1.7以上の溶剤としては、たとえば、酢酸sec−ブチル、メタノール、トルエン、酢酸n−プロピル、トリクロロエチレン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、ベンゼン、酢酸エチル、1,3−ジオキソラン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、アセトン、メチレンジクロライドなどが挙げられる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生層全体の重量に対して、電荷発生物質が10重量%以上99重量%以下の範囲で含まれることが好ましい。電荷発生物質が10重量%未満であると、感光体の感度が低下する恐れがある。電荷発生物質が99重量%を超えると、電荷発生層の強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少するので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生する。
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質を分散させるための前処理として、電荷発生物質を粉砕機によって予め粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、ペイントシェーカ、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが望ましい。
さらに電荷発生層には、必要に応じてホール輸送材料、電子輸送材料、酸化防止剤、分散安定剤、増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。このことによって、電位特性が向上するとともに、塗布液としての安定性を向上させることができる。また電子写真感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
乾燥後の電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。電荷発生層の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下する恐れがある。電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が電子写真感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する恐れがある。
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質を、バインダ樹脂中に含有させることによって得られる。電荷輸送層は1層に限定されることなく、2層以上の構成にしてもよい。このように多層とすることによって、電荷輸送層の必要な機能を別々の層に担わせることができ、1層で構成する場合よりも材料の幅が広がる。また同一層内での各種材料の相性を考慮する必要がほとんどなくなるので、高機能な感光体を容易に提供できる。
電荷輸送物質としては、ホール輸送物質および電子輸送物質を用いることができる。ホール輸送物質としては、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセン、ポリシランなどが挙げられる。
電子輸送物質としては、たとえば、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタール酸誘導体、ジフェノキノン誘導体などの有機化合物、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの無機材料が挙げられる。電荷輸送物質は、上記に挙げたものに限定されることなく、その使用に際しては単独または2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送層は、電荷発生層と同様に、溶媒中に電荷輸送物質を溶解または分散して得られる電荷輸送層形成用塗布液、中でも結着剤であるバインダ樹脂を溶媒中に溶解または混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷輸送物質を公知の方法によって溶解または分散して得られる塗布液を、電荷発生層上に塗布し、好ましくは本発明の誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程を経て乾燥させることによって形成される。
電荷輸送層のバインダ樹脂には、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが選ばれる。バインダ樹脂としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの樹脂を単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、また成膜性、電気特性などにも優れるので特に好ましい。
電荷輸送物質の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)は、12/10以上30/10以下(=1.2以上3.0以下)であることが好ましい。前記比率(B/A)が、30/10(=3.0)を超えてバインダ樹脂の含有比率が高くなると、電荷輸送層形成用塗布液の粘度が増大し、塗布速度低下を招き生産性が著しく低下する恐れがある。さらにこの粘度の増大を抑えるために電荷輸送層形成用塗布液中の溶剤の量を多くすると、形成された電荷輸送層に白濁が生じるブラッシング現象が発生する。また、前記比率(B/A)が、12/10(=1.2)未満となり、バインダ樹脂の比率が低くなると、バインダ樹脂の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、電荷輸送層の摩耗量が増加するので、耐久寿命が短くなる。ただし電荷輸送層が多層で構成される場合、この比率は各層の担う機能に応じて任意に変えることができる。
電荷輸送層には、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤、表面改質剤などの添加剤を添加しても良い。可塑剤としては、たとえばビフェニル、塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、各種フルオロ炭化水素、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤などが挙げられる。表面改質剤としては、シリコーンオイル、フッ素樹脂などが挙げられる。
また電荷輸送層には、機械的強度の増強および電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。さらに必要に応じて酸化防止剤および光安定剤のなどの各種添加剤を添加してもよい。このことによって、帯電時に発生するオゾンおよびNOxなどの活性物質の付着による電荷輸送層の劣化が軽減され、電子写真感光体を繰返し使用する際の耐久性を向上することができる。また、電荷輸送層形成用塗布液としての安定性が高まり、液寿命が延びるとともに、該塗布液で製造した電子写真感光体も、不純物が軽減されるので耐久性が向上する。
酸化防止剤および光安定剤としては、ヒンダードフェノール誘導体またはヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。ヒンダードフェノール誘導体は、電荷輸送物質の重量に対して0.001以上0.10以下の範囲の重量比で使用されることが好ましい。ヒンダードアミン誘導体は、電荷輸送物質の重量に対して0.001以上0.10以下の範囲の重量比で使用されることが好ましい。またヒンダードフェノール誘導体とヒンダードアミン誘導体とを混合して使用してもよい。この場合、ヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量が、電荷輸送物質の重量に対して0.001以上0.10以下の範囲の重量比であることが好ましい。
ヒンダードフェノール誘導体の使用量もしくはヒンダードアミン誘導体の使用量またはヒンダードフェノール誘導体およびヒンダードアミン誘導体の合計使用量が、電荷輸送物質の重量に対して重量比で0.001未満であると、電荷輸送層形成用塗布液の安定性の向上および電子写真感光体の耐久性の向上に充分な効果を発現することができない。また重量比で0.10を超えると、感光体の電気特性に悪影響を及ぼす。
電荷輸送物質およびバインダ樹脂を溶解または分散しうる溶媒に用いられる溶剤としては、たとえば、前記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤である1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル、1,3−ジクロロプロパン、酢酸n−ブチル、キシレン、酢酸メチルアミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−オクタノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソホロン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
また、上記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤に、相対蒸発速度が1.7以上の溶剤を混合して用いることもできる。このとき、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤は、溶媒中に30重量%以上含まれる。相対蒸発速度が1.7以上の溶剤としては、たとえば、酢酸sec−ブチル、トルエン、酢酸n−プロピル、トリクロロエチレン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、ベンゼン、酢酸エチル、1,3−ジオキソラン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、アセトン、メチレンジクロライドなどが挙げられる。
乾燥後の電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層の膜厚が5μm未満であると、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下する恐れがある。電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、電子写真感光体の解像度が低下する恐れがある。
積層型感光体の場合、導電性基体上に形成された電荷発生層の上に電荷輸送層を積層してもよく、反対に導電性基体上に形成された電荷輸送層の上に電荷発生層を積層してもよい。また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層は、前述の電荷輸送層を形成する場合と同様の方法で形成される。たとえば、電荷発生物質と、電荷輸送物質であるホール輸送物質または電子輸送物質と、バインダ樹脂とを、前述の適当な溶剤からなる溶媒に溶解または分散させて感光層形成用塗布液を調製し、この感光層形成用塗布液を、前述した種々の塗布法によって塗布することによって形成される。単層型感光体の感光層の膜厚は、乾燥後の膜厚が5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。感光層の膜厚が5μm未満であると、電子写真感光体表面の帯電保持能が低下する。感光層の膜厚が100μmを超えると、生産性が低下する。
また電子写真感光体には、前述のように導電性基体と電荷発生層および電荷輸送層との間に、下引層が設けられてもよい。下引層が設けられることによって、導電性基体から感光層への電荷の注入を防止することができるので、感光体の帯電保持能の低下を防ぐことができる。また下引層が形成された感光体を画像形成に用いると、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑制されるので、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止できる。さらに導電性基体表面の欠陥を下引層が被覆することによって、導電性基体表面を平滑にすることができるので、電荷発生層および電荷輸送層の成膜性を高めることができる。また電荷発生層および電荷輸送層の導電性基体からの剥離を抑え、導電性基体に対する接着性を向上させることができる。
下引層としては、各種樹脂材料からなる樹脂層、アルマイト層などが挙げられる。樹脂層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどを挙げることができる。
また下引層は、金属酸化物などの粒子を含有してもよい。これらの粒子を含有させることによって、下引層の体積抵抗値を調節し、導電性基体から感光層に対する電荷の注入をさらに抑制することができるとともに、温度、湿度などの変化があっても電子写真感光体の電気特性を維持することができる。金属酸化物粒子としては、たとえば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどの粒子を挙げることができる。下引層に金属酸化物などの粒子を含有させる場合、たとえば、前述の樹脂が溶解した樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて下引層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体上に塗布することによって下引層を形成する。
樹脂用液の溶媒に用いられる溶剤としては、前述した電荷発生層または電荷輸送層用の塗布液に用いられる有機溶剤の他に、たとえば、前記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤である1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロパノール、酢酸イソブチル、1,3−ジクロロプロパン、酢酸n−ブチル、n−プロパノール、キシレン、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、酢酸メチルアミル、水、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−オクタノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソホロン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
また、上記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤に、相対蒸発速度が1.7以上の溶剤を混合して用いることもできる。このとき、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤は、溶媒中に30重量%以上含まれる。相対蒸発速度が1.7以上の溶剤としては、たとえば、酢酸sec−ブチル、メタノール、トルエン、酢酸n−プロピル、トリクロロエチレン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、ベンゼン、酢酸エチル、1,3−ジオキソラン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、アセトン、メチレンジクロライドなどが挙げられる。
金属酸化物粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを用いる一般的な方法を使用することができる。
下引層形成用塗布液中における樹脂と金属酸化物との合計含有量の重量をCとし、下引層形成用塗布液中における溶剤の含有量の重量をDとするとき、溶剤の含有量Dに対する樹脂と金属酸化物との合計含有量Cの比率(C/D)は、1/99以上40/60以下(=0.01以上0.67以下)であることが好ましく、より好ましくは2/98以上30/70以下(=0.02以上0.43以下)である。
また下引層形成用塗布液中における金属酸化物含有量(重量F)に対する樹脂含有量(重量E)の比率(E/F)は、1/99以上90/10以下(=0.01以上9.0以下)であることが好ましく、より好ましくは5/95以上70/30以下(=0.05以上2.33以下)である。
乾燥後の下引層の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることがより好ましい。下引層の膜厚が0.01μm未満であると、実質的に下引層として機能しなくなり、導電性基体の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができない。また導電性基体から感光層に対する電荷の注入を防止することができなくなるので、感光層の帯電性の低下が生じる。下引層の膜厚が20μmを超えると、下引層を均一に形成することが難しく、また電子写真感光体の感度も低下するので好ましくない。
電荷発生層および電荷輸送層の外周には、保護層が設けられてもよい。保護層を設けることによって、電子写真感光体の耐磨耗寿命を向上させることができるとともに、電子写真感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、NOxなどの感光層に対する電気化学的作用への耐久性を向上させることができる。
保護層としては、たとえば硬化型樹脂、無機フィラー含有樹脂、無機酸化物などからなる層が用いられる。保護層に使用される樹脂としては、たとえば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。
保護層に添加されるフィラーとしては、たとえば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、硫酸バリウム、インジウム−スズ酸化物(ITO)、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、カーボンブラック、フッ素系樹脂微粉末、ポリシロキサン系樹脂微粉末、高分子電荷輸送材料微粉末などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのフィラーは、分散性向上、表面性改質などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。このような表面処理のうち撥水性処理したフィラーとしては、シランカップリング剤で処理したもの、フッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸で処理したもの、高分子材料などと共重合処理させたものなどが挙げられる。また無機物で処理されたものとしては、たとえば、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカなどで処理したものなどが挙げられる。
また保護層中には、ホールまたは電子を効率よく輸送することを目的に、前述した電荷輸送物質であるホール輸送物質または電子輸送物質を添加してもよい。また、帯電性の向上などを目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールとが同一分子中に存在する化合物などを添加することもできる。さらに、可塑剤および/またはレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、たとえば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの、一般に樹脂の可塑剤として使用されているものを用いることができる。可塑剤の使用量としては、前記樹脂に対して0.1重量%以上30重量%以下が適当である。レベリング剤としては、たとえば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、オリゴマーなどが使用できる。レベリング剤の使用量としては、前記樹脂に対して、0.001重量%以上1重量%以下が適当である。
また、保護層を少なくとも硬化型樹脂を含む層で構成するためには、材料の分野で公知である種々の架橋反応、たとえば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合などを用いることができる。また、表面エネルギの低い硬化した保護層を実現させるために、公知の方法でシリコーン構造、パーフルオロアルキル構造、長鎖アルキル構造などを有する材料を架橋反応させてもよい。
前述のように保護層に電荷輸送機能を併せて持たせるために、電荷輸送機能を有する物質または高分子型電荷輸送物質を架橋反応させてもよい。このような保護層として、たとえば、架橋性オルガノポリシロキサン樹脂と、それに結合可能でかつ電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物とを混ぜて硬化させたポリシロキサン樹脂からなる層が用いられることによって、優れた耐久性と電気特性とを有する保護層を実現することができる。
保護層は、適当な溶剤からなる溶媒中に前記樹脂ならびに必要に応じて前述のフィラーなどの添加剤を溶解または分散させて保護層形成用塗布液を調製し、この塗布液を電荷輸送層などの上に塗布し、乾燥させることによって形成される。
保護層形成用塗布液の溶媒に用いられる溶剤としては、たとえば、前記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤である1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロパノール、酢酸イソブチル、1,3−ジクロロプロパン、酢酸n−ブチル、n−プロパノール、キシレン、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、酢酸メチルアミル、水、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−オクタノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソホロン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
また、上記相対蒸発速度が1.7未満の溶剤に、相対蒸発速度が1.7以上の溶剤を混合して用いることもできる。このとき、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤は、溶媒中に30重量%以上含まれる。相対蒸発速度が1.7以上の溶剤としては、たとえば、酢酸sec−ブチル、メタノール、トルエン、酢酸n−プロピル、トリクロロエチレン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、ベンゼン、酢酸エチル、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、アセトン、メチレンジクロライドなどが挙げられる。これらの中でも水、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどのアルコール類およびエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグライム系溶剤のいずれか1種以上を含むものが好ましい。
なお保護層形成物質と保護層の下に設けられる下層の形成物質とが同じ溶剤に可溶である場合、導電性基体から遠い方の層として形成される保護層は、ロールコーティング法によって下層の上に塗布されることが好ましい。
乾燥後の保護層の膜厚は、0.5μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上3μm以下であることがより好ましい。保護層の膜厚が0.5μmより薄いと、ブレードまたは帯電ローラとの接触などによる外力を受けたとき、保護層がその下層との界面から剥離しやすくなる。これは、保護層の膜厚が薄い場合、外力をうけた時に保護層自体では抗し切れずに下層との界面に常時力が負荷され、それが長期にわたると負荷されている力によって界面にずれが生じやすくなるためであると考えられる。また保護層の膜厚が薄いと、摩耗により保護層すべてが電子写真感光体の寿命前に消失する可能性がある。保護層の膜厚が5μmよりも厚いと、キャリアが保護層内を移動する過程において拡散するので、文字太りなどが生じやすくなり、感光体の感度低下および繰返しによる残留電位上昇が起こる恐れがある。
なお、前述のように電荷輸送層に必要に応じて用いられる酸化防止剤および/または光安定剤は、電荷発生層および電荷輸送層と保護層とのいずれに含有されてもよく、また3層すべてに含有されてもよい。
以上のような感光層用塗布液を導電性気体5に塗布し、導電性基体5に塗膜6が形成される塗布工程を行うと、その後直ちに乾燥装置1内に装入され、誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程に供される。
次に、本発明の特徴である誘導加熱工程と遠赤外線加熱乾燥工程とについて説明する。誘導加熱工程では、誘導加熱手段2によって、誘導加熱手段2の直上に配置される導電性基体5を60℃以上150℃以下に加熱する。導電性基体5の加熱される温度が60℃未満であると、導電性基体5の温度が低く、後述の遠赤外線加熱乾燥工程の初期段階において塗膜6を加熱しても、塗膜6から導電性基体5に熱が伝導し、該伝導された熱が導電性基体5から外部に放出され、加熱効率が低下してしまう。一方150℃を超えると、感光層形成材料の耐熱温度以上に塗膜6が加熱される恐れがあり、特に電荷発生物質の性質が劣化し、感光体としての電気特性が低下する。
なお、誘導加熱手段2で加熱を行う導電性基体5は、60℃以上150℃以下に加熱されるけれども、塗膜6を形成する塗布液を構成する溶剤の中で最低の沸点を有する溶剤の沸点よりも低い温度に加熱されることが好ましい。塗膜6を形成する溶剤の沸点よりも高い温度で加熱されると、誘導加熱工程中に塗膜6が乾燥し始めて硬化し、塗膜6表面に硬化膜を形成する恐れがある。
たとえば、導電性基体5として厚さが1mm程度のアルミニウム製の円筒状導電性基体を用い、導電性基体5を均一に加熱する場合、50Hz(商用周波数)〜250kHzの低〜高周波の発振周波数で誘導加熱を行うことが加熱効率の点から好ましく、50Hz(商用周波数)〜1kHzの低周波で誘導加熱を行うことが導電性基体全体を均一に加熱する点から最も好ましい。
また、誘導加熱手段2で加熱を行う時間は、0.5〜60秒程度であることが好ましい。加熱時間が0.5秒未満であると、導電性基体5を所望の温度にすることが困難である。加熱時間が60秒を超えても、特に問題はないけれども、生産効率が低下するので、好ましくは加熱時間を60秒以下とする。
なお、誘導加熱工程において、導電性基体5は回転手段7により、軸線周りに回転される。誘導加熱工程において導電性基体5が加熱されると、該導電性基体5の温度上昇に伴って塗膜6の温度が上昇し、塗膜6の粘度が低下し流動性が増す。塗膜6の流動性が増加すると、導電性基体5をつたって重力方向に塗膜6が垂れてしまい、導電性基体5の円周方向の膜厚が不均一となってしまう。導電性基体5が軸線方向が水平方向と平行となるように保持され、かつ軸線周りに回転されることによって、塗膜6に対する重力の影響を均一化でき、円周方向の膜厚を均一にして乾燥を行うことができる。
ここで、回転手段7による導電性基体5の回転数は、1rpm以上500rpm以下であることが好ましく、5rpm以上200rpm以下であることがさらに好ましい。導電性基体5の回転数が1rpm未満であると、導電性基体5表面に形成される塗膜6が重力方向に垂れてそのまま乾燥され、乾燥後の塗膜6の厚みにむらが生じる。導電性基体5の回転数が500rpmを超えると、遠心力によって塗膜6が飛散してしまう。
誘導加熱工程によって加熱される導電性基体5の温度が予め定める温度になると、制御手段が温度検知出力に応じて移動手段を動作制御し、導電性基体5が遠赤外線加熱手段4の直下に移動され、遠赤外線加熱乾燥工程に供される。
遠赤外線加熱乾燥工程では、遠赤外線加熱手段3によって導電性基体5表面に形成される塗膜6を加熱し、乾燥させる。遠赤外線加熱乾燥工程では、塗膜6を乾燥させるのに好適な温度(感光体の耐熱温度未満かつ溶媒の沸点以下の温度であって、できるだけ高い温度)まで塗膜6の温度を上昇させた後、その温度を保持して溶媒を気化させる。
塗膜6に照射する遠赤外線としては、4〜1000μmの波長のものを使用することができる。また遠赤外線は、塗膜6中の溶媒が有機化合物である場合、溶媒への吸収率が高い4〜25μmの波長の領域で最大エネルギを有することが好ましい。
乾燥の初期段階において、遠赤外線加熱手段3による加熱出力は、塗膜6の熱容量によって塗膜6の温度上昇に費やされる。したがって、乾燥の初期段階において、遠赤外線加熱手段3からの加熱出力を大きくすることによって塗膜6の温度を短時間で上昇させることができる。
ここで、この初期段階の加熱出力をそのまま維持し続けると、塗膜6の温度が常に上昇することとなり、乾燥を行う途中段階において、塗膜6の温度が感光体の耐熱温度以上または塗膜6中の溶媒の沸点を超えて上昇する恐れがある。感光体の耐熱温度以上に塗膜6が加熱されてしまうと、耐熱温度の低い電荷発生物質の効果が発揮されないなどの問題が生じて感光体の電気特性が低下する。また、塗膜6中の溶媒の沸点を超えて塗膜6の温度が上昇すると、溶媒が気泡を多量に発生して、塗膜6表面に気泡、厚みむらなどを生じる。したがって、制御手段が温度検知出力に応じて遠赤外線加熱手段3を動作制御し、塗膜6の温度が予め定める温度に達すると、それ以上の温度とならないように遠赤外線加熱手段3からの加熱出力を初期段階よりも小さくするように制御する。
また、遠赤外線加熱乾燥工程が送風ノズル4から導電性基体5上の塗膜6に気体を吹付けながら行われると、塗膜6からの溶媒蒸気を効率的に外部に放出できるので、効率よく乾燥を行うことができ、表面に厚みむらが発生するのを防止できるので好ましい。
送風ノズル4から噴出される気体の温度としては、50℃以上130℃以下であることが好ましい。気体の温度が50℃未満であると、塗膜6を逆に冷却するように作用するので、短時間での乾燥が困難となる。このような低温の気体を吹付けている中で塗膜6の乾燥を短時間で行うために遠赤外線加熱手段3からの加熱出力を大きくすると、誘導加熱工程において導電性基体5が加熱されているので、塗膜6表面においては適温となっていても、塗膜6内部の温度が上昇し過ぎてしまうことがある。内部の温度が上昇し過ぎて塗膜6中の溶媒の沸点を超えて加熱が行われると、気泡が多量に発生し、塗膜6の厚みにむらが発生する。また、感光層形成材料の耐熱温度以上の温度で加熱が行われると、特に電荷発生物質の性質が劣化し、感光体としての電気特性が低下する。
一方、気体の温度が130℃を超えると、熱風により乾燥が行われる状態となり、塗膜6内部の溶媒が蒸発する前に塗膜6表面が乾燥し硬化するので、塗膜6内部に溶媒が残存する恐れがある。またこの気体中で塗膜6を遠赤外線加熱手段3によって加熱すると、塗膜6の温度が高くなりすぎて、塗膜6内部の温度が上昇し過ぎる場合と同様の問題が発生する。
送風ノズル4から供給される気体の流速は、1m/min以上100m/min以下であることが好ましく、5m/min以上50m/min以下であることがさらに好ましい。流速が1m/min未満であると、導電性基体5に供給される気体が少なく、温度制御および気化した塗膜6中の溶媒の排出が困難となる。流速が100m/minを超えると、気体の力によって未乾燥の塗膜6の形状が変化し、乾燥後の塗膜6、すなわち感光層にもむらが生じる恐れがある。
また送風ノズル4から供給される気体の流量は、温度制御および気化した塗膜6中の溶媒を排出するために0.1m3/min以上10m3/min以下であることが好ましい。流量が0.1m3/min未満であると、導電性基体5に供給される気体が少なく、温度制御および気化した塗膜6中の溶媒の排出が困難となる恐れがある。流量が10m3/minを超えると、気体による冷却効果によって塗膜6の温度が上がりにくくなる恐れがある。
このような送風ノズル4を備える乾燥装置1を用いると、気体の温度が50℃以上130℃以下と常温よりも高温の気体中で遠赤外線加熱乾燥工程を行うことができるので、塗膜6の昇温を加速させることができ、乾燥を短時間で行うことができる。
このような送風ノズル4についても、乾燥の初期段階と途中段階とでその気体の温度および流量が調整されることが好ましい。たとえば、乾燥の初期段階では、送風ノズル4から塗膜6へ供給する気体の温度を高くするとともに、その流量を大きくする。このことによって、塗膜6を乾燥させる雰囲気の温度を高め、塗膜6の温度上昇に要する時間を短縮する。乾燥を行う途中段階では、送風ノズル4から塗膜6へ供給する気体の温度を低くすることによって雰囲気の温度を低くし、またその気体の温度の程度によって気体の流量を適宜調整して塗膜6の必要以上の温度上昇を防ぐ。
なお、乾燥の途中段階での気体の流量は、気体の温度と塗膜6の温度とを考慮しつつ調整される必要がある。制御手段は、温度検知出力に応じて送風ノズル4を動作制御する。たとえば、塗膜6の温度が気体の温度よりも高くなると、気体の流量を大きくすることによって、塗膜6の温度上昇が促進され、流量を小さくすることによって、温度上昇を緩やかにすることができる。塗膜6の温度が気体の温度より低くなると、気体の流量を大きくすることによって、塗膜6の温度を低下させることができ、流量を小さくすることによって、温度低下を緩やかにすることができる。
なお、乾燥の途中段階においては、塗膜6中の溶媒の乾燥が進み、塗膜6中に残存する溶媒の量が減少することによって、溶媒を気化させるのに要する気化熱も減少するので、このことも考慮して、遠赤外線加熱手段3の加熱出力をさらに小さくし、送風ノズル4からの塗膜6へ供給する気体の温度をさらに低くすることが好ましい。
また、導電性基体5は、誘導加熱工程中と同様に、遠赤外線加熱乾燥工程中においても軸線周りに回転する。このことによって、塗膜6の垂れによる乾燥後の塗膜6の厚みむらを防止できるとともに、遠赤外線が照射されない部分が加熱されないことに起因する導電性基体5の加熱むらを防止し、導電性基体5全体を均一に加熱することができる。
本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、遠赤外線加熱乾燥工程の前工程として誘導加熱工程を行い、導電性基体5が予め加熱されるので、遠赤外線加熱手段4により乾燥を行う初期段階において、塗膜6下部から伝導された熱が導電性基体5から外部に放出されるのを防止することができる。このことにより、導電性基体5からの放熱による塗膜6の温度低下を防止することができるので、短時間で塗膜6の乾燥を行うことができる。
また、遠赤外線加熱手段3は塗膜6内部の溶媒を加熱し、塗膜6を内部から乾燥させることができるので、塗膜6表面に硬化膜が形成されるのを防止できる。このことによって、感光体の感光層としての塗膜6に、ピンホール、気泡、表面の厚みむらなどが発生することが防止され、平滑な感光層を形成することができる。また、乾燥後の塗膜6内部に残留する溶媒の量を低減できるので、電子写真感光体の電気特性低下を防止することができる。
なお、本発明の感光体の製造方法を実現する乾燥装置1は、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。
乾燥装置1の誘導加熱手段2は、本実施形態においては平板型の誘導コイルであるけれども、導電性基体5への加熱を均一に行うために、中空円筒形状の導電性基体5の内部に出入自在に配置される構成、円筒形状の導電性基体5の周囲を覆うように備えられる構成などであってもよい。
導電性基体5の遠赤外線加熱手段3を臨む側の反対側に設けられる反射板は、加熱効率を高めるためのものであるので、必ずしも設けられる必要はない。
本発明の方法で製造される感光体は、導電性基体の形状が円筒状のものに限定されることなく、円柱状、シート状などであってもよい。導電性基体がシート状の場合、たとえば水平面内で可動なステージ上に載置して、誘導加熱によって導電性基体を加熱した後、ステージを移動させ、遠赤外線によって塗膜を加熱し、乾燥させることができる。
図2は、本発明の感光体の製造方法における誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程を実施するための乾燥装置11の構成を概略的に示す側面図である。本発明の電子写真感光体の製造方法は、図2に示すような乾燥装置11を用いて、連続的な製造工程として実行されてもよい。このような乾燥装置11は、感光体の量産に適用する場合に最適である。なお、図2において示す3次元X−Y−Z軸について以下のように定義する。水平面を構成する方向をX−Y方向とし、さらに導電性基体12の軸線方向をY方向、Y方向に直交する導電性基体12の移動方向をX方向とする。X−Y方向に垂直な鉛直方向をZ方向とする。
乾燥装置11は、X軸方向に延び、Z方向に離隔して設けられる一対のベース基板14a,14bと、ベース基板14a,14bにそれぞれ設けられる1対の平板状の誘導加熱手段15a,15bと、ベース基板14a,14bにそれぞれ設けられる複数対の遠赤外線加熱手段16a,16bと、複数の遠赤外線加熱手段16aの間に設けられる送風ノズル17aと、複数の遠赤外線加熱手段16bの間に設けられる送風ノズル17bと、導電性基体12を軸線方向に回転させながら一対のベース基板14a,14b間をX軸方向に一定速度で搬送する不図示の回転移動手段と、装置全体の動作を制御する制御手段とを備える。
誘導加熱手段15a,15b、遠赤外線加熱手段16a,16bおよび送風ノズル17a,17bは、それぞれがZ軸方向について対向して設けられる。以後、特定の誘導加熱手段、遠赤外線加熱手段または送風ノズルを指定して説明する場合を除いて、アルファベットを省略して誘導加熱手段15、遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17と称する。なお、誘導加熱手段15、遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17は、それぞれ前述の乾燥装置1に備えられる誘導加熱手段2、遠赤外線加熱手段3および送風ノズル4と同様の構成であるので、説明を省略する。
回転移動手段は、軸線方向が水平方向に平行になるように円筒形状の導電性基体12を保持し、導電性基体12を軸線周りに回転させながら一対のベース基板14a,14b間をX軸方向に一定速度で搬送する。
このような乾燥装置11では、塗膜13が形成される導電性基体12が、軸線周りに回転しながら一定の速度で一対のベース基板14a,14bに設けられる誘導加熱手段15の間を通過し、その後、遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17の間を通過する。このことにより、誘導加熱手段15の間を通過中に導電性基体12を好適な温度に上昇させる誘導加熱工程が行われ、導電性基体12が好適な温度まで上昇すると同時に、それぞれ対向して設けられる遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17の間に導電性基体12が移動される。また、遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17の間を通過中に、導電性基体12に形成される塗膜13を乾燥させる遠赤外線加熱乾燥工程が行われる。このような乾燥装置11を用いると、複数の導電性基体12に形成される塗膜13を、連続的に短時間で乾燥させることができるので、生産効率が向上する。
なお、誘導加熱手段15は、一定速度で移動する導電性基体12が誘導加熱手段15の間を通過中に、該導電性基体12が好適な温度に上昇するように、加熱出力が制御されることが好ましい。
また、複数の遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17は、交互に設けられることが塗膜13の温度制御を容易にする点から好ましい。さらに、誘導加熱手段15付近から出口までを、複数の遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17からなるいくつかのユニットに分割し、そのユニットごとに遠赤外線加熱手段16の加熱出力および送風ノズル17から噴出する気体の条件を最適な条件に制御することが好ましい。
たとえば、誘導加熱手段15に最も近い遠赤外線加熱手段16の位置から塗膜13の温度が好適な温度になる位置までのユニットにおいては、遠赤外線加熱手段16からの加熱出力を大きくするとともに、送風ノズル17から供給する気体の温度を高くして塗膜13の温度の上昇を加速させ、短時間での塗膜13の乾燥を図る。一方、塗膜13の温度が好適な温度となる位置から出口付近のユニットにおいては、遠赤外線加熱手段16からの加熱出力を小さく、送風ノズル17から供給する気体の温度を低くして、塗膜13の温度が上昇し過ぎないようにする。このことによって、短時間で乾燥を終了させることができるとともに、複数備えられる遠赤外線加熱手段16および送風ノズル17の出力を、塗膜13の温度が上昇し過ぎないように個別に制御する必要が生じない。
以下本発明の製造方法によって製造できる感光体の導電性基体、感光層の各層を形成するための感光層形成材料および塗布液について説明する。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
電荷輸送物質である下記構造式(2)で示される電荷輸送物質10重量部と、下記構造式(3)で示されるトリフェニルアミンダイマー(Triphenylamine dimer;略称:TPD:内標準物質)0.1重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)18重量部とを、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン112重量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、シートカップル熱電対(C060−T;株式会社チノー製)が装着された板厚0.5mmのアルミニウム基板の前記熱電対装着側の面上に、ワイヤーバーを用いて20μmの厚さで塗布し塗膜サンプルを得た。
(実施例1)
電荷輸送物質である下記構造式(2)で示される電荷輸送物質10重量部と、下記構造式(3)で示されるトリフェニルアミンダイマー(Triphenylamine dimer;略称:TPD:内標準物質)0.1重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)18重量部とを、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン112重量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、シートカップル熱電対(C060−T;株式会社チノー製)が装着された板厚0.5mmのアルミニウム基板の前記熱電対装着側の面上に、ワイヤーバーを用いて20μmの厚さで塗布し塗膜サンプルを得た。
得られた塗膜サンプルを直ちに誘導加熱装置(協同電磁気工業株式会社製)のコイルの直上に配置して、発振周波数60Hz、出力300Wで5.0秒間加熱し、基板温度を135℃まで上昇させた。その後直ちにヒータ温度240℃のセラミックヒータ(SEG−EX型、株式会社二葉科学製)の直下10cmに設置して波長4.5μmに最大エネルギを有する遠赤外線を放射するとともに、温度80℃、流速10m/min、流量0.5m3/minの気体を均一に塗膜サンプルに供給し、塗膜サンプルを遠赤外線加熱によって10分間乾燥させて塗膜被覆基体を作製した。
(実施例2)
誘導加熱装置の出力を150Wとし、3.0秒加熱して基板温度を61℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の塗膜被覆基体を作製した。
誘導加熱装置の出力を150Wとし、3.0秒加熱して基板温度を61℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の塗膜被覆基体を作製した。
(実施例3)
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒として、相対蒸発速度が1.7以上であるトルエン72重量部と、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン40重量部(溶媒中のシクロヘキサノン含有率36重量%)との混合物を用い、誘導加熱装置の出力を300Wとし、4.0秒加熱して基板温度を109℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の塗膜被覆基体を作製した。
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒として、相対蒸発速度が1.7以上であるトルエン72重量部と、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン40重量部(溶媒中のシクロヘキサノン含有率36重量%)との混合物を用い、誘導加熱装置の出力を300Wとし、4.0秒加熱して基板温度を109℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の塗膜被覆基体を作製した。
(比較例1)
誘導加熱装置によって基板を加熱する誘導加熱工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の塗膜被覆基体を作製した。
誘導加熱装置によって基板を加熱する誘導加熱工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の塗膜被覆基体を作製した。
(比較例2)
誘導加熱装置の出力を150Wとし、2.0秒加熱して基板温度を49℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の塗膜被覆基体を作製した。
誘導加熱装置の出力を150Wとし、2.0秒加熱して基板温度を49℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の塗膜被覆基体を作製した。
(比較例3)
塗膜の乾燥を130℃の熱風乾燥炉で行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の塗膜被覆基体を作製した。
塗膜の乾燥を130℃の熱風乾燥炉で行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の塗膜被覆基体を作製した。
(比較例4)
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒として、相対蒸発速度が1.7以上であるトルエン84重量部と、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン28重量部(溶媒中のシクロヘキサノン含有率25重量%)との混合物を用い、誘導加熱装置の出力を300Wとし、4.0秒加熱して基板温度を109℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の塗膜被覆基体を作製した。
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒として、相対蒸発速度が1.7以上であるトルエン84重量部と、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン28重量部(溶媒中のシクロヘキサノン含有率25重量%)との混合物を用い、誘導加熱装置の出力を300Wとし、4.0秒加熱して基板温度を109℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の塗膜被覆基体を作製した。
(比較例5)
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒として、相対蒸発速度が1.7以上であるテトラヒドロフラン112重量部を用い、誘導加熱装置の出力を150Wとし、4.0秒加熱して基板温度を68℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の塗膜被覆基体を作製した。
電荷輸送層形成用塗布液の溶媒として、相対蒸発速度が1.7以上であるテトラヒドロフラン112重量部を用い、誘導加熱装置の出力を150Wとし、4.0秒加熱して基板温度を68℃まで上昇させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の塗膜被覆基体を作製した。
〔評価1〕
図3は、実施例1,2および比較例1〜3の誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程における塗膜温度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。なお図3に示す塗膜温度の経時変化は、実施例1,2および比較例2,3については、塗布工程が終了し、誘導加熱を開始したときを開始点として、比較例1については、基体をセラミックヒータの直下に配置し、遠赤外線加熱を開始したときを開始点として、0〜5分間(0〜300秒間)の温度変化をシートカップル熱電対により測定したものである。
図3は、実施例1,2および比較例1〜3の誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程における塗膜温度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。なお図3に示す塗膜温度の経時変化は、実施例1,2および比較例2,3については、塗布工程が終了し、誘導加熱を開始したときを開始点として、比較例1については、基体をセラミックヒータの直下に配置し、遠赤外線加熱を開始したときを開始点として、0〜5分間(0〜300秒間)の温度変化をシートカップル熱電対により測定したものである。
また、実施例1〜3および比較例1〜4の塗膜サンプルの一部を切り出して塗膜構成物質をアセトンで抽出し、その抽出液を高速液体クロマトグラフィー装置(Agilent1100シリーズ、横河アナリティカルシステムズ株式会社製)により、TPDを内標準物質として、残存溶媒量を定量した。
実施例および比較例の誘導加熱工程後の基板温度、乾燥方法、遠赤外線加熱乾燥工程後に得られた塗膜の状態および塗膜中に残存する溶媒量の測定結果を表2に示す。なお、残存溶媒量とは、塗膜中の固形分(電荷輸送物質およびバインダ樹脂)の重量に対する残存溶媒の重量の比率である。
図3に示される塗膜温度の経時変化によれば、実施例1および2のように、遠赤外線によって塗膜の乾燥を行う前に誘導加熱により基体を予め加熱しておくと、基体を誘導加熱により加熱しなかった比較例1の塗膜被覆基体に形成される塗膜よりも短時間で塗膜の温度を昇温させることができ、塗膜を短時間で乾燥させることができた。また、実施例1および2の塗膜被覆基体では、10分間乾燥後の残存溶媒量が少なく、塗膜の表面も平滑であり、良好な状態であった。
しかしながら、比較例2に示すように、誘導加熱により基体を予め加熱した後、遠赤外線加熱により塗膜を乾燥させた場合であっても、基体の温度が60℃未満であると、塗膜温度の経時変化は基体を誘導加熱により加熱しなかった比較例1の塗膜温度の経時変化と変わらないものであった。また、10分間乾燥後の残存溶媒量を少なくすることができなかった。
誘導加熱により基体を予め加熱した後、熱風乾燥により塗膜を乾燥させた比較例3の塗膜被覆基体は、塗膜表面に硬化膜が形成され、塗膜表面は平滑で良好な状態であったけれども、該硬化膜の存在により塗膜内部に存在する溶媒が蒸発しきれず、残存溶媒量が多くなった。
また、相対蒸発速度の小さいシクロヘキサノンを溶媒中に30重量%以上含有させた実施例3の塗膜被覆基体では、10分程度で塗膜をほぼ乾燥させることができた。一方、相対蒸発速度が1.7未満のシクロヘキサノンを30重量%未満しか含有しない比較例4の塗膜被覆基体は、塗膜内部の乾燥が終了する前に、塗膜表面が乾燥硬化して硬化膜を形成し、塗膜内部の溶媒が気化しにくくなったので、残存溶媒量が多く検出された。また短時間で塗膜の温度を上昇させたことによって、多量の気泡、クラックなどの発生も確認された。
相対蒸発速度が1.7以上と大きいトルエンのみを溶媒として用いた比較例5の塗膜被覆基体では、誘導加熱装置に装入する前の時点で既に塗膜が乾燥し始め、塗膜表面を指触してもほとんど跡がつかず流動性のない状態であった。また10分間乾燥後の塗膜には、表面に多量の気泡、クラックが存在した。
(実施例4)
外径40mm、肉厚1mm、長さ340mmのアルミニウム製の円筒状導電性基体を準備し、以下のようにして各層を塗布形成した。
外径40mm、肉厚1mm、長さ340mmのアルミニウム製の円筒状導電性基体を準備し、以下のようにして各層を塗布形成した。
a:下引層
酸化チタン(TTO55A、石原産業株式会社製)21重量部と共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ株式会社製)39重量部とを、メタノール329重量部と1,3−ジオキソラン611重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させて下引層形成用塗布液を調製した。この下引層形成用塗布液を塗工槽に満たし、導電性基体を塗工槽に浸漬した後引上げる浸漬塗布法によって、膜厚1.0μmの下引層を形成し、室温で1時間放置後、次の電荷発生層の塗布を行った。
酸化チタン(TTO55A、石原産業株式会社製)21重量部と共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ株式会社製)39重量部とを、メタノール329重量部と1,3−ジオキソラン611重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて8時間分散させて下引層形成用塗布液を調製した。この下引層形成用塗布液を塗工槽に満たし、導電性基体を塗工槽に浸漬した後引上げる浸漬塗布法によって、膜厚1.0μmの下引層を形成し、室温で1時間放置後、次の電荷発生層の塗布を行った。
b:電荷発生層
電荷発生材料としてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンを2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学工業株式会社製)1重量部と、メチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗工液を、下引層と同様の浸漬塗布法にて、下引層上に塗布することによって、膜厚0.4μmの電荷発生層を下引層上に形成した。室温で1時間放置後、次の電荷輸送層の塗布を行った。ここで、ブラッグ角2θとは、入射X線と回折X線との成す角度のことであり、いわゆる回折角を表す。
電荷発生材料としてCu−Kα特性X線(波長:1.54Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:±0.2°)27.2°に明確な回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニンを2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学工業株式会社製)1重量部と、メチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗工液を、下引層と同様の浸漬塗布法にて、下引層上に塗布することによって、膜厚0.4μmの電荷発生層を下引層上に形成した。室温で1時間放置後、次の電荷輸送層の塗布を行った。ここで、ブラッグ角2θとは、入射X線と回折X線との成す角度のことであり、いわゆる回折角を表す。
c:電荷輸送層
電荷輸送物質である前記構造式(2)で示される電荷輸送物質10重量部と、前記構造式(3)で示されるトリフェニルアミンダイマー(略称:TPD)0.1重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)18重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(略称:BHT)0.5重量部とを、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン130重量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層形成用塗布液を、ロールコーティング法にて、電荷発生層上に塗布して塗膜を形成した。
電荷輸送物質である前記構造式(2)で示される電荷輸送物質10重量部と、前記構造式(3)で示されるトリフェニルアミンダイマー(略称:TPD)0.1重量部と、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)18重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(略称:BHT)0.5重量部とを、相対蒸発速度が1.7未満であるシクロヘキサノン130重量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層形成用塗布液を、ロールコーティング法にて、電荷発生層上に塗布して塗膜を形成した。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布後直ちに導電性基体を誘導加熱装置(協同電磁気工業株式会社製)のコイルの直上に配置して、10rpmの回転数で回転させながら発振周波数60Hz、出力300Wで10.0秒間加熱し、導電性基体の温度を132℃まで上昇させ誘導加熱工程を行った。その後直ちに導電性基体をヒータ温度260℃のセラミックヒータ(SEG−EX型、株式会社二葉科学製)の直下10cmに設置して波長4.5μmに最大エネルギを有する遠赤外線を放射するとともに、導電性基体を誘導加熱工程のときと同じ回転数で回転させながら、温度100℃、流速20m/min、流量1.0m3/minの気体を均一に供給して導電性基体表面に形成される電荷輸送層の塗膜を遠赤外線加熱によって10分間乾燥させて、実施例4の電子写真感光体を作製した。
(比較例6)
誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程において、円筒状導電性基体を回転しなかったこと以外は実施例4と同様にして、比較例6の電子写真感光体を作製した。
誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程において、円筒状導電性基体を回転しなかったこと以外は実施例4と同様にして、比較例6の電子写真感光体を作製した。
〔評価2〕
実施例4および比較例6で作製した電子写真感光体の周方向における電荷輸送層の軸線方向における中央付近の膜厚分布を多機能マルチチャンネル分光光度計(MCPD2000、大塚電子株式会社製)によって測定した。
実施例4および比較例6で作製した電子写真感光体の周方向における電荷輸送層の軸線方向における中央付近の膜厚分布を多機能マルチチャンネル分光光度計(MCPD2000、大塚電子株式会社製)によって測定した。
図4は、実施例4および比較例6で作製した電子写真感光体の周方向の膜厚分布を示す図である。なお、図4に示す周方向の位置とは、電荷輸送層の表面に存在する基準点が感光体の軸線を含む鉛直平面内に存在するときを基準(0度)として、位置を示すべき点を該鉛直平面内の基準点が存在した位置に配置させるとき、感光体が軸線まわりに回転する角度のことである。
実施例4のように、円筒形状の導電性基体の軸線方向を水平方向に平行に保持するとともに、軸線周りに回転させながら乾燥を行うと、周方向について膜厚がほぼ一定である良好な膜厚分布を得ることができた。一方、比較例6のように導電性基体の軸線方向を水平方向に平行に保持したものの、軸線周りに回転させなかった感光体は、温度上昇によって粘度が低下し流動性が増加した塗布液が重力によって導電性基体をつたって重力方向に垂れてしまい、周方向の膜厚が不均一となった。
(比較例7)
誘導加熱装置の出力を500Wとして基板温度を171℃まで上昇させたこと以外は実施例4と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
誘導加熱装置の出力を500Wとして基板温度を171℃まで上昇させたこと以外は実施例4と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
〔評価3〕
実施例4および比較例7で作製した電子写真感光体について、評価1と同様にして残存溶媒量を定量した。また、各感光体をレーザプリンタ(DM−4501、シャープ株式会社製)にそれぞれ搭載し、レーザプリンタの機体内部に、画像形成過程における電子写真感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(CATE751、ジェンテック社製)を設け、温度35℃/相対湿度80%の高温高湿環境下、5℃/20%の低温低湿環境下において、帯電直後の表面電位である帯電電位Vo(V)およびレーザ光によって露光を行った直後の表面電位である露光電位VL(V)を測定した。さらにこの電位測定を、画像形成前の初期段階と、1万枚の画像形成を行った疲労後との両方で行った。なお、電子写真感光体表面の帯電は、負帯電プロセスで行った。
実施例4および比較例7で作製した電子写真感光体について、評価1と同様にして残存溶媒量を定量した。また、各感光体をレーザプリンタ(DM−4501、シャープ株式会社製)にそれぞれ搭載し、レーザプリンタの機体内部に、画像形成過程における電子写真感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(CATE751、ジェンテック社製)を設け、温度35℃/相対湿度80%の高温高湿環境下、5℃/20%の低温低湿環境下において、帯電直後の表面電位である帯電電位Vo(V)およびレーザ光によって露光を行った直後の表面電位である露光電位VL(V)を測定した。さらにこの電位測定を、画像形成前の初期段階と、1万枚の画像形成を行った疲労後との両方で行った。なお、電子写真感光体表面の帯電は、負帯電プロセスで行った。
さらに、初期段階と、1万枚の画像形成を行った疲労後とで、画質評価用のハーフトーン画像を形成し、画像欠陥および画質を評価した。得られたハーフトーン画像を目視観察し、白抜け、黒帯、画像ぼけなどの画像欠陥の程度によって画質を評価した。画質の評価基準は、以下のようであった。
A:良好。画像欠陥無し。
B:やや不良。無視できる程度の画像欠陥有り。
C:不良。明らかな画像欠陥有り。
B:やや不良。無視できる程度の画像欠陥有り。
C:不良。明らかな画像欠陥有り。
以上のようにして測定した各条件下での帯電電位Voおよび露光電位VL、ならびに形成画像の評価結果を、誘導加熱工程直後の導電性基体の温度および電荷輸送層中の残存溶媒量とともに表3に示す。
表3に示す結果によれば、実施例4および比較例7で作製した電子写真感光体は、感光層内部の溶媒をほぼ全て乾燥することができた。しかしながら、比較例7で作製した電子写真感光体は、高温高湿環境下、低温低湿環境下のいずれにおいても、初期段階の帯電電位Voと疲労後の帯電電位Voとの差および初期段階の露光電位VLと疲労後の露光電位VLとの差が、実施例4で作製した電子写真感光体よりも大きく、繰返し安定性に欠けるものであった。
また、比較例7で作製した電子写真感光体は、初期段階、疲労後のいずれにおいても、高温高湿環境下での露光電位VLと低温低湿環境下での露光電位VLとの差が特に大きく、環境安定性が悪かった。さらに、比較例7で作製した感光体によって形成した画像は、明らかな画像欠陥が存在し、実用に供することができなかった。
以上のように、本発明の塗膜被覆基体の製造方法によれば、ピンホール、気泡、表面の厚みむらなどの発生しない平滑な塗膜からなる感光層を短時間で容易に形成することができることが判る。また本発明の感光体の製造方法で作製された感光体は、繰返し安定性および環境安定性に優れるとともに、良好な画像を形成できることが確認できた。
1,11 乾燥装置
2,15a,15b 電磁誘導加熱手段
3,16a,16b 遠赤外線加熱手段
4,17a,17b 送風ノズル
5,12 導電性基体
6,13 塗膜
7 回転手段
14a,14b ベース基板
2,15a,15b 電磁誘導加熱手段
3,16a,16b 遠赤外線加熱手段
4,17a,17b 送風ノズル
5,12 導電性基体
6,13 塗膜
7 回転手段
14a,14b ベース基板
Claims (3)
- 金属製の基体上に塗膜形成材料と溶媒とを含む塗布液を塗布して形成される塗膜を有する塗膜被覆基体の製造方法において、
塗膜形成材料と溶媒とを含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
塗膜が形成される基体を誘導加熱法によって60℃以上150℃以下に加熱する誘導加熱工程と、
基体に形成される塗膜を遠赤外線加熱法で加熱することによって乾燥させる遠赤外線加熱乾燥工程とを含み、
酢酸n−ブチルの蒸発する時間と溶剤の蒸発する時間との比率を該溶剤の相対蒸発速度とするとき、
前記溶媒中には、相対蒸発速度が1.7未満の溶剤が30重量%以上含まれることを特徴とする塗膜被覆基体の製造方法。 - 基体が円筒形状または円柱形状であり、
前記誘導加熱工程および遠赤外線加熱乾燥工程は、
基体を軸線方向が水平方向に平行になるように保持し、基体を軸線周りに回転させながら行われることを特徴とする請求項1記載の塗膜被覆基体の製造方法。 - 金属製の基体が導電性基体であり、
塗膜形成材料が感光層形成材料であり、
塗膜被覆基体が電子写真感光体であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2005159795A JP2006337545A (ja) | 2005-05-31 | 2005-05-31 | 塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法 |
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| JP2005159795A JP2006337545A (ja) | 2005-05-31 | 2005-05-31 | 塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2006337545A true JP2006337545A (ja) | 2006-12-14 |
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ID=37558179
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2005159795A Pending JP2006337545A (ja) | 2005-05-31 | 2005-05-31 | 塗膜被覆基体の製造方法および電子写真感光体の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2006337545A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2014056113A (ja) * | 2012-09-12 | 2014-03-27 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体の製造方法 |
| US9640762B2 (en) | 2012-11-28 | 2017-05-02 | Konica Minolta, Inc. | Method for producing transparent electrode and organic EL element |
-
2005
- 2005-05-31 JP JP2005159795A patent/JP2006337545A/ja active Pending
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