JP2006342902A - 車輪支持用転がり軸受ユニット及びその外輪の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車輪支持用転がり軸受ユニットの転がり疲れ寿命を長くする。
【解決手段】 外輪3の外径面3cをなす表層部を、フェライト面積率が7%以下の金属組織とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 外輪3の外径面3cをなす表層部を、フェライト面積率が7%以下の金属組織とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車等の車輪を、懸架装置に対して回転自在に支持するために用いられる車輪支持用転がり軸受ユニットに関する。
この種の車輪支持用転がり軸受ユニットとしては、車輪支持用転がり軸受と等速ジョイントとを分解可能に一体化したものが知られている。
このような車輪支持用転がり軸受ユニットは、例えば、FF車(前置エンジン前輪駆動車)の前輪、FR車(前置エンジン後輪駆動車)やRR車(後置エンジン後輪駆動車)の後輪、及び4WD車(四輪駆動車)の全輪のように、独立懸架式サスペンションで支持された駆動輪を懸架装置に対して回転自在に支持するとともに、デファレンシャルギアと駆動輪との相対変位や車輪に付与された舵角に係わらず、等速性を確保しつつ円滑に、駆動軸の回転を駆動輪に伝達するために用いられている。
このような車輪支持用転がり軸受ユニットは、例えば、FF車(前置エンジン前輪駆動車)の前輪、FR車(前置エンジン後輪駆動車)やRR車(後置エンジン後輪駆動車)の後輪、及び4WD車(四輪駆動車)の全輪のように、独立懸架式サスペンションで支持された駆動輪を懸架装置に対して回転自在に支持するとともに、デファレンシャルギアと駆動輪との相対変位や車輪に付与された舵角に係わらず、等速性を確保しつつ円滑に、駆動軸の回転を駆動輪に伝達するために用いられている。
このように等速ジョイントと組み合わせて、しかも小型化及び軽量化を可能とした車輪支持用転がり軸受ユニットの一例として、車輪を固定するフランジ付きのハブ部材と駆動軸部材とを連結した内輪と、懸架装置のナックルに固定されるフランジ付きの外輪と、内輪及び外輪間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備えた車輪支持用転がり軸受ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような車輪支持用転がり軸受ユニットで用いられる外輪は、転がり疲れ寿命に加えて、フランジの成形性やボルト穴等の切削性を備える必要があることから、比較的低硬度の素材を用いて、以下の手順で製造されるのが一般的である。
まず、S55C等の機械構造用炭素鋼からなる素材を、熱間鍛造や旋削等によりフランジを有する外輪の形状に粗加工した後に、旋削等によりボルト穴や外輪軌道面等の加工を行う。次に、外輪軌道面に高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施すことにより、外輪軌道面に転がり面として必要な硬さを付与する。次に、フランジ以外の外輪の外径面を研削した後に、この外径面を基準面として外輪軌道面を研削する。
特開平7−317754号公報
まず、S55C等の機械構造用炭素鋼からなる素材を、熱間鍛造や旋削等によりフランジを有する外輪の形状に粗加工した後に、旋削等によりボルト穴や外輪軌道面等の加工を行う。次に、外輪軌道面に高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施すことにより、外輪軌道面に転がり面として必要な硬さを付与する。次に、フランジ以外の外輪の外径面を研削した後に、この外径面を基準面として外輪軌道面を研削する。
しかしながら、上記手順で製造された外輪においては、高周波焼入れ処理が施された外輪軌道面以外の部分が比較的低硬度である熱間鍛造後の金属組織のままであることから、最終的に外輪軌道面を研削する際に、シュー(支持部材)で支持される外輪の外径面に摩耗が生じる場合がある。ここで、外輪の外径面に摩耗が生じると、この外径面を基準として精密加工が行われる外輪軌道面を精度よく形成できなくなり、転がり疲れ寿命が短くなる場合がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外径面にフランジを有する外輪を備えた車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、転がり疲れ寿命を長くすることを課題としている。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外径面にフランジを有する外輪を備えた車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、転がり疲れ寿命を長くすることを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットは、外径面にフランジを有し且つ内径面に外輪軌道面を有する外輪と、外径面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面及び前記内輪軌道面間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備え、前記フランジを車輪又は懸架装置に固定することにより、前記車輪を前記懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、前記外輪の外径面をなす表層部は、フェライト面積率が7%以下の金属組織からなることを特徴とするものである。
この車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、外輪の外径面をなす表層部の金属組織が特定されていることにより、外輪軌道面の研削時に外径面の摩耗が生じ難く、外輪軌道面が高精度に形成されているため、転がり疲れ寿命を長くできる。
ここで、外輪の外径面をなす表層部を、フェライト面積率が7%を超えた金属組織とすると、外径面をなす表層部の硬さが不十分になり、外輪軌道面の研削時に外径面に摩耗が生じ易くなる。一方、機械加工性を確保する観点から、外輪の外径面をなす表層部は、フェライト面積率が3%以上の金属組織とすることが好ましい。
ここで、外輪の外径面をなす表層部を、フェライト面積率が7%を超えた金属組織とすると、外径面をなす表層部の硬さが不十分になり、外輪軌道面の研削時に外径面に摩耗が生じ易くなる。一方、機械加工性を確保する観点から、外輪の外径面をなす表層部は、フェライト面積率が3%以上の金属組織とすることが好ましい。
また、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪の製造方法は、外径面にフランジを有し且つ内径面に外輪軌道面を有する外輪と、外径面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面及び前記内輪軌道面間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備え、前記フランジを車輪又は懸架装置に固定することにより、前記車輪を前記懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットの前記外輪を製造する方法において、鋼からなる素材を熱間加工により前記外輪の形状に加工した後、連続冷却変態線図における下部臨界冷却速度未満で、且つ、フェライト面積率が7%以下のパーライト及びフェライトからなる金属組織となるような冷却速度で冷却する工程と、前記外輪軌道面に対して、前記外輪の外径面をなす表層部がAc1変態点(約730℃)未満となるような温度で高周波焼入れを行った後に、焼戻しを行う工程と、前記外輪軌道面の研削を行う工程と、をこの順で備えることを特徴とするものである。
この製造方法によれば、熱間鍛造後の冷却速度を調節することで、フェライト面積率が7%以下のパーライト及びフェライトからなる金属組織とし、その後の高周波焼入れを、外輪の外径面をなす表層部がAc1変態点未満となるような温度で行うことにより、高周波焼入れ後の外輪の外径面をなす表層部において、高周波焼入れにより組織変化が起こらず、熱間鍛造後と同様の金属組織にできる。よって、外輪の外径面をなす表層部に必要な硬さが付与されて、外輪軌道面の研削時に外輪の外径面に摩耗が生じ難くなるため、外輪軌道面を高精度に形成できる。
さらに、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪の他の製造方法は、外径面にフランジを有し且つ内径面に外輪軌道面を有する外輪と、外径面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面及び前記内輪軌道面間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備え、前記フランジを車輪又は懸架装置に固定することにより、前記車輪を前記懸架装置に対して回転自在に支持するための車輪支持用転がり軸受ユニットの前記外輪を製造する方法において、鋼からなる素材を熱間加工により前記外輪の形状に加工した後、連続冷却変態線図における下部臨界冷却速度未満の冷却速度で冷却することにより、パーライト及びフェライトからなる金属組織にする工程と、前記外輪軌道面に対して、前記外輪の外径面をなす表層部が、Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度となり、且つ、前記外輪軌道面の焼入れ後にフェライト面積率が7%以下のパーライト及びフェライトからなる金属組織となるような条件で、高周波焼入れを行った後に、焼戻しを行う工程と、前記外輪軌道面の研削を行う工程と、をこの順で備えることを特徴とするものである。
この製造方法によれば、高周波焼入れ時の焼入れ条件(温度や冷却速度)を調節することにより、外輪軌道面の高周波焼入れ後に、外輪の外径面をなす表層部をフェライト面積率が7%以下のパーライト及びフェライトからなる金属組織にできる。よって、外輪の外径面をなす表層部に必要な硬さが付与されて、外輪軌道面の研削時に外輪の外径面に摩耗が生じ難くなるため、外輪軌道面を高精度に形成できる。
さらに、外輪の外径面において、表面粗さ(Ra)を6.3μm以下とし、真円度を100μm以下となるように機械加工を施すことによって、外輪軌道面をさらに高精度に形成できる。
なお、本発明において「表層部のフェライト面積率」とは、表面から所定深さ(例えば、0.3mm)までの部分のうち脱炭層を除いた部分の金属組織におけるフェライト面積率を指す。
なお、本発明において「表層部のフェライト面積率」とは、表面から所定深さ(例えば、0.3mm)までの部分のうち脱炭層を除いた部分の金属組織におけるフェライト面積率を指す。
また、本発明において外輪の素材として用いられる「鋼」は、特に限定されないが、例えば、S55C等の機械構造用炭素鋼や1070M(ASTEM A295)が好適に用いられる。
さらに、本発明における「下部臨界冷却速度」及び「Ac3変態点」は、鋼種により異なるものであるため、素材として用いる鋼種に応じて適宜変更する。
さらに、本発明における「下部臨界冷却速度」及び「Ac3変態点」は、鋼種により異なるものであるため、素材として用いる鋼種に応じて適宜変更する。
本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、外輪の外径面をなす表層部の金属組織を特定することで、外輪軌道面が高精度に形成された外輪を用いているため、転がり疲れ寿命を長くできる。
本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪の製造方法によれば、熱間鍛造後の冷却条件及び外輪軌道面に対する高周波焼入れ条件を調節して、高周波焼入れ後の外輪の外径面をなす表層部をフェライト面積率が7%以下の金属組織とすることにより、外輪軌道面の研削時に外輪の外径面が摩耗し難くなる。よって、外輪軌道面が高精度に形成された外輪を製造できる。
本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪の製造方法によれば、熱間鍛造後の冷却条件及び外輪軌道面に対する高周波焼入れ条件を調節して、高周波焼入れ後の外輪の外径面をなす表層部をフェライト面積率が7%以下の金属組織とすることにより、外輪軌道面の研削時に外輪の外径面が摩耗し難くなる。よって、外輪軌道面が高精度に形成された外輪を製造できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの一例を示す断面図である。
この車輪支持用転がり軸受ユニットは、図1に示すように、車輪支持用転がり軸受10と、等速ジョイント20とがユニット化されている。
車輪支持用転がり軸受10は、第一の内輪(ハブ輪)1及び第二の内輪2からなる内輪と、外輪3と、複数の玉(転動体)4と、保持器5と、を備えている。
図1は、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの一例を示す断面図である。
この車輪支持用転がり軸受ユニットは、図1に示すように、車輪支持用転がり軸受10と、等速ジョイント20とがユニット化されている。
車輪支持用転がり軸受10は、第一の内輪(ハブ輪)1及び第二の内輪2からなる内輪と、外輪3と、複数の玉(転動体)4と、保持器5と、を備えている。
第一の内輪1のアウトボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部であり、図1では左端部を指す)の外径面には、車輪取付用フランジ1Aが形成されている。この車輪取付用フランジ1Aの側面には、図示しない車輪及びブレーキロータ(制動用回転体)がボルト6を介して固定されている。
一方、第一の内輪1のインボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向内側の端部であり、図1では右端部を指す)の外径面には、小径段部1Bが形成されている。この小径段部1Bには、第二の内輪2が外嵌されている。
一方、第一の内輪1のインボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向内側の端部であり、図1では右端部を指す)の外径面には、小径段部1Bが形成されている。この小径段部1Bには、第二の内輪2が外嵌されている。
また、第一の内輪1のインボード側の先端は円筒状に形成されており、この先端を径方向外方にかしめ拡げることにより、第一の内輪1の小径段部1Bの外径面に第二の内輪2が所定位置に外嵌固定されている。なお、第二の内輪2は、かしめの他、ナットでの締結によって必要な与圧を加えてもよい。
さらに、第一の内輪1の中心開口内面には、後述する等速ジョイント20の外輪22から突出する軸30の周面に形成された雄スプライン30Aと係合可能な雌スプライン1Cが設けられている。
さらに、第一の内輪1の中心開口内面には、後述する等速ジョイント20の外輪22から突出する軸30の周面に形成された雄スプライン30Aと係合可能な雌スプライン1Cが設けられている。
さらに、第一の内輪1の軸方向の中間部外径面と第二の内輪2の外径面には、それぞれ内輪軌道面1a,2aが形成されている。
外輪3の外径面には、懸架装置取付用フランジ3Aが形成されている。この懸架装置取付用フランジ3Aの側面には、図示しない懸架装置のナックル7がボルト8を介して固定されている。また、外輪3の内径面には、第一及び第二の内輪1,2の内輪軌道面1a,2aに対する複列の外輪軌道面3a,3bが形成されている。
外輪3の外径面には、懸架装置取付用フランジ3Aが形成されている。この懸架装置取付用フランジ3Aの側面には、図示しない懸架装置のナックル7がボルト8を介して固定されている。また、外輪3の内径面には、第一及び第二の内輪1,2の内輪軌道面1a,2aに対する複列の外輪軌道面3a,3bが形成されている。
そして、内輪軌道面1a,2aと外輪軌道面3a,3bとの間には、複数の玉4が保持器5を介して転動自在に配設されている。また、第一の内輪1と外輪3との対向面間には、軸受内部に外部から水や各種異物が侵入しないようにするためのシール9A,9Bが設置されている。
等速ジョイント20は、内輪21と、外輪22と、玉23と、保持器24と、を備えている。
等速ジョイント20は、内輪21と、外輪22と、玉23と、保持器24と、を備えている。
内輪21の外径面には、その円周方向に対して直角方向に複数の内側係合溝25が形成されている。また、内輪21の中心開口内面には、図示しない駆動軸の外端部に形成された雄スプラインと係合可能な雌スプライン21Aが設けられている。
外輪22の内径面には、その円周方向に対して直角方向に外側係合溝26が形成されている。また、外輪22の端部には、軸30が突出して一体形成されており、この軸30の周面には雄スプライン30Aが設けられている。
そして、内側係合溝25と外側係合溝26との間には、複数の玉23が保持器24を介して転動自在に配設されている。
外輪22の内径面には、その円周方向に対して直角方向に外側係合溝26が形成されている。また、外輪22の端部には、軸30が突出して一体形成されており、この軸30の周面には雄スプライン30Aが設けられている。
そして、内側係合溝25と外側係合溝26との間には、複数の玉23が保持器24を介して転動自在に配設されている。
このような構成の車輪支持用転がり軸受10と等速ジョイント20は、車輪支持用転がり軸受10の第一の内輪1に設けられた雌スプライン1Cと、等速ジョイント20の外輪22から突出する軸30に設けられた雄スプライン30Aとを係合し、軸30の端部に形成したねじにナット31を螺合することにより固定されている。
また、等速ジョイント20の外輪22の端面22Aにより、第一の内輪1のインボード側の端部1Dに押圧が加えられた状態で固定されていることで、車輪支持用転がり軸受10の玉4に対して適正な予圧が付与されている。
また、等速ジョイント20の外輪22の端面22Aにより、第一の内輪1のインボード側の端部1Dに押圧が加えられた状態で固定されていることで、車輪支持用転がり軸受10の玉4に対して適正な予圧が付与されている。
そして、この車輪支持用転がり軸受ユニットを自動車に組み付けるには、等速ジョイント20の内輪21に設けられた雌スプライン21Aと、図示しない駆動軸の外端部に設けられた雄スプラインとを係合させる。この駆動軸の内端部は、図示しないデファレンシャルギアの出力軸部に設けられた、トリポード型等速ジョイントのトラニオンの中心部に結合固定されている。
すなわち、自動車の走行時において、車輪支持用転がり軸受10は、車輪で車体を支持することで生じるラジアル荷重に加えて、駆動軸の回転に伴って生じるスラスト荷重が付与された状態で使用される。
すなわち、自動車の走行時において、車輪支持用転がり軸受10は、車輪で車体を支持することで生じるラジアル荷重に加えて、駆動軸の回転に伴って生じるスラスト荷重が付与された状態で使用される。
本実施形態では、上述した図1に示す車輪支持用転がり軸受10の外輪3を、以下に示す手順で作製した。
まず、S55C(機械構造用炭素鋼鋼材)からなる素材に対して、1200〜1250℃の温度に加熱した状態で熱間鍛造(熱間加工)を施すことにより、外輪3の形状に粗加工を行った。その後、表1に示す各冷却速度で冷却した。
ここで、熱間鍛造後における外輪3の外径面3cをなす表層部(表面から0.3mmの深さまでの部分のうち、脱炭層を除く部分)のフェライト面積率(フェライト率)を、以下に示す手順で測定した。
まず、S55C(機械構造用炭素鋼鋼材)からなる素材に対して、1200〜1250℃の温度に加熱した状態で熱間鍛造(熱間加工)を施すことにより、外輪3の形状に粗加工を行った。その後、表1に示す各冷却速度で冷却した。
ここで、熱間鍛造後における外輪3の外径面3cをなす表層部(表面から0.3mmの深さまでの部分のうち、脱炭層を除く部分)のフェライト面積率(フェライト率)を、以下に示す手順で測定した。
まず、外輪3を切断して外径面3cの断面を切り出し、その断面に鏡面仕上げを施した後、5%ナイタール液でエッチングを施した。次に、光学顕微鏡を備えた画像解析装置を用いて、外輪3の外径面3cをなす表層部の1視野(0.71mm×0.71mm)に存在する全フェライト粒の面積を測定し、1視野中に存在するフェライトの割合を算出した。この結果は、表1に併せて示した。
次に、懸架装置取付用フランジ3Aのボルト穴や外輪軌道面3a,3bの旋削加工を行った。
次に、外輪軌道面3a,3bに対する高周波焼入れを、外輪3の外径面3cをなす表層部の温度が表1に示す各温度となるように、周波数が30kHzで、出力が80〜100kWの条件で6秒間加熱保持した後、放冷を行った。その後、160〜170℃で2時間保持することによる焼戻しを行い、放冷を行った。なお、S55Cからなる素材のAc1変態点は722℃で、Ac3変態点は771℃であった。
次に、外輪軌道面3a,3bに対する高周波焼入れを、外輪3の外径面3cをなす表層部の温度が表1に示す各温度となるように、周波数が30kHzで、出力が80〜100kWの条件で6秒間加熱保持した後、放冷を行った。その後、160〜170℃で2時間保持することによる焼戻しを行い、放冷を行った。なお、S55Cからなる素材のAc1変態点は722℃で、Ac3変態点は771℃であった。
ここで、高周波焼入れ後における外輪3の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率を、上述と同様の手順で測定した。この結果は、表1に併せて示した。
次に、懸架装置取付用フランジ3A以外の外径面3cの研削を行った。次に、研削後の外径面3cに図示しないシュー(固定部材)を押し当てて外輪3を回転可能に支持し、この外径面3cを基準面として、外輪軌道面3a,3bとシール内径面の研削を行い、外輪3を完成させた。
そして、このようにして得られた外輪3の外径面3cにおいて、目視によりシュー傷の有無を確認した。この結果は、表1に併せて示した。
次に、懸架装置取付用フランジ3A以外の外径面3cの研削を行った。次に、研削後の外径面3cに図示しないシュー(固定部材)を押し当てて外輪3を回転可能に支持し、この外径面3cを基準面として、外輪軌道面3a,3bとシール内径面の研削を行い、外輪3を完成させた。
そして、このようにして得られた外輪3の外径面3cにおいて、目視によりシュー傷の有無を確認した。この結果は、表1に併せて示した。
表1に示すように、高周波焼入れ後の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率を7%以下にしたNo.1,No.2では、外輪軌道面3a,3bを研削した後の外径面3cにシュー傷が存在しなかった。
一方、高周波焼入れ後の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率が7%を超えるNo.3〜No.5では、外輪軌道面3a,3bを研削した後の外径面3cにシュー傷が見られた。
一方、高周波焼入れ後の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率が7%を超えるNo.3〜No.5では、外輪軌道面3a,3bを研削した後の外径面3cにシュー傷が見られた。
No.3,No.5では、高周波焼入れをAc1変態点未満の温度に加熱した後放冷するという条件で行ったため、高周波焼入れ後に組織変化が起こらなかった。このため、外輪3の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率は、熱間鍛造後と変わらず、本発明の範囲外であった。
No.4では、熱間鍛造後の冷却速度を調節することで、外径面3cをなす表層部のフェライト面積率が7%以下であったが、その後の高周波焼入れを外径面3cをなす表層部の温度をAc1変態点以上とした後放冷するという条件で行ったため、高周波焼入れ後の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率は本発明の範囲外であった。
No.4では、熱間鍛造後の冷却速度を調節することで、外径面3cをなす表層部のフェライト面積率が7%以下であったが、その後の高周波焼入れを外径面3cをなす表層部の温度をAc1変態点以上とした後放冷するという条件で行ったため、高周波焼入れ後の外径面3cをなす表層部のフェライト面積率は本発明の範囲外であった。
表1に示す結果から、外輪3の外径面3cをなす表層部をフェライト面積率が7%以下の金属組織(パーライト及びフェライト)とすることにより、外輪軌道面3a,3bの研削加工時にシューで支持される外径面3cに摩耗が生じ難くなることが分かった。これにより、外径面3cを基準面として精密加工が施される外輪軌道面3a,3bの加工精度が向上できる。
したがって、表1に示すNo.1,No.2の外輪3を車輪支持用転がり軸受ユニットに用いることにより、転がり疲れ寿命を長くできる。
したがって、表1に示すNo.1,No.2の外輪3を車輪支持用転がり軸受ユニットに用いることにより、転がり疲れ寿命を長くできる。
なお、本実施形態では、車輪支持用転がり軸受ユニットの一例として、懸架装置取付用フランジが形成された外輪と、車輪取付用フランジが形成された内輪とを備えた車輪支持用転がり軸受ユニット(日本精工株式会社製ハブIII タイプ) について説明したが、本発明は、少なくとも外輪の外径面にフランジが形成された車輪支持用転がり軸受ユニットであればこれに限らず適用可能である。例えば、外径面に懸架装置取付用フランジが形成された外輪と、車輪とともに回転可能な内輪とを備えた車輪支持用転がり軸受ユニット(日本精工株式会社製ハブIIタイプ) に適用しても構わない。
1 第一の内輪
1a 内輪軌道面
1A 車輪取付用フランジ
2 第二の内輪
2a 内輪軌道面
3 外輪
3a,3b 外輪軌道面
3c 外径面
3A 懸架装置取付用フランジ
4 玉(転動体)
5 保持器
6 ボルト
7 ナックル
8 ボルト
10 車輪支持用転がり軸受
20 等速ジョイント
30 軸
1a 内輪軌道面
1A 車輪取付用フランジ
2 第二の内輪
2a 内輪軌道面
3 外輪
3a,3b 外輪軌道面
3c 外径面
3A 懸架装置取付用フランジ
4 玉(転動体)
5 保持器
6 ボルト
7 ナックル
8 ボルト
10 車輪支持用転がり軸受
20 等速ジョイント
30 軸
Claims (3)
- 外径面にフランジを有し且つ内径面に外輪軌道面を有する外輪と、外径面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面及び前記内輪軌道面間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備え、前記フランジを車輪又は懸架装置に固定することにより、前記車輪を前記懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、
前記外輪の外径面をなす表層部は、フェライト面積率が7%以下の金属組織からなることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。 - 外径面にフランジを有し且つ内径面に外輪軌道面を有する外輪と、外径面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面及び前記内輪軌道面間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備え、前記フランジを車輪又は懸架装置に固定することにより、前記車輪を前記懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットの前記外輪を製造する方法において、
鋼からなる素材を熱間加工により前記外輪の形状に加工した後、連続冷却変態線図における下部臨界冷却速度未満で、且つ、フェライト面積率が7%以下のパーライト及びフェライトからなる金属組織となるような冷却速度で冷却する工程と、
前記外輪軌道面に対して、前記外輪の外径面をなす表層部がAc1変態点未満となるような温度で高周波焼入れを行った後に、焼戻しを行う工程と、
前記外輪軌道面の研削を行う工程と、
をこの順で備えることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪の製造方法。 - 外径面にフランジを有し且つ内径面に外輪軌道面を有する外輪と、外径面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面及び前記内輪軌道面間に転動自在に配設される複数の転動体と、を備え、前記フランジを車輪又は懸架装置に固定することにより、前記車輪を前記懸架装置に対して回転自在に支持するための車輪支持用転がり軸受ユニットの前記外輪を製造する方法において、
鋼からなる素材を熱間加工により前記外輪の形状に加工した後、連続冷却変態線図における下部臨界冷却速度未満の冷却速度で冷却することにより、パーライト及びフェライトからなる金属組織にする工程と、
前記外輪軌道面に対して、前記外輪の外径面をなす表層部が、Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度となり、且つ、前記外輪軌道面の焼入れ後にフェライト面積率が7%以下のパーライト及びフェライトからなる金属組織となるような条件で、高周波焼入れを行った後に、焼戻しを行う工程と、
前記外輪軌道面の研削を行う工程と、
をこの順で備えることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2005169751A JP2006342902A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 車輪支持用転がり軸受ユニット及びその外輪の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2005169751A JP2006342902A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 車輪支持用転がり軸受ユニット及びその外輪の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2006342902A true JP2006342902A (ja) | 2006-12-21 |
Family
ID=37640011
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2005169751A Withdrawn JP2006342902A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 車輪支持用転がり軸受ユニット及びその外輪の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2006342902A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009101777A1 (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-20 | Ntn Corporation | 車輪用軸受装置 |
| CN104214208A (zh) * | 2013-05-31 | 2014-12-17 | 谢夫勒科技股份两合公司 | 回转支承 |
-
2005
- 2005-06-09 JP JP2005169751A patent/JP2006342902A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009101777A1 (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-20 | Ntn Corporation | 車輪用軸受装置 |
| US8215846B2 (en) | 2008-02-13 | 2012-07-10 | Ntn Corporation | Wheel support bearing assembly |
| CN104214208A (zh) * | 2013-05-31 | 2014-12-17 | 谢夫勒科技股份两合公司 | 回转支承 |
| CN104214208B (zh) * | 2013-05-31 | 2018-09-04 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 回转支承 |
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| A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080821 |
