JP2006347265A - 車両の衝撃吸収部材 - Google Patents

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太一 山下
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Abstract

【課題】F‐S特性を理想的な特性である矩形状の特性に近づけることができる車両の衝撃吸収部材を得る。
【解決手段】正面視で8の字形状に形成されたフランジ部30付きのクラッシュボックス10の中リブ23の後端部(断面拘束力の強い部分)に切欠部38を形成した。これにより、軸圧縮後半での荷重耐力を低減させ、潰れ残りを無くすことができる。その結果、F‐S特性を理想的な矩形状の特性に近づけることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、衝突荷重が入力される荷重入力部と衝突荷重が伝達される荷重伝達部との間に介在されて軸方向に圧縮変形することにより衝突時のエネルギーを吸収する車両の衝撃吸収部材に関する。
従来から、フロントサイドメンバの前端部とフロントバンパリインフォースメントとの間に衝撃吸収部材としてのクラッシュボックスを設定することが行われている。
この種のクラッシュボックスは、筒状のクラッシュボックス本体部と、クラッシュボックス本体部の後端部に固定されてボディーへの取付部とされるボディー側取付ブラケットと、クラッシュボックス本体部の前端部に固定されてフロントバンパリインフォースメントへの取付部とされるバンパリインフォースメント側取付ブラケットの三部品によって構成されていることが多い。
しかし、クラッシュボックスを三部品で構成すると、部品点数が多くなり、組付工数も増えることから、前後どちらかの取付ブラケットをクラッシュボックス本体部に一体形成することも行われている。更に部品点数を削減するべく、鋼板を深絞り成形することによりクラッシュボックスを一部品で構成したものもある(下記特許文献1、2参照)。
これらの特許文献に開示された構造について簡単に説明すると、このクラッシュボックスでは、鋼板の深絞り成形によって全体が断面ハット形状に形成されている。閉止端となるクラッシュボックスの底部(前端部)にはウエルドナットが予め固着されており、ボルト締結によりフロントバンパリインフォースメントに固定されるようになっている。また、開放端となるクラッシュボックスの後端部にはフランジ部が一体に形成されており、かかるフランジ部がフロントサイドメンバの前端部にボルト締結により固定されるようになっている。
さらに、上記クラッシュボックスでは、クラッシュボックス本体部とフランジ部との間に折り返し部が設定されており、かかる折り返し部をクラッシュボックスの前端部内へ嵌合させて取付状態とし、前面衝突時にはクラッシュボックス本体部の後端部が順次折り返し部の一部とされながら、フロントサイドメンバの前端部の内方へ押し込まれるようになっている。
特開2003−312400号公報 特開2003−312401号公報
しかしながら、上記のようなフランジ付き軸圧縮部材では、フランジ部近傍になるほど軸圧縮部材の断面の拘束力が増大する。このため、仮に軸圧縮部材の縦断面形状が長手方向の全域で同一であったとしても、圧縮部位がフランジ部近傍となる圧縮後半では耐力が増大してしまう。その結果、F‐S特性が理想である矩形特性(即ち、圧縮全域において耐力が一定である特性)にならず、圧縮後半で荷重が増大するという問題がある。
また、軸圧縮後半の軸圧縮部材耐力が増大することにより、軸圧縮後半の耐力が軸圧縮部材の後端側にあるボディー耐力を上回ってしまい、潰れ残りが発生する。その結果、軸圧縮部材のエネルギー吸収効率が低下するという問題がある。
本発明は上記事実を考慮し、F‐S特性を理想的な特性である矩形状の特性に近づけることができる車両の衝撃吸収部材を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係る車両の衝撃吸収部材は、衝突荷重が入力される荷重入力部と衝突荷重が伝達される荷重伝達部との間に介在されて軸方向に圧縮変形することにより衝突時のエネルギーを吸収する車両の衝撃吸収部材であって、前記衝撃吸収部材は、衝突荷重の入力時に軸方向に圧縮変形する本体部と、当該本体部に一体的に設けられると共に荷重伝達部への取付用に供されるフランジ部と、を含む車体骨格部材として構成されており、前記本体部において軸圧縮後半に変形する断面拘束力の強いフランジ部近傍の断面を部分的に脆弱化した、ことを特徴としている。
請求項2記載の本発明に係る車両の衝撃吸収部材は、請求項1記載の発明において、前記衝撃吸収部材の本体部は鍛造成形により形成されている、ことを特徴としている。
請求項1記載の本発明によれば、衝突時になると、衝突荷重は荷重入力部に入力される。入力された衝突荷重は、衝撃吸収部材を介して荷重伝達部へ伝達される。この際に、衝撃吸収部材の本体部が軸方向に圧縮されて変形することにより、衝突時のエネルギーが吸収される。
ここで、本発明では、衝撃吸収部材の本体部に荷重伝達部への取付用に供されるフランジ部が一体的に設けられているため、本体部において軸圧縮後半に変形するフランジ部に近い部分ほど断面拘束力が強くなる。従って、本体部におけるフランジ部近傍の部位が潰れ難くなるが、本発明では、本体部における断面拘束力が強くなる部位を部分的に脆弱化させたので、軸圧縮後半での耐力を適度に低下させ、潰れ残りを低減する(潰れ率を向上させる)ことができる。
請求項2記載の本発明によれば、衝撃吸収部材の本体部は鍛造成形によって形成されているため、材料投入量を減らしたり、プレス能力を意図的に低下させる等することにより、脆弱部を成形の過程で同時に作ることができる。つまり、脆弱部を設定する後加工が不要となるため、生産性が向上される。
また、材料投入量を減らしたり、プレス能力を下げることができるという利点は、衝撃吸収部材を鍛造成形で製作し易くなるという生産上の利点をもたらすことにもなる。
以上説明したように、請求項1記載の車両の衝撃吸収部材は、衝突荷重の入力時に軸方向に圧縮変形する本体部と、当該本体部に一体的に設けられると共に荷重伝達部への取付用に供されるフランジ部と、を含む車体骨格部材として構成されており、本体部において軸圧縮後半に変形する断面拘束力の強いフランジ部近傍の断面を部分的に脆弱化したので、軸圧縮後半での耐力を適度に低下させて潰れ残りを低減する(潰れ率を向上させる)ことができ、その結果、F‐S特性を理想的な特性である矩形状の特性に近づけることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る車両の衝撃吸収部材は、請求項1記載の発明において、衝撃吸収部材の本体部を鍛造成形によって形成したので、脆弱部を成形の過程で同時に作ることができ、その結果、生産性の向上及び歩留まりの向上を図ることができるという優れた効果を有する。
以下、図1〜図6を用いて、本発明に係る車両の衝撃吸収部材の一実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
図6には、本実施形態に係る衝撃吸収部材としてのクラッシュボックス10が採用された車体前部の平面図が示されている。この図に示されるように、車体の前端部には、平面視で略コ字状に形成された荷重入力部としての長尺状のフロントバンパリインフォースメント12が車両幅方向を長手方向して配置されている。このフロントバンパリインフォースメント12は高強度部材であり、その前面側には図示しないフロントバンパカバーが取り付けられている。
一方、前輪14が配置されるフロントホイールハウス16の内側には、長尺状に形成された荷重伝達部としての高強度のフロントサイドメンバ18が車両前後方向を長手方向として配置されている。フロントサイドメンバ18の後端部は、フロントクロスメンバ20の前面に結合されている。また、フロントサイドメンバ18の前端部は、フロントバンパリインフォースメント12に対して所定距離だけ車両後方側へ離間した位置(オフセットした位置)に配置されている。そして、フロントサイドメンバ18の前端部とフロントバンパリインフォースメント12の後端面との間に、長尺状のクラッシュボックス10が介在されている。なお、クラッシュボックス10は、フロントサイドメンバ18に対して車両前後方向に連続的に配置されている。
図1には、上記クラッシュボックス10の全体斜視図が示されている。また、図2〜図5には当該クラッシュボックス10の適宜断面図が示されている。
これらの図に示されるように、本実施形態のクラッシュボックス10は、上下二個の上側筒状部22及び下側筒状部24が軸直角方向(車両上下方向)に並列的に配置された筒状部の複合体として構成されている。図2及び図3に示されるように、上側筒状部22及び下側筒状部24は各々正八角形に形成されており、底壁と頂壁を共有することで全体としては高いエネルギー吸収性能を発揮する略8の字形状に形成されている。
また、上側筒状部22の左右の上部壁22A及び側部壁22C並びに下側筒状部24の左右の下部壁24A及び側部壁24Cには、圧縮座屈起点を特定するためのビード(脆弱部)26が所定の間隔で形成されている。なお、上部壁22Aに形成されたビード26と側部壁22Cに形成されたビード26とは互い違いに配置されている。同様に、下部壁24Cに形成されたビード26と側部壁24Cに形成されたビード26とは互い違いに配置されている。
上記クラッシュボックス10の軸方向の一端部(前端部)は閉止されており、フロントバンパリインフォースメント12へ結合される底部28とされている。なお、底部28の先端面(前端面)は、フロントバンパリインフォースメント12の湾曲形状に合わせて所定角度の傾斜面とされている(図5参照)。一方、クラッシュボックス10の軸方向の他端部(後端部)は開放されており、フロントサイドメンバ18の前端部へ結合される矩形平板状のフランジ部30が周囲に一体に形成されている。フランジ部30の四隅には、ボルト挿通孔32が形成されている。なお、フランジ部30の板厚は、フロントサイドメンバ18の前端部への結合剛性を確保するべく、上側筒状部22及び下側筒状部24の板厚よりも厚く設定されている。
上述したクラッシュボックス10の底部28は、略8の字形状に形成された縦長の厚肉部28Aと、この厚肉部28Aの高さ方向中間部の左右両側を抉るように形成された一対の薄肉部28Bと、によって構成されている。
薄肉部28Bは、上側筒状部22の下部壁22Bと、下側筒状部24の上部壁24Bと、上側筒状部22及び下側筒状部24の中リブ(共有壁)23の三枚の壁が交差する部分を包囲した範囲に設定されている。一方、厚肉部28Aは、クラッシュボックス10の8の字状の外形形状から左右一対の薄肉部28Bを除いた範囲に設定されている。厚肉部28Aと薄肉部28Bとの間には段差34が形成されており、この段差34の高さは衝突初期のピーク荷重が発生するストロークに対応する所定高さ(数ミリ程度)に設定されている。
さらに、厚肉部28Aの上下四箇所(上側筒状部22の中間両サイド二箇所と下側筒状部24の中間両サイド二箇所)には、フロントバンパリインフォースメント12への取付部である取付孔36が形成されている。取付孔36の内周面には雌ねじが形成されており、フロントバンパリインフォースメント12側から図示しないボルトが螺合されるようになっている。なお、クラッシュボックス10のフロントバンパリインフォースメント12側への締結方向及びフロントサイドメンバ18の前端部側への締結方向は、いずれも車両前後方向とされている。
ここで、図1及び図3〜図5に示されるように、上述したクラッシュボックス10の上側筒状部22と下側筒状部24とを隔成する中リブ23のフランジ部30の近傍(中リブ23の後端部)には、平面視で矩形状の脆弱部としての切欠部38が形成されている。この切欠部38が形成されたことにより、本体部である上側筒状部22及び下側筒状部24のフランジ部30の近傍部位が脆弱化されている。
さらに、上記構成のクラッシュボックス10は一部品によって構成されており、アルミニウム合金を鍛造成形することにより製作されている。概略的には、クラッシュボックス10は、前方押出し工法と後方押出し工法の二工程を活用した(組み合わせた)アルミニウム合金の鍛造によって製造されている。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態に係るクラッシュボックス10は、フロントバンパリインフォースメント12とフロントサイドメンバ18の前端部との間に組付けられる。そして、この車両が正面衝突すると、その際の衝突荷重はフロントバンパリインフォースメント12に入力される。入力された衝突荷重は、クラッシュボックス10を介してフロントサイドメンバ18へ伝達される。この際、クラッシュボックス10の上側筒状部22及び下側筒状部24が軸方向に圧縮されて各ビード26を起点として蛇腹状に順次変形(圧壊)することにより、所定のエネルギー吸収がなされる。
ここで、本実施形態に係るクラッシュボックス10では、上側筒状部22及び下側筒状部24の後端部に矩形平板状のフランジ部30を一体形成し、かかるフランジ部30を荷重伝達部であるフロントサイドメンバ20の前端部に取り付けたので、上側筒状部22及び下側筒状部24において軸圧縮後半に変形するフランジ部30に近い部分ほど断面拘束力が強くなる。従って、上側筒状部22及び下側筒状部24におけるフランジ部30の近傍の部位が潰れ難くなるが、本実施形態に係るクラッシュボックス10では、上側筒状部22及び下側筒状部24における断面拘束力が強くなる中リブ23の後端部に切欠部38を設けたので、軸圧縮後半での耐力を適度に低下させ、潰れ残りを低減する(潰れ率を向上させる)ことができる。その結果、本実施形態によれば、軸圧縮後半でのエネルギー吸収量が増加し、F‐S特性を理想的な特性である矩形状の特性に近づけることができる。
また、本実施形態では、クラッシュボックス10を鍛造成形によって形成したので、材料投入量を減らしたり、プレス能力を意図的に低下させる等することにより、切欠部38を成形の過程で同時に作ることができる。つまり、切欠部38を設定する後加工が不要となるため、生産性が向上される。さらに、材料投入量を減らしたり、プレス能力を下げることができるという利点は、クラッシュボックス10を鍛造成形で製作し易くなるという生産上の利点をもたらすことにもなる。その結果、本実施形態によれば、生産性の向上及び歩留まりの向上を図ることができる。
〔実施形態の補足説明〕
なお、上述した本実施形態では、車両の衝撃吸収部材としてクラッシュボックス10を例にして説明したが、これに限らず、衝突時に軸圧縮荷重を受けて荷重入力側の端部から順次圧縮塑性変形していき、軸圧縮後半での断面拘束力が強くなる車体骨格部材(軸圧縮部材)であればすべて適用可能である。例えば、クラッシュボックスを設定せずに、フロントサイドメンバの前端部を直接軸圧縮塑性変形させる場合に本発明を適用してもよい。
また、上述した本実施形態では、脆弱部として切欠部38を設定したが、これに限らず、軸圧縮後半での荷重増加を抑制することができる構成であればよく、例えば、薄肉部を設定する構成を採ってもよい。
さらに、上述した本実施形態では、中リブ23の後端部に切欠部38を設定したが、断面拘束力を増大させる要素にはアーク溶接やスポット溶接等による溶接部もあるので、かかる溶接部が軸圧縮後半に相当する位置に設定されている場合には、溶接部近傍に切欠部38等の脆弱部を設定すると同様の効果が得られる。
また、上述した本実施形態では、アルミニウム合金の鍛造成形によってクラッシュボックス10を製作したが、これに限らず、押し出し成形によってクラッシュボックスを製作してもよい。この場合、切欠部(脆弱部)の設定は、後工程として切削加工によりなされる。
さらに、上述した本実施形態では、クラッシュボックス10の材質をアルミニウム合金材としたが、これに限らず、鉄、カーボン、樹脂、グラスファイバ等、種々の材料を適用することが可能である。
また、上述した本実施形態では、クラッシュボックス10の本体部を軸圧壊性能が優れる上側筒状部22及び下側筒状部24から成る略8の字状に形成したが、これに限らず、「日」の字状等に形成してもよい。また、筒状部も二本に限らず、三本以上でもよい。
本実施形態に係るクラッシュボックスを単体で示す斜視図である。 図1に示されるクラッシュボックスの縦断面構造(車両幅方向に切断した状態)を示す図1の2−2線断面図である。 図1に示されるクラッシュボックスの縦断面構造(車両幅方向に切断した状態)を示す図1の3−3線断面図である。 図1に示されるクラッシュボックスの縦断面構造(車両前後方向に切断した状態)を示す図1の4−4線断面図である。 図1に示されるクラッシュボックスの横断面構造を示す図1の5−5線断面図である。 本実施形態に係るクラッシュボックスが採用された車体前部の構造を示す平面図である。
符号の説明
10 クラッシュボックス(衝撃吸収部材)
12 フロントバンパリインフォースメント(荷重入力部)
18 フロントサイドメンバ(荷重伝達部)
22 上側筒状部(本体部)
23 中リブ
24 下側筒状部(本体部)
30 フランジ部
38 切欠部(脆弱部)

Claims (2)

  1. 衝突荷重が入力される荷重入力部と衝突荷重が伝達される荷重伝達部との間に介在されて軸方向に圧縮変形することにより衝突時のエネルギーを吸収する車両の衝撃吸収部材であって、
    前記衝撃吸収部材は、衝突荷重の入力時に軸方向に圧縮変形する本体部と、当該本体部に一体的に設けられると共に荷重伝達部への取付用に供されるフランジ部と、を含む車体骨格部材として構成されており、
    前記本体部において軸圧縮後半に変形する断面拘束力の強いフランジ部近傍の断面を部分的に脆弱化した、
    ことを特徴とする車両の衝撃吸収部材。
  2. 前記衝撃吸収部材の本体部は鍛造成形により形成されている、
    ことを特徴とする請求項1記載の車両の衝撃吸収部材。
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