JP2007016002A - 歯周病菌プロテアーゼ阻害剤、並びにこれを用いた口腔組成物及び食料品 - Google Patents

歯周病菌プロテアーゼ阻害剤、並びにこれを用いた口腔組成物及び食料品 Download PDF

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正之 谷口
Masao Shinpo
正雄 新保
Naoto Murohashi
直人 室橋
Seinosuke Shimada
清之助 島田
Yoshiki Aoyanagi
芳喜 青柳
Takaaki Ogasawara
貴哲 小笠原
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Abstract

【課題】安全性に優れ、且つ歯周病の治療や予防に有用である歯周病菌プロテアーゼ阻害剤、並びにこれを用いた口腔組成物及び食料品を提供する。
【解決手段】本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤は、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。また、本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を医療用途のみならず、機能性食品成分としても用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、イネ科植物由来のタンパク質を有効成分とする歯周病菌プロテアーゼ阻害剤、並びにこれを用いた口腔組成物及び食料品に関する。
歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisは成人性歯肉炎の最も重要な病原菌として認知され、幅広い研究が行われている(非特許文献1)。Porphyromonas gingivalisは嫌気性のグラム陰性桿菌であり、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の産生能が非常に高い。Porphyromonas gingivalisが産生するプロテアーゼには複数の分子種が存在するが、特に、トリプシン様システインプロテアーゼであるアルギニン特異的システインプロテアーゼ(Rgp)とリジン特異的システインプロテアーゼ(Kgp)は本菌種が産生する主要酵素であり、様々な研究が行われてきた(非特許文献2及び3)。これらの研究を通して、RgpやKgpがヒト・トランスフェリンを分解し、Porphyromonas gingivalisの増殖とヒドロキシルラジカルの産生を促進すること(非特許文献4)、RgpやKgpがヒト血清アルブミン存在下でのPorphyromonas gingivalisの増殖に重要な役割を果たしていること(非特許文献5)、Kgpに対する特異抗体がPorphyromonas gingivalis感染からマウスを保護すること(非特許文献6)、KgpがPorphyromonas gingivalisの鉄獲得に関わっていること(非特許文献7)、RgpのペプチドドメインがマウスにおいてPorphyromonas gingivalis感染に対する免疫性を付与すること(非特許文献8)、歯周病患者においてジンジパインに対する抗体の産生が認められること(非特許文献9)などが報告されている。これらの知見はいずれも、歯周組織環境におけるPorphyromonas gingivalisの増殖と病原性にRgpとKgpが大きな役割を果たしていることを指し示しており、RgpとKgpが歯周病の治療・予防の重要な標的因子であることは疑う余地がないと言える。
Porphyromonas gingivalisの感染生理におけるRgpやKgpの役割が、上述のように明らかになるにつれて、歯周病の治療や予防を目的に、RgpやKgpの阻害剤を開発しようとする試みが実施されている。合成薬剤や抗生物質としては、1−(3−フェニルプロピオニル)ピペラジン−3(R,S)−カルボン酸−[4−アミノ−1(S)−(ベンゾチアゾール−2−カルボニル)ブチル]アミド(非特許文献10)、ベンザミジン誘導体(非特許文献11)、テトラサイクリンとその誘導体(非特許文献12)が報告されている。
また、Streptomyces sp.FA−70株が産生するアンチパインアナログ(FA−70C1)がRgpを強く阻害するとの結果も見出されている(非特許文献13)。FA−70C1がPorphyromonas gingivalisの病原性を抑えるという知見も同時に得られており、このことからもジンジパイン阻害剤が歯周病の予防に有効であるのは確実である。
従来、安全性の観点から、植物成分からジンジパイン阻害剤を見出そうとする試みも行われている。例えば、特許文献1には、カテキン又はカテキン混合物を有効成分とする病原性システインプロテアーゼ活性阻害剤が開示されており、このカテキン又はカテキン混合物がアルギニン特異的システインプロテアーゼ(Rgp)やリジン特異的システインプロテアーゼ(Kgp)の活性を阻害することが記載されている。また、特許文献2には、赤霊芝及び/又は黒霊芝がジンジパイン阻害剤として記載されている。さらに、特許文献3には、黄杞葉、緑茶、ウコン、ヨモギ、カリン、刺梨、ギムネマ、ルイボス茶、サンザシ、ラカンカ、シリマリン、枸杞子、紫玄米、エレウテロコック、月桃葉、ドクダミ、大棗及び霊芝がジンジパイン阻害剤として記載されている。
特願2004−143127号公報 特願2005−35909号公報 特願2003−335648号公報 Biology of the species Porphyromonas gingivalis, CRCPress, Inc., Florida(1993) Clin. Infect. Dis. 28:456−465(1999) Oral Microbiol. Immunol. 13:263−270(1998) Infect. Immun. 72:4351−4356(2004) Infect. Immun. 69:5166−5172(2001) Infect. Immun. 69:2972−2979(2001) Acta Biochim.Polonica 51:253−262(2004) Infect. Immun. 66:4108−4114(1998) Infect. Immun. 72:1374−1382(2004) Infect. Immun. 70:6968−6975(2002) Biol. Chem.383:1193−1198(2002) Antimicrob. Agents Chemother.45:2871−2876(2001) Biol. Chem.384:911−920(2003)
しかしながら、合成薬物は医薬品としての利用には適しているものの、食品を介した歯周病の予防目的には適していない。また、上記特許文献2や3に挙げられた植物の中には、日常的な摂食が健康に及ぼす影響については必ずしも明らかになっていないものも含まれており、安全性の点で不安が残る。従って、食品から医薬品までの幅広い利用が可能なジンジパイン阻害剤は限られており、歯周病予防に適した様々な機能性食品を具現化するためには、安全性に優れた天然物由来の新たな阻害剤が求められている。
そこで、本発明は、安全性に優れ、且つ歯周病の治療や予防に有用である歯周病菌プロテアーゼ阻害剤、並びにこれを用いた口腔組成物及び食料品を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、イネ科植物由来のタンパク質がジンジパイン阻害活性を有することを見出し、本発明に想到した。
本発明における請求項1の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤は、イネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明における請求項2の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤は、請求項1において、前記イネ科植物由来のタンパク質が、イネに含まれるタンパク質、イネ由来のオリザシスタチン又はそれらの部分ペプチドのうちの少なくとも1つからなることを特徴とする。
本発明における請求項3の口腔用組成物は、請求項1又は2記載の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を含有することを特徴とする。
本発明における請求項4の食料品は、請求項1又は2記載の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を含有することを特徴とする。
本発明における請求項1の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤によれば、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。
本発明における請求項2の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤によれば、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。
本発明における請求項3の口腔用組成物によれば、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。
本発明における請求項4の食料品によれば、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。
本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤は、イネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有するものである。
本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤の有効成分の原料として用いられるイネ科植物とは、植物分類学上のイネ科に属する植物をいい、例えば、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエなどが挙げられ、特にイネ(Oryza sativa)を用いるのが好ましい。ここで、産業廃棄物である米糠や、イネ刈り後にイネ株から発生する再生イネ等の利用価値のないイネを用いれば、極めて安価に本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤の有効成分の原料を得ることができる。
本発明において用いられるイネ科植物由来のタンパク質とは、イネ科植物に含まれるタンパク質をいい、例えばイネに含まれるタンパク質、イネ由来のオリザシスタチン又はそれらの部分ペプチドが含まれる。ここでいう「部分ペプチド」とは、本発明の有効成分であるイネ科植物由来のタンパク質の全アミノ酸配列の一部からなるペプチドであって、イネ科植物由来のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつジンジパイン阻害活性機能の活性部位の領域を少なくとも含むタンパク質をいう。この「部分ペプチド」は、有効成分であるタンパク質の製造過程において得られるか、又は、得られたタンパク質を慣用のアミノ酸配列切断手段によって切断し、後述する活性測定試験により活性の有無を確認することによって得ることができる。
なお、イネ(Oryza sativa)由来のオリザシスタチンは、これまでに3種類の存在が報告されており、それぞれオリザシスタチン−I(阿部ら:J.BIo.Chem, 262, 16793-16797(1987))、オリザシスタチン−II(近藤ら:J.BIo.Chem, 265, 15832-15837(1990))、オリザシスタチン−III(World Rice Research Conference 2004, Abstract p.117 (2004)、J. Agric. Food Chem. Web release 07-Jun-2005 (2005))と命名されている。また、このオリザシスタチン−Iは、N末端のメチオニンよりC末端のアラニンまでの合計102残基のアミノ酸より構成されており、オリザシスタチン−IIは、N末端のメチオニンよりC末端のアラニンまでの合計107残基のアミノ酸より構成されている。また、オリザシスタチン−IIIは、N末端のメチオニンからC末端のアラニンまでの合計108残基のアミノ酸より構成され、分子量12,000のタンパク質である。
イネ科植物由来のタンパク質の製造方法は、イネ科植物の葉、茎、皮、根、種子などの抽出物から慣用の方法に従って、タンパク質画分を分離して得ることができる。ここで、前記抽出物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、イネ科植物の葉、茎、皮、根、種子などの植物体部分を、水又はリン酸緩衝液のような溶媒で磨砕した後、ろ過又は遠心分離により上清を集め、これを必要に応じて溶媒で希釈することにより得ることができる。
また、抽出物からのタンパク質画分の分離精製は、特に限定されないが、例えば、前記抽出物に硫酸アンモニウムを加えて、析出したタンパク質を遠心分離により集め、さらにリン酸緩衝液などを用いて溶解させて、これを透析やゲルろ過などの操作を行い、低分子画分等を取り除くことにより分離精製を行うことができる。
さらに、前記抽出物を加熱処理してもよい。加熱方法としては、電気やガスなどの熱源を用いた方法や、マイクロ波などが利用可能であり、方法は特に限定しない。加熱処理の温度範囲としては特に限定しないが、好ましくは60〜120℃の温度範囲で加熱処理を行う。
また、本発明において、ジンジパイン阻害活性機能を有する有効成分には、上述したように所望のタンパク質を精製したものを用いてもよいが、有効成分であるタンパク質を有効量含むのであれば、植物体組織またはその乾燥品、粉砕品、抽出物をそのまま有効成分として使用してもよい。なお、乾燥品や粉砕品の調製方法も本発明による有効成分を含んで得ることができる限り、特に限定されない。
本発明の口腔組成物は、前記本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を含んでおればよく、口腔組成物の種類は特に限定されず、例えば歯磨きやマウスウォッシュのように口腔内で用いられているものを含み、具体的には、練り状、液体状、粉末状の歯磨き剤、マウススプレーなどの口中清涼剤、トローチ剤、うがい剤、シロップ剤等の医薬品又は医薬部外品が挙げられる。
また、本発明の食料品は、前記本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を含んでおればよく、食料品の種類は特に限定されず、例えば、飴、チューインガム、トローチ、ジャム、飲料等が挙げられる。
また、本発明の口腔組成物及び食料品において、本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤の配合割合は、口腔組成物、食料品の種類及び該口腔組成物や食料品に配合される他の成分の種類や量に応じて適宜選択することができる。また、歯周病菌プロテアーゼ阻害剤の剤型は特に限定されず任意である。
本発明の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤によれば、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。
本発明の口腔組成物及び食料品によれば、副作用等の心配のない古くから用いられ、天然物であるイネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有しているため、安全性に優れ、且つジンジパインを阻害するので歯周病の治療や予防に有用である。
以下に本発明の実施例によって、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
米糠タンパク質の抽出。コシヒカリ玄米を90%まで精米した際に生じる米糠1kgを原料として、これに4倍量の25mMリン酸ナトリウム緩衝液(0.15M NaClを含む、pH6.0)を加えて、4℃で1時間浸漬した。次いで、磨砕処理を行い、固形分を除いた後、80℃で10分間加熱処理し、タンパク質分解酵素の活性を失活させた。生じた沈殿物を除去し、抽出物に30%飽和になるように硫酸アンモニウムを添加して沈殿する画分を除去し、その上清に70%飽和になるように硫酸アンモニウムを追加して沈殿する画分を米糠タンパク質画分として分離した。本画分は、リン酸ナトリウム緩衝液(0.15M NaClを含む、pH6.0)に再溶解し、4℃で透析後、凍結保存した。
組換えオリザシスタチン−I, −II, −IIIの調製。
(オリザシスタチン−Iならびにオリザシスタチン−IIIをコードするcDNAの単離)コシヒカリのカルスから抽出したRNAを用いて、オリザシスタチン−Iとオリザシスタチン−IIIをコードするcDNAをPCRクローニングにより取得した。増幅反応にはTaKaRa One Step RNA PCR Kit(タカラバイオ製)を利用した。オリザシスタチン-I cDNAのクローニングに用いたプライマーは5’−ATGTCGAGCGACGGAGGGCC−3’と5’−GATGGGCCTTAGGCATTTGC−3’、オリザシスタチン−III cDNA用のプライマーは、5’−ATGGCCGAGGAGGCGCAGAG−3’と5’−CTATGTACGTTTAGGCGGTG−3’である。PCR増幅産物は、TA cloning Kit(インビトロジェン製)によりpCR2.1にサブクローニングした。
(オリザシスタチン−Iならびにオリザシスタチン−IIIの発現プラスミドの構築)オリザシスタチン−Iならびにオリザシスタチン−IIIは、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)配列をN末に有し、GST配列とオリザシスタチン配列の間にFactor Xaによる切断部位を持つ融合タンパク質として発現させた。Factor Xa切断部位(Ile−Glu−Gly−Arg)は、PCR反応を利用して、オリザシスタチン−Iならびにオリザシスタチン−IIIの翻訳シグナルの直上に付加した。そのために用いたプライマーは、オリザシスタチン−I用が5’−ATCGAAGGTCGTATGTCGAGCGACGGAGGGCC−3’と5’−GATGGGCCTTAGGCATTTGC−3’、オリザシスタチン−III用が5’−GGATCCATCGAAGGTCGTATGGCCGAGGAGGCGCAGCA−3’と5’−TTAGGCGGTGGCGTCGTCGAGGGGCTTGAAATCC−3’である。PCR増幅産物は、TA cloning Kit(インビトロジェン製)によりpCR2.1にサブクローニングした。制限酵素で切断後、Factor Xa認識部位を付加したオリザシスタチン−I配列はpGEX-4T-2(アマシャムバイオサイエンス製)、Factor Xa認識部位を付加したオリザシスタチン−III配列はpGEX-6P-2(アマシャムバイオサイエンス製)の、それぞれGSTコーディング領域の下流に挿入した。
(オリザシスタチン−IIをコードする発現プラスミドの構築)Factor Xa認識部位をN末に付加したオリザシスタチン-II cDNAを、オリザシスタチン-III cDNAをテンプレートとするPCR反応により合成した。そのために用いたプライマーは5’− GGATCCATCGAAGGTCGTATGGCCGAGGAGGCGCAGAGCCACGCGCGTGAAGGTGGGCGGCATCCACGACAGCCGGCCGGGCGCGAGA−3’と5’− TTAGGCGGTGGCGTCGTCGAGGGGCTTGAAATCC−3’である。PCR増幅断片はTA cloning Kit(インビトロジェン製)によりpCR2.1にサブクローニングした。制限酵素で切断後、Factor Xa認識部位を付加したオリザシスタチン−II配列はpGEX-6P-2(アマシャムバイオサイエンス製)のGSTコーディング領域の下流に挿入した。
(組換えオリザシスタチン−I、オリザシスタチン−IIならびにオリザシスタチン−IIIの調製)GST−オリザシスタチン(−I/−II/−III)発現プラスミドを導入した大腸菌BL21株(アマシャムバイオサイエンス製)を、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で、37℃で培養した。培養開始から3時間後にIPTG(isopropyl-1-thio-β-D-galactoside)を1.0mMの濃度になるように添加し、更に6時間の培養を行った。培養終了後、集菌した菌体を1% Triton X-100を含むPBS(10mM NaHPO/1.8mM KHPO-140mM NaCl-2.7mM KCl)に懸濁し、超音波処理にて菌体を破壊した。次いで、固形分を遠心分離によって除去した菌体破砕液から、GSTrap HPカラム(アマシャムバイオサイエンス製)を用いて融合タンパク質をアフィニティー精製した。融合タンパク質を含む画分を回収したあと、50mM Tris−HCl (pH8.0)-100mM NaCl−5mM CaClで透析し、更に5U/mlの濃度になるようにFactor Xa(ノバジェン製)を加えて、25℃で2〜3時間の切断反応を行った。反応液からHiTrap Benzamidine FFカラム(アマシャムバイオサイエンス製)でFactor Xaを吸着除去した後、GSTrap HPカラムクロマトグラフィーによって切断されたGSTを除去し、オリザシスタチン−I、オリザシスタチン−IIならびにオリザシスタチン−IIIの精製標品を得た。
ジンジパイン阻害活性の測定。
(酵素標品の調製)Porphyromonas gingivalis JCM8525を、5%ウシ胎児血清を添加したKGB培地で波長600nmにおける吸光度が2.1に達するまで培養し、遠心分離(10,000rpm、10分間)で菌体を集めた。次いで、菌体を50mM Tris−HCl(1mM CaClを含む、pH7.4)に懸濁し、超音波処理によって菌体を破砕した後、固形分を遠心分離で除去した。回収した破砕上清をRgp(アルギニン特異的システインプロテアーゼ)並びにKgp(リジン特異的システインプロテアーゼ)測定の酵素標品として使用した。
(Rgp阻害活性)測定用の緩衝液には、0.2M Tris−HCl/0.1M NaCl/5mM CaCl/10mM L−システイン(pH7.6)を使用した。酵素標品として前述のPorphyromonas gingivalis菌体抽出液(2.78μgタンパク質/ml)と所定濃度の測定サンプル(イネタンパク質標品)を加え、40℃で5分間のプレインキュベーションを行った。その後、酵素基質となるBz−Arg−MCA(ペプチド研究所製)を50μMの濃度になるように添加し、酵素反応を開始した。蛍光分光光度計(Shimadzu RF−5300PC;(株)島津製作所社製、励起波長380nm、吸収波長440nm)を用いて、反応の進行に伴う蛍光強度の増加をモニタリングし、酵素反応の強さは基質から遊離するAMC量で評価した。30〜70%硫安分画によって調製した米糠タンパク質標品のRgp阻害活性を図1に示す。
図1に示したように、2.0mg/ml以下の濃度で強いRgp阻害活性を認めることができた。また、90℃、30分間の加熱処理によってRgp阻害活性が増強されたことから、米糠タンパク質標品の阻害活性に対する加熱処理の有効性が明らかとなった。これらの結果より、米糠タンパク質がジンジパイン阻害剤として、さらには、歯周病予防因子として利用できることが明らかとなった。
(Kgp阻害活性)測定用の緩衝液には、0.2M Tris−HCl/0.1M NaCl/5mM CaCl/10mM L−システイン(pH7.6)を使用した。酵素標品として前述のPorphyromonas gingivalis菌体抽出液(21.5μgタンパク質/ml)と所定濃度の測定サンプル(イネタンパク質標品又はオリザシスタチン−I,−II,−III)を加え、40℃で5分間のプレインキュベーションを行った。その後、酵素基質となるBoc−Val−Leu−Lys−MCA(ペプチド研究所製)を50μMの濃度になるように添加し、酵素反応を開始した。蛍光分光光度計(Shimadzu RF−5300PC;(株)島津製作所社製、励起波長380nm、吸収波長440nm)を用いて、反応の進行に伴う蛍光強度の増加をモニタリングし、酵素反応の強さは基質から遊離するAMC量で評価した。オリザシスタチン−I,−II,及び−IIIのKgp阻害活性を図2に示し、30〜70%硫安分画によって調製した米糠タンパク質標品のKgp阻害活性を図3に示す。
図2及び図3に示すように、オリザシスタチン−IIIは10μM以下の低い濃度でKgpに対して阻害活性を示し、米糠タンパク質標品も2mg/ml以下の濃度で強いKgp活性を示した。オリザシスタチン−IIIと米糠タンパク質標品のいずれの場合においても、加熱処理はKgp阻害活性を増強した。以上の結果からも、オリザシスタチン−IIIや米糠タンパク質標品というイネ由来のタンパク質が、ジンジパイン阻害剤として、更には、歯周病予防因子として利用できることが明らかとなった。
(練歯磨の調製)以下の処方により常法に従って練歯磨を調製した。
炭酸カルシウム50.00重量%、グリセリン20.00重量%、カラギーナン0.50重量%、カルボキシメチルセルロース1.00重量%、ラウリル硫酸ナトリウム2.00重量%、香料1.00重量%、サッカリン0.10重量%、イネ由来タンパク質画分2.00重量%、水23.40重量%。
(寒天ゼリーの調製)以下の処方により常法に従って寒天ゼリーを調製した。
寒天15g、水あめ250g、砂糖600g、水450ml、香料・洋酒 少量、オリザシスタチン−III5gを均一に過熱・攪拌し、型に入れ、冷却し寒天ゼリーを得た。
米糠タンパク質標品のRgp阻害活性試験の結果を示すグラフである。 オリザシスタチン−I,−II,及び−IIIのKgp阻害活性試験の結果を示すグラフである。 米糠タンパク質標品のKgp阻害活性試験の結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. イネ科植物由来のタンパク質を有効成分として含有することを特徴とする歯周病菌プロテアーゼ阻害剤。
  2. 前記イネ科植物由来のタンパク質が、イネに含まれるタンパク質、イネ由来のオリザシスタチン又はそれらの部分ペプチドのうちの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤。
  3. 請求項1又は2記載の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を含有することを特徴とする口腔用組成物。
  4. 請求項1又は2記載の歯周病菌プロテアーゼ阻害剤を含有することを特徴とする食料品。
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