JP2007016573A - 木造住宅における地震時避難用架構体 - Google Patents

木造住宅における地震時避難用架構体 Download PDF

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Abstract

【課題】 既存の木造住宅において改修に要する費用をできるだけ節減しながら、地震により倒壊や屋根等の崩れ落ちが発生したとき、素早く一時的に避難して重大事故を免れることができるようにする。
【解決手段】 四本の構造用柱1とこれら構造用柱1の上端部間に亘り剛体連結される四本の構造用梁2と複数本の補強用梁材3により桁・梁間両方向に門型ラーメン構造に構成される骨組体4を既存の木造住宅Bにおける単位部屋R内に設置し、この骨組体4を構成する構造用柱1の下端部を単位部屋Rの四隅部より内方に変位した位置で床面下に増設されるコンクリート基礎11上に定着するとともに、骨組体4の天井面全域には落下物受止用のエキスパンドメタル15が張設されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木造住宅、特に古い耐震基準で建設された既存の木造住宅が地震に遭遇して倒壊したときや、倒壊の危険が切迫している時に一時的に避難することにより、倒壊に伴う重大な事故の発生を効果的に回避することが可能な木造住宅における地震時避難用架構体に関する。
現状の日本における住宅事情をみてみると、古い耐震基準で建設された既存の木造住宅が未だに多数を占めている。このような古い既存の木造住宅では、建築当時の耐震技術が未熟であったために、地震力を受ける壁や柱、梁、胴差、土台等の構成部材がきっちりと接合されてないいとか、土台が基礎にきっちりと接合されていないとかいったように、地震に対して強く抵抗するような仕組みが十分になされていないことが多い。これに老朽化、さらには白蟻の被害等も重なって、先の阪神・淡路大震災のような大地震はもとより、大地震でなく中規模程度の地震であっても、住宅建物全体が倒壊して死亡(圧死)する等の重大な事故につながる可能性が高い。
このような重大な事故につながる住宅建物の倒壊を防ぐための施策として、近年種々の耐震改修技術が提案されている。その代表的な耐震改修技術には、
(a)既存の骨組みを筋かいで補強する。
(b)既存の柱に鉄骨柱を添えて補強する。
(c)構造用合板による耐力壁を設置する。
(d)建物外部に袖壁や鉄骨バットレスを設置する。
等々の耐震補強手段が知られている。
しかし、上記(a)〜(d)で示したような耐震補強手段によれば、その耐震補強された局所の耐震性向上は図れるものの、古い既存の木造住宅では耐震性の低い箇所が一箇所であるケースはほとんどなく、建物全体に亘って数箇所ないし数十箇所にも及んで耐震性が不足しているケースが多く、それら全ての箇所に耐震補強を施すとなると、大掛かりな補強工事を要し耐震改修費用が膨大になるという問題がある。
また、上記のような耐震補強を施してない場合はもちろん、例え耐震補強を施した場合であっても、補強による耐震性を越えるような大きな地震が発生し、これによって、住宅建物が倒壊あるいは屋根が崩れ落ちるなど倒壊に近い状態になったとき、その倒壊した建物や崩れ落ちた屋根等の下敷きになって死亡する等の重大事故を引き起こすことは避けられず、この点が古い木造住宅における耐震改修に携わるにあたって最も大きな課題である。
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、改修に要する費用をできるだけ節減しながら、地震により倒壊や屋根等の崩れ落ちが発生したとき、素早く一時的に避難して重大事故を免れることができる木造住宅における地震時避難用架構体を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る木造住宅における地震時避難用架構体は、木造住宅における単位部屋内の四隅部に立設される四本の構造用柱と、前記単位部屋の天井面下で四つの壁面に沿わせて配置され前記各構造用柱の上端部間に亘り剛体連結される四本の構造用梁とにより桁・梁間両方向に門型ラーメン構造の骨組体を構成し、この骨組体の四本の構造用梁のうち少なくとも対向する一組の梁間にはその長手方向に間隔を隔てて複数本の補強用梁材が剛接合されているとともに、前記骨組体の四本の構造用柱の下端部には木造住宅用の基礎よりも単位部屋の内方に変位した位置で前記単位部屋の床面下に増設されるコンクリート基礎上に定着可能な曲がり柱体が一体連結され、かつ、前記骨組体の天井面全域には落下物受止用の面材が設けられていることを特徴としている。
上記のごとき特徴構成を有する本発明によれば、桁・梁間両方向に門型ラーメン構造に構成され、その天井面全域に落下物受止用の面材が設けられた骨組体を、木造住宅における多数の部屋のうちで、住人が最も行動しやすい位置にあること等の理由から任意に選定された下階の一つの単位部屋内に設置するとともに、その骨組体の四本の構造用柱の下端部に一体連結した曲がり柱体を単位部屋の床面下に増設されるコンクリート基礎に定着することにより、地震の発生に伴い住宅建物自体が倒壊したり、屋根等が崩れ落ちたり、あるいは、倒壊の危険が切迫したりするなどの異常事態に陥った際もその地震に十分に耐えるだけの構造強度を有する架構体を木造住宅内に確保することが可能である。したがって、地震が発生したときは、その架構体内に素早く一時的に避難することができ、これによって、倒壊した建物や崩れ落ちた屋根等の下敷きになって死亡(圧死)する等の重大事故を免れることができる。
特に、地震に対して強く抵抗するような仕組みが十分になされていない古い耐震基準で建設され、かつ、老朽化や白蟻の被害等も重なり耐震性の不足する箇所が多数存在する状況にある既存の木造住宅における地震対策として非常に効果的であり、しかも、一つの単位部屋内に架構体を設置するだけでよいから、既述(a)〜(d)で示したような耐震補強を住宅建物の数箇所ないし数十箇所にも施す必要のある近時の耐震改修手段に比べて、改修に要する費用を節減することができるという効果を奏する。
本発明に係る木造住宅における地震時避難用架構体において、前記骨組体の四本の構造用柱としては、請求項2に記載のように、断面丸型もしくは角型の鋼管から構成されているとともに、曲がり柱体としても断面丸型もしくは角型の鋼管エルボから構成されていることが好ましい。
この場合は、骨組体を桁・梁間両方向に門型ラーメン構造に構成するにあたって必要な柱及び曲がり柱体として、既製(市販)の鋼管及び鋼管エルボをそのまま利用することが可能であり、架構体の製作コストの低減化を図ることができる。
また、本発明に係る木造住宅における地震時避難用架構体において、請求項3に記載のように、前記骨組体の四本の構造用柱のうち対角方向に位置する二本の柱の上端部間にそれぞれ水平ブレースを架設することによって、骨組体の耐震強度をより増大化して、地震時の避難用架構体の使用安全性を一層高めることができる。
さらに、本発明に係る木造住宅における地震時避難用架構体において、前記骨組体の天井面全域に設けられる落下物受止用の面材としては、請求項4に記載のように、エキスパンドメタルもしくは波形板のいずれを使用してもよい。
エキスパンドメタルを使用する場合は、埃など人命に影響ない小物の落下侵入は許容しながら、避難用架構体の軽量化が可能であり、また、波形板を使用する場合は、架構体の重量が少し増えるものの、埃など小物の落下侵入も防いで救助されるまでの時間が長くかかる時の一時的避難による救命効果を高めることができる。
なお、以上の説明では、地震が発生したとき、単位部屋内に設置された架構体内に逃げ込み避難するものとして説明したが、夜間等においてはその架構体を設置した部屋内で就寝することにより、就寝時の地震発生に対して逃げ遅れなどがなく、一層有効な避難効果を発揮させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る地震時避難用架構体Aを、古い既存の二階建て木造住宅Bにおける多数の部屋のうち、施主(所有者)が選定した下階(1FL)の一つの単位部屋R内に施工した状態を示す要部の縦断面図、図2は図1のX−X線での横断面図、図3は図1のY−Y線での横断面図であり、この地震時避難用架構体Aは、その主要構成として、前記単位部屋R内の四隅部に立設される四本の構造用柱1と、前記単位部屋Rの天井面C下で四つの壁面Wに沿わせて配置され前記構造用柱1の上端部間に亘り剛体連結される四本の構造用梁2と、この四本の構造用梁2のうち対向する一組の梁2,2間にそれら梁2,2の長手方向に一定間隔を隔てて剛接合される複数本(図面上では三本で示すが、二本であっても四本以上であってもよい)の補強用梁材(小梁)3と、により構成される骨組体4を具備している。
前記四本の構造用柱1として断面丸型の鋼管を使用することによって、前記骨組体4を、桁・梁間両方向に門型ラーメン構造に構成している。また、前記四本の構造用梁2としてはH型鋼が使用され、これら構造用梁2は、図4に明示するように、丸型鋼管からなる前記構造用柱1の上端部に溶接固定して内方へ突出させた短尺H型鋼5に継手部材6及びハイテンションボルト7を介して施工現場により剛体連結可能に構成されている。さらに、前記補強用梁材3としては前記構造用梁2よりも成の小さいH型鋼が使用され、図5に明示するように、前記構造用梁2に溶接固定された継手プレート8にハイテンションボルト9を介して施工現場で剛に接合可能に構成されている。
そして、前記各構造用柱1の下端部には、図4及び図6に明示するように、木造住宅Bにおける既築布基礎B1の四隅部よりも単位部屋Rの斜め内方に変位した位置で、前記単位部屋Rの床面F下の割栗10上に現場打ちコンクリートにより形成される鉄筋入りコンクリート基礎(ベタ基礎)11上にアンカーボルト12を介して定着可能な曲がり柱体13が一体連結されている。この曲がり柱体13は、断面丸型で45°に屈曲された二つの鋼管エルボ13a,13aを接合して構成され、下部の鋼管エルボ13aの下端水平面に前記アンカーボルト12による定着用プレート14が溶着されている。
また、前記骨組体4の天井面を形成するところの前記複数本の補強用梁材(H型鋼)3の下面全域には、図2及び図5に明示するように、落下物受止め用の面材となるエキスパンドメタル15が支持アングル16を介して垂れ下がりのないように張設されている。また、前記四本の構造用柱1のうち対角方向に位置する二本の柱1,1の上端部間にはそれぞれターンバックル締め形式の水平ブレース17が架設されている。
上記のような構成部材からなる地震時避難用架構体Aは、古い既存の二階建て木造住宅Bにおける選定された下階(1FL)の一つの単位部屋R内に現場施工により構築されるものであり、以下、その現場での施工方法について簡単に説明する。
(1)下端部に曲がり柱体13が一体連結され、上端部に短尺H型鋼5が溶接固定された構造用柱1、構造用梁2、補強用梁材3、支持アングル16、水平ブレース17、エキスパンドメタル15等の各構成部材はそれぞれ分解された状態で、施工現場に搬入される。
(2)前記二階建て木造住宅Bにおける選定された下階の単位部屋Rの床面F下に割栗10を施したのち、鉄筋入りコンクリート基礎11を現場打ちコンクリートにより形成する。このとき、該鉄筋入りコンクリート基礎11にはアンカーボルト12を埋め込み設置する。
(3)次に、前記四本の構造用柱1を単位部屋R内に持ち込み、その下端部に溶着されている定着用プレート14を前記アンカーボルト12を介して鉄筋入りコンクリート基礎11上に定着することにより、四本の構造用柱1を前記単位部屋Rの四隅部に立設する。
(4)続いて、前記構造用柱1の上端部の短尺H型鋼5間に亘り継手部材6及びハイテンションボルト7を介して四本の構造用梁2を剛体連結するとともに、対向する一組の梁2,2間に亘り複数本の補強用梁材(小梁)3を継手プレート8、ハイテンションボルト9を介して剛接合することにより、桁・梁間両方向に門型ラーメン構造の骨組体4を組立施工する。
(5)その後、骨組体4の天井面を形成するところの前記複数本の補強用梁材3の下面全域に、支持アングル16を介して落下物受止め用のエキスパンドメタル15を張設するとともに、前記四本の構造用柱1のうち対角方向に位置する二本の柱1,1の上端部間にそれぞれターンバックル締め形式の水平ブレース17を架設することによって、前記単位部屋R内に高強度の地震時避難用架構体Aを構築する。
以上のような現場施工によって、古い既存の二階建て木造住宅Bであっても、任意に選定された単位部屋R内に所定の地震時避難用架構体Aを構築することが可能であり、住宅の一部を解体撤去しそこに新たに地震時避難用架構体Aを含む部屋を構築するといった改築手段に比べて改修に要する費用を低減することができる。
そして、単位部屋R内に所定の地震時避難用架構体Aが構築された後は、地震が発生し住宅外部に避難しえるだけの時間的、体力的、精神的な余裕がなかったとき、木造住宅B内部の間近にある架構体A内に素早く逃げ込んで避難することによって、倒壊した建物や崩れ落ちた屋根等の下敷きになって死亡(圧死)する等の重大事故を回避することができる。
なお、上記実施の形態では、落下物受止め用の面材としてエキスパンドメタル15を張設したものについて説明したが、図7に示すように、骨組体4の天井面を形成するところの前記複数本の補強用梁材3の上面全域に、キーストンプレートと通称される波形板18を敷設してもよい。この場合は、倒壊時に埃など小物が架構体内に落下侵入することも防ぐことが可能である。
また、本発明は、地震に対して強く抵抗するような仕組みが十分になされていない古い耐震基準で建設され、かつ、老朽化や白蟻の被害等も重なり耐震性の不足する箇所が多数存在する状況にある既存の木造住宅における地震対策として非常に効果的であるが、木造住宅を新築する際、二階建ての場合は下階の一つ単位部屋内に、また、平屋建ての場合は任意の単位部屋内に地震対策として避難用架構体Aを予め構築してもおいても、同様な効果を奏することが可能である。
また、構造用柱1として、上記実施の形態では、断面丸型の鋼管を使用したが、断面角型の鋼管を使用してもよい。
さらに、部屋数が非常に多い木造住宅に適用するにあたっては、本発明に係る地震時避難用架構体Aを一つの単位部屋内に設置するだけでなく、複数の単位部屋内に設置することにより、地震発生時に最も近い位置の架構体A内に逃げ込み避難することが可能で、重大事故の発生率を一層低減することができる。
本発明に係る地震時避難用架構体を、古い既存の二階建て木造住宅における一つの単位部屋内に施工した状態を示す要部の縦断面図である。 図1のX−X線での横断面図である。 図1のY−Y線での横断面図である。 図1の要部の拡大縦断面図である。 構造用梁と補強用梁材との取り合い関係及び落下物受止め用エキスパンドメタルの張設状態を示す要部の拡大図である。 構造用柱のコンクリート基礎への定着部構造を示す要部の縦断面図である。 落下物受止め用波形板の敷設状態を示す要部の拡大図である。
符号の説明
1 構造用柱
2 構造用梁
3 補強用梁材(小梁)
4 桁・梁間両方向にラーメン構造の骨組体
11 鉄筋入りコンクリート基礎
13 曲がり柱体
13a 鋼管エルボ
15 エキスパンドメタル(落下物受止め用面材の一例)
17 水平ブレース
18 波形板(落下物受止め用面材の他の例)
A 地震時避難用架構体
B 既存の二階建て木造住宅
C 天井面
F 床面
R 単位部屋

Claims (4)

  1. 木造住宅における一つの単位部屋内の四隅部に立設される四本の構造用柱と、前記単位部屋の天井面下で四つの壁面に沿わせて配置され前記各構造用柱の上端部間に亘り剛体連結される四本の構造用梁とにより桁・梁間両方向に門型ラーメン構造の骨組体を構成し、この骨組体の四本の構造用梁のうち少なくとも対向する一組の梁間にはその長手方向に間隔を隔てて複数本の補強用梁材が剛接合されているとともに、前記骨組体の四本の構造用柱の下端部には木造住宅用の基礎よりも単位部屋の内方に変位した位置で前記単位部屋の床面下に増設されるコンクリート基礎上に定着可能な曲がり柱体が一体連結され、かつ、前記骨組体の天井面全域には落下物受止用の面材が設けられていることを特徴とする木造住宅における地震時避難用架構体。
  2. 前記骨組体の四本の構造用柱が、断面丸型もしくは角型の鋼管から構成されているとともに、前記曲がり柱体が断面丸型もしくは角型の鋼管エルボから構成されている請求項1に記載の木造住宅における地震時避難用架構体。
  3. 前記骨組体の四本の構造用柱のうち対角方向に位置する二本の柱の上端部間にはそれぞれ水平ブレースが架設されている請求項1または2に記載の木造住宅における地震時避難用架構体。
  4. 前記落下物受止用の面材が、エキスパンドメタルもしくは波形板である請求項1〜3のいずれかに記載の木造住宅における地震時避難用架構体。
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