JP2007016828A - 針状ころ軸受の保持器の製造方法および針状ころ軸受の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 この発明は、ころを安定して案内することができる針状ころ軸受の保持器の製造方法および針状ころ軸受の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 針状ころ軸受の保持器の製造方法は、柱部の側壁面のうち円筒面を形成したときに外径となる側が打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面となり、内径となる側が打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面となるようにポケットを打ち抜くポケット抜き工程と、柱部の中央部を、円筒面を形成したときに内径となる側に押し曲げるプレス工程とを含む。
【選択図】 図2
【解決手段】 針状ころ軸受の保持器の製造方法は、柱部の側壁面のうち円筒面を形成したときに外径となる側が打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面となり、内径となる側が打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面となるようにポケットを打ち抜くポケット抜き工程と、柱部の中央部を、円筒面を形成したときに内径となる側に押し曲げるプレス工程とを含む。
【選択図】 図2
Description
この発明は、針状ころ軸受の保持器の製造方法および針状ころ軸受の製造方法に関し、特に、2サイクルエンジンのコンロッド等に使用されるシェル形針状ころ軸受の保持器の製造方法およびシェル形針状ころ軸受の製造方法に関する。
シェル形針状ころ軸受は、軸受投影面積が小さいにもかかわらず、高荷重の負荷を受けることができ、かつ、高剛性であるため、排気量の小さい2サイクルエンジンのコンロッド等に使用されている。ここで、シェル形針状ころ軸受は、鋼板を絞り加工等して成型されたシェル形外輪と、針状ころと、シェル形外輪の内径面に沿うように配置される保持器とを含む。保持器には、針状ころを保持するためのポケットが設けられ、各ポケットの間に位置する柱部で、各針状ころの間隔を保持する。
ここで、上記したシェル形針状ころ軸受に含まれる保持器の製造方法について、簡単に説明する。まず、保持器の材料となる帯鋼を、ころを保持することができる大きさのポケット穴を開口するようポケット抜きする。その後、帯鋼の断面形状がV字状となるようにプレス加工する。プレス加工後、保持器の円周長さとなるように切断し、切断された帯鋼を円筒状に折り曲げ、折り曲げられた帯鋼の端面同士を溶接等により接合し、熱処理工程を行い、保持器を製造する。
ここで、帯鋼の断面形状がV字状となるプレス加工を行うと、径方向の断面高さを大きく確保することができるため、次のような効果が生じる。図7は、プレス加工を行った後に、切断された帯鋼を円筒状に折り曲げる前後の径方向の断面図である。保持器104が円筒状に折り曲げられる前(図7(a))の柱部106の内径面112側の間隔は、保持器104が円筒状に折り曲げられた後(図7(b))に小さくなるため、ポケットに保持された針状ころ103が内径面112側に抜け落ちることを防止することができる。この場合、さらに、柱部106の外径面111側に、ころ抜け防止部を設けることにより、針状ころ103が外径面111側に抜け出るのを防止するようにしてもよい。
また、図8は、針状ころ103が保持された保持器104が、外輪102および軸101に組み込まれた状態を示す図であり、断面形状がV字状となるプレス加工を行うことにより、針状ころ103を案内するのに最も挙動が安定する位置であるPCD(Pitch Circle Diameter)105付近で、針状ころ103を案内することもできる。
なお、上記した工程により製造された保持器と同様の形状を有する針状ころ軸受の保持器が、特開2005−98368号公報(特許文献1)に記載されている。
特開2005−98368号公報(段落番号0040、図2)
上記したポケット抜き工程では、打ち抜き刃を有するポンチ等で、保持器の材料に対し、ポケット形状に刃先を押し当てて打ち抜くことにより行う。この場合、打ち抜かれたポケットの側壁面、すなわち、各ポケットの間に位置する柱部の側壁面には、せん断面および破断面が発生することになる。せん断面とは、ポンチ等の打ち抜き刃の刃先によって打ち抜かれて切断される平滑な面である。また、破断面とは、ポンチ等の打ち抜き刃によって打ち抜くときに、刃先によって押し込まれた材料で引きちぎられるように切断される粗い面である。
ここで、ポケット抜き工程において、円筒状に折り曲げられたときに、内径面となる側からポケットを打ち抜くと、柱部の側壁面の外径面となる側に破断面が位置することになる。
図9は、この場合の保持器104の径方向の断面図であり、図10は、この場合の保持器104の軸方向の断面図である。図10において、点線で示された部分は、保持器104のポケットに保持された針状ころ103を示しており、一点鎖線は、PCD105を示す。図9および図10を参照して、内径面112側となる図中の矢印Xの方向からポケット抜きを行うと、側壁面110の内径面112側にはせん断面108が位置し、側壁面110の外径面111側には破断面109が位置することになる。ここで、保持器104はV字状にプレス加工されているため、針状ころ103を保持したときに、側壁面110の中央部のPCD105付近に、破断面109が位置し、側壁面110の端部のPCD105付近に、せん断面108が位置することになる。
この場合のPCD105における側壁面110の形状曲線114を、針状ころ103の外形輪郭線113と重ねて、図11に示す。図11を参照して、側壁面110のうち、中央部は破断面109であり、端部はせん断面108である。そうすると、形状曲線114は外形輪郭線113に対して、中央部に凹んだ形状となり、針状ころ103は、側壁面110の端部のせん断面108に接触して案内されることになる。
しかし、針状ころ103の端部は面取り部であり、また、側壁面110の端部は針状ころ103の外形輪郭線113と沿う形状ではないため、適切に接触することができず、安定して針状ころ103を案内することができない。
この発明は、ころを安定して案内することができる針状ころ軸受の保持器の製造方法および針状ころ軸受の製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る針状ころ軸受の保持器の製造方法は、一対の環状部と、針状ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを有する針状ころ軸受の保持器の製造方法である。ここで、上記した製造方法は、柱部の側壁面のうち円筒面を形成したときに外径となる側が打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面となり、内径となる側が打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面となるようにポケットを打ち抜くポケット抜き工程と、柱部の中央部を、円筒面を形成したときに内径となる側に押し曲げるプレス工程とを含む。
このような工程で針状ころ軸受の保持器を製造することにより、PCD付近のころを案内する柱部の側壁面のうち、中央部の、平滑で、ころの外形に沿うせん断面でころを案内することができるため、ころを安定して案内することができる。
好ましくは、上記した製造方法に含まれるプレス工程は、針状ころを案内する中央部のせん断面の軸方向の長さが針状ころの軸方向の長さの60%以上となるように押し曲げる工程である。このような工程で針状ころ軸受の保持器を製造することにより、ころを案内するせん断面を多くすることができ、ころの挙動をより安定させることができる。
この発明の他の局面においては、針状ころ軸受の製造方法は、上記したいずれかの針状ころ軸受の保持器の製造方法によって製造された針状ころ軸受の保持器のポケットに、針状ころを組み込む。
このような製造方法で針状ころ軸受を製造することにより、ころを安定して案内することができ、耐焼付き性を向上することができる。
この発明によれば、ころを案内する柱部の側壁面のうち、中央部の、平滑で、ころの外形に沿うせん断面でころを案内することができ、ころを安定して案内することができる針状ころ軸受の保持器を製造することができる。
また、このような製造方法で針状ころ軸受を製造することにより、ころを安定して案内することができ、耐焼付き性を向上することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る針状ころ軸受をシェル形針状ころ軸受として使用し、コンロッドに取り付けられた状態を示す断面図である。図1を参照して、針状ころ軸受11は、外輪12と、外輪12の内径面に沿うように配置される複数の針状ころ13と、針状ころ13を保持する保持器14とを有する。保持器14は、外輪12の両端面側に位置する一対の環状部と、各針状ころ13を収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを有する。針状ころ軸受11は、コンロッド15に設けられた係合穴に取り付けられる。
ここで、針状ころ軸受11を構成する部材のうち、保持器14の製造方法について説明する。
図2は、この発明の一実施形態に係る針状ころ軸受11の保持器14を製造する工程を示すフローチャートである。また、図3は、図2に示された工程のうち、代表的な工程を表す概略図である。図2および図3を参照して、保持器14の製造方法について説明する。
まず、保持器14の材料となる鋼板を、帯鋼の状態(図3(a))において、針状ころ13を保持するポケットを形成するためのポケット抜き工程(図3(b))を行う。ポケット抜き工程は、打ち抜き刃を有するポンチで、帯鋼に対し、ポケット形状に刃先を押し当てて打ち抜くことにより行う。ここで、ポンチの打ち抜く方向であるが、後の曲げ工程で円筒状に折り曲げたときに、外径面となる側から打ち抜きを行う。
こうすることにより、最終的に製造された保持器について、外径面となる側の柱部の側壁面はせん断面となり、内径面となる側の柱部の側壁面は破断面となる。
次に、ポケットが打ち抜かれた帯鋼を、断面形状がV字状となるように成型するプレス工程(図3(c))を行う。ここで、V字状とは、ポケットが打ち抜かれた帯鋼の中央部と環状部とが円筒状に折り曲げられたときに、径方向に段差が設けられるように押し曲げることをいう。これは、後に外径面となる側から内径面となる側に向かって、プレスで押圧することによって行う。したがって、プレス工程によって、柱部の中央部は、環状部よりも径方向の内側に凹んだ形状となる。
その後、保持器14の円周長さとなるように、帯鋼を切断する切断工程を行う。次に、切断された帯鋼を、外輪12の内径面に沿うような円筒状に折り曲げる曲げ工程(図3(d))を行い、その後、両端面を溶接等により接合する接合工程(図3(e))を行った後、軟窒化処理や浸炭焼入処理等の熱処理工程を行って、保持器14が製造される。
なお、このようにして製造された保持器14のポケットに、複数の針状ころ13を組み込み、針状ころ13が組み込まれた保持器14を外輪12に取り付け、針状ころ軸受11が製造される。
図4は、上記した製造工程で製造された保持器14の軸方向の断面図である。図4において、点線で示された部分は、保持器14のポケットに保持された針状ころ13を示しており、一点鎖線は、PCD26を示す。また、この場合のPCD26における側壁面25の形状曲線32を、針状ころ13の外形輪郭線31と重ねて、図5に示す。
図4および図5を参照して、柱部22は、上述したプレス工程において、内径面28側に断面形状がV字状となるように押し曲げられている。したがって、柱部22の中央部は、環状部21よりも内径面28側に位置することになる。
また、上述したポケット抜き工程において、外径面27側からポンチの打ち抜き刃を押し当てて打ち抜いているため、柱部22の側壁面25においては、外径面27側にはせん断面23が位置し、内径面28側には破断面24が位置している。したがって、PCD26においては、側壁面25の中央部には、外径面27側のせん断面23が位置し、側壁面25の端部には、内径面28側の破断面24が位置することになる。
ここで、側壁面25の中央部に位置するせん断面23の形状曲線32は平滑で、針状ころ13の外形輪郭線31に沿う形状となる。そうすると、針状ころ13の中央部と側壁面25の中央部は適切に接触することができ、安定して針状ころ13を案内することができる。
なお、針状ころ13を案内するせん断面23の軸方向の長さは、針状ころ13の軸方向の長さの60%以上であることが好ましい。ここで、せん断面23の長さをころ長さの60%以上とするには、上記したプレス工程において、PCD26上のせん断面23の長さを、ころ長さの60%以上になるように押し曲げることにより行ってもよい。具体的には、図4中のAの寸法、すなわち、PCD26における一方の環状部21側の破断面24の寸法を、ポケットの軸方向の長さであるBの寸法の20%以下となるように、V字状に、かつ、径方向に押し曲げることにより行う。図5を参照して、形状曲線32の中央部に位置する平滑で外形輪郭線31に沿う形状は、ころ長さの60%以上である。
こうすることにより、ころと適切に接触するせん断面23を多くすることができ、ころの挙動を抑え、より安定して針状ころ13を案内することができる。
ここで、実施例として、図5で示したせん断面がころ長さの60%以上である保持器が含まれる針状ころ軸受、サンプルAとして、図6の形状曲線33で示す、せん断面がころ長さの50%である保持器が含まれる針状ころ軸受、従来品として、従来の保持器が含まれる針状ころ軸受について、各針状ころ軸受をコンロッドに使用して、耐焼付き性を確認する試験を実施した。
試験条件は、以下の通りである。また、本試験結果を、表1に示す。
混合比 :ガソリン/潤滑オイル=50/1
運転パターン :フルスロットル
運転時間 :2時間又は焼き付くまで
運転パターン :フルスロットル
運転時間 :2時間又は焼き付くまで
表1は、上記した試験の結果を示す表である。表1を参照して、従来品においては、針状ころ軸受10個中、8個に対して焼付きが発生した。また、サンプルAにおいては、針状ころ軸受10個中、6個に対して焼付きが発生した。実施例においては、針状ころ軸受10個中、焼付きが発生した軸受はなかった。
したがって、せん断面の軸方向の長さがころ長さの60%以上である場合は、焼付きが発生しなかったので、せん断面の軸方向の長さは60%あれば十分である。
なお、上記の実施の形態においては、シェル形針状ころ軸受について説明したが、これに限らず、ソリッド形針状ころ軸受であってもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係る針状ころ軸受の保持器の製造方法および針状ころ軸受の製造方法により、ころのスキューを抑制することができる針状ころ軸受の保持器および針状ころ軸受を製造することができる。したがって、耐焼付き性を向上させた2サイクルエンジンのコンロッド等に使用される針状ころ軸受の保持器および針状ころ軸受を製造する際に有効に利用できる。
11 針状ころ軸受、12 外輪、13 針状ころ、14 保持器、15 コンロッド、21 環状部、22 柱部、23 せん断面、24 破断面、25 側壁面、26 PCD、27 外径面、28 内径面、31 外形輪郭線、32,33 形状曲線。
Claims (3)
- 一対の環状部と、針状ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結する柱部とを有する針状ころ軸受の保持器の製造方法であって、
前記柱部の側壁面のうち円筒面を形成したときに外径となる側が打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面となり、内径となる側が打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面となるようにポケットを打ち抜くポケット抜き工程と、
前記柱部の中央部を、円筒面を形成したときに内径となる側に押し曲げるプレス工程とを含む、針状ころ軸受の保持器の製造方法。 - 前記プレス工程は、針状ころを案内する前記せん断面の軸方向の長さが針状ころの軸方向の長さの60%以上となるように押し曲げる工程である、請求項1に記載の針状ころ軸受の保持器の製造方法。
- 請求項1または2に記載された針状ころ軸受の保持器の製造方法によって製造された針状ころ軸受の保持器のポケットに、針状ころを組み込む、針状ころ軸受の製造方法。
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