JP2007019032A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】活物質層の充放電に伴う構造破壊、および電解質との反応性を低減させることにより、サイクル特性を向上させることができる電極およびそれを用いた電池を提供する。
【解決手段】Cu,Ni,Ti,FeあるいはCrなどのLiと金属間化合物を形成しない金属元素を含む金属材料よりなる集電体11と、SiあるいはGeまたはこれらの合金を含む活物質層12と、CuあるいはNiなどのリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む金属材料よりなる薄膜層13とがこの順で積層されている。集電体11は活物質層12と合金化しており、薄膜層13は活物質層12と合金化している。
【選択図】図1
【解決手段】Cu,Ni,Ti,FeあるいはCrなどのLiと金属間化合物を形成しない金属元素を含む金属材料よりなる集電体11と、SiあるいはGeまたはこれらの合金を含む活物質層12と、CuあるいはNiなどのリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む金属材料よりなる薄膜層13とがこの順で積層されている。集電体11は活物質層12と合金化しており、薄膜層13は活物質層12と合金化している。
【選択図】図1
Description
本発明は、集電体と活物質層とを有する電極を用いた電池に関する。
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が切望されている。この要求に応える二次電池としてリチウム二次電池がある。しかし、現在におけるリチウム二次電池の代表的な形態である、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を用いた場合の電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は極めて困難な状況である。そこで、古くから負極に金属リチウム(Li)を用いることが検討されているが、この負極を実用化するには、リチウムの析出溶解効率の向上およびデンドライト状の析出形態の制御などを図る必要がある。
その一方で、最近、ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge)あるいはスズ(Sn)などを用いた高容量の負極の検討が盛んに行われている。しかし、これらの負極は充放電を繰り返すと、活物質の激しい膨張および収縮により粉砕して微細化し、集電性が低下したり、表面積の増大に起因して電解液の分解反応が促進され、サイクル特性は極めて劣悪であった。そこで、気相法、液相法あるいは焼結法などにより集電体に活物質層を形成した負極も検討されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3参照。)。これによれば、粒子状の活物質およびバインダーなどを含むスラリーを塗布した従来の塗布型負極に比べて微細化を抑制することができると共に、集電体と活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。また、従来は負極中に存在した導電材、バインダーおよび空隙などを低減または排除することもできるので、本質的に負極を薄膜化することが可能となる。
しかしながら、この負極でも、充放電に伴う活物質の膨張収縮により、活物質の脱落が起こり、サイクル特性が十分とは言えない。また、電解質との反応性は依然として高く、充放電に伴う電解質との反応によって、電池の容量低下を誘発してしまう。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、活物質層の充放電に伴う構造破壊、および電解質との反応性を低減させることにより、サイクル特性を向上させることができる電池を提供することにある。
本発明による第1の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、銅,ニッケル,チタン,鉄およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含む集電体と、この集電体に設けられたケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む活物質層と、この活物質層の表面の少なくとも一部に設けられた銅およびニッケルのうちの少なくとも1種を含む薄膜層とを備えたものである。
本発明による第2の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素を含む集電体と、この集電体に設けられたケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む活物質層と、この活物質層の表面の少なくとも一部に設けられたリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む薄膜層とを備えたものである。
本発明による第1および第2の電池では、リチウムとの金属間化合物の形成に伴う集電体の構造破壊が防止され、活物質層の膨張および収縮に伴う集電体からの脱落が抑制される。また、薄膜層により活物質層と電解質との反応が抑制されると共に、膨張および収縮に伴う活物質層の構造破壊も抑制される。よって、サイクル特性が向上する。
本発明の電池によれば、銅,ニッケル,チタン,鉄およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含む集電体、または、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素を含む集電体を備えるようにしたので、リチウムとの金属間化合物の形成に伴う集電体の構造破壊がなく、活物質層の膨張および収縮に伴う集電体からの脱落を抑制することができる。また、活物質層に、銅およびニッケルのうちの少なくとも1種を含む薄膜層、または、リチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む薄膜層を備えるようにしたので、活物質層と電解質との反応を抑制することができると共に、薄膜層が活物質層を覆うことにより、膨張および収縮に伴う活物質層の構造破壊も抑制することができる。その結果、サイクル特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電極の構成を簡略化して表すものである。この電極10は、例えば、集電体11と、集電体11に設けられた活物質層12と、活物質層12に設けられた薄膜層13とを有している。集電体11,活物質層12および薄膜層13はこの順に積層されている。活物質層12および薄膜層13は、集電体11の両面に形成されていてもよく、片面に形成されていてもよい。
集電体11は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、活物質層12を支える能力が小さくなり活物質層12が集電体11から脱落し易いからである。なお、本明細書において金属材料には、金属元素の単体だけでなく、2種以上の金属元素あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなる合金も含める。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅,ニッケル,チタン,鉄あるいはクロムが挙げられる。
中でも、活物質層12と合金化する金属元素が好ましい。活物質層12は、後述するように、リチウムと合金化するケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいるので、充放電に伴い大きく膨張・収縮するが、活物質層12を集電体11と合金化させて強固に接着させることにより、活物質層12の集電体11からの脱落を抑制することができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、活物質層12と合金化する金属元素、具体的には、ケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属元素としては、銅,ニッケルあるいは鉄が挙げられる。特に、活物質層12との合金化、強度および導電性の観点からは、銅,ニッケルあるいは鉄が好ましい。
なお、集電体11は、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、活物質層12と接する層をケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。また、集電体11は、活物質層12との界面以外は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種よりなる金属材料により構成することが好ましい。
活物質層12は、例えば、活物質として、ケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んで構成されている。ケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物は、リチウムなどと合金を形成可能であり、かつリチウムを吸蔵・離脱する能力が大きく、組み合わせによっては、従来の黒鉛と比較して電極10のエネルギー密度を高くすることができるからである。ケイ素の化合物としては、例えば、SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 N4 ,Si2 N2 O,SiOv (0<v≦2)あるいはLiSiOが挙げられる。また、ゲルマニウムの化合物としては、例えば、Ge3 N4 ,GeO,GeO2 ,GeS,GeS2 ,GeF4 あるいはGeBr4 が挙げられる。
活物質としては、特に、ケイ素の単体または化合物が好ましい。ケイ素の単体および化合物は、毒性が低く、かつ安価だからである。
この活物質層12は、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであることが好ましい。充放電に伴う活物質層12の膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、集電体11と活物質層12とを一体化することができ、活物質層12における電子伝導性を向上させることができるからである。また、バインダーおよび空隙などを低減または排除でき、電極10を薄膜化することもできるからである。なお、本明細書でいう「活物質層を焼結法により形成する」とは、活物質を含む粉末とバインダーとを混合し成形した層を、非酸化性雰囲気下等で熱処理することにより、熱処理前よりも体積密度が高く、より緻密な層を形成することを意味する。
活物質層12は、また、塗布により形成されたもの、具体的には、活物質と必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んだものでもよい。但し、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものの方が好ましい。上述の理由の他、塗布のみにより形成したものに比べて薄膜層13を容易に形成することができるからである。
活物質層12は、また、膨張および収縮により集電体11から脱落しないように、集電体11との界面の少なくとも一部において集電体11と合金化していることが好ましい。具体的には、界面において集電体11の構成元素が活物質層12に、または活物質の構成元素が集電体11に、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。この合金化は、活物質層11を気相法,液相法あるいは焼結法により形成する際に同時に起こることが多いが、更に熱処理が施されることにより起こったものでもよい。なお、本明細書では、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
薄膜層13は、活物質層12と電解質との反応を抑制すると共に、活物質層12を覆うことにより充放電に伴う活物質層12の構造破壊を抑制するものである。この薄膜層13は、リチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む金属材料、またはその半金属元素の単体により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、活物質層12から脱落し、活物質層12と電解質との反応および活物質層12の構造破壊を十分に抑制することができないからである。なお、薄膜層13は一部が酸化されていてもよい。
リチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素としては、銅あるいはニッケルが挙げられる。
中でも、ケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化するものが好ましく、薄膜層13は、活物質層12との界面の少なくとも一部において活物質層12と合金化していることが好ましい。具体的には、界面において活物質が薄膜層13に、または薄膜層13の構成元素が活物質層12に、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。薄膜層13を活物質層12と合金化させることにより強固に接着させて、薄膜層13の活物質層12からの脱落を抑制することができるからである。
この薄膜層13は、例えば、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであることが好ましい。活物質層12との接着性を向上させることができる共に、薄膜層13を活物質層12上に均一に形成することができるからである。また、これらの方法によれば、薄膜層13と活物質層12との合金化が起こることが多いからである。なお、この合金化は、更に熱処理が施されることにより起こったものでもよい。
薄膜層13の厚みは、50nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましい。薄すぎると、活物質層12と電解質との反応および充放電に伴う活物質層12の構造破壊を十分に抑制することできず、逆に厚すぎると、抵抗が増大し、電池全体の負荷特性を大きく低下させる恐れがあるからである。なお、薄膜層13の厚みは、薄膜層13が活物質層12と合金化している場合、合金化している部分を含まない厚みである。
このような薄膜層13は、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、活物質層12と接する層をケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む金属材料、またはその半金属元素の単体により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。また、薄膜層13は、活物質層12の表面の少なくとも一部に設けられていればよく、全面に設けられている必要はない。例えば、島状に設けられていてもよく、活物質層12を露出させる開口を有していてもよい。
この電極10は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、金属箔よりなる集電体11を用意し、集電体11に、気相法または液相法により、活物質であるケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を堆積させることにより活物質層12を形成する。また、粒子状の活物質を含む前駆層を集電体11に形成したのち、これを焼結させる焼結法により活物質層12を形成してもよいし、気相法,液相法および焼結法のうちの2つまたは3つの方法を組み合わせて活物質層12を形成するようにしてもよい。このように気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により活物質層12を形成することにより、場合によっては、集電体11との界面の少なくとも一部において集電体11と合金化した活物質層12が形成される。なお、集電体11と活物質層12との界面をより合金化させるために、更に真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行うようにしてもよい。特に、活物質層12を後述する鍍金により形成する場合、活物質層12は集電体11との界面においても合金化しにくい場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。また、気相法により形成する場合においても、集電体11と活物質層12との界面をより合金化させることにより特性を向上させることができる場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。
また、活物質層12は、塗布により形成してもよい。具体的には、例えば、活物質であるケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種とバインダーとを混合して合剤を調製し、この合剤をN−メチルピロリドンなどの分散媒に分散させて合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを集電体11に塗布して乾燥させたのち、圧縮成型することにより形成してもよい。但し、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成するようにした方が、集電体11と活物質層12との接着性が高められる他、上述したように活物質層12が形成されるのと同時に集電体11と活物質層12との合金化が進行する場合が多いので好ましい。
活物質層12を形成したのち、例えば、活物質12と同様に、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により活物質層12に薄膜層13を形成する。これにより、活物質層12上に薄膜層13が均一に形成されると共に、場合によっては、活物質層12との界面の少なくとも一部において活物質層12と合金化した薄膜層13が形成される。
なお、活物質層12および薄膜層13を形成する際に用いる気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼結法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼結法,反応焼結法あるいはホットプレス焼結法が利用可能である。
以上の工程により、例えば、図2または図3に示したような電極10が完成する。図2は、活物質層12を気相法,液相法または塗布により形成した場合の一例を表し、図3は、活物質層12を焼結法により形成した場合の一例を表している。活物質層12を気相法,液相法または塗布により形成した場合、図2に示したように、活物質層12は、集電体11の全面に形成され場合が多いので、その上に形成される薄膜層13も活物質層12の全面に形成される場合が多い。一方、活物質層13を焼結法により形成した場合、図3に示したように、活物質層12は塗布した活物質同士の隙間が空隙として残っている場合が多いので、薄膜層13は活物質層12の一部に形成される場合が多い。
この電極10は、例えば、次のような二次電池の負極に用いられる。
図4は、その二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ20に収容された負極である電極10と、外装缶30内に収容された正極である電極40とが、セパレータ50を介して積層されたものである。外装カップ20および外装缶30の周縁部は絶縁性のガスケット60を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ20および外装缶30は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
電極40は、例えば、集電体41と、集電体41に設けられた活物質層42とを有しており、活物質層42の側が薄膜層13と対向するように配置されている。集電体41は、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
活物質層42は、例えば、活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
なお、電極40は、例えば、活物質と導電材とバインダーとを混合して合剤を調製し、この合剤をN−メチルピロリドンなどの分散媒に分散させて合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを金属箔よりなる集電体41に塗布し乾燥させたのち、圧縮成型し活物質層42を形成することにより作製することができる。
セパレータ50は、電極10と電極40とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ50は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
セパレータ50には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩であるリチウム塩と含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネート等の有機溶媒が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
リチウム塩としては、例えば、LiPF6 ,LiCF3 SO3 あるいはLiClO4 が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
この二次電池は、例えば、電極10、電解液が含浸されたセパレータ50および電極40を積層して、外装カップ20と外装缶30との中に入れ、それらをかしめることにより製造することができる。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、電極40からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して電極10に吸蔵される。放電を行うと、例えば、電極10からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して電極40に吸蔵される。この充放電に伴い活物質層12が膨張および収縮するが、集電体11がリチウムと金属間化合物を形成しない金属元素を含んでいるので、集電体11自体の構造破壊が抑制され、活物質層12の集電体11からの脱落が抑制される。また、薄膜層13により活物質層12と電解液との反応が抑制されると共に、膨張および収縮に伴う活物質層12の構造破壊が抑制される。なお、リチウムイオンは、薄膜層13のクラックあるいはピンホールなどを通じて、または、薄膜層13が薄い場合には薄膜層13を拡散することにより、電解液と活物質層13との間を移動すると考えられる。
本実施の形態に係る電極10は、次のような二次電池の負極に用いてもよい。
図5は、その二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、負極のリード1および正極のリード2が取り付けられた電極巻回体3をフィルム状の外装部材4A,4Bの内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
リード1,2は、それぞれ、外装部材4A,4Bの内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。リード1,2は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材4A,4Bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材4A,4Bは、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体3とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材4A,4Bとリード1,2との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム5が挿入されている。密着フィルム5は、リード1,2に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材4A,4Bは、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図6は、図5に示した電極巻回体3のVI−VI線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体3は、負極である電極10と正極である電極70とをセパレータ80および電解質層90を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ100により保護されている。
電極10は、集電体11の片面あるいは両面に活物質層12が設けられた構造を有している。電極70も、集電体71の片面あるいは両面に活物質層72が設けられた構造を有しており、活物質層72の側が薄膜層13と対向するように配置されている。集電体71,活物質層72およびセパレータ80の構成は、それぞれ上述した集電体41,活物質層42およびセパレータ50と同様である。
電解質層90は、保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液あるいは高温における膨れを防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩)の構成は、図4に示したコイン型の二次電池と同様である。
保持体は、例えば高分子材料により構成されている。高分子材料としては、例えばブロック共重合体であるポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、電極10および電極70のそれぞれに、保持体に電解液が保持された電解質層90を形成する。そののち、集電体11の端部にリード1を溶接により取り付けると共に、集電体71の端部にリード2を溶接により取り付ける。
次いで、電解質層90が形成された電極10と電極70とをセパレータ80を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ100を接着して電極巻回体3を形成する。
最後に、例えば、外装部材4A,4Bの間に電極巻回体3を挟み込み、外装部材4A,4Bの外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、リード1,2と外装部材4A,4Bとの間には密着フィルム5を挿入する。これにより、図5および図6に示した二次電池が完成する。
この二次電池の作用は、図4に示したコイン型の二次電池と同様である。
このように本実施の形態では、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素、具体的には、銅,ニッケル,チタン,鉄およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含む集電体を備えるようにしたので、リチウムとの金属間化合物の形成に伴う集電体11の構造破壊がなく、活物質層12の膨張および収縮に伴う集電体11からの脱落を抑制することができる。また、活物質層12にリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、具体的には、銅およびニッケルのうちの少なくとも1種を含む薄膜層13を備えるようにしたので、活物質層12と電解質との反応を抑制することができると共に、薄膜層13が活物質層12を覆うことにより、膨張および収縮に伴う活物質層12の構造破壊も抑制することができる。その結果、サイクル特性を向上させることができる。
特に、集電体11と活物質層12とが合金化するようにすれば、活物質層12の構造破壊をより抑制することができる。また、活物質層12と薄膜層13とが合金化するようにすれば、活物質層12と電解質との反応をより抑制することができる。
また、薄膜層13の厚みを、50nm以上1000nm以下とすれば、負荷特性を低下させることなく、活物質層12と電解質との反応を抑制することができる。
更に、電解質としてゲル状の電解質を用いるようにすれば、高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液あるいは高温における膨れを防止することができる。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1,1−2)
まず、厚み20μmの銅箔よりなる集電体11上に電子ビーム蒸着法によりケイ素よりなる厚みの活物質層12を形成し、引き続き、活物質層12上に電子ビーム蒸着法によりニッケルまたは銅よりなる厚み200nmの薄膜層13を形成し、実施例1−1,1−2の電極10を作製した。なお、活物質層12および薄膜層13の厚みはSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)により確認した。
まず、厚み20μmの銅箔よりなる集電体11上に電子ビーム蒸着法によりケイ素よりなる厚みの活物質層12を形成し、引き続き、活物質層12上に電子ビーム蒸着法によりニッケルまたは銅よりなる厚み200nmの薄膜層13を形成し、実施例1−1,1−2の電極10を作製した。なお、活物質層12および薄膜層13の厚みはSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)により確認した。
次いで、作製した実施例1−1,1−2の電極10を用いて、図4に示した直径20mm、厚み16mmのコイン型の二次電池を作製した。電極40は、活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )の粉末と、導電材であるカーボンブラックと、バインダーであるポリフッ化ビニリデンとを、コバルト酸リチウム:カーボンブラック:ポリフッ化ビニリデン=92:3:5の質量比で混合し、これを分散媒であるN−メチルピロリドンへ投入して合剤スラリーとし、厚み30μmのアルミニウムよりなる集電体41に塗布して乾燥させ、加圧して活物質層42を形成することにより作製した。電解液にはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを1:1の質量比で混合した溶媒に、リチウム塩であるLiPF6 を1.0mol/dm3 となるように溶解させたものを用いた。セパレータ50にはポリプロピレン製フィルムを用いた。
作製した実施例1−1,1−2の二次電池について、25℃の条件下で充放電試験を行い、50サイクル目の容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.02mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充電を行う際には、予め実測および計算により求めた電極10および電極40の充放電容量に基づいて初回の充電での負極利用率を90%と設定し、金属リチウムが析出しないようにした。50サイクル目の容量維持率は、初回放電容量に対する50サイクル目の放電容量の比率、すなわち(50サイクル目の放電容量)/(初回放電容量)×100として算出した。得られた結果を表1に示す。
実施例1−1,1−2に対する比較例1−1として、薄膜層を形成しないことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして負極としての電極を作製した。また、実施例1−1,1−2に対する比較例1−2,1−3として、アルミニウムまたはチタンよりなる薄膜層を形成したことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして負極としての電極を作製した。また、実施例1−1,1−2に対する比較例1−4,1−5として、集電体としてアルミニウム箔を用いて、実施例1−1,1−2と同様にして負極としての電極を作製した。なお、比較例1−4では薄膜層を形成せず、比較例1−5ではアルミニウムよりなる薄膜層を形成した。更に、比較例1−1〜1−5の電極を用いて、実施例1−1,1−2と同様にして二次電池を作製した。比較例1−1〜1−5の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、50サイクル目の容量維持率を求めた。その結果も表1に合わせて示す。
表1から分かるように、薄膜層13を形成し、集電体11および薄膜層13をリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない銅またはニッケルにより構成した実施例1−1,1−2によれば、集電体を銅により構成し、薄膜層を形成しなかった比較例1−1、集電体を銅により構成し、薄膜層をリチウムと金属間化合物を形成するアルミニウムにより構成した比較例1−2、薄膜層をリチウムと固溶しないチタンにより構成した比較例1−2,1−3、集電体をアルミニウムにより構成し、薄膜層を形成しかなった比較例1−4および集電体および薄膜層をアルミニウムにより構成した比較例1−5よりも高い容量維持率が得られた。すなわち、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素を含む集電体11を用いると共に、活物質層12にリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素を含む薄膜層13を形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−4)
活物質層12を焼結法により形成し、電極10を作製した。具体的には、まず、集電体11として厚み20μmの銅箔またはチタン箔を用意した。次いで、平均粒径1μmのケイ素粉末とポリフッ化ビニリデンとを9:1の質量比で混合したものに、N−メチルピロリドンを添加して合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを集電体11に塗布したのち加熱してN−メチルピロリドンを揮発させた。次いで、これを加圧したのち、アルゴン雰囲気中において300℃で8時間熱処理して焼結させることにより活物質層12を形成した。活物質層12を形成したのち、活物質層12の表面に電子ビーム蒸着法により銅よりなる厚み200nmの薄膜層13、または電子ビーム蒸着法によりニッケルよりなる厚み200nmの薄膜層13を形成し、電極10を作製した。なお、薄膜層13の厚みはSEMにより確認した。
活物質層12を焼結法により形成し、電極10を作製した。具体的には、まず、集電体11として厚み20μmの銅箔またはチタン箔を用意した。次いで、平均粒径1μmのケイ素粉末とポリフッ化ビニリデンとを9:1の質量比で混合したものに、N−メチルピロリドンを添加して合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを集電体11に塗布したのち加熱してN−メチルピロリドンを揮発させた。次いで、これを加圧したのち、アルゴン雰囲気中において300℃で8時間熱処理して焼結させることにより活物質層12を形成した。活物質層12を形成したのち、活物質層12の表面に電子ビーム蒸着法により銅よりなる厚み200nmの薄膜層13、または電子ビーム蒸着法によりニッケルよりなる厚み200nmの薄膜層13を形成し、電極10を作製した。なお、薄膜層13の厚みはSEMにより確認した。
得られた実施例2−1〜2−4の電極10を、AES( Auger Electron Spectroscopy;オージェ電子分光法)およびEDX(Energy Dispersive X-Ray Spectroscope;エネルギー分散型X線)により分析した。その結果、実施例2−1では、活物質層12と集電体11との界面付近に、活物質層12および集電体11の成分の混合層が、また、活物質層12と薄膜層13との界面付近に、活物質層12および薄膜層13の成分の混合層が確認された。すなわち、集電体11および薄膜層13が活物質層12との界面の少なくとも一部において活物質層12と合金化していることが確認された。これに対して、実施例2−2では、集電体11と活物質層12との界面の一部のみで合金化を確認した。また、実施例2−3では、活物質層12と薄膜層13の界面の一部のみ合金化を確認した。実施例2−4では、活物質層12の集電体11と薄膜層13との、いずれの界面でも合金化していることは確認できなかった。
また、実施例2−1〜2−4に対する比較例2として、薄膜層を形成しないことを除き、他は実施例2−3,2−4と同様にして負極としての電極を作製した。更に、実施例2−1〜2−4および比較例2の電極を用いて、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。実施例2−1〜2−4および比較例2の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、50サイクル目の容量維持率を求めた。その結果を表2に示す。
表2から分かるように、薄膜層13を形成し、集電体11および薄膜層13をリチウムと金属間化合物を形成しない銅,ニッケルまたはチタンにより構成した実施例2−1〜2−4によれば、薄膜層を形成しなかった比較例2よりも高い容量維持率が得られた。すなわち、焼結法により活物質層12を形成する場合においても、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素を含む集電体11を用いると共に、活物質層12にリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素を含む薄膜層を形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
また、実施例2−1〜2−4から分かるように、容量維持率は、集電体11および薄膜層13の双方をケイ素と合金化する銅によりそれぞれ構成した実施例2−1が最も高く、活物質層12における集電体11および薄膜層13のいずれの界面でも合金化が確認できなかった実施例2−4の容量維持率が最も低い値を示した。すなわち、容量維持率をより向上させるには、集電体11および薄膜層13を、リチウムと金属間化合物を形成せず、かつケイ素と合金化する金属材料により構成することが好ましいことが分かった。
(実施例3−1〜3−6)
実施例3−1〜3−6および比較例3として、電子ビーム蒸着法によりゲルマニウムよりなる厚み4μmの活物質層12を形成すると共に、薄膜層13の厚みを表3に示したように変化させたことを除き、他は実施例1−1と同様にして電極10を作製した。なお、活物質層12および薄膜層13の厚みはSEMにより確認した。
実施例3−1〜3−6および比較例3として、電子ビーム蒸着法によりゲルマニウムよりなる厚み4μmの活物質層12を形成すると共に、薄膜層13の厚みを表3に示したように変化させたことを除き、他は実施例1−1と同様にして電極10を作製した。なお、活物質層12および薄膜層13の厚みはSEMにより確認した。
次いで、作製した実施例3−1〜3−6および比較例3の電極10を用いて、図5および図6に示した二次電池を作製した。電極70は電極40と同様にして作製した。電解質層90は、エチレンカーボネート42.5質量%と、プロピレンカーボネート42.5質量%と、リチウム塩であるLiPF6 15質量%とからなる電解液30質量%に、重量平均分子量60万のブロック共重合であるポリフッ化ビニリデン10質量%と、ジメチルカーボネート60質量%とを混合して溶解させた前駆体溶液を電極10および電極70のそれぞれに塗布し、常温で8時間放置してジメチルカーボネートを揮発させることにより形成した。得られた実施例3−1〜3−6および比較例3の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、50サイクル目の容量維持率を求めた。その結果を表3に示す。
表3から分かるように、薄膜層13を形成した実施例3−1〜3−6によれば、薄膜層を形成しなかった比較例3よりも高い容量維持率が得られた。また、実施例3−1〜3−6から分かるように、容量維持率は、薄膜層13が厚くなるほど増加し、極大値を示した後低下する傾向が見られた。すなわち、活物質層12をゲルマニウムにより構成した場合においても、薄膜層13を形成すると共に、集電体11および薄膜層13をリチウムと金属間化合物を形成しない金属材料により構成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、薄膜層13の厚みを50nm以上1000nm以下とすればより高い効果を得ることができることが分かった。
(実施例4)
活物質層12を塗布により形成したことを除き、他は実施例3−3と同様にして電極10を作製した。なお、活物質層12は、平均粒径1μmのゲルマニウムと黒鉛化気相成長炭素繊維とポリフッ化ビニリデンとを85:5:10の質量比で混合したものに、N−メチルピロリドンを添加して合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを集電体11に塗布したのち加熱してN−メチルピロリドンを揮発させ、加圧することにより形成した。また、実施例4に対する比較例4として、薄膜層を形成しないことを除き、他は実施例4と同様にして負極としての電極を作製した。作製した実施例4および比較例4の電極10を用いて、実施例3−3と同様にして二次電池を作製した。更に、得られた実施例4および比較例4の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、50サイクル目の容量維持率を求めた。その結果を実施例3−3および比較例3の結果と共に表4に示す。
活物質層12を塗布により形成したことを除き、他は実施例3−3と同様にして電極10を作製した。なお、活物質層12は、平均粒径1μmのゲルマニウムと黒鉛化気相成長炭素繊維とポリフッ化ビニリデンとを85:5:10の質量比で混合したものに、N−メチルピロリドンを添加して合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを集電体11に塗布したのち加熱してN−メチルピロリドンを揮発させ、加圧することにより形成した。また、実施例4に対する比較例4として、薄膜層を形成しないことを除き、他は実施例4と同様にして負極としての電極を作製した。作製した実施例4および比較例4の電極10を用いて、実施例3−3と同様にして二次電池を作製した。更に、得られた実施例4および比較例4の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、50サイクル目の容量維持率を求めた。その結果を実施例3−3および比較例3の結果と共に表4に示す。
表4から分かるように、活物質層12を塗布により形成した実施例4も、気相法により形成した実施例3−3と同様に、対応する比較例4よりも高い容量維持率が得られた。すなわち、塗布により活物質層12を形成するようにしても、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素を含む集電体11を用いると共に、活物質層12にリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素を含む薄膜層を形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
なお、上記実施例では、集電体11に銅またはチタンを含むようにし、薄膜層13にニッケルまたは銅を含むようにしたが、リチウムと金属間化合物を形成しない他の元素を含むようにしても同様の結果を得ることができる。また、活物質層12を、電子ビーム蒸着法以外の気相法、または他の焼結法、更には、液相法により形成しても、同様の結果を得ることができる。更に、薄膜層13を、電子ビーム蒸着法以外の気相法、または焼結法、更には、液相法により形成しても、同様の結果を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、保持体として高分子材料を用いる場合について説明したが、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどの無機伝導体を保持体として用いてもよく、高分子材料と無機伝導体とを混合して用いてもよい。
また、上記実施の形態および実施例では、集電体11に活物質層12を有する電極10について説明したが、集電体と活物質層との間に、他の層を有していてもよく、また、活物質層と薄膜層との間に他の層を有していてもよい。
更に、上記実施の形態および実施例では、コイン型、または巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型、角型、ボタン型、薄型、大型、積層ラミネート型の二次電池についても同様に適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
1,2…リード、3…電極巻回体、4A,4B…外装部材、5…密着フィルム、10,40,70…電極、11,41,71…集電体、12,42,72…活物質層、13…薄膜層、20…外装カップ、30…外装缶、50,80…セパレータ、60…ガスケット、90…電解質層、100…保護テープ。
Claims (14)
- 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含む集電体と、この集電体に設けられたケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む活物質層と、この活物質層の表面の少なくとも一部に設けられた銅およびニッケルのうちの少なくとも1種を含む薄膜層とを備えたことを特徴とする電池。 - 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属元素を含む集電体と、この集電体に設けられたケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む活物質層と、この活物質層の表面の少なくとも一部に設けられたリチウムと固溶可能で金属間化合物を形成しない金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む薄膜層とを備えたことを特徴とする電池。 - 前記集電体は、リチウムと金属間化合物を形成せず、かつ、ケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属元素を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記薄膜層は、リチウムと固溶可能で金属間化合物を形成せず、かつ、ケイ素またはゲルマニウムの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記集電体と前記活物質層とは、界面の少なくとも一部において合金化していることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記活物質層と前記薄膜層とは、界面の少なくとも一部において合金化していることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記活物質層は、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記薄膜層は、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記集電体は、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記薄膜層は、銅(Cu)およびニッケル(Ni)のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記薄膜層の厚みは、50nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記電解質は、保持体と溶媒と電解質塩とを含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 更に、前記正極,負極および電解質を収容するフィルム状の外装部材を備えたことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記正極は、リチウム含有金属複合酸化物を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
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