JP2007019488A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体発光素子の光取り出し効率を向上する。
【解決手段】半導体発光素子10は、サファイア基板12上に、バッファ層14と、n型GaN層16と、InGaN発光層18と、p型GaN層32とが積層される。p型GaN層32上には、透明電極として機能するZnO層24が設けられ、ZnO層24の表面には、2次元の周期的な間隔で凹部が形成される。InGaN発光層18からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおけるZnO層の屈折率をnzλと、ZnO層とそれに接する媒体の界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔Lが、λ/nzλ≦L≦λ/(nzλ×(1−sinθ))の範囲となるよう設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子に関し、特にGaN系半導体発光素子に関する。
近年、青色の半導体発光素子として、GaN系半導体を用いた半導体発光素子が知られている。青色の半導体発光素子と、黄色の発光体を組み合わせた白色LEDは携帯電話などのLCDバックライト用として需要が増大している。また、白色LEDは低消費電力、長寿命という特徴をもっていることから、次は蛍光灯、白熱灯などに変わる光源としての利用が期待されている。
従来のGaN系半導体発光素子では、サファイア基板上に、GaNバッファ層、n型GaN層、発光層、p型GaN層が順次結晶成長された構造となっている。しかしながら、従来のこのような構造では、p型GaN層の屈折率と、p型GaN層に接する空気や樹脂の屈折率との差が大きく、p型GaN層とp型GaN層に接する空気や樹脂との界面での全反射角が小さくなってしまうため、発光層で発生した光の多くがp型GaN層に接する空気や樹脂との界面で全反射し、光取り出し効率が低いという問題があった。
たとえば、半導体発光素子が空気中で発光しているとすると、GaNの屈折率は光の波長が450nmのときに約2.5であるので、p型GaN層と空気との界面での全反射角は、約24°と小さい。発光層から放射され、この全反射角よりも大きな角度でp型GaN層と空気との界面に入射した光は、p型GaN層と空気との界面で全反射されるため半導体発光素子から取り出すことができない。
この問題に対して、p型GaN層に発光波長程度の間隔で凹凸を周期的に形成する方法が提案されている(たとえば特許文献1)。この構造では、周期的に形成された凹凸による回折効果により発光層から放射される光の進行方向が変わり、全反射とならない角度に光が回折されるため、半導体発光素子の光取り出し効率が向上する。
このような周期的に形成された凹凸をp型GaN層に形成する場合、まず結晶成長させたp型GaN層上にレジストを形成し、干渉露光法などによりレジストパターンを形成する。その後、RIE法などのドライエッチングによりレジストパターンに覆われていない部分を除去することによって、p型GaN層に凹凸が形成される。
特開2005−5679号公報
しかしながら、p型GaN層をドライエッチングによってエッチングした場合、プラズマダメージにより、エッチングされたp型GaN層の表面に窒素空孔が生じる。この窒素空孔はドナーとして働くため、エッチングされたp型GaN層の表面にはn型化された部分が生じることになる。p型GaN層の表面の一部にn型化された部分が存在すると、その部分についてはn/p接合が存在するのにn側から+バイアスされるため、逆バイアス状態になり、結果として半導体発光素子の順方向電圧が上昇してしまう。また、n型化された部分は発光層に注入される電流が減少するうえ、p型GaN層の抵抗は高く、電流ひろがりがないため、結局半導体発光素子の有効な発光領域が減少してしまう。
そのため、p型GaN層のn型化された部分は、ウェットエッチングなどの方法により除去する必要があるが、GaNのウェットエッチングは難しく、完全に除去することは困難であり、また製造工程が増えるため製造コストが増加する。
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、光取り出し効率を向上した半導体発光素子の提供にある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の半導体発光素子は、基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、p型GaN層上にMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が設けられ、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。
この態様によると、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層からの光が回折される。回折光のうち、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角よりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出される。p型GaN層ではなく、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)に凹部または凸部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマはp型GaN層に直接さらされることがなく、ダメージによるp型GaN層表面のn型化は起こらないので、順方向電圧を上昇させることなく、光取り出し効率を向上させることができる。また、従来必要であったドライエッチング後のウェットエッチングの工程が不要となるので、製造コストを削減することができる。
MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されてもよい。正方格子状に配置した場合、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部を形成することができる。三角格子状に配置した場合は、2次元の周期的な間隔で形成する凹部または凸部の密度を高くすることができ、好適に光取り出し効率を向上させることができる。
本発明の別の態様もまた、半導体発光素子である。この半導体発光素子は、p型GaN層と、発光層と、n型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、n型GaN層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。
この態様によると、n型GaN層の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層からの光が回折される。回折光のうち、n型GaN層とそれに接する媒体との界面での全反射角よりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出される。n型GaN層をドライエッチングすることによっても窒素空孔が発生し、n型GaN層16の表面がn型化するが、n型GaN層は元来n型であるから逆バイアスが印加される状態にはならず、順方向電圧が上昇することなく、光取り出し効率を向上させることができる。この場合も、従来必要であったドライエッチング後のウェットエッチングの工程が不要となるので、製造コストを削減することができる。
n型GaN層に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されてもよい。正方格子状に配置した場合、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部を形成することができる。三角格子状に配置した場合は、2次元の周期的な間隔で形成する凹部または凸部の密度を高くすることができ、好適に光取り出し効率を向上させることができる。
本発明のさらに別の態様もまた、半導体発光素子である。この半導体発光素子は、基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、基板は、SiC基板であり、SiC基板の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。
この態様によると、SiC基板の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層からSiC基板方向に放出された光が回折される。これにより、光の取り出し効率を向上させることができる。SiC基板をドライエッチングしても、プラズマダメージによる順方向電圧の上昇という問題は発生しないため、加工が容易である。
SiC基板に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されてもよい。正方格子状に配置した場合、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部を形成することができる。三角格子状に配置した場合は、2次元の周期的な間隔で形成する凹部または凸部の密度を高くすることができ、好適に光取り出し効率を向上させることができる。
p型GaN層上にMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が設けられ、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されてもよい。この場合、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層からMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)方向に放出された光が回折される。回折光のうち、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角よりも小さい角度で、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出すことができる。
MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されてもよい。正方格子状に配置した場合、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部を形成することができる。三角格子状に配置した場合は、2次元の周期的な間隔で形成する凹部または凸部の密度を高くすることができ、好適に光取り出し効率を向上させることができる。
本発明のさらに別の態様もまた、半導体発光素子である。この半導体発光素子は、基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、p型GaN層上に、Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層よりなる透明導電膜層、もしくはその酸化物層とMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とを積層した透明導電膜層が設けられ、透明導電膜層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。
この態様によると、透明導電膜層の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層からの光が回折される。回折光のうち、透明導電膜層とそれに接する媒体との界面での全反射角よりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出される。p型GaN層ではなく、透明導電膜層に凹部または凸部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマはp型GaN層に直接さらされることがなく、ダメージによるp型GaN層表面のn型化は起こらないので、順方向電圧を上昇させることなく、光取り出し効率を向上させることができる。また、従来必要であったドライエッチング後のウェットエッチングの工程が不要となるので、製造コストを削減することができる。
本発明のさらに別の態様もまた、半導体発光素子である。この半導体発光素子は、基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、基板は、SiC基板であり、SiC基板の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成され、p型GaN層上に、Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層よりなる透明導電膜層、もしくはその酸化物層とMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とを積層した透明導電膜層が設けられ、透明導電膜層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。
この態様によると、SiC基板の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層からSiC基板方向に放出された光が回折される。これにより、光の取り出し効率を向上させることができる。SiC基板をドライエッチングしても、プラズマダメージによる順方向電圧の上昇という問題は発生しないため、加工が容易である。また、透明導電膜層の表面に2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、発光層から透明導電膜層方向に放出された光が回折される。回折光のうち、透明導電膜層とそれに接する媒体との界面での全反射角よりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出される。p型GaN層ではなく、透明導電膜層に凹部または凸部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマはp型GaN層に直接さらされることがなく、ダメージによるp型GaN層表面のn型化は起こらないので、順方向電圧を上昇させることなく、光取り出し効率を向上させることができる。また、従来必要であったドライエッチング後のウェットエッチングの工程が不要となるので、製造コストを削減することができる。
本発明に係る半導体発光素子によれば、光取り出し効率を向上することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。図1に示すように、半導体発光素子10は、コンタクト層であるn型GaN層16と、InGaN発光層18と、クラッド層であるp型AlGaN層20とコンタクト層であるp型GaN22とで構成されるp型GaN層32と、が積層されたダブルヘテロ構造のGaN系半導体発光素子である。第1の実施形態に係る半導体発光素子10の発光観測面は、透明電極であるZnO層24側である。なお、各図面は各層などの位置関係を説明することを目的としているため、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。また、各実施形態において、同一または対応する構成要素には同様の符号を付すと共に、重複する説明は適宜省略する。
半導体発光素子10は、サファイア基板12上にGaN系半導体をエピタキシャル成長させることによって形成される。
サファイア基板12上には、バッファ層14が設けられる。バッファ層14は、PLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いて550℃程度の低温で形成されたAlGaNの非晶質層である。バッファ層14の厚みは、10〜20nm程度とする。バッファ層14は、サファイア基板12上に結晶性のよいGaN膜を成長させるための下地で、サファイア基板12との格子不整による格子欠陥の増加を防ぐ緩衝層としての機能を有する。また、バッファ層14は、結晶性のバッファ層であってもよい。この場合は、800〜1000℃程度でAlGaNを結晶成長させる。結晶性のバッファ層とした場合の厚みは、特に制限はないが、10nm〜100nm程度あれば十分である。
バッファ層14上には、MOCVD法を用いてSiがドープされたn型GaN層16が設けられる。n型GaN層16はコンタクト層として機能する。ドーパントは、Geであってもよい。n型GaN層16形成時のサファイア基板12の温度は、1000〜1200℃程度に保持する。n型GaN層16が薄い場合、n型GaN層16のシート抵抗が高くなってしまい、動作電圧の増加をまねくので、n型GaN層16の厚みは、3〜10μm程度とすることが望ましい。このn型GaN層16は、n型クラッド層としての機能も有する。
n型GaN層16上には、MOCVD法を用いてInGaN発光層18が設けられる。InGaN発光層18形成時のサファイア基板12の温度は、700〜1000℃程度に保持する。InGaN発光層18は、InGaN層と、GaN層もしくは発光するInGaN層よりIn組成比の小さいInGaN層とが交互に積層された多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を有する。井戸数は、5〜10程度であってよい。InGaN層の厚みは、1〜10nm程度、InGaN層は、3〜30nm程度とする。たとえば、InGaN層を3nm、GaN層を10nmとする。InGaN層のIn組成比を増加させると、バンドギャップエネルギーが小さくなり、発光ピーク波長は長くなる。よって、半導体発光素子10の発光波長を、InGaN層のIn組成比もしくは厚みを変えることによって制御することができる。
InGaN発光層18上には、MOCVD法を用いてアンドープGaN層(図示せず)を設けてもよい。アンドープGaN層の厚みは、10〜100nm程度とする。このアンドープGaN層は、保護層として機能し、結晶成長プロセス中にInGaN発光層18が高温になることに起因して、InGaN発光層18の結晶が劣化するのを防止する機能を有する。
InGaN発光層18上には、Mgがドープされたp型AlGaN層20が設けられる。p型AlGaN層20は、p型GaN層であってもよい。p型AlGaN層20は、クラッド層として機能する。p型AlGaN層20形成時のサファイア基板12の温度は、1000〜1200℃程度に保持する。p型AlGaN層20の厚みは、0.1〜0.3μm、たとえば0.15μm程度とする。
p型AlGaN層20上には、Mgがドープされたp型GaN層22が設けられる。p型GaN層22はコンタクト層として機能する。p型GaN層22形成時のサファイア基板12の温度は、700〜1000℃程度に保持する。p型GaN層22の厚みは、20nm〜0.2μm程度とする。
p型GaN層22上には、PLD法を用いてGaがドープされたZnO層24が設けられる。ZnO層24は、ゾル・ゲル法や熱CVD法などを用いて形成してもよい。ZnO層24の厚みは、1〜2μm程度とする。ZnO層24は、GaN系半導体発光素子の発光波長帯に対して透過率が高く、透明電極として機能する。ZnO層24は、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)であってもよい。GaNとZnOの結晶は、同じウルツァイト構造をとるため、良好な界面を得ることができる。
ZnO層24の表面には、2次元の周期的な間隔で複数の凹部30が形成される。ZnO層24の表面とは、p型GaN層22とZnO層24が接している面と対向する面を指す。図2は、凹部30の配置例を示す図である。図3は、凹部30の他の配置例を示す図である。凹部30は、図2に示すように正方格子状に配置されて形成されてもよい。正方格子状に配置した場合、2次元の周期的な間隔で凹部30を形成することができる。また、凹部30は、図3に示すように三角格子状に配置されて形成されてもよい。三角格子状に配置した場合は、2次元の周期的な間隔で形成する凹部30の密度を高くすることができ、好適に光取り出し効率を向上させることができる。
凹部30の平面視形状は、たとえば図2または図3に示すように円形であってよく、また、四角形や六角形であってもよい。その直径や1辺の長さは100nm程度であってよい。凹部30の深さは、500nm程度であってよい。凹部30の好適な周期間隔については後述する。
この凹部30は、ZnO層24上にレジストを形成した後に、電子ビーム露光法や、ナノインプリント法などの方法によってレジストを所望の形状にパターニングし、レジストをマスクとしてRIE法などのドライエッチングを行うことにより形成する。
その後、ZnO層24、p型GaN層22、p型AlGaN層20、InGaN発光層18およびn型GaN層16の一部の領域をエッチングにより除去する。n型GaN層16の途中までエッチングして、露出したn型GaN層16の上面にn側電極28を形成する。n側電極28はオーミックコンタクトであり、接触比抵抗が小さく熱的に安定であることが望ましく、AlまたはTi/Alを好適に用いることができる。オーミックコンタクトとするために、n側電極28を形成した後に、600℃程度でシンターを行うことが望ましい。n側電極28の厚みは、2500Å程度であってよい。
最後に、ZnO層24上の凹部が設けられていない一部の領域にp側電極26を形成する。p側電極26は、オーミックコンタクトを実現するために、Al、Ti、Agなどが利用できる。p側電極26の厚みは、Ptが1000Å程度、Auが3000Å程度であってよい。p側電極26およびn側電極28は、蒸着法やスパッタ法を用いて形成することができる。
図4は、半導体発光素子の電流−輝度特性を示す図である。図4の横軸は、半導体発光素子10の順方向電流を表し、縦軸は、輝度を表す。曲線34はZnO層24の表面に凹部30を形成しなかった場合の電流−輝度特性を示し、曲線36はZnO層24の表面に凹部30を形成した場合の電流−輝度特性を示す。図4に示すように、ZnO層24の表面に凹部30を形成することによって輝度が向上している。これは、半導体発光素子10の光取り出し効率が向上していることを意味する。
第1の実施形態に係る半導体発光素子10は、ZnO層24の表面に2次元の周期的な間隔で凹部が形成されているため、InGaN発光層18からの光が回折される。回折光のうち、ZnO層24と空気との界面での全反射角θよりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子10の外部に取り出されるため、光取り出し効率を向上させることができる。
第1の実施形態に係る半導体発光素子10では、p型GaN層22ではなく、ZnO層24に凹部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマダメージによるp型GaN層22表面のn型化は起こらないので、順方向電圧を上昇させることなく、好適に光取り出し効率を向上させることができる。
図5は、凹部30の周期間隔を説明するための図である。凹部30の周期間隔とは、2次元の面内において縦または横方向で隣接する凹部の中心間の間隔をいう。周期間隔をLと、InGaN発光層18からの光の空気中でのピーク波長をλと、その波長λにおけるZnO層24の屈折率をnzλと、ZnO層24と空気層との界面に前記発光層からの光が入射する際の全反射角をθとする。全反射角θは、θ=sin−1(1/nzλ)となるので、たとえば波長λ=450nmのときのZnOの屈折率nzλを2.3と、空気の屈折率を1.0とすると、全反射角θは、約25.8°である。
図5において、ZnO層24を横方向に導波する光48から、ZnO層24の法線方向に対してθの方向に回折される回折光50と回折光52が互いに強め合う条件は、
Figure 2007019488
と表すことができる。mは整数であり回折光の次数を意味する。(1)式において、左辺は回折光50と回折光52の位相差を表している。位相差が2πの整数倍であるときに、回折光50と回折光52は互いに強め合う。(1)式をLについて変形すると、
Figure 2007019488
のように表すことができる。
回折光50と回折光52が互いに強め合う角度θが全反射角θより小さいとき、すなわちθが0≦θ≦θの範囲にあるとき、互いに強め合う回折光50と回折光52は、ZnO層24と空気との界面で全反射せず、半導体発光素子10の外部に取り出すことができる。つまり、周期間隔Lが、
Figure 2007019488
の範囲にあるとき、互いに強め合う回折光50と回折光52は半導体発光素子10の外部に放出される。実質的には1次の回折光の強度が最も強いので、m=1として周期間隔Lを設定してよい。すなわち、
Figure 2007019488
を満たすような周期間隔Lに設定することが望ましい。たとえば、波長λ=450nm、ZnOの屈折率nzλ=2.3、m=1、θ=25.8°として上記の(4)式を用いて周期間隔Lを計算すると、196nm≦L≦346nmとなる。
また、半導体発光素子では、半導体レーザと違い発光スペクトルがブロードなので、空気中での半値幅Δλを考慮して周期間隔Lを設定してもよい。すなわち、発光ピーク波長λからΔλだけずれた波長λ±Δλに合わせて周期間隔Lを設定しても発光効率の改善効果を有する。ここで、半値幅Δλとは、発光ピーク波長λから発光強度が1/2となる波長までの波長幅をいう。半値幅Δλを考慮した場合の周期間隔Lの範囲は、
Figure 2007019488
と表すことができる。nz(λ−Δλ)は波長λ−ΔλにおけるZnO層の屈折率を、nz(λ+Δλ)は波長λ+ΔλにおけるZnO層の屈折率を表す。ここでも、実質的には1次の回折光の強度が最も強いので、m=1として周期間隔Lを設定してよい。すなわち、
Figure 2007019488
を満たすような周期間隔Lに設定してよい。この場合、たとえば、波長λ=450nm、半値幅Δλを15nm、θ=25.8°とし、波長λにおけるZnOの屈折率nzλと波長λ±Δλでの屈折率nz(λ±Δλ)が等しく2.3であるとすると、(6)式から、189nm≦L≦358nmとなる。
さらに、上記のように、回折光50と回折光52が強め合う角度θが全反射角θよりも小さい場合に最も望ましいのであるが、実質的には、θがθの2倍より小さくても発光効率の改善効果を有する。すなわち、θが、0≦θ≦2θの範囲であってもよい。このとき、周期間隔Lの範囲は、
Figure 2007019488
と表すことができる。ここでも、実質的には1次の回折光の強度が最も強いので、m=1として周期間隔Lを設定してよい。すなわち、
Figure 2007019488
を満たすような周期間隔Lに設定してよい。この場合、波長λ=450nm、半値幅Δλを15nm、θ=25.8°とし、波長λにおけるZnOの屈折率nzλと波長λ±Δλでの屈折率nz(λ±Δλ)が等しく2.3であるとすると、(8)式から、189nm≦L≦935nmとなる。
第1の実施形態においては、ZnO層24の表面に凹部を形成する場合について説明したが、凹部ではなく凸部をZnO層24形成しても同様に光取り出し効率の改善効果を有する。また、上記においては、半導体発光素子10が空気中で発光している場合について説明したが、半導体発光素子10は蛍光体や、光透過性樹脂に覆われた状態であってもよい。この場合は、全反射角θを求める際に、空気の屈折率ではなく、ZnO層24が接する媒体である蛍光体や光透過性樹脂の屈折率を用いれば、上記の(3)〜(8)式を適用することができる。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。図6に示すように、半導体発光素子60は、コンタクト層であるp型GaN22とクラッド層であるp型AlGaN層20とで構成されるp型GaN層32と、InGaN発光層18と、コンタクト層であるn型GaN層16と、が積層されたダブルヘテロ構造のGaN系半導体発光素子である。第2の実施形態に係る半導体発光素子60の発光観測面は、n型GaN層16側である。
第2の実施形態に係る半導体発光素子60は、まず、サファイア基板上に、n型GaN層16、InGaN発光層18、p型AlGaN層20、p型GaN層22を積層する。ここまでは、第1の実施形態に係る半導体発光素子10と同様の工程であるが、その後、レーザ・リフト・オフによってサファイア基板およびバッファ層を剥離する。レーザとしては、波長248nmのKrFレーザを用いることができる。
サファイア基板およびバッファ層剥離によって露出したn型GaN層16の表面には、2次元の周期的な間隔で複数の凹部30が形成される。n型GaN層16の表面とは、InGaN発光層18とn型GaN層16が接している面と対向する面を指す。凹部30は、図2に示すように正方格子状に配置されて形成されてもよい。また、凹部30は、図3に示すように三角格子状に配置されて形成されてもよい。
凹部30の平面視形状は、たとえば図2または図3に示すように円形であってよく、また、四角形や六角形であってもよい。その直径や1辺の長さは100nm程度であってよい。凹部30の深さは、500nm程度であってよい。
凹部30は、第1の実施の形態に係る半導体発光素子10と同様に、RIE法などのドライエッチングを行うことにより形成することができる。n型GaN層16をドライエッチングすることによっても窒素空孔が発生し、n型GaN層16の表面がn型化するが、n型GaN層16は元来n型であるから逆バイアスが印加される状態にはならず、順方向電圧が上昇することはない。
凹部30を形成後、p型GaN層22、p型AlGaN層20、InGaN発光層18およびn型GaN層16の一部の領域をエッチングにより除去する。n型GaN層16の途中までエッチングして、露出したn型GaN層16の上面にn側電極28を形成する。
その後、p型GaN層22上に、p側電極26を形成する。半導体発光素子60は、発光観測面がn型GaN層16側であるから、p型GaN層22上にZnOの透明電極層は形成する必要はなく、n型GaN層16上に直接p側電極26を形成する。p側電極26は、Pt/Auなどを用いることが望ましい。p側電極26の厚みは、Ptが1000Å程度、Auが3000Å程度であってよい。
第2の実施形態に係る半導体発光素子60においては、n型GaN層16の表面に2次元の周期的な間隔で凹部が形成されているため、InGaN発光層18からの光が回折される。回折光のうち、n型GaN層16と空気との界面での全反射角θよりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子60の外部に取り出されるため、光取り出し効率を向上させることができる。
凹部30の周期間隔Lは、
Figure 2007019488
を満たす範囲で設定することが望ましい。λはInGaN発光層18からの光の空気中でのピーク波長を、ngλはその波長λにおけるn型GaN層16の屈折率を表す。
(9)式を満たす周期間隔Lでn型GaN層16の表面に凹部30を形成することによって、回折光を半導体発光素子60の外部に取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。たとえば、波長λ=450nm、n型GaN層16の屈折率ngλ=2.5、全反射角θ=23.6°として上記の(9)式を用いて周期間隔Lを計算すると、180nm≦L≦300nmとなる。
また、第1の実施形態と同様に、半導体発光素子60の半値幅Δλを考慮して周期間隔Lを設定しても光取り出し効率を向上させることができる。すなわち、隣接する凹部30の周期間隔Lが、
Figure 2007019488
の範囲にあってもよい。ng(λ−Δλ)は波長λ−Δλにおけるn型GaN層16の屈折率を、ng(λ+Δλ)は波長λ+Δλにおけるn型GaN層16の屈折率を表す。
さらに、第1の実施形態と同様に、回折光が強め合う角度θが、0≦θ≦2θの範囲であっても光取り出し効率を向上させることができる。すなわち、隣接する凹部30の周期間隔Lが、
Figure 2007019488
の範囲にあってもよい。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の変形例を示す図である。図7示す半導体発光素子62では、サファイア基板12およびバッファ層14は剥離せずに、ZnO層24側からn型GaN層16の途中までエッチングすることによって露出したn型GaN層16の表面であって、n側電極28を形成する領域以外の場所に、凹部30を形成している。なお、図7においては凹部30の大きさを拡大して描いているため、凹部30は1つしか描かれていないが、実際には複数の凹部30が形成される。
InGaN発光層18で発光し、バッファ層14とサファイア基板12との界面で反射した光が凹部30を形成した領域に入射した場合、この光は凹部30によって回折されるので、進行方向が変わり、全反射することなく半導体発光素子62の外部に取り出すことができる。半導体発光素子62においても、n型GaN層16に凹部30を形成しているため、n型GaN層16の表面がn型化することによって順方向電圧が上昇することはない。
第2の実施形態においては、n型GaN層16の表面に凹部を形成する場合について説明したが、凹部ではなく凸部をn型GaN層16の表面に形成しても同様に光取り出し効率の改善効果を有する。また、上記においては、半導体発光素子60または62が空気中で発光している場合について説明したが、半導体発光素子60または62は蛍光体や、光透過性樹脂に覆われた状態であってもよい。この場合は、全反射角θを求める際に、空気の屈折率ではなく、n型GaN層16が接する媒体である蛍光体や光透過性樹脂の屈折率を用いれば、上記の(9)〜(11)式を適用することができる。
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。図8に示すように、半導体発光素子70は、SiC基板40上に、コンタクト層であるn型GaN層16と、InGaN発光層18と、クラッド層であるp型AlGaN層20とコンタクト層であるp型GaN22とで構成されるp型GaN層32と、が積層されたダブルヘテロ構造のGaN系半導体発光素子である。半導体発光素子70の発光観測面は、ZnO層24側またはSiC基板40側である。ZnO層24側を発光観測面とする場合には、半導体発光素子70を使用する際に、SiC基板40と実装基板との間にたとえば銀(Ag)からなる反射板(図示せず)を設けるとよい。反射板を設けることで、SiC基板40側から放出された光を発光観測面であるZnO層24側へ反射させることができる。
第3の実施形態に係る半導体発光素子70は、SiC基板40上に、GaN系半導体をエピタキシャル成長させることによって形成し、その後、SiC基板40の表面に凹部30を形成している。ZnO層24上には透明電極として機能するZnO層24を備えるが、ZnO層24に凹部は形成していない。
SiCはサファイアと異なり導電性であるため、第1または第2の実施形態のようにp型GaN層やInGaN発光層などをエッチングして、n型GaN層16に接続するn側電極を形成する工程は不要であり、製造工程の簡易化と信頼性の向上を図ることができる。
SiC基板40の表面には、2次元の周期的な間隔で複数の凹部30が形成される。SiC基板40の表面とは、n型GaN層16とSiC基板40が接している面と対向する面を指す。凹部30は、図2に示すように正方格子状に配置されて形成されてもよい。また、凹部30は、図3に示すように三角格子状に配置されて形成されてもよい。
凹部30の平面視形状は、たとえば図2または図3に示すように円形であってよく、また、四角形や六角形であってもよい。その直径や1辺の長さは100nm程度であってよい。凹部30の深さは、500nm程度であってよい。
凹部30は、第1の実施の形態に係る半導体発光素子10と同様に、RIE法などのドライエッチングを行うことにより形成することができる。SiC基板40をドライエッチングしても、プラズマダメージによる順方向電圧の上昇という問題は発生しない。
SiC基板40上の凹部30が形成されていない一部の領域には、n側電極28が設けられる。n側電極28は、SiC基板40の表面中央付近に形成することが望ましい。n側電極28は、反射層としても機能し、Ni、Ti、Ni/Ti/Au、またはNiTiアロイなどを用いることができる。n側電極28の厚みは2500Å程度であってよい。
ZnO層24上の一部の領域には、p側電極26が形成される。基板としてSiC基板40を用いた場合は、p側電極26をZnO層24の表面中央付近に形成することが望ましい。p側電極26は、Pt/Auなどを用いることが望ましい。p側電極26の厚みは、Ptが1000Å程度、Auが3000Å程度であってよい。
第3の実施形態に係る半導体発光素子70においては、SiC基板40の表面に2次元の周期的な間隔で凹部が形成されているため、InGaN発光層18からSiC基板40方向に放出された光が、SiC基板40と空気との界面で回折される。SiC基板40の法線に対して全反射角θよりも小さい角度方向に回折された光は、SiC基板40と空気との界面で全反射されることなく半導体発光素子70の外部に取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。
凹部30の周期間隔Lは、
Figure 2007019488
を満たす範囲で設定することが望ましい。λはInGaN発光層18からの光の空気中でのピーク波長を、nsλはその波長λにおけるSiC基板40の屈折率を、θはSiC基板と空気との界面での全反射角を表す。
(12)式を満たす周期間隔Lで凹部30を形成することによって、回折光を半導体発光素子70の外部に取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。たとえば、波長λ=450nm、SiC基板40の屈折率nsλ=2.65、θ=22.2°として上記の(12)式を用いて周期間隔Lを計算すると、170nm≦L≦273nmとなる。
また、半導体発光素子70の半値幅Δλを考慮して周期間隔Lを設定しても光取り出し効率を向上させることができる。すなわち、隣接する凹部30の周期間隔Lが、
Figure 2007019488
の範囲にあってもよい。ns(λ−Δλ)は波長λ−ΔλにおけるSiC基板40の屈折率を、ns(λ+Δλ)は波長λ+ΔλにおけるSiC基板40の屈折率を表す。
さらに、回折光が強め合う角度θが、0≦θ≦2θの範囲であっても光取り出し効率を向上させることができる。すなわち、隣接する凹部30の周期間隔Lが、
Figure 2007019488
の範囲にあってもよい。
第3の実施形態においては、SiC基板40の表面に凹部を形成する場合について説明したが、凹部ではなく凸部をSiC基板40の表面に形成しても同様に光取り出し効率の改善効果を有する。また、上記においては、半導体発光素子70が空気中で発光している場合について説明したが、半導体発光素子70は蛍光体や、光透過性樹脂に覆われた状態であってもよい。この場合は、空気ではなく、SiC基板40が接する媒体である蛍光体や光透過性樹脂の屈折率を用いれば、上記の(12)〜(14)式を適用することができる。
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。図9に示すように、半導体発光素子80は、SiC基板40上に、コンタクト層であるn型GaN層16と、InGaN発光層18と、クラッド層であるp型AlGaN層20とコンタクト層であるp型GaN22とで構成されるp型GaN層32と、が積層されたダブルヘテロ構造のGaN系半導体発光素子である。第4の実施形態に係る半導体発光素子80の発光観測面は、ZnO層24側またはSiC基板40側である。第3の実施形態と同様に、実装する際には、反射板を設けてもよい。
第4の実施形態に係る半導体発光素子80は、p型GaN層22上に設けられたZnO層24の表面に凹部38を形成する点が、第3の実施形態に係る半導体発光素子70と異なる。SiC基板40の表面には、第3の実施形態と同様に凹部30が形成される。
ZnO層24の表面には、2次元の周期的な間隔で複数の凹部38が形成される。ZnO層24の表面とは、ZnO層24とp型GaN層22が接している面と対向する面を指す。凹部38の配置、形状などは、第1の実施形態に係る半導体発光素子10と同様であり、周期間隔Lは、(3)〜(8)式を適用して設定することができる。ただし、基板としてSiC基板40を用いた場合は、p側電極26をZnO層24の表面中央付近に形成することが望ましい。
第4の実施形態に係る半導体発光素子80では、ZnO層24の表面に2次元の周期的な間隔で凹部38が形成されているため、InGaN発光層18からZnO層24方向に放出された光が回折される。回折光のうち、ZnO層24と空気との界面での全反射角θよりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子80の外部に取り出すことができる。また、SiC基板40の表面に形成した凹部30の効果は、第3の実施形態に係る半導体発光素子70の場合と同様である。
第4の実施形態に係る半導体発光素子80においても、第1の実施形態と同様に、p型GaN層22ではなく、ZnO層24に凹部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマダメージによるp型GaN層22表面のn型化は起こらないので、順方向電圧は上昇しない。また、第3の実施形態と同様に、SiC基板40をドライエッチングしても、プラズマダメージによる順方向電圧の上昇は起こらない。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る半導体発光素子は、図1に示す第1の実施形態に係る半導体発光素子10のZnO層24の代わりに、Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層が、p型GaN層上に形成された半導体発光素子である。第5の実施形態に係る半導体発光素子のその他の構成は、第1の実施形態に係る半導体発光素子10と同様である。
Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層、すなわち、ITO系酸化物(ITO、In、SnO、InZnO複合酸化物)層は、マグネトロンスパッタリングにより形成される。ITOのSn含有量は、2〜20%程度であってよい。また、InZnO複合酸化物は、Znの含有量が5〜40%程度であってよい。ITO系酸化物層の厚みが薄すぎると、電流がITO系酸化物層中に拡がらないので、ITO系酸化物層の厚みは、500Å以上とするのが好ましい。ITO系酸化物層の厚みは、厚ければ厚いほど、横方向からの光の取り出しを多くでき、望ましいが、厚く形成する場合はコストがかかるので、10μm以下とするのがよい。
p型GaNは、プラズマダメージに弱いため、ダメージが入らないようにスパッタリングの条件を調整する必要がある。たとえば、4インチの大きさのターゲットであれば、投入するスパッタパワーは、600W以下であることが望ましい。ITO系酸化物層は、GaN系半導体発光素子の発光波長帯に対して透過率が高く、透明導電膜層として機能する。
プラズマダメージをより効果的に避ける場合には、真空蒸着法を用いて蒸着する方法をとることもできる。また、真空蒸着法を行った後にマグネトロンスパッタリング法を行う2段階の製膜を行ってもよい。この場合、真空蒸着法を単独で用いた場合よりも、透明度の高い電極層を形成することができる。
ITO系酸化物層の表面には、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。ITO系酸化物層の表面とは、ITO系酸化物層とp型GaN層が接している面と対向する面を指す。凹部または凸部の配置、形状などは、第1の実施形態に係る半導体発光素子10と同様であり、周期間隔Lは、(3)〜(8)式を適用して設定することができる。なお、(3)〜(8)式を適用する場合、ZnO層の屈折率nzλは、ITO系酸化物層の屈折率nIλに置き換え、ZnO層と空気層との界面に前記発光層からの光が入射する際の全反射角θは、ITO系酸化物層と空気層との界面に発光層からの光が入射する際の全反射角θに置き換えて適用する。
第5の実施形態に係る半導体発光素子では、透明導電膜層として機能するITO系酸化物層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、InGaN発光層からITO系酸化物層方向に放出された光が回折される。回折光のうち、ITO系酸化物層と空気との界面での全反射角θよりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出すことができる。
第5の実施形態に係る半導体発光素子においても、第1の実施形態と同様に、p型GaN層ではなく、ITO系酸化物層に凹部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマダメージによるp型GaN層表面のn型化は起こらないので、順方向電圧は上昇しない。また、従来必要であったドライエッチング後のウェットエッチングの工程が不要となるので、製造コストを削減することができる。
ITO系酸化物は、ZnOのようにGaNと同じ結晶構造をとるわけではないものの、p−GaNに対してオーミック電極として用いることができる。ZnOの比抵抗率は、約2×10−4Ωcm程度であるのに対し、ITO系酸化物の比抵抗率は、約9×10−5〜1×10−4Ωcm程度である。これは、ITO系酸化物がZnOよりも電流が拡がり易いことを意味するので、ITO系酸化物層をp型GaN層上に形成した場合には、ZnO層を形成する場合よりも膜厚を薄くすることができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係る半導体発光素子は、図9に示す第4の実施形態に係る半導体発光素子80のZnO層24の代わりに、Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層が、p型GaN層上に形成された半導体発光素子である。第6の実施形態に係る半導体発光素子のその他の構成は、第4の実施形態に係る半導体発光素子80と同様である。
Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層、すなわち、ITO系酸化物(ITO、In、SnO、InZnO複合酸化物)層の形成方法、厚み等は、第5の実施形態に係る半導体発光素子と同様であってよい。SiC基板の表面には、第3、第4の実施形態と同様に凹部または凸部が形成される。
ITO系酸化物層の表面には、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成される。ITO系酸化物層の表面とは、ITO系酸化物層とp型GaN層が接している面と対向する面を指す。凹部または凸部の配置、形状などは、第1の実施形態に係る半導体発光素子10と同様であり、周期間隔Lは、(3)〜(8)式を適用して設定することができる。なお、(3)〜(8)式を適用する場合、ZnO層の屈折率nzλは、ITO系酸化物層の屈折率nIλに置き換え、ZnO層と空気層との界面に前記発光層からの光が入射する際の全反射角θは、ITO系酸化物層と空気層との界面に発光層からの光が入射する際の全反射角θに置き換えて適用する。
第6の実施形態に係る半導体発光素子では、透明導電膜層として機能するITO系酸化物層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されているため、InGaN発光層からITO系酸化物層方向に放出された光が回折される。回折光のうち、ITO系酸化物層と空気との界面での全反射角θよりも小さい角度で界面に入射した回折光は、全反射されずに半導体発光素子の外部に取り出すことができる。また、SiC基板の表面に形成した凹部または凸部の効果は、第3、第4の実施形態に係る半導体発光素子の場合と同様である。
第6の実施形態に係る半導体発光素子においても、第1の実施形態と同様に、p型GaN層ではなく、ITO系酸化物層に凹部を形成しているため、ドライエッチングの際のプラズマダメージによるp型GaN層表面のn型化は起こらないので、順方向電圧は上昇しない。また、第5の実施形態と同様に、ZnO層を形成する場合よりも、ITO系酸化膜の膜厚を薄くすることができる。また、従来必要であったドライエッチング後のウェットエッチングの工程が不要となるので、製造コストを削減することができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
第5および第6の実施形態では、p型GaN層上にITO系酸化物層を形成したが、p型GaN層上に、ITO系酸化物層とMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とを積層した透明導電膜層を形成し、この透明導電膜層に対して2次元の周期的な間隔で凹部または凸部を形成してもよい。この場合も、第5および第6の実施形態と同様に、光の取り出し効率を向上させることができる。
ITO系酸化物層とMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の積層順序は、どちらもオーミックコンタクトを取れるので、p型GaN層、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)、ITO系酸化物層の順序で積層してもよいし、p型GaN層、ITO系酸化物層、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の順序で積層してもよい。p型GaN層、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)、ITO系酸化物層の順序で積層した場合、GaNとMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の結晶は、同じウルツァイト構造をとるため、良好な接合界面を得ることができる。
また、p型GaN層、ITO系酸化物層、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の順序で積層した場合、2次元構造プロセスが簡単になるというメリットがある。MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が酸、特にHClに溶けやすく、それに比べるとITO系酸化物ははるかにHClで溶けにくい。従って、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)上に2次元パターンを作り、ウェットエッチングすれば、ITO系酸化物が擬似的にエッチングストップ層となり、所望の2次元構造を容易に作ることができる。
上記の実施形態においては、第1〜第4の実施形態ではZnO層またはMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が、第5〜第6の実施形態ではITO系酸化物層が、電流拡がり層としての機能を有している。GaN系半導体発光素子では、電流拡がり層は必須である。電流拡がり層が存在しない場合、半導体側のコンタクト層であるp型GaNは数Ωcmと比抵抗が非常に高いため、赤色半導体発光素子のようにコンタクト層に100μm径のパッド電極をつけただけでは活性層全体に電流が行き渡らず、殆どパッド電極直下しか発光しない。300μm角のチップで考えると、チップ全体に電流が拡がるためのp型GaN層の厚みは、数mmというオーダーになり、現実的ではない。従って、GaN系半導体発光素子では、p型GaN層の手前で電流を拡げる必要があり、第1〜第4の実施形態ではZnO層またはMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が、第5〜第6の実施形態ではITO系酸化物層がその役割を果たす。そのため、図1に示すように、凹部または凸部を形成した場合であっても、半導体層の直上ではZnO層、MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)、ITO系酸化物層が連続的につながっていることが好ましい。凹部または凸部を形成した後の膜厚が薄くなった部分の厚みは、駆動電流にもよるが、500Å程度残しておくことが好ましい。膜厚が薄くなった部分の厚みを500Å程度残しておくことにより、電流拡がり層として効果的に機能することができる。
本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。 凹部の配置例を示す図である。 凹部の他の配置例を示す図である。 半導体発光素子の電流−輝度特性を示す図である。 凹部の周期間隔を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の変形例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
符号の説明
10 半導体発光素子、 12 サファイア基板、 14 バッファ層、 16 n型GaN層、 18 InGaN発光層、 24 ZnO層、 26 p側電極、 28 n側電極、 30 凹部、 32 p型GaN層。

Claims (17)

  1. 基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、
    前記p型GaN層上にMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が設けられ、
    前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnzλと、前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnzλと、前記発光層からの光の空気中での半値幅をΔλと、波長λ−Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ−Δλ)と、波長λ+Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ+Δλ)と、前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  4. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnzλと、前記発光層からの光の空気中での半値幅をΔλと、波長λ−Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ−Δλ)と、波長λ+Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ+Δλ)と、前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  5. 前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体発光素子。
  6. p型GaN層と、発光層と、n型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、
    前記n型GaN層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されることを特徴とする半導体発光素子。
  7. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記n型GaN層の屈折率をngλと、前記n型GaN層とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
  8. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記n型GaN層の屈折率をngλと、前記発光層からの光の空気中での半値幅をΔλと、波長λ−Δλにおける前記n型GaN層の屈折率をng(λ−Δλ)と、波長λ+Δλにおける前記n型GaN層の屈折率をng(λ+Δλ)と、前記n型GaN層とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
  9. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記n型GaN層の屈折率をngλと、前記発光層からの光の空気中での半値幅をΔλと、波長λ−Δλにおける前記n型GaN層の屈折率をng(λ−Δλ)と、波長λ+Δλにおける前記n型GaN層の屈折率をng(λ+Δλ)と、前記n型GaN層とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
  10. 前記n型GaN層に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の半導体発光素子。
  11. 基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、
    前記基板は、SiC基板であり、
    前記SiC基板の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成され、
    前記p型GaN層上にMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)が設けられ、
    前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されることを特徴とする半導体発光素子。
  12. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnzλと、前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項11に記載の半導体発光素子。
  13. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnzλと、前記発光層からの光の空気中での半値幅をΔλと、波長λ−Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ−Δλ)と、波長λ+Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ+Δλ)と、前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項11に記載の半導体発光素子。
  14. 前記発光層からの光の空気中での波長をλと、その波長λにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnzλと、前記発光層からの光の空気中での半値幅をΔλと、波長λ−Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ−Δλ)と、波長λ+Δλにおける前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)の屈折率をnz(λ+Δλ)と、前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とそれに接する媒体との界面での全反射角をθとしたときに、隣接する凹部の周期間隔または隣接する凸部の周期間隔Lが、
    Figure 2007019488
    の範囲にあることを特徴とする請求項11に記載の半導体発光素子。
  15. 前記MgZn1−xO層(0≦x≦0.5)に形成される凹部または凸部は、正方格子状または三角格子状に配置されることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の半導体発光素子。
  16. 基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、
    前記p型GaN層上に、Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層よりなる透明導電膜層、もしくはその酸化物層とMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とを積層した透明導電膜層が設けられ、
    前記透明導電膜層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されることを特徴とする半導体発光素子。
  17. 基板上に、n型GaN層と、発光層と、p型GaN層とが積層された半導体発光素子であって、
    前記基板は、SiC基板であり、
    前記SiC基板の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成され、
    前記p型GaN層上に、Zn、In、SnおよびMgよりなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物層よりなる透明導電膜層、もしくはその酸化物層とMgZn1−xO層(0≦x≦0.5)とを積層した透明導電膜層が設けられ、
    前記透明導電膜層の表面に、2次元の周期的な間隔で凹部または凸部が形成されることを特徴とする半導体発光素子。
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