JP2007077832A - 油圧ポンプの診断装置及び油圧ポンプの診断方法 - Google Patents

油圧ポンプの診断装置及び油圧ポンプの診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 油圧ポンプの診断装置及び油圧ポンプの診断方法に関し、油圧ポンプにおける故障部位を簡素な構成で特定できるようにする。
【解決手段】 回転部材と、斜板と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動され且つ一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の傾転角を調節する傾転角調節部材と、を有する油圧ポンプの診断装置であって、作動油の吐出圧を検出する吐出圧検出手段1と、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出する出力検出手段6と、該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出する作動油量検出手段5と、該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断する診断手段3とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、作業機械に搭載される油圧ポンプに用いて好適な診断装置及び診断方法に関する。
従来より、油圧駆動式の作業用装置を搭載した作業機械において、油圧ポンプをはじめとする油圧機器,またそれらの制御装置の故障を診断する診断装置が開発されている。
例えば、特許文献1には、作業機械のブームやアーム,スティック等のフロント装置のそれぞれに設けられた角度センサから得られる角度情報に基づいてフロント装置と機械本体(キャブ)との干渉を防止する制御装置において、各センサ自体の故障を判定する判定手段を備えた構成が記載されている。この技術では、入力された角度情報が予め設定された所定の範囲内にあるか否かによって、各センサが故障しているか否かを判定する。つまり、故障していない状態では、センサで検出される情報が予め設定された所定の作動範囲内にあることを利用して、簡便に故障を判定できるようになっている。
ところで、油圧ポンプの故障を診断する場合、油圧ポンプから吐出される作動油の流量や吐出圧を検出して、これらの検出情報が所定の範囲内にあるか否かを判定する方法が考えられる。この方法では、例えば、作動油の吐出圧が所定範囲内にない場合には、吐出圧を調節するための部品の故障と判定し、また、作動油の流量が所定範囲内にない場合には、流量を調節するための部品の故障と判定する。
また、特許文献2には、可変容量型の油圧ポンプにおいて、油圧ポンプから吐出される作動油の吐出流量及び吐出圧力を検出し、予め実稼働時に記憶されたデータに基づいて算出される目標ポンプ吐出流量理論値に対して実際の吐出流量がどの程度ずれているかを演算して、油圧ポンプの故障を判定する構成が記載されている。つまり、複数のセンサから得られる検出データから定常時におけるセンサ情報の所定範囲の閾値を学習するとともに、学習した定常時における閾値と検出データとを比較することによって、非定常的な油圧ポンプの作動状態を把握できるようになっている。
特許第3539815号公報(段落0043,0044,図11) 特開2002−242849号公報(段落0071〜0073)
しかし、油圧ポンプの場合、各構成部品の故障判定が別の構成部品の故障に起因する場合がある。
例えば、シリンダ内の作動油をピストンやプランジャで押圧して吐出するピストン型の油圧ポンプの場合、シリンダ内外を出入りする作動油流量を制御するためのバルブプレートが摩耗すると、油圧ポンプから吐出される作動油流量が変化する。一方、容量可変型の油圧ポンプには、吐出圧の変動に対応して流量を増減制御してポンプ出力を一定に保つレギュレータが設けられているが、レギュレータの不具合によって油圧ポンプから吐出される作動油流量が変化することも考えられる。したがって、非定常的な作動油流量が検出された場合、その原因がバルブプレートの摩耗によるものなのか、それとも、レギュレータの不具合によるものなのかを判別することは困難であり、油圧ポンプのどの構成部品の故障であるかを特定することができない。
また、バルブプレートの摩耗による作動油流量の変動が、レギュレータの制御可能範囲内に収まっているような場合には、レギュレータによって作動油流量が調整されるおそれがあり、作動油流量の変動自体を検出できないことがある。つまり、上記のような判定方法では、真の故障部位を特定できない場合がある。
なお、各構成部品のそれぞれにセンサを設けて、各構成部品毎に診断を行う方法も考えられる。例えば、レギュレータの診断専用のセンサや、バルブプレートの診断専用のセンサを設けて、各センサ情報に基づく各構成部品の診断を個別に行う方法である。しかし、センサを増やすほど製造コストが増加するため、できるだけ実機に搭載するセンサの数や種類を増やさずに正確な診断を行いたい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、油圧ポンプにおける故障部位を簡素な構成で特定することができるようにした、油圧ポンプの診断装置及び油圧ポンプの診断方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項1)は、駆動軸によって回転駆動される回転部材(例えば、バレル)と、該駆動軸に垂直な平面に対し所定の傾転角を保持しうるように配設される斜板(例えば、スワッシュプレート)と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動されるとともに一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材(例えば、ピストン)と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の該傾転角を調節する傾転角調節部材(例えば、レギュレータ)と、を有する油圧ポンプの診断装置であって、該油圧ポンプから吐出される作動油の吐出圧を検出する吐出圧検出手段(例えば、吐出圧センサ)と、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出する出力検出手段(例えば、PS圧センサ)と、該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出する作動油量検出手段(例えば、制御スプールストロークセンサ)と、該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断する診断手段とを備えたことを特徴としている。
なお、吐出圧検出手段が検出する作動油の吐出圧とは、該油圧ポンプから実際に吐出されている作動油の圧力のことであり、また、該作動油量検出手段が検出する作動油量とは、該油圧ポンプから実際に吐出されている作動油の流量のことである。
また、該油圧ポンプは、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じたパイロット圧(例えば、PS圧)を供給するパイロット圧供給装置を有するとともに、該傾転角調節部材は、該作動油圧及び該パイロット圧供給装置から導入されるパイロット圧の大きさに応じて該斜板を駆動し該傾転角を調節する斜板駆動部材(例えば、パワーピストンの制御スプール)を有し、該出力検出手段は、該パイロット圧の大きさを検出するとともに、該診断手段は、該パイロット圧の大きさ及び該吐出圧から該油圧ポンプが通常時に吐出する作動油の理論流量を演算し、該理論流量と該作動油量との差が所定値以上である場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断することが好ましい(請求項2)。
また、該診断手段は、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさの変動に対する該作動油量の変動量の比が第1所定値未満である場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断することが好ましい(請求項3)。
また、該診断手段は、該吐出圧に対して該作動油量の変動勾配が略不連続に変化する不連続点を発見しない場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断することが好ましい(請求項4)。
この場合、該診断手段は、該吐出圧の変動に対する該作動油量の変動をグラフとして描き、該グラフの勾配が急激に変化する折れ点を有していない場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断することが好ましい(請求項5)。
また、該作動油量検出手段は、該斜板の傾転角を検出する斜板センサを有し、該傾転角に基づいて該油圧ポンプから実際に吐出されている作動油量を算出することが好ましい(請求項6)。
また、該油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動される作業用シリンダとを搭載した作業機械における油圧ポンプの診断装置であって、該作動油量検出手段は、該作業用シリンダへ供給される作動油流量を算出することが好ましい(請求項7)。
この場合、該作業用シリンダは、該作業機械の作業用装置(例えば、ブーム,スティック,バケット等)を駆動する油圧シリンダであって、該作業用装置の水平面に対する傾斜角を検出する傾斜センサを備え、該作動油量検出手段は、該傾斜センサで検出された該傾斜角の時間微分値に基づいて該油圧シリンダへ供給される作動油流量を算出することが好ましい(請求項8)。
また、該油圧ポンプは、該回転部材及び該摺動部材を収容する収容部材(例えば、ケース)と、該回転部材に隣接して設けられ該摺動部材の摺動により該油室から吐出される作動油の流路を開放又は閉塞する弁部材(例えば、バルブプレート)と、を有し、該収容部材の内部圧力を把握する内圧把握手段と、該内部圧力及び該吐出圧に基づいて、該弁部材の該回転部材との接触面における摩耗状態を診断する診断手段とを備えることが好ましい(請求項9)。
また、該油圧ポンプは、該収容部材内における該油室外部の作動油を該収容部材外へ排出するためのドレンポートを有し、該内圧把握手段は、該ドレンポートから排出される作動油の圧力をドレン圧として検出するドレン圧検出手段を有するとともに、該ドレン圧の大きさに基づいて該内部圧力を把握することが好ましい(請求項10)。
また、該診断手段は、該吐出圧が予め設定された第1所定圧以上であり、且つ、該内部圧力が該吐出圧に応じて算出される第2所定圧以上であるときに、該弁部材の摩耗量が大きいと診断することが好ましい(請求項11)。
また、該診断手段は、該吐出圧の変動量に対する該内部圧力の変動量の比が予め設定された所定範囲内にない場合に、該弁部材の摩耗量が大きいと診断することが好ましい(請求項12)。
また、本発明の油圧ポンプの診断方法(請求項13)は、駆動軸によって回転駆動される回転部材と、該駆動軸に垂直な平面に対し所定の傾転角を保持しうるように配設される斜板と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動されるとともに一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の該傾転角を調節する傾転角調節部材と、を有する油圧ポンプを診断する方法であって、該油圧ポンプから吐出される該作動油の吐出圧を検出し、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出し、該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出して、該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断することを特徴としている。
また、本発明の油圧ポンプの診断方法(請求項14)は、駆動軸によって回転駆動される回転部材と、該駆動軸に垂直な平面に対し所定の傾転角を保持しうるように配設される斜板と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動されるとともに一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の該傾転角を調節する傾転角調節部材と、該回転部材及び該摺動部材を収容する収容部材と、該回転部材に隣接して設けられ該摺動部材の摺動により該油室から吐出される作動油の流路を開放又は閉塞する弁部材と、を有する油圧ポンプを診断する方法であって、該油圧ポンプから吐出される該作動油の吐出圧を検出し、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出し、該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出するとともに、該収容部材の内部圧力を把握し、次に、該内部圧力及び該吐出圧に基づいて、該弁部材の該回転部材との接触面における摩耗状態を診断し、その後、該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断することを特徴としている。
本発明の油圧ポンプの診断装置及び油圧ポンプの診断方法(請求項1,13)によれば、作動油圧,ポンプ出力の大きさ及び作動油量に基づく診断により、傾転角調節部材の状態を正確に診断することができる。
また、このような診断によって、油圧ポンプの故障部位が傾転角調節部材であるかそれ以外であるかを特定することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項2)によれば、パイロット圧を検出することによって、油圧ポンプに要求されている出力の大きさを正確に把握することができる。また、このような診断によって、斜板駆動部材の固着状態を診断することができる。また、演算された理論流量と実際の作動油量とを比較することでこのような診断を行うため、診断のための学習を行う必要がない。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項3)によれば、作動油圧の変動のない状態において、斜板駆動部材の固着状態を診断することができる。また、油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを変動させることで、作動油量の変動量を容易に観察することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項4)によれば、油圧ポンプの出力変動のない状態において、斜板駆動部材の固着状態を診断することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項5)によれば、油圧ポンプから吐出される作動油圧及び作動油量の特性を利用して、容易に斜板駆動部材の固着状態を診断することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項6)によれば、斜板センサを用いることで、容易に油圧ポンプから実際に吐出される作動油量を把握することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項7)によれば、作業用シリンダの駆動状態において、油圧ポンプから吐出される作動油量を把握することができる。つまり、作業中であっても診断を実施することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項8)によれば、傾斜センサを利用して、作業用シリンダへ供給される作動油量を正確に把握することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項9)によれば、内部圧力と吐出圧とに基づく診断により、弁部材の回転部材との接触面の摩耗状態を正確に診断することができる。これにより、弁部材の摩耗を早期に発見することができる。
また、例えば、油圧ポンプから吐出される作動油流量や吐出圧の検出値から、油圧ポンプの故障が診断された場合、上記の診断によって、油圧ポンプの故障部位が弁部材であるかそれ以外であるかを特定することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項10)によれば、油圧ポンプのドレンポートを利用して、容易に収容部材の内部圧力を把握することができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項11)によれば、弁部材の摩耗の促進に対して顕著に内部圧力が増加して観察される領域における、その内部圧力の大きさに基づいて、弁部材の摩耗状態を診断することができる。これにより、診断結果の信頼性を向上させることができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断装置(請求項12)によれば、油圧ポンプの吐出圧の変動特性及び収容部材の内部圧力の変動特性を利用して、弁部材の摩耗状態を診断することができる。これにより、診断を容易に行うことができる。
また、本発明の油圧ポンプの診断方法(請求項14)によれば、油圧ポンプの診断過程において、故障部位が斜板駆動部材又は弁部材である場合に、それを特定することができる。また、内部圧力及び吐出圧に基づく診断を先に行うため、弁部材の摩耗及び斜板駆動装置の固着を正確に診断することができる。
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1〜図12は、本発明の第1実施形態としての油圧ポンプの診断装置を示すものであり、図1は本診断装置の構成を示すブロック図、図2は本診断装置が適用された油圧ポンプの構成を示す側面,断面図、図3は図2のA矢視図、図4はメインポンプの構成を示す図2のB−B断面図、図5は図2の油圧ポンプにおけるバルブプレートの部品図、図6はレギュレータの構成を示す図2のC−C断面図、図7〜9は本診断装置の制御内容を示すフローチャート、図10は制御スプールの診断制御にかかるブロック図、図11は図2の油圧ポンプにおける吐出圧とケース内部圧力との関係を示すグラフ、図12は通常時における油圧ポンプの吐出圧及び作動油圧の対応関係を示すグラフである。
[機械的構成]
本診断装置は、図2,図3に示す油圧ポンプ10に適用される。この油圧ポンプ10は、第1メインポンプ30,第2メインポンプ40及びレギュレータ(傾転角調節部材)20を備えて構成される。第1メインポンプ30及び第2メインポンプ40は、図示しないエンジンに駆動されて高圧の作動油を吐出するピストン式のポンプである。図2において、第1メインポンプ30の断面図を図中左半分に示し、第2メインポンプ40の側面図を図中右半分に示す。
第1メインポンプ30は、エンジンの駆動軸12に直接連結される。一方、第2メインポンプ40は、第1メインポンプ30に並設され、ギヤ23を介してエンジンに駆動される。第1メインポンプ30及び第2メインポンプ40は、図示しない作動油タンクから作動油の供給を受け、その作動油を加圧して吐出し、油圧回路内へ流通させるようになっており、ともに略同様の内部構造を有している。
続いて、図2を用いて、第1メインポンプ30の内部構造を説明する。第1メインポンプ30は、バレル(回転部材)11,ピストン(摺動部材)14,バルブプレート(弁部材)16,スワッシュプレート(斜板)18及びケース(収容部材)15を備えて構成される。
ケース15は、内部にその他の部品を収容する。エンジンの駆動軸12は、ベアリング26を介してケース15の内部に挿通されている。
バレル11は、エンジンの駆動軸12の外周面にスプラインを介して嵌合する。これにより、バレル11は駆動軸12によって回転駆動される。また、バレル11には、凹設された複数のシリンダ室(油室)13が形成されている。このシリンダ室13は、駆動軸12の軸方向に沿って形成された筒状の空間であり、駆動軸12を中心とした周囲に周方向へ等間隔に配置されている。なお、図2に示すように、シリンダ室13の上端側は、上方からピストン14を挿通できるように開放されている。また、シリンダ室13の下端側には、シリンダ室13の内部へ作動油を吸い込み、或いは吐き出すための流路が形成されている。
バルブプレート16は、バレル11の下面に隣接するようにケース15に固設され、シリンダ室12から吐出される作動油の流路を開放又は閉塞する弁部材である。このバルブプレート16は、図5に示すように、円盤状の形状をなしており、中央部には駆動軸12を挿通するための中央孔16cが形成されている。また、中央孔16cの中心を通る線でバルブプレート16を上下方向へ分割したときの図5における上半分側には、中央孔16cの周囲において弧を描くように周方向へ延設された長孔16aが形成されており、一方、下半分側には、周方向へ等間隔に穿設された複数の円形の小孔16bが形成されている。
ピストン14は、バレル11の各シリンダ室13内部に摺動可能に嵌装されて、バレル11に対し出没自在に設けられる。また、各ピストン14の頭部14aは略球状に形成され、リテーナ17によって保持されている。
スワッシュプレート18は、駆動軸12に垂直な平面に対して所定の傾転角θ(傾斜角ともいう)を保持しうるように配設された円盤状の部材である。スワッシュプレート18の傾転角θは、後述するレギュレータ20によって制御される。また、スワッシュプレート18には、リテーナ17を駆動軸12の周方向へ滑動自在に支持する摺動面が形成されている。バレル11が駆動軸12とともに回転駆動されると、リテーナ17はピストン14の頭部14aを保持した状態で、スワッシュプレート18の摺動面上を滑動する。
これにより、ピストン14の頭部14aが、スワッシュプレート18の傾転角θに応じて駆動軸12の軸方向へ移動することになり、ピストン14はシリンダ室13内を往復摺動するようになっている。なお、傾転角θが大きい(ただし、0<θ<π/2)ほど、ピストン14の往復摺動距離(すなわち、往復ストローク)が大きくなり、傾転角θが小さいほど、往復摺動距離が小さくなる。
一方、駆動軸12の回転によって、バレル11の下面とバルブプレート16とが当接した状態で摺動する。これにより、シリンダ室13の内部へ作動油を吸い込み、或いは吐き出すための流路が、バルブプレート16によって開閉されることになる。例えば、シリンダ室13の下端がバルブプレート16の長孔16a又は小孔16bと重なった状態では、シリンダ室13と流路とが連通され、シリンダ室13の下端が長孔16a及び小孔16bと重なっていない状態では、シリンダ室13が流路に対し閉鎖されることになる。
なお、本実施形態では、ピストン14の往復摺動のうち、ピストン14がシリンダ室13に対して伸張方向へ移動するときに、シリンダ室13の下端が長孔16aと重なっている状態となり、作動油がシリンダ室13の内部へ吸い込まれるようになっている。また、ピストン14がシリンダ室13に対して縮小方向へ移動するときに、シリンダ室13の下端が小孔16bと断続的に重なる状態となり、作動油がシリンダ室13から吐出されるようになっている。
図4に示すように、ケース15内部におけるバルブプレート16の下方には、作動油の流路として、流入ライン24及び吐出ライン25が形成されている。各シリンダ室13へ吸い込まれる作動油は、流入ライン24から供給され、また、シリンダ室13から吐出される作動油は、吐出ライン25を通って吐出ポート22から油圧ポンプ10の外部へ吐出される。なお、図2に示すように、吐出ポート22よりも下流側の配管系路上には、油圧ポンプ10から吐出される作動油の吐出圧Paを検出する吐出圧センサ(吐出圧検出手段)1が取り付けられる。なお、ここで検出された吐出圧Paは、後述するコントローラ3へ入力される。
また、油圧ポンプ10の側面には、ケース15内におけるシリンダ室13の外部の作動油を油圧ポンプ10の外へ排出するためのドレンポート21が設けられている。ドレンポート21は、ケース15内においてピストン14とシリンダ室13との摺動面を潤滑しながらシリンダ室13の外部へ漏洩した作動油等をケース15の外部へ排出して作動油タンクへ戻すためのポートである。なお、ドレンポート21の下流側の配管経路上には、ドレンポート21から排出される作動油の圧力(ドレン圧)Pbを検出するケース内圧センサ(内圧把握手段,ドレン圧検出手段)2が設けられている。なお、ケース圧センサ2は、ドレンポートから排出される作動油のドレン圧をケース15の内部圧力として検出しており、ここではドレン圧がケース内圧(ケース15の内部圧力)とみなされている。また、ここで検出されたケース内圧Pbは、後述するコントローラ3へ入力されるようになっている。
第1メインポンプ30及び第2メインポンプ40のそれぞれには、レギュレータ20が1つずつ併設されている。レギュレータ20は、各ポンプ30,40から吐出される作動油の流量を制御するための装置である。
図6に示すように、レギュレータ20は、内部にパワーピストン19,制御スプール27及びストロークセンサ5を備えて構成される。パワーピストン19は、図2に示すように、傾転ピン19aを介してスワッシュプレート18に連結され、制御スプール27の動作に連動して図2,図6中上下方向へ摺動可能に設けられる。また、制御スプール27は、その上下両端部をスプリング28によって支持されて通路29内に収容される。
この制御スプール27は、図2に示すPSポート31からレギュレータ20内へ導入されるパイロット圧(PS圧)Pc及び各ポンプ30,40から吐出される作動油の吐出圧Paを受けて通路29内を摺動し、各圧力の大きさに応じた位置を保持する。吐出圧Paは、制御スプール27を図6中上方向へ押し上げるように作用し、一方、PS圧Pcは、制御スプールを図6中下方向へ押し下げるように作用する。
なお、レギュレータ20内へ導入されるPS圧Pcの大きさは、油圧ポンプ10へ要求されている出力の大きさに対応しており、エンジンの目標回転数を設定するエンジンダイヤルスイッチの操作位置や各種油圧アクチュエータの作動量を設定する操作レバーの操作量等に応じて、油圧ポンプ10へ要求される出力の大きさが設定されている。
まず、レギュレータ20内へ導入される吐出圧Paが低下すると、制御スプール27が図6中下方向へ摺動し、これに連動してパワーピストン19が図2中下方向へ移動すると、スワッシュプレート18の一端部がバレル11に近接する方向へ移動して傾転角θが大きくなり、油圧ポンプ10から吐出される作動油量Qが増大する。また、レギュレータ20内へ導入される吐出圧Paが上昇すると、制御スプール27が図6中上方向へ摺動するとともにパワーピストン19が図2中上方向へ移動し、スワッシュプレート18の一端部がバレル11から離隔する方向へ移動して傾転角θが小さくなり、作動油量Qが減少する。
一方、レギュレータ20内へ導入されるPS圧Pcが高い場合には、制御スプール27が図6中下方向へ押し下げられやすく(下方向へストロークしやすく)なり、スワッシュプレート18の傾転角θが大きくなりやすく、すなわち、作動油量Qが増大しやすくなる。逆に、PS圧Pcが低い場合には、制御スプール27が図6中上方向へ押し上げられやすく(上方向へストロークしやすく)なり、スワッシュプレート18の傾転角θが小さくなりやすく、すなわち、作動油量Qが減少しやすくなる。
このように、レギュレータ20は、吐出圧Pa及びPS圧Pcに応じてスワッシュプレート18の傾転角θを調節することで、油圧ポンプ10から吐出される作動油量Qを増減させ、ポンプ出力がPS圧Pcに応じた所定値に保たれるようにP−Q制御を実施する。なお、本油圧ポンプ10における通常時の吐出圧Pa,作動油量Q及びPS圧Pcの対応グラフを図12に示す。このグラフは、一般に、P−Q線図と呼ばれる。
また、レギュレータ20内部には、制御スプール27の摺動ストロークLを検出するストロークセンサ(作動油量検出手段)5が設けられ、また、PSポート31の上流側には、レギュレータ20へ導入されるPS圧Pcの大きさを検出するPS圧センサ(出力検出手段)6が設けられている。摺動ストロークLとは、スプリング28の付勢力,吐出圧Pa及びPS圧Pcに応じて通路29内を摺動する制御スプール27の実際の位置を表し、スワッシュプレート18の傾転角θに対応するパラメータである。ストロークセンサ5で検出された制御スプール27の摺動ストロークL、及び、PS圧センサ6で検出されたPS圧Pcは、コントローラ3へ入力されるようになっている。
[診断構成]
図1に示すように、本油圧ポンプ10の診断装置は、吐出圧センサ1,ケース圧センサ2,ストロークセンサ5,PS圧センサ6,コントローラ(診断手段)3及びモニタパネル4を備えて構成される。前述の通り、吐出圧センサ1及びケース圧センサ2は、それぞれ、油圧ポート22から吐出される作動油の吐出圧Pa及びドレンポート21からドレン排出される作動油のケース内圧Pbを検出するセンサである。また、ストロークセンサ5はレギュレータ20の制御スプール27の摺動ストロークLを検出するセンサであり、PS圧センサ6はPS圧Pcを検出するセンサである。
モニタパネル4は本診断装置における診断結果を表示するための装置であり、ここでは、油圧ポンプ10が搭載される作業機械のキャブ内に設けられている。
コントローラ3は、制御ブロックとして診断部3a,診断結果表示部3b及び記憶部3cを備える。まず、記憶部3cは、第1所定圧Pa0及び関数fを記憶している。第1所定圧Pa0とは、吐出圧Paがバルブプレート16の摩耗を診断可能な領域にあるか否かを判定するための閾値である。また、関数fとは、ケース内圧Pbがバルブプレート16の摩耗状態に対応した値であるか否かを判定するための閾値としての第2所定圧Pb0を定めるものであり、吐出圧Paに対する関数〔Pb0=f(Pa)〕である。
ここで、第1所定圧Pa0及び関数fの設定について、図11に示す試験結果を用いて説明する。
バルブプレート16の摩耗がない場合、油圧ポンプ10から吐出される吐出圧Paとケース内圧Pbとの関係をグラフで示すと、図11に太実線で示すようになる。つまり、吐出圧Paの増大に対し略比例してケース内圧Pbが上昇するが、その上昇割合は緩やかである。一方、バルブプレート16の表面が摩耗した状態になると、図11に破線,一点鎖線及び二点鎖線で示すように、吐出圧Paの増大に対するケース内圧Pbの上昇割合が大きくなる。
また、バルブプレート16の摩耗状態に着目すると、図11中に破線で示すグラフよりも一点鎖線で示すグラフの方がケース内圧Pbの勾配が大きくなり、二点鎖線で示すグラフになると、さらに勾配が大きくなっている。つまり、摩耗が進行するほど、ケース内圧Pbの上昇割合が大きくなることがわかる。これは、油圧ポンプ10の作動時には、バルブプレート16とバレル11とが常時摺動しているため、バルブプレート16の表面摩耗により、摺動面に沿った方向へ作動油が流れ、ケース15内におけるシリンダ室13の外部へその作動油が流出して、ケース内圧Pbが上昇しやすくなるものと考えられる。このように、吐出圧Paとケース内圧Pbとの対応関係は、バルブプレート16の摩耗の進行度合いに応じて変動するものであることがわかる。
なお、図11において、吐出圧Paが低圧の状態では、太実線で示されるグラフよりも破線,一点鎖線及び二点鎖線で示されるグラフの方がケース内圧Pbが低くなっている。この現象の原因は未解明であるが、その一因として、バルブプレート16の摩耗によるケース15自体の液密性の低下が考えられる。つまり、吐出圧Paが低圧の状態では、ケース内圧Pbが上がりにくくなるものと推測される。
また、図11中における太実線の上下に描かれた細実線は、センサの検出誤差等を見込んだ太実線のグラフの変動幅を示している。
以上のような試験結果に基づき、第1所定圧Pa0及び関数fは、バルブプレート16の摩耗状態(摩耗の進行度合い)にかかわらずバルブプレート16が摩耗していることを診断可能な領域の閾値として、図11に示すように設定される。すなわち、細実線で示された、バルブプレート16の摩耗がない場合における吐出圧−ケース内圧の変動幅のうちの大きい方が関数fとして設定されると共に、関数fのグラフ(ここでは、上側の細実線)よりも、摩耗が進行した(ここでは、摩耗の進行度合いが小)バルブプレート16における吐出圧−ケース内圧グラフが大きくなる点の吐出圧Paが第1所定圧Pa0に設定される。
また、記憶部3cには、図12に示すようなP−Q線図が記憶されている。なお、図12には3種類のPS圧Pcに対応したP−Q線図が示されているが、実際にはより多くのPS圧Pcの大きさに対応する複数のP−Q線図が記憶されている。また、ここで記憶されている各P−Q線図に対応するPS圧Pcの範囲は、油圧ポンプ10へ要求されうる出力の大きさに対応したPS圧Pcの取り得る範囲全体と同一あるいはそれよりも広い範囲となっている。
診断部3aは、各センサ1,2,5,6から入力された吐出圧Pa,ケース内圧Pb,摺動ストロークL及びPS圧Pcに応じて、油圧ポンプ10の診断を行う。
[1]バルブプレート16の診断
まず、診断部3aは、各センサ1,2から入力された吐出圧Pa及びケース内圧Pbと第1所定圧Pa0及び関数fによって定められる第2所定圧Pb0とを比較して、バルブプレート16の診断を行う。
吐出圧Paが第1所定圧Pa0未満の場合には、診断が行える範囲に検出データがないため、バルブプレート16の診断を行わない。一方、吐出圧Paが第1所定圧Pa0以上の場合には、バルブプレート16の摩耗状態の診断を開始し、ケース内圧Pbと第2所定圧Pb0とを比較する。
ここで、ケース内圧Pbが第2所定圧Pb0未満の場合には、バルブプレート16が摩耗していない(摩耗の進行度合いがごく軽微である)と判断する。一方、ケース内圧Pbが第2所定圧Pb0以上の場合には、バルブプレート16が摩耗している(ここでは、摩耗の進行度合いが小の状態よりも進行している)と判断する。
つまりここでは、油圧ポンプ10の吐出圧Pa及びポート内圧Pbが、図11のグラフ上において、Pa≧Pa0且つPb0=f(Pa)のグラフよりも上側にある場合には、バルブプレート16が摩耗していると判断し、Pa≧Pa0且つPb0=f(Pa)のグラフよりも下側にある場合には、バルブプレート16が摩耗していないと判断する。
なお、吐出圧Paが第1所定圧Pa0未満であってバルブプレート16の診断を行わない場合には、診断結果表示部3bがモニタパネル4へその旨(例えば、「リリーフをしてください」)を表示して、油圧ポンプ10の吐出圧Paをより大きくするようなオペレータ操作を促すようになっている。
[2]制御スプール27の診断
次に、診断部3aは、吐出圧Pa及びPS圧Pcから理論流量Qcを算出するとともに、摺動ストロークLから実流量Qaを算出し、理論流量と実流量とを比較して制御スプール27の診断を行う。
図10に示すように、診断部3aは、記憶部3cに記憶されたP−Q線図のうち、入力されたPS圧Pcに対応するP−Q線図を読み出すとともに、入力された吐出圧Paに対応する作動油量を理論流量Qcとして算出する。つまりここでは、通常時の油圧ポンプ10において、吐出圧Pa及びPS圧Pcから推定される作動油流量の理論値が算出される。
一方、診断部3aは、入力された制御スプール27の摺動ストロークLに対応するスワッシュプレート18の傾転角θを算出し、この傾転角θ及びバレル11の回転数に基づいて、実際に油圧ポンプ10から吐出される作動油の実流量Qaを算出する。つまりここでは、スワッシュプレート18の傾転角θに基づいて油圧ポンプから吐出される作動油量Qaが算出される。なお、本実施形態では図示を省略しているが、本診断装置にはバレル11と同一回転数のエンジン回転数が入力されて、実流量Qaの演算に参照されるようになっている。
そして診断部3aは、理論流量Qcと実流量Qaとの差|Qa−Qc|が所定値Qb以上である場合に、制御スプール27が通路29内で固着していると判断し、一方、差|Qa−Qc|が所定値Qb未満である場合に、制御スプール27が固着していない(すなわち、通常の作動状態にある)と判断する。
つまりここでは、実流量Qaが、図12に破線で示す、理論流量Qcに対して所定値Qbの誤差を見込んだ範囲内にある場合には制御スプール27が固着していないと判断し、この範囲から外れている場合には制御スプール27が固着していると判断する。
診断結果表示部3bは、診断部3aにおける上記のような各判断結果を受けて、それをモニタパネル4へ表示するよう機能する。
[フローチャート]
図7〜図9を用いて本診断装置の制御内容を説明する。まず、図7に示すフローチャートはメインフローであり、コントローラ3内において所定周期で繰り返し実行されている。また、図8,図9に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのサブルーチンとして適宜呼び出され、実行される。なお、図8のフローをバルブプレートの診断フロー,図9のフローを制御スプールの診断フローと呼ぶ。
[1]メインフロー
図7に示すように、ステップA10では、診断部3aにおいて、バルブプレートの診断フローが実施され、続くステップA20ではフラグFAの値がFA=1であるか否かが判定される。
フラグFAとは、バルブプレート16の摩耗状態を示すフラグであり、後述するバルブプレートの診断フローで設定される。なお、フラグFAの取り得る値とその意味は以下の通りである。
A=0:摩耗状態を診断しない状態
A=1:摩耗していない(摩耗の進行度合いがごく軽微である)状態
A=2:摩耗している(摩耗の進行度合いが小の状態よりも進行している)状態
このステップA20で、FA≠1の場合にはステップA30へ進み、FA=1の場合にはステップA60へ進む。
ステップA30では、フラグFAの値がFA=2であるか否かが判定される。ここで、FA≠2の場合には、FA=0であることになり、ステップA50へ進む。一方、FA=2の場合にはステップA40へ進む。
ステップA40では、診断結果表示部3cにおいて、バルブプレート16が摩耗していることを示す表示がなされる。また、ステップA50では、バルブプレート16の摩耗状態の診断がなされず、診断結果表示部3bにおいて「リリーフをしてください」とモニタパネル4へ表示されるとともに、ステップA60へ進む。
ステップA60では、診断部3aにおいて、制御スプールの診断フローが実施され、続くステップA70でフラグFBの値がFB=1であるか否かが判定される。
フラグFBとは、制御スプール27の固着状態を示すフラグであり、後述する制御スプールの診断フローで設定される。なお、フラグFBの取り得る値とその意味は以下の通りである。
B=0:制御スプール27が通路29内で固着している状態
B=1:制御スプール27が通路29内で固着していない状態
このステップA70で、フラグFBの値がFB≠1の場合にはステップA80へ進み、FB=1の場合にはステップA90へ進む。
ステップA80では、診断結果表示部3cにおいて、制御スプール27が固着していることを示す表示がなされる。一方、ステップA90では、油圧ポンプ10の診断を続行するか否かが判定される。
なお、油圧ポンプ10の診断を続行する,あるいは終了する条件は任意であるが、例えば本油圧ポンプ10を搭載した作業機械のキャブ内に、診断の実施又は終了用のスイッチを設けることが考えられる。この場合、ステップA90では、スイッチからの信号に応じて診断の続行又は終了が判定される。
診断を続行する場合にはステップA10へ戻って上記制御を繰り返し、また、診断を停止する場合にはこのフローを終了する。
なお、本フローチャートでは、バルブプレート16の摩耗状態及び制御スプールの固着状態を診断する制御のみを示しており、本フローはこれで終了するようになっているが、本フローに続いて油圧ポンプ10の他の構成部品の診断を行うフローを実行してもよい。
[2]バルブプレートの診断フロー
図8に示すように、ステップB10では、吐出圧センサ1及びケース内圧センサ2から診断部3aへ、吐出圧Pa及びケース内圧Pbが入力される。続くステップB20では、吐出圧Paが記憶部3cに記憶された第1所定圧Pa0以上(Pa≧Pa0)であるか否かが判定される。ここで、Pa≧Pa0である場合にはステップB40へ進み、Pa<Pa0である場合にはステップB30へ進む。
ステップB30では、診断が行える範囲に検出データがないため、診断部3aにおいて、バルブプレート16の診断が行われず、フラグFAがFA=0に設定され、このフローを終了する。
つまり、吐出圧PaがPa<Pa0の領域では、図11に示すように、たとえバルブプレート16の摩耗の進行度合いが進んでいたとしても、正確に判定することが困難であるため、誤検出を避けるべく診断が行われず、条件(Pa≧Pa0)が満たされた場合にのみ診断が行われることになる。
なお、ここでオペレータ操作により、油圧回路内の作動油がリリーフするような操作がなされると、油圧ポンプ10の吐出圧Paが上昇することになる。そして、本フローが繰り返し実行される過程において、条件(Pa≧Pa0)が満たされた場合には、ステップB40へ進むことになる。つまり、条件(Pa≧Pa0)が満たされるまでの間、診断待機の状態となる。
一方、ステップB40では、診断部3aにおいて、ケース内圧Pbが吐出圧Paに対し関数fによって定められる第2所定圧Pb0以上〔Pb≧f(Pa)〕であるか否かが判定される。ここで、Pb≧f(Pa)である場合にはステップB50へ進み、Pb<f(Pa)である場合にはステップB60へ進む。
ステップB50では、診断部3aにおいて、バルブプレート16が摩耗していると診断され、フラグFAがFA=2に設定されてこのフローを終了する。一方、ステップB60では、診断部3aにおいて、バルブプレート16が摩耗していないと診断されて、フラグFAがFA=1に設定されてこのフローを終了する。
[3]制御スプールの診断フロー
図9に示すように、ステップC10では、吐出圧センサ1,ストロークセンサ5及びPS圧センサ6から診断部3aへ、吐出圧Pa,摺動ストロークL及びPS圧Pcが入力される。続くステップC20では、診断部3aにおいて、記憶部3cに記憶されたP−Q線図のうち、入力されたPS圧Pcに対応するP−Q線図が読み込まれる。そしてステップC30において、P−Q線図及び入力された吐出圧Paに基づき、通常時の油圧ポンプ10における作動油量が理論流量Qcとして算出される。
一方、続くステップC40では、診断部3aにおいて、入力された摺動ストロークLに対応するスワッシュプレート18の傾転角θが算出され、傾転角θに基づいて油圧ポンプ10から実際に吐出される作動油量が実流量Qaとして算出される。
ステップC50では、診断部3aにおいて、理論流量Qcと実流量Qaとの差|Qa−Qc|が所定値Qb以上であるか否かが判定される。ここで、|Qa−Qc|≧Qbである場合にはステップC60へ進み、制御スプール27が通路29内で固着状態にあると診断され、フラグFBがFB=0に設定されてこのフローを終了する。
一方、ステップC50において、|Qa−Qc|<Qbである場合にはステップC70へ進み、制御スプール27が通路29内で固着状態にないと診断され、フラグFBがFB=1に設定されてこのフローを終了する。
[効果]
このように、第1実施形態にかかる油圧ポンプ10の診断装置によれば、吐出圧Paとケース内圧Pbとに基づく診断によって、バルブプレート16の摩耗状態を正確に診断することができる。これにより、バルブプレート16の摩耗の進行度合いが大きくない場合であってもそれを診断できるようになり、バルブプレート16の摩耗を早期に発見することができる。
また、このような吐出圧Paとケース内圧Pbとの対応関係に着目した診断方法を用いることにより、油圧ポンプ10の故障部位がバルブプレート16である(バルブプレート16の摩耗である)と診断することができる。つまり、本診断装置によれば、油圧ポンプ10の故障部位がバルブプレート16であるのか、それともバルブプレート16以外であるのかを特定することができる。
また、本診断装置によれば、吐出圧Pa,摺動ストロークL及びPS圧Pcに基づく診断によって、制御スプール27の固着状態を診断することができる。また、理論流量Qcと実流量Qaとの差を算出することにより、図12に破線で示す誤差範囲を考慮した診断が可能となり、正確に制御スプール27の診断を行うことができる。また、検出データに基づいて常に理論流量Qcと実流量Qaとの比較を行うため、例えば、実流量Qaを学習するような構成が必要がない。
また、本診断装置によれば、バルブプレート及び制御スプールの診断フローを備えているため、油圧ポンプ10の故障部位がバルブプレート16であるのか、制御スプール27であるのか、それともそれ以外の部位であるのかを特定することができる。
また、制御スプールの診断に先立ってバルブプレートの診断を実施しているため、例えば、バルブプレート16の摩耗による作動油量Qaの変動が、レギュレータ20の制御可能範囲内に収まっているような場合であっても、真の故障部位を特定することができる。
また、本診断装置では、制御スプール27の摺動ストロークLから対応するスワッシュプレート18の傾転角θを求め、傾斜角θに基づいて油圧ポンプ10から吐出される実流量Qaを算出しているため、演算が正確であり、診断の信頼性を向上させることができる。
また、診断方法について、図11に示すような吐出圧Paとケース内圧Pbとの対応関係を利用するにあたり、顕著にケース内圧Pbが増加して観察される領域で弁部材の摩耗状態を診断しているため、正確に診断することができる。
なお、本診断装置では、ドレンポート21から排出される作動油圧をケース内圧Pbとして検出しているため、ケース15の内圧を容易に把握することができる。
[第2実施形態]
図13,図14を用いて、本発明の第2実施形態としての油圧ポンプの診断装置を説明する。図13は本診断装置における制御スプールの診断フローを示すフローチャート、図14は制御スプール固着時における油圧ポンプ10の吐出圧Pa及び作動油圧Qの対応関係を示すグラフである。なお、本実施形態は、第1実施形態におけるコントローラ3の診断部3aにおける診断方法のみが異なる診断装置であり、診断部3aにおける診断方法以外の構成は同一である。
本診断装置は、図14に示す油圧ポンプ10の特性を利用したものである。すなわち、油圧ポンプ10において制御スプール27が通路29内に固着した場合には、レギュレータ20へ導入されるPS圧の大きさを変化させたとしても、油圧ポンプ10から吐出される作動油量Qが略変化しない。
図14には、制御スプール27を3カ所の固着位置で固着した場合のそれぞれのP−Q線図が示されているが、何れの場合であっても、PS圧の値にかかわらず、常に吐出圧Paと作動油量Qとの関係がここに示された対応関係となる。なお、固着位置Aとは、制御スプール27の摺動範囲のうち、スワッシュプレート18の傾転角θを比較的大きくする位置(例えば、図6中下方向側の位置)であり、一方、固着位置Cとは、傾転角θを比較的小さくする位置(例えば、図6中上方向側の位置)である。また、固着位置Bとは、固着位置Aと固着位置Cとの中間の位置である。
そこで、本実施形態では、吐出圧Paを保持しながらPS圧を変化させる制御を実施し、作動油量Qが変動するか否かを観察することで、制御スプール27の固着状態を診断するようになっている。
コントローラ3は、本診断過程において、増加するPS圧Pcの大きさがPc0になるまで、PS圧Pcを漸増させる制御を実施するようになっている。また、診断部3aは、PS圧Pcの増加の前後における実流量Qaの変化を観察し、診断を行う。
具体的には、PS圧Pcの大きさがPc0だけ増加したときの実流量Qaの変動量が、予め設定された所定値Qa0未満である場合には、ほとんど変化が見られないと判断して、制御スプール27が固着状態にあると診断する。一方、実流量Qaの変動量がQa0以上である場合には、制御スプール27が固着状態にない通常の状態であると診断する。
つまり、本実施形態では、油圧ポンプ10へ要求されている出力の大きさの変動に対する作動油量の変動量の比がQa0/Pc0(第1所定値)未満である場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断されることになる。
[フローチャート]
図13に、本診断装置における制御スプールの診断フローを示す。なお、メインフロー及びバルブプレートの診断フローについては、図7,図8に示された第1実施形態におけるものと同一である。
図13に示すように、ステップD10では、カウンタnがn=1に設定される。このカウンタnとは、PS圧Pc及び作動油量Qの変化を観察するための変数であり、PS圧Pcを変化させる過程において随時演算される実流量Qaが何サイクル目の演算結果であるかを示す値である。なお、ここでいう1サイクルとは、nの値が同一である一連のステップをまとめた単位フローであり、ステップD20〜ステップD60のステップを各1回ずつ実施する制御のことを指している。
続くステップD20では、ストロークセンサ5及びPS圧センサ6から診断部3aへ、摺動ストロークL及びPS圧Pcが入力される。そして、ステップD30では、診断部3aにおいて、入力された摺動ストロークLに対応するスワッシュプレート18の傾転角θが算出され、傾転角θに基づいて油圧ポンプ10から実際に吐出される作動油量が実流量Qa(n)として算出される。なお、n=1の場合、実流量をQa(1)と表記する。
ステップD40では、診断部3aにおいて、吐出圧を保持しながらPS圧Pc(n)を漸増させる制御が実施される。なお、n=1の場合、PS圧をPc(1)と表記する。
続くステップD50ではカウンタnにn+1が代入される(カウンタnに1が加算される)。そして、ステップD60では、|Pc(n)−Pc(1)|が予め設定された所定値Pc0以上であるか否かが判定される。ここで、|Pc(n)−Pc(1)|≧Pc0である場合にはステップD70へ進み、|Pc(n)−Pc(1)|<Pc0である場合にはステップD20へ戻って上記フローを繰り返す。
つまり、フローの繰り返しにより、ステップD30において実流量Qa(n) が各サイクル毎にQa(1),Qa(2),Qa(3)…と算出され、同様に、ステップD40においてPS圧Pc(n)が各サイクル毎にPc(1),Pc(2),Pc(3)…と算出されることになる。そして、ステップD60において、最初のサイクルのPS圧Pc(1)と現在のサイクルのPS圧Pc(n)との差が所定値Pc0以上となったときに初めて、次のフローへ進むことになる。したがって、予め設定された所定値Pc0が大きいほど、増加させるPS圧の大きさが大きくなる。
ステップD70では、診断部3aにおいて、|Qa(n)−Qa(1)|が予め設定された所定値Qa0未満であるか否かが判定される。つまりこのステップでは、PS圧を所定値Pc0分だけ増加させたときの実流量の増加量がどれだけあるかを算出している。ここで、実流量の増加量|Qa(n)−Qa(1)|が所定値Qa0未満である場合には、ステップD80へ進み、制御スプール27が通路29内において固着状態にあると診断され、フラグFBがFB=0に設定されてこのフローを終了する。
一方、ステップD70において、実流量の増加量|Qa(n)−Qa(1)|が所定値Qa0以上である場合には、制御スプール27が通路29内において固着状態にないと診断され、フラグFBがFB=1に設定されてこのフローを終了する。
なお、制御スプール27が固着している場合、吐出圧Paが保持されて変化しなければ、作動油量Qは変化しないため、ステップD70の判定にかかる所定値Qa0は0又は略0に近い微少値であってよい。
[効果]
このように、第2実施形態にかかる油圧ポンプ10の診断装置によれば、図14に示すような油圧ポンプ10の特性を利用して、PS圧Pcの大きさを変化させた場合の実流量Qaの変化が殆ど見られない場合に、制御スプール27が固着状態にあると診断することができる。
また、この方法は、制御スプール27の診断において吐出圧Paを使わないため、簡素な構成で実施が可能である。また、PS圧すなわちレギュレータ20へ入力されるパイロット圧を制御することによって、容易に作動油量Qの変動を観察することができる。
[第3実施形態]
図15,図16を用いて、本発明の第3実施形態としての油圧ポンプの診断装置を説明する。図15は、本診断装置における制御スプールの診断フローを示すフローチャート、図16は制御スプール固着時における油圧ポンプの吐出圧及び作動油圧の対応関係を通常時と比較して示すグラフである。なお、本実施形態は、第1実施形態におけるコントローラ3の診断部3aにおける診断方法のみが異なる診断装置であり、診断部3aにおける診断方法以外の構成は同一である。
本診断装置は、図16に示す油圧ポンプ10の特性を利用したものである。すなわち、油圧ポンプ10において制御スプール27が通路29内に固着していない通常時には、図16に太実線で示すように、作動油量Qの変動勾配が変化する折れ点が見られる。また、この折れ点に対応する吐出圧Paは、PS圧Pcの大きさによって変化する。しかし、
制御スプール27が通路29内に固着した場合には、図16に細実線で示すように、作動油量Qの変動勾配が変化する折れ点が見られない。なお、このような現象は、制御スプール27の固着位置によらず観察される。
そこで本実施形態では、油圧ポンプ10から吐出される作動油の吐出圧Paを変化させる制御を実施し、作動油量Qがどのように変動するかを観察することで、制御スプール27の固着状態を診断するようになっている。
なおここでは、診断部3aにおける診断の間、変化量が所定値Pa2以上の大きさになるまで吐出圧Paを漸増させるとともに、実流量Qaの変動勾配(すなわち、図16における作動油量Qの勾配)を算出して、変動勾配がなだらかに変化しているか否かを判定する制御が実施される。
また、診断部3aは、実流量Qaの変動勾配K(n)を以下の式1に従って演算する。
Figure 2007077832
作動油量Qの変動に、図16に示すような折れ点がある場合、変動勾配K(n)の値は、折れ点を境にして急激に変化することになる。そのため、診断部3aは、変動勾配K(n)の値に急激に変化する部分があるか、それとも、常になだらかに変化するかを判定することによって、作動油量Qの折れ点の有無を判定する。そして、変動勾配K(n)が略不連続に変化する不連続点を発見しない場合に、制御スプール27が固着していると診断する。
[フローチャート]
図15に、本診断装置における制御スプールの診断フローを示す。なお、メインフロー及びバルブプレートの診断フローについては、図7,図8に示された第1実施形態におけるものと同一である。
図15に示すように、ステップE10では、カウンタnがn=1に設定され、続くステップE20では、吐出圧センサ1及びストロークセンサ5から診断部3aへ、吐出圧Pa及び摺動ストロークLが入力される。そして、ステップE30では、診断部3aにおいて、入力された摺動ストロークLに対応するスワッシュプレート18の傾転角θが算出され、傾転角θに基づいて油圧ポンプ10から実際に吐出される作動油量が実流量Qa(n)として算出される。
ステップE40では、診断部3aにおいて、実流量の変化勾配K(n)が式1に従って演算される。
つまりこのステップでは、現在のサイクルにおける実流量Qa(n)と前サイクルにおける実流量Qa(n-1)の差を、吐出圧の変化量で割った値として変化勾配K(n)が算出される。
続くステップE50では、吐出圧Pa(n)を漸増させる制御が実施される。なお、このステップの制御では、PS圧の制御は実施されない。これは、もしも制御スプール27が固着状態にあれば、PS圧の増減に依らず、図16に示すような油圧ポンプ10の特性は不変であり、本制御への影響がないからである。つまり、PS圧については、変動させなくてもよいし、逆にPS圧を変動させても(変動してしまっても)よい。そして、ステップE60では、カウンタnにn+1が代入される。
ステップE70では、|Pa(n)−Pa(1)|が予め設定された所定値Pa2以上であるか否かが判定される。ここで、|Pa(n)−Pa(1)|≧Pa2である場合には、ステップE80へ進み、一方、|Pa(n)−Pa(1)|<Pa2である場合には、ステップE20へ戻って上記フローを繰り返す。
つまり、フローの繰り返しにより、ステップE30において実流量Qa(n) が各サイクル毎にQa(1),Qa(2),Qa(3)…と算出され、同様に、ステップE40において変動勾配K(n)がK(1),K(2),K(3)…と算出されることになる。そして、ステップE70において、最初のサイクルの吐出圧Pa(1)と現在のサイクルの吐出圧Pa(n)との差が所定値Pa2以上となったときに初めて、次のフローへ進むことになる。したがって、予め設定された所定値Pa2が大きいほど、増加させる吐出圧の大きさが大きくなる。
ステップE80では、診断部3aにおいて、変動勾配K(n)に不連続点が存在するか否かが判定される。つまりここでは、作動油量Qの変動が折れ線となるような変動勾配K(n)が検出されたか否かが判定される。
不連続点が存在する場合、作動油量Qの変動グラフに折れ点が見られることになり、ステップE90へ進んで制御スプール27が固着状態にないと診断され、フラグFBがFB=0に設定されてこのフローを終了する。一方、不連続点が存在しない場合、つまり、変動勾配K(n)がなだらかに変化しており、作動油量Qの変動グラフに折れ点が見られないことになるため、ステップE100へ進んで制御スプール27が固着状態にあると診断され、フラグFBがFB=1に設定されてこのフローを終了する。
[効果]
このように、第3実施形態にかかる油圧ポンプ10の診断装置によれば、図16に示すような油圧ポンプ10の特性を利用して、吐出圧を変化させた場合の実流量Qaの変動勾配K(n)に不連続点が存在しない場合に、制御スプール27が固着状態にあると診断することができる。
また、この方法は、PS圧Pcを使わないため、上記の第1,第2実施形態よりも簡素な構成で実現が可能である。また、吐出圧Paを変動させることによって、容易に作動油量Qの変動を観察することができる。
[第4実施形態]
図17,図18を用いて、本発明の第4実施形態としての油圧ポンプの診断装置を説明する。図17は、本診断装置における制御スプールの診断フローを示すフローチャート、図18は、本診断装置が適用された油圧ポンプ10を搭載する作業機械の構成を示す部分側面図である。なお、本実施形態は、第1実施形態におけるコントローラ3の診断部3aにおける診断方法のみが異なる診断装置である。
本診断装置にかかる油圧ポンプ10は、図18に示す作業機械に適用される。この作業機械は、作業用装置としてのブーム41及びスティック43を備え、ブーム41を駆動するためのブーム油圧シリンダ42及びスティック43を駆動するためのスティック油圧シリンダ44を備えている。ブーム油圧シリンダ42及びスティック油圧シリンダ44は、油圧ポンプ10から吐出される作動油により作動する。また、ブーム41には、ブーム41自身が水平面に対してどの程度の傾斜角θBをなしているのかを検出するブーム傾斜センサ(傾斜センサ,作動油量検出手段)5aが備えられている。なお、ブーム傾斜センサ5aで検出された傾斜角θBは、コントローラ3の診断部3aへ入力される。
本診断装置におけるコントローラ3は、ブーム傾斜センサ5aが検出する傾斜角θBに基づいて、油圧ポンプ10から吐出される作動油量Qを算出するよう構成されている。つまり、ブーム41のみを作動させている状態では、ブームシリンダ42へ流入した作動油量と油圧ポンプ10から吐出された作動油量とが等しい。したがって、傾斜角θBの変化を把握してブームシリンダ42へ流入した作動油量を算出すれば、油圧ポンプ10から吐出された実流量Qaが算出されることになる。
なお、図18において、ブーム41とブームシリンダ42の上端部との連結点をP1,ブームシリンダ42と作業機械との連結点をP2,ブーム41と作業機械との連結点をP3とし、点P2〜点P3間の距離をL1,点P1〜点P3間の距離をL2とおいて、点P3から各点P1,P2へ結んだ二つの直線がなす角度をθCとするとき、点P1,P2間の距離(すなわち、シリンダ長)Sは以下の式2のように、θCの関数として表される。
Figure 2007077832
つまり、予めブーム41の傾斜角θBと図18における角度θCとの対応付けを行っておけば、ブーム41の傾斜角θBに基づいてブームシリンダ42のシリンダ長を把握することができる。また、傾斜角θBの単位時間あたりの変化量から、シリンダ長の単位時間あたりの変化(伸び、又は縮み)を算出することができ、ブームシリンダ42へ流入した作動油量を算出することができ、ひいては、油圧ポンプ10から吐出された実流量Qaを算出することができることになる。
また、診断部3aは、上述の第1実施形態の場合と同様に、記憶部3cに記憶されたP−Q線図のうち、入力されたPS圧Pcに対応するP−Q線図を読み出すとともに、入力された吐出圧Paに対応する作動油量を理論流量Qaとして算出する。
そして、理論流量Qcと実流量Qaとの差|Qa−Qc|が所定値Qd以上である場合に、制御スプール27が通路29内で固着していると判断し、一方、差|Qa−Qc|が所定値Qd未満である場合に、制御スプール27が固着していない(すなわち、通常の作動状態にある)と判断する。
[フローチャート]
本診断装置における制御スプールの診断フローを説明する。本診断装置では、油圧ポンプ10から供給される作動油がブームシリンダ42のみを駆動している状態で、以下のような制御が実施される。
図17に示すように、ステップF10では、カウンタnがn=1に設定され、続くステップF20では、吐出圧センサ1,ブーム傾斜センサ5a及びPS圧センサ6から診断部3aへ、吐出圧Pa(n),傾斜角θB(n)及びPS圧Pc(n)が入力される。そして、ステップF30では、記憶部3cに記憶されたP−Q線図のうち、入力されたPS圧Pc(n)に対応するP−Q線図が読み込まれる。そしてステップF40において、前ステップで読み込まれたP−Q線図及び入力された吐出圧Pa(n)に基づき、通常時の油圧ポンプ10における作動油量が理論流量Qc(n)として算出される。
一方、ステップF50では、傾斜角θB(n)に基づき、上記の式2に従ってブームシリンダ42のシリンダ長S(n)が演算され、続くステップF60では、以下の式3のようにシリンダ長の時間微分値が演算されてシリンダ速度V(n)が算出される。
Figure 2007077832
そして、ステップF70では、前ステップで算出されたシリンダ速度V(n)に基づいて、油圧ポンプ10における作動油の実流量Qa(n)が演算される。
ステップF80では、診断部3aにおいて、理論流量Qcと実流量Qaとの差|Qa−Qc|が所定値Qd以上であるか否かが判定される。ここで、|Qa−Qc|≧Qdである場合にはステップF90へ進み、制御スプール27が通路29内で固着状態にあると診断され、フラグFBがFB=0に設定される。
一方、ステップF80において、|Qa−Qc|<Qdである場合にはステップF100へ進み、制御スプール27が通路29内で固着状態にないと診断され、フラグFBがFB=1に設定される。つまりここでは、実流量Qaが、理論流量Qcに対して所定値Qdの誤差を見込んだ範囲内にあるか否かが判定されている。
ステップF110では、カウンタnにn+1が代入され、続くステップF120において、カウンタnが予め設定された所定値n0以上であるか否かが判定される。ここで、n<n0である場合にはステップF20へ戻ってフローを繰り返し、一方、n≧n0である場合にはこのフローを終了する。
つまりここでは、ステップF20〜ステップF120のフローを1サイクルとした制御をn0回繰り返すような制御が実施されることになり、所定値n0が大きいほど、繰り返し回数が多くなる。
[効果]
このように、第2実施形態にかかる油圧ポンプ10の診断装置によれば、吐出圧Pa,ブーム41の傾斜角θB及びPS圧Pcに基づく診断によって、制御スプール27の固着状態を診断することができる。また、理論流量Qcと実流量Qaとの差を算出することにより、誤差範囲を考慮した診断が可能となり、正確に制御スプール27の診断を行うことができる。
また、例えば上述の第1実施形態と比較すると、制御スプール27の摺動ストロークLを検出するためのストロークセンサ5を備える必要がなく、ブーム傾斜センサ5aを利用して簡素な構成で油圧ポンプ10の診断を実施することができる。
[その他]
以上、本発明の第1〜第4実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の第1〜第3実施形態にはストロークセンサ5が設けられ、ここで検出された制御スプール27の摺動ストロークLに基づいてスワッシュプレート18の傾転角θを算出し、この傾転角θ及びバレル11の回転数に基づいて実際に油圧ポンプ10から吐出される作動油の実流量Qaを算出するようになっている。しかし、ストロークセンサ5に代えて、スワッシュプレート18の傾転角θを検出するセンサを設けた構成としてもよいし、油圧ポンプ10から吐出される作動油の実流量Qaを直接検出するフローメータを設けた構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、PS圧Pcの大きさが油圧ポンプ10へ要求される出力の大きさとして検出されるようになっているが、その他のパラメータをその指標として要求される出力の大きさを検出する構成としてもよい。
また、第1実施形態では、理論流量Qcと実流量Qaとの差|Qa−Qc|が所定値Qb以上である場合に、制御スプール27が通路29内で固着していると判断されているが、制御スプールの診断フローのステップC50における判定条件はこれに限定されるものではない。例えば、実流量Qaの理論流量Qcに対する比率に基づく判定を行う構成としてもよい。
また、第3実施形態では、実流量Qaの変動勾配K(n)に基づいて折れ点の有無を診断するようになっているが、折れ点の確認方法はこのような方法に限らず種々考えられる。例えば、コントローラ3内で仮想的に吐出圧Pa及び実流量Qaの変動をグラフ(すなわち、P−Q線図)として描き、そのグラフの勾配から直接折れ点の存在を確認するよう構成してもよい。
また、第4実施形態では、ブーム41の傾斜角θBを検出するブーム傾斜センサ5aを用いて油圧ポンプ10から吐出される作動油量Qを算出するように構成されているが、これに加えて、スティック43やバケット、その他の油圧アクチュエータについても、各油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を把握するためのセンサを設けてもよい。
例えば、スティック43の傾斜角を検出するスティック傾斜センサを用いる場合、ブーム41及びスティック43の連動時においても、作動油量Qを算出することが可能となる。
なお、この制御では、各油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を把握できればよいため、例えば、ブーム傾斜センサ5aの代わりに、ブームシリンダ長Sを直接検出するセンサを用いてブームシリンダ42へ流入した作動油量を算出するような構成とすることも可能である。
また、上述の第1〜第4実施形態では、コントローラ3の診断部3aにおいて、各センサ1,2から入力された吐出圧Pa及びケース内圧Pbと第1所定圧Pa0及び第2所定圧Pb0とを比較して、バルブプレートの診断を行うようになっている。これは、入力されたデータが、図19に示す領域Aに存在するか否かを判定しているのと同義であるが、この構成に加えて、例えば、入力されたデータが、図19に示す領域Bに存在するか否かを判定するように構成することも考えられる。
領域Bは、吐出圧Paが0<Pa≦Pa1、且つケース内圧Pbが0<Pb≦Pb1の領域である。Pb1とは吐出圧Paに応じて定められる値であり、関数gによってPb1=g(Pa)と定義されている。またここでは、細実線で示された、バルブプレート16の摩耗がない場合における吐出圧−ケース内圧の変動幅のうちの小さい方が、関数gとして設定される。
また、図8に示すように、バルブプレート16の摩耗がない場合における吐出圧−ケース内圧の変動幅のうちの小さい方のグラフ(ここでは、下側の細実線)よりも、摩耗が進行した(ここでは、摩耗の進行度合いが大)バルブプレート16における吐出圧−ケース内圧グラフが小さくなる点の吐出圧Paが閾値Pa1に設定され、同点のケース内圧Pbが閾値Pb1に設定される。なお、領域A,Bは、共にバルブプレート16の摩耗している状態と摩耗していない状態とが判別可能な領域として予め設定されたものであればよい。このような構成により、吐出圧Paが低圧の状態であっても、バルブプレート16の摩耗状態を診断することができる。
また、上述の実施形態では、吐出圧Pa及びケース内圧Pbと第1所定圧Pa0及び第2所定圧Pb0との比較により、バルブプレート16の摩耗状態を診断しているが、図11に示すような各グラフの勾配の違いを利用した診断をすることも考えられる。
例えば、各センサ1,2から入力される複数組の吐出圧Pa及びケース内圧Pbの対応関係を用いて、吐出圧Pbの増大に対するケース内圧Paの上昇割合を算出し、この上昇割合が所定の割合以上となったときに、バルブプレート16の摩耗していると判断するように構成することが考えられる。つまり、吐出圧Paの変動量に対するケース内圧Pbの変動量の比(吐出圧−ケース内圧グラフの傾き)を診断することになる。
このような構成により、検出された吐出圧Paデータの大きさにかかわらず、バルブプレート16の摩耗状態を容易に診断することができる。またこの場合、センサ1,2から入力される吐出圧Pa及びケース内圧Pbのデータが多いほど、検出誤差の少ない正確な上昇割合を算出できる。
また、上述の第1〜第4実施形態におけるバルブプレート16の診断に関して、条件(Pa≧Pa0)が満たされない場合には診断が行われず、オペレータに対して油圧ポンプ10の吐出圧Paを上昇させるような報知がなされるようになっているが、このような報知は必須ではない。本診断装置におけるバルブプレート16の摩耗状態の診断制御がオペレータの意思によって開始された場合(例えば、診断を開始するためのスイッチ操作がなされた場合)には、上述のような制御構成でもよいが、本診断制御が自動制御である場合、つまり、オペレータの意思に依らない自己診断を実施する診断装置とすることを考えると、条件(Pa≧Pa0)が満たされない場合には単に診断を実施せず、条件(Pa≧Pa0)が満たされたときにのみ診断を実施するような構成としてもよい。
また、上述の第1〜第4実施形態におけるバルブプレート16の診断では、ステップA50においてモニタパネル4へ「リリーフをしてください」と表示されてオペレータ操作が促されるようになっているが、このような制御構成に加えて、リリーフをするためのオペレータによるレバー操作量が比較的小さく十分に吐出圧Paが上昇しない場合に、さらに「油圧ポンプ10の吐出圧Paを上昇させてください」と表示して、より確実に油圧ポンプ10の吐出圧Paを大きくするようなオペレータ操作を促す構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、ドレン圧がケース内圧とみなされており、ケース15の内圧を把握する手段としてドレンポート21からのドレン圧を検出するケース内圧センサ2が用いられているが、ケース15の内圧を把握する手段はこれに限定されず、例えば、ケース15の内部に圧力センサを設けてもよい。
本発明の第1実施形態としての油圧ポンプの診断装置の構成を示すブロック図である。 本診断装置が適用された油圧ポンプの構成を示す側面図(右半部)及び断面図(左半部)である。 図2のA矢視図である。 図2の油圧ポンプの構成を示すB−B断面図である。 図2の油圧ポンプにおけるバルブプレートの部品図である。 図2のレギュレータの構成を示すC−C断面図である。 本診断装置の制御内容を示すフローチャートである。 本診断装置によるバルブプレートの診断内容を示すフローチャートである。 本診断装置による制御スプールの診断内容を示すフローチャートである。 制御スプールの診断制御にかかるブロック図である。 図2の油圧ポンプにおける吐出圧とケース内圧との関係を示すグラフである。 通常時における油圧ポンプの吐出圧及び作動油圧の対応関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態としての油圧ポンプの診断装置における、制御スプールの診断内容を示すフローチャートである。 制御スプール固着時における油圧ポンプの吐出圧及び作動油圧の対応関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態としての油圧ポンプの診断装置における、制御スプールの診断内容を示すフローチャートである。 制御スプール固着時における油圧ポンプの吐出圧及び作動油圧の対応関係を通常時と比較して示すグラフである。 本発明の第4実施形態としての油圧ポンプの診断装置における、制御スプールの診断内容を示すフローチャートである。 本診断装置が適用された油圧ポンプを搭載する作業機械の構成を示す部分側面図である。 本診断装置の変形例における制御内容を説明するためのグラフである。
符号の説明
1 作動油圧センサ(作動油圧検出手段)
2 ケース内圧センサ(内圧把握手段,ドレン圧検出手段)
3 コントローラ(診断手段)
3a 診断部
3b 診断結果表示部
4 モニタパネル
5 制御スプールストロークセンサ(作動油量検出手段)
5a ブーム傾斜センサ(傾斜センサ)
6 PS圧センサ(出力検出手段)
10 油圧ポンプ
11 バレル(回転部材)
12 駆動軸
13 シリンダ室(油室)
14 ピストン(摺動部材)
15 ケース(収容部材)
16 バレルプレート(弁部材)
16a 長孔
16b 小孔
16c 中央孔
17 リテーナ
18 スワッシュプレート(斜板)
19 パワーピストン
19a 傾転ピン
20 レギュレータ(傾転角調節部材)
21 ドレンポート
22 吐出ポート
23 ギヤ
24 流入ライン
25 吐出ライン
26 ベアリング
27 制御スプール(斜板駆動部材)
28 スプリング
29 通路
30 第1メインポンプ
31 PS圧ポート
40 第2メインポンプ
41 ブーム
42 ブームシリンダ
43 スティック
44 スティックシリンダ

Claims (14)

  1. 駆動軸によって回転駆動される回転部材と、該駆動軸に垂直な平面に対し所定の傾転角を保持しうるように配設される斜板と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動されるとともに一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の該傾転角を調節する傾転角調節部材と、を有する油圧ポンプの診断装置であって、
    該油圧ポンプから吐出される作動油の吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、
    該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出する出力検出手段と、
    該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出する作動油量検出手段と、
    該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断する診断手段と
    を備えたことを特徴とする、油圧ポンプの診断装置。
  2. 該油圧ポンプは、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じたパイロット圧を供給するパイロット圧供給装置を有するとともに、
    該傾転角調節部材は、該作動油圧及び該パイロット圧供給装置から導入されるパイロット圧の大きさに応じて該斜板を駆動し該傾転角を調節する斜板駆動部材を有し、
    該出力検出手段は、該パイロット圧の大きさを検出するとともに、
    該診断手段は、該パイロット圧の大きさ及び該吐出圧から該油圧ポンプが通常時に吐出する作動油の理論流量を演算し、該理論流量と該作動油量との差が所定値以上である場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断する
    ことを特徴とする、請求項1記載の油圧ポンプの診断装置。
  3. 該診断手段は、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさの変動に対する該作動油量の変動量の比が第1所定値未満である場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の油圧ポンプの診断装置。
  4. 該診断手段は、該吐出圧に対して該作動油量の変動勾配が略不連続に変化する不連続点を発見しない場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の油圧ポンプの診断装置。
  5. 該診断手段は、該吐出圧の変動に対する該作動油量の変動をグラフとして描き、該グラフの勾配が急激に変化する折れ点を有していない場合に、該斜板駆動部材が固着していると診断する
    ことを特徴とする、請求項4記載の油圧ポンプの診断装置。
  6. 該作動油量検出手段は、該斜板の傾転角を検出する斜板センサを有し、該傾転角に基づいて該油圧ポンプから実際に吐出されている作動油量を算出する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の油圧ポンプの診断装置。
  7. 該油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動される作業用シリンダとを搭載した作業機械における油圧ポンプの診断装置であって、
    該作動油量検出手段は、該作業用シリンダへ供給される作動油流量を算出する
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の油圧ポンプの診断装置。
  8. 該作業用シリンダは、該作業機械の作業用装置を駆動する油圧シリンダであって、
    該作業用装置の水平面に対する傾斜角を検出する傾斜センサを備え、
    該作動油量検出手段は、該傾斜センサで検出された該傾斜角の時間微分値に基づいて該油圧シリンダへ供給される作動油流量を算出する
    ことを特徴とする、請求項7記載の油圧ポンプの診断装置。
  9. 該油圧ポンプは、該回転部材及び該摺動部材を収容する収容部材と、該回転部材に隣接して設けられ該摺動部材の摺動により該油室から吐出される作動油の流路を開放又は閉塞する弁部材と、を有し、
    該収容部材の内部圧力を把握する内圧把握手段と、
    該内部圧力及び該吐出圧に基づいて、該弁部材の該回転部材との接触面における摩耗状態を診断する診断手段と
    を備えたことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に油圧ポンプの診断装置。
  10. 該油圧ポンプは、該収容部材内における該油室外部の作動油を該収容部材外へ排出するためのドレンポートを有し、
    該内圧把握手段は、該ドレンポートから排出される作動油の圧力をドレン圧として検出するドレン圧検出手段を有するとともに、該ドレン圧の大きさに基づいて該内部圧力を把握する
    ことを特徴とする、請求項9記載の油圧ポンプの診断装置。
  11. 該診断手段は、該吐出圧が予め設定された第1所定圧以上であり、且つ、該内部圧力が該吐出圧に応じて算出される第2所定圧以上であるときに、該弁部材の摩耗量が大きいと診断する
    ことを特徴とする、請求項9又は10記載の油圧ポンプの診断装置。
  12. 該診断手段は、該吐出圧の変動量に対する該内部圧力の変動量の比が予め設定された所定範囲内にない場合に、該弁部材の摩耗量が大きいと診断する
    ことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の油圧ポンプの診断装置。
  13. 駆動軸によって回転駆動される回転部材と、該駆動軸に垂直な平面に対し所定の傾転角を保持しうるように配設される斜板と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動されるとともに一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の該傾転角を調節する傾転角調節部材と、を有する油圧ポンプを診断する方法であって、
    該油圧ポンプから吐出される該作動油の吐出圧を検出し、
    該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出し、
    該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出して、
    該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断する
    ことを特徴とする、油圧ポンプの診断方法。
  14. 駆動軸によって回転駆動される回転部材と、該駆動軸に垂直な平面に対し所定の傾転角を保持しうるように配設される斜板と、該回転部材に凹設された油室に嵌挿されて該回転部材と共に回転駆動されるとともに一端部を該斜板に支持されて該油室内を該駆動軸方向へ摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材によって該油室から吐出される作動油の圧力及び該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさに応じて該斜板の該傾転角を調節する傾転角調節部材と、該回転部材及び該摺動部材を収容する収容部材と、該回転部材に隣接して設けられ該摺動部材の摺動により該油室から吐出される作動油の流路を開放又は閉塞する弁部材と、を有する油圧ポンプを診断する方法であって、
    該油圧ポンプから吐出される該作動油の吐出圧を検出し、該油圧ポンプへ要求されている出力の大きさを検出し、該油圧ポンプから吐出される作動油量を検出するとともに、該収容部材の内部圧力を把握し、
    該内部圧力及び該吐出圧に基づいて、該弁部材の該回転部材との接触面における摩耗状態を診断し、
    その後、該吐出圧,該出力の大きさ及び該作動油量に基づいて該傾転角調節部材の状態を診断する
    ことを特徴とする、油圧ポンプの診断方法。
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