JP2007091908A - インクジェットインク - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェットプリンタでの出射安定性、デキャップ耐性に優れ、形成画像の文字品質、裏抜け耐性が良好で、かつ印字した記録材料のカール特性、さらに長期間の保存安定性に優れ、擦過性に優れたインクジェットインクを提供する。
【解決手段】 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料及び顔料分散剤を含有し、かつ、水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であるインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤のうちSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有し、かつ、該顔料分散剤が酸価が5〜160である下記一般式(I)で表される重合体であることを特徴とするインクジェットインク。
一般式(I)
−(A)a−(B)b−(C)c−(D)d−(E)e
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式で用いるインクジェットインク(以後単にインクともいう)に関する。
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作製出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御するインクジェット記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェット画像記録システムでは、用いることのできる記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップ等が問題となる。
一方、オフィスにおいては、記録媒体(例えば、普通紙、コート紙、アート紙)の制約を受けずに高速でフルカラー印字が行えるシステムのニーズが益々高まりつつある。
特に安価であり、また入手が容易である普通紙(例えば、PPC用紙、印刷用非塗工紙など)に対して高画質な印刷を高速に行うことが望まれているが、普通紙印刷では水性インクを使用した場合には印刷後のカール、コックリングが大きな課題となっていた。一方、油性インクを使用した場合にはカール、コックリングについては問題ないが、水性インクよりも浸透力が大きく文字画質、にじみ、低い反射濃度等の課題があった。これまで普通紙印刷の課題を解決するためにインクジェットインクの組成を始めとして種々の検討が行われてきたが、カール、コックリング、画像濃度、文字品位の全てを満足するインクは得られていなかった。
水性インクを用いた普通紙記録時のカール、コックリングを防止する方法としては、インク中に特定のジオール類を添加する技術が開示されて(例えば、特許文献1参照。)いる。しかしながら、この方法でもインク打ち込み量の多い画像を印刷する場合には、カールおよびコックリングが発生するという問題があった。あるいは、インク中にカゼイン類を添加することによりカール、コックリングを防止する技術が開示されて(例えば、特許文献2参照。)いる。しかしながら、この方法では顔料を含むインクに対しては分散安定性を劣化させるという問題があった。
一方、油性インクでは50%留出点が280℃以下の溶剤(非極性溶剤)を10%以上含有し、同300℃以上の溶剤(極性溶剤、エステル系溶剤)を20%以上含有することにより、記録後のインク浸透を改良する技術が提案されて(例えば、特許文献3参照。)いる。しかしながら、この方法でも反射濃度について必ずしも十分なレベルにはなかった。
これらの課題を解決するため、特定の有機溶剤を特定の比率で含有する技術が公開されて(例えば、特許文献4〜6参照。)いる。また特定の部分構造を有する顔料分散剤を組み合わせることで、インクの経時保存性を改良する技術も提案されて(例えば、特許文献7〜9参照。)いる。しかしながらこれらの技術を詳細に検討したところ、確かに普通紙記録における反射濃度、裏抜けなど画質の課題とカール、コックリングの課題を両立することはできているが、長期間の経時保存性が未だ満足の行くレベルになく、さらに形成された画像の擦過性に課題が残されていた。
特開平6−157955号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特開平5−208547号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特開2004−2666号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特願2004−31738号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特願2004−31739号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特願2004−231989号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特開2003−292838号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特開2004−115649号公報 (特許請求の範囲、実施例) 特開2004−115708号公報 (特許請求の範囲、実施例)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェットプリンタでの出射安定性、デキャップ耐性に優れ、形成画像の文字品質、裏抜け耐性が良好で、かつ印字した記録材料のカール特性、さらに長期間の保存安定性に優れ、擦過性に優れたインクジェットインクを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料及び顔料分散剤を含有し、かつ、水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であるインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤のうちSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有し、かつ、該顔料分散剤が酸価が5〜160である下記一般式(I)で表される重合体であることを特徴とするインクジェットインク。
一般式(I)
−(A)a−(B)b−(C)c−(D)d−(E)e
(式中、A、B、C、D、Eは顔料分散剤を構成する単量体を表し、a、b、c、d、eはそれぞれの単量体の顔料分散剤中における構成モル比率を表す。Aはカルボン酸またはスルホン酸の酸性基およびその塩誘導体を含有する単量体であり、Bはヒドロキシ基を含有する単量体である。Cは炭素数8以上の直鎖または分岐状のアルキル基を含有する単量体であり、Dはスチレンおよびその誘導体を表す。Eはその他の重合可能な単量体を表す。aは1〜24%、bは1〜60%、cおよびdはそれぞれ1〜50%であり、かつc+dは5〜50%である。eは0〜40%である。)
2.SP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤の20℃における蒸気圧が10〜133Paであることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインク。
3.前記顔料分散剤が、アクリル−スチレン系高分子分散剤であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインク。
4.前記顔料分散剤の重量平均分子量が20,000〜200,000であることを特徴とする前記1、2又は3に記載のインクジェットインク。
本発明により、インクジェットプリンタでの出射安定性、デキャップ耐性に優れ、形成画像の文字品質、裏抜け耐性が良好で、かつ印字した記録材料のカール特性、さらに長期間の保存安定性に優れ、擦過性に優れたインクジェットインクを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも水、水溶性有機溶剤および顔料を含有し、水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であるインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤のうちSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有し、かつ顔料分散剤が前記一般式(I)で表される重合体であり、さらに酸価が5〜160であることを特徴とするインクジェット用インクにより、インクジェットプリンタでの出射安定性、デキャップ耐性に優れ、形成画像の文字品質、裏抜け耐性が良好で、かつ印字した記録材料のカール特性に優れ、さらに長期間保存しても上記の性能を維持し、形成された画像の擦過性に優れたインクジェット用インクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細に説明する。
本発明のインクジェット用インクにおいては、少なくとも水、水溶性有機溶媒および顔料を含有し、水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であるインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤のうちSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有し、かつ顔料分散剤が前記一般式(I)で表される重合体であり、さらに酸価が5〜160であることを特徴とする。
全インク中の水の含有量が50質量%以上ではカール、コックリングが劣悪になる。また、10質量%未満では、他の溶剤組成をもってしても顔料の分散安定性が劣悪になる。
全インク中の水の含有量としては、20質量%以上40質量%未満であることがさらに好ましい。
本発明のインクはSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有する。この添加量が30質量%未満であると、普通紙記録時のカール、コックリングが極めて大きくなる。
また、この有機溶剤のSP値も9未満では、水との相溶性が悪くなり分離が生じる。逆にSPが12以上の有機溶剤ではカール抑制効果が不十分である。
この有機溶剤のSP値の範囲は9以上11未満であることが更に好ましい。
本発明でいう溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を用いた。単位は(4.186J/cm)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors, Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができる。
以下、SP値が9以上12未満に該当する水溶性有機溶剤の例をSP値と共に示す。いうまでもなく本発明はこれに限定されるものではない。
エチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:11.6)
エチレングリコールモノエチルエーテル(11.4)
エチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(9.2)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(11.6)
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(11.2)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(9.5)
ジエチレングリコールジメチルエーテル(9.4)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(10.5)
トリエチレングリコールモノエチルエーテル(10.4)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.6)
プロピレングリコールモノメチルエーテル(10.4)
プロピレングリコールモノフェニルエーテル(9.4)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.6)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.1)
さらに、SP値が9以上12未満に該当する水溶性有機溶剤のうち20℃における蒸気圧が66Pa以下の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有することが好ましい。これに該当する水溶性有機溶剤の一例としては、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等がある。
本発明ではSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤に加えて各種水溶性有機溶剤を併用することができる。
好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
また、本発明のインクジェットインクは本発明の一般式(I)で表される重合体を顔料添加量に対して10〜100質量%含有する。本発明の一般式(I)で表される重合体の含有量が10質量%未満であると、顔料の分散安定化への十分な効果が発揮できない。また100質量%を超えると、インク粘度が上昇し問題となる。
本発明のインクジェットインクは着色剤として顔料を含有する。この顔料の含有量はインクジェットインク全質量に対して0.1質量%以上12質量%未満である。
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。これの顔料はインクジェットインクの中で分散体として存在させる。この分散体作製の方式としては、自己分散、活性剤分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散の何れでも良いが、ポリマー分散、マイクロカプセル分散が定着性の点から特に好ましい。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C
.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げ
られる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクに含有する顔料分散体の平均粒子径は、50nm以上200nm未満であることが好ましい。顔料分散体の平均粒子径が50nm未満あるいは200nm以上では顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクジェットインクの保存安定性が劣化しやすくなる。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来るが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
本発明で用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散により製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。さらに、このビーズ径としては0.3mm〜3mmが好ましい。
本発明で用いられる顔料分散剤は、下記一般式(I)で表される重合体である。
一般式(I)
−(A)a−(B)b−(C)c−(D)d−(E)e
式中、A、B、C、D、Eは分散剤を構成する単量体を表し、a、b、c、d、eはそれぞれの単量体の分散剤中における構成モル比率を表す。
上記一般式(I)において、Aはカルボン酸またはスルホン酸の酸性基およびその塩誘導体を含有する単量体を表す。例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル等が挙げられる。またそれらの塩誘導体であってもよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン・ジエタノールアミン・ジメチルアミノエタノール・ジアザビシクロオクタン等の1〜3級アミンとの中和体、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド等の水酸化四級アンモニウムとの中和体等が挙げられる。
aはモル比率で1〜24%を表す。
本発明の顔料分散剤は、酸価が5〜160の範囲内にある特徴を有する。好ましくは5〜120であり、さらに5〜80であることが好ましい。その理由については明確ではないが、本発明の分散媒は有機溶剤の比率が高いため、酸価が高いと分散媒中での溶解性が低くなり、析出しやすくなるものと考えられる。そのため、分散剤の効果が発現されにくくなるのではないかと推定している。aで表されるモル比率は、この酸価の範囲を超えるような比率にはなり得ない。
前記一般式(I)において、Bはヒドロキシ基を含有する単量体を表す。さらに好ましくは下記一般式(II)で表される単量体が挙げられる。
一般式(II)
1CH=C(R2)COO−(R3O)n−H
式中、R1は水素あるいは炭素原子数1〜4の直鎖または分岐状のアルキル基を表し、R2は水素またはメチル基を表す。R3は炭素原子数2〜4の直鎖または分岐状のアルキレン基を表し、nは1〜50の整数を表す。
Bで表される単量体はヒドロキシ基を含有することが特徴であり、このヒドロキシ基が存在することで、前記の特定の有機溶剤を含有する分散媒との親和性が向上しているものと推定している。また本発明のインクが紙上へ記録された後、ヒドロキシ基が紙中のセルロースと強い相互作用を示し、大きな擦過耐性を示すものと推測している。
本発明においてBで表される単量体を単独で使用しても良いが、二種類以上のBで表される単量体を併用しても良い。
前記一般式(I)において、bは1〜60%である。
前記一般式(I)において、Cは炭素数8以上の直鎖または分岐状のアルキル基を含有する単量体を表す。そのようなアルキル基としては、例えばオクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられる。
前記一般式(I)において、Dはスチレンおよびその誘導体を表す。そのような単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
前記一般式(I)において、cおよびdはそれぞれ1〜50%であり、かつc+dは5〜50%である。本発明の分散剤において、CおよびDで表される単量体のどちらも含有する特徴を有する。これらの単量体は顔料に対する吸着性を制御する基であり、それらの構成比率が小さすぎると顔料に対する吸着力が小さくなり、分散安定性が不足してしまう。また構成比率が高くなりすぎると、分散剤自身の分散媒に対する溶解性が不足するため、顔料分散が困難となってしまうためであると推測している。
前記一般式(I)において、Eはその他の重合可能な単量体を表す。前記A〜Dで表される単量体と重合可能な単量体であればどのようなものでも良いが、例えば(メタ)アクリル酸誘導体、例えばフェニルメタクリレート、p−トリルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、p−トリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMA)、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記一般式(I)において、eは0〜40%である。
本発明の分散剤は、その重量平均分子量が20,000〜200,000の範囲にあることが特徴であり、30,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。
分散剤の重量平均分子量は、顔料への吸着性に影響し、20,000〜200,000の範囲にある場合に十分な吸着性を有するため、本発明の効果を示すことが判明した。
これら重合体の構造としては、ランダム重合体あるいはランダム共重合体、ブロック共重合体、枝分かれした重合体あるいは共重合体、グラフト重合体あるいは共重合体が挙げられる。中でもブロック共重合体や、枝分かれした共重合体は親水性部分と疎水性部分の設計・制御が容易であることから、本発明の目的に対しては好ましい。
ブロック重合体は、AB、BABおよびABC型構造等(ここで、A、B、Cは互いに構造の異なる高分子ブロックを模式的に示しているものである)が挙げられるが、ブロック部が存在していれば別に構造の制約はない。特に、疎水性のブロックと親水性のブロックとを有し、また、分散安定性に貢献する均衡のとれたブロックサイズを有するブロック重合体が好ましい。官能基を疎水性ブロック(着色剤が結合するブロック)に組み込むことができ、それによって分散安定性を改善するために分散剤と顔料との間の特異的相互作用をより強化される。
これらの重合体は従来公知の方法で合成することができ、例えば、米国特許第5,085,698号、同第5,221,334号、同第5,272,201号、同第5,519,085号、同第6,117,921号の各明細書、特開平10−279873号、同11−269418号、特開2001−115065号、同2001−139849号、同2001−247796号、同2003−260348号の各公報、特に実施例において開示されている方法により合成することができる。
ブロック共重合体に用いることができる単量体としては、例えば、前記アクリル−スチレン系高分子分散剤に用いることのできる単量体と同様の単量体を挙げることができる。
枝分かれした重合体あるいは共重合体、およびグラフト重合体あるいは共重合体に用いることのできる単量体としては、前記アクリル−スチレン系高分子分散剤に用いることのできる単量体として挙げられたものを用いることができる。また片末端に重合性官能基を有するマクロマー、例えば、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー、ポリエステル系マクロマー、ポリウレタン系マクロマー、ポリアルキルエーテルマクロマーを用いることで容易に枝分かれした重合体あるいは共重合体、およびグラフト重合体あるいは共重合体を合成することができる。上記マクロマーの例としては、例えば東亞合成製のスチレンマクロマーAS−6およびAN−6、チッソ製シリコーンマクロマーFM−0711およびFM−0721、ポリエチレングリコールアクリレートおよびポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
本発明のインクにおいては、上記高分子分散剤と共に、公知の顔料分散剤、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の界面活性剤等の併用を妨げるものではない。
次いで、上記説明した以外の本発明のインクの各構成要素について説明する。
本発明のインクのpHは、7.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.05〜10.0であり、上記のpHとすることにより、出射安定性が良好で、かつ高濃度で好ましい光沢を有する画像を得ることができる観点から好ましい。
本発明のインクで用いられるpH調整剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
また、本発明のインクの表面張力は、25℃において25〜50mN/mであることが好ましい。より好ましくは25〜40mN/mであり、さらに好ましくは25〜35mN/mである。インクの表面張力が25mN/m未満になると、記録媒体への吸収速度が速くなり、顔料粒子同士による凝集を引き起こし、ブロンジングの発生や光沢、耐擦過性の低下を招く結果となる。また、インクの表面張力が50mN/mを超えると、記録媒体上に着弾したインク液滴が長い間留まることによる色濁りを引き起こし、高精細な画像を得ることができなくなる。
本発明でいう表面張力は、例えば、各種水溶性有機溶媒及び下記の各種界面活性剤を用いて、種類及び添加量を適宜調整することにより、所望の表面張力に調整することができる
また、表面張力の測定方法については、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができる。
上記表面張力を達成する手段の1つとして、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる各界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
本発明においては、界面活性剤として、アセチレン系界面活性剤を用いることが、出射安定性が良好で、かつ高濃度で好ましい光沢を有し、均一性にすぐれた画像を得ることができる観点から好ましい。
アセチレン系界面活性剤であれば特に制限はないが、例えば、アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類等が挙げられ、さらに好ましくは、アセチレン基とアルキレンオキシド鎖とを有する界面活性剤であり、例えば、サーフィノール465(日信化学工業社製)を挙げることができる。
また、本発明のインクにおいて、インク粘度としては25℃で1〜40mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40mPa・sであり、更に好ましくは5〜15mPa・sである。また本発明に係るインクにおいて、インク中の溶存酸素濃度は、25℃で2ppm以下であることが好ましく、この溶存酸素濃度条件とすることにより、気泡の形成を抑制することができ、高速印字においても出射安定性に優れたインクジェット記録方法を実現することができる。インク中に溶存している溶存酸素を測定する方法としては、例えば、溶存酸素測定装置DO−14P(東亜電波(株)製)を用いて測定することができる。
また、本発明のインク中には、インクの多価金属イオンであるカルシウムイオン、マグネシウムイオン及び鉄イオンの総含有量が、10ppm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5ppm、特に好ましくは0.1〜1ppmである。
インクジェット用インク中の多価金属イオンの含有量を、上記で規定した量とすることにより、高い分散安定性を有するインクを得ることができる。本発明に係る多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、有機アンモニウム塩、EDTA塩等に含有されている。
本発明のインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明のインクジェット用インクを用いた画像形成方法においては、例えば、インクジェット用インクを装填したインクジェットプリンタ等により、デジタル信号に基づきインクジェット記録ヘッドよりインクを液滴として吐出させ記録媒体に付着させることでインクジェットプリントが得られる。
本発明のインクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェット記録ヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
その中でも、本発明のインクジェットインクを用いる場合には、30μm以下のノズル径を有するピエゾ型インクジェット記録ヘッドから吐出させて、記録材料に記録を行うこと、更に、30μm以下のノズル径を有するラインヘッド方式のピエゾ型インクジェット記録ヘッドから吐出させて、記録材料に記録を行うこと、また、30μm以下のノズル径を有するピエゾ型インクジェット記録ヘッドを用いて、20ppm以上の印字速度で、記録材料に画像記録することが好ましい。
インクジェットプリンタの印字方式として、シャトルヘッド方式の記録ヘッドに対し、ラインヘッド方式の記録ヘッドを用いて印字することにより、本発明のインクの印字特性を十分に引き出すことができ、その結果、インク液滴の記録材料への着弾時の極めて良好なドット形状(真円性)や印字精度を達成することができる。
また、本発明のインクは、出射安定性やデキャップ耐性に優れた特性を有しており、高速印字に優れた特性を持っており、印字速度として、20ppm以上の高速で印字することが好ましく、より好ましくは20ppm以上、100ppm以下であり、より好ましくは25ppm以上、50ppm以下である。なお、本発明でいうppmとは、A4サイズの記録材料の1分間当たりの印字枚数(Page Per Minute)を指す。
本発明のインクジェットインクに対して用いる記録材料としては、印字するインクの吸収性、保持性を有していれば制限なく用いることができ、例えば、非吸収性支持体、あるいは吸収性支持体上のインクを吸収、保持するインク吸収層を設けたインクジェット専用の記録材料や、コート紙、非コート紙等の紙支持体を用いることができるが、記録材料として普通紙を用いて画像印字を行うことが、本発明による裏抜け防止効果や高い文字品質の画像が得られ観点から好ましい。
そのような普通紙としては、特に制限はないが、非塗工紙、特殊印刷用紙、及び情報用紙の一部に属する80〜200μmの非コート紙が望ましい。本発明に係る普通紙の構成は、LBKP及びNBKPに代表される化学パルプ、サイズ剤及び填料を主体とし、その他の抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙される。本発明に係る普通紙に使用されるパルプ材としては、機械パルプや古紙再生パルプを併用してもよいし、又、これらを主材としても何ら問題はない。
本発明に係る普通紙に内添されるサイズ剤としては、例えば、ロジンサイズ、AKD、アルニケル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、カチオン澱粉及びアクリルアミド等が挙げられる。
また、本発明に係る普通紙に内添される填料としては、例えば微粉珪酸、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、カオリン、カオリナイト、ハロイサイト、ナクライト、ディッカイト、パイロフィライト、セリサイト、二酸化チタン、ベントナイト等が挙げられる。
また、本発明に係る普通紙には、本発明のインクの裏抜けや着色剤の定着性を高める観点から、水溶性多価金属塩を含有していてもよい。
本発明に係る普通紙に用いることのできる水溶性多価金属塩としては、特に制限はないが、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属塩、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩といった塩として添加される。また、水溶性の多価金属イオンの塩として、ポリ塩化アルミニウムのような水溶性無機ポリマーを使用してもよい。水溶性は少なくとも0.1質量%を示すものが好ましく、より好ましくは1質量%を示すものである。中でも、アルミニウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛からなる水溶性塩はその金属イオンが無色なため好ましい。特に好ましいのは、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《顔料分散剤の調製》
1Lの四頭フラスコにスリーワンモーター、温度計、窒素導入管、および乾燥管をつけた滴下漏斗を装着した。これに酢酸エチル(200g)を導入し、さらに表1に示すモル比率でメタクリル酸、単量体*1、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、α−メチルスチレン、メチルメタクリレートを単量体の全体量が100gとなるよう導入し、さらに2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.5g)を導入し、乾燥窒素ガスを流しながら6時間、加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却した後、溶媒を減圧下溜去した。残留物に2−プロパノール(560g)を加え溶解し、N,N−ジメチルエタノールアミンで中和した後、イオン交換水を加えて全体が1000gとなるよう調製し、目的とする顔料分散剤1の溶液を得た。一部を乾燥して分子量と酸価を測定したところ、それぞれ42,000および56であった。
さらに単量体を表1に示すように変更した以外は同様にして、顔料分散剤2〜11を合成した。
Figure 2007091908
Figure 2007091908
《インクの調製》
〔顔料分散体1〜14の調製〕
表2に示す溶媒、顔料、高分子分散剤を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、その後ジルコニアビーズを除去して顔料分散体1〜14を得た。
Figure 2007091908
上記表表2に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
〈顔料〉
C:C.I.ピグメントブルー15:3
M:C.I.ピグメントレッド122
〈溶媒〉
TPGmME:トリプロピレンプリコールモノメチルエーテル
〔インク1〜16の調製〕
上記調製した各顔料分散体に表3に示す添加量となるように溶媒を加えた後、濾過及び中空糸膜を用いた膜脱気処理を行って、インク1〜16を調製した。
Figure 2007091908
《インクの評価》
〔分散安定性の評価〕
上記調製した各インク100mlを蒸発が起きないように密閉したサンプル瓶に入れ、長期間の保存性を短期間で評価するため、それらを40℃の恒温槽で4週間放置した後、粘度を測定した。放置前後の粘度変化率を求め、以下の基準に従い分散安定性の評価を行った。
◎:粘度変化率が3%未満
○:粘度変化率が3%以上、5%未満
△:粘度変化率が5%以上、10%未満
×:粘度変化率が10%以上、20%未満。
〔耐デキャップ性の評価〕
ノズル口径が32μm、吐出インク液滴量が20pl、ノズル数256のシェアモードピエゾ型インクジェット記録ヘッドを用いて、上記調製した各インクについて、23℃、20%RHの環境下で初期状態として、出射間隔50ミリ秒時のインク液滴速度が8m/secとなるように、インクジェット記録ヘッドに印加する電圧を調整した。次いで、出射間隔時間を変化し、下式にあてはめて、液滴速度の相対比率を測定し、下記の基準に従って耐デキャップ性の評価を行った。
例えば、出射間隔50マイクロ秒でインク液滴を100滴出射させ、最初の出射から間隔時間t秒後に、再び出射間隔50マイクロ秒で100滴出射させ、間隔時間t秒後の最初のインク液滴の速度を測定して、これを間隔時間t後の液滴速度とする。
液滴速度の相対比率(%)=(出射間隔t秒後の液滴速度)/(出射間隔50ミリ秒の液滴速度=8m/sec)×100
◎:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが10秒以上である
○:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが1秒以上、10秒未満である
△:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが0.3秒以上、1秒未満であ

×:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが0.3秒未満である。
〔間欠出射適性の評価〕
上記調製した各インクを、23℃、20%RHの環境下で、インクジェット記録ヘッド中にそれぞれ装填した状態で24時間放置した。その後インクの出射を行い、インク液滴の飛翔状態を観察し、下記の基準に従って間欠出射適性の評価を行った。
◎:放置後、何もしないで出射した時、256ノズル全てが出射した
○:放置後、何もしないで出射した時、1〜5ノズルで飛翔曲がりが発生したが、1回の記録ヘッドのワイピング操作で、正常な出射状態を回復した
△:放置後、何もしないで出射した時、1〜5ノズルで飛翔曲がりが発生したが、1回の記録ヘッドのサクションとワイピング操作で、正常な出射状態を回復した
×:放置後、何もしないで出射した時、6ノズル以上で飛翔曲がりが発生したが、2回の記録ヘッドのサクションとワイピング操作で、正常な出射状態を回復した
以上により得られた各評価結果を、表4に示す。
Figure 2007091908
表4に記載の結果より明らかなように、水の比率が高い溶媒構成の従来型のインクにおいては、本発明で規定する特定の部分構造を有さない顔料分散体を用いても、良好な分散安定性を示している。しかしながら、本発明で規定する有機溶媒の比率が高い溶媒構成となると、これらの分散剤では安定性を付与することができず、分散安定性は大きく劣る結果となる。また、水の比率が高い溶媒構成のインクにおいては、耐デキャップ性、間欠出射適性において大きく劣ることがわかる。
これに対して、本発明で規定する特定の部分構造を有する高分子分散剤を用いて調製した顔料分散体と、特定の有機溶媒比率との組み合わせた本発明のインクは、高い分散安定性と優れた耐デキャップ性、間欠出射適性を有していることがわかる。
実施例2
実施例1において調製したインク1、7、8、15を使用し、ノズル口径が25μm、を記録材料の幅手方向に10個並列に配置して、1色当たりのノズル解像度1440dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、ノズル総数が2560個のラインヘッド方式のインクジェットプリンタ用い、このインクジェットプリンタに、インク1、7、8、15をそれぞれ装填し、液滴速度8m/sec、インク液滴量4plとなるように記録ヘッドの駆動電圧を調整した。
次いで、記録材料として、A4サイズのコニカミノルタビジネステクノロジー社製のビジネスクラス普通紙を用いて、搬送方向のAサイズの短辺長となるようにして、10ppmの条件で連続印字、搬送した。この時、普通紙間の間隔は10mmとして、画像印字を行い、それぞれ対応する表5に示す画像を4種類作製した。
なお、上記印字速度(普通紙の搬送速度)10ppmは、1分間にA4サイズの普通紙を10枚プリントする条件、すなわち分速2200mmで行った。
〔形成画像の評価〕
(印字後のカール特性の評価)
23℃、30%RHの環境下で、上記インクジェットプリンターを用いて、A4サイズの普通紙に、解像度1440dpi×1440dpiで、200mm×280mmのベタ画像を印字した。次いで、この印字した普通紙を、23℃、20%RHの環境下で平らな台上で印字面を上にして1週間放置し、次いで四隅の浮き上がり高さを測定した。なお、中央部が浮き上がる負カールの試料については、上下を逆にして更に1日放置した後、四隅の浮き上がり高さを測定した。以上のようにして四隅の浮き上がり高さを測定し、下記の基準に従って、カール特性を評価した。
◎:ほとんど平坦で、四隅で最も浮いている箇所でも、浮き上がり高さが5mm未満である
○:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが5mm以上、10mm未満である
△:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが10mm以上、20mm未満である
×:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが20mm以上、50mm未満である
××:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが50mm以上、または円筒状に丸まってしまい、測定不可である。
(擦過性の評価−1:耐水性)
上記方法により、解像度1440dpi×1440dpiで、50mm×50mmのベタ画像を印字した。次いで、この印字した普通紙を、23℃、20%RHの環境下で平らな台上で印字面を上にして1時間放置した後、純水を含ませた綿棒により5回画像上をこすった後の画像の状況を目視観察し、下記の評価基準に従って耐水性の評価を行った。
◎:画像の変化は認められない
○:こすった痕をかすかに確認できるが、画像濃度はほとんど変化していない
△:こすった部分の画像濃度が減少しているが、実用上問題ない
×:こすった部分の画像濃度が大きく減少しており、ほとんど色剤が残存していない。
(擦過性の評価−2:マーカー耐性)
上記方法により、記録解像度1440×1440dpiで、4ポイント、6ポイント及び8ポイントのMS明朝体で漢字「口、四、日、回、因、困、固、国、目、図、國」の文字を印字した。この印字した普通紙を、23℃、20%RHの環境下で平らな台上で印字面を上にして1時間放置した後、市販の蛍光マーカーを用いて文字上をなぞり、その後の文字画像を目視観察し、下記の評価基準に従ってマーカー耐性の評価を行った。
◎:4ポイントの文字画像が、判読可能である
○:4ポイントの文字画像の判読は難しいが、6ポイントの文字画像の判読可能である
△:4、6ポイントの文字画像の判読は難しいが、8ポイントの文字画像の判読可能である
×:8ポイントも文字画像の判読は難しい
以上により得られた各評価結果を、表5に示す。
Figure 2007091908
表5に記載の結果より明らかなように、本発明のインクを用いて形成した画像は、比較のインクを用いて形成した画像に対し、間欠印字適性、マーカー耐性、及びカール特性に優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料及び顔料分散剤を含有し、かつ、水の含有量が全インク質量の10質量%以上50質量%未満であるインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤のうちSP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有し、かつ、該顔料分散剤が酸価が5〜160である下記一般式(I)で表される重合体であることを特徴とするインクジェットインク。
    一般式(I)
    −(A)a−(B)b−(C)c−(D)d−(E)e
    (式中、A、B、C、D、Eは顔料分散剤を構成する単量体を表し、a、b、c、d、eはそれぞれの単量体の顔料分散剤中における構成モル比率を表す。Aはカルボン酸またはスルホン酸の酸性基およびその塩誘導体を含有する単量体であり、Bはヒドロキシ基を含有する単量体である。Cは炭素数8以上の直鎖または分岐状のアルキル基を含有する単量体であり、Dはスチレンおよびその誘導体を表す。Eはその他の重合可能な単量体を表す。aは1〜24%、bは1〜60%、cおよびdはそれぞれ1〜50%であり、かつc+dは5〜50%である。eは0〜40%である。)
  2. SP値が9以上12未満の水溶性有機溶剤の20℃における蒸気圧が10〜133Paであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記顔料分散剤が、アクリル−スチレン系高分子分散剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記顔料分散剤の重量平均分子量が20,000〜200,000であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のインクジェット用インク。
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