JP2007106860A - ポリロタキサン含有自動車用着色プラスチック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】疎水性ポリロタキサンを含有する自動車用着色プラスチックである。
疎水性ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が疎水性を有するものである。
疎水性ポリロタキサン以外の艶あり又は艶消し着色樹脂基材を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明の着色プラスチックは、主として、ラジエターグリルやリヤコンビランプハウス等の自動車部品であって、特に耐擦傷性が要求される部品に好適に用いられる。
かかる表面処理としては、常乾型塗料や2液ウレタン塗料等の硬化型塗料を用いるが、得られる処理膜には傷が付きやすく、付いた傷は目立ち易い。
また、意匠性を付与ないし向上する手法として、メッキ、蒸着及びスパッタリングの如き金属鏡面処理が行われるが、このような金属鏡面処理を行うと、得られる処理膜には傷が付きやすく、付いた傷は目立ち易い。
これに対し、満足し得る十分な耐擦傷性を有するプラスチック材料は知られておらず、このため、プラスチック部品を耐擦傷性を有する塗料で塗装することが行われており、かかる耐擦傷性を有する塗料としては、紫外線(UV)硬化型塗料、電子線エネルギー(EB)硬化型塗料、シリカ系ハードコート剤や2液型アクリルウレタン系軟質塗料など知られている(例えば、特許文献1参照。)。
更に、上述の如き耐擦傷性等の品質を確保するために行う表面処理は、製品を完成させるまでの工程が長くなり、特に塗装設備のない工場では設備費も必要になる。
また、本発明の自動車用着色プラスチックの他の好適形態は、上記疎水性ポリロタキサンの直鎖状分子がポリカプロラクトンであることを特徴とする。
上述の如く、本発明の自動車用着色プラスチックは、特定の疎水性ポリロタキサンを含むものである。
また、この疎水性ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するもの(ポリロタキサン)であり、更に、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が疎水性を有するものである。
なお、環状分子に疎水性を付与するには、(1)水酸基を有する環状分子の当該水酸基の全部又は一部を疎水性の修飾基で修飾すればよく、(2)直鎖状分子に疎水性を付与するには、特定の直鎖状分子を選定すればよい。また、(3)直鎖状分子が環状分子を包接する量を制御することによっても、当該ポリロタキサン全体を疎水化することができる。
同図において、このポリロタキサン5は、直鎖状分子6と、複数個の環状分子7と、直鎖状分子6の両末端に配置された封鎖基8を有し、直鎖状分子6が環状分子7の開口部を貫通して環状分子7を包接している。
このような構造を有するポリロタキサンは、外力が加わった場合に、環状分子7が直鎖状分子6に沿って自由に移動する(滑車効果)ことから、伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという優れた特性を有している。
図2は、疎水性ポリロタキサンと着色樹脂との架橋構造を概念的に示す部分概念図である。同図において、両者の架橋により生成する架橋ポリロタキサン1は、着色樹脂3、3’と上記疎水性ポリロタキサン5を有する。そして、この架橋ポリロタキサン1は、環状分子7を介して架橋点9によって着色樹脂3及び着色樹脂3’と結合している。
即ち、図2(B)に示すように、環状分子7は滑車効果によって直鎖状分子6に沿って移動可能であるため、架橋ポリロタキサン1は上記応力をその内部で吸収可能である。
従って、かかる架橋ポリロタキサンを含有する本発明の自動車用着色プラスチックは、伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという性質を有する。
このような場合でも、少なくとも疎水性ポリロタキサンが上述の滑車効果を発揮するので、本発明の自動車用着色プラスチックは、上記同様に伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという性質を有するものである。
本発明において、疎水性を示す修飾基は、疎水基又は疎水基と親水基を有し、全体として疎水性であればよい。
かかる疎水基としては、例えば、アルキル基、ベンジル基(ベンゼン環)及びベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基などがある。
かかる親水基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基(一級〜三級)、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシアルキル基などがある。
また、環状分子は実質的に環状であれば十分であって、「C」字状のように、必ずしも完全な閉環である必要はない。
このような反応基としては、環状分子の水酸基と結合した化合物由来の残基であって、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。
上記修飾度が0.02未満では、着色樹脂との相溶性が十分なものとならず、分離を生ずることがある。
一例としては、例えば、ポリロタキサンの環状分子としてシクロデキストリンを用い、当該シクロデキストリンの水酸基をプロピレンオキシドを用いてヒドロキシプロピル化し、その後、ε‐カプロラクトンを添加し、2‐エチルへキサン酸スズを添加する。このときのε‐カプロラクトンの添加量を変更することで修飾率を任意に制御できる。
この比が0.06未満では滑車効果が不十分となって塗膜の伸び率が低下することがある。0.61を超えると、環状分子が密に配置され過ぎて環状分子の可動性が低下し、同様に着色プラスチックの伸び率が不十分となって耐擦傷性が劣化する傾向がある。
一例としては、DMF(ジメチルホルムアミド)に、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)、HOBt、アダマンタンアミン、ジイソプロピルエチルアミンを、この順番で添加し溶液とする。一方、DMF/DMSO(ジメチルスルホキシド)混合溶媒に、直鎖状分子に環状分子が串刺された包接錯体を分散させた溶液を得る。これら両者を混合し、このときのDMF/DMSOの混合比率を変更することで、環状分子の包接量を任意に制御できる。なお、DMF/DMSO比が高いほど環状分子の包接量は大きくなる。
なお、上記した種々の環状分子の中では、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが良好であり、とりわけ、被包接性の観点からはα−シクロデキストリンを使用することが好ましい。
また、環状分子の大きさにも影響を受けるが、その長さについても、環状分子が滑車効果を発揮できる限り特に限定されない。
かかる反応基としては、採用する封鎖基の種類などに応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基などを例示することができる。
これら直鎖状分子のうち、特にポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンが良好であり、水や溶剤系溶剤への溶解性の観点からはポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
なお、直鎖状分子としてポリカプロラクトンを選択すれば、上記環状分子の修飾や最大包接量の制御とは別個に、ポリロタキサンに疎水性を付与できる。
直鎖状分子の分子量が1,000未満では、環状分子による滑車効果が十分に得られなくなって耐擦傷性が劣化するがある。分子量が200,000を超えると、着色樹脂との相溶性が低下し、得られる着色プラスチックが白濁することがある。
このような基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。なお、ここで「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
上述の如き、疎水性ポリロタキサンは、
(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、
(2)得られた擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)を封鎖基で封鎖して、環状分子が串刺し状態から脱離しないように調製する工程と、
(3)得られたポリロタキサンの環状分子の水酸基を疎水性修飾基で修飾する工程、
によって処理することにより得られる。
かかる着色樹脂としては、特に限定されるものではないが、艶あり又は艶消し着色樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)及びポリ塩化ビニル(PVC)等に顔料を添加した樹脂組成物を挙げることができる。
なお、このような顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタンなどの無機系着色顔料やアゾ系顔料、ペリレン系顔料などの有機系着色顔料を例示でき、これらを上記樹脂基材に対して1〜50%の割合で混合するのがよい。
疎水性ポリロタキサンが1%未満では、滑車効果が低下することで耐傷付き性が低下することがあり、50%を超えると、着色樹脂との相溶性が低下して、得られる着色プラスチックが白濁することがある。
[修飾基を有するポリロタキサンの合成]
表1に示す物性を有する各例の着色プラスチックを下記の要領で調製した。
即ち、水酸基をヒドロキシプロピル基で修飾したヒドロキシプロピル化ポリロタキサン500gに、モレキュラーシーブで乾燥させたε−カプロラクトン10mLを加え、室温で30分攪拌してよく浸透させた。
次いで、2−エチルヘキサン酸すず0.2mLを加え、100℃で1〜8時間反応させた。反応終了後、生成物をトルエン50mLに溶解させ、攪拌したヘキサン450mL中に滴下して析出させ、回収した。
PMMAと、顔料と、上述のようにして得られた修飾基を有する各ポリロタキサンを80℃に加温して混合し、各例のペレットを得た。
得られた各例のペレットを金型温度30℃、シリンダー温度210℃で、40sec射出成形を行い、150mm(縦)×73mm(横)×3mm(厚さ)の各例の着色プラスチック製試験片を得た。
ポリロタキサンを用いなかった以外は、実施例1〜8と同様の操作を繰り返して、本例の着色プラスチック製試験片を得た。
得られた実施例1〜8及び比較例1のプラスチック製試験片について、相溶性、耐擦傷性を以下のようにして評価した。得られた結果を表1に併記する。
各例のプラスチック製試験片の白濁度を目視評価した。なお、表1中において、記号「○」、「△」、「×」は次のことを意味する。
〇:着色
△:若干の白濁
×:白濁および分離
磨耗試験機の摺動子にダストネル(摩擦布)を、各例のプラスチック製試験片に両面テープで貼り付け、0.22g/cm2の荷重下で50回往復させ、傷の有無を評価した。
なお、表1中において、記号「○」、「△」、「×」は次のことを意味する。
○:殆ど傷がない。
△:少し傷がある。
×:目立つほど多くの傷がある
3 着色樹脂
3’ 着色樹脂
5 ポリロタキサン
6 直鎖状分子
7 環状分子
7a 疎水性修飾基
8 封鎖基
9 架橋点
Claims (10)
- 環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が疎水性を有する疎水性ポリロタキサンを含有することを特徴とする自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水性ポリロタキサンの環状分子が水酸基を有し、この水酸基の全部又は一部を疎水性の修飾基で修飾して成ることを特徴とする請求項1に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記環状分子の水酸基が修飾される最大数を1とするとき、この環状分子の上記疎水性修飾基による修飾度が0.02以上であることを特徴とする請求項2に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水性修飾基の全部又は一部が、疎水基又は疎水基と親水基を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水基が、アルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基及びトシル基から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項4に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水性ポリロタキサンの環状分子の包接量が、上記直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.61であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記環状分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンから成る群より選ばれた少なくとも1種のシクロデキストリンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水性ポリロタキサンの直鎖状分子の分子量が、1,000〜200,000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水性ポリロタキサン以外の、艶あり又は艶消し着色樹脂基材を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
- 上記疎水性ポリロタキサンが1〜50%の割合で含まれることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
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