JP2007113496A - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノッキングに好適に対処し得る燃焼制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、クランクアングルの各値と当該クランクアングルの各値で発生するノッキングの強度指標値との対応関係を記憶した記憶手段と、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、筒内における燃焼状態を制御する制御手段と、を備える。制御手段は、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、ノッキング強度指標値が所定の基準値となるクランクアングルを求め、さらに、求められたクランクアングルでノッキング発生条件を満たす点火タイミングを求める。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、クランクアングルの各値と当該クランクアングルの各値で発生するノッキングの強度指標値との対応関係を記憶した記憶手段と、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、筒内における燃焼状態を制御する制御手段と、を備える。制御手段は、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、ノッキング強度指標値が所定の基準値となるクランクアングルを求め、さらに、求められたクランクアングルでノッキング発生条件を満たす点火タイミングを求める。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の燃焼制御装置、特にノッキングに対処し得る燃焼制御装置に関する。
特許文献1に係る内燃機関の燃焼制御装置では、内燃機関の運転条件から基準クランクアングルでの筒内圧力と筒内未燃ガス温度を求め、これらを利用してノッキングの起こりやすさを示すノック指標値を算出し、このノック指標値に基づいて適切な点火タイミングを決定している。ここで、特許文献1の点火タイミングの決定方法では、筒内未燃ガス温度を求めるためにマップデータを利用するとともに、複雑な計算を行っている。
特許文献2に係る内燃機関の燃焼制御装置では、センサ信号処理用のCPUは、ノックセンサの信号レベルが所定レベルを超えたときに第1レベルを出力し、信号レベルが所定レベルに達しないときに第2レベルを出力する。そして、ノック制御用のCPUは、センサ信号処理用のCPUの出力を取り込んで、第1レベルである時間長からノック強度を判定し、また第1レベルから第2レベル側に反転するノック終了のタイミングで点火タイミングの遅角制御を行う。
特開平5−270238号公報
特許2698885号
しかし、上述した特許文献1では、筒内未燃ガス温度を求めるためには、直接計測することが困難な気筒内での燃焼や、気筒内ガスの外部との受熱量及び放熱量などを考慮する必要があるため、筒内未燃ガス温度の精度を確保することは困難である。また、マップデータを用意するためには、膨大な工数の実験を行う必要がある。
また、特許文献2では、比較的に簡易な処理であるものの、点火タイミングの遅角制御において遅角量が常に一定であるため、点火タイミングを最適化することができない。
そこで、本発明は、ノッキングに好適に対処し得る燃焼制御装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、クランクアングルの各値と当該クランクアングルの各値で発生するノッキングの強度指標値との対応関係を記憶した記憶手段と、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係を参照して、筒内における燃焼状態を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。この構成によれば、燃焼制御装置は、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係を参照して、筒内における燃焼状態を制御するため、発生するノッキングの強度を、内燃機関を制御する上で適度な値とすることができる。
また、制御手段は、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係を参照して、ノッキング強度指標値が所定の基準値となるクランクアングルを求め、さらに、求められたクランクアングルでノッキング発生条件を満たす点火タイミングを求めることが好ましい。この構成によれば、求められた点火タイミングで点火を行うことで、発生するノッキングの強度を抑制するとともに、内燃機関の発生トルクを大きくすることができる。
上述した処理において、所定の基準値とは、内燃機関を制御する上で適度なノッキング強度指標値のことである。例えば、車両の乗員にノッキング音が聞こえてしまうことを避けたい場合には、所定の基準値を、乗員がノッキング音を聞き取り得るノッキング強度領域と、聞き取り得ないノッキング強度領域との境界値とすることが好ましい。所定の基準値をこのような境界値に設定することで、車両の乗員にノッキング音が聞こえない程度にノッキング強度を抑制するとともに、内燃機関の発生トルクを大きくすることができる。
また、制御手段は、内燃機関の運転条件に応じて基準値を選択し、ノッキング強度指標値が、選択された基準値となるクランクアングルを求めることが好ましい。この構成によれば、所定の基準値は内燃機関の運転条件ごとに設定されているため、内燃機関の運転条件に応じて最適な点火タイミングを求めることができる。ここで、内燃機関の運転条件とは、内燃機関の回転数、負荷などである。例えば、内燃機関の回転数や負荷の増大に応じて、所定の基準値が大きくなるように設定すると良い。内燃機関の回転数や負荷が増大した場合には、内燃機関自体の発生音が大きくなるため、所定の基準値を大きくしてノッキング音を大きくしても問題とならず、その一方で、点火タイミングを進角側に移行して内燃機関の出力トルクを大きくすることができるからである。
また、ノッキング強度指標値は、ノッキングによる筒内圧振動のピーク値又はピーク積分値であることが好ましい。この構成によれば、ノッキング強度指標値として、ノッキングによる筒内圧振動のピーク値又はピーク積分値を用いることで、筒内圧振動の適切な強度指標値を求めることができる。特に、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係において、クランクアングルは、ノッキング強度指標値を変数とする1次式で表されることが好ましい。この構成によれば、制御手段による演算を簡略化することができる。
また、ノッキング発生条件は、燃焼割合の所定値までの上昇であることが好ましい。この構成によれば、燃焼割合がノッキングが発生する所定値まで上昇する点火タイミングを算出することで、点火タイミングを適切に調節することができる。
また、ノッキング発生条件は、自着火発生確率の所定値までの上昇であることが好ましい。この構成によれば、自着火発生確率が自着火が発生する所定値まで上昇する点火タイミングを算出することで、点火タイミングを適切に調節することができる。
また、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、ノッキングが発生したクランクアングルを検出する第一検出手段と、ノッキングの強度指標値を検出する第二検出手段と、第一検出手段により検出されたクランクアングル、及び第二検出手段により検出されたノッキング強度指標値を利用して、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係の学習を行う学習手段と、をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、記憶手段に記憶されたクランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係は、第一、第二検出手段の検出値を利用した学習により書き換えられる。大量生産される内燃機関は、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係に関してほぼ同様な特性を有するが、個々の内燃機関には若干の機差ばらつきがある。また、内燃機関を長年使用するうちに内燃機関の各部品やセンサ類は経時劣化する。さらには、内燃機関を取り巻く環境は日毎に変化する。これに対して、上述したようにクランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係を学習により書き換えることにより、個々の内燃機関の機差ばらつきや経時劣化などに対応することができる。
さらに、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置において、学習手段は、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係を参照して、第一検出手段により検出されたクランクアングルに対応するノッキング強度指標値を求め、求められたノッキング強度指標値と、第二検出手段により検出されたノッキング強度指標値との差分が、ノイズ判定用閾値より小さいか否かを判定し、ノッキング強度指標値の差分がノイズ判定用閾値より小さい場合には、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係の学習を行い、ノッキング強度指標値の差分がノイズ判定用閾値より大きい場合には、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係の学習を禁止することが好ましい。この構成によれば、ノッキング強度指標値の差分をノイズ判定用閾値と比較することで、ノッキング強度指標値にノイズが含まれるか否かを判定し、ノッキング強度指標値にノイズが含まれない場合にのみ、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係の学習を行うことができる。
本発明によれば、ノッキングに好適に対処し得る燃焼制御装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明のエンジン(内燃機関)の燃焼制御装置に係る好適な実施形態について説明する。図1には、エンジンの燃焼制御装置の構成の概略が示されている。なお、本実施形態のエンジンは、車両に搭載されて駆動源として用いられる。
本実施形態で説明するエンジン1は、多気筒エンジンであるが、ここではそのうちの一気筒のみが断面図として図1に示されている。エンジン1においては、吸気通路2を通して外気が吸入空気として取り込まれ、この吸入空気がシリンダ3の直前でインジェクタ4から噴射された燃料とを混合されて混合気とされる。混合気は、シリンダ3内に吸入され、ピストン5によって圧縮された後に点火プラグ6で着火されて燃焼する。このとき燃焼によってシリンダ内の圧力は上昇し、これをピストン5及びコネクティングロッドを介して出力として取り出している。
シリンダ3の内部と吸気通路2との間は、吸気バルブ7によって開閉される。シリンダ3の内部と排気通路8との間は、排気バルブ9によって開閉される。吸気バルブ7は、吸気行程のピストン5下降時に開かれ、吸気行程から圧縮工程に移行する時に閉じられる。吸気行程が終了する(圧縮工程に移行する)時におけるピストン5の下死点を吸気下死点(吸気BDC:Bottom Dead Center)と言う。圧縮工程時にはピストン5はシリンダ3内を上昇し、上述したようにピストン5が圧縮上死点(圧縮TDC:Top Dead Center)近傍となるときに混合気に点火される。点火による混合気燃焼に伴う膨張行程においてピストン5は下降し、再び上昇するときに排気バルブ9が開かれて排気行程に移行する。燃焼後の排気ガスは排気通路8に排気される。なお、以下の説明では、クランクアングル(°CA)は、圧縮TDCを基準とする。
また、上述した点火プラグ6は、イグニッションコイル18及びイグナイタ19を介してECU15に接続されている。また、エンジン1のクランクシャフト近傍には、クランクアングルを検出し、さらにはエンジン回転数やピストン位置を検出するためのクランクポジショニングセンサ20が取り付けられており、吸気側のカムシャフトの近傍には、吸気バルブ7(及び排気バルブ9)の開閉タイミングを検出するカムポジショニングセンサ21が取り付けられている。電子式コントロールユニット(ECU)15は、CPU,RAMからなる制御手段、ROMからなる記憶手段などを備えており、クランクポジショニングセンサ20やカムポジショニングセンサ21の検出結果などに基づいて点火タイミングを決定する。ECU15からの点火信号に基づいてイグナイタ19がスイッチの働きをし、イグニッションコイル18が点火用の高電圧を生成すると、点火プラグ6はこれによって点火される。なお、本実施形態において、点火プラグ6は、各気筒内の圧力を検出するための筒内圧センサと一体化されている。
また、エンジンの吸気通路2には、上流側から、吸気流量及び吸気温を検出するためのエアフロメータ11、スロットルバルブ12の開度(エンジン負荷)を検出するためのスロットルポジショニングセンサ17、サージタンク内の圧力を検出するための圧力センサ25などが設けられている。また、エンジンには、アクセルペダル13の操作量を検出するためのアクセルポジショニングセンサ14、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ23、エンジンブロックに固定され、エンジン振動を検出することでノッキング時特有の振動を検出するためのノックセンサ24などが設けられている。これらのセンサ類の検出値はECU15により取り込まれ、エンジンの各種制御に利用されている。
また、ECU15の記憶手段には、点火タイミングを算出するために必要な各種データが記憶されている。これらのデータは、例えば、(A)クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係のデータ、(B)ノッキング検出用基準値のデータなどである。
(A)クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係のデータLが、図2にグラフ化して示されている。図2のグラフにおいて、横軸はノッキングが発生したクランクアングルであり、縦軸はクランクアングルの各値で発生したノッキング強度指標値である。ここでノッキング強度指標値とは、ノッキング強度の指標となる値であり、本実施形態ではノッキングによる筒内圧振動のピーク値を採用している。なお、ピーク値−クランクアングル特性Lは1次式で表されている。また、ピーク値−クランクアングル特性Lは、内燃機関の運転条件(エンジン回転数及びエンジン負荷の各条件)ごとに用意されている。ピーク値−クランクアングル特性Lの求め方については、図3及び図4を参照して後に詳述する。
(B)ノッキング検出用基準値とは、内燃機関を制御する上で許容し得る範囲で最大のノッキング強度指標値のことであり、本実施形態では、車両の乗員がノッキング音を聞き取り得るノッキング強度領域R1と聞き取り得ないノッキング強度領域R2との境界にあるピーク値Phである(図2参照)。具体的には、ノッキング検出用基準値Phは、次の数式(1)で算出される。
Ph=a・ne+b・kl ・・・(1)
ここで、neはエンジン回転数であり、klはエンジン負荷であり、a、bは正の係数である。エンジン回転数ne及びエンジン負荷klが増加した場合には、エンジン音は大きくなるので、ノッキング音を聞き取り得る領域R1と聞き取り得ない領域R2との境界は変化する。上の数式(1)のように、エンジン回転数、エンジン負荷の増加に応じてノッキング検出用基準値を増加させることで、ノッキング音を聞き取り得る領域R1と聞き取り得ない領域R2との境界の変化に追従するように、ノッキング検出用基準値Phを調節することができる。なお、本実施形態ではエンジン回転数ne及びエンジン負荷klに応じてノッキング検出用基準値Phを調節しているが、ノッキング検出用基準値Phに影響を与える他の要因に応じてノッキング検出用基準値Phを調節するようにしてもよい。
Ph=a・ne+b・kl ・・・(1)
ここで、neはエンジン回転数であり、klはエンジン負荷であり、a、bは正の係数である。エンジン回転数ne及びエンジン負荷klが増加した場合には、エンジン音は大きくなるので、ノッキング音を聞き取り得る領域R1と聞き取り得ない領域R2との境界は変化する。上の数式(1)のように、エンジン回転数、エンジン負荷の増加に応じてノッキング検出用基準値を増加させることで、ノッキング音を聞き取り得る領域R1と聞き取り得ない領域R2との境界の変化に追従するように、ノッキング検出用基準値Phを調節することができる。なお、本実施形態ではエンジン回転数ne及びエンジン負荷klに応じてノッキング検出用基準値Phを調節しているが、ノッキング検出用基準値Phに影響を与える他の要因に応じてノッキング検出用基準値Phを調節するようにしてもよい。
次に、ECU15により実行される点火タイミング算出処理について説明する。図5には、点火タイミング算出処理のフローチャートが示されている。この点火タイミング算出処理は、エンジンの運転時にECU15により繰り返し実行されている。
ECU15は、処理を開始すると先ず、各センサの検出値を取り込む(S501)。次に、ECU15は、ノッキングが発生しているか否かを判定する(S502)。詳しくは、ECU15は、筒内圧センサ6による筒内圧検出値からノッキングによる筒内圧振動が顕著に表れる周波数帯域(7kHz付近)の成分をフィルタリングして抽出し、その抽出後の筒内圧検出値がノッキング検出用の閾値Tを超えた場合には、ノッキングが発生したことを判定する(図4参照)。ここで、ノッキングが発生していないことが判定された場合には、ステップ503に進み、一方、ノッキングが発生していることが判定された場合には、ステップ505に進む。なお、ノッキングの有無を判定は、単にノッキングセンサの検出出力を利用して行ってもよい。
ステップ503,504では、ECU15は点火タイミングを算出する。ECU15により行われる点火タイミング算出処理を、図6を参照して詳しく説明する。先ず、図6(a)に示すように、ECU15は、既に取り込んでいるエンジン回転数ne及びエンジン負荷klの検出値を数式(1)に代入してノッキング検出用基準値Phを選択的に求める。そして、ECU15は、エンジン回転数及びエンジン負荷に応じたピーク値−クランクアングル特性Lの1次式を記憶手段から読み出すと、ピーク値−クランクアングル特性Lの1次式にノッキング検出用基準値Phを代入して、筒内圧振動のピーク値がノッキング検出用基準値PhとなるクランクアングルCAhを求める。
次に、図6(b)に示すように、ECU15は、筒内圧振動のピーク値Phがノッキング検出用基準値となるクランクアングルCAhと、筒内での燃焼割合が90%となるクランクアングルCAat90とが一致するような点火タイミングTKpを算出する。具体的には、ECU15は、筒内で点火が行われてから燃焼割合が90%になるまでのクランクアングル位相差(又は時間差)のデータを記憶手段から読み出し、クランクアングルCAhから上記位相差だけ進角側のクランクアングルTKpを算出する。これにより、クランクアングルCAhでノッキングが発生する条件を満たす点火タイミングTKpを求めることができる。
なお、上述した処理を行うために、ECU15の記憶手段には、エンジンの様々な運転条件(回転数、負荷など)における、筒内で点火が行われてから燃焼割合が90%になるまでのクランクアングル位相差(又は時間差)Mのデータが記憶されている。ここで、筒内の燃焼割合が90%となることは、筒内でノッキングが発生する状態であることを意味している。なお、燃焼割合は、公知の様々な算出式(例えば、Wiebe関数)を用いて算出すればよい。なお、本実施形態では、筒内の燃焼割合が90%のときにノッキングが発生すると仮定しているが、90%前後の他の値を仮定してもよい。また、ノッキングの予測精度を高める場合には、燃焼割合を一定値とせずに、エンジン回転数などのパラメータに応じて調節してもよい。
ECU15は、次のサイクルでは、上述したように算出された点火タイミングTKpになると、点火プラグに電圧を印加して点火を行ない、筒内の燃料を燃焼させる。これにより、クランクアングルCAhとなったタイミングで燃焼割合が90%となりノッキングが発生する。しかし、ノッキングがクランクアングルCAhで発生した場合にノッキング音は十分に小さいため、ノッキング音が車両の乗員に聞こえることを防止することができる。さらに、点火タイミングを出力トルクが最大となる点火時期MBT(Minimum spark advance for Best Torque)に近づけて、エンジンの発生トルクを大きくすることができる。
また、図5のフローチャートに戻り、ステップ502でノッキングが発生していることが判定されてステップ505に進んだ場合には、ECU15は、ノッキングによる筒内圧振動の波形を処理することで、筒内圧振動のピーク値Psと、筒内圧振動が発生したクランクアングルCAsを検出する(S505)。次に、ECU15は、ピーク値−クランクアングル特性Lを参照して、クランクアングルCAsに対応する筒内圧振動のピーク値Plを算出する(S506)。そして、ECU15は、実測された筒内圧振動のピーク値Psから、算出された筒内圧振動のピーク値Plを減算し、その減算値がノイズ判定用閾値ThPを超えているか否かを判定する(S507)。ここで、減算値が当該閾値ThPを超えていないと判定された場合には、ピーク値の実測値Psは算出値Plに近いため、実測された筒内圧振動にはノッキング以外を原因とするノイズ成分がほとんど含まれていないと推定される。よって、ECU15は、ステップ508に進んで、ピーク値−クランクアングル特性Lの学習を行う(S508)。
ここで、ステップ508におけるピーク値−クランクアングル特性Lの学習とは、次の処理である。ピーク値−クランクアングル特性Lは一次式であるが、この一次式は多数の散布データ群を最小自乗法などの近似法により処理することで決定される。ECU15は、ステップ505で実測されたピーク値Ps及びクランクアングルCsを一組の散布データとして上記のデータ群に追加し、改めてピーク値−クランクアングル特性Lの一次式を算出し直す。このようにして、ピーク値−クランクアングル特性Lの学習が行われる。
大量生産されるエンジンは、クランクアングルとノッキング強度指標値との対応関係に関してほぼ同様な特性を有するが、個々のエンジンには若干の機差ばらつきがある。また、エンジンを長年使用するうちにエンジンの各部品やセンサ類は経時劣化する。さらには、エンジンを取り巻く環境は日毎に変化する。これに対して、上述したようにピーク値−クランクアングル特性Lを学習により書き換えることにより、個々の内燃機関の機差ばらつきや経時劣化などに対応することができる。
一方、ステップ507において減算値がノイズ判定用閾値ThPを超えていると判定された場合には、ピーク値の実測値Psと算出値Plとは大きく異なるため、実測された筒内圧振動にはノッキング以外を原因とするノイズ成分が多く含まれていると推定される。よって、ECU15は、ピーク値−クランクアングル特性Lの学習を行わずに、ステップ503に進んで既述の処理を行う。これにより、ノイズ成分が多く含まれるデータを利用してピーク値−クランクアングル特性Lの学習を行うことを防止することができる。
上述した点火タイミング算出処理で利用されたピーク値−クランクアングル特性Lのデータを取得する方法について、図3及び図4を参照して説明する。ノッキングが発生する様々な運転条件(特に、エンジン回転数とエンジン負荷の様々な運転条件)でエンジンを実験的に運転させる。そして、筒内で燃料が燃焼する際に、クランクアングル及び筒内圧を検出して、図3のグラフに示されるような筒内圧波形の経時変化のデータを得る。この筒内圧波形の経時変化では、ノッキングの発生により筒内圧に振動が生じているため、得られたデータにはノッキングを原因とする振動波形(図3中、点線で囲む範囲)が含まれている。そして、このような筒内圧波形のデータに対してフィルタリング処理を行って、ノッキングによる筒内圧振動の周波数成分(7kHz付近)を抽出し、図4のグラフに示されるようなフィルタリング後の筒内圧波形の経時変化のデータを得る。ここで、フィルタリングされた振動波形がノッキング検出用閾値Tを超えたときのクランクアングルを、ノッキングが発生したクランクアングルCAknockとして取得する。また、フィルタリングされた振動波形の最大値を、ノッキングによる筒内圧振動のピーク値として取得する。エンジン回転数及びエンジン負荷を様々な値にして、このような測定を実験的に行うことにより、図2に示されるクランクアングルと筒内圧振動ピーク値との対応関係のデータLを得ることができる。
上述したクランクアングルと筒内圧振動ピーク値との対応関係においては、図2に示されるように、ノッキングが発生したクランクアングルが上死点付近である場合には筒内圧振動ピーク値は大きい一方で、ノッキング発生時のクランクアングルが上死点付近から遅角側に移行するほど筒内圧振動ピーク値は小さくなる。ここで、ノッキングが発生したクランクアングルと筒内圧振動ピーク値とはほぼ比例関係にあり、1次式で近似することができる。このようにクランクアングルと筒内圧振動ピーク値が線形関係にあることは、発明者による多くの実験を通じて明らかになったことであり、本実施形態の点火タイミング算出処理において計算処理を簡略化する点で効果がある。なお、図2に示されるデータは、一運転条件、即ちエンジン回転数や負荷などの一条件に対応するものである。図2と同様なデータが、車両走行時を想定して様々な運転条件について求められる。なお、ピーク値−クランクアングル特性Lの精度を向上するために、バルブオーバーラップや外気温度などの運転条件に応じてピーク値−クランクアングル特性Lを補正してもよい。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の燃焼制御装置は、第1実施形態とほぼ同様な構成であるが、ECU15により実行される点火タイミング算出処理が異なる。図7には、第2実施形態に係る点火タイミング算出処理のフローチャートが示されている。第2実施形態の点火タイミング算出処理では、特にステップ704の処理が第1実施形態と異なる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の燃焼制御装置は、第1実施形態とほぼ同様な構成であるが、ECU15により実行される点火タイミング算出処理が異なる。図7には、第2実施形態に係る点火タイミング算出処理のフローチャートが示されている。第2実施形態の点火タイミング算出処理では、特にステップ704の処理が第1実施形態と異なる。
ステップ704の処理について、図8を参照して説明する。ECU15の記憶手段には、エンジンの様々な運転条件における、筒内で点火が行われてから自着火発生確率が1になるまでのクランクアングル位相差(又は時間差)Nのデータが記憶されている。ここで、筒内の自着火発生確率が1となることは、筒内で自着火が発生して燃焼が生じる状態であることを意味している。なお、自着火発生確率は、筒内圧、筒内未燃ガス温度などの筒内状態量に基づいて自着火が発生する確率を算出するための総括反応式を用いて算出すればよい。ここで、総括反応式としては、例えば、Livengood-Wu式などである。
図8(b)に示すように、ECU15は、筒内圧振動のピーク値がノッキング検出用基準値PhとなるクランクアングルCAhと、筒内での自着火発生確率が1となるクランクアングルCAkとが一致するような点火タイミングTKpを算出する。具体的には、ECU15は、筒内で点火が行われてから自着火発生確率が1になるまでのクランクアングル位相差(又は時間差)のデータを記憶手段から読み出し、クランクアングルCAhから上記位相差だけ進角側のクランクアングルTKpを算出する。これにより、クランクアングルCAhで自着火が発生し、ノッキングが発生する条件を満たす点火タイミングTKpを求めることができる。
以上に説明した方法で点火タイミングTKpを算出し、次のサイクルにおいて点火タイミングTKpで点火を行ない筒内の燃料を燃焼させた場合には、クランクアングルCAhとなったタイミングで自着火発生確率が1となりノッキングが発生する可能性がある。しかし、ノッキングがクランクアングルCAhで発生した場合にノッキング音は十分に小さいため、ノッキング音が車両の乗員に聞こえることを防止することができる。さらに、点火タイミングを出力トルクが最大となる点火時期MBTに近づけて、エンジンの発生トルクを大きくすることができる。
第3の実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の燃焼制御装置は、第1実施形態とほぼ同様な構成であるが、ECU15により実行される点火タイミング算出処理が異なる。図9には、第3実施形態に係る点火タイミング算出処理のフローチャートが示されている。第3実施形態の点火タイミング算出処理では、特にステップ904の処理が第1実施形態と異なる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の燃焼制御装置は、第1実施形態とほぼ同様な構成であるが、ECU15により実行される点火タイミング算出処理が異なる。図9には、第3実施形態に係る点火タイミング算出処理のフローチャートが示されている。第3実施形態の点火タイミング算出処理では、特にステップ904の処理が第1実施形態と異なる。
ステップ904の処理について、図10及び図11を参照して説明する。ECU15の記憶手段には、第1実施形態で利用された、筒内で点火が行われてから燃焼割合が90%になるまでのクランクアングル位相差Mのデータ(図6参照)が記憶されている。また、ECU15の記憶手段には、第2実施形態で利用された、筒内で点火が行われてから自着火発生確率が1になるまでのクランクアングル位相差Nのデータ(図8参照)が記憶されている。
図10に示すように、ECU15は、筒内圧振動のピーク値がノッキング検出用基準値PhとなるクランクアングルCAhを求める。また、ECU15は、比較的に遅角側に設定された点火タイミングTaについて、燃焼割合が90%となるクランクアングルCAat90と、自着火発生確率が1となるクランクアングルCAkとを算出する。そして、ECU15は、3つのクランクアングルCAh,CAat90,CAkが、次の数式(2)の条件を満たすか否かを判定する。
CAk < CAat90 < CAh ・・・(2)
CAk < CAat90 < CAh ・・・(2)
クランクアングルCAat90,CAkが上の条件(2)を満たさない場合には、点火タイミングTaを進角側に少し移行して、再び、燃焼割合が90%となるクランクアングルCAat90と、自着火発生確率が1となるクランクアングルCAkとを算出し、上の条件(2)が満たされるか否かを判定する。そして、最終的には上の条件(2)が満たされるまで、点火タイミングTaを進角側に移行する。上の条件(2)が満たされた状況を図11に示す。条件(2)が満たされた場合の点火タイミングTaを、点火制御で用いる点火タイミングTaとして決定する。ここで、条件(2)が満たされたときには、クランクアングルCAh,CAat90,CAkは互いに近い値となる。また、燃焼割合及び自着火発生率がともにノッキングが発生する条件を満たすので、クランクアングルCAh付近でノッキングが発生する。
以上に説明した方法で点火タイミングTKpを算出し、次のサイクルにおいて点火タイミングTKpで点火を行ない筒内の燃料を燃焼させた場合には、クランクアングルCAh付近でノッキングが発生する。しかし、ノッキングがクランクアングルCAh付近で発生した場合にノッキング音は十分に小さいため、ノッキング音が車両の乗員に聞こえることを防止することができる。さらに、点火タイミングを出力トルクが最大となる点火時期MBTに近づけて、エンジンの発生トルクを大きくすることができる。
また、上述した実施形態では、ノッキング強度指標値として筒内圧振動のピーク値を採用したが、ノッキング強度の指標となる値であれば他の値でもよい。例えば、筒内圧振動のピーク積分値、筒内圧振動の山の数、ノックセンサ24の検出値である。なお、筒内圧振動のピーク積分値とは、図12の斜線部分の面積であり、筒内圧振動の波形を積分した値である。
なお、上述した実施形態では、ECU15は点火タイミングを調節したが、他の実施形態では、ECU15は、他の方法で筒内での燃焼状態を制御することで、発生するノッキングの強度を内燃機関を制御する上で適度な値としてもよい。
1…エンジン(内燃機関)、2…吸気通路、3…シリンダ、4…インジェクタ、5…ピストン、6…点火プラグ、7…吸気バルブ、8…排気通路、9…排気バルブ、11…エアフロメータ、12…スロットルバルブ、13…アクセルペダル、14…アクセルポジショニングセンサ、17…スロットルポジショニングセンサ、18…イグニッションコイル、19…イグナイタ、20…クランクポジショニングセンサ、21…カムポジショニングセンサ、23…水温センサ、24…ノックセンサ、25…圧力センサ。
Claims (9)
- クランクアングルの各値と、当該クランクアングルの各値で発生するノッキングの強度指標値との対応関係を記憶した記憶手段と、
クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、筒内における燃焼状態を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。 - 前記制御手段は、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、ノッキング強度指標値が所定の基準値となるクランクアングルを求め、さらに、求められたクランクアングルでノッキング発生条件を満たす点火タイミングを求めることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
- 前記制御手段は、内燃機関の運転条件に応じて前記基準値を選択し、ノッキング強度指標値が、選択された基準値となるクランクアングルを求めることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
- 前記ノッキング強度指標値は、ノッキングによる筒内圧振動のピーク値又はピーク積分値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
- クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係において、クランクアングルは、ノッキング強度指標値を変数とする1次式で表されており、
前記制御手段は、当該1次式を利用して、ノッキング強度指標値が前記基準値となるクランクアングルを求めることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の燃焼制御装置。 - 前記ノッキング発生条件は、燃焼割合の所定値までの上昇である請求項2〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
- 前記ノッキング発生条件は、自着火発生確率の所定値までの上昇である請求項2〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
- ノッキングが発生したクランクアングルを検出する第一検出手段と、
ノッキングの強度指標値を検出する第二検出手段と、
前記第一検出手段により検出されたクランクアングル、及び前記第二検出手段により検出されたノッキング強度指標値を利用して、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係の学習を行う学習手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。 - 前記学習手段は、
クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係を参照して、前記第一検出手段により検出されたクランクアングルに対応するノッキング強度指標値を求め、
求められた前記ノッキング強度指標値と、前記第二検出手段により検出されたノッキング強度指標値との差分が、ノイズ判定用閾値より小さいか否かを判定し、
ノッキング強度指標値の前記差分がノイズ判定用閾値より小さい場合には、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係の学習を行い、
ノッキング強度指標値の前記差分がノイズ判定用閾値より大きい場合には、クランクアングルとノッキング強度指標値との前記対応関係の学習を禁止する、
ことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
Priority Applications (1)
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| JP2005306196A JP2007113496A (ja) | 2005-10-20 | 2005-10-20 | 内燃機関の燃焼制御装置 |
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| JP2005306196A JP2007113496A (ja) | 2005-10-20 | 2005-10-20 | 内燃機関の燃焼制御装置 |
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| JP2005306196A Pending JP2007113496A (ja) | 2005-10-20 | 2005-10-20 | 内燃機関の燃焼制御装置 |
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- 2005-10-20 JP JP2005306196A patent/JP2007113496A/ja active Pending
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