JP2007120433A - ベーンポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】稼動時に摺動部に生じる摩擦抵抗を低減することができるエネルギー効率の高いベーンポンプを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するためのベーンポンプ10は、円筒状のポンプ室18が形成されたポンプ本体12のポンプ室内18に、偏心して軸支された回転自在なロータ20を有し、前記ロータ20にはその全長に亙って形成された複数の嵌挿溝22が設けられ、前記嵌挿溝22にはそれぞれベーン24が出入自在に配置されている。そして、前記ロータ20の端部には、当該ロータ20の直径よりも小径に形成したフランジ32,42を設ける。また、前記ポンプ本体12には、ポンプ室18を密閉するためのサイドカバー30,40を設ける。また、前記ロータ20端面におけるフランジ32,42当接面と、その外周面との間には段差を形成し、サイドカバー30,40と前記外周面との間に隙間を設ける構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポンプに係り、特に可動翼を備えたロータを有するベーンポンプに関する。
ベーンポンプは、図8に示すように円筒状のポンプ室2内に偏心して配置された円筒状のロータ3と、このロータ3の全長に亙って設けられた複数の嵌挿溝4に出入自在に備えられた、前記嵌挿溝4よりも若干狭い幅(若干短い長さ)に形成されたベーン5とを有することを基本とする。このような構成要素を基本とするベーンポンプ1では、前記ロータ3は回転軸6により支持され、ポンプ室2の両端部にはサイドカバー7a,7b、あるいはポンプ室2を構成するハウジング面との間に若干の隙間が設けられることによって、前記ポンプ室2内での回転を自在とされていた。そして、前記ポンプ室2はベーン5によって複数の圧縮室へと区分けされる構成とされている。このような構成のベーンポンプ1は、前記回転軸6に回転が加えられることに伴ってロータ3が回転し、このロータ3の回転に伴って前記ベーン5がポンプ室2の内周面に沿って出入するようになっている。このようなベーン5とロータ3、及びポンプ室2の作用により、ロータ3を矢印Aで示すように反時計回りに回転させると、ベーン5によって区分けされた圧縮室が拡大され、外部流体が吸引される。この状態でさらにロータ3を回転させると、圧縮室は閉塞されてその容積が小さくなり内圧が高くなる。さらにロータ3を回転させてベーン5によって区分けされた圧縮室とベーンポンプ1の排出口とが連通すると、圧縮流体は外部空間へ放出される。このような構成及び作用を伴うベーンポンプとしては、例えば特許文献1に開示されているものを挙げることができる。
特開2004−308503号公報
上記のような構成のベーンポンプでは、ベーンによってポンプ室を複数の圧縮室に区分けしている。このような構造を有するポンプではベーン側端部及びロータ端部とサイドカバーとの摺動抵抗を減らし、ポンプを稼動させる際に必要とする駆動力を減らすと共に、ベーンの摩耗を防止するために、ベーン側端部及びロータ端部とサイドカバーとの間の交差幅は、双方の部材間に若干の隙間が設けられるように調整されており、前記圧縮室はいわゆる側面開放型に近い状態とされていた。このため、圧縮室からは収容流体の漏れが生じやすく、ポンプの容積効率が低くなる。容積効率を向上させる解決策として、ベーン及びロータがサイドカバーに摺動するように規格を変更するということを考えることができるが、この場合、次のような問題が生じる。すなわち、ベーン及びロータをサイドカバーと常に摺動する規格とした場合、ベーンの側端部はロータの回転による円周方向の摩擦と、ベーンが嵌挿溝に対して出入する際に生じる放射方向の摩擦(往復運動による摩擦)とを常に受けることとなる。また、ロータに関しては、サイドカバーとの摩擦等によって生じる熱の影響により膨張し、サイドカバーとの間で焼きついてしまい、回転不能な状態になる可能性がある。このため、ベーンやロータの端部に設けられる隙間を無くした場合、ベーンポンプを稼動させる際に必要とする駆動力が大きくなる、エネルギー効率が悪くなる、あるいは駆動自体が不能となる等の不具合が生じる可能性がある。また、ベーンについては、摺動面との摩擦抵抗が大きくなることより、ベーン自体の摩耗量も増加するという問題がある。
本発明では上記のような問題を解決し、ベーンやロータとサイドカバーとの間の隙間を無くした、あるいは小さくした場合であっても、ポンプを稼動させせる際に生じる摩擦抵抗を低減することができ、従来と比べて小さな駆動力でポンプを稼動させることができるエネルギー効率の高いベーンポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るベーンポンプは、円筒状のポンプ室が形成されたハウジングの前記ポンプ室内に、偏心して軸支された回転自在なロータを有し、前記ロータにはその全長に亙って形成された複数の嵌挿溝が設けられ、前記嵌挿溝にはそれぞれベーンが出入自在に配置されているベーンポンプであって、前記ロータの端部には、当該ロータの直径よりも小径に形成した円板状の側板を設け、前記ハウジングには、前記ポンプ室を密閉するための平滑面に前記側板を収容するための凹陥部を有する蓋体を設け、前記ロータ端面における前記側板当接面とその外周面との間には段差を形成し、前記蓋体と前記外周面との間に隙間を設ける構成としたことを特徴とする。このような構成とすることにより、ロータと側板(フランジ)とが連動して回転することとなるため、フランジによって封止されている部分についてベーンに作用する摩擦抵抗は、出入に際しての放射方向の摩擦抵抗のみとなる。このため、蓋体(サイドカバー)とベーンとの間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。また当然に、ロータにおけるフランジ当接面にも摩擦が生じることは無いので、ロータとサイドカバーとの摩擦抵抗をも低減することができる。また、ロータ端面のフランジ当接面とその外周面とに段差を形成し、サイドカバーとの間に隙間を設ける構成としたことにより、熱膨張によりロータの長さが増したとしても、ロータとサイドカバーとの間の摩擦抵抗が大きくなり、ロータの回転を妨げるということが無い。
また、上記のような構成のベーンポンプでは、前記嵌挿溝には、隣り合う嵌挿溝同士を相互に連通する貫通孔を設けることが望ましい。このような構成とすることにより、嵌挿溝に対するベーンの出入をスムーズなものとすることができるようになる。詳細すると、ベーンは、嵌挿溝の底部に形成される底部空間とポンプ室との気圧差や容積変化により、出入時に抵抗を受けることがある。嵌挿溝の底部空間の容積は、ポンプ全体として見た場合には略一定となる。このため、隣り合う嵌挿溝同士を連通することにより底部空間全体としての容積変化を無くすことができ、嵌挿溝に対する出入時に受ける抵抗を減らすことができる。また、ポンプ室との圧力差も、吸入側と排気側との間で相殺されることとなり平均化することが可能となる。このため、ベーンが嵌挿溝に対してスムーズに出入することとなり、ポンプ室の内周面に沿ってスムーズに摺動することができるようになる。よって、ベーンによって区分けされる圧縮室は、高い気密性を維持することができるようになる。また、上記のようにロータにフランジを取り付ける構成とすることによれば、嵌挿溝の気密性が高められるため、底部空間に対して出入する気体を抑制することができ、底部空間の容積変化の抑制効果を高めることができる。
また、上記のような構成のベーンポンプでは、前記ベーンは、ベーンの突出方向に対して±90°未満の傾斜角を持たせたラインに沿って幅方向に分割し、突出時における各個片の突出量にズレが生じる構成とすることが望ましい。ベーンをこのような構成とすることにより、ベーンに作用する遠心力の影響を受け、ロータから突出したベーンを拡幅させることができる。このため、ベーン端部とサイドカバーとの間に生じる隙間を閉塞することができ、ベーンによって構成される圧縮室の密閉性を高めることができる。よって、ベーンポンプ自体の容積効率を高めることができる。
また、上記のような構成のベーンポンプでは、前記ベーンの構成部材をカーボン焼結体、又はエンジニアリングプラスチックを含浸させたカーボン焼結体、あるいはエンジニアリングプラスチックを基材としたカーボン繊維材料とすると良い。このような構成とすることにより、ベーンは、いわゆるカーボン部材の特性としての高い耐磨耗性、自己潤滑性を得ることができる。このため、ベーン側端部とサイドカバーとの隙間を狭め、気密性を高めた場合であっても接触面での摩擦抵抗を低減することができる。また、耐磨耗性に優れることから、ベーン自体の摩耗量が少なく、自己潤滑性が優れることから摺動対象面を摩耗させることも少ない。このため、圧縮室としては、高い気密性を長期間にわたり維持することが可能となる。また、上述したようにベーン自体の自己潤滑性が高まることより、摺動部に対して潤滑油等の潤滑剤が不要となる。
また、上記のような構成のベーンポンプでは、前記ポンプ室の内壁面に炭素薄膜、あるいはフッ素薄膜を被服するようにしても良い。このような構成とすることにより、ベーンと摺動面であるポンプ室内周(内壁)面との摩擦抵抗を減らすことができる。よって上記と同様に、ポンプ室、ベーン共に摩耗量を減らすことができる。このため、ベーンによって形成される圧縮室は、高い気密性を長期間にわたり維持することが可能となる。また、ベーンとポンプ室内周面との潤滑性が高まることより潤滑油等の潤滑剤が不要となる。
上記のような構成のベーンポンプによれば、ポンプを稼動させる際に各摺動部に生じる摩擦抵抗を低減することができ、ポンプを稼動させる際に必要とするエネルギーを小さなものとすることができ、エネルギー効率の高いベーンポンプを得ることができる。
以下、本発明のベーンポンプに係る実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明に係る一部の実施形態であり、本発明の技術的範囲は以下の形態のみに拘束されるものではない。
まず、図1を参照して本発明のベーンポンプ1に係る第1の実施形態について説明する。なお、図1(A)は同図(B)におけるA−A断面を示し、図1(B)は同図(A)における部分断面側面を示す図である。
本実施形態のベーンポンプ10は、ポンプ室18を形成したポンプ本体(ハウジング)12と、前記ポンプ室18内に配置されるロータ20と、前記ロータ20に備えられるベーン24、及び前記ロータ20を回転支持する回転軸50とを基本的な構成とする。
前記ポンプ室18は、前記ポンプ本体12に形成された円筒状の孔であり、詳細を後述する蓋体(以下、サイドカバーという)30,40によって両端部を封止されることで密閉空間の体を成す。ポンプ本体12には圧縮性流体(例えば空気:以下気体という)を吸入するための吸入口14と、同じく気体を排出するための排出口16とが設けられている。また、前記ポンプ室12には、前記吸入口14と連通する吸入路14aと、前記排出口16と連通する排出路16aとが設けられており、ポンプ室18内への気体の吸入、ポンプ室18内からの気体の排出を可能な構成とされている。
前記ロータ20は、円柱形状をしており、断面中央には詳細を後述する回転軸50を挿通させるための孔が形成されている。前記ロータ20には、定められた角度で放射状に形成された複数(図では8つ)の溝(嵌挿溝)22が形成されている。なお、前記嵌挿溝22はロータ20の全長に亙って形成されている。本実施形態のベーンポンプ10では、前記ロータ20の両端部に、側板(以下、フランジという)32,42を取り付け、前記嵌挿溝22の端部を封止する構成としている。フランジ32,42の大きさ、形状等の好適な条件は、前記ロータ20端面の径よりも若干小径とした円板形状である。このように、ロータ20に直接フランジ32,42を取り付け、嵌挿溝22の端部を封止する構成としたことにより、ロータ20が回転する際には前記フランジ32,42も、同様に回転することとなる。このため、フランジ32,42がある部分では、嵌挿溝22に嵌挿されたベーン(詳細は後述)24に円周方向の摩擦抵抗が付与されることが無くなる。よって、ベーン24の摩耗量が少なくなることはもちろん、低摩擦化による駆動力の省エネ化、及び小発熱効果も期待することができる。なお、ロータ20に対するフランジ32,42の固定は、図4に示すように、ロータ20にネジ穴、フランジ32,(42)に貫通孔を形成し、ボルト32a,(42a)を用いて固定するようにすれば良い。
また、本実施形態のロータ20の端部には、サイドカバー30,40との間の隙間(クリアランス)を考慮する必要があるため図4に示すように、フランジ32,42を取り付けた面と、その外周にあたる面との間に僅かな隙間tを形成するための段差部が設けられる。ロータ20をこのような形状に構成し、ロータ20にフランジ32,42を設ける構成としたことにより、嵌挿溝22の密閉性を向上させることができると共に、ロータ20に作用する摩擦抵抗を低減することができる。また、従来と同様に、ロータ20の端部とサイドカバー30,40との間に、隙間tを設けるようにしたため、熱膨張によりロータ20の軸方向の長さが増した場合であっても、ロータ20とサイドカバー30,40とのクリアランスを確保することができ、ロータ20の回転を妨げることが無い。
前記ベーン24は、前記嵌挿溝22に嵌挿する平板状の翼であり、ロータ20の回転に伴って生じる遠心力によって嵌挿溝22から突出して前記ポンプ室18の内周面に当接して摺動し、ポンプ室18の空間を複数の圧縮室18aに分割する。前記ベーン24は前述したように、ポンプ室18の内周面に沿って摺動する構成とされているため、その突出量は前記ポンプ室18の内周面の形状に倣って変化することとなる。また、ベーンの幅(長手方向の長さ)は、前記嵌挿溝22の長さと同等(所定の交差幅の範囲)に形成され、ポンプとしての体を成した際に、サイドカバー30,40との間の気密性が高められるような構成としている。例えば従来はサイドカバーとベーンとの間の間隔をプラスの0.05〜0.15程度としていた場合、本実施形態におけるベーンポンプでは、プラスの0.02〜0.05程度とした場合であっても、従来に比べて稼動時に生じる摩擦抵抗を低く保つことが可能となるのである。
前記回転軸50は、前記ロータ20の中心に形成された孔に挿通される棒状部材であり、前記ロータ20を前記ポンプ室18の中心から予め定められた距離だけ偏心させた状態で回転支持する構成を採る。当該回転軸50は、前記ポンプ室18を密閉するためのサイドカバー30,40に設けられた孔によって固定位置が決定されるものであり、サイドカバー30,40に備えられたベアリング36,46によって支持されることで回転自在な構成とされる。
前記サイドカバー30,40と前記ポンプ本体12との当接面には、前記フランジ32,42及びボルト32a,42aを収容するための凹部30a,130aが形成されているが、ポンプ室18と前記凹部30a,40aとの間の気密性が保たれるように、サイドカバー30,40とロータ20の端部あるいはフランジ32,42の端面とのクリアランスが調整されている。なお、サイドカバー30,40の外側面には前記ベアリング36,46の脱落を防止するためのキャップ38,48が設けられる。また、前記フランジ32,42と前記ベアリング36,46との間には、位置決めのためのカラー34,44が設けられる。なお、前記回転軸50と前記ロータ20との固定は、図示しないキー溝とキー部材などによれば良い。
このような構成のベーンポンプ10は、前記回転軸50を矢印Aで示す方向へ回転させる(図1(A)においては左方向)ことにより、回転軸50に固定されたロータ20が回転する。ロータ20の回転に伴いベーン24に遠心力が作用すると、嵌挿溝22に嵌挿されたベーン24が突出する。このときベーン24は、ロータ20の配置位置とポンプ室18との偏心量に伴って変化するロータ20の外周面とポンプ室18の内周面との距離に倣って突出量を変化させ、前記ポンプ室18の内周面に沿って先端部を摺動させる。
ベーン24によって圧縮室18aとして区分けされたポンプ室には、図1(A)左側では、圧縮室18aの拡開に伴って吸入口14から吸入路14aを介して気体が流入する。圧縮室内18aに流入した気体は、ベーン24とポンプ室18の内周面、及びサイドカバー30,40の内側面とによって気密性が保たれたままロータ20の回転方向に移動し、ポンプ室18の内周面とロータ20の外周面との距離の変化に伴って圧縮されることとなる。圧縮されつつポンプ室18内を移動させられた気体は、図1(A)右側において、圧縮室18aの縮閉に伴い、排出路16aを介して排出口16から排出される。
上記のようなベーンポンプ10では、流体を送り出すためにロータ20が回転すると、ロータ20に付随してフランジ32,42も回転する構成と成っているため、ロータ20及びロータ20の嵌挿溝22に収納(嵌挿)されたベーン24、あるいはベーン24の嵌挿溝22に収納されている部分は、円周方向の摩擦抵抗を受けることが無くなる。このため、ベーン24によって形成される圧縮室18aの気密性向上と、ベーン24、及びロータ20の摩擦抵抗低減の両方を実現することが可能となり、ベーン24の摩耗量を低減させつつベーン24の側面部とサイドカバー30,40との気密性を保つことが可能となる。また、摩擦抵抗が減少することより、摩擦部に生じる発熱量も少なくなり、回転軸50を回転させる際に必要とされる駆動力も小さなもので良いこととなり、省エネ効果を期待することができる。
次に、本発明のベーンポンプに係る第2の実施形態について、図2を参照して説明する。なお、本実施形態のベーンポンプにおける殆どの構成は、図1に示した第1の実施形態におけるベーンポンプと同様なため、その機能を同一とする個所には、図1に示した符号に100を足した符号を附してその詳細な説明は省略することとする。
本実施形態のベーンポンプ110の構成上の特徴は、嵌挿溝122の底部に、隣り合う嵌挿溝122との間に空間を設ける貫通孔126を形成し、複数の嵌挿溝122を連通状態としたことにある。具体的には、嵌挿溝122の底部から隣接して形成された嵌挿溝122の側面部に向けて貫通孔126を形成し、双方の嵌挿溝122に形成される低部空間を連結するというものである。このように形成する嵌挿溝122間の貫通孔126を、ロータ120の外周面に沿って複数形成された嵌挿溝122の全てに対して形成することで、ロータ120に形成された嵌挿溝122を連通状態とすることができるのである。
ここで、ベーン124はロータ120の回転に伴って嵌挿溝122内を往復するため、嵌挿溝122の側面部に形成された貫通孔126の開口部126aは、ベーン124によって塞がれてしまうことがある。そこで、本実施形態のベーンポンプ110に採用するベーン124は、図3に示すような形状とした。すなわち、嵌挿溝122の側面部に形成される貫通孔126の開口部126aにかかる部分の板面に、切欠き部124aを形成したのである。切欠き部124aの形状は特に限定するものでは無いが、例えば図3に示す蒲鉾形の形状とすれば、加工量を少なくすることができる。なお、切欠き部124aをベーン124の全幅に亙って形成した場合であっても、本実施形態のベーンポンプ110に採用するベーン124であることに変わりはない。ベーン124をこのような構成とすることにより、ベーン124が完全に嵌挿溝に収納された状態となった場合でも、貫通孔126の開口部126aを塞ぐことが無く、嵌挿溝122に形成される低部空間の連通状態を確保することができるようになる。
ベーンポンプ110を上記のような構成とすることにより嵌挿溝122に対するベーン124の出入をスムーズなものとすることができるようになる。詳細すると、ベーン124は、嵌挿溝122の底部に形成される底部空間とポンプ室118との気圧差や容積変化により、出入時に抵抗を受けることがある。
ここで、嵌挿溝122の底部空間の容積の合計は、ベーンポンプ110が駆動している状態であっても略一定となる。このため、上記のようにして隣り合う嵌挿溝122同士を連結することで底部空間全体としての容積変化を無くすことができ、容積変化によって生じる抵抗を無くすことができる。また、ポンプ室118と低部空間との圧力差も、吸入側と排出側との間で相殺されることとなり平均化することが可能となる。
このため、ベーン124が嵌挿溝122に対してスムーズに出入することが可能となり、ポンプ室の内周面に沿ってスムーズに摺動することができるようになる。そして、ベーン124によって区分けされる圧縮室118aは、高い気密性を維持することができるようになる。よって、本実施形態のベーンポンプ110によれば、容積効率を向上させることができる。
また、本実施形態のベーンポンプ110は、第1の実施形態に記載したように、ロータ120にフランジ132(142)を設けて、嵌挿溝122の気密性を高める構成としている。このため、上述した底部空間の気密性も高めることができる。よって、底部空間からの気体の流出あるいは底部空間への気体の流入を抑制することができ、ロータ20の端部が開放されている場合に比べ、底部空間全体としての容積変化を極めて小さく押えることができる。このような作用により、気圧変化によって生じるベーン124の出入時の抵抗を、より小さくすることができる。
その他の作用、効果等については、上述した第1の実施形態のベーンポンプ10と同様である。
次に、本発明のベーンポンプに係る第3の実施形態について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態のベーンポンプの特徴部分であるベーンの構成を示す図である。つまり、本実施形態のベーンポンプにおけるベーン224以外の構成は、上記第1及び第2の構成として示したベーンポンプ10,110の構成と同様である。なお、図5において、図5(A)はベーンの全体構成を示す正面図であり、図5(B)はベーンを分割した場合における各個片の様子を示す図であり、図5(C)はロータの回転によりベーンが拡幅される様子を示す図である。
本実施形態のベーンポンプにおけるベーン224は、図5に示すように、1つのベーン224を複数に分割した構造である。ベーン224の分割は、ベーン224の突出方向に対して±90°未満の傾斜角を持たせたラインを想定し、このラインに沿って分割するというものである。図5に示すベーン224は、3つの個片225a,225b,225cに分割され、それぞれの個片225a,225b,225cは、突出方向に対して傾斜を持った辺で分割された個片(図5では台形)に形成されており、個片225a、及び個片225cに形成された傾斜部c,dは、個片225bに形成された傾斜部a,bとそれぞれ摺動する構成とされる。そして、ロータが回転した際に生じる遠心力が矢印Bで示す方向へ働くと、それぞの個片225a,225b,225cは、ロータの嵌挿溝から突出して、個片の先端部223をポンプ室の内周面に摺動させることとなる。この際、個片225bにおける先端部223の割合(例えば個片の面積に対する先端部の割合)は、他の個片225a,225cにおける先端部223の割合よりも小さい。したがって、個片225bの先端部223の摩耗量は、個片225a及び個片225cの先端部223に比べて大きくなる。
ここで、摩耗量が大きくなった個片225bは必然的に、個片225a及び個片225cに比べて嵌挿溝からの突出量が多くなる。このため、傾斜部aと傾斜部c、及び傾斜部bと傾斜部dとの間にはそれぞれズレが生じ、個片225bは楔のような役割を果たして個片225a及び個片225cをそれぞれ矢印C及び矢印Dで示す方向へ押しのけることとなる。この作用により、ベーン224全体としての幅は増すこととなり、嵌挿溝から突出したベーン224の端部がサイドカバーと摺動する。なお、図5(A)に示すように、ベーン224の先端部に角度θを持たせた切り欠きを形成し、先端部223の板厚tを通常よりも薄くすることで、初期摩耗を増大させ、上記拡幅作用を早期に発揮することが可能となる。例えば、通常設定される先端部223の板厚t2を2mm程度とした場合、本実施形態における板厚tは1〜1.5mm程度とすると良い。ベーン224をこのように形成することで、ベーン224が拡幅作用を発揮するまでの時間をポンプの起動から5〜6分程度の間とすることができる。
このようにベーン224に付加される遠心力を受けてベーン224自体が拡幅し、サイドカバーとの隙間を無くすことにより、ベーン224によって形成される圧縮室の密閉性が増し、ポンプ自体の容積効率を向上させることができる。また、ベーン224の拡幅は、ベーン224に付加される遠心力によって成されるものであるため、サイドカバーとベーン224との間に生じる摩擦力がロータの回転を妨げるほどに増大することは無い。なお、個片をサイドカバーへ押し付ける力(矢印C及び矢印Dで示す力)は、図5(C)に示す角度θ0、すなわち傾斜部a〜dの角度を変えることにより、調整することができる。例えばθ0を大きくした場合には、個片間のズレ量に対する拡幅の割合が大きくなるため、あるズレ量における矢印C及び矢印Dで示す力は大きくなる。逆に、θ0を小さくした場合には、個片間のズレ量に対する拡幅の割合が小さくなるため、あるズレ量における矢印C及び矢印Dで示す力は小さくなる。その他の作用効果については、上述したベーンポンプと同様である。
なお、本実施形態では主にベーン224を3つの個片に分割する場合を例に挙げて説明したが、ベーンの分割は、図6(A)〜(C)に示すように2つの個片に分割するものであっても良い。図6に示すようなベーン324であっても、図5に示すベーン224と同様の作用、及び効果を奏することができる。すなわち、ベーン324に対して矢印Bで示す方向の遠心力が作用した場合、個片325a、個片325bは双方共に嵌挿溝から突出し、先端部323をポンプ室の内周面に摺動させる。ここで、個片325aは、個片325bに比べて面積に対する先端部323の割合が小さい。このため、個片325aの先端部323の摩耗量は、個片325bの先端部323の摩耗量に比べて大きくなる。先端部323の摩耗量が大きくなった場合、嵌挿溝からの突出量が大きくなり、個片325aと個片325bとの間には、傾斜部a,bに沿ってズレが生じる。個片325aと個片325bとの間にズレが生じると、個片325aと個片325bとにはそれぞれ、矢印C、矢印Dで示した方向に力が作用することとなり、結果としてベーン324が拡幅することとなるのである(図6(C)参照)。なお、図5(C)、図6(C)は、理解を容易にするために、摩耗量等を実際とは異なる割合で示している。
上記実施形態のベーンポンプ10(110、及び第3の実施形態に係るベーンポンプ)において、回転軸50(150)とロータ20(120)、及びフランジ32(130,(42,140))との関係は、図4に示すように、それぞれ別体であるように説明してきた。すなわち、回転軸50はロータ20及びフランジ32を貫通する構成とされており、回転軸50とロータ20とはキー材(不図示)等を用いて接合され、フランジ32はロータ20に対してボルト32a(132a,(42a,142a)を用いて固定されることで、それぞれの部材を1つの回転子ユニットとして構成する旨記載した。
しかしながら、上記実施形態における回転軸50とロータ20、及びフランジ32の構造は、図7に示すようなものであっても良い。すなわち、ロータ20には回転軸50を嵌合するための嵌合穴50aを形成し、回転軸50はロータ20を貫通すること無く前記嵌合穴50aに嵌め込まれる構成とするのである。また、図7に示す形態では、回転軸50とフランジ32とを一体形成し、フランジ32を回転軸50のフランジ部とする構成とした。このような構成とすることにより、フランジ32をロータ20に固定することに伴って回転軸50がロータ20に固定されることとなる。このような構成とすることにより、構成部材を減らすことができ、製造コストを削減することができる。また、図7に示すような構成によれば、ロータ20に貫通孔を形成する必要が無いため、ロータ20の強度を高く保つことができる。なお、図示はしていないが、上記実施形態のベーンポンプ10,110を製造するにあたっては、ロータ20,120と回転軸50,150とを一体に構成するものも含まれることは言うまでも無い。
上記実施形態では、ベーン24(124,224,324)の構成については、単に平板状の翼である旨記載した(第2、第3の実施形態においては切欠き部124aを設ける構成とした)。当然に、このような構成のベーン24を用いれば上記のようなベーンポンプ10(110、及び第3の実施形態に係るベーンポンプ)を製造することは可能である。しかし、ベーン24の構成については構成部材をカーボン焼結体とすると良い。ベーン24をこのような部材で構成することにより、金属製のベーンに比べて硬く、耐磨耗性、自己潤滑性に優れるため、潤滑材を不要とするポンプのドライ化を実現することができる。また、ベーン24の構成部材としてさらに好適な部材として、ポリイミド系のエンジニアリングプラスチックを含浸させたカーボン焼結体を挙げることができる。このような部材によってベーンを構成した場合、上述したベーンの硬度、耐磨耗性、自己潤滑性はいずれも向上し、ドライ運転でのポンプ、及びベーンの寿命を延ばすことができると考えられる。
また、上記ポリイミド系のエンジニアリングプラスチックを含浸させたカーボン焼結体と同等の硬度、耐磨耗性、自己潤滑性等を有する部材として、ポリイミド系エンジニアプラスチックを基材としたカーボン繊維強化複合材料を挙げることができる。
このようなポリイミド系エンジニアリングプラスチック充填材料は、エンジニアリングプラスチックの充填量を増加させることにより、負荷に対する摩擦係数が減少し、最大で30%程度の減少率を得ることができる。ただし、上記エンジニアリングプラスチックの充填量を上げていった場合、部材の硬度と引き換えにじん性が低下し、脆くなる。このため、部材の硬度とじん性を考慮した充填量を選択した場合、ポンプの駆動力を最大で20%以上低減させることができる。
このような部材によって形成されたベーン24は、耐磨耗性、自己潤滑性に優れているという特性から、摺動によるベーン24自体の摩耗量を低減できることはもちろん、摺動相手であるサイドカバー30,40(130,140)やフランジ32,42(132,142)をも傷つける虞が少ない。また、上記部材はサイドカバー30,40等を構成する金属部材に比べて線膨張率が低い。このため、例えばベーン24の端部とサイドカバー30,40との間に設ける隙間tを従来に比べて狭く設定したとしても、熱膨張により前記隙間tが無くなり、ベーン24とサイドカバー30,40との間の摩擦抵抗が極端に向上するという事態を避けることができる。このようなことより、圧縮室18a(118a)の高い気密性を長期的に維持することが可能となる。さらに、容積効率の向上、省エネ等の効果を長期的に維持することも可能となる。さらにまた、上記のような構成のベーン24によれば、嵌挿溝22に対する出入時の抵抗(摩擦抵抗)をも低減することができる。
また、上述したようにロータ20やサイドカバー30,40等を構成する金属部材に比べて線膨張率が低いカーボン部材によって構成されたベーンでは、次のようなこともいうことができる。例えば、ベーンを上記のように拡幅可能な構成としておくことによれば、稼動時の発熱によって変化する構成部材間のギャップ(例えばロータ20とサイドカバー30,40との間に設けられた隙間t)に追従してベーンの幅を変化させることができる。このような作用により、隙間tが広がった場合であっても、ベーン端部とサイドカバー30,40との間に新たな隙間が生じることが無く、圧縮室の気密性が保たれる。また、隙間tが狭まった場合であっても、ベーン端部とサイドカバー30,40との間に作用する摩擦力が極端に高まることが無い。
また、ベーン24の自己潤滑性、耐磨耗性を向上させる構成としては、ベーン24を構成する母材を低摩擦部材によって被服するというものも挙げることができる。例えば、ベーン24を構成する母材の全部、あるいは特定部分(例えば先端部と側端部等)に対して、DLC(Diamond Like Carbon:ダイヤモンドライクカーボン)膜を被服する処理を施せば良い。DLC膜とは、被膜対象物に対してアモルファス(Amorphous)の炭素膜をスパッタリング等の技術を用いて成膜したものである。このDLC膜は、硬く、耐磨耗性、自己潤滑性に優れているという特性を有することより、上記焼成炭化処理部材によって構成されたベーン24と同様の効果を奏することができる。
また、上述したDLC膜のように摩擦係数を低くする表面処理として、フッ素樹脂による表面処理を挙げることができる。ベーンに対してこのような表面処理を施した場合であっても、本発明の一部とみなすことができる。
また、上述したような被服処理は、ポンプ室18(118)の内周面、サイドカバー30,40(130,140)、及びフランジ32,42(132,142)等に対して施した場合にも、同様の効果を得ることができる。例えばポンプ室18の内周面に上記のような被膜処理を施した場合、ベーン24を従来通りのものとした場合でも高い潤滑性、低磨耗性を実現することが可能となる。
上記のように、ベーン24とポンプ室18内周面、サイドカバー30,40、及びフランジ32,42との摺動時の低摩擦化を図ることにより、各部の潤滑に用いる潤滑剤が不要となる。こうした場合には、ベーンポンプ10,110としてのメンテナンス性が向上する。なお、上記では、ベーン24の構成部材としてカーボンを挙げているが、摩擦係数を低くすることができる部材であれば、これに限定されるものでは無い。
なお、上記第1、第2、第3の実施形態では、いずれもロータに形成する嵌挿溝が8つである旨図示しているが、当然にこれに限定するものでは無い。例えば背景技術として示した図8のベーンポンプのように嵌挿溝、及びベーンを4つとしたベーンポンプに対して、本発明を適用したとしても、本発明を実施することに変わりは無い。
本発明のベーンポンプに係る第1の実施形態を示す図である。 本発明のベーンポンプに係る第2の実施形態を示す図である。 第2の実施形態のベーンポンプに採用するベーンの形態を示す図である。 本発明のベーンポンプにおける回転軸とロータ、及びフランジとの関係の第1の形態を示す図である。 本発明のベーンポンプに係る第3の実施形態の特徴部分を示す図である。 第3の実施形態の特徴部分における他の例を示す図である。 本発明のベーンポンプにおける回転軸とロータ、及びフランジとの関係の第2の形態を示す図である。 従来のベーンポンプの構成を示す図である。
符号の説明
10………ベーンポンプ、12………ポンプ本体(ハウジング)、14………吸入口、14a………吸入路、16………排出口、16a………排出路、18………ポンプ室、18a………圧縮室、20………ロータ、22………嵌挿溝、24………ベーン、30………サイドカバー、32………フランジ、34………カラー、36………ベアリング、38………キャップ、40………サイドカバー、42………フランジ、44………カラー、46………ベアリング、48………キャップ、50………回転軸。

Claims (5)

  1. 円筒状のポンプ室が形成されたハウジングの前記ポンプ室内に、偏心して軸支された回転自在なロータを有し、前記ロータにはその全長に亙って形成された複数の嵌挿溝が設けられ、前記嵌挿溝にはそれぞれベーンが出入自在に配置されているベーンポンプであって、
    前記ロータの端部には、当該ロータの直径よりも小径に形成した円板状の側板を設け、
    前記ハウジングには、前記ポンプ室を密閉するための平滑面に前記側板を収容するための凹陥部を有する蓋体を設け、
    前記ロータ端面における前記側板当接面とその外周面との間には段差を形成し、前記蓋体と前記外周面との間に隙間を設ける構成としたことを特徴とするベーンポンプ。
  2. 前記嵌挿溝には、隣り合う嵌挿溝同士を相互に連通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 前記ベーンは、ベーンの突出方向に対して±90°未満の傾斜角を持たせたラインに沿って幅方向に分割し、突出時における各個片の突出量にズレが生じる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベーンポンプ。
  4. 前記ベーンの構成部材をカーボン焼結体、又はエンジニアリングプラスチックを含浸させたカーボン焼結体、あるいはエンジニアリングプラスチックを基材としたカーボン繊維材料としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載のベーンポンプ。
  5. 前記ポンプ室の内壁面に炭素薄膜、あるいはフッ素薄膜を被服したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載のベーンポンプ。
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