JP2007120592A - 動力伝達機構とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置及び弾性歯付リングとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転軸29とウォーム軸27とに設けた雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の高さを小さくできる、安価な構造で、耐久性を十分に確保する。
【解決手段】上記雄、雌両スプライン部47b、48bに弾性材製の弾性歯付リング49bをスプライン係合させる。この弾性歯付リング49bの内歯51bの歯底を、外歯50bの歯底よりも直径方向外側に位置させる。上記両スプライン部47b、48bの間に弾性歯付リング49bを設けた状態で、これら各スプライン部47b、48bの各歯を円周方向に重畳させる。これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リング49bの径方向中央部の厚さT1 を、この部分同士の間から外れた弾性歯付リング49bの径方向両端部の厚さT2 、T3 よりも大きくする
【選択図】図2
【解決手段】上記雄、雌両スプライン部47b、48bに弾性材製の弾性歯付リング49bをスプライン係合させる。この弾性歯付リング49bの内歯51bの歯底を、外歯50bの歯底よりも直径方向外側に位置させる。上記両スプライン部47b、48bの間に弾性歯付リング49bを設けた状態で、これら各スプライン部47b、48bの各歯を円周方向に重畳させる。これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リング49bの径方向中央部の厚さT1 を、この部分同士の間から外れた弾性歯付リング49bの径方向両端部の厚さT2 、T3 よりも大きくする
【選択図】図2
Description
この発明は、例えば自動車の操舵装置に組み込み、電動モータの出力を補助動力として利用する事により、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の電動式パワーステアリング装置等に組み込む動力伝達機構、及びこの動力伝達機構に使用する弾性歯付リングの改良に関する。
操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する際に運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の装置として、パワーステアリング装置が広く使用されている。又、この様なパワーステアリング装置で、補助動力源として電動モータを使用する電動式パワーステアリング装置も、近年普及し始めている。電動式パワーステアリング装置は、油圧式のパワーステアリング装置に比べて小型・軽量にでき、補助動力の大きさ(トルク)の制御が容易で、しかもエンジンの動力損失が少ない等の利点がある。図10は、この様な電動式パワーステアリング装置の、従来から知られている基本構成の1例を略示している。
この電動式パワーステアリング装置は、基端部(図10の上端部)にステアリングホイール1を固定したステアリングシャフト2と電動モータ3との間に、減速機4を設け、この電動モータ3の動力を、この減速機4を介してステアリングシャフト2に伝達可能としている。操舵輪14に舵角を付与する為、上記ステアリングホイール1の操作によりステアリングシャフト2を回転させると、トルクセンサ5がこのステアリングシャフト2の回転方向とトルクとを検出し、その検出信号を制御器6に送る。この制御器6は、この検出信号に基づいて、上記電動モータ3に通電し、上記減速機4を介してステアリングシャフト2を、上記ステアリングホイール1の操作に基づく回転方向と同方向に回転させる。この結果、上記ステアリングシャフト2の先端部(図10の下端部)は、ステアリングホイール1から付与された力に基づくトルクよりも大きなトルクで回転する。上記ステアリングシャフト2の先端部は、自在継手7、7及び中間シャフト8を介してステアリングギヤ9の入力軸10に伝達される。この入力軸10は、ピニオン11を回転させ、ラック12を介してタイロッド13を押し引きし、上記操舵輪14に所望の舵角を付与する。この様な説明から明らかな通り、操舵輪14に舵角を付与する為に運転者がステアリングホイール1を操作する為に要する力は、上記電動モータ3から減速機4を介してステアリングシャフト2に加えられる補助動力分だけ小さくて済む様になる。
この様な電動式パワーステアリング装置の場合、上記ステアリングシャフト2と電動モータ3との間に設ける減速機4として、ウォーム軸とウォームホイールとから成るウォーム減速機が、従来から一般的に使用されている。又、上記電動モータ3の回転軸と減速機4を構成する入力軸とを、これら両軸のうちの一方に設けた雄スプライン部と、他方に設けたスプライン部とをスプライン係合させて成るスプライン係合部により、動力の伝達を可能に連結する事が、一般的に行なわれている。
但し、上記減速機4としてウォーム減速機を使用する場合、ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの歯面同士の間に存在する不可避なバックラッシが大きくなると、これら歯面同士が強く衝合して、耳障りな歯打ち音が発生する可能性がある。例えば、路面が荒れている等により、車輪側からステアリングシャフト2に振動荷重が加わると、上記バックラッシの存在により、耳障りな歯打ち音が発生する。この様な事情から、近年は、ウォーム減速機を構成するギヤハウジングとウォーム軸との間に弾力付与手段を設けて、この弾力付与手段により、ウォーム軸に、ウォームホイールに向かう方向の弾力を付与し、上記バックラッシを抑え(小さくするか0にし)、上記歯打ち音の発生を抑える事が考えられている。
但し、この様な弾力付与手段を設けた構成により上記歯打ち音の発生を抑える場合には、ウォーム軸を電動モータ3の回転軸に対し傾斜させる為、これら両軸の間に設けたスプライン係合部を構成する各歯の一部が抉られる可能性がある。これに対して、スプライン係合部を構成する雄、雌両スプライン部の剛性を高くした場合には、上記各歯が抉られるのを防止する事はできるが、これら両スプライン部の歯面同士の間での歯打ち音が生じ易くなってしまう。この為、電動モータ3の回転軸に対するウォーム軸の傾斜を可能にしつつ、この歯打ち音の発生を抑える為には、これら両軸に設けた上記両スプライン部同士の間の隙間を厳密に規制し、管理すると言った、困難な作業を行なわなければならず、電動式パワーステアリング装置のコスト上昇を招く原因となる。
この様な事情に鑑みて、特許文献1に記載された動力伝達機構と、これを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、ウォーム軸の端部に設けた雌スプライン部と、電動モータの回転軸に設けた雄スプライン部との間に、一部が弾性材製である弾性歯付リングを設け、この弾性歯付リングを介して上記両軸同士の間での動力の伝達を可能としている。図11〜17は、この特許文献1に記載された動力伝達機構を組み込んだ電動式パワーステアリング装置の従来構造を示している。
この電動式パワーステアリング装置は、後端部(図11の右端部)にステアリングホイール1を固定したステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のアシスト装置16とを備える。
上記ステアリングシャフト2は、車両の後端側(図11の右側)に設けるアウターシャフト17と、同じく前端側(図11の左側)に設けるインナーシャフト18とを、回転力の伝達を可能に組み合わせて成る。又、このインナーシャフト18は、車両の後端側に設ける第一のインナーシャフト22と、前端側に設ける第二のインナーシャフト23とを、トーションバー24(図12)により連結している。上記ステアリングコラム15の前端部(図11の左端部)は、車体19の一部に支持したギヤハウジング21の後端面(図11の右端面)に結合固定している。上記インナーシャフト18の前端部をこのギヤハウジング21に挿通させると共に、このギヤハウジング21の前端面から突出させている。そしてこのインナーシャフト18のこの前端面から突出させた前端部に、自在継手7、7、中間シャフト8を介して、ステアリングギヤ9の入力軸10を、動力の伝達を可能に結合している。この入力軸10にはピニオン11(図10参照)を固定しており、このピニオン11をラック12(図10参照)に噛合させている。従って、上記ステアリングシャフト2の回転に伴い、上記ラック12を介してタイロッド13、13が押し引きされ、操舵輪14(図10参照)に所望の舵角が付与される。
又、前記アシスト装置16は、図12〜17に示す様に、ウォームホイール26と、ウォーム軸27と、このウォーム軸27に弾力を付与する弾力付与手段31と、電動モータ28と、動力伝達機構30と、トルクセンサ5及び制御器6(図10参照)とを備える。このうちのウォームホイール26は、前記インナーシャフト18の前端側に設ける第二のインナーシャフト23の中間部に外嵌固定する。又、上記弾力付与手段31は、前記ギヤハウジング21の内側にそれぞれ設けた、段付円筒状の軸受ホルダ32と、第一、第二の玉軸受33、34と、揺動軸35と、コイルばね36とを備える。上記ウォームホイール26とウォーム軸27とは、上記ギヤハウジング21の内側に設けており、このウォーム軸27の中間部に設けたウォーム37と上記ウォームホイール26とを噛合させている。これらウォーム軸27とウォームホイール26とが、ウォーム減速機20を構成する。又、上記ウォーム軸27は、請求項に記載した被駆動軸に対応する。
又、上記トルクセンサ5は、前記トーションバー24の捩れに基づく前記第一、第二の両インナーシャフト22、23の相対回転方向と相対回転量とから、前記ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、上記制御器6に送る。そして、この制御器6は、上記検出信号に応じて、上記電動モータ28に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
上記電動モータ28の回転軸29の先端部(図12〜14の右端部)と、上記ウォーム軸27の基端部(図12〜14の左端部)とは、上記動力伝達機構30により、動力の伝達を可能に連結している。この動力伝達機構30は、上記回転軸29の先端部に設けた雄スプライン部47(図12〜14)と、上記ウォーム軸27の基端部に設けた雌スプライン部48(図12〜14)と、これら両スプライン部47、48の間に設けた弾性歯付リング49とから成る。上記回転軸29は、請求項に記載した駆動軸に対応するもので、両端寄り部分を上記電動モータ28を構成するケース38に、図示しない第三、第四の玉軸受により、回転自在に支持している。そして上記回転軸29の中間部に、ステータと対向するロータ(図示せず)を設けている。
上記弾性歯付リング49は、図16〜17に詳示する様に、外周面に上記雌スプライン部48とスプライン係合する外歯50を、内周面に上記雄スプライン部47とスプライン係合する内歯51を、それぞれ有する。この様な弾性歯付リング49は、弾性材である合成ゴムにより円筒状に形成した本体部52の外周面の円周方向等間隔複数個所に、外径側に突出する外歯素子部54、54を、同じく内周面の円周方向等間隔複数個所に、内径側に突出する内歯素子部55、55を、それぞれ軸方向全長に亙り形成している。
又、上記各外歯素子部54、54の外径側表面と、上記本体部52の外周面でこれら各外歯素子部54、54の間部分とにナイロン帆布等の織布56aを、この外周面の全周に亙り連続する状態で貼着している。そして、上記各外歯素子部54、54と、上記織布56aでこれら各外歯素子部54、54の外径側表面を覆った部分とにより、上記外歯50を構成している。又、上記各内歯素子部55、55の内径側表面と、上記本体部52の内周面でこれら各内歯素子部55、55の間部分とにナイロン帆布等の織布56bを、この内周面の全周に亙り連続する状態で貼着している。そして、上記各内歯素子部55、55と、上記織布56bでこれら各内歯素子部55、55の内径側表面を覆った部分とにより、上記内歯51を構成している。この構成により、上記弾性歯付リング49の外径側と内径側とに、上記外歯50と内歯51とが、それぞれ設けられる。
上述の様に構成する弾性歯付リング49は、上記外歯50を前記雌スプライン部48に、上記内歯51を前記雄スプライン部47に、それぞれスプライン係合させる事で、前記電動モータ28の回転軸29の先端部とウォーム軸27の基端部とを、これら両軸29、27の相対回転を不能に連結している。この構成により、このウォーム軸27は、上記回転軸29と共に回転する。
一方、前記ギヤハウジング21の内側に前記軸受ホルダ32を設けると共に、この軸受ホルダ32の内側に上記ウォーム軸27を、回転自在に支持している。この軸受ホルダ32は、互いに同心の大径筒部39と小径筒部40とを段部41により連結している。そして、この軸受ホルダ32を、上記ギヤハウジング21の内側に、このギヤハウジング21に支持した揺動軸35により、この揺動軸35を中心とする揺動変位を自在に支持している。又、上記軸受ホルダ32の大径筒部39の内側に上記ウォーム軸27の基端部(図12〜14の左端部)を、前記第一の玉軸受33により、回転自在に支持している。又、上記ウォーム軸27の先端部(図12〜14の右端部)を、上記軸受ホルダ32の小径筒部40の内側に、前記第二の玉軸受34により、回転自在に支持している。
更に、上記小径筒部40の先端部外周面と上記ギヤハウジング21の内面に設けた凹孔42の内周面との間に、弾性リング43を設けている。又、上記小径筒部40の長さ方向中間部の円周方向一部に、内外両周面を貫通する透孔44を形成しており、この透孔44を通じて前記ウォームホイール26と上記ウォーム軸27のウォーム37とを噛合させている。
又、上記軸受ホルダ32を構成する大径筒部39の外周面の円周方向一部に凹孔45を形成すると共に、この凹孔45の底面とギヤハウジング21の内面との間に、前記コイルばね36を設けている。そして、このコイルばね36により、上記ウォーム軸27の基端部に、上記軸受ホルダ32及び第一の玉軸受33を介して、径方向の弾力を付与している。この構成により、上記ウォーム軸27は、前記揺動軸35を中心として、上記ウォームホイール26に向かう方向に弾性的に揺動変位する。そして、このウォームホイール26を外嵌固定した前記第二のインナーシャフト23と上記ウォーム軸27との、中心軸同士の間の距離が弾性的に縮まって、上記ウォーム37とウォームホイール26との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。この構成により、これら両部材37、26の噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。
上述の様に構成する、特許文献1に記載された動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48と、電動モータ28の回転軸29に設けた雄スプライン部47との間に弾性歯付リング49を設けている。この為、これら雄、雌両スプライン部47、48の歯面同士が直接衝合する事を防止でき、これら歯面同士が衝合する事による異音の発生を防止できる。又、上記弾性歯付リング49の外径側に、一部が合成ゴム製の外歯素子部54、54である外歯50を設けると共に、上記弾性歯付リング49の内径側に、一部が合成ゴム製の内歯素子部55、55である内歯51を設けている。この為、上記雄、雌両スプライン部47、48の歯面と上記弾性歯付リング49の内歯51及び外歯50の歯面とが衝合する事による耳障りな異音を小さくできるか、又はなくせる。又、この耳障りな異音の発生を抑える為に、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との曲げ剛性を低くする必要がない。
しかも、上記各内歯素子部55、55と各外歯素子部54、54とが弾性材である、合成ゴム製である為、上記雄、雌両スプライン部47、48に存在する不可避な寸法誤差を上記内歯51及び外歯50により吸収し易くできて、寸法管理及び組立作業を容易に行なえる。この為、動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置のコストの上昇を抑える事ができる。更に、上記雄、雌両スプライン部47、48に偏心誤差や偏角誤差が存在する場合でも、これらの誤差を吸収しつつ、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27とを、動力の伝達を可能に連結する事が可能になる。
この結果、上述の図11〜17に示した特許文献1に記載された従来構造によれば、徒にコストを上昇させたり、上記回転軸29とウォーム軸27との曲げ剛性を低くする事なく、耳障りな異音の発生を抑える事ができる。尚、上述の図11〜17に示した構造の場合には、上記弾性歯付リング49の本体部52を構成する弾性材として、合成ゴムを使用しているが、この合成ゴムの代わりに、合成ゴム以外のエラストマー、合成樹脂等を使用する事もできる。
[先発明の説明]
上述の図11〜17に示した従来構造によれば、この様な作用・効果を得られるが、この従来構造の動力伝達機構の場合には、駆動軸である回転軸29と被駆動軸であるウォーム軸27との間での伝達可能な動力を高くする面と、動力伝達機構30の小型化を図る面とから、未だ改良の余地がある。この様な事情に鑑みて、本発明の発明者は、本発明に先立って、電動式パワーステアリング装置に組み込む動力伝達機構を発明した。次に、この動力伝達機構を、図18〜20を用いて説明する。
上述の図11〜17に示した従来構造によれば、この様な作用・効果を得られるが、この従来構造の動力伝達機構の場合には、駆動軸である回転軸29と被駆動軸であるウォーム軸27との間での伝達可能な動力を高くする面と、動力伝達機構30の小型化を図る面とから、未だ改良の余地がある。この様な事情に鑑みて、本発明の発明者は、本発明に先立って、電動式パワーステアリング装置に組み込む動力伝達機構を発明した。次に、この動力伝達機構を、図18〜20を用いて説明する。
この動力伝達機構30aは、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27とを動力の伝達可能に結合する。尚、動力伝達機構30a部分以外の構造は、上述の図11〜17に示した特許文献1に記載された従来構造の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下先発明の特徴部分を中心に説明する。上記動力伝達機構30aの場合、上記回転軸29の先端部(図18の右端部)に設けた雄スプライン部47aと、上記ウォーム軸27の基端部(図18の左端部)に設けた雌スプライン部48aとの間に、合成ゴム等の弾性材製の弾性歯付リング49aを設けている。
この弾性歯付リング49aは、図20に詳示する様に、外径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所に設けた断面円弧形の外歯素子部54a、54aと、内径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所に設けた断面円弧形の内歯素子部55a、55aとを、径方向中央部に設けた複数の連結部64、64を介して、円周方向に関して交互に連続させている。そして、上記弾性歯付リング49aの全体を円筒状に形成している。上記各外歯素子部54a、54aと各内歯素子部55a、55aと各連結部64、64とは、何れも弾性材製であって、一体成形している。又、上記弾性歯付リング49aの内周面及び外周面には織布56a、56b(図16、17参照)を貼着していない。そして、上記各外歯素子部54a、54aと、上記各連結部64、64の外周面寄り部分とにより、上記雌スプライン部48aとスプライン係合する、外歯50aを構成している。又、上記各内歯素子部55a、55aと、上記各連結部64、64の内周面寄り部分とにより、上記雄スプライン部47aとスプライン係合する、内歯51aを構成している。この様に構成する為、弾性歯付リング49aの外歯50aの頂部と内歯51aの頂部とは、円周方向に関して互いにずれており、上記外歯50aの頂部は上記内歯51aの歯底部に、この内歯51aの頂部は上記外歯50aの歯底部に、それぞれ径方向に対向している。
又、上記弾性歯付リング49aの径方向に関して、上記外歯50aの歯底部を、上記内歯51aの頂部(歯先面)に近付けている。又、上記径方向に関して、この内歯51aの歯底部を、上記外歯50aの頂部(歯先面)に近付けている。そして、この内歯51aの歯底部を、上記外歯50aの歯底部よりも、上記弾性歯付リング49aの直径方向外側に位置させている。この様な弾性歯付リング49aを、上記雄スプライン部47aと雌スプライン部48aとの間に設けた状態で、上記雄スプライン部47aの各歯と、上記雌スプライン部48aの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている。例えば、図20に二点鎖線aで示す、弾性歯付リング49aと同心の仮想円を考えた場合に、この仮想円の円周上に、上記雄スプライン部47aの各歯と雌スプライン部48aの各歯とが存在する。
上述の図18〜20に示した先発明の構造の場合、電動モータ28の回転軸29に設けた雄スプライン部47aと、ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48aとの間に弾性歯付リング49aを設けた状態で、上記雄スプライン部47aの各歯と、上記雌スプライン部48aの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている。これに対して、前述の図11〜17に示した従来構造の場合には、外歯50の歯底部を内歯51の歯底部よりも直径方向外側に位置させている。この様な従来構造で、しかも、内、外両周面に織布56b、56a(図16、17参照)を貼着しない構造の場合には、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との間で動力を伝達する際に、弾性歯付リング49の内径側部分と外径側部分とに、円周方向に関して互いに逆方向の力が加わる事により、上記弾性歯付リング49に大きな剪断力が加わる可能性がある。これに対して、上記先発明の構造の場合には、上述の様に、雄、雌各スプライン部47a、48aの各歯を、これら両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている為、上記両軸29、27の間で動力を伝達する場合でも、弾性歯付リング49aに大きな剪断力が加わる事を防止できる。又、上記先発明の構造の場合には、上記両軸29、27の間で動力を伝達する際に、上記弾性歯付リング49aを構成する弾性材が、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に隣り合う歯同士の間で圧縮される様にはなるが、使用時に主に圧縮力が加わる弾性歯付リング49aは、使用時に主に剪断力が加わる弾性歯付リングよりも破損しにくい。この為、上記両軸29、27の間での伝達可能な動力を大きくできる。しかも、上記先発明の構造の場合には、上記外歯50aの頂部と内歯51aの頂部とが円周方向にずれており、しかも、この内歯51aの歯底部が上記外歯50aの歯底部よりも、直径方向外側に位置している。この為、弾性歯付リング49aの径方向の寸法を或る程度小さくできて、動力伝達機構30aの小型化を図れる。
但し、上述の図18〜20に示した先発明の構造の場合、弾性歯付リング49aの径方向の寸法をより小さくし、動力伝達機構30aの小型化を図る面から、未だ改良の余地がある。
一方、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との雄、雌両スプライン部47a、48aは、量産性を高くする為に、鍛造加工で成形する事が考えられている。即ち、これら両スプライン部47a、48aを、焼結金属を用いて、上記回転軸29及びウォーム軸27に対して別体に造る場合には、部品点数が増大するだけでなく、組立工数が増える為、コストが上昇する原因となる。又、上記両スプライン部47a、48aを切削加工により成形する場合も、コストが上昇する原因となる。この為、従来から、電動モータの回転軸とウォーム軸とに設けた雄、雌両スプライン部を、これら両軸と一体の部分に鍛造加工により成形する事が行なわれており、上記先発明の場合も、コストを低く抑える事を考慮すると、上記各スプライン部47a、48aを鍛造加工により成形する必要がある。
一方、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との雄、雌両スプライン部47a、48aは、量産性を高くする為に、鍛造加工で成形する事が考えられている。即ち、これら両スプライン部47a、48aを、焼結金属を用いて、上記回転軸29及びウォーム軸27に対して別体に造る場合には、部品点数が増大するだけでなく、組立工数が増える為、コストが上昇する原因となる。又、上記両スプライン部47a、48aを切削加工により成形する場合も、コストが上昇する原因となる。この為、従来から、電動モータの回転軸とウォーム軸とに設けた雄、雌両スプライン部を、これら両軸と一体の部分に鍛造加工により成形する事が行なわれており、上記先発明の場合も、コストを低く抑える事を考慮すると、上記各スプライン部47a、48aを鍛造加工により成形する必要がある。
但し、上記雄、雌両スプライン部47a、48aを鍛造加工により成形する場合、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの各歯の高さ(歯丈)h1 、h2 (図20)が大きいものは造れず、各歯の高さh1 、h2 が製造上、制限されると言った問題が生じる。これに対して、雄、雌両スプライン部47a、48aを鍛造加工により成形すべく、各歯の高さh1 、h2 を小さくした場合には、これら両スプライン部47a、48aの各歯の円周方向に重畳する部分である、オーバーラップ部の径方向寸法T(図20)が小さくなってしまう。この径方向寸法Tが小さくなり過ぎると、上記両スプライン部47a、48aの間での動力(トルク)伝達部に存在する、弾性歯付リング49aの径方向中央部に加わる負荷が大きくなり、この弾性歯付リング49aの耐久性が低下してしまう。尚、上記オーバーラップ部の径方向寸法Tは、雄スプライン部47aの歯先円の直径d1 の1/2と、雌スプライン部48aの歯先円の直径d2 の1/2との差分と等しい{T=(d1 −d2 )/2}。又、この様な動力伝達機構30aの耐久性試験を行なったところ、弾性歯付リング49aのうち、上記両スプライン部47a、48aの各歯が円周方向に重畳する部分(オーバーラップ部)同士の間に存在する部分が最も破損し易い事が分かった。この様な事情から明らかな様に、上記オーバーラップ部の寸法Tが過度に小さくなったり、上記弾性歯付リング49aのうち、上記オーバーラップ部同士の間に存在する部分の厚さW(図20)が小さくなる事は、動力伝達機構30aの耐久性が低下する原因となる。
又、本発明者は、弾性歯付リングの量産性の向上を図るべく、長さ方向に山部と谷部とを交互に連続させた弾性材製の板状素材を、円筒状に丸め成形する事により弾性歯付リングとし、この弾性歯付リングを、雄、雌両スプライン部47a、48a同士の間に組み付ける(セットする)事も考えた。但し、上記板状素材の厚さが、全長に亙り一様に大きいと、この板状素材を円筒状に丸め成形する事が難しく、上記両スプライン部47a、48a同士の間にセットする事が困難になると言った問題もある。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2がある。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2がある。
本発明は、この様な事情に鑑みて、駆動軸と被駆動軸とに設けた雄、雌両スプライン部の各歯の高さを小さくできる、安価な構造で、耐久性を十分に確保すべく発明したものである。
本発明の動力伝達機構とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置及び弾性歯付リングとその製造方法のうち、請求項1に記載した動力伝達機構は、前述の図18〜20に示した先発明の構造と同様に、
駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為のものであって、雌スプライン部と、雄スプライン部と、弾性歯付リングとを備える。
このうちの雌スプライン部は、上記両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられている。
又、上記雄スプライン部は、上記両軸のうちの他方の軸の端部外周面に設けられている。
又、上記弾性歯付リングは、上記雌スプライン部とスプライン係合する外歯をその外周面に、上記雄スプライン部とスプライン係合する内歯をその内周面に、それぞれ有する。 又、上記弾性歯付リングは、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けている。
尚、上記弾性歯付リングは、全体を円筒状としているものの他、全体を欠円筒状としているものも含む。
駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為のものであって、雌スプライン部と、雄スプライン部と、弾性歯付リングとを備える。
このうちの雌スプライン部は、上記両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられている。
又、上記雄スプライン部は、上記両軸のうちの他方の軸の端部外周面に設けられている。
又、上記弾性歯付リングは、上記雌スプライン部とスプライン係合する外歯をその外周面に、上記雄スプライン部とスプライン係合する内歯をその内周面に、それぞれ有する。 又、上記弾性歯付リングは、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けている。
尚、上記弾性歯付リングは、全体を円筒状としているものの他、全体を欠円筒状としているものも含む。
特に、本発明の動力伝達機構のうち、請求項1に記載した動力伝達機構に於いては、
上記駆動軸と被駆動軸とのうちの一方の軸に設けられた雌スプライン部の各歯と、他方の軸に設けられた雄スプライン部の各歯とを、これら両スプライン部の円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)。そして、これら両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた弾性歯付リングの厚さよりも大きくしている。
上記駆動軸と被駆動軸とのうちの一方の軸に設けられた雌スプライン部の各歯と、他方の軸に設けられた雄スプライン部の各歯とを、これら両スプライン部の円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)。そして、これら両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた弾性歯付リングの厚さよりも大きくしている。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、上述の請求項1に記載した構成に於いて、上記弾性歯付リングを、弾性材製の本体部と、この本体部の外径側及び内径側の少なくとも一方に一体に貼着する状態で設けられた織布とを備えたものとし、上記雄、雌両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた弾性歯付リングの厚さよりも大きくする。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、上述の請求項1に記載した構成に於いて、上記弾性歯付リングを、円周方向複数個所に設けられた弾性材製の素子部と、これら素子部の少なくとも片側に一体に貼着する状態で設けられた織布とを備えたものとし、上記雄、雌両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、織布のみから成る弾性歯付リングの厚さよりも大きくする。
又、より好ましくは、請求項4に記載した様に、上記弾性歯付リングを、外径側及び内径側に1対の織布を設けたものとし、これら両織布のうち、駆動軸と係合する一方の織布の厚さを、被駆動軸と係合する他方の織布の厚さよりも大きくする。
又、請求項5に記載した電動式パワーステアリング装置は、
電動モータの回転軸と減速機を構成する入力軸とを、上述の様な動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合している。
電動モータの回転軸と減速機を構成する入力軸とを、上述の様な動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合している。
更に、請求項6に記載した電動式パワーステアリング装置は、
減速機の出力軸又は電動モータの回転軸と、ボールナットとを、上述の様な動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合している。
減速機の出力軸又は電動モータの回転軸と、ボールナットとを、上述の様な動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合している。
又、請求項7に記載した弾性歯付リングは、
上述の請求項1に記載した動力伝達機構に使用する弾性歯付リングであって、外周面に外歯を、内周面に内歯を、それぞれ有しており、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である、複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けており、径方向中央部の厚さを径方向端部の厚さよりも大きくしている。
上述の請求項1に記載した動力伝達機構に使用する弾性歯付リングであって、外周面に外歯を、内周面に内歯を、それぞれ有しており、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である、複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けており、径方向中央部の厚さを径方向端部の厚さよりも大きくしている。
又、請求項8に記載した弾性歯付リングの製造方法は、
上述の請求項7に記載した弾性歯付リングの製造方法であって、少なくとも一部が弾性材製で、長さ方向に山部と谷部とが交互に連続しており、且つ、山部の頂部と谷部の底部との間に存在する部分の厚さが、これら山部の頂部と谷部の底部とのうちの少なくとも一方の厚さよりも大きい板状素子を円筒状に曲げる事により、弾性歯付リングを造る。
上述の請求項7に記載した弾性歯付リングの製造方法であって、少なくとも一部が弾性材製で、長さ方向に山部と谷部とが交互に連続しており、且つ、山部の頂部と谷部の底部との間に存在する部分の厚さが、これら山部の頂部と谷部の底部とのうちの少なくとも一方の厚さよりも大きい板状素子を円筒状に曲げる事により、弾性歯付リングを造る。
上述の様な本発明の弾性歯付リング等を使用する本発明の動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、雌スプライン部と雄スプライン部との間に弾性歯付リングを設けている。この為、前述の図10〜20に示した従来構造及び先発明と同様に、上記雄、雌両スプライン部の歯面同士が直接衝合する事を防止でき、これら歯面同士が衝合する事による異音の発生を防止できる。又、上記弾性歯付リングの外径側に複数の弾性材製の外歯素子部を、この弾性歯付リングの内径側に複数の弾性材製の内歯素子部を、それぞれ設けている。この為、上記雄、雌両スプライン部の歯面と上記弾性歯付リングの内歯及び外歯の歯面とが衝合する事による耳障りな異音を小さくできるか、又はなくせる。又、この耳障りな異音の発生を抑える為に、駆動軸及び被駆動軸の曲げ剛性を低くする必要がない。
しかも、上記各内歯素子部と各外歯素子部とが弾性材製である為、上記雄、雌両スプライン部に存在する不可避な寸法誤差を上記弾性歯付リングにより吸収し易くできて、寸法管理及び組立作業を容易に行なえる。この為、動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置のコストの上昇を抑える事ができる。従って、徒にコストを上昇させたり、上記駆動軸及び被駆動軸の曲げ剛性を低くする事なく、耳障りな異音の発生を抑える事ができる。
更に、上記雄、雌両スプライン部に偏心誤差や偏角誤差が存在する場合でも、これらの誤差を吸収しつつ、上記駆動軸と被駆動軸とを、動力の伝達を可能に連結する事が可能になる。又、上記弾性歯付リングの外周面と内周面とに、それぞれ織布を貼着した場合には、弾性材のちぎれや、歯面のむしれを有効に防止できる。
特に、本発明の場合には、上記駆動軸と被駆動軸とのうちの一方の軸に設けられた雌スプライン部の各歯と、他方の軸に設けられた雄スプライン部の各歯とを、これら両スプライン部の円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)為、動力伝達機構の小型化を図れる。又、上記駆動軸と被駆動軸との間で動力を伝達する際に、弾性歯付リングに大きな剪断力が加わる事を防止できる。上記両軸の間で動力を伝達する際には、雄、雌両スプライン部の円周方向に隣り合う歯同士の間に存在する、弾性歯付リングの一部に圧縮力が加わる様にはなるが、主に圧縮力が加わる弾性歯付リングは、主に剪断力が加わる弾性歯付リングに比べて破損しにくい。この為、上記駆動軸と被駆動軸との間で伝達可能な動力(許容伝達動力)を大きくできる。又、この為に構造を大型化せずに済む。
しかも本発明の場合には、上記雄、雌両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた弾性歯付リングの厚さよりも大きくしている。この為、上記雄、雌各スプライン部の各歯の歯底部と径方向に対向する、弾性歯付リングの厚さを小さくしつつ、上記両軸の間で伝達可能な動力を大きくでき、耐久性を高くできる。又、上記雄、雌各スプライン部の各歯の歯底部と対向する、弾性歯付リングの厚さを小さくできる為、これら雄、雌各スプライン部の各歯の高さ(歯丈)を小さくし易くできる。この為、これら雄、雌各スプライン部を鍛造加工で成形する事を容易に行なえ、量産性を高くでき、製造コストの低減を図れる。しかも、上記雄、雌各スプライン部の各歯の高さが小さくなるのにも拘らず、これら各歯の円周方向に重畳する部分である、オーバーラップ部の径方向寸法を十分に確保できる。この為、耐久性を十分に確保できる。又、上記雄、雌両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、弾性歯付リングの厚さを小さくできる為、材料費を低減させる事ができ、製造コストの低減を図れる。
この結果、本発明によれば、駆動軸と被駆動軸とに設けた雄、雌両スプライン部の各歯の高さを小さくできる、安価で、且つ、耐久性を十分に確保できる構造を得られる。
この結果、本発明によれば、駆動軸と被駆動軸とに設けた雄、雌両スプライン部の各歯の高さを小さくできる、安価で、且つ、耐久性を十分に確保できる構造を得られる。
更に、本発明によれば、少なくとも一部が弾性材製である板状素子を円筒状に曲げる事により弾性歯付リングを造る場合でも、この弾性歯付リングの円周方向複数個所の径方向端部の厚さを小さくできる為、上記板状素子を円筒状に丸める事を容易に行なえる。又、この円筒状に丸める事により造った弾性歯付リングを、雄スプライン部と雌スプライン部との間に組み付ける(セットする)作業を行ない易くできる。この為、弾性歯付リングの成形性及び組み付け性の向上を図れる。
又、請求項2、3に記載した構成によれば、弾性材製の本体部又は素子部に織布を一体に貼着する状態で設けている為、弾性材のちぎれや歯面のむしれを有効に防止できる。又、各外歯素子部及び各内歯素子部を変形しにくくできる為、駆動軸と被駆動軸との間で伝達可能な動力を更に大きくでき、耐久性の更なる向上を図れる。しかも請求項3に記載した構成によれば、耐久性の向上と、雄、雌各スプライン部の各歯の高さの短縮とを、より高度に両立できる。この為、これら各スプライン部の各歯の鍛造加工による成形性を、より向上させる事ができる。又、上記板状素子を円筒状に曲げる事により弾性歯付リングを造る場合の、この弾性歯付リングの成形性及び組み付け性の更なる向上を図れる。
又、請求項4に記載した構成によれば、コスト低減を図りつつ、耐久性を十分に確保できる。又、上記雄、雌各スプライン部の各歯の高さをより有効に短くできる。即ち、弾性歯付リングの外径側及び内径側に設けた1対の織布のうち、駆動軸と係合する一方の織布には、この駆動軸に設けた雄スプライン部(又は雌スプライン部)から弾性材を介さず直接駆動力が加わる為、一方の織布に加わる負担が大きい。これに対して、被駆動軸と係合する他方の織布には、上記駆動力が弾性歯付リングの弾性材を介して上記駆動力に基づく力が作用する為、上記他方の織布に加わる負担は小さい。この為、この他方の織布の厚さを小さくしても、耐久性を十分に確保でき、しかも、雄、雌各スプライン部の各歯の高さをより有効に短くできると共に、他方の織布の材料費を抑える事ができ、コスト低減を図れる。
又、請求項8に記載した弾性歯付リングの製造方法によれば、弾性歯付リングの量産性を高くでき、コストをより低減できる。
[発明の実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の弾性歯付リングを使用する動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の特徴は、駆動軸である電動モータ28の回転軸29と、被駆動軸であるウォーム軸27との間での動力伝達を可能とする動力伝達機構30bの構造を工夫した点にある。本例に於いて、動力伝達機構30bを除く、電動式パワーステアリング装置の構造及び作用は、前述の図11〜17に示した従来構造、及び、図18〜20に示した先発明の場合と同様である。この為、この従来構造及び先発明の構造と、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図1〜2は、請求項1、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の弾性歯付リングを使用する動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の特徴は、駆動軸である電動モータ28の回転軸29と、被駆動軸であるウォーム軸27との間での動力伝達を可能とする動力伝達機構30bの構造を工夫した点にある。本例に於いて、動力伝達機構30bを除く、電動式パワーステアリング装置の構造及び作用は、前述の図11〜17に示した従来構造、及び、図18〜20に示した先発明の場合と同様である。この為、この従来構造及び先発明の構造と、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、駆動軸である、電動モータ28の回転軸29の先端部外周面に設けた雄スプライン部47bと、被駆動軸である、ウォーム軸27の基端部内周面に設けた雌スプライン部48bと、これら雄、雌両スプライン部47b、48b同士の間に設けた弾性歯付リング49bとにより、動力伝達機構30bを構成している。
この弾性歯付リング49bは、前述の図18〜20に示した先発明の場合と同様に、合成ゴム等の弾性材製で、外径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所(図示の例の場合は6個所)に、断面円弧形の外歯素子部54b、54bを、それぞれ軸方向(図1、2の表裏方向)全長に亙り設けている。又、上記弾性歯付リング49bの内径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所(図示の例の場合は6個所)に、断面円弧形の内歯素子部55b、55bを、それぞれ軸方向全長に亙り設けている。そして、上記各外歯素子部54b、54bと、上記各内歯素子部55b、55bとを、径方向中央部に設けた複数の連結部64a、64aを介して、円周方向に関して交互に連続する状態で一体成形している。そして、上記各外歯素子部54b、54bと、各連結部64a、64aの外周面寄り部分とにより、外歯50bを、上記各内歯素子部55a、55aと、各連結部64a、64aの内周面寄り部分とにより、内歯51bを、それぞれ構成している。
更に、上記弾性歯付リング49bの径方向に関して、上記外歯50bの歯底部を、上記内歯51bの頂部(歯先面)に近付けている。又、上記径方向に関して、この内歯51bの歯底部を、上記外歯50bの頂部(歯先面)に近付けている。そして、上記内歯51bの歯底部を、上記外歯50bの歯底部よりも、上記弾性歯付リング49bの直径方向外側に位置させている。従って、上記内歯51bの各歯底部を通るピッチ円の直径d1 ′は、上記外歯50bの各歯底部を通るピッチ円の直径d2 ′よりも大きくなる(d1 ′>d2 ′)。又、上記弾性歯付リング49bの直径方向中央部で、直径方向に関して各外歯素子部54b、54bと各内歯素子部55b、55bとの間に存在する、各連結部64a、64aの厚さT1 を、上記弾性歯付リング49bの内径側端部及び外径側端部に存在する、各外歯素子部54b、54b及び各内歯素子部55b、55bの円周方向中央部の厚さT2 、T3 よりも大きく(厚く)している(T1 >T2 、且つ、T1 >T3 )。
上述の様に構成する弾性歯付リング49bは、図2に示す様に、上記外歯50bを前記雌スプライン部48bに、上記内歯51bを前記雄スプライン部47bに、それぞれスプライン係合させる事で、上記雄、雌両スプライン部47b、48bの間に設けている。そして、前記電動モータ28の回転軸29の先端部とウォーム軸27の基端部とを、上記弾性歯付リング49bにより、これら両軸29、27の相対回転を不能に連結している。この為、上記ウォーム軸27は、上記回転軸29と共に回転する。
更に、本例の場合には、上記雄スプライン部47bと雌スプライン部48bとの間に弾性歯付リング49bを設けた状態で、上記雄スプライン部47bの各歯と、上記雌スプライン部48bの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47b、48bの円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)。従って、例えば、図2に二点鎖線a´で示す、弾性歯付リング49bと同心の仮想円を考えた場合に、この仮想円の円周上に、上記雄スプライン部47bの各歯と上記雌スプライン部48bの各歯とが存在する。そして、これら雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する、弾性歯付リング49bの径方向中央部である、前記各連結部64a、64aの厚さT1 を、上記各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、上記弾性歯付リング49bの径方向両端部である、前記各外歯素子部54b、54b及び各内歯素子部55b、55bの円周方向中央部の厚さT2 、T3 よりも大きく(厚く)している(T1 >T2 、且つ、T1 >T3 )。
上述の様に構成する本例の弾性歯付リングを組み込んだ動力伝達機構30bと、この動力伝達機構30bを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、前述の図10〜17に示した従来構造、及び図18〜20に示した先発明の場合と同様に、徒にコストを上昇させたり、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との曲げ剛性を低くする事なく、耳障りな異音の発生を抑える事ができる。
特に、本例の場合には、上記ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48bの各歯と、上記回転軸29に設けた雄スプライン部47bの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47b、48bの円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)。この為、動力伝達部の直径方向の寸法を小さくでき、動力伝達機構30bの小型化を図れる。又、上記回転軸29とウォーム軸27との間で動力を伝達する際に、弾性歯付リング49bに大きな剪断力が加わる事を防止できる。上記両軸29、27の間で動力を伝達する際には、雄、雌両スプライン部47b、48bの円周方向に隣り合う歯同士の間に存在する、弾性歯付リング49bの円周方向複数個所に圧縮力が加わる様にはなるが、主に圧縮力が加わる弾性歯付リング49bは、主に剪断力が加わる弾性歯付リングに比べて破損しにくい。この為、上記回転軸29とウォーム軸27との間で伝達可能な動力(許容伝達動力)を大きくできる。又、この為に構造を大型化せずに済む。
しかも本例の場合には、上記雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リング49bの厚さT1 を、この部分同士の間から外れた弾性歯付リング49bの厚さT2 、T3 よりも大きくしている(T1 >T2 、且つ、T1 >T3 )。この為、上記雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の歯底部と径方向に対向する、弾性歯付リング49bの径方向両端部の厚さT2 、T3 を小さくしつつ、上記両軸29、27の間で伝達可能な動力を大きくでき、耐久性を高くできる。
又、上記雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の歯底部と径方向に対向する弾性歯付リング49bの径方向両端部の厚さT2 、T3 を小さくできる為、これら雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の高さ(歯丈)h1 ´、h2 ´(図2)を小さくし易くできる。この為、これら雄、雌各スプライン部47b、48bを鍛造加工で成形する事を容易に行なえ、量産性を高くでき、製造コストの低減を図れる。しかも、上記雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の高さh1 ´、h2 ´が小さくなるのにも拘らず、これら各歯の円周方向に重畳する部分である、オーバーラップ部の径方向寸法T´を十分に確保できる。この為、耐久性を十分に確保できる。又、上記雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、弾性歯付リング49bの径方向両端部の厚さT2 、T3 を小さくできる為、材料費を低減させる事ができ、製造コストの低減を図れる。
この結果、本例によれば、上記回転軸29とウォーム軸27とに設けた雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の高さh1 ´、h2 ´を小さくできる、安価で、且つ、耐久性を十分に確保できる構造を得られる。
この結果、本例によれば、上記回転軸29とウォーム軸27とに設けた雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の高さh1 ´、h2 ´を小さくできる、安価で、且つ、耐久性を十分に確保できる構造を得られる。
[本発明の実施の形態の第2例]
次に、図3は、請求項1、2、4、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述の図1、2に示した第1例の場合と異なり、弾性歯付リング49cを構成する、合成ゴム等の弾性材製の本体部61の外周面及び内周面に1対の織布56a、56bを、それぞれ全周に亙り一体に貼着する状態で設けている。そして、これら1対の織布56a、56bのうち、外径側の織布56aと、この織布56aを貼着した、各外歯素子部54b、54bと、各連結部64a、64aの外周面寄り部分とにより、外歯50bを構成している。又、上記1対の織布56a、56bのうち、内径側の織布56bと、この織布56bを貼着した、各内歯素子部55b、55bと、各連結部64a、64aの内周面寄り部分とにより、内歯51bを構成している。
次に、図3は、請求項1、2、4、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述の図1、2に示した第1例の場合と異なり、弾性歯付リング49cを構成する、合成ゴム等の弾性材製の本体部61の外周面及び内周面に1対の織布56a、56bを、それぞれ全周に亙り一体に貼着する状態で設けている。そして、これら1対の織布56a、56bのうち、外径側の織布56aと、この織布56aを貼着した、各外歯素子部54b、54bと、各連結部64a、64aの外周面寄り部分とにより、外歯50bを構成している。又、上記1対の織布56a、56bのうち、内径側の織布56bと、この織布56bを貼着した、各内歯素子部55b、55bと、各連結部64a、64aの内周面寄り部分とにより、内歯51bを構成している。
又、本例の場合には、上記1対の織布56a、56bのうち、電動モータ28の回転軸29の雄スプライン部47b(図2参照)と係合する、内径側の織布56bの厚さt1 を、ウォーム軸27の雌スプライン部48b(図2参照)と係合する、外径側の織布56aの厚さt2 よりも大きくしている(t1 >t2 )。更に、上記回転軸29とウォーム軸27との間に上記弾性歯付リング49cを設けた状態で、上記雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する、上記弾性歯付リング49cの径方向中央部である、各連結部64a、64aに1対の織布56a、56bを貼着して成る部分の厚さT1 ´を、上記各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、上記弾性歯付リング49cの外径側端部である、各外歯素子部54b、54bに1対の織布56a、56bを貼着して成る部分の円周方向中央部の厚さT2 ´よりも大きくしている(T1 ´>T2 ´)。又、上記各連結部64a、64aに1対の織布56a、56bを貼着して成る部分の厚さT1 ´を、上記雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、上記弾性歯付リング49cの内径側端部である、各内歯素子部55b、55bに1対の織布56a、56bを貼着して成る部分の円周方向中央部の厚さT3 ´よりも大きくしている(T1 ´>T3 ´)。
上述の様に構成する本例の場合、弾性歯付リング49cを構成する弾性材製の本体部61に1対の織布56a、56bを一体に貼着する状態で設けている為、この弾性材のちぎれや歯面のむしれを有効に防止できる。又、上記各外歯素子部54b、54b及び各内歯素子部55b、55bを変形しにくくできる為、上記回転軸29とウォーム軸27との間で伝達可能な動力を更に大きくでき、耐久性の更なる向上を図れる。
又、本例の構成によれば、コスト低減を図りつつ、耐久性を十分に確保できる。又、前記雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の高さをより有効に短くできる。即ち、弾性歯付リング49cの外径側及び内径側に設けた1対の織布56a、56bのうち、駆動軸である、電動モータ28の回転軸29と係合する内径側の織布56bには、この回転軸29に設けた雄スプライン部47bから弾性材を介さず、直接駆動力が加わる為、上記内径側の織布56bに加わる負担が大きい。これに対して、被駆動軸である、ウォーム軸27と係合する外径側の織布56aには、上記駆動力が弾性歯付リング49cの弾性材製の本体部61を介して上記駆動力に基づく力が作用する為、上記内径側の織布56aに加わる負担は小さい。この為、この内径側の織布56aの厚さを小さくしても、耐久性を十分に確保でき、しかも、雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の高さをより有効に短くできると共に、外径側の織布56aの材料費を抑える事ができ、コスト低減を図れる。
これに対して、図4に示す様に、弾性歯付リング62を構成する弾性材製の本体部61の厚さを全周に亙り等しくすると共に、この本体部61の内、外両周面に貼着した1対の織布56a、56b同士の厚さt1 ´、t2 ´を等しくし(t1 =t2 )、雄、雌両スプライン部47b、48b(図2参照)の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する、弾性歯付リング62の径方向中央部の厚さT4 と、この部分同士の間から外れた、この弾性歯付リング62の径方向両端部の厚さT5 、T6 とを等しくした(T4 =T5 =T6 )、本発明から外れる構造を考える。この様な図4に示す構造の場合には、弾性歯付リング62の径方向中央部の厚さT4 と、本例の場合の径方向中央部の厚さT1 ´(図3)とを同じにした(T4 =T1 ´)場合に、弾性歯付リング62の直径が本例の場合よりも大きくなってしまう。又、雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の高さ(歯丈)も本例の場合よりも大きくなり、これら雄、雌各スプライン部47b、48bを鍛造加工で成形する事が困難になる。この事は、製造コストが大きく上昇する原因となる。しかも、上記雄、雌両スプライン部47b、48bの各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、弾性歯付リング62の径方向両端部の厚さT5 、T6 が大きくなる為、材料費を低減させる事ができず、製造コストが更に上昇する原因となる。
本例の場合には、上述の様に、弾性歯付リング49cの一部の厚さを他の部分の厚さとの関係で適切に規制している為、この様な図4に示した構造の場合に生じる不都合を何れも解消できる。本例に於いて、その他の構成及び作用は、上述の図1、2に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本例の場合には、上述の様に、弾性歯付リング49cの一部の厚さを他の部分の厚さとの関係で適切に規制している為、この様な図4に示した構造の場合に生じる不都合を何れも解消できる。本例に於いて、その他の構成及び作用は、上述の図1、2に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[発明の実施の形態の第3例]
図5は、請求項1、3〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、弾性歯付リング49dを、円周方向複数個所に設けた合成ゴム等の弾性材製の素子部63、63と、これら素子部63、63の内径側及び外径側に径方向両側から挟持する状態で一体に貼着する状態で設けた1対の織布56a、56bとにより構成している。そして、これら1対の織布56a、56bのうち、外径側の織布56aと、上記各素子部63、63の、上記弾性歯付リング49dの外周面寄り部分とにより、外歯50bを構成している。又、上記1対の織布56a、56bのうち、内径側の織布56bと、上記各素子部63、63の、上記弾性歯付リング49dの内周面寄り部分とにより、内歯51bを構成している。本例の場合、上記各素子部63、63の外周面寄り部分が、請求項1に記載した外歯素子部に対応し、上記各素子部63、63の内周面寄り部分が、請求項1に記載した内歯素子部に対応する。
図5は、請求項1、3〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、弾性歯付リング49dを、円周方向複数個所に設けた合成ゴム等の弾性材製の素子部63、63と、これら素子部63、63の内径側及び外径側に径方向両側から挟持する状態で一体に貼着する状態で設けた1対の織布56a、56bとにより構成している。そして、これら1対の織布56a、56bのうち、外径側の織布56aと、上記各素子部63、63の、上記弾性歯付リング49dの外周面寄り部分とにより、外歯50bを構成している。又、上記1対の織布56a、56bのうち、内径側の織布56bと、上記各素子部63、63の、上記弾性歯付リング49dの内周面寄り部分とにより、内歯51bを構成している。本例の場合、上記各素子部63、63の外周面寄り部分が、請求項1に記載した外歯素子部に対応し、上記各素子部63、63の内周面寄り部分が、請求項1に記載した内歯素子部に対応する。
そして、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27(図2参照)との間に上記弾性歯付リング49dを設けた状態で、雄、雌両スプライン部47b、48b(図2参照)の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する、上記弾性歯付リング49dの径方向中央部の厚さT1 ´を、この部分同士の間から外れた、上記弾性歯付リング49dの外径側、内径側径方向両端部に存在する、1対の織布56a、56bのみから成る円周方向複数個所部分の厚さT7 、T8 よりも大きくしている(T1 ´>T7 、且つ、T1 ´>T8 )。又、本例の場合も、上述の図3に示した第2例の場合と同様に、内径側の織布56aの厚さt1 を、外径側の織布56bの厚さt2 よりも大きくしている(t1 >t2 )。
上述の様に構成する本例の場合には、耐久性の向上と、雄、雌各スプライン部47b、48bの各歯の高さの短縮とを、より高度に両立できる。即ち、本例の場合には、上述の図3に示した第2例の場合と同程度に耐久性を向上できると共に、雄、雌各スプライン部47b、48bの歯底部と対向する、弾性歯付リング49dの内径側、外径側、径方向両端部に存在する円周方向複数個所の厚さを、上述の図3に示した第2例の場合よりも更に小さくできる。この為、上記各スプライン部47b、48bの各歯の鍛造加工による成形性を、より向上させる事ができる。
その他の構成及び作用は、前述の図3に示した第2例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
その他の構成及び作用は、前述の図3に示した第2例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[発明の実施の形態の第4例] 次に、図6〜7は、請求項1、5、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の弾性歯付リング49eの場合には、前述の図1〜2に示した第1例の合成ゴム等の弾性材製の弾性歯付リング49bと同様の構造で、円周方向一部に、軸方向全長に亙る不連続部65を設けている。この様な弾性歯付リング49eを造る為に、本例の弾性歯付リングの製造方法の場合には、図7に示す様な、幅方向(図7のx方向)の寸法に対して長さ方向(図7のy方向)の寸法がかなり大きい、長尺な板状素子66により造っている。
この板状素子66は、弾性材製で、長さ方向に山部67、67と谷部68、68とが交互に連続している。又、各山部67、67の頂部と各谷部68、68の底部との間に存在する長さ方向複数個所の厚さT1 を、板状素子66の他の部分である、各山部67、67の頂部の厚さT2 、及び、各谷部68、68の底部の厚さT3 よりも大きくしている(T1 >T2 、且つ、T1 >T3 )。そして、この様な板状素子66の長さ方向両端縁同士を突き合わせる、又は微小隙間を介して対向させる様に、各谷部68、68の底部(又は各山部67、67の頂部)を内側にした状態で円筒状に曲げる事により、図6に示す様な弾性歯付リング49eを造り、円筒状に曲げた状態で、電動モータ28の回転軸29に設けた雄スプライン部47bと、ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48b(図2参照)とに係合させつつ、これら両スプライン部47b、48b同士の間に上記弾性歯付リング49eを組み付ける。
上述の様に構成する本例の場合には、弾性材製である板状素子66を円筒状に曲げる事により弾性歯付リング49eを造るのにも拘らず、この弾性歯付リング49eの円周方向複数個所の内径側、外径側両端部となる、板状素子66の長さ方向複数個所(谷部68、68の底部及び山部67、67の頂部)の厚さT3 、T2 を小さくできる。この為、上記板状素子66を円筒状に丸める事を小さな力で容易に行なえる。又、この円筒状に丸める事により造った弾性歯付リング49eを、雄スプライン部47bと雌スプライン部48bとの間に組み付ける(セットする)作業を行ない易くできる。この為、弾性歯付リング49eの成形性及び組み付け性の向上を図れる。又、弾性歯付リング49eを板状素子66から造る為、量産性を高くでき、コストをより低減できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[発明の実施の形態の第5例]
次に、図8〜9は、請求項1、5、6、7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置の場合には、上述した各例の場合と異なり、電動モータ28の補助トルクを、ウォーム減速機を介してステアリングシャフト2(図10〜12参照)に付与していない。本例の場合には、電動モータ28の補助トルクを、はすば歯車型の減速機80とボールねじ機構81とを介してラック12に付与する、所謂ラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置に本発明を適用している。即ち、本例の場合には、上記ラック12の側方に電動モータ28を設けている。又、この電動モータ28の回転軸29とはすば歯車型の減速機80の入力軸82とを連結すると共に、この減速機80の出力軸となる出力歯車83とボールナット84とを連結している。これら出力歯車83とボールナット84とは、上記ラック12の周囲に外嵌する状態で設けている。そして、このラック12の一部外周面に設けた内径側ボールスクリュー溝85と、上記ボールナット84の内周面に設けた外径側ボールスクリュー溝86との間に複数のボール87、87を転動自在に設けている。上記ボールナット84は、ハウジング88に対し回転のみ自在に支持している。又、上記ラック12は、このハウジング88に対し軸方向の変位のみを自在に支持している。
次に、図8〜9は、請求項1、5、6、7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置の場合には、上述した各例の場合と異なり、電動モータ28の補助トルクを、ウォーム減速機を介してステアリングシャフト2(図10〜12参照)に付与していない。本例の場合には、電動モータ28の補助トルクを、はすば歯車型の減速機80とボールねじ機構81とを介してラック12に付与する、所謂ラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置に本発明を適用している。即ち、本例の場合には、上記ラック12の側方に電動モータ28を設けている。又、この電動モータ28の回転軸29とはすば歯車型の減速機80の入力軸82とを連結すると共に、この減速機80の出力軸となる出力歯車83とボールナット84とを連結している。これら出力歯車83とボールナット84とは、上記ラック12の周囲に外嵌する状態で設けている。そして、このラック12の一部外周面に設けた内径側ボールスクリュー溝85と、上記ボールナット84の内周面に設けた外径側ボールスクリュー溝86との間に複数のボール87、87を転動自在に設けている。上記ボールナット84は、ハウジング88に対し回転のみ自在に支持している。又、上記ラック12は、このハウジング88に対し軸方向の変位のみを自在に支持している。
この様なラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置で、ステアリングホイール1(図10、11参照)を操作すると、ステアリングシャフト2又はピニオン11の周囲に設けられたトルクセンサ(図示せず)がこのステアリングシャフト2又はピニオン11に加えられるトルクの方向と大きさとを検出する。すると、制御器6(図10参照)がこのトルクセンサから入力された信号に基づき電動モータ28に通電し、上記減速機80を介して上記ボールナット84を回転させる。そして、このボールナット84の回転により、上記ラック12が軸方向に変位する。
特に、本例の場合には、上記電動モータ28の回転軸29の先端部内周面に設けた雌スプライン部48cと、上記減速機80の入力軸82の一端部(図8〜9の左端部)外周面に設けた雄スプライン部47cとの間に、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様の弾性歯付リング49bを設けて、この弾性歯付リング49bにより、上記回転軸29と入力軸82とを、動力の伝達可能に結合している。又、上記雄スプライン部47cと雌スプライン部48cとの各歯を、これら両スプライン部47c、48cの円周方向に重畳させている。
更に、上記減速機80の出力歯車83に設けた雌スプライン部48dと、上記ボールナット84の一端部(図8〜9の左端部)に設けた小径筒部90に形成した雄スプライン部47dとの間に、やはり前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様の弾性歯付リング49bを設けている。そして、この弾性歯付リング49bにより、上記出力歯車83とボールナット84とを、動力の伝達可能に結合している。又、上記雄スプライン部47dと雌スプライン部48dとの各歯を、これら両スプライン部47d、48dの円周方向に重畳させている。この様な本例の場合も、一部の動力伝達部に弾性歯付リング49b、49bを設けており、これら弾性歯付リング49b、49bの一部の厚さを他の部分の厚さとの関係で適切に規制している。この為、各動力伝達部での異音の発生を安価に抑える事ができると共に、上記回転軸29と入力軸82、及び、上記出力歯車83及び小径筒部90に設けた、雄、雌各スプライン部47c、47d、48c、48dの各歯の高さを小さくできると共に、耐久性を十分に確保できる。尚、本発明の範囲で、上記弾性歯付リング49b、49bの代わりに、上述の図3、5〜7に示した実施の形態の第2〜4例で使用した弾性歯付リング49c〜49eを使用した構造を採用する事ができるのは勿論である。
又、図示は省略するが、ラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置で、上述の図8〜9に示した構造以外に、電動モータを、この電動モータの回転軸とボールナットの回転軸とが同軸上に位置する様にラックの周囲に設けると共に、この電動モータの回転軸とこのボールナットとを、減速機を介さず直接連結する場合もある。この様な構造の電動式パワーステアリング装置でも、上記電動モータの回転軸とボールナットとの間の動力伝達部に、上述した第1〜4例の動力伝達機構と同様の構造を採用できる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 電動モータ
4 減速機
5 トルクセンサ
6 制御器
7 自在継手
8 中間シャフト
9 ステアリングギヤ
10 入力軸
11 ピニオン
12 ラック
13 タイロッド
14 操舵輪
15 ステアリングコラム
16 アシスト装置
17 アウターシャフト
18 インナーシャフト
19 車体
20 ウォーム減速機
21 ギヤハウジング
22 第一のインナーシャフト
23 第二のインナーシャフト
24 トーションバー
26 ウォームホイール
27 ウォーム軸
28 電動モータ
29 回転軸
30、30a、30b 動力伝達機構
31 弾力付与手段
32 軸受ホルダ
33 第一の玉軸受
34 第二の玉軸受
35 揺動軸
36 コイルばね
37 ウォーム
38 ケース
39 大径筒部
40 小径筒部
41 段部
42 凹孔
43 弾性リング
44 透孔
45 凹孔
47、47a〜47d 雄スプライン部
48、48a〜48d 雌スプライン部
49、49a〜49e 弾性歯付リング
50、50a、50b 外歯
51、51a、51b 内歯
52 本体部
54、54a、54b 外歯素子部
55、55a、55b 内歯素子部
56a、56b 織布
61 本体部
62 弾性歯付リング
63 素子部
64、64a 連結部
65 不連続部
66 板状素子
67 山部
68 谷部
80 減速機
81 ボールねじ機構
82 入力軸
83 出力歯車
84 ボールナット
85 内径側ボールスクリュー溝
86 外径側ボールスクリュー溝
87 ボール
88 ハウジング
90 小径筒部
2 ステアリングシャフト
3 電動モータ
4 減速機
5 トルクセンサ
6 制御器
7 自在継手
8 中間シャフト
9 ステアリングギヤ
10 入力軸
11 ピニオン
12 ラック
13 タイロッド
14 操舵輪
15 ステアリングコラム
16 アシスト装置
17 アウターシャフト
18 インナーシャフト
19 車体
20 ウォーム減速機
21 ギヤハウジング
22 第一のインナーシャフト
23 第二のインナーシャフト
24 トーションバー
26 ウォームホイール
27 ウォーム軸
28 電動モータ
29 回転軸
30、30a、30b 動力伝達機構
31 弾力付与手段
32 軸受ホルダ
33 第一の玉軸受
34 第二の玉軸受
35 揺動軸
36 コイルばね
37 ウォーム
38 ケース
39 大径筒部
40 小径筒部
41 段部
42 凹孔
43 弾性リング
44 透孔
45 凹孔
47、47a〜47d 雄スプライン部
48、48a〜48d 雌スプライン部
49、49a〜49e 弾性歯付リング
50、50a、50b 外歯
51、51a、51b 内歯
52 本体部
54、54a、54b 外歯素子部
55、55a、55b 内歯素子部
56a、56b 織布
61 本体部
62 弾性歯付リング
63 素子部
64、64a 連結部
65 不連続部
66 板状素子
67 山部
68 谷部
80 減速機
81 ボールねじ機構
82 入力軸
83 出力歯車
84 ボールナット
85 内径側ボールスクリュー溝
86 外径側ボールスクリュー溝
87 ボール
88 ハウジング
90 小径筒部
Claims (8)
- 駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為の動力伝達機構であって、
これら両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられた雌スプライン部と、他方の軸の端部外周面に設けられた雄スプライン部と、この雌スプライン部とスプライン係合する外歯をその外周面に、この雄スプライン部とスプライン係合する内歯をその内周面に、それぞれ有する弾性歯付リングとを備え、この弾性歯付リングは、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けている動力伝達機構に於いて、
上記駆動軸と被駆動軸とのうちの一方の軸に設けられた雌スプライン部の各歯と、他方の軸に設けられた雄スプライン部の各歯とを、これら両スプライン部の円周方向に重畳させており、これら両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた弾性歯付リングの厚さよりも大きくしている事を特徴とする動力伝達機構。 - 弾性歯付リングは、弾性材製の本体部と、この本体部の外径側及び内径側の少なくとも一方に一体に貼着する状態で設けられた織布とを備えており、雄、雌両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた弾性歯付リングの厚さよりも大きくしている、請求項1に記載した動力伝達機構。
- 弾性歯付リングは、円周方向複数個所に設けられた弾性材製の素子部と、これら素子部の少なくとも片側に一体に貼着する状態で設けられた織布とを備えており、雄、雌両スプライン部の各歯の円周方向に重畳する部分同士の間に存在する弾性歯付リングの厚さを、これら各歯の円周方向に重畳する部分同士の間から外れた、織布のみから成る弾性歯付リングの厚さよりも大きくしている、請求項1に記載した動力伝達機構。
- 弾性歯付リングは、外径側及び内径側に1対の織布を設けており、これら両織布のうち、駆動軸と係合する一方の織布の厚さを、被駆動軸と係合する他方の織布の厚さよりも大きくしている、請求項1〜3のうち、何れか1項に記載した動力伝達機構。
- 電動モータの回転軸と減速機を構成する入力軸とを、請求項1〜4のうち、何れか1項に記載した動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合した電動式パワーステアリング装置。
- 減速機の出力軸又は電動モータの回転軸と、ボールナットとを、請求項1〜4のうち、何れか1項に記載した動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合した電動式パワーステアリング装置。
- 請求項1に記載した動力伝達機構に使用する弾性歯付リングであって、外周面に外歯を、内周面に内歯を、それぞれ有しており、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である、複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けており、径方向中央部の厚さを径方向端部の厚さよりも大きくした弾性歯付リング。
- 請求項7に記載した弾性歯付リングの製造方法であって、少なくとも一部が弾性材製で、長さ方向に山部と谷部とが交互に連続しており、且つ、山部の頂部と谷部の底部との間に存在する部分の厚さが、これら山部の頂部と谷部の底部とのうちの少なくとも一方の厚さよりも大きい板状素子を円筒状に曲げる事により、弾性歯付リングを造る弾性歯付リングの製造方法。
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